もののけ姫

きのうは金曜ロードショーもののけ姫がやってたみたいですね。
僕は観れてないですが、何度も観てるので大体思い出せちゃうわけです。


あらためて考えると、シシ神の首をとる、というのは原子力エネルギーに手を出す、
ということのメタファーとも取れるよね。『神殺し』は人間に永遠の繁栄を
もたらすとともに、世界を滅ぼす禁忌でもあるわけだ。そして人のエゴが肥大化した
結果、シシ神の首が文字通りメルトダウンを起こしてしまう。
草木は枯れ、獣は狂い、人は呪いを受ける。


でも、もののけ姫という作品では、人としての矜持を捨てずに踏ん張っていれば、
奇跡は起こるかもしれないね、ということも同時に描いていて。
ぼくたちがあの原っぱで寝転がれる日はまだまだまだまだ先だとおもうけども、
そんな日がくることを願って止まないね。

ズーランダー

蔵出しー。

ズーランダー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

ズーランダー スペシャル・コレクターズ・エディション [DVD]

なんか激ヤセしてるらしいベン・スティラーの01年作。


ファッション業界は安価な労働力の維持の為に途上国の経済を裏で操る悪の組織だった!ルックスだけで頭はカラッポな馬鹿馬鹿スーパーモデル達はいつの間にか洗脳され、業界の支配に対抗する先進的政治家を暗殺するヒットマンに改造されてしまうのだ!

で。今回暗殺者に選ばれたのはベスト・モデルコンテスト連続優勝記録がストップし落ち目になった主人公デレク・ズーランダー。3%の体脂肪と1%の頭脳を持つズーランダー君は洗脳を脱しファッション業界人の暗躍を止めることが出来るのか!

みたいな話です。
全編超おバカで脱力なコメディが展開するのですが、ファッション業界(に限らず先進国)が途上国の安い労働力(子供も含めて!)を搾取している現状であるとか、見掛けばかりで本当におバカちゃんで中身のないセレブたちだったりとか、ちゃんと現実の問題を認識して風刺してるとこがいいですね。しっかりできてる映画です。

一番ウケたのは失意の主人公を慰めるためにモデル仲間がスタバに「オレンジ・モカ・フラペチーノ飲みに行こうぜ!」と誘うところですかね。 Wake me upをBGMに町中を疾走するところが80sコカコーラCM的な安っぽさが出てて爆笑ですね。その後の展開も馬鹿馬鹿しすぎてよろしい。

2001年宇宙の旅のパロディ・シーンもよかった。

あ、カメオ出演も豪華です。みんな本人役で出てます。デヴィッド・ボウィは超セクシーでかっこよかったです。

シルクのマット

The Goal Is To Make The Animals Happy

The Goal Is To Make The Animals Happy

ドイツのエレクトロニックなポストロックバンドの3rd(たぶん)。今作からバンド名がSeiden mattから短縮形に。

買ってから1年以上たつけど、たまに聴きたくなってしまって棚から引っ張り出す。
エレクトロニカ・ポストロック・ジャズ・果てはクイーンまで多くの要素を融合させているんだけど、とっちらかった感じにはなっていなくて、良質なエレ・ポップとしてうまく着地しているところが見事。

ときたまするーって入ってくるボーカルもうたごころがあってよい。

個々の曲はそうでもないんだけど、全体として聴くとちょっとこじんまりしちゃってて、もうちょっとフリーキーなとこがあったら最高なんだけどなーとか思わなくもないけど、名盤です。晴れた日の朝がよく似合う。ジャケも綺麗。

http://www.myspace.com/sdnmtseidenmatt

spiderland.

僕は床屋にいる。鏡の前、布をかけられ、髭をそられている。
一見すればごく普通の床屋だ。
ひとつ違うのは、店主の気が狂っている、ということだった。


ぶつぶつと意味不明な言葉を僕の耳元で呟きながら、もう産毛すらない頬を剃刀が撫でる。

しゅるるるり、そりりりりりり

切り傷がひとつ、またひとつと増えていく。
たらり、とあかいものがひとすじ、流れ出す。
店主は意味不明な呪詛を唱えつづけている。
僕は恐怖で動けずにいる。
剃刀は淡々とリズムを刻み続ける。


しょろろろろろり、そろろろり

しゅるりりりりりりり、そっ、ぞぶっ

崩れる均衡、首筋に深々と突き刺さる刃、迸る鮮血。
店主の呟きは歓喜の叫びにかわる。



…ギャー!怖いよ!CDレビューなのにお前何書いてんだと言われそうではあるが、ぼくにとってこのCDはこんなイメージなのだ。
ケンタッキーの伝説のバンド、スリントの2ndである。

偶数、奇数とめまぐるしく変わる拍子
耳の中に手を突っ込んでかき回されているような不協和音ギター
ぞりっとした感触のノコギリみたいなベース
パワフルでソリッドで、なによりダークなドラム
暗い囁きに喉をかきむしってるみたいなシャウト

これらの要素が複雑に絡み合って、ビルとビルの間を綱渡りしてるような緊張感が全編に張り詰めている。ちょっとでもバランスを崩したらもう終わり。落ちる、落ちない、でも落ちそう、落ちない…もう駄目、耐えられない!ってとこで爆発する轟音パート。完璧。

そう、まるで狂人の床屋に髭を剃られてるみたいな。最高のスリル。
そのスリルの虜になった僕はくもの巣に絡めとられたあわれな小虫だ。
Spiderlandとはなんと的確なアルバムタイトルであろうか。
なによりこれが91年の作品だってことがオドロキである(Bastroとかもそうだけどこの時期のケンタッキーはやべえな)。
マスロックもポストロックもここからはじまったのだ。
ジャケもかっこよすぎ。単純にヘヴィロックとしても最高。

Spiderland

Spiderland

Nosferatu man