民主党議員「実力ランキング」

 
政権交代直後の文藝春秋*1に掲載されていたランキング。
大手マスコミ政治記者53人へのアンケートを基に、各5項目を1位3点、2位2点、3位1点で集計したものです。

意外なのは、マスコミ受けが良さそうな現経済産業大臣の枝野氏が全く顔を出していないことでしょうか?
官房長官としての原発対応を振り返れば、まぁ低評価なのも妥当という気もしますが。
 
今は6位の人が総理大臣をやってますが、人材的には完全に払底したんだなぁと思います。

 
 
ホント、「政権交代した」というだけの数年間でした。
 

*1:月刊『文藝春秋』2009年10月号 P128-137「政治記者53人アンケート 民主党議員実力ランキング」

グリーン・ニューディール時代と原子力

またまた「原子力の日」記念シンポジウムですが、この回は敢えて書き起こすほど中身が無いんでスルーしようかと思ったのですが、作家の鈴木光司さんが妙にハッチャけてるのが少し面白かったので後半部分だけ引用してみたいと思います。小沢遼子さんの「取り込まれちゃってる感」も興味深いですね。 *1 *2

グリーン・ニューディール時代と原子力 --環境と経済の調和と原子力の役割
 
・・・・・・

原子力を基幹として使っていく必要がある
 
小沢遼子(以下「小沢」)  *3
 日本が先進国であり続けるための根幹になるエネルギー源は、やはり原子力になりますか。
 
鈴木光司(以下「鈴木」)  *4
 化石燃料のほかに、大きなエネルギーを持っているものは、やはり原子力しかありません。そして将来的には、水素核融合の制御にもっていかざるを得ないでしょう。
 水素核融合の制御は、非常に難しい技術であり、国と国が協力しあうことが絶対に必要になります。兵器への転用が可能だからこそ、一国のみの開発は控えねばなりません。エネルギー問題の解決と、世界平和の推進が、同じ機軸で語れるようになってほしいと思います。
 
秋元圭吾(以下「秋元」)  *5
 エネルギーも基本的にバランスが非常に重要だと思っていますが、CO2排出を制御しないといけない、という強い要請の下で考えると、特に日本においては原子力しかあり得ないだろう、と考えています。
 もちろん再生可能エネルギー風力発電太陽光発電もまだ非常に小さいレベルですから、それを拡大していくことはやらないといけない。ただ、それが基幹になるかというと、絶対なり得ないので、原子力をしっかり基幹として使っていく必要があると思います。
 そして原子力は比較的安価で使っていける。エネルギーというのは非常に特殊な形で、電気は何から供給されていても、人間の効用は基本的には同じです。もちろん、温暖化対策のためになっていると思えば、少しコストが高くても受けようという気はしますが、実際には電力は高いエネルギーを使っても、安いエネルギーを使っても一緒です。そうすると、なるべく安いエネルギーで使っていくことが社会の効用を高めるためには非常に重要になってくる。
 そこで使わなかったお金を別の産業に費やせば、そこでまた産業が回って経済が活性化しますから、なるべく安定的にクリーンで安い電気という意味では原子力が非常に重要なエネルギーだと思います。
 
鈴木
 一ついい方法があります。太陽のエネルギーは360度方向に発散しているわけで、地球に当たっているのはその中でもごく一部です。宇宙空間には太陽光でいっぱい降り注いでいます。太陽光発電のネックは雨や曇りの日、夜には発電できないことです。しかし大気圏の外に巨大なソーラーパネルを作って、太陽の方向にちょうどいい角度に向けたら、ものすごい公立で休みなく太陽光をゲットすることができます。しかも、地球には何の迷惑もかかりません。
 そのエネルギーをどうやって地球に送るか。マイクロ波かレーザーでしょう。理論的には可能だと思います。
 基幹エネルギーは、少しSFっぽいですが、最終的には水素核融合と地球の大気圏の外に出した巨大なソーラーパネル。100年先ですよ。
 
秋元
 2100年というスケールになった場合には、やはり核融合やパネル衛星(SPS)といった技術は重要な可能性が出てくると思います。
 
手嶋龍一(以下「手嶋」)  *6
 グリーン・ニューディールを提唱したバラク・オバマ、正にその人が今、核のゼロ・オプションと言っていて、それがようやく緒についてきた。
 つまり、水素核融合ソーラーパネルも通常の原子力発電も実は最大のネックは、核兵器、核戦争につながるかもしれない、という不安を一般の市民が持っていたのですが、これを超えるような説得力を今まではもち得なかった。
 ところが、ようやくアメリカもロシアも、おそらく中国も核軍縮には後ろ向きではいられない時代を迎えています。世界が核のゼロ・オプションに向けて動き出してきた。これが重要なきっかけになって、原子力に新しい可能性を拓く時がやってきました。
 最大のネックである、核戦争の手段に転用されるのではないか、という危険はまだ現にありますが、その危険を徐々に減らそうという動きが出てきている。その点で人類が「神の火」と言われる原動力を存分に活用できる日も近づいています。
 
■表現するということは常に勇気が伴う
 
小沢
 日本で原子力というと、やはり原爆が落ちたことがものすごく効いているというか、染み込んでいるので、反発は容易には消えない。「爆弾と原子力発電は違う」と言っても通らない。
 
鈴木
 この前、六ヶ所村に見学に行ってきたのですが、自分が物理好きを自称しているにもかかわらず、原子力発電の仕組みをそのとき初めて知ったのです。簡単に言ってしまえば、「何だ、これは蒸気機関ではないか」ということなのです。メカニズムは簡単であり、原子炉が爆発するはずがないのです。
 ところが、物理に疎い人は、原子力と聞いただけで、何か爆発するようなイメージを持ってしまうような気がして成りません。うちの母がそうでした。
 
小沢
 そうなのです。
 
鈴木
 国民に正確な知識を与え、誤解をなくす役目を負うのがメディアのはずなのに、そこのところが、うまく機能していません。特に、テレビは逆のことばかりやっているようです。
 
手嶋
 原子力業界の方は、何か言うと、すぐにメディアにたたかれるからと言って、堂々とした正論を吐かない。「原子力発電はCO2を出さない」ということすら言うのをはばかる雰囲気がある。真の意味で正しい情報の発信をする余地が大いにあります。
 
鈴木
 表現するということには常に勇気が伴うのです。
 表現するというのは、何か言い切ることです。「花が美しい」と言っても、「美しくない花もあるよ」という反論が必ず出てくるわけです。反論を引き受ける覚悟がなければ、いい表現は出てきません。
 
小沢
 そうですね。
 
鈴木
 日本がリーダーシップを取るために必要なのは、反対意見に臆せずに正しいと思うことを世界に向かって堂々と主張する勇気です。
 
桝本晃章  *7
 今日は鈴木さんの横に座らせていただいて大変うれしく、またびっくりしました。マイクロ波の宇宙太陽セルのアイデアは、真剣に取り組み、油の値段が相当上がれば、十分可能性の高い技術だと思います。すでにそういう勉強されている方もいらっしゃいます。
 そして、「表現するには勇気がいる」というのもなるほどと伺いました。私はどっぷり電力会社の者ですが、私たちは世の中にわかっていただくつもりで説明していても、どうしても知っていることをただ一生懸命メッセージとして出してしまう。そうではなくて、やはり受け取る方々のことを考えてものを言う工夫をもっとしないといけないと、常々そう思っています。
 また、これからはある地域や二国間でエネルギーや気候変動に関する取り組みあってもいいかなと思います。
 そのときに、日本が唯一持っているのは技術です。その技術のおそらく数十年間のエネルギー・ソースのコアは原子力、そして省エネ技術。ここをしっかり日本が持っていることが、日本の発言権である意味で実をもって響く大きなメッセージの元だ、と私は固く信じています。
 
小沢
 何年くらい前でしたが、原子力はクリーンだ、CO2を出さない、と原子力関係の人が言い出して、「これが原子力の時代がきたぞ」というような、解禁された鮎釣りのような感じでした。前から日本が持っていたエネルギーを節約する工夫や、被爆国でありながら核という原子力発電に取り組んできた努力もっとまともに世界に向かって発信してよいのだと思っています。
 グリーン・ニューディールでは、相当日本に発言するチャンスが出てくるし、また発言しなければいけないと思います。その中には、東アジア共同体の構想もあれば、原子力の問題や核の不拡散問題など、いろいろな問題を含んでいると思います。
 今ちょっと景気も悪いしと落ち込んでいますが、やり方を間違えなければ、もしかしたら日本にとっていい時代がきているのではないか。とても希望が持てる時代になっているという気がします。今日は、大変有意義なお話を皆さんからいただいたと思います。どうもありがとうございました。

作品を読んだことないのでカテゴライズが正しいのか分かりませんが、SF作家のような人は、豊田有恒さんなんかもそうですが、原発に関して「理解して見せる」ことが多いように思います。原子力村の人達にはありがたい存在だったのではないでしょうか。
 
・・・誤字脱字等のチェックは後日・・・

*1:月刊『原子力文化』2009年12月号 P3-11

*2:シンポジウムは2009年10月22日、東京・有楽町朝日ホールにて開催

*3:小沢遼子・・・評論家 Wikipedia

*4:鈴木光司・・・SF作家・小説家 Wikipedia

*5:秋元圭吾・・・地球環境産業技術研究機構・システム研究グループリーダー RITE

*6:手嶋龍一・・・外交ジャーナリスト Wikipedia

*7:桝本晃章・・・日本動力協会会長 日本動力協会

激動する世界情勢と日本の原子力利用

 
9月20日のエントリーと同様、月刊『原子力文化』2008年12月号に同年10月23日に同誌を発行している財団法人日本原子力文化振興財団が主催した第45回「原子力の日」記念シンポジウムが特集記事になっていて、そこで行われた座談会がなかなか興味深いメンツ(中林美恵子日高義樹佐藤優橋本五郎大橋弘忠)だったので今回も丸々引用してみます。前年2007年7月に新潟県中越沖地震により変圧器火災発生し柏崎刈羽発電所全面停止したことを念頭に置いておくと読み進めやすいかも知れません。*1 *2

激動する世界情勢と日本の原子力利用 --改めて問う原子力平和利用の意義とは
 
■石油の時代が終わり戦略として原子力の時代が始まっている
 
中林美恵子(以下「中林」) *3
 まず、昨今の原油価格の乱高下が世界に何ももたらしたのか。またトウモロコシやサトウキビがバイオ燃料になるということで、経済は大変大きな影響を受けているのではないかと思えます。
 
日高義樹(以下「日高」) *4
 今、一時期に比べて石油は安くなっています。しかし、2025年頃には1バレル250ドルを超すというのが専門家の基本的な予測です。歴史的に見れば、「石油の時代は終わった」とアメリカの指導者は考えています。
 
佐藤優(以下「佐藤」) *5
 ロシアの国家戦略では、もう10年以上前から原子力省の発言が強くなっています。戦略物資としての石油をどの程度出すかは、実は原子力省が深く関与しているのです。原子力発電を中長期的にどれくらいの量にするかによって、戦略物資としての石油の輸出量が決まってくる。石油の時代が終わったと同時に、戦略としての原子力の時代が始まっています。
 
橋本五郎(以下「橋本」)  *6
 原油高は一体何をもたらしたか。一つはやはり原子力も含めた温暖化対策に弾みがついた。短期的に見れば、石油を産出する国の力が強くなっている。長期的に見れば、確実に石油に頼る時代は終わったが、短期的には必ずしもそうではありません。
 
大橋弘忠(以下「大橋」)  *7
 石油はエネルギー源として原子力のような熱を出す機能もありますが、そのほかにも、手軽に火がつく、化学物質の原料になる、ジェット燃料になる、薬の原料になるなど、とても多用な用途をもっています。
 石油の貴重な使い方をよく考えながら節約をして、将来の世代や発展途上国のために少しセーブをしていくことが、先進国としての責務だと思います。
 
中林
 アメリカは必ずしも原子力を戦略的に最優先にするという状況ではなく、「代替燃料も含めて考えていく」という話が出ている気がします。
 
日高
 石油が一番安く使いやすいし、石油が駄目ならタールなどがあるわけです。今回大騒ぎになったのは、2005年から石油の産出量が少しも増えなかったが、中国の消費量が急激に増えている。それに輪をかけて急にブッシュ政権がドルを安くしたことで、産油国が石油を増えている。それに輪をかけて急にブッシュ政権がドルを安くしたことで、産油国が石油を増やした。その後、アラスカやルイジアナの地下にある石油を掘り、石油が安くなったのです。
 そういう中で安定した代替エネルギーといえば太陽光などが挙げられるが、それには時間がかかる。それまで何をするか。一番安定しているのは原子力エネルギーではないか、というのが今の政治的な状況です。
 
橋本
 原油の値上がりには、二つの大きな要素があって、需要が増えたということと、もう一つは投機の対象としてマネーが流れ込んだことがある。
 それに対して、むき出しで暴力的な資本主義はやはり抑えなければいけないという具合になったのです。半分の要素は政治が何とかしなければいけない、それが今、政治に求められていることです。
 
中林
 石油の高騰によって、お給料が上がってないのに、食パンからマヨネーズに至るまでどんどん上がり、生活が本当に大変な時代になっています。将来いろいろなエネルギーが出てきて、それが一極に集中してしまったら、今度はそこが投資のターゲットになることも考えられます。国民の生活や安全保障のためにも、エネルギー政策は私たちの生活に実は非常に直結した問題であり、国家的戦略の下に考えていかなければならないものです。
 
橋本
 エネルギーの乏しい日本がこれから生きていくためには、総合的なエネルギー戦略がないといけない。その中で原子力を長期的にどう位置づけて、日本の国をどういう国にしようとしているのか、真剣に発言している政治家はあまり聞いたことがありません。
 
佐藤
 「石油の時代が終わった」ということは、環境倫理の観点からとても重要だと思うのです。化石燃料を私たちや次の世代で全部使い尽くしてしまったら、100年後、200年後に生まれてくる人に私たちはどう責任をもつのか。大国というのは、そういうことに対する絵を描いて責任感をもたないと生き残っていけないと思います。
 ロシアが原子力を重視していくのは、そのへんも加味しながら、むき出しの資本主義ではない国家戦略を提示したほうが、中長期的にロシアが生き残っていくことができる、という大国ならではの感覚からきているのです。
 
大橋
 日本の政治家や官僚システムは非常に優秀で、エネルギーのように10年以上のことを考えなければいけない中長期の問題に、これまで適切に対応してきたと評価をしています。原子力発電自体、今日まで日本のエネルギーをうまく支えてきた。
 しかし、ここ数年、何かトラブルが起こると、落ち着いてみんなで考えればいい問題に対して、社会的な圧力のために非常に過剰に反応せざるを得ない状況になってきていると思います。
 
原子力発電所がどれだけ必要で何基つくるかそれが国家戦略だ
  
日高
 2015年から30年の間に、アメリカの人口は今の3億から4億に増える。その電力の30%を原子量で確保するためには、45基の原子力発電所の新設が必要である。50%を原子力で賄うためには、165基の原子力発電所が必要である。そのための予算が全部国家戦略として計上される。それを政府が行うのがアメリカなのです。いじめなどの話は学校の先生がやればいいわけで、政府は関係無い。また、個人の生活は個人がやればいいわけです。
 
大橋
 日本の原子力では、どこの県のどこのサイトにどういうプラントをつくるのか、という個別性が高い現実の問題があります。そこに権利関係や安全に対する不安という問題がとても複雑に絡み合ってきて、なかなか進まない。
 
日高
 どこの国も同じ問題があります。しかし、どれだけ必要で何基つくるか、そのためにはどうするか。それが国家戦略ですから、結局、国家があるかないかということに行き着くのではないですか。
 
橋本
 例えば、原子力発電所で火災が起きると、繰り返し燃えているところが報じられる。そのことが、中で起きたこととどんな意味があるのかほとんど議論されず、「大変だ。火災が起きた。これじゃいかん」と。私たちメディア側も本当に反省しなければいけない。今起きていることは、一体どういう意味なのかをきちんと報道する責任があります。
 逆に原子力に携わっている人が過度に反応して、できるだけ表に出さないようにすることで、またさらに不信を招く。悪循環の繰り返しとも言える。ここは少し仕切り直しをして考えなければいけないと思います。
 
中林
 この不信の連鎖が脱石油社会の障害の一つになっている可能性もあります。ロシアはあれだけガス、石油があるにもかかわらず、どうして原子力にシフトしようとしているのか。なぜロシアが脱石油社会を考えているのか、非常に不思議です。
 
佐藤
 原子力を常に持っておくことが、外交においても大きなカードになることを彼らはわかっています。例えば、イランの軽水炉に対してロシアはずっと協力をしている。これに対してイスラエルは「やめろやめろ」と言っている。やめるということでイスラエルに対するカードを持つことができるわけですよ。六か国協議も第一期のときは、ロシアの軽水炉北朝鮮に供与することをやっていた。原子力はその国の最も高い知見がそこに結集されている、という象徴的な意味があるのです。
 ロシア人に言われたのですが、「日本で原子力発電の依存が32%くらいあることを、何でもっと積極的に使わないのだ。中国や韓国、北朝鮮IAEAにしても常に日本は核兵器をつくる可能性があるのではないかと見ている。明らかに能力はある。しかし原子力発電に30%も依存している国がもしそんなことをして、今のNPT体制の下でウランを買えなくなったら、産業が完全に崩壊してしまう。だから日本は核保有しない。なぜこういう説明をしないのだ」と。確かにそうだなと思ったことがあります。
 
中林
 石油を有するロシアでさえ脱石油社会、そして原子力へシフトしている中で、日本はいろいろな政治的障害や言葉の力の不足、あるいは不安や不信の連鎖といった問題もあって、脱石油社会に向けた次のステップに大幅に進んでいくことがなかなかできない状況にあるわけです。
 日本の原子力の平和利用の問題では、日本は特に原子爆弾を落とされたということがあり、そういうところからも不信の連鎖の一端があるのかもしれない。あるいは、それに基づいたマスメディアの報道の中に何らかのバイアスが存在するのかもしれません。
 
■安全性に問題がなかったことも国民が知らないと意志決定が難しい
 
中林
 柏崎刈羽原子力発電所はもう少し早く回復するのかなと思いましたら、まだ止まったままで、そのため、その分を火力などで賄っているわけですね。そのためにCO2が多く出てしまう。柏崎刈羽の影響はどのようになっているのでしょうか。
 
大橋
 柏崎刈羽原子力発電所は、日本の原子力の発電量の15%くらいを占めます。発電量が原子力は三割ですから、柏崎刈羽は4〜5%くらいのシェアを持っています。エネルギーに使う量は発電だけではありませんから、半分くらいに割り引くと、柏崎刈羽の停止によって2%強のCO2を余計に排出していることになります。
 ただ、止まってからもう一年数ヶ月経ちますが、これは決して長いわけではなく、あれだけの被害が起きましたから、すべての設備を丹念に点検しながら順次動かす方向へ向けて検査していくには、それくらいの時間がかかるかな、という印象をもっています。
 柏崎刈羽原子力発電所の点検をしたところ、安全性には何の影響もありませんでした。このことは、原子力発電が将来、国にどういう役割を果たすべきかを国民が判断する上で知るべきことだと思います。中越沖で地震が起きて、被害を受けたことは報道する必要があると思いますが、同じように安全性に問題がなかったということも報道するべきです。国民が知っておかないと、意志決定が難しいと思うのです。
 
橋本
 「あ、そうか。こういう事態はこういう具合に両方の考え方ができるのだな」と思えるのかどうか。教養や知識の度合いの問題こそ、本当に学校で積み重ねていかなければいけないのではないかと思います。
 それから、例えば、再稼働しようとすると、知事選や市長選、町長選など、必ず選挙があるのですね。すると、もはや冷静に論じることは難しくなる。「さあ、直ちに稼働しよう」と言う人間と「いやいや、そうじゃない」と言う人間と争うわけです。「ここは冷静に議論しよう」という話しにはなかなかならない。民主主義の国である限り、それは避けられないことでもあるのですが、一体どう考えればいいのか。ある種のコンセンサスを成熟した民主主義の国として不断に考えて、新しいものを生み出そうと思わないとなかなか先へ進めないと思います。
 
中林
 日本は海外で事故が起こるたびに「日本も危ない」と言って、反対にマイナスのほうにもっていってしまう、という感じがします。アメリカはスリーマイルアイランド原子力発電所事故の恐怖におののいて、新たな原子力発電所の建設に関して長いこと止めていましたが。
 
日高
 まず第一に、アメリカでは「安全」が論じられるなどというのは聞いたこともないですよ。今の世界テーマは、CO2を除去するためにいくつ原子力発電所をつくるか、という話です。
 つくるに当たっては、エゴが出ますから、「いやだ」と言う人がいます。それをなくするのが国家の仕事だし、コンセンサスをつくるのがマスコミの仕事です。日本では何も行われてない。
 今、何基つくるか、つくることに国民は同意するかどうかです。同意をするために学者や政治家がどう努力するか。ところが、日本人はやってないのです。
 
中林
 日本にはいろいろなトラウマがあって、民意の結集がちょっと困難なところがあるのかな、と頭を悩ませるわけです。政治家のリーダーシップと科学者のがんばりで何とかなるものでしょうか。
 
佐藤
 原子力の平和利用の問題は国家の根幹で、これなしに生きていけないわけですから、もう少し冷静に議論をする。そして、アレルギーがある人のところに切り込んでいく努力をする必要があると思うのです。その場合に有識者がちょっとだけ勇気をもつ必要がある。納得してくれる人がいる居心地の良いところでだけで話をするのではなく、納得しない人のところに出ていって、「こうじゃないのか」と。
 そして日本の技術者、専門家のレベルは高いわけですから、その人たちを信頼する。信頼する感覚はやはり政府がきちんとつくっていかないといけないし、マスコミも国民が興味をもつ話を書かないといけないと思うのです。
 
橋本
 ボタンのかけ違いが日本の原子力利用にはずうっとつきまとっていた。そういうことも仕切り直しをしなければいけない。
 ボタンのかけ違いの最初の一つは、やはり日本が唯一の被ばく国であるからです。そのトラウマが消えないうちに原子力の導入が決まる。そして、冷戦が始まる。それがイデオロギー闘争の一つの大きな材料になっていってしまう、という非常に不幸な歴史がある。この歴史を意識的に清算しよう。そのトラウマからまず脱出しなければいけない。
 それからもう一つボタンのかけ違いがある。それはやはり科学者にも責任があると思いますが、「原子力は安全だ」とこれまで言ってきた。しかし事故は起きるもので、避けられない事故に対してどう対応するかが安全対策です。技術的な問題も含めて、幾重ものボタンのかけ違いをどうやって仕切り直しをするか。そうしないといつまで経っても同じような議論に支配されてしまいます。
 
原子力発電所は社会インフラとして重要な機能を担う
 
中林
 私たちの脱出のヒントは、リセットのタイミングと内容をどうできるかにかかっているかもしれませんが、そのような頭の切り替えを日本人全体としてできるものですか。
 
大橋
 難しいと思います。外国から見ると、原子力をやっていると核武装するのではないかと思われます。しかし日本が成熟した民主主義であり続ける限り、日本の国が核武装することはほとんど考えられません。
 安全については、一般の方がもっている安全の考え方と私たちがもっている安全の考え方はずいぶん違います。専門家ほど「何の問題もない」と。原子力発電所は極めて安全で、社会のインフラストラクチャーとして重要な機能を担うものだと思っています。
 しかし、一般の方は漠然とした不安感をもっていて、それがどんどんエスカレートしていって、怖い猛獣が檻に閉じ込めて、私たちがビクビクやっているのではないか、と。そうすると、「安全を第一に」という言い方をします。私たちの皮膚感覚からいえば、技術的に完成されたシステムですから、きちんと対策をしていることもあり、たいしたことは起きないと思っているわけですが、現実には、「念には念を入れろ」ということで、箸の上げ下ろしまで管理したり、裸になるまで透明化することになり、あまり意味のない社会的コストがたくさんかかっています。
 コストがかかることが国民が理解した上で、「それでいいんだ」といえばそれでいいと思いますが、本当に国としてリスキーでお金をかけなければいけないところにかけるお金が残ってない。
 こういうことを改善していくこと、バランスを良くしていくことができるかどうかは、私たちの頭の中を変えないいけない。難しいといってもできないことはないので、専門家として努力したいと思います。
 
橋本
 今、年金と消費税について非生産的な議論が行われています。消費税は少ないほうがいいに決まっています。しかし、そのことと年金がいくらもらえるかという関係がきちんとわかれば、「さあ、どっちを選ぶのか」という話になるわけです。
 原子力についても「不安を覚えている人もいる。しかし、日々CO2に蝕まれている現実がある。さあ、どっちをとるか」という具合に選択肢を提示されれば、判断ができるわけです。
 片方は「漠然として怖い」、CO2の場合は「しかし、見えるわけでもないから」ということであれば、想像力を働かせれば判断できる。今までは、そういう判断ができるような機会が与えられてなかったと思います。
 
大橋
 私たちは常にリスクやベネフィットを選択肢から選んでいくことが必要だと思います。
 原子力は、決して必要悪ではありません。クリーンで人類が獲得してきた技術エネルギーとして、選択肢の一つと考えていくべきだと思います。
 個人個人が原子力の必要性や安全性を理解してほしい、というのが私たちのアプローチだったのですが、そうではなくて、行政庁、規制庁、電気事業者や私たち専門家、あとマスメディアが、国民に漠然とした信頼感をもってもらうことが仕切り直しの一番近い方法かなと思っています。
 
中林
 漠然とした信頼感が日本で打ち立てられるんでしょうか。
 
佐藤
 打ち立てなければ、国家と日本人は生き残れない。日本の国はだらしないように見えますが、コンセンサスをつくろうという内側からの力が働いてくる国なのです。アジアの中で唯一植民地にされなかった国です。こういう国であるにもかかわらず、今、ちょっとセンサーシステムが鈍っている。
 
中林
 世界の状況から見て、日本が生き残れなくなるという緊張感があれば、原子力に対する信頼感もちきっと打ち立てようという使命と意志をもつはずです。
 しかし、日本人は激動する世界情勢の中で生き残れないかもしれない、という危機感を持っていないのではないかと思います。
 
■CO2を排出しないために原子力発電所がこれから何基要るか
 
日高
 今、原子力エネルギーについて必要なことは、CO2などを何トン出さなくて済むかというために、原子力発電所がこれから2030年までにどれだけ要るか、ということだけです。
 それよりももっと大きなエネルギーの問題は代替エネルギーバブル崩壊です。世界中でこんなにたくさん代替エネルギーの研究に金を使ったときはない。「エネルギーが足りないから原子力」という話はもう古いのです。CO2で地球が滅びてしまうからどうするか、という考えのほうが強い。
 
中林
 「地球を救うための原子力発電」となってくるわけですね。
 
日高
 そうですね。
 
大橋
 日本ではエネルギーの自給率は4%、それに対して食料は40%の自給率だと言われています。食料は努力すれば自国で何とかできる側面がありますが、エネルギーが4%ではどうしようもありません。これを切られたら、日本はホントに国としての機能を果たさなくなる。石油がなくなると漁師さんが魚を捕りに行けずに、魚も食べられなくなるような非常に複雑な現代社会のもっている構図がある。
 エネルギーの確保は思っている以上に複雑に日常生活に影響しているし、あるエネルギーを開発するのに数年から10年かかるということを考えれば、やはりきちんとした国としての意思を持つことが極めて重要だなと思います。
 
橋本
 私も柏崎刈羽原子力発電所を見ましたが、地震が主要な施設には全く影響を残さない優れた設計だったことが裏づけられている。その背後には、日本の技術の粋を集めたものがひょっとしたらあるのかもしれない。
 その信頼がちょっと火災が起きただけで木っ端微塵になっている。しかし大事なのは「もうちょっと考えてみよう。日本の技術があそこに凝縮されているのかもしれない」という想像力です。私たちの生活を成り立たせている大事なものは、私たちが見えないところにはひょっとしたらあるのかもしれない。そういう気持ちをもつことが根本的に必要ではないか、という気がします。
 
日高
 これから、40、50年は原子力エネルギーしかない。その後は、やはり太陽エネルギーです。そういう長期的なエネルギー構想が日本にとって必要になります。したがって、CO2などをなくすにはいくつの原子炉が必要なのか、という具体的な問題がテーマにあんるべきだと思うのです。
 世界中をみてみると、やはり原子力の技術は日本なのです。今、世界に440基ある原子力発電所が、2030年までには1500基になる。それは全部日本の技術がないいとできないわけです。日本人の、ものの考え方と発言力はものすごく強いと思っていいと思います。
 
大橋
 私たちの生きていることの目標、何を意義にして、リスクをどう考えるか。とにかくカッカカッカして怒ってばかりいないで、少し落ち着いてほしい、というのが正直なところです。
 10年前の京都会議(COP3)で環境の問題が議論されたときは、「原子力は来るな」と何か汚いもののように扱われました。最近の海外、国内の状況を見ると、まさに十年一昔です。いよいよ原子力が期待されていることをひしひしと感じています。
 
橋本
 ラディカルというのは根源的という意味もありますが、今こそラディカルなものの見方をどうやって共有すべきなのかが問われていると思います。
 食料の自給率が40%以下で、それに対して手を打たないでいる国というのはどういう国なのか、やはり根本から考え直さなければいけない。エネルギーは4%しかない。全部首根っこを押さえられている国は、真に独立している国と言えるのか、その根本まで考えながら、「4%からできるだけ増やすためにはどういう方法があるか」「大きな地球的な課題になっている地球環境の問題をどうするか」を議論していく。それらをやっていくのはやはり教育の場だと思う。そういう訓練がもっと学校教育であってもいい。おそらく原子力はほとんど教えてないでしょう。まずそこのところを仕切り直しの一番の根本に据えなければいけないと、つくづく思います。
 
佐藤
 日本は、技術水準が極めて高く、誇りをもっていて、それをきちんと理解可能な言語でしゃべることができる専門家がいる。国際的にはそういう国はあまりないと思います。これだけ知的水準が高い日本で、ここのところで何か合成の誤謬が起きている。官僚も決して極端に能力やモラルが低いわけではない。
 本当に仕切り直しをやるためには、とにかく行動することです。自分のいる場所で、今の仕事を一生懸命やる中で、もうちょっとリスクを負って。とにかく「バカの壁」を破って、一つひとつのことについて、特に国家にとって重要なこの原子力の問題は、国民一人ひとりが惰性に流れるということではなく、自分の頭で考える問題にしていきたいと思います。
 
中林
 今日のシンポジウムで、日々の生活の中、「知の集結」である原子力が私たちの生活にどれだけ密着しているのかを考えていくきっかけになれば大変幸いではないかと思います。

因みに中林美恵子さんは翌年の2009年8月の衆議院選挙で、神奈川県第1区から民主党候補者として出馬して当選しております。
 
参考:【原発の不都合な真実】原発は温暖化対策に役立たない−この世界には、はるかに有効な二酸化炭素の排出削減政策がたくさんある
 

*1:月刊『原子力文化』2008年12月号 P3-11

*2:シンポジウムは2008年10月23日、東京・有楽町朝日ホールにて開催

*3:中林美恵子・・・衆議院議員(当時の肩書きは跡見学園女子大学マネジメント学部准教授) Wikipedia

*4:日高義樹・・・米ハドソン研究所首席研究員 Wikipedia

*5:佐藤優・・・文筆家(当時の肩書きは起訴休暇外務事務官・作家) Wikipedia

*6:橋本五郎・・・読売新聞特別編集委員 Wikipedia

*7:大橋弘忠・・・東京大学工学系研究科システム創成学専攻教授 Wikipedia

今後の原子力発電

福島第一発電所の事故発生により、今後の原発政策は完全に不透明になりました。
そこでもし今後新規に稼働する原子炉が増えず原子炉の寿命を40年と仮定した場合、
現在稼働中の原子炉が運転終了になるのはいつなのか?
恐らくどこかにまとまった資料が有るんでしょうけど、見つからなかったので、
勉強も兼ねてWikipediaから数字を拾って一覧を作ってみました。
尚、福島第一は全て廃炉に、第二はそのまま稼働することにしています。
転記ミス等々もあるかと思いますんで、あくまで目安ということでご容赦願います。

■電力会社別の稼働中原子炉
以下、原子炉名(定格電気出力)・・・運転開始年月日・・・運転終了予定年
  
北海道電力
柏1号機(57.9万kW)…1989年6月22日…2029年
柏2号機(57.9万kW)…1991年4月12日…2031年
柏3号機(91.2万kW)…2009年12月22日…2049年
合計:207万kW
 
東北電力
東通1号機(110万kW)…2005年12月8日)…2045年
女川1号機(52.4万kW)…1984年6月1日)…2024年
女川2号機(82.5万kW)…1995年7月28日)…2035年
女川3号機(82.5万kW)…2002年1月30日…2042年
合計:327.4万kW
 
東京電力
福島第二1号機(110万kW)…1982年4月20日…2022年
福島第二2号機(110万kW)…1984年2月3日…2024年
福島第二3号機(110万kW)…1985年6月21日…2025年
福島第二4号機(110万kW)…1987年8月25日…2027年
柏崎刈谷1号機(110万kW)…1985年9月18日…2025年
柏崎刈谷2号機(110万kW)…1990年9月28日…2030年
柏崎刈谷3号機(110万kW)…1993年8月11日…2033年
柏崎刈谷4号機(110万kW)…1994年8月11日…2034年
柏崎刈谷5号機(110万kW)…1990年4月10日…2030年
柏崎刈谷6号機(135.6万kW)…1996年11月7日…2036年
柏崎刈谷7号機(135.6万kW)…1997年7月2日…2037年
合計:1261.2万kW
 
中部電力
浜岡3号機(110万kW)…1987年8月28日…2027年
浜岡4号機(113.7万kW)…1993年9月3日…2033年
浜岡5号機(138万kW)…2005年1月18日…2045年
合計:361.7万kW
 
■北部電力
志賀1号機(54万kW)・・・1993年7月30日・・・2033年
志賀2号機(135.8万kW)・・・2006年3月15日・・・2046年
合計:189.8万kW
 
関西電力
美浜号1機(34万kW)・・・1970年11月28日・・・2010年
美浜号2機(50万kW)・・・1972年7月25日・・・2012年
美浜号3機(82.6万kW)・・・1976年3月15日・・・2016年
大飯1号機(117.5万kW)・・・1979年3月27日・・・2019年
大飯2号機(117.5万kW)・・・1979年12月5日・・・2019年
大飯3号機(118万kW)・・・1991年12月18日・・・2031年
大飯4号機(118万kW)・・・1993年2月2日・・・2033年
高浜1号機(82.6万kW)・・・1974年11月14日・・・2014年
高浜2号機(82.6万kW)・・・1975年11月14日・・・2015年
高浜3号機(87万kW)・・・1985年1月17日・・・2025年
高浜4号機(87万kW)・・・1985年6月5日・・・2025年
合計:976.8万kW
 
中国電力
島根1号機(46万kW)・・・1974年3月29日・・・2014年
島根2号機(82万kW)・・・1989年2月10日・・・2029年
合計:128万kW
 
四国電力
伊方1号機(56.6万kW)・・・1977年9月30日・・・2017年
伊方2号機(56.6万kW)・・・1982年3月19日・・・2022年
伊方3号機(89万kW)・・・1994年12月15日・・・2034年
合計:202.2万kW
 
九州電力
玄海1号機(55.9万kW)・・・1975年10月15日・・・2015年
玄海2号機(55.9万kW)・・・1981年3月30日・・・2021年
玄海3号機(118万kW)・・・1994年3月18日・・・2034年
玄海4号機(118万kW)・・・1997年7月25日・・・2037年
川内1号機(89万kW)・・・1984年7月4日・・・2024年
川内2号機(89万kW)・・・1985年11月28日・・・2025年
合計:525.8万kW
 
■日本電子力発電
東海第二1号機(110万kW)…1978年11月28年…2018年
敦賀1号機(35.7万kW)・・・1970年4月20日・・・2010年
敦賀2号機(116万kW)・・・1987年2月17日・・・2027年
合計:261.7万kW

 
上記の数字を基に、今後の運転停止予定年表を以下にまとめます。
尚、既に40年を超えている原子炉は来年に運転停止するものとして仮定してます。

■国内原子炉運転停止予定年表
以下、年・・・総発電量 運転停止予定炉
 
2011年・・・4441.6万kW
2012年・・・4321.9万kW 美浜号1機(34万kW)、美浜号2機(50万kW)、敦賀1号機(35.7万kW)
2013年・・・4321.9万kW
2014年・・・4193.3万kW 高浜1号機(82.6万kW)、島根1号機(46万kW)
2015年・・・4054.8万kW 高浜2号機(82.6万kW)、玄海1号機(55.9万kW)
2016年・・・3972.2万kW 美浜号3機(82.6万kW)
2017年・・・3915.6万kW 伊方1号機(56.6万kW)
2018年・・・3805.6万kW 東海第二1号機(110万kW)
2019年・・・3570.6万kW 大飯1号機(117.5万kW)、大飯2号機(117.5万kW)
2020年・・・3570.6万kW
2021年・・・3514.7万kW 玄海2号機(55.9万kW)
2022年・・・3348.1万kW 福島第二1号機(110万kW)、伊方2号機(56.6万kW)
2023年・・・3348.1万kW
2024年・・・3096.7万kW 福島第二2号機(110万kW)、女川1号機(52.4万kW)、川内1号機(89万kW)
2025年・・・2613.7万kW 福島第二3号機(110万kW)、柏崎刈谷1号機(110万kW)、高浜3号機(87万kW)、高浜4号機(87万kW)、川内2号機(89万kW)
2026年・・・2613.7万kW
2027年・・・2277.7万kW 福島第二4号機(110万kW)、浜岡3号機(110万kW)、敦賀2号機(116万kW)
2028年・・・2277.7万kW
2029年・・・2137.8万kW 柏1号機(57.9万kW)、島根2号機(82万kW)
2030年・・・1799.8万kW 柏崎刈谷2号機(110万kW)、柏崎刈谷5号機(110万kW)、大飯3号機(118万kW)
2031年・・・1741.9万kW 柏2号機(57.9万kW)
2032年・・・1741.9万kW
2033年・・・1346.2万kW 柏崎刈谷3号機(110万kW)、浜岡4号機(113.7万kW)、志賀1号機(54万kW)、大飯4号機(118万kW)
2034年・・・1029.2万kW 柏崎刈谷4号機(110万kW)、伊方3号機(89万kW)、玄海3号機(118万kW)
2035年・・・946.7万kW 女川2号機(82.5万kW)
2036年・・・811.1万kW 柏崎刈谷6号機(135.6万kW)
2037年・・・657.5万kW 柏崎刈谷7号機(135.6万kW)、玄海4号機(118万kW)
2038年・・・657万kW
2039年・・・657万kW
2040年・・・657万kW
2041年・・・657万kW
2042年・・・475万kW 女川3号機(82.5万kW)
2043年・・・475万kW
2044年・・・475万kW
2045年・・・227万kW 東通1号機(110万kW)、浜岡5号機(138万kW)
2046年・・・91.2万kW 志賀2号機(135.8万kW)
2047年・・・91.2万kW
2048年・・・91.2万kW
2049年・・・0万kW 柏3号機(91.2万kW)
2050年・・・0万kW

パネル座談会 日本の原子力、その指針を考える


原子力文化』という財団法人日本原子力文化振興財団が発行している月刊誌に昨年10月26日に当財団が主催した第47回「原子力の日」記念シンポジウムが特集記事になっていたので、その座談会(田原総一郎十市勉、武黒一郎、高嶋哲夫)の模様を丸々引用してみます。*1 *2

パネル座談会 日本の原子力、その指針を考える --プラント輸出戦略と稼働率向上をどう図るか
 
■日本が中東産油国原子力発電所建設の受注に失敗したのはなぜか
 
田原総一郎(以下「田原」) *3
 日本が油を買っているアラブ首長国連邦(UAE)など中東の産油国原子力発電をつくろうとして、何とその八基は韓国が受注してしまった。
 日本が原子力発電所をつくる技術は世界のトップであることは間違いないから、日本が当然取るであろうと・・・・・・。
 しかし、何でこういう事態になったのか。
 
十市勉(以下「十市」) *4
 UAEは人口が年率六%くらいで増えており、世界でも最も高い伸びです。電力需要も八〜九%の割合で増えていて、電力が足りない。発電の九八%は天然ガスです。石油は輸出して外貨を稼がないといけないから自国では使わない。
 天然ガスも日本の電力会社などに輸出している商品です。そうなると、原子力がコスト的にも電力量の安定確保の面でも非常に優れており、原子力の導入を計画して、具体的な国際入札を行ったのです。
 
武黒一郎(以下「武黒」) *5
 UAEから「プラントの建設だけではなくて、運転保守もセットにしてやってほしい」と。そこで韓国、フランス、日米連合でそれぞれお電力会社が関わった形での取り組みになり、韓国は韓国電力が頭になった。
 
田原
 メーカーでなく、電力会社が頭になったと。
 
武黒
 ええ。ところが、日米連合でフランスはメーカーが先に立っていた。UAEから見ると、どういう役割分担になるのか、わかりにくかったようです。もう一つ、韓国は非常に長期間の運転保守を提示しました。
 
田原
 「六○年間電力を保証する」と言った。
 
武黒
 韓国は、普通、我々がやらないような保証を申し出ました。また価格的にもかなり低かった。そして原子力倍賞や竣工が遅れたときのリスクを韓国では国営会社が自分で負うことにした。日米連合では、民間会社がそのようなリスクを完全に負い切れないために、価格に転嫁せざるを得なかったという構図の違いもあったのです。
 
田原
 韓国のメーカーと運転する電力会社と国、三位一体でやった。何で日本はバラバラなのか。
 
武黒
 日本ではプラント輸出はメーカーがやるものという固定観念があった一方、韓国では国を挙げた総合的な取り組みになっていた。そして、民では取り切れないリスクをどうやってヘッジ(防止)するかという条件整備が、その時点ではあまり十分ではなかった。
 
田原
 原子力だけではなく、日本は技術は高いけど、商売が下手じゃないのか。
 
武黒
 もう少し新規導入国の期待していることが何なのかをよく理解しなければいけない。それには巨額のお金が要る。どのようにしてファイナンスで支援できるか。この二つをしっかりと、相手のニーズに応じた形で提供するビジネスの仕方に変えていかないと、この状況から抜け出ることはできないでしょう。
 
田原
 今年になってベトナム原子力発電所を二基発注し、チェルノブイリ事故を起こした、あのロシアが取ってしまった。日本の原子力発電を世界に売るとき、いったいどこに問題があるんですか。
 
高嶋哲夫(以下「高嶋」) *6
 小説を書くときには、編集者に「まず原子力発電所を何とか壊してくれ」と言われるんです。どうやって壊すか考えるのですが、いろいろな防御がされていて、なかなかそれは難しい。やはりヒューマンエラーしかない。
 
田原
 人間の失敗。
 
高嶋
 それくらいしかないのです。ですから、やはり「日本の原子炉は、世界で一番安全なものである」ということを売りにするのが、一番いいのではないでしょうか。
 
武黒
 原子力の場合には、まず安全な設計をしなければいけない。そして、それを運用するときも安全な条件をきちっと守りながらやる。この二つは不可欠なわけです。
 きちっと実行するということが、個人だけではなくて、組織として必要なことで、それを最優先するという安全文化が原子力には欠かせない。
 
田原
 それができてないロシアの原子炉を買って、ベトナムは大丈夫なのか?
 
武黒
 世界の四○○以上の原子力発電所が加入している世界原子力発電事業者協会(WANO)のキャッチフレーズは We are hostage of each other(お互いの捕虜である)。「世界のどこかで誰かが事故を起こしたら、世界中みんなだめになってしまう、という危機感を共有して、安全を最優先にするような仕事ぶりをお互いに守ってやりましょう」と努める組織をつくって、チェックしています。
 その意味では、今、ロシアもそういう体制の中で努力をしている。ただ、まだまだいろいろな点を改善する余地はあるので、常にお互いに学び合う。そして、そこから改善をしていく。その意識を共有しなければいけません。
 私は国際原子力開発という会社で、ベトナムからも受注を目指したいが、安全文化は、我々が持っていて相手に渡すわけにいかない。現地で一緒につくって共有していかなければいけない。その仕事は、我々の大事な任務の一つだと思います。
 
森本
 日本の原発輸出は、従来、欧米市場に対して非常にビジネスライクに「商品力で価格が決まる」というように、収益を中心に契約してきた。しかし今から原発をつくろうとする途上国に対して、これと同じやり方でアプローチしたのが今回の敗因の一つだったのではないか。
 途上国に対しては国が国家的な取り組みをして、政府がトータルなオファーをしなければならず、例えば、ODAや融資、あるいは人材教育や場合によっては武器売却、共同開発、環境対策、農業支援など、相手のニーズに応じるような提案をしていかなければ、途上国の契約を日本が取ることができない。その意志決定をするために政治の仕組みがまだできてないと思います。
 政府与党に資源エネルギー特別委員会や資源・エネルギー対策諮問会議をつくって、産業界、財界がきちっと意見を申し述べて、国、政府が全体として取り組むという体制をとらなければ、これからは中国に負けるということになるかもしれません。
 
田原
 そうです。
 
森本
 中国がやがて提供国に参入してくることを考えると、日本の今までの取り組みは発想の転換を図る時期にきているのではないか。
 
武黒
 途上国になると、相手は国であって、電力会社ではない。国ベースでのやり取りがない限り物事は進みません。国は、どうやったらその国が発展するかを考えてやっている。その大きな枠組みの中で原子力も含めてどうやるか。
 原子力に場合は、官民の役割もきちっと明確にして、連携して力を出していく。その総合力を試されるのがベトナムだと思っています。
 
■日本の原子力発電所稼働率はなぜこんなに低いのか
 
田原
 日本の原子力発電所は現状、稼働率は何%ですか。
 
十市
 去年は六六%、今は七○%くらいです。
 
田原
 何で稼働率がこんな低いんだろう。
 
十市
 アメリカやヨーロッパの国に比べて、定期検査に入るまでの運転期間が日本の場合は一三か月。ヨーロッパやアメリカは一九か月と長い。また定期検査の期間も日本の場合は百数十日、アメリカは四○日と短い。
 
田原
 三分の一?
 
十市
 また、計画外停止と言って、何か小さなトラブルがあって、原子力発電所が止まり、再稼働させるための日数が二○○八年、九年で見ると、アメリカが平均五日間でスタートし、日本は三五、六日となかなか再稼働しにくい。
 
田原
 何で長いんですか。
 
武黒
 原因を徹底的に調べて、再発防止対策をきちっとやって、そのことについて世の中によく理解をいただいて、そのプロセスを全部シリーズでやらなければいけないから、どうしても一回止まっても立ち上がるまでの時間が三十何日かかってしまう。
 
田原
 日本のほうが正しくて、アメリカは少し性急過ぎて、間違いだということですか。
 
武黒
 必ずしもそうではありません。つまり、原因が容易にわかるような事象については、原因が確定した段階で対策を行って、その結果についてお知らせするということは、アメリカでも同じようにやっています。しかしそのプロセスを、日本のように律儀に全部一個ずつ終わってからでないと次のステップにいけないというやり方は求めてない。その違いだと思います。
 
高嶋
 故障で止まった場合、アメリカは故障の程度が軽く速やかに修理できれば電力会社が独自の判断で運転再開できますが、日本の場合は安全第一で国と地方自治体の了解を得なくてはならないんですね。
 
十市
 原子力発電所が所在している市町村の議会や、首長がオーケーと言い、次に県のレベルで県の議員と首長、県知事がオーケーと言ってようやく動く。そういう意味では、国がいくらオーケーと言っても動かない三重構造になっているのです。
 
田原
 地方自治体は非常に慎重である、と。
 
十市
 慎重であるのはいいのですが、安全審査は国が一元的にきちっと責任をもって「技術的に安全だ」と言えば、やはりそれが本来的に正しい。
 
田原
 そうなると、中央集権だという話が出てくる。
 
十市
 アメリカでもヨーロッパでも、安全審査に対しては一元的に国が責任を持っています。
 
高嶋
 自治体と電力会社との約束事で、法的な制約は全然ないが、そういう慣例になっている。地元自治体が納得ができない限りは運転再開できない、と紳士協定的に決まっています。
 
森本
 欧米は物事の思考が非常に論理的で、原発という非常に機微なシステムは常に故障はあり得るわけで、その蓋然性を科学的に究明して、どのような定期検査の期間と、どのような感覚をもったらいいかを科学的にデータで証明して、それで安全性を管理している。日本の場合は「安全」だけではなくて、「安心」というもう一つ別の要素を入れています。
 事故が起きて原発を止めると、「やっぱり原発は安全でないから、長い時間かけて検査しているんだ」という逆のネガティブ・キャンペーンに使われて、結果として、メディアが事件や事故を誇張して報道し、リスクを取りたくない官僚制度や地方自治体が、とにかく慎重に慎重にとなる。
 
田原
 停止を長めに・・・・・・。
 
森本
 そうすると、どういうことが起こるか。一三か月の間に一四○日止めるということは、計算上、稼働率はどんなにがんばっても七五%以上にはならない。
 欧米は八五%から九○%くらいの稼働率になっています。日本はわざとそういうふうにして、「安全」以外に「安心」という別のルールを持ち込んで、わざと稼働率を低くしている、というふうにしか私には思えない。
 
田原
 少し前、東京電力が故障やひび割れなどを報告してないことが大問題になったことがあった。
 
武黒
 結局、当事者は「この程度のひびであれば問題ない」と自分たちの技術判断をした。「その程度のことであるから、報告するまでもない」と内部で処理してしまった。これはやはり事業としての責任を全うしたことにはならなかったと思います。
 つまり、問題が起きたなら、ちゃんと取り組みという姿勢を世の中に見せない限り、信頼は得られないと思います。
 
田原
 GE(ゼネラル・エレクトリック社)の子会社が、故障やひび割れを全部チェックしているのに報告をしなかった。つまり、報告すれば全部止めなくてはいけなくなる。ちょっとしたひび割れとかで止めていたら、稼働率がもっともっと下がってしまう。「安全なのに、報告すると止めなくてはいけないから、報告しなかった」と。
 
武黒
 そういうことがあったと思います。その後、「維持基準」というものができて、日本でも認められるようになり、検査の方法も明確になりました。検査の技量もついてきて、最近はちゃんと評価をして、報告をして、不必要に止めなくてもいい、
 
田原
 今は全部報告できるようになった。
 
武黒
 ええ、報告しなければ、会社として成立しませんから。
 
核燃料サイクルができないと将来的に原子力発電が進んでいかない
 
田原
 今、青森県核燃料サイクル、再処理をやろうとしている。しかし、これが大変遅れている。
 
武黒
 再処理のプロセルはちゃんと動いているのですが、出てくる核分裂生成物を溶けたガラスの中に入れて封じ込めるプロセスがうまく機能しないので、操業開始が遅れている状況です。
 
田原
 フランスやイギリスではすでに再処理をやっている。何でその技術をそのまま日本に持ってこなかったんですか。
 
十市
 やはり日本として独自技術でやりたいと・・・・・・。しかし、新しい技術を開発し、それを実用化につなげるところが必ずしもうまくいってない。新しい技術開発にはそういう面がままあるんですね。
 
森本
 核燃料サイクルの技術に成功すると、多量のウランを常に入手しないでいい、という非常に大きな利点があるので、日本のエネルギー産業にとって、将来、核燃料サイクルはぜひとも成功させてほしいと思う。
 
田原
 絶対に必要です。核燃料サイクルができないと、将来的に原子力発電が進んでいかない。
 
森本
 日本では研究開発と生産化を別のフェーズで、別の場所で、別の人間が別のシステムの中でやることができないで、同じシステムの中で同時に両方やっています。
 医学や薬学でもそうだが、日本は基礎的な研究開発の土壌をもう少し広げないといけないのかもしれない。
 
武黒
 アジアでは中国などウランがあまりない国は、再処理をしようとしている。しかし、アジアで商業的な規模でちゃんとできそうな状況になっているのは日本だけです。核燃料死明くる野技術全般に対する日本の技術力や研究開発力の評価は、アジアの中でも大変高いので、日本は責任をもって進め、確立することが必要です。
 
田原
 それにしても再処理はいつ頃できるんですか。
 
武黒
 今の計画では、あと二年で完成する。
 
田原
 また延期にはならない?
 
武黒
 原子力の仕事で期限を切って「急いでやれ」と言うと、ろくなことにならない。むしろ、ここでしっかりと足元を固めることが大事だと思います。
 
十市
 新しい技術ですから、二年後に、絶対であってほしいが、やはりやってみないとわからない面もあります。
 しかし、きちっとやらないと、日本の原子力発電そのものが回らなくなるので、時間をかけてもやり遂げないといけないと思います。
 
田原
 議論はまだ尽きないんですが、そろそろ時間になりました。このへんで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
 
※このシンポジウムの五日後、一○月三一日に日本はベトナムとの間で原子力発電所二基の建設、運転、保守を受注することで合意しました。

 
因みに上記シンポジウムの1週間前に青森弘前市で行われた「原子燃料サイクル意見交換会」にも田原総一朗さんは参加されていた事を下記のブログ記事で知りました。丸々引用。
核燃・だまっちゃおられん津軽の会ブログ

田原総一郎氏へ講演料110万円
 10月19日に弘前市で行われました「原子燃料サイクル意見交換会」について、安藤晴美県議が情報開示請求しました。その結果、わかったことです。
企画は、資源エネルギー庁青森県の共催で、(株)RABサービスに委託されて行われており、委託料は129万6750円。その内訳は、ジャーナリストの田原総一郎氏の講演料が110万円。交通費8万円。司会料3万円。管理手数料(食費含む)2万5千円。
 安藤晴美県議は、この会に参加したそうで、安藤晴美のブログ http://www14.ocn.ne.jp/~harupin/ftop/ajisaidayori/ajisai100910.htm  に、感想を掲載しています。
 田原総一郎氏は、前半の30分は、原発の必要性と日本の原発の技術がいかに優れているか、また中東やベトナムに輸出できず、韓国に先を越されたのは、日本の商売が下手で、仲間づくりが下手だから・・・・などと述べたそうです。その後の30分は、もっぱら最近開かれた国会での予算委員会の話や中国との尖閣諸島をめぐる問題、反日デモにまつわる中国人の反政府感情などの話をしたそうです。
しかも、安藤県議が、「再処理施設のガラス固化技術が行き詰まっている問題をどう思うか」と質問したのに対し、「困っているのは原燃でしょ?あなた、何かそれで困ることあるの」と発言したそうです。
しかも、最後に、発言した方が安全性の問題を指摘したところ、「あなたのような方が頑張らないと・・」とかいいながら、最後まで答えようともせず、そそくさと部屋を出ていったのだそうです。
 こういう不誠実な講師を110万もの大金(税金)を投入して招聘するという県の見識を疑います。(みうら)

 
上記ブログで紹介されていた安藤晴美県議サイトの該当部も丸々引用
安藤はるみのページ

2010年 10月19日

 原子燃料サイクル意見交換会弘前で開催され出席してきました。

 経済産業省資源エネルギー庁青森県の共催です。

 最初に原子燃料サイクルについての説明がなされ、その後、ジャーナリストの田原総一朗氏が講演を行いました(写真)

 てっきり今日の表題「原子燃料サイクル」について、ご本人の考え方を述べるのかと思いきや、前半の30分は、原発の必要性と日本の原発の技術がいかに優れているか、また中東やベトナムに輸出できず、韓国に先を越されたのは、日本の商売が下手で、仲間づくりが下手だから・・・・などと。

 その後の30分は、もっぱら最近開かれた国会での予算委員会の話や中国との尖閣諸島をめぐる問題、反日デモにまつわる中国人の反政府感情などの話で、核燃料サイクルの問題を講義してもらうために、税金をたんまりかけて呼んだはずの講師なのにがっかりしました。

 「再処理施設のガラス固化技術が行き詰まっている問題をどう思うか」の質問に「困っているのは原燃であり、あなた、何かそれで困ることあるの」と問題をはぐらかす有様でした。

 最後に、発言した方が安全性の問題を指摘したところ、「あなたのような方が頑張らないと・・」とかいいながら、誠実に答えようともせず、そそくさと部屋を出ていきました。

 
ついでに、田原総一郎さんは政治家の講演会では講演料を受け取らない主義だそうです。
http://twitter.com/#!/namatahara/status/12980566806

*1:月刊『原子力文化』2010年12月号 P6-11

*2:シンポジウムは2010年10月26日、東京・有楽町朝日ホールにて開催

*3:田原総一朗・・・ジャーナリスト、批評家 Wikipedia

*4:十市勉・・・日本エネルギー研究所専務理事 IEE Japan

*5:武黒一郎・・・国際原子力開発株式会社代表取締役社長 Wikipedia

*6:高嶋哲夫・・・小説家 Wikipedia