アニソンという言葉の不確かさ

EYES BLOG - 「アニソンSP.2」追加アーティスト発表!!! 

 「この番組でやろうとしていることは、アニソンとは別の言葉で括るのがいいんじゃないでしょうか。認知度高くなってきたところに乗っかるのは楽ちんだとは思いますけれども。」…とコメント投稿したのが先週末。どうやら否定的な要素を含むものは公開されないようだ。他の方が書いていた初音ミクに対しての疑問のコメントも、一時公開されていたものが(投稿者自身が削除した可能性もあるが)消えてしまった。

 NHKが(少なくともこの番組が)、範囲を決めないまま、言葉のイメージだけでアニソンを取り上げようとしていることに強く危機感を覚える。

 表層的な部分だけ追えばこれは自然な流れで、「人気」「流行」の面で考えればおそらく今が旬でもあり、JPOPシーンの中のアニソンを評価するという番組の趣旨にも沿うものだが、それもアニソンの範囲次第だ。
 アニソンという言葉が指す範囲は―ここを意識する方には今更だろうが―定まっていない。境界線は人によって様々で、公的なものに取り上げられる際、これまではアニメと他のもの(特撮・ゲーム・声優など)とで一定の線引きが成されていた。アニソンを好きな者の間でもたびたび意見の相違が見られるポイントではあるが、利用する時と場合によって流動的な意味をもつ言葉であり、MJの括り方は、このプロセスを無視して定義づけようという暴挙で、ここで留意すべきは、企画者の意図に関わらずNHKがそういう力を持つメディアだということだ。

 テレビまんがが「アニメ」「特撮」にその呼び名を変えると同時に、テレビまんがの歌は「アニメソング」へと呼び名を変えた。その略称が「アニソン」であり、どこを原点に広がったものかを見れば、オタクカルチャーに接する音楽全てを「アニソン」という言葉にひっくるめてしまおうという姿勢が、これまでアニソンを愛し伝えてきた者たちに不幸を呼び寄せるだろうことは想像に難くない。

 アーティストを取り上げたいのなら、アニソンを関連づけなくても構わないのだし、オタクカルチャーに擦り寄りたいのならアニソン以外の括りでやればいい。それができないから結局アニソンという括りを利用しているのであって、そこにアニソンである必要性は感じられない。

 都合のいいように取り沙汰されるアニソンを見ずに済むように願う。



(20091030にanison.docに投稿したものを保管用に転記)

アニメーター金田伊功

力尽きつつもやっと書けたので、おこがましいとは思うけど投稿。
世代的に実体験よりも伝聞が多いので注意。間違い指摘も歓迎します。
原体験世代から発信されたものを読みたい。

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ボカロとアニソン

 現在の「アニソン」という言葉が、既に内側からも、元来の「アニメソング」とは別のものとして捉えられているのは、最大級のアニソンライブイベントに初音ミクを登場させているあたりからも明白だ。

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