2012ドラフトおさらい

いつの間にやら2013ドラフト会議が終了してしまいましたが、2013の前に、昨年のドラフト会議の結果について一言。
1.1位
 藤浪の外れ1位として社会人右腕の石山を指名。球速が常時140km程度と平凡で、変化球、コントロールともに絶対的な武器になる程度のものではない一方、ストレートには球速以上の威力があり、スライダー、フォーク、カーブとプロで使えるレベルの変化球を一通り投げられることから、肉付け次第では面白い素材になるのではないかと思っていました。
 実際には、リリーフで常時145km程度を記録するように、球威で押す貴重な1軍の戦力となってくれました。ただ、空振りを簡単に取れるような絶対的な変化球がなく、球威で押すにも剛球を何年も投げられるようなタフなタイプではないと思います。そのため、球威というよりもコントロールを磨き、ストレートと変化球とのコンビネーションで打ち取るようなタイプの先発を目指してほしいところです。

2.2位
 2位の大学生右腕小川は、リーグ戦で圧倒的な成績を残すのみならず、全国大会でも活躍していた一方、全体的なスペックはさほどのものではなく、先発で球威が落ちるとやや厳しいと思われること、また変則フォームで疲労が心配であることから、リリーフでの活躍を期待していました。
 しかし、小川は想像以上の技術と体力で、ヤクルトの壊滅的状況の先発陣の中で孤軍奮闘、各種タイトルまでとる大活躍でした。何より野球に対する意識の高さで、慣れてくる相手への対処や疲労対策を行ってくれると期待できます(もちろん今年ほどの成績を残すのはなかなか難しいとは思いますが)。

3.中位
 3位では高卒素材型の田川、4位では社会人左腕の江村を指名。
 田川は投手歴が浅いものの、最速150km近い速球を投げる豪腕で、将来のエース候補となりうる素材。思っていた以上に高い評価をされていますが、悪くはない指名だったと思います。
 他方、江村は140km程度の速球にスライダー、カーブなどの変化球を織り交ぜるオーソドックスなタイプ。投げる球自体は悪くないものの、コントロールがやや甘く、高めに変化球が入ることが目立つのが心配でした。実際、リリーフとして1軍で全く使えないわけではないものの、防御率4点台と微妙な成績に終わりました。

4.下位
 5位で社会人捕手の星野、6位で大学生ショートの谷内、7位で社会人右腕の大場を指名。
 星野は守備、打撃ともに一定のレベルにはあり、バックアップとしては十分な指名だといえます。
 谷内は、守備力の評価が高かったのですが、思ったよりも守備に不安があるようでした。他方、打撃は2軍で3割近く打てており、守備、打撃ともに磨きをかけ、1軍のショート争いに割り込んでもらいたいと思います。
 大場は大卒社会人ではあるものの明らかな素材型。速球も、それのみでプロで生きられるレベルではないので、速球、変化球ともにコントロールを向上させるしかないと思います。

5.総評
 全体的には中長期的なエース候補、即戦力のリリーフ、守備型のショートと補強ポイントを的確に埋める意図がみえました。ただ、当時は石山は3位でも取れたであろう(一部で他球団に指名の噂はありましたが)し、外れ1位に社会人ナンバーワンの松永に行くべきだったという点で不満があり、高評価はできませんでした。おそらく左腕は村中、赤川、八木、日高等で十分に足りているという判断で、右腕で最も評価していた石山に行ったのではないかと思います(実際には左腕軍団は壊滅してしまいましたが(泣))。しかし、基本的には左右関係なく、絶対値として能力の高いものを指名すべきだと考えています。プロでは左投手が多く、対左に慣れやすいため、左打者が必ずしも左投手を苦にするわけではないからです。
 ただ、1年経過した現時点においては、小川がこれだけの結果を残し、石山も想像以上の戦力となってくれたので、上記の点や藤浪を取れなかったことを措いても、かなりよい指名であったのではないかと思います。

2012ドラフト直前戦力確認(野手編)

1.捕手(以下カッコ内の数字は来年度の年齢)
(1) スタメン
 相川(37)
(2) 対抗
 中村(23)
(3) バックアップ
 川本(31)、新田(31)
(4) 育成
 西田(21)、水野(26)
(5) 評価
 今年、中村が1軍で経験を積むことができたので、来年は相川と中村の併用が基本線となるでしょう。引退した福川の分の頭数をそろえるため1人補強する必要があります。ただし、優先順位は高くないでしょう。

2.ファースト
(1) スタメン
 畠山(31)
(2) 対抗
 なし(松井淳)
(3) バックアップ
 武内(30)、ユウイチ(33)
(4) 育成
 なし
(5) 評価
 畠山はファースト専門の選手としては打撃成績がやや寂しく、その一方、武内、ユウイチなど従来のファースト要員では物足りません。そのため本来であれば外国人選手を獲得すべきところですが、外国人枠も埋まっており、当面外国人選手の獲得も見込めません。そこで、当面は、1軍で長打力の片鱗をのぞかせた松井淳にファーストの練習をさせ、畠山の対抗馬としたいです(実際、フェニックスリーグではファーストを守ることもあるようです)。
 ドラフトでは、長打力が期待できる高校生がいれば、下位で指名するのが望ましいです。

3.サード
(1) スタメン
 宮本(43)
(2) 対抗
 川端(26)
(3) バックアップ
 水田(33)、三輪(29)、森岡(29)
(4) 育成
 又野(21)
(5) 評価
 さすがの宮本も守備、打撃ともに衰えがみえており、おそらく来年一杯で引退すると思われます。来年は宮本、川端の併用に加え、適時森岡や三輪が守る形になるでしょう。育成枠に又野を入れましたが、又野のサード守備はかなりまずいので、早めに外野ないしファーストにコンバートし、打撃を伸ばすことに専念させて欲しいです。
 ドラフトでは、投手を優先すべきチーム事情から、強打の高校生がいれば下位で獲得するという程度でよいと思います。

4.セカンド
(1) スタメン
 田中(31)
(2) 対抗
 森岡(29)、三輪(29)
(3) バックアップ
 水田(33)
(4) 育成
 山田(21)、荒木(26)
(5) 評価
 なんだかんだでそこそこの成績を残した田中。来年も不動のスタメンでしょう。以下、森岡や三輪などセカンドが守れる選手はそこそこいるので、補強の必要性は低いと思います。

5.ショート
(1) スタメン
 川端(26)
(2) 対抗
 森岡(29)
(3) バックアップ
 なし
(4) 育成
 山田(21)、荒木(26)
(5) 評価
 今季は、川端と森岡の併用で、いずれもぼちぼち結果を残すことができました。ただ、山田、荒木を含めても、守備の上手い選手がいないため、できれば守備型の選手を補強するとよいと思います。

6.外野手
(1) スタメン
 バレンティン(29)、ミレッジ(28)、雄平(29)
(2) 対抗
 松井淳(26)、上田(25)、比屋根(26)
(3) バックアップ
 飯原(30)
(4) 育成
 佐藤貴(20)、川上(20)、川崎(27)、楠城(29)
(5) 評価
 バレンティン、ミレッジの故障離脱時以外は、両者固定で残り1枠を雄平、松井淳、上田、比屋根で争う形となりました。この4人はそれぞれよいところがあり、いい競争ができています。2軍育成組の人数もほぼ適正で、今年の補強は必要ないと思います。

2012ドラフト直前戦力確認(投手編)

1.投手評価法
 統一球の影響等もあり、先発投手で1点台が3人、2点台が10人もいるなど、全般的に防御率が低下し、反面得点力も低下しています(ヤクルトの1試合あたり得点は499/144=3.47)。そこで、先発では、防御率3.50を5本柱の最低限の基準とし、表ローテ級では首位読売の3枚目ホールトンの2.45を基準とします。
 中継ぎでは、クローザー、セットアッパーは2点以内、接戦用で3点以内を目安としますが、とりあえず実際の起用法に合わせて分類します。以下、名前横のカッコ内の数字は防御率です。

2.先発
(1) 表ローテ級(〜2.45)
 館山(2.25)

(2) 裏ローテ級(〜3.50)
 ロマン(3.04)

(3) 谷間
 石川(3.60)、赤川(3.79)、村中(3.88)

(4) 評価
 5人が規定投球回に達するなど層が厚いようにも見えますが、実際には上記のとおりの成績であり、規定投球回到達者が多いのは単に他に先発を期待できる人材が少なかったからにすぎません。赤川や村中はまだ伸びしろのある選手なので成長が期待でき、また、石川も裏ローテ級の活躍であれば十分に見込めます。しかし、終盤に1軍で登板した八木などを含めても、来季に表ローテを期待できる人材まではいません(由規も肩の故障の完治は期待できない)。
 したがって、可能な限り即戦力で、表ローテを期待できる人材のドラフトでの獲得が必須です。

3.リリーフ
(1) クローザー
 バーネット(1.82)

(2) セットアッパー
 山本哲(1.21)

(3) 接戦
 押本(3.62)、日高(2.98)

(4) 敗戦処理
 正田(2.84)、増渕(5.38)

(5) 評価
 林昌勇が離脱した穴をバーネットが埋め、バーネットの代わりにセットアッパーを日高、押本、山本哲、(増渕)で順繰りに務めていくシーズンでした。山本哲の防御率は立派ですが、44と2/3回の投球回数に対して被安打が41、奪三振が38であることからすると、やや出来すぎな感があります。他の投手では、日高がまだ若いものの、球速の伸びはあまり期待できないので、少なくとも来季セットアッパーを務めきることができるかというと疑問があります。他の投手も同様です。上記以外の投手では、割って入る可能性があるのは中澤や七條、平井あたりですが、やはりセットアッパー級の活躍までは望めません。
 以上より、セットアッパー級の活躍を期待できる即戦力投手が右・左を問わず(左が日高、正田、久古しかいないことを考えれば左が望ましいが、結果を残せるのであれば右・左に拘泥する必要はない)、1枚は必要であり、やはりドラフトでの獲得が必要です。

2011ドラフト結果

1.指名選手
1位 川上竜平(光星学院高)外野手 右投右打
2位 木谷良平(日本文理大)投手 右投
3位 比屋根渉(日本製紙石巻)外野手 右投右打
4位 太田裕哉(日本製紙石巻)投手 左投
5位 中根佑二(東北福祉大)投手 右投
6位 古野正人(三菱重工神戸)投手 右投
育成1位 徳山武陽(立命館大)投手 右投
育成2位 金伏ウーゴ(白鴎大)投手 左投

2.補強ポイントとの合致度
 先日挙げた補強ポイントは以下の通り。

先発ローテ級投手>即戦力(守備型)ショート>セットアップ級以上のリリーフ投手=強打のサード>打撃のよい外野手

これに照らすと、今回の指名選手(育成除く)は、

(1) 先発ローテ級投手
中根(5位)、木谷(2位)
(2) 即戦力ショート
なし
(3) 即戦力リリーフ投手
太田(4位)、古野(6位)
(4) 強打のサード
なし
(5) 打撃のよい外野手
川上(1位)
((6) 守備型外野手)
比屋根(3位)

と整理することができます。
 先発用投手については、中根が肩に不安があること、木谷は現状ではプロで先発するほどの力があるとは思えないことからすると、最大の補強ポイントを満たすことができたとはいえません。また、強打のサードはまだしも、即戦力ショートの指名がなかったのはかなり痛いと思われます。その一方、リリーフ投手として、社会人投手を左右で2人指名したことは、評価できます。なお、比屋根については、社長交代に伴い、青木が今冬ポスティングとなる可能性が高くなったため、即戦力外野手、特に走力と肩を兼ね備えた外野手は、一応補強ポイントにはなっているといえます(ただ、以前述べたとおり、控えの頭数自体は揃っているため、優先順位は低いです。)。
 以上からすると、今回のドラフト指名は、補強ポイントの観点からすると、補強ポイントを埋めきることができず、また優先順位と指名順が合致していないため、あまり高く評価することはできません。

3.ドラフト戦略
(1) 1位指名
 今年の1位は、東海大甲府高の高橋で早々に固まっていましたが、当日は、中日・オリとの競合の末、落選することとなりました。高橋は、守備・走塁は並以下ですので、基本的には打撃で勝負というタイプです。高校通算71HRとAAAでの活躍から、スカウトのみならずネット上の評価も高いようでした。しかし、動画を見る限りでは、スイングスピードがさほど早くない上、ボールを十分に引き付けてから叩きつけるという、統一球に苦労しそうなタイプのように見えました。また、打撃に柔軟さがあるわけでもないので、育成にだいぶ時間がかかりそうです。大砲が欲しいというのはわからなくもないのですが、近時の大砲候補と打撃の質のみを比べると、中田や筒香より劣りそうであることを考えると、1位指名自体が誤りだったのではないかと思います。
 他の1位指名候補の中では、競合覚悟で藤岡へ行くか、野手であれば、青木放出を前提として、秋の調子が落ち気味であったとはいえ大社ナンバーワンの伊藤隼太か、2番目の補強ポイントである即戦力ショートを埋めるため、安達にするのがよかったのではないかと思います(ただ、安達は最初の1位指名をするほどかというとやや疑問はありますが。)。
(2) 外れ1位
 高橋落選の結果、外れ1位で、川上を単独指名することとなりました。川上の名前が呼ばれた時は思わず聞き間違えを疑ってしまいました。
 外野手は、大学・社会人や外国人による即戦力補強、あるいは素材のいい選手を下位で指名して、打撃を伸ばして戦力にすることが比較的容易ですので、高校生を1位指名すること自体、よほどの選手でなければ避けるべきであると思います。川上は、甲子園で3HRをマークする活躍をした選手で、足・肩も水準以上のものがありますが、ボールを遠くに飛ばす能力が中田・筒香級にあるというわけでもなく、ドアスイングのため内角をさばき切れないことも予想されます。結局、大砲候補を獲ったつもりが、中途半端な三拍子タイプになったり、打撃が全くものにならない可能性すらありえますので、非常にリスキーな指名であったといわざるを得ません。
 他の外れ1位候補としては、大学生投手で中後、伊藤和雄、高校生投手で松本、釜田、西川、歳内、即戦力ショートで安達などがありえました。個人的には、先発ローテ候補として、伊藤和、釜田、歳内のいずれかを獲得するのが良かったのではないかと思います。
(3) 2位指名
 テレビで見ていて木谷の名前が呼ばれた時は、川上に引き続き「はぁ?」と言わざるを得ませんでした。複数球団にリストアップされていましたが、上位指名されるほど評価が高いとは思ってもいませんでした。木谷は、最速145km程度の右腕で、変化球も飛びぬけたものがあるわけではありません。また、コントロールに難がある、クイックが遅いなど実戦的なタイプとはいえない素材型だと思います。これから伸びる余地があるとしても、この選手を2位指名するくらいなら、西川などの素材のいい高校生に行った方がよかったのではないかと思います。即戦力投手では伊藤和や佐藤(ホンダ)がよさそうです。
(4) 3位以下
 3位の比屋根は走力が武器で肩もそこそこある外野手なので、守備のいい選手が少ない今のヤクルト外野陣を考えると、指名すること自体は悪くないです。ただ、川上、木谷を1・2位で獲得したことを前提にすれば、この時点で外野を獲る余裕はなく、4位に残して他球団に先に獲られてしまえばそれまでの選手だったのではないかと思います。3位では、2位と同様、伊藤和・佐藤などの指名の方が望ましかったと思います。
 4位以下については、手薄なリリーフを補充するため太田、古野を指名し、故障からの復活を期待して中根を指名するという形であり、特に問題はないです。特に中根は、3年次までなら1位候補と言われていたほどの選手で、肩の違和感のため、今秋のリーグ戦では休養が続いていましたが、終盤から登板し始めており、復活に期待が持てます。明治神宮大会に出場するのでこれから非常に楽しみです。太田、古野はいずれも去年ドラフト解禁の選手です。太田は常時135km程度と特徴はありませんが、切れ味鋭いスライダー、スクリューをもち、右・左を問わずリリーフ登板してもらえそうです。古野は、常時140km程度ですが、多彩な変化球をもち総合力で勝負できるタイプです。
 また、育成枠では徳山、金伏と右・左の大学生投手を獲得しました。徳山は担いでから上から振り下ろす投げ方でMAX147kmを記録するストレートを持ちます。金伏はスリークォーターで、MAX145km程度の球威のある球を投げます。いずれも良い素材であり、かつ、割と実戦的なタイプですので、育成枠としてはよい指名だったのではないかと思います。

4.総評
 以上からすると、補強ポイントの補充が不十分であり、上位指名の顔ぶれに難があるため、下位でリリーフを中心にしっかり補強したことを踏まえても、合格点を出すことはできません。せいぜい40点程度といったところです。
 しかし、ドラフト時点での雑誌やネット上の動画など非常に限られた情報に基づいた評価ですので、選手の成長予想などはしっかりマークしていたであろうスカウトに劣ることは明らかです。戦略がイマイチであっても、戦力となる選手をしっかり指名したのであればさほど問題となるわけではないので、いい意味で私の評価を裏切ってもらいたいと思います。
 純粋な戦力評価以外では、a 東北関係の選手が多いことと、b 去年の北照高コンビに続き同一チームから複数名の指名をしたこと、c 近年指名した選手が在籍していたチーム(日本製紙石巻(久古)、三菱重工神戸(山本哲))からの指名が特徴的でした。aについては、去年の久古の成功から東北担当スカウトの八重樫さんの意見が強かったと思われます。また、b、cについてはパイプ構築の意図が窺えます。

ドラフト当日!補強ポイント&指名予想選手

1.補強ポイント整理
 現時点での補強ポイントは、
先発ローテ級投手>即戦力(守備型)ショート>セットアップ級以上のリリーフ投手=強打のサード>打撃のよい外野手
 となります。ただし、ショートについては、FA、トレードなどドラフト以外の手段で補強した方が確実ではあるので、めぼしい選手が獲れない場合にはドラフトで獲らなくてもよいと思われます。

2.指名予想選手
 補強ポイントからすれば、一位には藤岡、野村、菅野のいわゆるBIG3に行くべきだと思いますが、高校生ショート(サード転向が予想される)で高校通算HR71本の高橋の指名がほぼ確実です。
 外れ1位には、大学生で左の中後、右の伊藤和、高校生では左腕の松本が挙がっています。いずれも先発での起用が予想され(中後はサイドスロー左腕なのでリリーフの方が無難か)、補強ポイントには合致しています。
 今年も2位の予想は非常に難しくなっていますが、投手であれば、2位相当の即戦力投手はあまり見当たらないので、好素材の高校生投手を獲得するのもありです。唐津商・北方、聖光学院・歳内などが残っている可能性があります。また、ショートについては、ショートを求める球団が非常に多いことからすると、東芝・安達、JR東日本の縞田や大学生の東洋大・鈴木、中京学院大・菊池などは既に指名されており、白鴎大の塚田くらいしか残っていない可能性もあります。
 3位以下については、リリーフ投手で、四国リーグ香川の富田、外野手で日本製紙石巻・比屋根、光星学院・川上の名前が挙がっています。2位でショートを指名した場合には、3位では残っている中で一番良い投手を獲得し、富田らを4位以下に回すことで、投手をさらに補充しておいた方がよいのではないかと思います。

ドラフト直前!現有戦力確認2011(野手編)

 カッコ内の数字は来季の満年齢です。
1.捕手
・スタメン
 相川(36)
・2番手争い
 川本(30)、中村(22)
・バックアップ
 新田(30)、福川(36)
・2軍育成
 西田(20)、水野(25)
 衣川が引退し、合計7人となりましたが、来季も相川が不動のスタメン(リード面での不満はありますが)、それに続く川本、中村もさほど悪くないので、補強の必要性は低いです。

2.ファースト
・スタメン
 畠山(30)
・対抗
(ホワイトセル(30))
・バックアップ
 武内(29)、ユウイチ(32)、野口(31)
・2軍育成
 麻生(25)
 今季HR23本と長打が開花した畠山が基本線。これに対して、去就が明らかでないホワイトセルか新外国人に争わせる可能性はあります。さらなる補強の必要性は低いですが、育成の麻生は打撃が開花しないと来季限りとなる可能性が高いので、打撃のよい高校生・大学生を取るのはありです。

3.セカンド
・スタメン
 田中(30)
・対抗
 森岡(28)、荒木(25)
・バックアップ
 藤本(35)、三輪(28)
・2軍育成
 麻生(25)
 基本的には田中がスタメン。しかし、今季成績が落ち込んでしまっているので、森岡、荒木、藤本にはまだスタメンのチャンスがあります。山田をセカンドに回すことも考えられるので、セカンド専用の選手を補強する必要性は低いです。

4.ショート
・スタメン
(川端(25))
・対抗
 荒木(25)
・バックアップ
 森岡(28)、藤本(35)
・2軍育成
 山田(20)
(川島(29))
 今年3番起用までされた川端が手に重傷を負い離脱。しかもこの怪我は後遺症が残りうるようなものらしいので、来季は計算に入れることができません。また、川端に対抗すべき川島も肘の手術で来年は戦力になりません。そうすると、残る選手はまだ打撃、守備とも物足りない荒木に、ショート守備に不安がある森岡、藤本、さらに2軍で英才教育中の山田しか人材がいないという始末。今さらながら鬼崎の放出が痛いです・・・
 以上から、即戦力のショートは必須であり、阪神の鳥谷をFAで獲得したり、トレードで補強するようなことがなければ、上位指名を使ってでも、大・社の好守のショートを獲得すべきです。

5.サード
・スタメン
 宮本(42)
・対抗
 なし
・バックアップ
 森岡(28)
・2軍育成
 又野(20)
 今季は宮本が打率セリーグ3位、守備率記録更新という大活躍をしましたが、さすがに全試合を任せることはできない年ですので、バックアップは必須です。今期は川端、森岡や三輪、藤本らで埋めましたが、川端は上記の通り怪我、その他はサードとしては打力が物足りません。1・3塁を守れる新外国人を獲得するか、できればドラフトで即戦力のサードの指名が望ましいです。少なくとも即戦力ショートを獲得することで森岡らを確実にサードで使えるようにしておくべきです。また、又野はサード守備がものになる可能性があまり高くないので、余裕があれば、長期的な視点から、サードを確実に守れるような強打の高校生を獲得してもよいです。

6.外野
・レフト
 上田(24)
・センター
 青木(30)
・ライト
 バレンティン(28)
・対抗
 飯原(29)、福地(37)、三輪(28)、武内(29)、雄平(28)
・バックアップ
 宮出(35)、ユウイチ(32)
・2軍育成
 川崎(26)、松井(25)、北野(24)、曲尾(21)、佐藤(19)
 今季はセンター青木、ライトバレンティンがほぼ固定、レフトに当初畠山、畠山のファースト固定後は飯原、武内らを起用したものの、あまりにぱっとしなかったため、終盤には上田が起用され、それなりの結果を残すことができました。
 おそらく青木は来季は残留しますので、センターは固定できますが、バレンティンが中盤以降ずっと低迷していましたので、ライトについては不透明です。そこで、ライト・レフトは、バレンティンのほか、対抗に挙げた選手が争うことになると思われます。
 すると、頭数だけは揃っているので、補強の必要性はさほど高くなく、新外国人を獲得するかどうか、ドラフトで好素材の高校・大学生を下位指名するかどうか、といったところでしょう。

ドラフト直前!現有戦力確認2011(投手編)

1.先発投手(かっこ内は故障者)
・表ローテ級
 右 (館山) 左 石川
・裏ローテ級
 右 (由規) 左 村中 赤川
・1.5軍級
 右 増渕、七條、山本斉

 館山の血行障害、由規の肩痛の程度によって来季戦力は大きく変わってきます。現状では、石川、村中、赤川、増渕の4枚がほぼ確定で、残りを七條、山本斉、中澤らで争う形となりますが、力不足は否めません。さらに村中が故障がち、赤川が慣れられてくるということもありますので、場合によってはまともにローテを組めない可能性すらあります。
 したがって、先発用の外人投手やFA選手の獲得、さらにドラフトでの即戦力先発投手の獲得が必須といえます。

2.リリーフ投手
・クローザー
 右 イム
・セットアップ
 右 松岡、バーネット 左 久古
・接戦時
 右 押本
・ワンポイント左腕
 渡辺
・ロング
 右 松井光
 左 日高
敗戦処理
 一場、橋本、山本哲

 今季のヤクルトの躍進はリリーフ陣の健闘によるところが多かったと思われます。しかし、イムや松岡には力の衰えがみられることや、久古の後半戦での失速(肺炎の影響があったとはいえ慣れられつつあることも否定できない)を考えると、来季はリリーフ陣が磐石であるとはいえません。先発では苦しそうな七條をリリーフに持ってくることで多少はカバーできそうですが、七條は肩に故障を持っているので過大な期待はできません。また、2軍の有望株である平井も、フェニックスリーグでの起用を見る限り、1軍ではリリーフで起用されそうです。しかし、活躍できるかどうかは未知数であり、計算に入れることはできません。
 したがって、ドラフトでの即戦力リリーフ投手の獲得の必要性も高いといえます。