『へんぐえ』第4弾 募集開始

 『へんぐえ』公式ページ

 『へんぐえ』新刊(2011年11月文学フリマ出展予定)に掲載する作品を募集しております。


一般作品


 ◆ 「女のあやかし」をテーマにした1200文字の掌編を募集します。
 ◆ 今回は、『今昔画図続百鬼』等の絵草紙に登場する妖怪の中でも、とりわけ女性系(?)妖怪に特化したテーマとなっております。
 ◆ 女性系妖怪ならではの、愛らしさ・哀しさ・凄み・美しさ等、存分に描写していただきたく思います。
 ◆ あ、もちろん、色っぽい作品もOKですよー。
 ◆ 小説に限らず、エッセイ・詩歌・ルポ等、女の妖怪を題材にした文章であれば何でもOKです。
 ◆ 文字数の上限は、400字詰め原稿用紙×3枚です。
 ◆ 投稿は一人一作までとさせていただきます。
 ◆ 掲載にあたり、審査等は一切行いません。投稿いただいた作品は全て掲載いたします。
 ◆ 作品掲載にあたり、掲載料等の一切の報酬は発生しないことをご留意ください。
 ◆ 作品投稿締切:2011年9月11日(日)

  一般作品の投稿方法についてはこちら


特別作品


 ◆ 『へんぐえ』第4弾特別企画として、人間と妖怪の交流譚――題して「不思議な隣人(仮)」の作品を募集します。
 ◆ 妖怪と、ごく普通の人間との交流を描いた1200文字小説です。
 ◆ 妖怪に化かされた・驚かされた・危害を加えられた等の展開は、単なる妖怪譚となってしまうので、
   禁じ手とさせていただきます。
 ◆ 例えば、正体を隠しながら、人間社会に溶け込んで生活している妖怪の日常とは……とか。
 ◆ 例えば、妖怪と友達になった子供の話とか。
 ◆ そんな感じの、穏やかな空気の物語をよろしくお願いします。
 ◆ 一般作品と異なり、妖怪の予約は不要です。
 ◆ 投稿数の上限はございません。お気軽にご投稿ください。
 ◆ 一般作品と併せてご投稿いただくことも可能です。2作掲載のチャンス!
 ◆ 応募多数の場合、編集スタッフによる協議の上、掲載作品を決めさせていただきますので、予めご了承ください。
 ◆ 作品掲載にあたり、掲載料等の一切の報酬は発生しないことをご留意ください。
 ◆ 作品投稿締切:2011年9月11日(月)
  特別作品の投稿方法についてはこちら


その他


 ◆ 『へんぐえ』では、文芸やイラストのみならず、多彩な分野から妖怪をフィーチャーしていきたいと考えております。
 ◆ 「こんなの掲載して欲しいんだけど……」「こんな企画って面白くね?」
 ◆ そんなアイディアがありましたら、下記アドレスまでお気軽にご提案ください。
◆ 誰か、見開き2ページくらいの妖怪マンガとか描いてくれねぇかなあ……(独り言)


 その他、何かご不明な点などございましたら、
  yt_flack@yahoo.co.jp
  hengue2009@gmail.com
 までお気軽にお尋ねください。

 今回も、沢山の方からの投稿をお待ち申しております。

『へんぐえ』シリーズ第3弾 『へんぐえ 〜せるりあん〜』掲載作品発表

 『へんぐえ』公式ページ

No. 妖怪 タイトル 筆者 挿絵担当
1 青行燈 失言 谷 一生 ポンチ定食
2 青鷺火 緑地の火 武田若千 hinata
3 青女房 オフィスレディ 佐手英緒 ポンチ定食
4 青坊主 天魔外道 高柴三聞 岩里 藁人
5 赤ゑいの魚 赤ゑいの魚 海音寺ジョー 岩里 藁人
6 油赤子 尻に火がついた 五十嵐彪太 高橋 史絵
7 天逆毎 もしかして、初めて 三輪チサ 岩里 藁人
8 網剪 誘惑フェティシズム 蒼 隼大 SAWSIN
9 生霊 半円の月 サイトウチエコ      岩里 藁人   
10 茨木童子 ごわす 在神英資 SAWSIN
11 姑獲鳥 見込み違い 野棲あづこ ポンチ定食
12 海坊主 黒い波濤 添田健一 込宮 宴
13 雲外鏡 祖母の遺品 葉原あきよ 紗弥
14 大蛸の足 咲き誇れ、ワイルドフラワー 茶林小一 yoruno
15 おしらさま 20110629.wts 根多加良 青砥 十
16 鬼熊 鬼熊への探究 戸神重明 込宮 宴
17 隠里 契約期限 御於紗馬 岩里 藁人
18 元興寺 元興寺復権を願う建白書(現代語訳)    酒月 茗 岩里 藁人
19 狐火 ひぎつね 黒木あるじ 橘 百花
20 毛羽毛現 毛羽毛現と数字 夢乃鳥子 込宮 宴
21 毛倡妓 首長毛長夜諍 立花腑楽 ポンチ定食
22 倩兮女 笑顔をえがく 小島モハ hinata
23 狐者異 腹が減るのは 原 瑚都奈 SAWSIN
24 死神 死神のチェスピース 新熊 昇 チェゴリラ
25 硯の魂 渋江照彦 岩里 藁人
26 玉藻前 玉藻前胸考 池田一尋 怪聞堂
27 恙虫 媒介 宇津呂鹿太郎 茶柱 立太
28 泥田坊 泥のアパート 加上鈴子 青砥 十
29 人面樹 笑う花 GIMA 茶柱 立太
30 寝肥 不二先生の処方箋根比べ 青砥 十 yoruno
31 ばけの皮ごろも    隣の芝は 道三 yoruno
32 反魂香 再会 矢内りんご 紗弥
33 百目 百目惚れ 岩里藁人 SAWSIN
34 二口女 晩餐 まあぷる 高橋 史絵
35 古山茶の霊 乳白色の帳の中で 侘助 hinata
36 暮露々々団 未練 湯菜岸時也 ポンチ定食
37 溝出 箱の中のシュレーディンガーの猫     込宮 宴 岩里 藁人
38 山童 EuVouJogar 剣先あおり 茶柱 立太
39 夜啼石 石薬 高橋史絵 hinata
40   わいら 穏顕の饗宴 加楽幽明 茶柱 立太

                     + 特別企画「もののけカルチャーショック!」掲載作品6作

『へんぐえ』第3弾 募集開始

 『へんぐえ』公式ページ

 『へんぐえ』新刊(2010年12月文学フリマ出展予定)に掲載する作品を募集しております。


一般作品


 ◆ 妖怪を題材にした1200文字の掌編を募集します。
 ◆ 小説に限らず、エッセイ・詩歌・ルポ等、妖怪をテーマにした文章であれば何でもOKです。
 ◆ 文字数の上限は、400字詰め原稿用紙×3枚です。
 ◆ 投稿は一人一作までとさせていただきます。
 ◆ 掲載にあたり、審査等は一切行いません。投稿いただいた作品は全て掲載いたします。
 ◆ 作品掲載にあたり、掲載料等の一切の報酬は発生しないことをご留意ください。

  一般作品の投稿方法についてはこちら


特別作品


 ◆ 『へんぐえ』第3弾特別企画として、妖怪異文化交流小説――題してもののけカルチャーショック!」の作品を募集します。
 ◆ 日本の妖怪と、外国の妖怪(モンスター?)が異文化交流する様子を描いた1200文字小説です。
 ◆ 異国の方々と出会い、そのカルチャーギャップに戸惑うのは、人間も妖怪もきっと同じはず。
 ◆ その文化的相違が生み出すのは、険悪モードか、はたまた、案外、意気投合しちゃったり?
 ◆ 外国被れしちゃう妖怪なんてのも、案外多そうです。
 ◆ 文字数の上限は、400字詰め原稿用紙×3枚です。
 ◆ 一般作品と異なり、妖怪の予約は不要です。
 ◆ 投稿数の上限はございません。お気軽にご投稿ください。
 ◆ 一般作品と併せてご投稿いただくことも可能です。2作掲載のチャンス!
 ◆ 掲載にあたり、編集スタッフ間での協議の上、特に優れた5作品(仮)を選出し掲載とさせていただきます。
 ◆ 余談ですが、登場する妖怪が明快な作品が、編集部的には好まれるようです。
 ◆ 作品掲載にあたり、掲載料等の一切の報酬は発生しないことをご留意ください。
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半睡の澱み

 夢の話。


 柳の連なる小運河の向こう岸に、三階建ての旅館が立っていた。
 モルタルの外壁が、灰色にくすんでいる。
 僕の立っている位置からは、二階の一室の窓がよく見える。
 窓の向こうで、女が鴨居に紐を引っ掛けている。
 僕は、図らずも女性の部屋を覗いてしまったことに羞恥心を感じ、その場を逃げるように立ち去った。


 この街は、川沿いに古民家がずらっと並び、それらの家々から漏れる生活光が、夜景に橙色の花を咲かせている。
 何となく、これは京都の街の一風景なのかもしれないなと、僕は直感的に思った。


 そうだ、僕は人を待っていたんだと、唐突に思い出し、駅に向かう。
 駅は、数カ月前に初めて行った、奥多摩駅にそっくりだった。
 ただし、駅の便所が、尋常じゃないくらい広い。
 高速道路のSAみたいな広さだ。
 だけど凄く汚い。壁はタイルじゃなく、打ちっぱなしのコンクリートで、ずらっと並んだ小便器は、黄色の尿石がガビガビにこびり着いていた。その光景を照らしているのは、場違いに煌々と灯る照明で、その明るさの所為か、さほどの不快感を感じなかった。


 用を足して便所を出ると、道端に多くの人が蹲っていた。
 この人たちは、僕が便所に入るときも居たっけか。よく覚えていない。
 みんなズボンをまくり、脹脛を剥き出しにして、そこをバリボリバリボリバリボリ掻いている。
 爪が皮膚を掻き壊し、血が滲み出しているのに、バリボリバリボリバリボリ。
 みんな、退屈そうな顔で、無言。だから、バリボリばかりが活発に動いている。
 

 急に僕の足も痒くなってきた。バリボリだ。
 しまった、この便所は罠だった。何とかしなくては。


 バリボリの秘密は、さっき覗き見てしまった首吊り女が真相を知っているのだと思う。
 彼女がまだ生きてればいいなと思いながら、あの灰色の旅館を目指し、僕は足を引き釣りながら歩いていった。


 別の夢の話。


 赤子のように、そこらにあるものを手当たり次第に口に運ぶ夢だった。
 食べるでもなく、唇を這わせ、舌で弄び、臼歯で噛み潰す感触を味わっている。それもひどく無感動に。
 その夢を主軸としながら、僕の意識はまた別の夢を追いかけている。
 テレビを眺めながら、ネットサーフィンをしているような感覚。


 従の夢は、次々と主の夢の口に放り込もれていく。
 ファミコン懐ゲーを楽しんでいる夢だったはずなのに、いつしか本筋の口遊びの夢にシフトして行く。
 僕はマリオとルイージを舌で選別しながら、口腔で弄んでいる。
 小学校の時の夢は、何故かトンボの鉛筆に集約され、僕はその夢の尻尾にガリガリと歯型を刻んでいく。


 蛇の夢を見たんだと思う。
 唐突に、奥歯でくちゃくちゃ噛んでいるものが、蛇の死体であると気が付いて、主の夢の中の僕は、とても狼狽した。
 慌てて吐き出した蛇の残骸は、まるで噛み捨てたガムのようにくしゃくしゃになっていて、ああ、しっかり蛇のエキスを摂取してしまったのだと、夢の中の僕はひどくいやな気分がした。口の中に残る蛇の味は、輪ゴムを噛んだ時の味にそっくりだった。
 

怖い歯無し

 みちのく怪談コンテストのネタ探しに、『新装 日本の民話2 東北(一)』(ぎょうせい)を読んでいる。
 そこに収録されていた「はなしの話」という物語が、何か怖い。「笑い話」の項目に分類されているけど、怖い。
 ざっくりとした粗筋は以下。

 ある村に、笈を背負った山伏がやってきた。早池峰山に願掛けに行く途中だと言う。
 村の禰宜堂に泊まらせて貰ったその山伏は、「山参りに言っている間、荷物を預かっておいてくれ」と、背負ってた笈を残して、翌朝早くに出かけてしまった。
 ところが、その山伏、二日経っても三日経っても帰ってこない。
 困ったのは、荷物を預かった村人たち。あの山伏は道に迷ったのか、それとも行き倒れになってしまったのか。
 取り敢えず荷物の中身を検めてみるべぇとなって、その笈を解いてみると、中からでてきたのは、何と人の生首だった。
 その生首は、男性とも女性ともわからない顔をしている。
 男だべか女だべか、村人たちは散々悩んだ結果、その生首の口を開けてみることにした。女であれば、歯を黒く塗っているはずだからだ。
 で、みんな集まり、生首の口を開いて覗き込んでみたのだが、それがさっぱり歯無しだったんだとさ。残念でした。ちゃんちゃん(笑)。

 
 とまぁ、こんな話。


 いやいやいや、生首なんてあんた、猟奇事件じゃないですか。しかも男か女かわからないってんだから、きっと相当腐敗してたのでは……。

 一体その山伏、何者なんだよ。早池峰山に何を願掛けに行ったんだよ。
 そこらへんの当然の疑問をすっ飛ばして、終始、生首の性別にだけ拘泥している村人たちが、わけが分からなくて気持ち悪い。


 タイトルの「はなしの話(はなし)」というシャレが、この物語の骨子になっているんだとしても、何もそんな猟奇的な前フリにしなくてもなぁと思う。どうにも生首のインパクトと、オチのどうでも良さとのギャップが、妙な居心地の悪さを形成している。


 これ、本当に「笑い話」として伝えられてきたのかなぁ……。
 実はこの物語の原型には、身の毛もよだつような凄惨な結末が用意されていたんだけど、諸事情により後半部分がぶっつり削られ、無理やり「笑い話」としての態に作り替えられてしまったのではないかと、要らん想像をしてしまう。その秘された結末の残滓が、土地に伝わる童謡の歌詞に込められてたりしてね。もうほとんど横溝正史の世界。
 や、まぁ、それはさすがに妄想を逞しくし過ぎだろうけど、「山伏が生首を置いていく」ってプロット自体は、もともと別の物語だったのかもねとは思った。

『へんぐえ』参加に遠慮はいりません

 「夜道会」という同人サークルを仕切っているわけだけど、これは文学フリマに参加するにあたり、便宜上、“とりあえず”名付けたものに過ぎません。
 私はこの夜道会というサークルを基盤に、何らかのコミュニティを形成する意図は一切ありません。淡々と、ご参加いただいた皆様の作品を形にするだけの、無機的な機関であればいいと思ってます。
 その結果として、参加者同士の新たな交流が生まれる場合もありますが、それは「夜道会のメンバー同士の交流」ではなく、単に「趣味を同じくする人々の交流」という自然発生的な形態であって欲しいと願っています。


 『へんぐえ』編集部は、単なる機関です。
 投稿いただいた作品を、同人誌へと錬成する機関です。
 参加者がどんな人かなんて、一切斟酌しません。
 だから、「『へんぐえ』に初参加するけど、受け入れてもらえるかしら……?」なんて心配は杞憂です。
 『へんぐえ』に参加する上で必要なのは、妖怪に対する興味と、それを描写したいという欲求のみです。


 その結果、集まった参加者同士、独自に交流・ネットワークが形成されたら楽しいんじゃないかな。
 『へんぐえ』のメンバーだとか、そんな狭いところにこだわらずにさ。