『SHOGUN 将軍』を見ました!

評価:まだ終わっていないので未評価
(僕的主観:★★★★☆4つ半)

ジェームズ・クラヴェルの1975年の小説『将軍』(Shōgun)を原作に1980年にNBCで製作された大ヒットドラマのリメイク作品。2024/2/24に公開された2話を見ました。ずっと見たいと思っていたのですが、このレベルでのリメイク。うれしい。Twitterで絶賛の評価だったので、おもわず優先順位を繰り上げてみてしまった。なるべく全て完結してから一気に見たかったけど、我慢できませんでした。

🔳ヨーロッパ人から見た異世界としての日本を見るセンスオブワンダー

見どころは、やはり、徳川家康に仕えた実在のイングランド人、三浦按針にインスパイアされたJohn Blackthorne(ジョン・ブラックソーン)から見た、「日本という異世界」ですね。真田広之がプロデューサーを務めて繊細に日本を描いているが、それでもやはり、これはアメリカのドラマ。そして、原作、主人公の視点ともに大航海時代南欧グローバリゼーションのヨーロッパ人の主観視点から構成された「物語」であって、そこにセンスオブワンダーがある。


エドワード・ズウィック監督の『ラストサムライ』(2003)のような感じですね。あれは、撮影がニュージーランドだったはず。将軍の撮影場所は、公式には公表されていませんが、カナダの南西岸ブリティシュコロンビア州ポートムーディみたいですね。でも、たぶん、日本で撮影しても、画面の処理や画面の構図は、ヨーロッパ人から見た異世界という演出になっただろうし、その辺の異国情緒はたっぷり感じられる。無礼を働いた村人が、いきなり侍に首を刀で吹っ飛ばされるシーンとか、いやそりゃないだろ(笑)、と思う面も、イングランド人という視点からの、全くいの異世界に放り込まれている感覚を増幅してくれるから、とてもありだと思う。そこが、、それがこそがいいのだ。

🔳まるでゲームオブスローンの権力争いを見ているような壮大さ

もう一つは、2話で、大阪城の遠景からのロングショット、5大老の権力争いが、どうみても『ゲームオブスローン』(笑)、という感じで、いやはやこれは美味いドラマだって唸りましたよ。このブログを読まれる方で、『ゲームオブスローン』のドラマを知らないという人は、少ないかと思いますが、ジョージ・R・R・マーティンの小説『氷と炎の歌』を原作としたHBOのテレビドラマシリーズで、全米で最も人気があった伝説のドラマです。特に当時(2011−19)米国で、若い世代からの人気が圧倒的で、これを見ていない人はいないだろうって言われるくらいの盛り上がりでした。

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この権力と血、バイオレンスとSEXに国盗り物語!みたいな雰囲気は、めちゃなんというか「入りやすい」。日本の文化や伝統がよくわからなくても、「どこか遠い異世界の権力闘争にも空き込まれた航海士」という視点は、めちゃくちゃ燃えると思います。Netflixシリーズ『忍びの家』(House of Ninjas)で、Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で初めて1位を獲得したりしているし、なんとなく日本のコンテンツきているなって気がします。

🔳南欧グローバリゼーション時代のカソリックVSプロテスタントの海外覇権争いを軸に据えることで欧米人にわかりやすくしている

見ているときに感じたのは、なるほど、カソリックVSプロテスタントの海外派遣争いを軸に、国内の権力関係への影響を描く物語にしているのだなと感心。これ、アメリカやヨーロッパの歴史を知っている人なら、なるほどと唸る構図なので、いやはやいいところつている脚本。原作も、その視点からフィクションを構築しているのだろうなと思いました。見ているときに、『クアトロ・ラガッティ』を連想していました。

クアトロ・ラガッツィ 天正少年使節と世界帝国 (上)(下)巻セット (集英社文庫)


🔳日本人が米国のこのレベルの大作で主演とプロデューサーというのは凄い



真田広之さんのインタビュー。このレベルの扱い、英語力、いやはや素晴らしい。



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『騎士王の食卓』の2巻が発売ですね。

ゆづか正成さんの『騎士王の食卓』の2巻が発売ですね。紅花(カルタモ)修道院出身のレノくんの物語。実際は、たぶん美味しくないのだろうけど(笑)、中世の食事の解像度が上がってとても美味しそうに見えて楽しい。

この方のマンガは、『騎士譚は城壁の中に花ひらく』からとても好き。この人、中世の騎士や城などとても細かい描写が解像度が高くて、見ていて凄い楽しい。キャラクターも素敵だし、ブレイクしてほしいなぁ。絵の書き込みが素晴らしいので、大判で眺めながら読みたい作品。ある意味、こういう書き込み系の人は情報量型のマニアックになりすぎて、エンターテイメントになりきらないのですが、この人は、凄くバランスが良い。ぜひとも、3巻を超えて話が続いてほしい。

解像度が高い分だけ、「日常系」になるので、4コマ漫画と同じ「日常の小さい出来事の解像度を上げていく」話になると、物語って繰返しになるので、長く続きにくいんですよね。その中で、食事ににフォーカスするのは、日常系の常套手段なので、この辺りが深掘りされたら楽しいかも。レノくん、むしろ、男の子の設定にしている方が、『騎士譚は城壁の中に花ひらく』の女の子主人公よりも、色気があるというか可愛いのが面白い(笑)。

でも、やっぱりこの作者、ぜったいに「物語」をつむぎたい人だと思うんだよね。ロサ=スカーラエの物語にしても、やはり騎士を目指していく、騎士になる成長物語を描こうとしている。世界観や設定上の共通点も多いので、きっとシェアードワールドなのだろうから、レノくんの物語が人気が出て長く続けば、ロサの物語も重なってきそうな気がするので、期待しちゃうなぁ。


キャラクターも、世界観も、舞台の解像度もどれも素晴らしいし、「騎士になる物語が描きたい」という情熱も感じるし、あともう一歩、何かが欲しいんだよなぁ。いや、僕は、もうこれ十分なほど好きなんだけど。もっと、長く広く物語を描くには、もう一歩大衆ウケというか、人気がいる気がする。でもなー、書き込みも多くて情報量多いけど、わかりにくいわけでもないし、キャラクターもよいし、、、、うーん、あと何を入れればいいのかなぁ。ロサ=スカーラエの物語にしても、女の子が騎士を目指すという設定は、めちゃ狙っているというか、良い設定だったと思うんだよね。


僕の好み的なものを言えば、政治とか、このクエルクス(樫の城)が、全体の王国?のどこに位置して、何をしているのかの戦記モノ的なマクロの情報が、欲しいなぁという気がするけど。その辺の政治的位置づけがわからないと、レノくんが、最終的にどこを目指しているのかがわかりにくい気がする。ロサの物語も、同じような感じがしたもの。物語を長く続けるには、「なんの目的で動いているのかがクリアーだといい」んだけど、、、でも、この作者そういう設定は絶対作っていると思うんだよね。そこで手を抜く人とは思えないので。だから、テンポが遅いっのかなぁ。うーん、、、ちなみに、ペトロニウス的な評価では、既に星5なので、なんか改善点とか思いつかないんだよなぁ。この人の描く世界は、あたたかくて、美しいんだもの。

騎士王の食卓(1) (シリウスKC)

それにしても、クラウストラのスクワイア ロサ=スカーラエの物語は、続きが見たかった。。。

騎士譚は城壁の中に花ひらく 1 (ガルドコミックス)

バイデン大統領の一般教書演説(STATE OF UNION):Full Speech Version スーパーチューズデーのトランプ圧勝に対して、バラバラの民主党をまとめることはバイデンにしかできないこと示せるか?


🔳バイデン大統領一般教書演説2024年3月7日


この演説で見るべきポイントは?


3月5日のスーパーチューズデーは、想定した通りトランプ元大統領の圧勝しましたので、これを見越して、この日程でぶつけてきたんだと思います。


何をここですることが戦略上大事か?と言えば、それは、81歳(本日時点)で、健康上の不安があるかどうか?だと思うんです。


3月5日のスーパーチューズデーではっきりしたのは、トランプさんが共和党指名では圧勝する既定路線が、かっちり確定したこと。


そして、構造的にわかっていたことだが、民主党がバラバラになっていく内部分裂を繋ぎ止める存在は、結局のところバイデンさんしかいないということがはっきりしたこと。バイデンさんの次に出るべきは、本来ならハリス副大統領になるけど、なかなかそれが難しい。能力も、人気も、そこまでではない上に、彼女が出てくると、CA州知事のギャビン・ニューサムが出てくる可能性があり、彼とは犬猿の仲だ。そして、そういう対立をしていると、新世代の民主党左派のバーニーサンダースとその新世代のアレクサンドリア・オカシオ=コルテスが出てきて、民主党は分裂傾向が進んでしまう。この構造は、前回の選挙から全然変わっていない。


しかし、何よりも、怖いのは、もう81歳ってこと。


77歳のトランプさんだって、十分高齢なんだけど、たしかにバイデンさんの動きは、凄まじく老人老人してて、大丈夫か?凄い思う。この「感覚」をどこまで払拭できるか?。


今回のSTATE OF UNIONは、大成功だったと僕は思う。メディアの反応も同じ。67分の長丁場を、気合い入れて、エネルギー溢れて、力強いスピーチを繰り広げた。


少なくともこの時点では、はっきりと、民主党の中道路線を維持して、左派も右派もバランスを取れるのは、バイデン氏かいないってはっきり印象づけたと思う。



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ちなみに、これもちゃんとフルスピーチ全部聴きました。フルスピーチ聴いていると、おおっと唸る。


論点的には、ウクライナの支援を訴えることや「国民支持あれば 中絶の権利の保障 法制化を約束」などなど、文章にして読むと、いままであることの羅列だし、何も変わらない老害の政治家の既定路線送り返すに聞こえて、ちょっとうんざりすしてしまうと思うんですよね。同じことしても、何も変わらなかったというのが、有権者の実感だと思うのです(実際は、少しづつ漸進していると僕は思うけど)。文章で並べると、言い換えれば、要約して報道したのを聞いただけでは、ぜんぜんわからないと思う。


でも、これらの利害が絡む、さまざまな問題を包括してバランスよく対応できるのは、バイデンしかいない!(ハリスにも、ニューサムにも、サンダースにも、オカシオコルテスにもできない!)というのは、力強く伝わってきます。こればかりは、全ての論点の複雑さと利害調整の気の遠くなるような難しさをよくよく知っていることと、そして、それをズラーっと並べたときに、そのバランスを取れる民主党の指導者はバイデンしかいない!というのが力強く伝わります。これは、フルスピーチを聞かないと分からない感覚かもしれません。


そして、


「恨みや報復の物語を見ている人、私とは違う」「前大統領は言語道断で容認できない」「私たちは前例のない瞬間に直面している」


これらの問題意識が、対トランプに対しての、お前には負けない!というリベラルサイド、民主党支持者への結集を呼びかける言葉になっているのも、大事なことです。そして、それが感情に届いていると僕は思う。


今回のスーパーチューズデーで、バイデンVSトランプの一騎打ちになるのは確定路線です。今はトランプさんの選挙ターンなので、彼に報道が集中しますが、大勢は明らかな五分五分だと僕は思います。なぜならば、トランプ支持が高ければ高いほど、反トランプへのエネルギーも高まるからです。そして、そのエネルギーが、結集するに相応しいというのが、今回の一般教書演説で明確になったからです。


なかなかの力強いState of Unionでした。


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トランプさんの反応。



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最近、まぎぃさんのかくユフィが良すぎて、毎日眺めてニマニマしています。

まぎぃさんの描いているFF7のユフィ(Yuffie Kisaragi)がなんかめちゃお気に入り。FF7かすかに覚えがある(逆にいうとほとんど覚えていない)からやったことある気がするんだけど、全く覚えていない。元のオリジナルのデザインより、もっと健康的でボーイッシュさと、なんというか幼さが逆に、とっても可愛い。









ちなみに、このユフィをIpadの壁紙にしていたら、下の娘にちょっとセクシーすぎると思います、とダメ出しをされました(笑)。





2024年のスーパーチューズデーの結果〜既にわかっていたことだったけれども共和党候補としてのトランプさんの独走状態が固まった


🔳2024年3月5日のスーパーチューズデーの結果

15州のうち14の州で、トランプさんの勝利。基本的に70%近く表を獲得しているので、もう共和党候補としての独走状態ですね。この感触はすでに去年からシャドウプライマリー(影の予備選)である世論調査で分かっていたことなので驚きはありません。事実が確認され、何もサプライズがなかった感じです。ヘイリーさんにしても、次回に名前を売ったことはできましたし、ヴァーモント州の勝利は、そもそも無党派層も投票できるところなので、むしろ対バイデンだと、アンチトランプの票が入りやすいことを示しているという、これも従来からわかっていることの再確認。この感触を見れば、無党派層はやはり転びやすいので、バイデンVSトランプの一騎打ちでは、ほぼ互角の情勢なのが変わっていないですね。世論調査的には、この時点でトランプさんが数ポイント先行に見えますが、この時点では、選挙戦をガチでやっていて、報道されまくるのは、対抗馬の共和党トランプサイドなので、ここで優勢でないのはおかしいぐらいですから、実質差はないと思います。


Super Tuesday 2024 Primary Election Live Results: All the Republican and Democratic Races

ただし、事実として、共和党が親トランプの事実上の「トランプ党」になったことが確認されたと言えます。もともと、トランプ元大統領の支持率は昨年から力強く上がっていて、特に、彼が裁判で訴えられればられるほど、支持が固くなっていく傾向が見えます。現在経緯事件の訴追を4件受けていて、どの一つには、1月6日の議会襲撃事件のものもあります。選挙戦において、彼が告訴されて裁判を抱えるようになっている様は、とても重要で、訴追されればされるほど支持率と求心力が高まっているのが、トランプさんの選挙戦術の大きな特徴です。この現象は、トランプさんの支持の構造を示すものなので注目しておくと良いことかもしれません。刑事事件で訴追されている政治家が、堂々と選挙に出れて支持を失わないという、これまでのモラルのありかたでは考えられない現象であることも重要です。


このロジックは、党派性のある共和党支持者にとって、トランプさんは、現在の現職の大統領であって、不正を行ったバイデンに選挙結果を盗まれた悲劇のヒーローであることです。


流石に、それは陰謀論として無理がなくない?という物語ですが、このストーリーが、共和党支持者、特にトランプ支持者の中で「真実」としてガチっと強固であることが、昨年から今年の1−3月の候補者の絞り込みで、はっきりと示されました。予備選は、基本的に踏破性のある政治をする気満々の人々で行われる(だいたい各党の支持者の40%ぐらいのようです)ので、「この政治をする気がある=選挙に行く気がある共和党支持者の層」が、このストーリーを信じていて、トランプ支持でかなり強くまとまっている様が伺えます。


🔳ヘイリーさん撤退〜候補者の絞り込みの過程から見える共和党支持層の在り方

国連大使のニッキー・ヘイリーがここで撤退を決めました。もちろん、ほぼ勝てないのは分かっていたんですが、なんらかの奇跡が起きれば!というところはあったようですが、特に何も起きませんでした。

petronius.hatenablog.com

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ここから言えるとことは、共和党候補者の絞り込みの過程で、ロン・ディサンティスやビベック・ラマスワミなど、トランプ大統領をさらに洗練して、言い換えれば、トランプのさらに右派的なポジションを設定した二人が、共和党左派的な中道路線のニッキー・ヘイリーにも、もちろんトランプさんにも、勝負にならなくて弱かったのは、どうもアメリカの有権者は、共和党のトランプさんよりさらに急進派になることは、今の所望んでいないことがわかる。

トランプさんの主張を聞いてみると、やはり


アメリカファースト


この主張は革新的かつ、まだまだ射程距離を保った、大きなマグニチュードな主張なのがわかる。バイデンさんが大統領になっても、基本的な政策はほとんど変わらなかったことからも、彼が打ち出したこの「アメリカ国民の本音路線」ともいえる方向性は、まだまだ生きている。この方向性が行き着くところまでいかない限りは、いつまでもこのトンランプ支持者の熱量というのは消えないのだろうと思う。思想的にも、これは言ってみれば「ヨーロッパに対する新世界としてのアメリカの特異性」が、旧世界のヨーロッパ的な「血と土のナショナリズム」をベースにした「普通の国」になるかどうかの重要な分岐点だと僕は思う。「血と土のナショナリズム」を全面的に認めたら、最初期の移民、白人が優先されるネイションステイツ(国民国家:この場合の国民は一義的に最初期の移民だけになる)になるわけだから。アメリカの理想やあり方の特異性を真っ向否定する新しい動きだと思う。


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まだまだ、トランプさんが打ち出した方向性は、アメリカの中で、支持を、期待を失っていないということになります。共和党予備選挙の絞り込みで、2023年からほぼ独走状態にあったトランプさんですが、そこへチャレンジをしてきた、より右のポジションが失速し、より左の中道路線のヘイリーさんも力が及びませんでした。なので共和党支持者のコアは、やはりとドナルド・トランプの立ち位置、あり方に強い支持をしているということになります。


🔳民主党の現状

民主党の現状は、ここで書きました。

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🔳分断と均衡〜2024年のアメリカの現在

このスーパーチューズデイの結果とバイデン大統領の一般教書演説を見ると、


バイデン VS トランプの前選挙戦と同じ一騎打ちになると思われます。


これを書いているのは、今回は忙しくて時間がかかってしまったので、3月16日なんですが、特に状況は変わっていません。アメリカは、大きな流れでは移民を受け入れて、人口動態が多様化していく方向性は変わらないと思います。しかし、その途中で、2024年の断面を切り取ると、分断が深まっているのははっきりしています。この時点では、トランプさんお優勢な感じが強く伝わりますが、単純にいま選挙戦をしているのがトランプさんだけで、クローズアップされているだけなので、事実としては、共和党内の支持ががっちり固まったというに過ぎません。トランプ優勢が伝えられればられるほど、反トランプの民主党側の結束が固まりますので、やはり、2020年の前回の選挙と同様に、均衡対立状態にあるのだろうと思います。この視点はとても大事。分断しているけれども、実は均衡して釣り合っているのが現在だからです。


🔳参考
さてさて、ちなみに僕は、前嶋和弘先生をアメリカを見るときの大事な指針として追っています。いやはやバランスがよくて、事実をちゃんと押さえて、素晴らしいですね。あとニコニコとかもそうですが、選挙のリアルタイム放送とか、演説のフルスピーチバージョンとかが今は、アメリカに住んでいなくてもフルで見れるのが、本当に素晴らしい時代です。メディアのバイアスとかフェイクニュースと言いますが、これほどオリジナルに一視聴者が肉薄できる時代もないと僕は思います。主要メディアの、それが日本語のNHKであれ、アルジャジーラであれ、アメリカの主要メディアであれ、抜粋されたものを聞いた後に、フルで演説を聞いたりすると、全然印象が違うことが多々あります。僕はアメリカウッチャーでありたいと自認しているので、さすがに、メディアで言っていることだけを信用しないで、フルスピーチを確認しようといつも思っていますが、こういう癖をつけると、やはり面白さが倍増しますね。メディアが、「どのように切り取りたがっている」のかが、よくわかるようになるからです。そして世間の世論の動きをどちらに向けたいのか、もしくは、報道のタイミングで世論がどちらに流れるかなどのパターンがわかるようになるので。何かを、コツコツ追うというのは、とても楽しいことです。

キャンセルカルチャー ~アメリカ、貶めあう社会~

【緊急YouTube配信】米大統領選「スーパーチューズデー」でどうなる?経済、国際情勢まで徹底分析(永濱利廣/前嶋和弘) - YouTube


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日本の巨大ロボット群像 ―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現―@横須賀美術館に行ってきました。

『日本の巨大ロボット群像 ―巨大ロボットアニメ、そのデザインと映像表現―』@横須賀美術館に、友人と行ってきました。メカは、あんまり強くないのだけれども、素晴らしい展示だった。アメリカにいる時にずっと残念だったのは、こうした日本でしか見れない系の展覧会などのイベントに行けなかったこと。日本語で解説が見れて聞けて、友人と行けるというのは、とても贅沢。こういうレベルの高い展覧会が、行ける範囲でガンガンあるのは、大都市圏の文化レベルの高くて良いなと思う。ここのところそれなりの頻度でいろんなところに行けていて、なかなか充実している。

開演少し前に行ったので、外で軽く並ぶ。外が広々としていて、気持ちが良かった。花粉は、どんどんキツくなったけれども、晴れて良かったです。ドラマ『沈黙の艦隊 シーズン1 ~東京湾大海戦~』を見たばかりだったので、なんとなく、あそこをシーバットが、とか思い出してニヨニヨしていました。基本的に、それなりの年代の男性、40歳以上ぐらいが多かった感じがします。まぁ世代的に、そうですよね。先週行った永野護展は、休日で人が多すぎて、腰が痛い年寄りの僕には、なかなかしんどかったのですが、ここは都心から遠いからか、そこまで人がいなくて、とても快適に展示物を見れました。


とにかく全体を通してのコンセプトが素晴らしかった。巨大ロボットというものの登場、展開、発展、そして収束の歴史が、流れで特に頭を使わずに観ていても、大掴みでがっちり感じられる。僕自身はメカに興味があまりない人なのですが、そうは言っても、マジンガーZくらいから永野護のファイブスターなどまでの時系列は、自分の子供時代とリンクしているので、とても興奮しました。

はじまりは『鉄人28号』。等身大の大きさから、巨大化へ。最初期のドラマは、着ぐるみみたいな大きさなんですね。ここからどんどん巨大化していく。

1960年代から始まって、さまざまな展開を遂げます。お台場や横浜のガンダム機動警察パトレイバーイングラムなど、実物大が製作されたりしている流れ多います。日本の巨大ロボットのデザイン、造形の歴史は、多様で豊穣ですね。お台場の等身大のガンダムは、アメリカに住んでいるときに、日本に遊びに行くんだけれども、どうやって行けばいいとか、よくアメリカ人に聞かれました。子供をポケモンのお店に連れて行って、自分はガンダムが見たいってよく言われる組み合わせでした。

最初の流れでは、ゲッターロボ/ゲッターロボG永井豪石川賢)による「合体」の概念の登場を、説明します。3機のゲットマシンの合体によって完成して、ポジションを変えることで別々の機能を発揮できます。当時は、リアリティの制限がないので、自由な想像力で、合体するので、どう考えてもそんな形にならないだろ!という変形も、これが合体の概念の登場だと思うと、なかなか興味深い。マジンガーZや超電磁ロボコンバトラーV、鋼鉄ジーグなどこの辺りは、まさに僕の子供時代どストレートにあたって、超合金のおもちゃを買ってもらった記憶と結びついていて、懐かしかった。こうやってパネルにして見せてくれると、当時のマジンガーZの光子力研究所とか、素晴らしいデザインセンス。1970年代のロボットアニメブーム。

主催者の方が、非常によくわかっているのだなーと思うのは、「スタジオぬえ」が、これらのメカのデザインの大きな流れの基礎にあることをちゃんと理解して、この展示を組み立てているのがわかる。まぁ、友人に教えてもらったんですけどね(笑)。こういうとき知識を持っている人がアテンドしてくれると強いですね。何気ない一言が、深い。とても勉強になる。どこかへ行ったり、見ることは、背後の知識があるとなしとで面白さが全然違います。

それぞれのロボットの大きさを体験できるように随所に描かれているところが、とても良かった。というのは、鉄人28号からはじまって、巨大化していくロボットは、合体という概念を経て、どんどん小さくなっていくんですよね。その途中にいるのが、マクロスガンダム。デザインも、少しづつリアル志向になっていきます。ガンダムのデザインやコンセプトは、この40年の時間の中で変容していきますが、この展覧会では、初期の「大きさ」の演出を感じられるように組み立てられていました。ボトムズダグラムなどの大きさが、70年代の巨大ロボットからかなり小さくなって行っているのがわかります。これは、リアル志向の意識とも繋がっているように感じます。

宮武一貴、加藤直之による伝説のパワードスーツのデザイン画。日本のSFの大きな流れをつくったデザインですよね。当時、ハインラインSF小説『宇宙の戦士』の表紙で描かれたもの。この機動歩兵のデザインは、のちにモビルスーツの原点となったと言われています。ちなみに、当時のSFマガジンがあったのだが、関係ないですが、最初の小説は栗本薫の『イリスの石』です。ちょっと時代を感じて感動してしまった。

最初期の、中身がどうなっている、意味不明なものから、中身の詳細を書こうとする、リアル思考の意識が広がっていくことと連携して、サイズが小さくなって行ったのだなと感じます。この辺りの中身を詳細に書いているものを見ると、永野護だけが、関節の動きなどを意識して、この機能には、この機能がいるよねというテイストが入っているのがよくわかります。エルガイム等で、ガンガン大抜擢されていくのですが、そもそもコンセプトが、他のデザインと一線を画しているのがわかります。

この流れで、永野護のデザインを位置付けるのか!とエウレカでした。こういうふうに文脈で考えると、デザインの歴史の中でどう位置付けられてるか一目瞭然で素晴らしく理解できます。いわゆる美術史でいうバロックかというやつ。最初は均整を保っていた表現が、徐々に過剰なものになっていくことを言うんですが、このデザインのリアル思考、大きさの等身大化、機能をベースに考える内部の設計への意識が、永野護のデザインで頂点に達するんですよね。そして、急速にロボットものが飽きられて、黄金期が終わっていく。

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巨大ロボットってある意味オワコンなカルチャーなんでしょうけど、一回人気が低迷してる一つの黄金期が終わっているんですよね。このあとの、作品は、リアルロボット路線が、再度、スーパーロボット路線の昔のマジンガーZのようデザインへと回帰しています。こうして様式美として歴史になってワンセットで見れる。そうすると、全体が俯瞰できるので、とてもわかりやすい。こうした様式美になって、過去のデザインのれ歴を俯瞰できると、リブートされたりするんですよね。たぶん、2020年代は、このリブートや過去を様式美として見直そうというフェイズ。長く生きていると、サイクルのように、ブームがきて、バロック化して、そして萎んで消えていき、そしてまた原点位戻ってを繰り返していくのが見れますね。


いやはや、素晴らしい展覧会でした。

なぜ今この設定なのか分脈が全然わからんけど、伏見つかささんなら絶対面白いだろ!って思ってます。続刊が楽しみ。

私の初恋は恥ずかしすぎて誰にも言えない (電撃文庫)


伏見つかさかんざきひろさんコンビの新刊『私の初恋は恥ずかしすぎて誰にも言えない』を読みました(2024年1月)。『エロマンガ先生』の伏見つかささんの新刊。ライトノベルの中の大家中の大家、と僕は思っている。とにかく、新刊出たら何の躊躇もなく買うし読む。自分の中でこの人の「良さ」をどう言葉で表現していいのかわからないんだけど、もう読んでて「快楽中枢刺激しまくり」みたいな感じで、ずっと悶えている(笑)。読むと幸せな気分位なれる、本当に良い小説家。僕は、こんな批評を書くくらいだから、SFや文脈読みができる「構造」をどうやって読みとことかいつも虎視眈々と考えているわけなんですが、この人に限っては、そういう気持ちが微塵も起きないで、ただひたすらに、じっくり文字を文章追うだけで、幸せな気分になる。ライトノベル?って定義がいまいちいつもわからないが、確かに文章は平易だし、もっと言えばスカスカかもしれないが、明らかに超絶なな技術?なのか、よくわからんが、この人にしか書けない円熟の安定さを感じて、いつも、なんなんだろう、まっじ、小説うますぎ、、、とうなる。・・・うまく言えない、要は好きなのだ(笑)。


今回の作品は、一言で言えば二卵性の双子の男女の性別が入れ替わりもの、プラス、そのめちゃツンケンしている妹が兄貴に惚れちゃうという兄妹もの。でも妹も男になっているので、それは弟?(笑)。


読み終わった後も、「なんでこれ?」、、、なんでこの設定????って、全然わからん。おもしろいけど。でも『エロマンガ先生』の最初の巻も同じ印象を受けたんですよね。だから僕は、自分の分析や印象を、、伏見さんに限っては、信じない!と、ラオウのように拳を天に振り上げます。なんというのか、この人の小説を読むときに、なんて、なんて素晴らしい物語を書くんだろう、、、と、頭では爆、心にブッ刺さるんですよね。


とはいえ、1巻のこの時点では、、、、面白いのは面白いんだけど、よくわかりません。このキャラクターたちが「どこ」に行きとこうとしているのかが。あまりに設定モリモリなので笑(笑)。ただ、なんというかなー伏見つかささんいは、期待しちゃうよね。1巻で、意味不明だろ思った『エロマンガ先生』のあの脳天ブッ刺さる面白さが、読んでいるうちにわかったきたときに、僕は、、、負けた、、、と思いましたよ。この人の物語構築力は凄すぎるって。


読んだことない人は、物語三昧の読者でいないと思うけど、ライトノベル、ラブコメときたら、まず伏見つかささんとかんざきひろさんコンビの大ブラントは行っておかないといけません。「この面白さ」を感じられないとしたら、それは感性が磨滅していると思います。『俺妹』とか『エロマンガ先生』とか、絶対に読みましょう。読んで損はない素晴らしい物語です。ちなみに、たぶん、俺妹の黒猫は、ペトロニウスの物語の人生の中で、多分ナンバーワンだと思います。可愛すぎます。ネギま!の夕映に並んで僕ぼ物語人生の二大ヒロインですねー(笑)。


【合本版】俺の妹がこんなに可愛いわけがない 全12冊収録 (電撃文庫)


全然、、、かなり脈絡はないんですが、なるべく記事を上げるときには、紹介している物語の、ペトロニウスが連想する他の物語も紹介しようという隠れコンセプトが僕の中にはあります。物語を越境して欲しいというのがこのブログのコンセプトだからです。いやはや関連ないんですが、『新しきみへ』が、多分2023年12月か2024年の1月に単行本完結していますよね。伏見さんの新作を読んでいて、どうしてもこの話が頭をぐるぐる回ってしまったので、全く関連づけないのですが(笑)、ペトロニウスの内的思考を日記として残しておこうと思います。

これ、帯に新海誠さんが、コメントを書いていて、おっと思ったんですよね。それで読んでみたら、これが素晴らしい作品で、見事に完結していて、なるほど思ったんですよね。


これ人生をやり直す物語


なので、なるほど『君の名は』で「男女の入れ替わりもの」と「人生をやり直すもの」のテーマを入れた新海さんが、このテーマを真摯に追っているんだなということがよくわかったんです。新海誠さんって、あまり俺が俺がという自我を感じないんですが、「こんなにも人気というか、聞いても仕方がないような一般の反応を真摯に受け止めているんだ」と感心するんですよね。

何かのインタビューで、『君の名は』が、人生を安易にやり直せるのは、災害にあった人への冒涜ではないかみたいない意見を聞いて、深刻に悩んでしまったそうなんですよね。

口だけではないのがよくわかります。だって、その結実が『すずめの戸締り』なわけですから。ここでは、コメントされていないけれども、じゃあ「男女の入れ替わりもの」というテーマ文脈に対して、クリエイターの人たちは、、、どうかんがえているんだろう?・・・と感じたんですよね。「人生をやり直す類型の物語」には、さまざまな倫理コードの問題があって、最高の物語にするには、「人生はやり直せない・・・受け入れていくしかない」というこの世界の黄金律をちゃんとストーリーに入れ込まないと、多分ダメなんですよね。「やり直せる」という美味しいところ「だけ」をとっては、物語が「終わらない」のだと僕は思います。「終わらせられる物語」と、書きっぱなしの「えたる」ものの違いはそこにある気がします。この話は、僕はなろうの作品とかで色々書いているので、今回は捨象します。。。ちなみに、1話は下で読めるみたいので、おすすめです。

tonarinoyj.jp


そして、じゃあ「男女の入れ替わりもの」の文脈の構造って何なんだろう?って思ったんですよね。


僕は、このテーマすごい好きでいよいろ読んでいるのに、自分でうまくまとまっていない。ちょっと考えようってきっかけになったんですよね。だって、伏見つかささんですよ!!!あの王御所(大御所の間違い)がこのテーマ選んでくるとは!!!。


そんなことを考えた今日この頃です。


ちなみにどうでもいいですが、『新しきみへ』を読むんだったら前でも後でも、テリーギリアム監督の『12モンキー』もおすすめです。ペトロニウスの大好きな映画です。

12モンキーズ(字幕版)

RIP 鳥山明先生、ご冥福をお祈りします。

1984年から1995年から連載されたドラゴンボールと1980年から1984年まで連載された『Dr.スランプ』は、唯一大判の紙で家に置いてあり、家族の全員が全て熟読している漫画。自分の人生を振り返っても、1986年にアニメーションのドラゴンボールが始まった時からの熱狂は、今でも覚えている。当時12歳。週刊少年ジャンプという、学校の誰もが読んでいるのが当然という空前のマンガ週刊誌の最盛期が、我が子供時代だった。記憶の中で、水曜日の19時からドラゴンボールを見て、19時30分からの高橋留美子先生の『めぞん一刻』のまさに、ゴールデンタイムは、自分の人生の中でも、忘れられない記憶で染みついている。そして、ドラゴンクエスト。1の発売は、1986年なんだ。小学校6年生。僕の人生にとっては、子供時代の原風景。・・・・にもかかわらず、僕の子供達にとっても、子どもたちの日本のアメリカの友達たちにとっても、ドラゴンボールは、未だ原風景であり続けている。なんて偉大な作品だろう。僕は文脈読みが好きな人なので、ややこしい複雑な物語が好みな人ですが、、、、そういう好みなんかを全く超越したデザイン力、物語の力、、、現代の日本のマンガ、アニメ、ゲームという表現の領域のあり方を築いた方でした。ご冥福をお祈りします。