ゲッサン201509

ゲッサン 2015年 09 月号 [雑誌]

ゲッサン 2015年 09 月号 [雑誌]

門司雪先生の表紙でした。
写植に気を配ったかのような上下に背景、キャラ中央という配置がいいです。


◎ VANILLA FICTION
『VANILLA FICTION』 ゲッサン2015年9月号 p26 大須賀めぐみ

我が意を得たり。
昔似たような事を書いてたつもりでしたが、



GRGR 個人的には「求められること」は撒き餌みたいなつもりでやるべきだと思うけど、媚るとダメになると思う。 link
これ以上近いコメントが見つけられず。 読者を意識するのは大切なことだと思います。 そうでなければ独りよがりな作品になりますから。 ただ、そこに作家の魂が込められてないと軽薄になると思うんですよね。 残念ながら軽薄でも需要さえあれば売れちゃうんでしょうけども。 ふだつきのキョーコちゃん 別のカップリングで状況を揃えて、そこでシンクロさせたり違うことを考えたりで コメディにする。 ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年9月号 p65 山本崇一朗 王道パターンの一つですが、個人的にこういう演出は大好きで。 で、新キャラの進藤ですが... 好み分かれるでしょうねぇ。 キョーコとケンジを動かす時に、このテのキャラがいるに越したことは無いのですが、 最近は特に嫌味なキャラを出すのが難しくなっていると感じます。 単純に、嫌味なキャラが出てきたら読むのも嫌になる。 辛い展開が続いたら読むのも辛くなる。 そこで読むのを止めちゃう読者がいるんですよね。 ではどうするのか。 まず選択肢として、そういう読者を切り捨てる/何とかなだめすかす のいずれかでしょう。 なだめすかす一つの方法としてはアメとムチがあると思います。 「このキャラは嫌いだけど、こいつが出てくればキョーコの可愛らしい一面が見られる。」 そう読者に印象付けられれば多少我慢も効くとは思うのですけれども。 ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年9月号 p76 山本崇一朗 他にはこのシーンのように、本当は悪い人じゃないと描写する、 追い返すなりして達成感を出すといった辺りなのでしょう。 何にせよ、塩梅の難しいキャラです。 ◎ ひとりぼっちの地球侵略 30pでも見どころ満載。 『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年9月号 p112 小川麻衣子 というかアイラが超可愛い。このシーンもいいですし、 『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年9月号 p116 小川麻衣子 髪型弄られても一向に気にしないこのシーンもいいなぁ。 こういう、ストーリーの進行を妨げずにキャラ描写をする演出ってのは割と好きです。 単純に楽しめますし、作者がいかにキャラの魅力を描こうとしているか腐心しているのが伝わるようで。 本筋も読者と駆け引きしてる感アリアリで、続きが気になる仕組みになっていると思います。 ◎ だって小山くんが艶い。 猫を演じるシーンだけは個人的にノれませんでしたが、他は割といい感じ。 『だって小山くんが艶い』 ゲッサン2015年9月号 p156 島粼結太 ほぼ日田さんの下心を軸に展開していただけに、このシーンは効果的だったのでは。 ◎ ハレルヤ オーバードライブ! オッサンなので曲作る前にいたしたんだろうなぁとゲスい妄想しちゃいますねー。 そういう気配をほぼ匂わせない辺りが個人的には好きなんですけども。 マガジンの某彼女とか某ヒロインが速攻で死んだ漫画なら絶対そういうシーン挟むでしょうし。 アイドルマスター ミリオンライブ! ホントこの漫画ソツがない。 アオイホノオ 禿笑。 アオイホノオゲッサン2015年9月号 p270-271 島本和彦 何故週刊少年サンデーがラブコメへとシフトしたのか、私にとってずっと謎でしたが、 多少脚色しているとは言え概ね事実なんでしょうなぁ。これで一つ謎が解けました。 あと第9回新人コミック大賞、実際はどういう感じだったのは確かめたい。 有り難いことに1982年1・2月号とソースも描かれてるのでチェックもし易いなぁ。 ○ 月曜は2限から。 ○ 恋情デスペラード ようやく因縁のあるキャラが出てきました。ここからが本番かなぁ。 パロディは面白かったと思います。 ○ ぼくらのカプトン まるでMIXのはじまりのようなオチでしたとさ。オマージュ? 個人的には最後まで柴田以上のキャラが出なかった印象でしたが、 コメディ漫画としてきちんと役割は果たしきったと思います。全体的にみても○。 × ガンプラ戦記 ジャブローズスカイ ガンプラ戦記 ジャブローズスカイ』 ゲッサン2015年9月号 p351 原作:ゆきもり 作画:ロドリゲス井之介 いやー、ここまで絵に説得力が無いのも珍しいなw 上手い演技なら表情なり所作なり、何か伝わるモノがある筈なのですが、 相変わらずの棒立ち能面だもんなぁ... 役者のシーン、脳内妄想シーン共にホントどーしよーもない感じ。 ガンプラ戦記 ジャブローズスカイ』 ゲッサン2015年9月号 p351 原作:ゆきもり 作画:ロドリゲス井之介 前ページのどうでもいいシーンにはちゃんとトーンの変化を付けてるのに、 ドコに何のパーツを使ってるのか示す絵には白だけという謎仕様。 パッと見ですぐ分かるように...読者に伝わりやすい表現をしようという意識自体が無さそうで。 とは言え、結局のところ作者が一番見せたいのがガンプラ作ってる所だけあって、 初回に比べればガンプラ作ってるシーンだけは多少マシにはなってきてるとは思います。 × 放課後さいころ倶楽部 諸事情により6p。 何があったかはお盆にM's Barへ行った時、アル隊長が話題にしてたのを 横で聞いてたので一応知ってはいるのですが、喋ったらダメらしいので伏せておきます。 まぁ大体想像は付くと思いますがねw ちなみにヨメさんとモメたとか訳分からん理由ではないです。 急遽6pで漫画を描くという制約があったので多目にみる必要があるとは思うのですが、 放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年9月号 p394 中道裕大 正直微妙と言わざるを得ません。 テーマがボードゲームとは言え、ベースがキャラ漫画なのですから、

この回描くまで『もんじろう』出す予定は無かったんですけど、
これは実はゲームより先にミキとマキの話を俺は描きたいなってのがあったんですね。
でもミキとマキの話を描いた時に、ゲーム出すってなったら何出しても不自然だなってのがあったんですよ。
この2人が何やってもちょっとおかしくない?ってのがありまして。
この2人のエピソードが描きたいけどゲームが無いってなったときに、
『もんじろう』がハマったんですね。『もんじろう』なら吸収するな。色んなモノをと思って。
ボードゲーム数寄語り。第49回「放課後さいころ倶楽部第4巻・その2」 2:03〜2:41

こういう風に、描きたいカップリングやシチュエーションがあるなら、それを描くべきだったなと。
無ければ描きたいと思うカップリングやシチュエーションを考えるとw


今回の内容では、ボードゲーマーにとっては知らないゲームは無いですし、
単行本買っている読者にとっては既出の作品が3つ(オマケ含めると4つ)並び、
一見さんにとってはこれだけでは何も伝わらないと、非常に中途半端な出来になっています。
まぁ権利関係をクリアするなると、ある程度既出の作品が並ぶのは仕方ないのかも知れません。
こういう内容の漫画になってしまったのは、結局のところ中道先生がこの漫画を描くモチベーションが
「こんな面白いボードゲームがあるからみんなやろうZE!」なのかなぁとは思いました。


◎ 四弦のエレジー
素晴らしい。
『四弦のエレジーゲッサン2015年9月号 p423 梅内創太

挑発して奮起を促す。
大切なのは、アリョーシャの怒った表情を出すことと少年漫画的な熱血。
一応ゲッサンは少年誌のカテゴリーですが、いかにも少年漫画な作品は少ないですから貴重。
まぁ絵柄は少年漫画っぽくは無いですが、ミスマッチではないですし、そこに新鮮さはあると思います。
『四弦のエレジーゲッサン2015年9月号 p430 梅内創太

意外性を出すパターンではあるのですが、これもいいですねぇ。
リンドバーグゲッサン2012年5月号 p235 アントンシク

以前『リンドバーグ』でもこういうシーンがありました。
何も言わなければ一つ(もしくは一人)しかないと読者は思い込む訳で、
そこに意外性を出せる選択肢があるんですよね。


そして、アドバイスってのは実際それをやってみせられる人がした方がいいのですけど、
(そういう意味ではこのブログの意見を参考にするのは危険です)
フォーレも視える設定にして、どう修正すればいいのかを漫画の演出としても見せている。
漫画の設定をどう演出として出していくかがきちんと考えられているフシがあります。
きちんと考えられていれば、ご都合主義的な演出には決してならないんですよね。


◎ アサギロ
芹沢無双たまらんっす。


◎ 味噌汁でカンパイ!
いやー素晴らしい。
『味噌汁にカンパイ!』 ゲッサン2015年9月号 p480 笹乃さい

この意外性は試したくなるなぁw
正直言って全く信じられんのですが、理屈としては確かに合理的。
焼きたて!!ジャぱん』 1巻 橋口たかし

昔『焼きたて!!ジャぱん』の1話目でこういう話がありましたが、
マッチしないものでも仲介する食材があれば割とマッチしてくるんですよねぇ。
萌え要素はきちんと抑えつつ、テーマも作品にマッチしていて、
ホント短期連載で終わらせるには勿体ない作品だなーと当時は思ってました。
まさかそれをブログに書くまで4ヶ月も経つとは思ってませんでしたがね...


◎ あやしや
物語の核心に近づいてきてますなー。先が読めない面白さがきっちりあります。


○ 第13保健室
ちと甘め。
ようやくキャラの魅力を引き出せる構造にはなってきてると思います。
まぁ地味ですけど、派手さを求める作品でも無いですし、地味に続ければって感じでしょう。


○ 嘘つきは殿様のはじまり
ちと甘め。
売れる方向には向いてないのが気がかりではありますけど、
おしんと小太郎の意図が明確に描かれていて、面白くなってきてるとは思います。


◎ 忍者シノブさんの純情
かなり甘めですが。
やっぱカップリングで話を進めるとキャラも立ちますし、話も転がるよなーと改めて。
ちょっとずつ意図が違ってたり、兄弟姉妹でちょっとずつ性格が違ってたりも味があって。


○ 終末風紀委員会
最後はきっちり締めてくれました。『Gガンダム』のパロディも面白かったです。
全体的にみても○。
見栄えは最初から良かったものの、たまに首が伸びたり顎が尖ったりと
ちょくちょくバランスが崩れるのが絵の課題。
文房具を武器にするという設定自体は良かったのですが、演出に若干の課題アリといった所でしょうか。
初連載でこれだけ出来れば上出来だと思います。
キャラにファンをどう付けるか?という前提でやればもう少しウケも良くなるんじゃないかなぁ。
単純に女性キャラ増やすのもひとつの手。
何にせよ、ゲッサンデビュー組の中では次回作が最も期待できそうな作家さんだと思います。


◎ ちろり
このシリーズ、率直に言ってアレの影響でしょうねぇw


◎ 吾輩の部屋である
いやー素直に面白い。
地味に前の話だったり昔の話だったりを引きずってる辺りも地味にいいです。


錦田警部はどろぼうがお好き
ちと厳しめ。
小芝居まではまぁまぁだったものの、オチの弱さはも少し何とかならんかったもんか。


がんばれミヨちゃん (読切) きゅっきゅぽん
『がんばれミヨちゃん』 ゲッサン2015年9月号 p760 きゅっきゅぽん

個人的には内容がよく分からないところがきゅっきゅぽん先生の魅力だったので、
今回のように話が分かり易いのはどう評価していいのか悩みますw
内容的には頑張っても中々成果が出ない人がいかにも描きそうな作品だなぁとしか正直言えませんw


◎ LES MISERABLES


◎ ツール・ド・本屋さん
『ツール・ド・本屋さん』 ゲッサン2015年9月号 p835 横山裕二

こういう出来事が起こると、それまで何かあったら無理矢理横山先生を引き連れて行ったのが、
会える機会を頑張って作ろうとしてたかのようにも思われますなぁ。
実際は単なる便利使いしてただけなんでしょうけども。
この漫画の一番の良さは登場人物のキャラクター...特に市原編集長、島本先生だっただけに、
この先どうなるかが『信長協奏曲』の次に心配です。
少なくとも鳥光編集長にその替りを期待するのも酷なので、
☆野さんや担当のB川さんが、それまでとはまた違った形でって事にはなるんでしょうけども。

おもにおっと。 (読切)

★★★★★
ちと甘めですが。
去年月刊スピリッツに掲載された『おもにおっと』の続編。
...なんですが、何故か山崎先生が原作に回り、作画が岡村アユム先生に。

まずは絵。料理は別格にせよ、その他の背景も山崎先生らしくきっちりしているのですが、
キャラ絵はまだこなれた感じがない印象を受けます。
おもにおっと

以前の読切ではこう書いたんですが、
『おもにおっと』 月刊スピリッツ 2014年12月号 p563 山崎智

『おもにおっと。』 月刊スピリッツ2015年12月号 p589 原作:山崎智史 作画:岡村アユム

うーん、正直こなれた感が無いという点では大差無いような気が...
個人的には山崎先生の方が上手いように見えますし。
何か別の事情でもあるんでしょうか?


『おもにおっと。』 月刊スピリッツ2015年12月号 p596 原作:山崎智史 作画:岡村アユム

内容的には独り言から小芝居に変わってさらに良くなっていると思います。
まぁ個人的な好みにより近くなっただけかもしれませんけどもw


ただ、『だがしかし』『お酒は夫婦になってから』『味噌汁にカンパイ!』辺りと比べちゃうと
明らかに劣るのも事実で。

 そして消費者視点だと、選択肢が増えれば一作品あたりに選別する時間は反比例で減ります。その結果、キャラの魅力を感じる前にキャラの記号で、ストーリーの魅力を感じる前に設定やシチュエーションでふるい分ける。この傾向が顕著なのがエロ漫画で、一部の人気作家以外ほぼ読切なのは昔からですが、エロシーンをより早く出す傾向にありますし、1ページ目にヒロインが登場しない作品はほぼありません。
(中略)
 現在サンデー唯一の希望といえる『だがしかし』は時代に適応した作品と言えるでしょう。インパクトのあるキャラ、ポーズ、シチュエーション等、「画像ひとつで良さが伝わる」ことはネットでの拡散にも好影響をもたらします。
『サンデーラブコメを語る本』 p14-15 GRGR

この切り口で漫画を読み直すと、キャラ描写が正直物足らないんですよね。
もちろん少年誌と青年誌では事情が異なるかもしれませんが、
お酒は夫婦になってから』が1週間も経たずに重版決定した辺りからして、
それほど大差は無いとは思ってます。
お酒は夫婦になってから』 第1話 p6 (1巻p8) クリスタルな洋介

画像ひとつでその作品やキャラの魅力が伝わる。
記号化されたキャラならそこまで拘る必要無いのかもしれませんが、
(ちーちゃんは「ツンデレ」の記号はあります)
こういった場面が作れる内容なのにも関わらず、あまり効果的じゃないんですよねぇ。


『おもにおっと。』 月刊スピリッツ2015年12月号 p600 原作:山崎智史 作画:岡村アユム

1話目だとこのシーンって事になるんでしょうけど、
『味噌汁にカンパイ!』 ゲッサン2015年7月号 p501 笹乃さい

『味噌汁にカンパイ!』のこのシーンと比べると、キャラの魅力を引き出せているか?
と考えるなら微妙でしょう。
より嫁さんの視点に近い方が臨場感が出るでしょうし、
その後の寝言つぶやくシーンも例えば頬をつっつくとか、
何かしらの仕草を入れる余地はあるでしょう。
その前のシーンも、嫁さんが仕事で疲れたことを描写していれば、
よりこのシーンで安らぎが伝わったと思います。
個人的には寝顔を見せるよりは、真剣に料理をしているシーンにして、
手さばきなどでダンナの格好良さを引き出した方が、読者へのフックになったと考えます。
「職場ではイロイロ言われたけど、家に帰ったら格好いいダンナさんが待っている。
 こんなに萌えることはない」
ってのがこの漫画の女性読者に対する最大のアピールポイントだと思うんですけども。


そもそも、2話でダンナがキリリとしてるシーンって、
『おもにおっと。』 月刊スピリッツ2015年12月号 p600 原作:山崎智史 作画:岡村アユム

1.2話目共に一コマしか無いんですよね。正直勿体無い。


あと、2話目に関して。
『おもにおっと。』 月刊スピリッツ2015年12月号 p601 原作:山崎智史 作画:岡村アユム

例えば買い物行くのはストレス解消の為だとして、実はダンナの方がストレスが溜まっていた。
ヨメはそれに気づいてたのでダンナを連れ出していた、といったシナリオなら、
ひとつほっこりする場面が作れたと思います。
前の読切でも指摘しましたが、夫婦が上手く行ってる様を描くなら、
相性の良さを描くのがベストでしょう。その辺りの気配りが足らないように思います。


何にせよ、コメディ部分は前作同様に連載取れるポテンシャルがあると感じているので、後は
キャラの魅力をどう引き出すか。
それを1枚の絵でどう表現するか。
課題はここだと思います。

ゲッサンmini プラス5 (ゲッサン201508別冊付録)

ゲッサンmini プラス5 (ゲッサン201508別冊付録) p1

工藤舞先生の表紙でした。
元々見栄えは悪くないのですが、カラーも良いですね。
1匹くらい猫の仕草に動きが欲しかったような気はします。


からかい上手の高木さん
いやー、相変わらず素晴らしい。
『キョーコ』同様、「普段とは違った表情を見せよう」がコンセプト?
からかい上手の高木さんゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p8 山本崇一朗

『キョーコ』とは違って非現実的な設定は使えないので、
余裕がない時というシチュエーションをトリガーにして、素直さを出したのでしょう。
後はオチの前振りをアバンに持ってくるだけ。
構造自体はシンプルですが、キャラの魅力があればこれだけでむしろ十分なんですよねぇ。


レゾンデートルの矛先 工藤舞
★★★☆☆
個人的に『とりかえばや』等の男女入れ替えモノはどうしても苦手ですが、
それを差っ引いても今ひとつ。
男装キャラが女性的な思考をするのは女流作家だから無意識にやったのかもしれませんが、
『レゾンデートルの矛先』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p36 工藤舞

女装キャラが男性らしさを垣間見せるシーンがここくらいなのは正直勿体無い。
(時計が男モノ)
女装キャラの魅力がどう出るかは正直実感出来ないんで分かりませんが、
少なくともボーイッシュな女の子の場合は、男らしさを見せつつも
ふとした瞬間に女性らしさが出る所がギャップとして際立つ良さがあると考えます。
というか、そこを描写しないならこの手の作品描く意味が無いとさえ思います。

文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女

文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女

別にこの本じゃなくてもいいですが、男女の違いをまず知識として仕入れ、
そこからどういう風にすればキャラの魅力に繋がるかを考える必要があると思われます。


ストーリー的にも、共感は描けているものの、
伏線や意外性に乏しいといった、女流作家にありがちな範囲で収まっているのが残念です。


にじいろ食堂 かとそん
★★★☆☆
相変わらず見栄えの良さは本誌連載陣と比較して遜色ないのですが、
『にじいろ食堂』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p55 かとそん

12pとは言え、ストーリー的には『レゾンデートルの矛先』と
同じ問題を抱えていると見ます。
無理に意外性出そうとすると苦しいかもしれませんが、一捻りする余裕はあるはず。


はぐれの森のバニーちゃん 井上まい
★★★☆☆
明らかに悪い点が無いにも関わらず全体として見ると面白いという所まで行かないんで、
正直コメントするのが難しい作品ですw
『はぐれの森のバニーちゃん』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p85 井上まい

要素だけ見ると、誤解を基にしたコメディあり、きちんとテーマあり、キャラの魅力ありと
しっかり揃ってはいるのですが、
生温い仕上げですし、それが味になっているとも言い難いんじゃないかと。


新説☆日本むかし話 小林安曇
★★★☆☆
ちと甘め。
『新説☆日本むかし話』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p103 小林安曇

「ネタが無い時には昔話」というセオリーがありますが、
正直そんな苦しい時のネタ載せるくらいなら他の作品載せて欲しいですw
微妙な大喜利4本立てではねぇ...


山村君の夢 打江広祐
★★★★☆
ちと辛め。
前2作が猟奇的な作品だったので、いつ殺人事件が起こるのかと戦々恐々としてたら
そんな事は全く無く。
『山村君の夢』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p122 打江広祐

その代わり、キャラが特異なところと意外性があった点は前2作と共通。
違った性質を持つ異常なキャラがかけ合うところに面白味を出せれば、
もう一つレベルアップ出来るような気がします。
それが萌えとまではいかないまでも、キャラにファンが付くようであれば人気も出るのでしょうが。


ジョゴスとあそぼう 美里あづさ
★★★★☆
ちと甘め。
『ジョゴスとあそぼう』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p147 美里あづさ

変身能力をリアル/デフォルメ 両方の味で出せてたり、
いちいち仕草が可愛かったりと、ライトに楽しめます。
セカイを救う必要はありませんが、何かしら設定面で後押しできれば
短期連載くらいなら可能なキャラだとは思います。
可愛らしさを協調するためにも大人びたキャラや老人キャラを出して、
より可愛らしさを強調できるようにする必要はありそうです。


名画はそれを忘れてない 村松まつり
★★★☆☆

若:こっからが迷走ですよね。そっからは自分の読みたい漫画とか、自分の救いになるような漫画しか描かなかったんで、少年誌とかけ離れた感じになってましたね。
若木先生と好き過ぎて語る何か』(同人誌) p28 発行:もう、いーかげんなサークル

若木民喜先生がインタビュー本でこう仰られてました。
『名画はそれを忘れてない』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p154 村松まつり

作者が一番強く願っているのがそこになるので、
どうしても漫画で描きたい、共感して欲しいって事にもなるのでしょう。
mini+3で掲載された『ゆるいのといっしょ』も同じ傾向だったので、ちょっと心配。
『魔女はホウキで空を飛ぶ』 『STUDIO MEN』(同人誌)収録 p34 マツセダイチ

それが例えば富士昴先生やマツセ先生の同人誌のように、
きちんと作品に落とし込められてたら問題ないんですけど。
(そもそも同人誌は「読者が読みたくなる作品描く」という制約から外れてもいいのですが)

若:悩みがある誰かがいて、それをもう一人が慰めてってね。これは今でもみんな描くと思いますよ。同じような状況の人がいたら、何か答えが無いとダメだと思っちゃうんですよね。ストーリー作りたがるんですよ。
b:なるほど。
若:ストーリーなんてホントは要らないんですよ。新人なんて、何かしらマックスの瞬間があればいいんですよ。だってね、最初の『光陽高校合戦絵巻』(若木先生の新コミ入選作品)なんてストーリーは無きにしも非ずだったですし。
(中略)
勢いだけあって、ラストは急にね、引っ越してオチ。
(爆笑)
若:最後の1枚で突然終わっちゃうって話で。あれでいいんですよ。
も:内容は無いけど面白い。
若木先生と好き過ぎて語る何か』(同人誌) p28-29 発行:もう、いーかげんなサークル

まずはマックスの瞬間を出せるものは何か、長所は何かを模索する段階だと思うので、
32pやるよりは8p,12pくらいに自分の力をどれだけ注ぎ込めるかを試した方がいいのかもしれません。


起きて下さい森野さん 神奈
★★★★☆
そして、村松先生が試した方がいいと思う作品が正にコレ。
『起きて下さい森野さん』 ゲッサンminiプラス5(ゲッサン201508別冊付録) p184 神奈

ストーリーが無きにしも非ず、という訳ではありませんが、
一つのシチュエーションに限定し、きちんとキャラの魅力を引き出せていると思います。
線が太い所も味わいがあっていいんじゃないでしょうか。
B6小版になると若干描き込み過多になっているという事も分かったでしょうし、
これだけ描けるんなら次は32pで描いて欲しいですね。

ゲッサン201508

もう10月号が出てるのに今更8月号の記事を書くという体たらく。
サンデーSに至っては4月号で止まっているという...
何とか9月中にはある程度巻き返したいのですが、さてどうなることやら。
下書きの段階でこう書いてたんですけど、この記事書き上げたのが月末でしたとさ。

ゲッサン 2015年 08 月号 [雑誌]

ゲッサン 2015年 08 月号 [雑誌]

アントンシク先生の表紙でした。やっぱ絵の見栄えしますねぇ。
デザインもウエスタンな雰囲気を出しつつ、
文字を透過させて情報量を増やしつつ背景の邪魔をしない工夫が。


アイドルマスター ミリオンライブ
相変わらずソツがないなーという感想以外の言葉が出ませんw
どうソツがないかは一応書けるのですが、一度そのチャンスを逃したので、
その辺りはまたいずれ。


◎ ひとりぼっちの地球侵略
この希がいいですねぇ。
『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年8月号 p47 小川麻衣子

先月の記事でも書きましたが、やはり間接的に描写した方が味が出ます。
もちろん直接的に表現してはいけないという訳ではないですが、
どれだけ楽しいか、どのように楽しいかを表現する余地は考える必要があると思います。
このシーンだと、修学旅行が楽しみ過ぎてテンション上がって
まだ京都に着いてないのにも関わらず、思わず買い物をしてしまう。
単純に楽しいと言わせるのとは違って、コメディにも繋がります。


『ひとりぼっちの地球侵略』 ゲッサン2015年8月号 p74 小川麻衣子

じゃぁこのシーンで「楽しい」と言わせてるのは何やねんという話になるのですが。
新しい街やモノを見て触って楽しんでた希が、岬一と話している時にある事に気づく。
その感情を表情と「街の外はとても広いんだねぇ…」というセリフで表現。
要するに寂寥感だと私は考えているのですけど、それを「楽しい」と言わせてながら描写する。
この辺りの心理描写は素晴らしいですね。
まぁ少女漫画とかなら当たり前のようにやってるのかもしれませんが...


× ガンプラ戦記 ジャブローズスカイ
前回同様酷い内容ですが、それでも前回に比べればプラモデル作ってるシーンは多少マシに。
一応表情は出してますし、説明も分かりやすくはなってます。
MSも格納してる所は棒立ちで仕方ないですし、それ以外のシーンでは一応ポーズは取ってます。
これでもう少し動きがあれば良いのですがね...
ガンプラ戦記 ジャブローズスカイ』 ゲッサン2015年8月号 p99 原作:ゆきもり 作画:ロドリゲス井之介

今回唯一面白いと思ったのはRGM-79ジムがスプレーガンではなく、
ガンダムと同じビームライフルを装備しているところ。

例えば、公式はこれこれこういう設定があるけど、ここの部分が空白なので、
そこをどう埋めていくかとかあれば、まだ1st世代なら取っ掛かりがあるのですけども。
ゲッサン201507

前回こう批判しましたけど、これに近い形ではないでしょうか。


で、前回批判しなかったドラマ部分ですが、こちらはサッパリ変わらず。
脳内設定垂れ流してるだけのシーンでどう面白がれと?
キャラの魅力をどう引き出すかや、読者とどう駆け引きをするかといった視点があるようには
到底感じられません。
前作でもこんな感じだったんですかね?


○ 第13保健室
かなり甘め。
前作『エルパラ』にも共通することですけど、
あおやぎ先生の漫画はキャラの掘り下げをあまりしないからイマイチ人気が出ないのだと考えています。
今回ようやくそれを解消する兆しが。
『第13保健室』 ゲッサン2015年8月号 p124 あおやぎ孝夫

ひょっとしたら単なるギャップで出してきたのかも知れません。
私の見方としては、強い記号が付く前の、昔のモコちーを出すことによって、
登場時には記号の強さで注意を惹きつけ、今回で本来勝負すべきキャラの魅力へと繋げる...
若木先生が言うところの「記号からキャラへ」がきっちり出来ていたシーンだと思います。



◎ 味噌汁にカンパイ!
『味噌汁にカンパイ!』 ゲッサン2015年8月号 p184 笹乃さい

お前は味見してないのかとw
読者に突っ込む余地を残すタイプのボケは個人的に大好きですねぇ。
『味噌汁にカンパイ!』 ゲッサン2015年8月号 p201 笹乃さい

決して顆粒ダシを否定する訳でもなく、手間ひまかけることを贅沢だと言う。
そして、手間ひまかけることを八重は「お母さんっぽい」とポジティブに受け止める。
この調子だとかつお節削ったり、味噌自体を作ったりするようになるんでしょうかね?
さすがに『鉄腕ダッシュ』のように小麦から作るって事はしないでしょうけどもw



GRGR 『味噌汁にカンパイ』は短期連載である意味が分からんな。準備期間入れるなりした方が良いのかもしれんけど、そのまま連載した方が良くね?何ページが最適かは考える必要ありそう。 link
早売りの段階でこうつぶやいたように、短期連載にするには勿体無いクオリティ。 今回若干中盤に間延びしてる感があったので、ページ数に関しては再検討する必要があるかもしれません。 まぁ今回だけかもしれませんし、作家の努力で何とかできる範囲ではありますけど。 味噌汁だけでは範囲が狭いと思われる方もいるかもしれませんが、 寿司漫画やラーメン漫画など、一種類の食べ物を扱った漫画なんて山ほどある訳で、 個人的には問題ないと考えてます。 アオイホノオ アオイホノオゲッサン2015年8月号 p234-235 島本和彦 多少の脚色はあるのかも知れませんが、ヒデー話だw 他の担当さんと違ってこの横山さんは仮名らしいですけど、だから好き勝手にやれるのかも。 アオイホノオゲッサン2015年6月号 p357 島本和彦 2話前がコレですからねwww ◎ ちろり 『ちろり』 ゲッサン2015年8月号 p252 小山愛子 個人的には「もう同じ心には戻れないみたい。」と「時間ってものすごい力だわ。」の セリフの間がもう少し欲しかったように思います。 多少セリフ変える必要はありますが、何故そうなのか想像する余地を残して欲しかったと。 『ちろり』 ゲッサン2015年8月号 p255 小山愛子 例えばこのシーンの後に持ってくるとか。 で、今回は過去のシーンと関連があるところがいいなぁと。 ひとつは上のセリフにもあるように、 『ちろり』 ゲッサン2015年8月号 p244 小山愛子 ちろりがコーヒーを淹れること。 『ちろり』 ゲッサン2013年5月号 p466 小山愛子 以前はコレですからねw ちろりも成長したって事です。 『ちろり』 ゲッサン2015年6月号 p559 小山愛子 もうひとつは先々月のこのシーン。 こういう風に、1話完結で初見でも何の問題もなく読めるにも関わらず、 今までずっと読んでる人にはまた違った視点で読める、ってのは良い漫画だなぁと思います。 ◎ アサギロ 『アサギロ』 ゲッサン2015年8月号 p269 ヒラマツ・ミノル どう見ても不逞浪士です本当にありがとうございました。 新選組も妙に神格化されてますが、実際はこういうゴロツキだったと思うんですよね。 芹沢のこのコマだけ太っているように、照れてるような表情のように見えるところだけはちょっと残念。 ◎ だって小山くんが艶い キャラ漫画必須の水着回。 日田さんがおかしな行動をさも当然の事のようにやる様は ツッコミどころがあって読んでて気持ちいいです。 『だって小山くんが艶い』 ゲッサン2015年8月号 p297 島粼結太 キャラの魅力をどう表現するかが一番の鍵な漫画だけに、 そのキャラへ関心のあるキャラがいると、魅力が引き出し易くなるなぁと改めて。 それにしても小山くん意外と神経図太いなw ふだつきのキョーコちゃん これはあくまで私の想像ですけど、ツンデレは好きな相手が本当に嫌っていることを 「これはきっと照れ隠しに違いない」と脳内補完して精神安定を図ったのが発端だと考えてます。 ツンデレという言葉が無い時代には「天邪鬼」という言葉で代用されていました。 『GS美神』の美神令子なんかはそうですね。 でまぁツンデレの最大の魅力ってのはギャップって事になると思いますが、 そればっかりやってるとやがて新鮮味が失われてきます。 ふだつきのキョーコちゃんゲッサン2015年8月号 p340 山本崇一朗 そこで今回のような新たなギャップは新たな魅力の発掘へと繋がります。 逆に言えばしっかりツンデレ描写を重ねているからこそ効果的になる訳ですけども。 ただまーこういう風に新鮮味が失われたら新たな切り口を...ってなパターンは、 後1〜2回くらいは有効でしょうけど、いずれ手詰まりになるので注意が必要だと思います。 基本的にはキャラの関係性を絡めるのがセオリーじゃないかなぁ。 ◎ あやしや 一部例外を除いて共産主義国家が崩壊してからは、 純粋な巨悪はリアリティに欠ける時代になってると考えています。 もちろんいかにも少年漫画的な勧善懲悪モノにも味がありますし、 子供にとってはその方が分かり易いのは確かなのですけども。 『あやしや』 ゲッサン2015年8月号 p376 坂ノ睦 やはり単純な善悪より、視点を変えると見え方がガラリと変わった方が、 読者との駆け引きにもなりますし、内容的な深みが出てきますね。 よしとおさま 創刊号からの連載でしたが、ついに大団円。 個人的な琴線に触れることが全くなく、ほぼ全スルーだったのですけど、 BL需要をがっちり掴んでゲッサン創生期から貢献し続けた漫画だったと思います。 次回作も変に男性読者を意識しない漫画を描いた方が評価されるのかもしれません。 ◎ ハレルヤ オーバードライブ! 麗ルート決着回。 『ハレルヤ オーバードライブ!』 ゲッサン2015年8月号 p430 高田康太郎

あるこ:『ニセコイ』も『いちご100%』も「誰を」選ぶかが最大の問題なんですよね。サンデーはその「誰か」を最初に出しちゃう。答えは最初にあるんですよね
『サンデーラブコメを語る本』(同人誌) p17

私も寄稿したこの同人誌で、あるこさんがこういう発言をしていてなるほどなーと思ったんですが、
だからこそ覚悟完了できるってのはあるのかもしれません。
まぁこの座談会でるりさんが「『絶チル』は薫ルートに入ったから読むの辞めた」という趣旨を語ってたので、
誰にも当て嵌まるものではないでしょうけど。
何にせよ、後味悪くしない形で決着しようとするとこうにしかならんでしょうなぁ。


オレと彼女と彼女のド変態オヤジとその妻清美物語(読切) モリタイシ
『オレと彼女と彼女のド変態オヤジとその妻清美物語』 ゲッサン2015年8月号 p460 モリタイシ

えーっと...気持ち悪いw
『サケマン』の3杯目でモリ先生自身がこの読切について語ってます。
三杯目『今一番はまっている漫画』
(16:30辺りから)
少年誌ではやっちゃいけない感じではありますが、
作者のカルマをこの読切で出しておいて、連載時はちゃんとしようという意図なんでしょう。
まー個人的にはビッチなキャラも苦手なんですけど、この辺りは好みですし。


恋情デスペラード
今まではキャラ使い捨て状態でしたが、3話目にして因縁のあるキャラが。
銭形警部ポジション?
内容的には善次郎のヨメのところで意外性はあったものの、それ以外はクラシカルで、
どうも読んでてワクワクしないんですよねぇ。
今一番売れてる(広い意味での)股旅物と言えば『ONE PIECE』でしょうけど、
主要キャラが一人か二人だと今のご時世中々厳しいんじゃないかなぁ。
『小山くん』のようにショートギャグなら問題ないんでしょうけど。


○ 忍者シノブさんの純情
個人的な漫画のツボはロジック、テーマ、演出のどれかなんですけど、
個人的に『シノブさん』がもひとつだったのはこの辺りが足りなかったんですよね。
ゆずチリ先生の読切はロジックが素晴らしかったんですけども。
まぁぶっちゃけ人気出るか出ないかはキャラの魅力次第だとは思います。
『忍者シノブさんの純情』 ゲッサン2015年8月号 p527 ゆずチリ

今回のテーマ的には「変わるもの」と「変わらないもの」という感じでしょうか。
そこに「サウタージ」(≒郷愁)が混じると。
最近はそこまで絶対的ではありませんが、キャラの成長...
特に主人公の成長なくして物語は成り立ちません。そこを幼馴染の視点から描く。
特段変わったことをしている訳ではありませんが、
テーマがキャラの魅力を引き出す役割を果たしているのはいいですねぇ。


キャラの成長を見せるには「変わらないもの」でキャラの同一性を担保しつつ、
「変わるもの」で変化を付ければ問題ないのですが、
個人的にはその先にもうひとつあると考えています。

日本文化というのはどこかに原点や祖型があるわけではなく、「日本文化とは何か」というエンドレスの問いのかたちでしか存在しません。
(中略)
制度や文物そのものに意味があるのではなくて、ある制度や文物が別のより新しいものに取って代わられるときの変化の仕方に意味がある。より正確に言えば、変化の仕方が変化しないというところに意味がある。
(原文傍点部分を太字に変換)
『日本辺境論』 p25-26 内田樹 新潮新書

日本辺境論 (新潮新書)

日本辺境論 (新潮新書)

この文章自体は日本文化論について書かれたものですが、個々にも当て嵌まるのではないでしょうか。
こういうアプローチでキャラを表現できれば、単なる記号ではないキャラが出来る...かもしれません。


◎ VANILLA FICTION
この漫画のように、キャラの役割をきちんと考えている漫画は読んでて気持ちがいいです。
『VANILLA FICTION』 ゲッサン2015年8月号 p556 大須賀めぐみ

特にこのシーンのように、誰かの立場を別の誰かが代わる時にどう振る舞うか。
ドラクエ2で例えると、攻撃役の主人公(ローレシアの王子)が死んだ時や、
回復役のムーンブルクの王女が死んだ時に、サマルトリアの王子がどう振る舞うか。
まぁドラクエ2だと攻撃するかベホイミ唱えるかという風にどちらかの劣化でしかないのですが、
漫画だと居なくなったキャラとは別のアプローチが取れるんですよね。
それによってどういうキャラかを描写でき、味も出る。
以前『神セカ』でバディがLCからハクアに変わったとき、そういう演出を期待してたものの、
残念ながらあまりそういうのは出て来なかったですねぇ...
桂馬がゲームしてないってのに気付いてない演出だけで。


◎ 錦田警部はどろぼうがお好き
『錦田警部はどろぼうがお好き』 ゲッサン2015年8月号 p590 かんばまゆこ

どこまでボケるんだろうと思いながら読んでたら、オチ直前まで引っ張るんだもんなぁw
評価◎にしたのは個人的に『オニデレ』や『M・S DOLLS』のような小芝居が大好きだからですが何か?


嘘つきは殿様のはじまり
ちゃんとした熱血シーンになっているとは思うのですが、
個人的には師匠が自白する根拠が無い点がどうも引っかかって感情移入できません。


◎ 吾輩の部屋である
「哲学系部屋コメディ」なんてキャッチコピー付いてますけど、
哲学系と言われるとちょっともにょるw
別に哲学入れろという訳ではなくて、話が段々ズレていくところと、
オチでは最初にちゃんと戻るところが面白いんですよね。
『吾輩の部屋である』 ゲッサン2015年8月号 p656 田岡りき

あと、この漫画はアオリもウリの一つなんで、単行本でも残してくれないかなぁ。


◎ LES MISERABLES
まー日本人的にはエポニーヌですわなー。


○ ぼくらのカプトン
3本ともまーまー。
名も無き少年よ。本田選手は右足得意じゃないぞw


放課後さいころ倶楽部
ちと甘め。
放課後さいころ倶楽部ゲッサン2015年8月号 p782 中道裕大

ベースはキャラ漫画なので、カップリングやコスプレでキャラの魅力を出すといった
今回のような話は絶対必要になってきます。
ただまー個人的な漫画のツボはロジック、テーマ、演出のどれかなんで、
そういう視点だと物足りない回が出てくるのは仕方ないかなと。


今回のゲームは『レディース&ジェントルメン』

レディース&ジェントルメン (Ladies & Gentlemen) ボードゲーム

レディース&ジェントルメン (Ladies & Gentlemen) ボードゲーム

作者はロイック・ラミィ (Loïc Lamy)
基本的には同数の男女がプレイするというハードルの高さが災いしてか、
割とマイナーな作品です。箱を見た事はあるのですが。
ただこの作者の他の作品と言っても、同じくマイナーな『デッドウッド(Deadwood)』くらいですけども...
男性側はアクションゲーム、女性側はセットコレクションというゲームシステムはユニークです。
まぁやった事ないんで言えることはこれくらいですがねw
(以前紹介したゲームをやってたかと言われるとアレですが)


○ 月曜日は2限から
『月曜日は2限から』 ゲッサン2015年8月号 p784 斉藤ゆう

昔こういう性格のキャラが出てきた漫画あったような気がするなーと思ってたんですが、
ちよパパだと今気づいた。

Tribute to あずまんが大王

Tribute to あずまんが大王


◎ 四弦のエレジー
『四弦のエレジーゲッサン2015年8月号 p826 梅内創太

顔、近けぇよw BL的にもオイシイシーンですが、
セリフやモノローグ抜きで、絵だけでキャラを描写出来てるのは良い傾向。
パリの美しさと不潔さを描写しているのも、時代感を出せてていいですね。
ちなみにハイヒールは、道に落ちてる糞尿を踏まないようにと17C頃に開発された、という歴史があります。


○ 終末風紀委員会
なるほど暫く真面目な展開をやってたのはこの前振りか...
姿形はいいとして、もうちょっと動きでゲスさを出しても良かった気はします。
『H×H』ヒソカのアレでも大丈夫なんですし。


○ 聖船のラー
不覚にも4本目4コマ目には笑ってしまったw


◎ 信長交響曲
実は光秀が信長だった!
という本来なら緊迫感が出てくる展開なのにも関わらず、
サブローが絡むとgdgdになるという... 味だなぁ。


◎ ツール・ド・本屋さん
『ツール・ド・本屋さん』 ゲッサン2015年8月号 p952 横山裕二

☆野さんとは2013年のマチ★アソビで1時間くらい喋ってたんですが、
本人はもうちょっと格好良い人ですw
私と喋ってた時はかなり真面目に話してたんですけど、その辺りは打ち解けてるか否かなんでしょう。


でまぁ横山先生が変わりたいって話で、『シノブさん』と内容が若干被ってますけど、
自分の嫌なところを変えたいと思っても、割と無駄に終わるんじゃないかなw
考え方としては、どう対応するか...選択の幅を広げるイメージの方が良いんじゃないかと。
いずれ書くと言ってまだ書けてませんが、デジタルな思考だと
「どれを選択するか」「どれだけ選択肢があるか」「どこに選択肢があるか」
この3つが「考える」ってことですし。

(週刊少年サンデー)編集長のあいさつ #1

このブログは2009年4月1日からスタートし、
全ての作品ではないとは言えゲッサン創刊号から批評を書き続けているので、
この話題に触れない訳にはいかないでしょう。


というかですね。正直市原さんがサンデーの編集長になったと知った時は
機動警察パトレイバー』 8巻 p186 ゆうきまさみ

こういう心境でしたねw


週刊少年サンデー2015年38号 p497

読者の皆様へ


 いつも少年サンデーを応援していただきありがとうございます。このたび7年ぶりに僕の故郷
である週刊少年サンデーに帰って参りました。そのご挨拶とこれからの少年サンデーの大方針
を読者の皆様にお伝えするためにこのページを割いてもらいました。
 週刊少年サンデーは今後、生え抜きの新人作家さんの育成を絶対的な使命とします。この方
針に反対する行動をとる編集部員は容赦なく少年サンデー編集部から去ってもらいます。「新人作
家」さんとは、一度しかない人生で自らの才能を信じて漫画という正解のない大海原に徒手
拳で挑もうとするとんでもない勇者です。その伴走者たるべき漫画編集者にもとてつもなく強い
責任と覚悟が求められます。その任に耐えられないと僕が判断した編集者はこれからの「チー
ム・サンデー」には必要ありません。そして今年7月の大きなチーム改編で僕の元に集まってくれ
た新生・少年サンデー編集部員は全員、その覚悟を持っているメンバーたちだと信じています。
 その一方で、僕が考える理想の少年サンデーは新人作家さんだけで作れるわけではありま
せん。少年サンデーの歴史を力強く支えてくださった中堅・ベテラン作家さんの力もまた絶
対に必要です。伝統と革新の絶妙なバランスこそが雑誌の「雑」の部分を魅力的に形成する原
動力だと僕は確信しています。
 今秋以降、少年サンデー本誌もサンデー超増刊号も大改革が始まります。多くの連載作品が
誌面を去り、代わりに才能溢れる新人・若手作家さんが次々と誌面を賑わすことになります。半
年後にはさらに改革の速度を上げていきます。読者の皆様におかれましては是非、少年サンデ
ー再建の目撃者になってください。
 この改革の中枢として、新人賞の一次選考・新人作家さんのデビュー読切から大ベテラン作
家さんの新連載企画にいたるまで少年サンデーの「漫画」に関わるすべての意思決定は編集長
である僕がただ一人で行います。僕の独断と偏見と美意識がすべてです。当然これは、今後の
少年サンデーの運命の責任は僕一人が背負うという覚悟の表明でもあります。
 僕は少年時代から生粋のサンデーっ子でした。ジャンプっ子だったこともマガジンっ子だった
ことも一度たりともありません。小学生、中学生、高校生時代、あれほど僕を支えてくれた「週刊
少年サンデー」。今こそ僕は漫画編集者人生のすべてをかけて少年サンデーに恩返ししなけれ
ばなりません。それはまた同時に、少年サンデーの歴史を築いてきた多くの偉大な漫画家さんた
ちといつの時代も少年サンデーを愛してくださる読者の皆さんへの恩返しでもあります。皆様に
おかれましては是非「サンデーっ子仲間」として、これから始まる僕の恩返しの行方にご期待い
ただければ幸いです。


                                     週刊少年サンデー編集長  市原武法


                    新井利幸 村上正直 鈴木  翼 荻野克展 袖崎友和 横山真義
                    板谷真人 和田裕樹 瓜生昭成 大嶋一範 前田一聖 石渡 誠
                    萩原啓佑 杉田千種 塩谷文隆 小倉功雅 山田大樹 安達佑斗
                    町田尚太 原  俊介 森脇健人 吉田有里

「今秋」のルビが「こんあき」になっていたり、
「僕の下」(または「僕の許」)となるべき所が「僕の元」になっているのはご愛嬌。


最近巷の話題になっているこの声明文、
確かに週刊少年サンデーの編集長が声明を出すことは異例中の異例ですが、
世界で5本の指に入る市原ウォッチャー(自称)としては何の不思議もありません。
(少なくとも市原さんに「サイン下さい」なんて言ったのは私以外に2人しかいないはずだw)
何せ、ゲッサン創刊号にも市原さんの声明文が載ってたんですから。


市原さんの経緯等を書いてたのですが、えらい長くなったので後回しにするとして、
今回の声明文の要点としてはこんな所でしょうか。

新人作家の育成に重点を置く
編集者もそれに倣う(反対する人は追放する)
中堅やベテランを駆逐する訳ではない
読者は今後に期待して欲しい

この辺りも市原さんがゲッサンでやってきた事とほぼ同じなので、市原ウォッチャーとしては
特に目新しくもないのですが、
個人的に注目したのは、2013年の編集部と較べると今回の異動で様変わりしている点です。

in
村上正直 スピリッツ副編集長→週刊少年サンデー副編集長
荻野克展 スピリッツ→週刊少年サンデー(デスク?)
大嶋一範 杉田千種 安達佑斗 原俊介 森脇健人 吉田有里


残留
副編集長 新井利幸
デスク 鈴木翼 板谷真人 袖崎友和 和田裕樹
瓜生昭成 横山真義 前田一聖 石渡誠 萩原啓佑 塩谷文隆 小倉功雅 山田大樹 町田尚太


out
鳥光祐 編集長→ゲッサン編集長
則松 副編集長→サンデーGX(?)
坪内崇 副編集長→スピリッツ編集長代理
冠茂 デスク→スピリッツ
out(裏サンデー?)
石橋 梅原 五十嵐 小林翔 鈴木稔
out(異動先不明)
副編集長 熊谷
デスク 近藤 武藤 和田
飯塚

鳥光さんは実質降格。
副編集長4人のうち、1人を除いて異動。さらには4人体制から2人体制に。
このうち坪内さんはこちらも発行部数が減少しているスピリッツへの異動、
さらには編集長代理への昇格なので、恐らくスピリッツの再建を任されたのだと思います。
則松さんは若木先生のインタビューでは「GXの編集長になる予定」という話だったのですが、
8/19日発売のサンデーGXでは編集長が石川さんのままだったので、
恐らく編集長代理か副編集長だと思われます。
本当にGXへ異動したかは確認できてませんが、担当していた『今際の国のアリス』のスピンオフ作品
『今際の路のアリス』がGXで新連載になったので、恐らく間違いないでしょう。
裏サンデー週刊少年サンデーから切り離したと見ていいのでしょうか?
そして、今まで裏サンデーの編集者は週刊少年サンデーとの兼任でしたが、
裏サンデー専属になったと見ていいのでしょうか?


サンデー編集部へ異動した編集者さんのうち、
村上さんはゲッサン創刊時にゲッサン副編集長だった、言わば市原さんの懐刀。
2013年にスピリッツへ異動になってましたが、呼び戻される形に。
荻野さんはかつてヤングサンデーで『アオイホノオ』『おやすみブンブン』等
スピリッツでは『DRAGON JAM』『アリエネ』を立ち上げたり、
佐藤秀峰先生の短編集で名前が上がっているように、かなり有能な編集者さんのようです。


といったように、割と本気で市原さんに託したような人事になっているのではないでしょうか。
というか、編集長が声明文を出すよりもよっぽど異例の人事です。
市原さん自身のサンデー改革の意気込み以前に、上層部が本気でヤマ師に賭けた気概が感じられます。


ちなみに前田(M田)さんはスピリッツで『このSを、見よ!』『うきわ』
等を立ち上げていたようですが、恐らく2014年にサンデーへと異動されたようです。
『姉ログ』担当してますし。


また、ナタリーの記事も注目です。
週刊少年サンデー特集、新編集長・市原武法インタビュー

──市原さんが編集長になったことで、編集の方針としてどういったところに変化が生まれるのでしょうか。


改革の中枢として、新人作家さんの読み切りのネームから連載企画のネームまで、全部僕1人でOKかボツかを決定することにしました。普通マンガ雑誌の編集部には月例賞に送られてきた作品を読む班があって、一次選定もその班が行うんですが、それも全部やめまして。月例賞の選定も含めて、マンガに関わるすべての決定は僕1人だけでやります。


──おお。


今も作家さんたちへの挨拶に回っているところなんですが、「サンデーはどういう基準でマンガを選んでいるのかわからない」という声をよく聞くんです。なので「今後は僕の独断と偏見と美意識で決めます」ということを明確に伝えています。「これからのサンデーの運命に関しては、どんなことが起きようとすべて僕の責任です」と。つまらなくなった場合にも、それは全部僕のせいです、と。


──それって勇気のいる判断だと思うんですが、プレッシャーは感じないんですか?


感じないですね。


──編集長として葛藤したりとか。


葛藤なんて何もないです。つらいとか悲しいなんて気持ちも一切ない。楽しいですよ、毎日。まあ、睡眠時間は厳しいですが(笑)。


──(笑)。実際問題、週刊マンガ誌のすべての企画を1人で目を通すというのは、物理的に可能なんですか?


可能です。それしかやらなければいいんです。なので本来編集長がやるべきさまざまな業務は、心強い味方である副編集長2人に任せています。

以前、2015年7月19日『爆笑問題の日曜サンデー』での発言を聞いて



GRGR 「ウチはもう新人のデビュー読切から、ホントに大物の作家さんの新連載の企画まで、全て僕が独りで決めることに月曜日に決めました。僕独りの美意識で全部決めてやろうと思いました。」おお独裁だ。正直感心はしないけど、再建を任されたからにはこのくらい責任を背負わないとなのかもな。 link
こうつぶやいたのですが、独裁とは全ての決定権をリーダー一人に集約させることです。 今の日本では強いリーダーシップと独裁を混同したり、あえて混同して批判する傾向があるので、 独裁的というイメージが広がることは強いリーダーシップを期待できると思われる面もあるかも知れませんが、 市原さんの場合は誌面に掲載する決定権のみに集中し、 他の権限は副編集長に渡すという、ある意味独裁とは正反対の立場だと言えるのではないでしょうか。 特に雑誌の顔でもある表紙の選定は編集長がやる事が多いと聞いたことがありますが、 市原さん的にはそんなステータスなんぞ要らねーって事なんでしょうw じゃぁ市原さんは何をやりたいのか。

──それでは作家との打ち合わせの段階から、市原さんも関わっているんでしょうか。


ええ、僕はどんなところでも介入します。1人できちんとした打ち合わせをして、きちんと企画したマンガを僕のところに届けられる編集者はうちの編集部にはまだ少ないので、もっと鍛えなきゃいけないと思っていて。なので、打ち合わせだろうが飲み会だろうが、作家さんとのコミュニケーションは自ら取ると決めています。


──作家の数も膨大だと思います。


300人ぐらいですかね。新人さんも含めて、今のサンデーに向けてバリバリやっていただいてる作家さんの数は。その方々のネームや原稿はすべて読ませていただいたので、自分の中にはその300人の戦略図は完全にできあがっています。僕が才能を信じている人たちは無理やりにでも抜擢する、そういうシステムにしようかなと思っていますね。


──大勢の作家と打ち合わせをするというのは、時間も体力も相当消費するのではないのでしょうか。


マンガ家さんと打ち合わせをする時間っていうのは僕にとって快楽なので、それに関してはなんのストレスもないです。サンデーの編集長になってやるべきことというのも明確に持っていましたし。方針については編集部に異動してみて現場を見てから考えようと思っていた部分もありましたが、実際何ひとつ僕の考えていたこととズレがなかったので、あとは実行に移すだけだった。なので就任から1週間くらいで結構な本数の打ち切りを決めました。今は毎日打ち切りを宣告しているような状態です。

「マンガ家さんと打ち合わせをする時間っていうのは僕にとって快楽なので、それに関してはなんのストレスもないです。」
ここで顕著に表れています。
個人的には今回の市原さんの行動が独裁的ではないと分かったので多少和らいだものの、
今までの編集長と仕事内容をガラリと変える事自体は正直感心はしません。
市原さんが編集長であり続けるなら話は別ですが、そういう訳にもいきませんから。
ただ、そうせざるを得ない事情があるのは理解できましたし、支持もします。

1人できちんとした打ち合わせをして、きちんと企画したマンガを僕のところに届けられる編集者はうちの編集部にはまだ少ないので、もっと鍛えなきゃいけないと思っていて。

編集者がきちんと企画を上げられるのにも関わらず、読切や連載決定の権限を独裁的に決めるのは
問題だと考えています。
ただ、編集者の力量が足らないなら話は別で。
作家と同時に編集者も育てる。実際にゲッサンでも新人編集者を3人育ててましたし。
結局のところ、現場に力が足りないからこそ独裁的に行くしかないって事なんでしょう。
そして、市原さんのやりたい事ってのは、上からあれこれ指示するのではなく、
現場で指揮を執ることなのでしょう。
...ますます独裁とはイメージがかけ離れていくんですがw

ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録)

ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p1

麻貴早人先生の表紙でした。気持ち悪い感じが出てていいですね。


ハッピーワールド 麻貴早人
★★★★★
素晴らしい。
ハッピーワールドゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p5 麻貴早人

「死後の世界」が有るか無いかの二択を提示しておいて、
そこから天国の有る無しへと微妙にミスリード
ハッピーワールドゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p28 麻貴早人

そして最後のオチ。何が素晴らしいって、
基本的には読者に期待させておいて、叶えるか、裏切って意外性を出すかの二択になるんですが、
読者に弟が助かるように期待させておいて、望むような展開をしつつも意外性がある
しかも読み返して矛盾が無い。


こういう変化球を毎回投げようとすると苦しくなりますが、
決め球としては効果的。パターンの幅が広がったんじゃないでしょうか。


○ 聖船のラー
本誌掲載分は微妙でしたが、#5.6.8はまーまー。
『聖船のラー』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p5 繭住翔太

#7は全編笑えました。よくこんなん思いつくなぁ...


ドールフレンド 栗田あぐり
★★★☆☆
個人的にマガジンっぽいこの絵柄は好みではないんですが、
客観的に見れば全く問題なく。連載経験あるんで当然と言えば当然なんですけども。
『ドールフレンド』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p73 栗田あぐり

ただ、どーも面白くない。
何故面白くないのかイマイチ確信が持ててないのですが、
意外性の出し方にその一因があるように思います。
カモメが親父を殺したかもしれないとミスリードさせている事自体は問題ないのですが、
葬式まであげた親父が実は生きていた、って所はミスリードでもなんでもないんですよねぇ。
『ドールフレンド』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p48 栗田あぐり

この段階で「お前が望むように尽くしてくれる筈だ」とでも言っておけば、
カモメの言われた事を馬鹿正直にするキャラクターと相まって、
親父の意図をミスリードさせることができ、ひいては意外性にも繋がったんじゃないかと。


ヒロインも若干問題で、
ロボット(もしくはアンドロイド)だからマシンだから主人公の意見を唯々諾々と受け入れるのかと思いきや、
空気を読もうとしたり主人でもない人間の意見を採り入れたりと、どうも人間臭いんですよねぇ。


とは言え、手直しすればマシにはなるでしょうけど、面白い所までは行かないでしょう。
結局のところ読者が「孫と爺さんが仲直りする話」を読みたいのか?
という点に尽きるかもしれません。
爺さんがイケメンでBL展開だったらそこに喰い付く人もいるでしょうけど。


乙女のまにまに地球は回る 井上まい
★★★☆☆
『乙女のまにまに地球は回る』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p89 井上まい

『ハカットロボセ』『こはる日和』とストーリー重視の2作品を出した後は、
前作『エスパー牧』同様の短編。
見事に元の意味で「やおい」ですが、ストーリー書ける人なんでキャラ重視の習作なんでしょうか。
キャラの回し方は割とよく出来てると思います。


探し屋物語 花城黒和
★★★★★
ちと甘め。


入れたいテーマやシチュエーションが山ほどあって、てんこ盛りにしたかの内容。
下手したら20pくらい削ってコレなのかもw
どこを切るか?という判断は作家よりもむしろ編集者にありそうですし、
実験的なことやれるminiだしとりあえず全部載せてみようってのはアリだと思います。
そういう意図があって52pあるのかどうかは知りませんが。
個人的には拳銃を撃つ辺りの8pは削れるかなぁと。


『探し屋物語』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p143 花城黒和

『ドールフレンド』でも似たような面があるんですが、
達成感はキャラの願いがどれだけ切実かを描写し、読者に共感を与えた後でないと
効果的には与えられないと思うんですよね。
『探し屋物語』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p126 花城黒和

どちらの読切も、本当の願いがあると示唆するようなシーンはあるので、
まだいいんですが、『探し屋物語』はコレで本当の願いが何か読み取るのはちょっと無理かなぁ。


花の種はラストの一押しって事なんでしょうけど、死ぬ前に渡しとけよと若干ツッコミたくなりますし、
「自分は変わらないのに周りは何もかも変わってしまって……」と言わせるなら、
最後の思い出のシーンでその辺りを描いて欲しかった。
例えば、当時は花畑のあるビルが近辺で一番高かったとかならば、
時代の移り変わりを描けますし、そこが目印になるから出会う事が必然だった感も出ますし。
この辺りはあまり漫画の面白さには関係ないですけど。


『探し屋物語』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p114 花城黒和

とは言え、キャラの個性と世界観は素晴らしいんで、後もう一押しという感じはします。


畢竟石 彦
★★★★★
『畢竟石』 ゲッサンmini マイナス4 (ゲッサン201507別冊付録) p162 彦

タチキリが微妙に作者の想定と違ってた感じですが、
投稿用のサイズとmini掲載のサイズとは微妙に違いがあるのかなぁ。
それにしてもこの気持ち悪さは素晴らしい。


魂を移転させても身体の調子は変わらない訳で、寿命が延びる訳でも無さそうなのになぁ、
むしろ母親の魂を吸い取って元気な人間に移した方が良くね?とは正直思うのですが、
そういう設定ですからたぶんいいんでしょう。
母親に別の人間の魂入れてもそれは母親なのか?と思うんですけど、
この辺りは主人公の頭が悪いって事で全て解決。
と言うか、母親に蛙の魂入れて後1回しか石使えない、という時点で詰んでますねw
この段階で母親の魂どこ行ったんだろうってのは若干気になりますが。
逆に、蛙って意外と寿命長いんだなぁと。


リアリティのある方向へ行くとたちまちボロが出そうなので、
なるべくファンタジーな方向で頑張った方が良さそうです。
絵柄も気持ち悪くありつつ見やすいので、この個性は大事にして欲しい。

若木先生と好き過ぎて語る何か C88にて頒布

以前にちょこっと書きましたが、若木先生のインタビュー本が出ます。
DHAさんの尽力もあり、無事入稿できました。
若木先生と好き過ぎて語る何か』 表紙/裏表紙 illustrated by b

インタビューのページ数は38pです。
『神のみ』についてはだいたい8pくらいで、『なの菓子』5p『ねじ』5p、
後は若木先生自身の話や漫画の作り方などに触れた内容となっています。
『神のみ』のあの設定について、あのシーンは...といった話も無くは無いですが、
それを目的に買うとがっかりするような内容かもしれません。
個人的にはさすが若木先生が喋ってるだけあって、
面白いインタビューになっているとは思うのですが。
と言うか、いくつかの話題は『進め!漫画道!!』と被ってるしw


2日目西つ21b『あてずっぽう』にて委託、価格は500円を予定しています。
部数は100のつもりだったんですが、150に増やしました。
余りはとらのあなさんに委託予定です。
※追記
通販の予約開始しました。



あと、もう一冊私が関わった同人誌が出ます。
あるこさん編集、同じく2日目西つ21b『あてずっぽう』にて頒布される
『サンデーラブコメを語る本』 表紙

『サンデーラブコメを語る本』
他の執筆者がどのキャラが可愛いかを熱く語ってる中、
一人空気読まずにほぼキャラには触れない内容を4p寄稿しています。
こちらの価格は300円です。


ついでと言うのも何ですが、
illustrated by あるこ

あるこさんがもう一冊、アイマス本を出すらしいのでそちらもよろしくお願いします。