Queen Elizabeth II Cup: G1 Sha Tin Turf 2000m

去年と情勢がほぼ変わっておらず、それならばRomantic Warriorの三連覇を阻むものはいないだろう。去年2着のPrognosisが今年も遠征しており、こちらも安定していそうである。

RandwickのQueen Elizabeth Sはイースター開催の都合で日程が前後するため、今年は香港のChampions Dayに中一週となってしまったことから、シドニーからの遠征馬はいない。遠征馬は日本からの3頭とお馴染みのDubai Honourである。メンバーが代わり映えしないので、香港の4歳でHong Kong Derbyを勝ってきたMassive Sovereignに期待を掛けられるかどうかといったところ。

Romantic Warrior: Acclamation - Folk Melody by Street Cry

香港Danny Shum厩舎の6歳馬。レート123。

香港の中距離最強馬。香港でデビューし、4戦全勝で4歳三冠に挑むと、Classic MileとHong Kong Derbyの二冠を獲得した。真ん中のClassic CupはCalifornia Spangleの4着で、このころまではCalifornia Spangleの方が香港での実績が上で安定していた。Hong Kong Derbyの次に出走したのが2022年のQueen Elizabeth II Cupで、この時は香港馬のみによるレースとなったが、地元の強豪Russian Emperorなどに完勝して香港の中距離路線のトップに立った。

昨シーズンはG2 Jockey Club Cupから始動し、続くG1 Hong Kong Cupでは日本から遠征したDanon The Kid以下を軽くひねりつぶしてその力を見せつけている。2023年になるとG1 Stewards’ CupとG1 Hong Kong Gold CupでGolden Sixtyとの勝負になるがいずれも2着、Queen Elizabeth II CupはPrognosisらに完勝し、Eishin Preston以来の連覇を達成した。同年中に日本遠征という話題も出たが、Champions And Chater Cupの2着でシーズンを終えると、最終的に秋はオーストラリアに向かった。

今シーズンはオーストラリアに遠征してG1 Turnbull Sを4着からG1 Cox Plateを勝った。香港に戻るとG1 Hong Kong Cup、G1 Hong Kong Gold Cupと連勝しており盤石である。Hong Kong Cupは好位から4コーナーで仕掛けたLuxembourgに反応して一緒に上り直線ですっと抜け出すと、最後に追い込んだLuxembourgとHishi Iguazuを抑えきった。Hong Kong Gold Cupは内待機で直線に向くと進路を確保してVoyage Bubbleとの競合いになったが、一度も前に出さずに完封した。直線の勝負所で難なく先頭に立つセンスとたたき合いで譲らないしぶとさを持つ。

かつてはMoney Catcherが引っ張る展開と相性が良くないようにも見えたがすでに克服しており、地元の2000mでの敗北は許されないようなレベルに到達しているとも言える。ここをクリアして、話題に出ている安田記念への遠征まで完遂してもらいたいというところ。

香港三冠が終わってからの戦歴では去年の序盤にGolden Sixtyに負けた2戦、2400mでRussian Emperorの一撃を食らったChampions And Chater Cup、オーストラリア遠征の初戦のTurnbull Sで負けただけで、Sha Tinの2000mで食らわせたGolden Sixtyが化け物すぎるという評価でいいのではないか。

Dubai Honour: Pride Of Dubai - Mondelice by Montjeu

イギリスWilliam Haggas厩舎の6歳馬。レートは121。

オーストラリアでG1を2勝している中距離馬。去年のQEII Cupは3着だった。

去年はシドニー遠征でRanvet S、Queen Elizabeth Sと2000mのG1を連勝して挑んだがRomantic Warriorに敵わなかった。その後、イギリスに戻ったがEclipse S、Champion Sとさっぱりの結果で、欧州でG1を戦えるタイプではない。今年はオーストラリア遠征はしておらず、前走はKemptonのオールウェザーのListed Magnolia Sを勝ってきた。

今年はオーストラリアのレースカレンダーとうまくかみ合っていないところがあり直接香港に遠征してきたが、シドニーに行っていた方が良かったのではないかと思う。

Hishi Iguazu: Heart's Cry - La Liz by Bernstein

日本堀厩舎の8歳馬。レートは119。

3度目の香港遠征である。これまでの2回は年末のHong Kong Cupでそれぞれ2着、3着の実績があり、Sha Tinの2000mに対応している。去年のHong Kong Cupでは国内でもさっぱりなところから3着に入っていてびっくりしたが、その後いったん戻って得意とする中山記念で11着からの再遠征は厳しい状態と思わざるを得ない。

Prognosis: Deep Impact - Velda by Observatory

日本中内田厩舎の6歳馬。レートは119。

去年の2着馬だが、勝ったRomantic Warriorからは2馬身の差を付けられていた。その後、札幌記念を勝ち、秋の天皇賞を3着として再度香港に出向いたHong Kong Cupは5着。今回は金鯱賞を完勝してからの遠征で三度Romantic Warriorに挑むことになった。臨戦過程は去年とほぼ変わらない。

Straight Arron: Fastnet Rock - Imperial Lass by Tavistock

香港Caspar Fownes厩舎の5歳馬。レートは118。

香港の重賞戦線で活躍する中距離馬。今年はドバイに遠征してDubai Turfに出走して6着だった。トップレベルには足りない。G2 Jocky Club Cupで勝っている。

Sword Point: American Pharoah - Jazz Song by Fastnet Rock

香港Frankie Lor厩舎の5歳馬。レートは115。

こちらも香港の中距離重賞のプレイヤーであるが、Straight Arronに比べても一枚落ちといったところ。

Nimble Nimbus: Sacred Falls - Marahau by Pins

香港Ricky Yu厩舎の6歳馬。レートは114。

G3 Centenary Vaseの勝ち馬。香港の中距離路線組は今のRomantic Warriorに歯が立たない。

Five G Patch: Camelot - Uliana by Desert Prince

香港Tony Cruz厩舎の6歳馬。レートは113。

Class 2のハンデ戦に出走するレベルだが、重賞に出てきてもG3 Centenary Vaseで2着の実績を持っている。

North Bridge: Maurice - Amazing Moon by Admire Moon

日本奥村厩舎の6歳馬。レートは113。

前走はDohaに遠征してH.H. The Amir Trophyに出走して4着。インコースで窮屈なレースを強いられていたが、日本馬3頭中で最下位であった。

Happy Together: Dragon Pulse - Ruby Girl by Fast Company

香港Frankie Lor厩舎の5歳馬。レートは109。

G1も2000m戦も初出走という6歳馬。1800mではHappy ValleyのG3 January Cupを勝っている。

Massive Sovereign: No Nay Never - Sweet Charity by Myboycharlie

香港Dennis Yip厩舎の4歳馬。レートは106。

去年まではBroadhurstの馬名でO'Brien厩舎の所属だった。2勝を挙げたが、去勢し香港に移籍してきた。移籍後の初戦は今年の3月でClass 3のハンデ戦を快勝すると続いてHong Kong Derbyに出走してこれも勝った。

今年のHong Kong DerbyはHong Kong Classic MileとHong Kong Classic Cupの二冠を取っていたHelios Expressが8着に沈んで、2着は短距離路線からG1 Queen's Silver Jubilee Cupの2着をステップにしてきたGalaxy Patchが入ってきて評価が難しい。

全妹が日本に来ていて、12月の阪神でデビュー勝ちをしたラブコメディである。

Champions Mile: G1 Sha Tin Turf 1600m

香港競馬史上でも指折りの名馬となったGolden Sixtyがその最後を飾るレースである。Voyage Bubbleでもどこまで対抗できるかというレベルで、日本とイギリスから4歳馬が遠征してきたものの相手が強すぎる。香港の今後のマイル路線と考えると4歳のGalaxy Patchに注目しておきたい。

Golden Sixty: Medaglia D'Oro - Gaudeamus by Distorted Humor

香港Francis Lui厩舎の8歳馬。レートは126。

香港のSha Tinのみで30戦26勝というとんでもない戦歴を誇る。去年のChampions Mileを勝った後は、12月のHong Kong Mileのみ出走だが、ベストパフォーマンスを出してVoyage Bubble以下を切り捨てた化け物である。去年のHong Kong Mileの直線で抜け出すときの迫力はとんでもない。初見の時はCalifornia Spangleが内で詰まって死んでると思ったら一瞬で前に行っていた印象である。

実戦こそ絞っているが、バリアトライアルを含めて調整は万全なようである。

Voyage Bubble: Deep Field - Raheights by Rahy

香港Ricky Yu厩舎の5歳馬。レートは119。

香港現5歳世代のエースで1月にはStewards’ Cupを勝って待望のG1タイトルを手に入れた。とはいえ、Hong Kong MileではGolden Sixtyに、Hong Kong Gold CupではRomantic Warriorに及ばずどちらも2着となっており、大物感に欠けている。前走はMeydanのDubai Turfに遠征したものの良いところなく13着に終わっている。

Beauty Eternal: Starspangledbanner - Ithacan Queen by Savabeel

香港John Size厩舎の5歳馬。レートは116。

今シーズンから重賞路線に出てきてG2 Jocky Club Mileを勝ったが、トップレベルではやや苦戦している。前走のG2 Chairman's Trophyでは1400mとはいえBeauty Joyに遅れを取る始末である。

Beauty Joy: Sebring - Impressive Jeuney by Jeune

香港Tony Cruz厩舎の7歳馬。レートは116。

1400mから1600mを主な舞台にしており、去年のChampions Mileで2着に入っている。今シーズンも重賞戦線で上位に来ており、前走ではBeauty Eternalを下してG2 Chairman's Trophyを勝った。

Obamburumai: Discreet Cat - Pink Gerbera by Deep Impact

日本吉村厩舎の4歳馬。レートは116。

去年のNHKマイルカップで3着に入ると秋はRosehillの高額賞金戦Golden Eagleに出走してこれを勝った。今年もまたオーストラリアに遠征し、Doncaster Mileに出走したがこれは13着で、香港に転戦してきた。

三代母のアジアンミーティアUnbridled's Songの全妹で、近親にエントシャイデンという血統馬。

Brave Emperor: Sioux Nation - Roman Gal by Holy Roman Empror

イギリスArchie Watson厩舎の4歳馬。レートは115。

イギリス調教馬だが、実績は大陸側で残している。去年のEuropean Road to the Kentucky Derbyでは、終盤のCondition Raceを勝ち、Cardinal Sで2着となってポイントレースの勝者だったがアメリカには遠征せずドイツに向かった。KrefeldでG3 Dr. Busch-Memorialを勝ち、夏にDeauvilleのG3 Prix Daphnis、秋にはDusseldorfでG3 Grosser Preis der Landeshauptstadt Dusseldorf、San SiroでG2 Vittorio Di Capuaを勝った。この他にG2 Oettingen Rennenで2着等の実績を持つ。

今年はDohaに出てきてG2 Irish Thoroughbred Marketing CupでCairoを下している。

マイル近辺のレースを狙ってあちこちに遠征しているといったところであり、G1は今回が初挑戦となる。

Champagne Color: Duramente - Memorial Life by Reckless Abandon

日本田中厩舎の4歳馬。レートは115。

去年のNHKマイルカップの勝ち馬で、その直後に安田記念に向かったことで話題になった。秋シーズンは出走せず、今年になってダートのフェブラリーSに出走してまたも話題となり、更に高松宮記念にも出走した。NHKマイルカップで3着だったオオバンブルマイとともにレース選択の癖が強いが、シャンパンカラーの場合は安田記念以降が二桁着順ばかりで功を奏しているとは言えない。

Elton Barows: Deep Brillante - Shonan Carat by Brian's Time

日本杉山厩舎の4歳馬。レートは116。

去年は4月に勝ち上がると4連勝で毎日王冠を勝つところまで行ったが、その後はマイルチャンピオンシップを4着、今年になって中山記念で7着という結果に落ち着いている。

Galaxy Patch: Wandjina - Voltara by More Than Ready

香港Pierre Ng厩舎の4歳馬。レートは114。

4歳になって香港でデビューしたオーストラリア産馬。スプリントのハンデキャップ戦で4勝を挙げており、3月に出走したQueen's Silver Jubilee CupでG1に挑戦すると、直線で外から追い込んでCalifornia Spangleには届かなかったが、接戦の2着争いを制した。更に距離が2000mのHong Kong Derbyに出走し、直線では勝ったMassive Sovereignとともに追い込んできて追い詰めたものの2着だった。

単なる短距離馬ではないということもあってかマイル戦を選んできた。もっとも香港馬は4歳の三冠戦が終わってから各馬の得意距離に分かれていくような印象で、Galaxy Patchの今後のレース選択の面からも結果には注目。 

Red Lion: Belardo - Crystal Idea by Namid

香港John Size厩舎の5歳馬。レートは114。

1400m戦をメインに出走しているが、前走のG2 Chairman's Trophyでは3着に入り、マイル戦に対応してきた。

Taj Dragon: Mehmas - Next Trail by Hard Spun

香港Pierre Ng厩舎の5歳馬。レートは110。

G3 Chinese Club Challenge Cupの勝ち馬。1600mでの実績はない。

Chairman's Sprint Prize: G1 Sha Tin Turf 1200m

レベルが高い香港の短距離シーンであるがそのチャンピオンが突然に不在となる事態に見舞われ、今年のSprint Prizeは前走を国外で結果を出してきた3頭が持ちレートの上位を占めている。そうはいってもそのうちの2頭は香港から遠征していたのだから、レベルの高さは相変わらずであるし、香港の4歳馬がこの時期に高いレートを持っていることもないので、次のトップを見極めるようなレースになるのではないか。

今年はAl Quoz Sprintの勝ち馬と高松宮記念の勝ち馬が香港で勝負する形となった。Al Quoz Sprintを勝ったCalifornia Spangleがレーティングではちょっと抜けだした存在になっているが、高松宮記念のMad CoolとVictor The Winnerは遜色ないものと考えてよいだろう。香港のレートだとCalifornia SpangleとVictor The Winnerに大きな差はない。

California Spangle: Starspangledbanner - Pearlitas Passion by High Chaparral

香港Tony Cruze厩舎の6歳馬。レート123。

香港の三冠路線ではRomantic Warriorと鎬を削ってClassic Cupに勝ち、Classic MileとHong Kong Derbyでは2着に入っている。その後の重賞戦線ではマイル路線に進み、さっそくG1 Champions MileでGolden Sixtyの2着に入って期待を集める存在となる。更には年末のHong Kong MileでGolden Sixtyの追い上げをしのいでG1勝利とキャリアに希望が満ちていた。明けて2023年になると香港の上位馬としてGolden Sixty、Romantic Warriorと並ぶ存在となったが、Golden Sixtyの存在は圧倒的であった。今シーズンは不振に陥り、マイラーとしての模索が続いていたが、1400mのG1 Queen's Silver Jubilee Cupで勝利すると、前走はMeydanに遠征し、G1 Al Quoz Sprintを勝ってスプリント路線に名乗りを上げた。香港に戻ってきてみたらスプリントに君臨していたLucky Sweynesseが骨折のため不在でこのレースの主役に躍り出た。

Starspangledbanner産駒は幅広い距離に対応できることが多く、California Spangleもそうだったのだろう。母父High Chaparralはかなり良いパターンでThe Wow Signalが出ているようにスピード勝負も可能。

Mad Cool: Dark Angel - Mad About You by Indian Ridge

日本池添厩舎の5歳馬。レートは116。

スプリンターズSを2着、Hong Kong Sprintを8着、高松宮記念を1着という成績。父がDark Angelで母父Indian Ridge、祖母がDanehill産駒のIrresistible Jewelであり、いかにも欧州のスプリンターといった構成になっている。高松宮記念は重馬場でマッドクールには向いていたのだろう。

年末の香港では外を回ったが直線では手応えがさっぱりで8着に沈んでしまったので、香港の馬場とレースへの対応という点で少し引かれてしまうところはあるか。この週末の香港の天候は良くなさそうで、馬場が渋ってくるとMad Coolには有利に働くだろう。

Victor The Winner: Toronado - Noetic by Cape Cross

香港Danny Shum厩舎の5歳馬。レートは115。

昨シーズンに1200mの下級戦で台頭すると、今季の初戦で斤量差が大きかったとはいえLucky Sweynesseを下した。更にG2 Jockey Club SprintでもLucky Sweynesseに抵抗しクビ差の2着と実力を見せていた。Centenary Sprintを勝ってG1馬として遠征してきた高松宮記念では逃げてレースを作り、最後はマッドクールとナムラクレアに交わされたものの3着となった。

地元に戻って今度はMad Coolを迎え撃つ立場になるのだが、California Spangleがドバイで勝って帰ってきて厄介な相手が増えたというところか。

Lucky With You: Artie Schiller - Heredera by Northern Meteor

香港Frankie Lor厩舎の6歳馬。レートは114。

去年のHong Kong Sprintの2着馬で今年もCentenary Sprintで2着に入ったが、その後Queen's Silver Jubilee Cup、The Sprint Cupをともに9着とよろしくない。特に本レースの前哨戦となるG2 The Sprint Cupで全く伸びを欠いたのは気になるところ。

Invincible Sage: Thronum - Thorsborne by Hinchinbrook

香港David Hall厩舎の4歳馬。レートは110。

前走のThe Sprint Cupで2着。他にBauhinia Sprint Trophyで2着の実績がある。

父ThronumはSnitzel産駒でStreet Cryの近親という血統。母父HinchinbrookはSnitzelの半弟となるからDanehillをRedoute's ChoiceとFastnet Rockから引く形でのSnitzel≒Hinchinbrookで攻める血統。

Howdeepisyourlove: Deep Field - My Shabella by Haradasun

香港John Size厩舎の4歳馬。レートは109。

The Sprint Cupの4着馬。上級戦でこれといった実績は持っていない。

Sunrise Ronaldo: Harbinger - Weisheit by Admire Vega

日本安田翔伍厩舎の5歳馬。レートは109。

シルクロードSで4着、阪急杯で3着。

Flying Ace: Swiss Ace - Dancescape by Danehill Dancer

香港David Hall厩舎の6歳馬。レートは105。

前走のThe Sprint Cupで3着。

Mugen: Deep Field - Little Favours by Falvelon

香港Pierre Ng厩舎の5歳馬。レートは100。

Class 2勝ちまでで重賞出走無し。

Believing: Mahmas - Misfortunate by Kodiac

イギリスGeorge Boughey厩舎の4歳牝馬。レートは109。

ChantillyのG3 Prix Texanita勝ちのあるスプリンター。G1 Sprint Cupは3着だが、British Champions Sprintでは11着だった。

Little Brose: Per Incanto - Mohegan Sky by Straight Man

香港David Hayes厩舎の3歳馬。レートは106。

オーストラリア産馬で、オーストラリアではDavid Hayesの息子のBen & JD Hayesの管理下で走り、G1 Blue Diamond Sを勝っている。3歳のシーズンはいまいちの結果で香港に移籍した初戦が本戦となる。

Kentucky Derby Contenders: Churchill Downs G1 Dirt 10F

150回目のRun for the ROSES、主催者によれば”the World's Most Storied Horse Race"。

先週末に主要な前哨戦の結果が揃った。今年はRoad to the Kentucky Derbyのポイント上位で離脱したのがTimberlakeだけで、去年に続いてボーダーのポイントが爆上がりしている。Santa Anita Derbyの2着馬をこぼしかけたせいなのかは知らないが、2着馬以降へのポイント配分が大きくなっていて影響があったかもしれない。European Roadからの出走表明はなく、Japan Roadからは出走があるのも去年と同じになりそうで、この招待枠を除いて19枠を争う。Japan Roadからの招待枠となるテーオーパスワードの40ptを別に置くと、出走ボーダーは45ptのNo More Timeで、あとはここから脱落が出たとしてどこまでボーダーが下がってくるかという状況となっている。現時点ではEndlesslyが芝に向かう可能性があるくらいの状況である。

週末に最終切符を掛けたG3 Lexington Sが残されているが、エントリーリストと現在のLeader Boardを確認すると滑り込める可能性を残しているのは30pt持ちのHadesが勝って20ptを追加するケースのみ。ボーダーが下がる場合にも40pt持ちのGrand Mo The Firstがいるので、20ptのEncinoは勝ってもそこに並ぶまで、19ptのLiberal Artsは補欠一番手を確保することができない。1着Encino、2着Hadesとなった場合は40ptで3頭が並ぶが、Lexington Sが40万ドルレースであるため、Encinoが賞金で優位に立つ。Hadesの陣営が何とかしたいというのはまあ分かる。

なお、今年のBaffert大先生は0ptで荒らしまくっており、本来ならMuthが125pt、Imaginationが100pt、Wine Me Upでも40ptを持っていた計算となる。MuthのオーナーであるZedan Racing Stablesから4月3日に処分解除の訴訟が提起されているが、Churchill Downsは4月8日にこれの却下を求める申し立てを行ったChurchill DownsはZedan Racingの訴訟に対して反Slappの動議を出し手続きの停止を狙っているため、Zedan Racingは4月11日に反論を提出し、4月15日に裁判所の審理が行われると伝えられている。結果がどうであれ上級裁判所への控訴が可能らしく、レースまでに完全な結着が得られる見込みは薄いのではないか。裁判手続きの中でChurchill DownsによるBaffertの関与禁止処分をペンディングできるかどうかの争いになっているように見える。状況の確認という点に留めるが、MuthとImaginationがいた場合はボーダーが50ptラインに上昇する。とりあえずArkansas Derbyの勝ち馬MuthはPreakness Sに直行することが表明され、Imaginationの次走についてはコメントされていない。

近年の傾向ではFlorida Derbyをファイナルプレップに選んだ馬が優勢で、続くのが中南部Arkansas DerbyやLouisiana Derbyを選んできたケース。西海岸のSanta Anita Derbyは若干落ちるし、NYのWood Memorial出走馬はちょっと厳しいということになる。KYのBlue Grass Sは有力プレップであるが、勝つところまでは遠い。

Thoroughbred Daily NewsにはDerby Top 12という連載記事があり、そこではMuthの評価が高く、Fircenessにはちょっと辛いという印象を受けた。Forever YoungはUAE Derby後にMuth、Sierra Leoneに次ぐ3番手に評価されている。また、Blood-Horseにも同種のDerby Dozenがあり、こちらはFierceness、Sierra Leone、Forever Youngの順に評価されている。Blood-HorseのDerby Dozenは初期からForever Youngをランクインさせており、プレップの結果で3番手にまで上げてきた。

EquibaseのHorse ProfileとPedigreequeryの血統表にリンクを貼ってみたのでそちらを参考にして欲しい。

Sierra Leone: Gun Runner - Heavenly Love by Malibu Moon

Horse Profile (Equibase)Sierra Leone Horse Pedigree

4戦3勝、155pt、KY産馬、2-b族、Chad Brown厩舎。

1着: Blue Grass S(Keeneland G1、100pt)、Risen Star S(Fair Grounds G2、50pt)

2着: Ramsen S(Aqueduct  G2、5pt)

クールモアグループとPeter Brantのジョイントオーナーシップ。

今年2戦2勝でBlue Grass Sからの臨戦となった。Risen Star Sも勝っており、まず文句のつかない戦績ではあるが、Blue Grass SからKentucky Derbyというパターンは好走しても勝つところまでいかないという事になりがちでもある。

過去のBlue Grass S勝ち馬を見るとKentucky Derbyを勝ったのは1991年のStrike The Goldまで遡らなければならない。出走馬として見ても2007年にBlue Grass Sを2着から勝ったStreet Senseまで遡る。他にはThunder GulchSea Heroが出てくるが、まあ軒並み古い事例で少し参考にしづらい。そうは言っても開催が1週前倒しされてからの勝ち馬ではEssential Quality、Zandon、Vekoma、Good Magicと上位に来る馬には事欠かないし、彼らと同じ期待を掛けてもよいレベルだろう。

一方でRisen Star S勝ち馬は2021年のMandalounがKentucky Derbyを繰り上がりの結果とはいえ勝っている。この時はファイナルプレップにLouisiana Derbyを選んで6着からの参戦だった。また、2019年のCountry HouseもRisen Star Sを2着してLouisiana、Arkansasと使ってからのKentucky Derbyだった。このあたりはまあ、Fair GroundなのでLouisiana Derbyか近いArkansas Derbyを選んでくる通常のパターンである。

2-d族Pia's LadyからRoamin Rachelを通るファミリーで祖母Darling My DarlingからはForever Youngも出ている。

Fierceness: City Of Light - Nonna Bella by Stay Thirsty

Horse Profile (Equibase)Fierceness Horse Pedigree

5戦3勝、136pt、KY産馬、20号族、Todd Pletcher厩舎。

1着: BC Juvenile(Santa Anita G1、30pt)、Florida Derby(Gulfstream Park G1、100pt)

3着: Holy Bull S(Gulfstream Park G3、6pt)

去年のBC Juvenileを勝った2歳チャンピオン。今年は2戦1勝ながら最重要のFlorida Derbyを逃げて圧勝してきた。勝ち時計、ラップタイムともに今年のメンバーでは突出しており、何事もなければ一番人気は確実なレベルだろう。Holy Bull Sは3着だが、スタートでごちゃつき外々を回って、Hadesと競りながら直線に入るものの失速し、Domestic Productにも差された。斤量も6ポンド背負う立場であって度外視してよいだろう。

逃げると止まらないし、前に行かれてもBCでGeneral Partnerに対してしたように圧を掛けて潰しに行けるので、基本的には優位な展開を取れそうである。勝つときは圧勝するが、Champagne SとHoly Bull Sの負け方がかなり印象を悪くしているようだ。

A.G. Vanderbiltの20号族Now Whatの牝系でMiesque一族とは同根である。

父City Of LightはBC Dirt MileなどG1を4勝した。7F戦で見せたスピードで9F、10Fにも対応してくる近年のトレンドに乗ったタイプであり、2年目産駒のFircenessが初めてのG1馬となった。

Catching Freedom: Constitution - Catch My Drift by Pioneerof The Nile

Horse Profile (Equibase)Catching Freedom Horse Pedigree

5戦3勝、125pt、KY産馬、42号族、Brad Cox厩舎。

1着: Louisiana Derby(Fair Grounds G2、100pt)、Smarty Jones S(Oaklawn Listed、10pt)

3着: Risen Star S(Fair Grounds G2、15pt)

Risen Star Sの3着馬で、同2着のTrack Phantomを逆転してLouisiana Derbyを勝った。また、Risen Star Sは4着のResilienceがAqueductでWood Memorialを勝っており、上位が安定した結果を残している。

母系はマイナーな42号族。全体で見てもアルゼンチンで活躍したStorm Mayorが目立つ程度である。Catching FreedomはApril Viewの経路であり、オーストラリアのMid Summer MusicやサウジアラビアのBorj Alkuwaitが出た方に近い。

Stronghold: Ghostzapper - Spectator by Jimmy Creed

Horse Profile (Equibase)Stronghold Horse Pedigree

6戦3勝、125pt、KY産馬、9-f族、Phil D'Amato厩舎。

1着: Santa Anita Derby(Santa Anita G1、100pt)、Sunland Park Derby(Sunland Park G3、20pt)

2着: Los Alamitos Futurity(Los Alamitos G1、5pt)

かつてMine That Birdが使ったことで知られるニューメキシコのSunland Derbyの勝ち馬。今年から開催が1ヶ月早まり、Sunland Derby後にファイナルプレップを使うことが可能となった。そうしたらいきなりSanta Anita Derbyを抜いてきたわけで、狙い通りといったところだろうか。

9-f族のうちRose Leavesの分岐に属しているが主流のSleek DancerではなくPandoraからGay Rigに流れるファミリー。香港のVoyage Bubbleが近親に出ている。

Resilience: Into Mischief - Meadowsweet by Smart Strike

Horse Profile (Equibase)Resilience Horse Pedigree

6戦2勝、110pt、KY産馬、3-n族、Bill Mott厩舎。

1着: Wood Memorial S(Aqueduct G2、100pt)

4着: Risen Star S(Fair Grounds G2、10pt)

4戦目で勝ち上がり、重賞初挑戦だったRisen Star Sを4着のあとニューヨークに向かいAqueductのWood Memorialを勝った。

3-n族Winters Loveの牝系で、突出した名牝であったTranquility Lakeが生涯の最後にたった一頭残した後継の繁殖馬がResilienceの母Meadowsweetである。

Forever Young: Real Steel - Forever Darling by Congrats

Horse Profile (Equibase)Forever Young Horse Pedigree

5戦5勝、100pt、JPN産馬、2-b族、Yoshito Yahagi厩舎。

1着: UAE Derby(Meydan G2、100pt)

ポイント対象レースはUAE Derbyのみとなるが、他にG3 JBC2歳優駿、G1全日本2歳優駿、G3 Saudi Derbyを勝っている。

去年のDerma Sotogakeに続き、中東遠征からUAE Derbyの100ptを手にChurchill Downsに挑む日本産馬。UAE Derbyの役回りとしては、Kentucky Derbyのファイナルプレップとして日本調教馬や欧州調教馬にポイントを付けて本戦に呼ぶといったところか。それぞれに別途路線が用意され招待枠もあるのだが、遠征経験ができ、重賞クラスが来ることは考えにくいとはいえ北米調教馬ともレースをできるMeydanはこの場合には優先度が高くなる。

ダートのキックバックを嫌うことが懸念点に挙げられる一方、イン有利の馬場とみられるDWC開催のMeydanのダートトラックで外からねじ伏せたことは高く評価されている。

血統はDarling My Darlingを祖母とする2-b族でSierra Leoneはかなり酷似した血統構成の従弟である。

Endlessly: Oscar Performance - Dream Fuhrever by Langfuhr

Horse Profile (Equibase)Endlessly Horse Pedigree

6戦5勝、100pt、KY産馬、9-f族、Michael McCarthy厩舎。

1着: Jeff Ruby S(Turfway Park G3、100pt)

Turfway ParkのG3で100ptが貰えるのはちょっとしたバグにも思えるのだが、過去にはAnimal Kingdomがここを勝って間に合い本戦を制した。また去年のTwo Phil'sも本番で2着に来ていて、ときどき侮れない。

2歳の4戦は全て芝コースで、Del Marの芝戦でデビューするとG3 Del Mar Juvenile Turf S、G3 Zuma Beach Sまで3連勝した。北米芝路線の上位馬としてBC Juvenile Turfでも人気を集めていたが、直線の伸びを欠き8着に終わっている。

3歳シーズンはサンフランシスコのEl Camino Real Derbyを勝利して、前走のJeff Ruby Sも勝った。3歳になって芝から転向しているが、出走したのがGolden Gate FieldsとTurfway Parkであるため、どちらもオールウェザー馬場である。なのでダートでのレース経験はない。陣営は芝のG2 American Turf Sへの出走も視野に入れている。

今年のJeff Ruby Sのレースレベルは去年より劣る評価であるし、何よりTwo Phil'sはRisen Star Sを3着などの実績持ちだったため、Endlesslyを同様に評価するのは難しい。

母系は9-f族Rose LeavesでSleek Dancerを経由して、Strongholdより主流寄りである。従姉にCoffee Cliqueが出ている。

Dornoch: Good Magic - Puca by Big Brown

Horse Profile (Equibase)Dornoch Horse Pedigree

6戦3勝、75pt、KY産馬、5-g族、Danny Gargan厩舎。

1着: Fountain Of Youth S(Gulfstream Park G2、50pt)、Remsen S(Aqueduct G2、10pt)

4着: Blue Grass S(Keeneland G1、15pt)

2歳でRemsen SではSierra Leoneを下し、3歳の初戦でFountain Of Youth Sを勝って極めて順調だったが、Blue Grass Sのレース内容がよくない。

Quick Touchから広がる5-g族の傍流であるが、全兄には去年のKentucky Derby馬Mageを持つ。キャリアだけならFountain Of Youth Sで4着、Florida Derbyで2着のMageより見映えは良さそうだが、あちらは上り調子でKentucky Derbyに向かったところが違っている。兄よりは前に付けられるタイプ。

Just A Touch: Justify - Touching Beauty by Tapit

Horse Profile (Equibase)Just a Touch Horse Pedigree

3戦1勝、75pt、KY産馬、4-g族、Brad Cox厩舎。

2着: Blue Grass S(Keeneland G1、50pt)、Gotham S(Aqueduct G3、25pt)

今年デビューしてキャリアは3戦。Blue Grass Sでは一時先頭に立つなど健闘したが、Sierra Leoneにねじ伏せられた。

E.P. TaylorのWindfields Farmを支えた名族でCibouletteの半妹Icy Replyに属する4-g族。JustifyにTapitの組み合わせはやや強引ながら十分でPulpitNijinskyのクロスが発生する。祖母の父Ikariはマイナーな種牡馬だが、Tartan Farmの残滓でKillaloeの血を引いており、Unbridledの存在を強調する。

Track Phantom: Quality Road - Miss Sunset by Into Mischief

Horse Profile (Equibase)Track Phantom Horse Pedigree

7戦3勝、70pt、KY産馬、4-m族、Steve Asmussen厩舎。

1着: Lecomte S(Fair Grounds G3、20pt)、Gun Runner S(Fair Grounds Listed、10pt)

2着: Risen Star S(Fair Grounds G2、25pt)

4着: Louisiana Derby(Fair Grounds G2、15pt)

Churchill Downsで3戦して勝ち上がってからはFair Groundsで戦い抜いた。10月のデビューからコンスタントに使われて7戦目となったLouisiana Derbyでややパフォーマンスを落としているのは気に掛けた方がよいだろう。

4-m族Sanfaraの牝系だがマイナーでIcelandic Dancerが繁殖牝馬として成功してファミリーのステージが上昇した。祖母Tuscan Sunsetが産まれるころにはTrippiを使えるレベルにまで上がっており、更にその繁殖入り後はInto Mischiefにまで手が届いている。Miss SunsetはG2を勝ち、G1 Madison Sで2着になる結果を残して繁殖入り。一級の牝系にのし上がったと言える。

West Saratoga: Exaggerator - Mo Wicked by Uncle Mo

Horse Profile (Equibase)West Saratoga Horse Pedigree

10戦2勝、67pt、KY産馬、2-d族、Larry Demetoritte厩舎。

1着: Iroquois S(Churchill Downs G3、10pt)

2着: Jeff Ruby S(Turfway Park G3、50pt)

3着: Sam F. Davis S(Tampa Bay G3、6pt)

5着: Breeders' Futurity(Keeneland G1、1pt)

ポイントレースの開幕を告げるG3 Iroquois Sの勝ち馬。今年の出走がTampa BayとTurfway Parkでなかなかの空き巣ぶりである。

2-d Mother Goose牝系のHome-Made分岐に属している。近親には2歳で3勝しG1 Alcibiades Sを勝って将来を期待されるも骨折により引退したWickedly Perfectがいる。

Just Steel: Justify - Irish Lights by Fastnet Rock

Horse Profile (Equibase)Just Steel Horse Pedigree

11戦2勝、65pt、KY産馬、4-m族、Wayne Lukas厩舎。

2着: Arkansas Derby(Oaklawn Park G1、50pt)、Southwest S(Oaklawn Park G3、10pt)、Smarty Jones S(Oaklawn Park Listed、5pt)

Oaklawn路線の2着でポイントを積み上げた。なおRebel Sにも出走しているが7着で、Arkansas Derbyで立て直してきたと言える。Arkansas DerbyはMuthが強かったが、彼はBaffert案件である。

2歳のG1では敷居が高いように思われたが、3歳に入ると通用するようになってきた。

4-m族の大ファミリーのひとつPortageの牝系である。母Irish LightsはオーストラリアでG1 Thousand Guineasを勝った。

Honor Marie: Honor Code - Dame Marie by Smart Strike

Horse Profile (Equibase)Honor Marie Horse Pedigree

5戦2勝、65pt、KY産馬、3-c族、Whit Beckman厩舎。

1着: Kentucky Jockey Club S(Churchill Downs G2、10pt)

2着: Louisiana Derby(Fair Grounds G2、50pt)

5着: Risen Star S(Fair Grounds G2、5pt)

2歳の高額賞金G2 Kentucky Jockey Club Sの勝ち馬。追い込みが効くかどうかというタイプでRisen Star Sでは不発で5着に終わっている。

欧州系の3-c族Urshalimのファミリーで母の半兄にSt. Legerを勝ったRule Of Lawが出ている他、フランスのFeed The Flameも近親である。

Domestic Product: Practical Joke - Goods And Services by Paynter

Horse Profile (Equibase)Domestic Product Horse Pedigree

5戦2勝、60pt、KY産馬、3-d族、Chad Brown厩舎。

1着: Tampa Bay Derby(Tampa Bay G3、50pt)

2着: Holy Bull S(Gulfstream Park G3、10pt)

2歳はNYでRemsen Sに出走したが7着。今年はフロリダで調整し、Tampa Bay Derbyを勝った。ポイントは足りており、ファイナルプレップのシリーズには出走していない。

主戦のTyler GaffalioneをSierra Leoneに持っていかれてしまったが、Irad Ortiz Jr.が降ってきた。

3-d族でピクシーナイトやAlphabet Kissesが出ているSome Pompの流れ。

Catalytic: Catalina Cruiser - One Show Only by Distorted Humor

Horse Profile (Equibase)Catalytic Horse Pedigree

3戦1勝、50pt、KY産馬、1-x族、Saffie Joseph Jr.厩舎。

2着: Florida Derby(Gulfstream Park G1、50pt)

去年の10月にデビュー戦を勝ち上がったあとは出走せず、今年の3月にTampa Bayで復帰した。Florida Derbyは2着とはいえ、勝ったFiercenessには13馬身半の差を付けられており、勝ち馬以外は評価できないだろう。

Get LuckyからShe's A Winnerに流れる1-x族。もっとも近いG1馬がBluegrass Catでその他、近親にはG1馬が多数出ている。

Deterministic: Liam's Map - Giulio's Jewel by Speightstown

Horse Profile (Equibase)Deterministic Horse Pedigree

3戦2勝、50pt、KY産馬、A4族、Christophe Clement厩舎。

1着: Gotham S(Aqueduct G3、50pt)

2歳の夏にSaratogaで勝ち上がり、2戦目が今年3月のGotham S。前走はWood Memorialに出走して8着だった。

アメリカンファミリーの重要な勢力であるA4族のCourtly Deeに属している。

Society Man: Good Magic - You Cheated by Colonel John

Horse Profile (Equibase)Society Man Horse Pedigree

5戦1勝、50pt、KY産馬、12-c族、Danny Gargan厩舎。

2着: Wood Memorial S(Aqueduct G2、50pt)

Saratogaでデビューし、Aqueductでキャリアを積んだ。未勝利時に出走したG3 Withers Sでは8着。3月になって初勝利を挙げると、続くWood Memorialで2着に入って大穴を開けた。

12-c Skylarkingの牝系でFar BeyondからBattle Creek Girlを経由したもの。ボトムラインの更新が極めて速く、Battle Creek Girlが6代前になっている。

Mystik Dan: Goldencents - Ma'am by Colonel John

Horse Profile (Equibase)Mystik Dan Horse Pedigree

6戦2勝、46pt、KY産馬、4-r族、Kenny McPeak厩舎。

1着: Southwest S(Oaklawn Park G3、20pt)

3着: Arkansas Derby(Oaklawn Park G1、25pt)

5着: Smarty Jones S(Oaklawn Park Listed、1pt)

Southwest Sを8馬身差で勝利したが、Arkansas SはJust Steelにも差を付けられた3着。

北米に根差した4-r族でHillbrookの系統である。近親にLaraghやSiphonicなど。

No More Time: Not This Time - Baroness Juliette by Speightstown

Horse Profile (Equibase)No More Time Horse Pedigree

5戦2勝、45pt、IA産馬、4-r族、Jose D'Angelo厩舎。

1着: Sam F. Davis S(Tampa Bay G3、20pt)

2着: Tampa Bay Derby(Tampa Bay G3、25pt)

かなりレアなアイオワ産馬。レースキャリアはフロリダで、Gulfstream ParkとTampa Bayで出走している。

Mystik Danとは近親関係である。Cherokee CrossingにMedaglia D'Oro、Speightstown、Not This TimeでNo More Timeができあがり、Cherokee CrossingにSiphon、Colonel John、GoldencentsでMystik Danになる。つまりLaraghに近いのがNo More Time、Siphonicに近いのがMystik Danとも言える。

T O Password: Copano Rickey - T O Rachel by King Kamehameha

Horse Profile (Equibase)T O Password Horse Pedigree

2戦2勝、40pt(Japan Road Invite)、JPN産馬、A29族、Daisuke Takayanagi厩舎。

1着: 伏竜S(中山OP、40pt  as Japan Road)

5月20日の遅生まれでKentucky Derby当日でも満3歳を迎えていない。

1月に京都のダート1800mの新馬戦を2馬身差で勝って、続く伏竜Sも逃げ切って勝利。これでKentucky Derbyの出走枠が確保できるのはちょっとチートっぽい。とはいえJapan Roadは全日本二歳優駿を勝つような馬がKentucky Derbyを目指すなら明け3歳で中東に向かうだろうし、この手の年明けデビューだったり、台頭が遅れたケースを拾い上げる役割なのではないだろうか。その場合は伏竜Sを勝つことが必須という感じになりそうである。

Kentucky Derbyへの招待を受諾し、本戦では、去年のWoodbine開催で騎手リーディングを獲得したKazushi Kimuraが騎乗する。

アメリカンファミリーでも活躍馬の多いA29 Alibhai Roseの牝系に属しているがControlled Landingからの分岐でやや格落ちであった。

Grand Mo The First: Uncle Mo - Lilies So Fair by Giant's Causeway

Horse Profile (Equibase)Grand Mo The First Horse Pedigree

6戦2勝、40pt、KY産馬、A5族、Victor Barboza Jr.厩舎。

3着: Florida Derby(Gulfstream Park G1、25pt)、Tampa Bay Derby(Tampa Bay G3、15pt)

現在は出走順位が21位で上位に回避馬が出ないと出走できない。また、Lexington SでHadesやEncinoがポイントを積んだ場合は順位が繰り下がる可能性が残る。

2歳の夏にGulfstream Parkでデビューして連勝すると、Santa AnitaのG3 Zuma Beach Sに遠征してこれも3着。フロリダに戻ってからはListedのSwale S、G3 Tampa Bay Derby、G1 Florida Derbyと3着が続く。

これといった見どころのあるレースはなく、Tampa Bay DerbyではDomestic ProductとNo More Timeに負け、Florida DerbyではHadesに先着していて、まあよくわかりやすい順位である。

A5族もアメリカンファミリーでは有力な一門で、その中でもIce Fantasyの牝系に属し、近親にはG1馬が多数出ている。

Hades: Awesome Slew - The Shady Lady by Quality Road

Horse Profile (Equibase)Hades Horse Pedigree

4戦3勝、30pt、FL産馬、2-n族、Joe Orseno厩舎。

1着: Holy Bull S(Gulfstream Park G3、20pt)

5着: Florida Derby(Gulfstream Park G1、10pt)

4月13日のG3 Lexington Sに出走予定。このレースのポイント配分が20-10-6-4-2なので、勝って20ptを獲得すれば出走圏内に届く。2着の場合は40ptどまりだが、賞金額でGrand Mo The Firstを上回るので補欠一番手になる。

2歳の12月にデビューして連勝、G3 Holy Bull SではFiercenessを下して無傷の3連勝と非常に順調で高く評価されていたが、ファイナルプレップのG1 Florida Derbyでは2枠からのスタートでやや行き場を失って馬群の中でレースを進め、3コーナーでは外から被されて大きく後手を踏んだ。4コーナーで外に出して直線でようやく追い込んだものの5着に終わり、ちぐはぐでもったいないレースになってしまったので、強行してLexington Sを使ってでもというのは分からなくもない。

2-n族Happy Moodの牝系で三代母Pretty DiscreetからはDiscreet Cat、Discreetly Mineが出ている。フロリダの雄Ocala Studの生産である。

Encino: Nyquist - Glittering Jewel by Bernardini

Horse Profile (Equibase)Encino Horse Pedigree

3戦2勝、20pt、KY産馬、22-b族、Brad Cox厩舎。

1着: John Battaglia Memorial(Turfway Park Listed、20pt)

Godolphinオーナーブリード。Turfwayで3戦というキャリアで3月の初めにJohn Battaglia Memorialを勝ったが、ファイナルプレップには出てこずLexington Sに向かってきた。勝っても40ptまでで出走枠に入るにはそれ以外に何かが起こらなければならない。本戦出走へのこだわりは薄いように思われる。

母の半兄にStreet Senseが出ている22-b族のLong Legend系統。Long Legendの産駒にMr. Greeleyがいる他、Vekomaも近親である。

Muth: Good Magic - Hoppa by Uncle Mo

Horse Profile (Equibase) | Muth Horse Pedigree

6戦4勝、0pt、KY産馬、21-a族、Bob Baffert厩舎。

1着: Arkansas Derby(Oaklawn Park G1)、American Pharoah S(Santa Anita G1)

2着: BC Juvenile(Santa Anita G1)

125pt相当の結果である。この他にG3 San Vicente Sを勝ち、2歳のG3 Best Pal Sで2着の実績で普通に考えればFiercenessと並んでこの世代のトップを争う立場である。純粋に勝負ということならKentucky Derbyに出走して欲しいが、Zedan RacingとBaffertのコネクションはChurchill Downsが許さない。法廷闘争となっているため出走の可否は裁判所に委ねられているが、陣営としてはPreakness S直行というコメントが出ている。

21-aでGris Vitesseのファミリーである。かつてSilver Hawkを出している他、近年では南アフリカマイラーCharles Dickensや2歳芝のG1馬Carson's Runが出ている。

Imagination: Into Mischief - Magical Feeling by Empire Maker

Horse Profile (Equibase) | Imagination Horse Pedigree

6戦2勝、0pt、KY産馬、4-c族、Bob Baffert厩舎。

1着: San Felipe S(Santa Anita G3)

2着: Santa Anita Derby(Santa Anita G1)

Dettoriを主戦に迎え、San Felipe S勝ちとSanta Anita Derbyを2着で100pt相当。オーナーはTom RyanのSF Racingを中心としたシンジケートである。Zedan Racingの法廷闘争の結果がこちらに影響するのかは分からない。

Santa Anita Derby後にStrongholdとPreakness Sで再びまみえるという内容のポストが陣営からなされている。

4-c Sin Igualのファミリーで、近親に同じくSF Racingのシンジケートが所有するNational Treasureがいる。

Dubai World Cup: G1 Meydan Dirt 2000m

北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上、総賞金1200万ドル。

今年からEmirates Racing Authorityが開催するDubai International MeetingのスケジュールにはSaudi Cupの開催による影響が出ており、3回開催されR3がG1だったMaktoum Challenge RoundはまとめてFashion Fridayと銘打った1月末の開催に持って行き、2月のSaudi Cupとぶつからない日程となった。また芝戦だがJebel Hattaも同じところに持っていかれたため、本戦1ヶ月前のSuper Saturdayの様相は大きく変わっている。DWCの前哨戦としてはG2 Al Maktoum Classicというレースがダート1900mで実施されていた。

Saudi Cupからの転戦馬は北米勢ではSenor Buscadorとサウジアラビアに転厩しているDefunded、日本勢がUshba TesoroにDerma Sotogakeである。新たにドバイに遠征してきたのが、北米からG1 Pegasus World Cupで3着のCrupi、G1 Santa Anita Hを勝ったNewgate、日本からはG1フェブラリーSをステップにしてWilson TesoroとDura Erede。地元路線の注目は謎のキャリアとなっているKabirkhan、マイル圧勝のLaurel Riverといったところか。

Senor BuscadorとUshba Tesoroに立て直したDerma Sotogakeが勝負するという見立てで良いのではないか。

Ushba Tesoro: Orfevre - Millefeui Attach by King Kamehameha

日本産馬7歳、ウシュバテソーロ。

去年の勝ち馬でBC Classicが5着、東京大賞典勝ち、Saudi Cupが2着。

BC Classicの結果でもこのメンバーで先着を許したのはDerma Sotogakeだけで、Senor Buscadorには先着しているんですよね。まあ、前走と同じくSenor Buscadorとの差し争いをするんじゃなかろうか。

Derma Sotogake: Mind Your Biscuits - Amour Poesie by Neo Universe

日本産馬4歳、デルマソトガケ。

去年のUAE Derby勝ち馬でそこからKentucky Derbyに出走して6着、休み明け直行となったBC Classicが2着、前走のSaudi Cupが5着である。レースに多く使えているわけではないが、去年のKentucky Derby出走馬のその後を見るに最上位のG1で勝ち負けに絡むレベルで走れているというだけで十分ともいえる。

前走のSaudi Cupは輸送の影響が大きかったということで、立て直していれば十分勝負圏内というかBC Classicの2着馬様ですよくらいの。

北米はちょっとDurableということを考えた方がよいのではなかろうかという気がしなくもない。

Defunded: Dialed In - Wind Caper by Touch Gold

アメリカ産馬6歳。

サウジアラビアに移籍して初戦となったSaudi Cupでは7着。北米時代は西海岸のコンテンダーで、Senor Buscadorとは何度も対戦しやや分が悪いが、Hollywood Gold Cupでは逃げ切りを決めている。追い込んで届くかどうかというSenor Buscadorの事情によるところが大きい。

Kabirkhan: California Chrome - Little Emily by Castledale

アメリカ産馬4歳。

2021年のKeeneland September Yearlingに上場され、カザフスタンのエージェントNadir Shassanovが12000ドルで落札している。Book 5での上場はSelectedではない競りであった。

カザフスタンでデビューしAlmatyで3連勝でG1を勝っている。これが2歳のダート1600mなのでBolashak Prizeではないかと思われる。

3歳になるとロシアに移籍してNal'ChikやらPyatigorskといった南部連邦管区で出走していて連勝を続けます。初戦となっているPyatigorskのG3は2000mなので古馬混合のEntrance Sか。その後Pyatigorskの2000mというG2を勝っていますが、10年前とレース体系が変わっていなければAnilin Sですかね。PyatigorskとNal'ChikのDerbyも勝っていて無傷の8連勝でKrasnodarのRussian Derbyに出走したがここは同じくアメリカ産馬のHero Moに敗れて2着だった。

今年はドバイに移籍となり、まず初戦でRussian Derbyで敗れたHero Moに雪辱を果たすと、再編されたサラブレッドの前哨戦体系のG1 Al Maktoum Challengeを勝って話題となった。

カザフスタンではロシア産馬が多く、ここに中欧産馬が絡んでくるようなケースが目立ちます。これだとポーランド産馬が強かったりするのですが、こんなところに北米のとりわけケンタッキー産馬でKeenelandのイヤリングに上場してくるような馬を連れてきたら反則でしょう。とはいえ、カザフスタン時代のライバルは同じくNadir Shassanovがアメリカで買ってきたSky Indyだし、ロシア時代もほぼアメリカ産馬との勝負になっています。まあ、ロシアだと相手のアメリカ産馬の価格がワンランク上がってるの露骨だよね。

Newgate: Into Mischief - Majestic Prince by Majestic Warrior

アメリカ産馬4歳。

3歳の三冠路線ではBob Baffert厩舎の運動会であるところのG3 Robert B Lewis Sを勝ったが、その後に飛節に問題があるということで休養した。復帰は今年になってからのSanta Anitaの条件戦で、これを2着するとG2 San Pasqual Sでも2着となった。ここをステップとしてG1 Santa Anita Hを勝って何とか北米古馬としての形ができたといったところ。

Senor Buscador: Mineshaft - Rose's Desert by Desert God

アメリカ産馬6歳。

主に西海岸の古馬中距離路線の上位馬だが勝ちが遠いという印象であった。Pegasus World Cupの2着から中東遠征に出て、前走のSaudi Cupは最後にUshba Tesoroを差し切っての勝利。

追い込みを得意とするがコーナーで捲るような手を持っていないため、直線勝負に賭ける。結果として直線の距離が足りなくて善戦どまりかそもそも末脚が不発で沈んだままという結果になりやすい。広いBelmontが使えずAqueductで代替開催されているというのも不運ではあったか。返ってRiyadhのKing AbdulazizやこのMeydanでは彼にとって十分な長さの直線があるわけで、今回も脅威である。

Wilson Tesoro: Kitasan Black - Chesutoke Rose by Uncle Mo

日本産馬5歳、ウィルソンテソーロ。

ダートで勝ち上がりから4連勝、OPでの敗戦を挟んで交流G3を3連勝として去年の後半からG1路線に定着し、G1チャンピオンズカップとG1東京大賞典で2着に入った。前走のG1フェブラリーSは8着。

追い込みから上がり最速でレモンポップの2着に来たあとに、逃げてウシュバテソーロにつかまっての2着と訳が分からないが、基本的に速い上がりを繰り出せる。ただ、後ろからはUshba Tesoroが来るため、ある程度前でレースを作る役割を期待されるところはあり、東京大賞典のような形になるのだろう。

Dura Erede: Duramente - Marchesa by Orfevre

日本産馬4歳、ドゥラエレーデ。

2歳でG1ホープフルSに勝ったがその後は勝ちから遠ざかっており、UAE DerbyでDerma Sotogakeの2着に入ったのがもっともよい結果であった。G1チャンピオンズカップとG1東京大賞典ではともに3着とウィルソンテソーロに先着されており、度外視で良さそうなG1フェブラリーSでも12着とウィルソンテソーロの前でゴールできない。

Crupi: Curlin - Don'tforgetaboutme by Malibu Moon

アメリカ産馬4歳。

未勝利のまま三冠路線のG2 Risen Star S、G2 Wood Memorial Sに出走するがいずれも勝負にはならなかった。その後Monmouthで勝ち上がり、条件戦勝ちの後、G2 Pennsylvania Derbyで5着、Listed戦を連勝してG1 Pegasus World Cupを3着というキャリアである。

追い込み馬でSenor Buscadorと同タイプ。前走ではそのSenor Buscadorについていけずまだ少し差があるように思う。

Laurel River: Into Mischief - Calm Water by Empire Maker

アメリカ産馬6歳。

UAE調教馬。北米時代はG2 Pat O'Brien Sの勝ちがある。その後長いブランクがあり、今年のMeydanで復帰した。前走はG3のBurj Nahaarを勝っている。

Burj Nahaarを圧勝したとはいえ1600mまでしか距離経験がない状態での挑戦は結構厳しいだろう。母系はCoup De Genieに遡り、NiarchosからJuddmonteの手に渡ったものである。A.P. IndyにTouch Gold、Empire Maker、Into Mischiefという累代は2000mを問題にしないように思われる。

Clapton: Brethren - Alexander Rylee by Afleet Alex

アメリカ産馬5歳。

フロリダ産馬でGulfstream Parkを主戦場としていた。去年から一線級に出世しG3 Ghostzapper SとG2 Lukas Classicを勝っている。BC Classicは11着で、今年はドバイ遠征でG1 Al Maktoum Challengeで3着、前走はG2 Al Maktoum Classicで3着。

Military Law: Dubawi - Marine Bleue by Desert Prince

イギリス産馬9歳。

UAE調教で前走のG2 Al Maktoum Classicの勝ち馬。その前はG1 Al Maktoum Challengeで6着だった。

Dubai Sheema Classic: G1 Meydan Turf 2410m

北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上、総賞金600万ドル。

日本の三冠牝馬の前に立ちはだかるのは、日本最強の種牡馬が最後に遺した傑物。

出走馬が分かりやすく二層に分かれている。頂点を争うレベルの出走馬と並み程度のG1クラス。Auguste Rodin、Liberty Island、Stars On Earthを中心にJustin PalaceとShahryar、Emily Upjohnまで見ておけば十分である。いやもっと絞らないと話にならないか。

Auguste Rodin: Deep Impact - Rhododendron by Galileo

アイルランド産馬4歳。

ディープインパクトがラストクロップに遺した英愛ダービー馬。加えてIrish Champion SとBC Turfも勝って去年はG1を4勝した。一方で2000 Guineasやキングジョージでは惨敗を喫したように馬場なのか遠征なのか、注文が付くところはあるが、整備されたトラックコースで走るのなら問題ないのではないか。

血統と実績の両面から3歳でさっさと引退して種牡馬入りかと思っていたら今年も現役に残ってくれたのでこの一年でどれだけの実績を積み上げるのか非常に興味深い。ここでもやっているようにLuxembourgがいるので12F路線という気がしなくもないが、欧州でなら10F路線が良いように思われる。

Emily Upjohn: Sea The Stars - Hidden Brief by Barathea

イギリス産馬5歳。

去年もSheema Classic出走を目指していたが直前で遠征を取りやめている。その後G1 Coronation CupでWestoverらを下して勝利したが、G1 Eclipse Sは2着、キングジョージは7着でシーズンを終えている。

使い詰めると調子を落とすのではないかという気がしてならないので、休み明けなら可能性を見ることはできるのではないだろうか。

Justin Palace: Deep Impact - Palace Rumor by Royal Anthem

日本産馬5歳、ジャスティンパレス。

阪神大賞典天皇賞春の勝ち馬だが、宝塚記念3着や天皇賞秋2着の実績もあり、単なるステイヤーではない。日本にいるディープインパクト産駒としては最後の大物になる存在。

勝ち切るまでは展開が向く必要があると思うが、追い込める流れになれば十分。

Liberty Island: Duramente - Yankee Rose by All American

日本産馬4歳、リバティアイランド。

去年の牝馬三冠馬でG1は4勝。ジャパンカップではイクイノックスに太刀打ちできなかったが、スターズオンアースやドウデュースに先着する2着で強い現5歳世代相手でも通用している。

当馬自身には全く責任がないこととはいえ、今年の4歳世代が全体的に今一つと見られている現状で、リバティアイランドにはある程度の実績を残すことが要求されているのかなという気はしている。去年のジャパンカップで十分示したとは思うのだけどね。

Shahryar: Deep Impact - Dubai Majesty by Essence Of Dubai

日本産馬6歳、シャフリヤール。

去年引退するという話があったが、結局現役に残りSheema Classicは3年連続の出走となった。2年前には勝っており、去年はEquinoxのスーパーパフォーマンスに霞んだとはいえ5着はこの馬としては不満のある結果。

去年の後半は札幌記念後に手術、復帰がぶっつけのBC Turfで、さらにHong Kong Vaseを目指したものの回避して有馬記念出走とレース内容以外で波乱が多かった。その中でBC Turfを3着の有馬記念5着は評価してよい。

ここはまずはBC TurfでのAuguste Rodinとの差を覆せるかといったところ。

Rebel's Romance: Dubawi - Minidress by Street Cry

アイルランド産馬6歳。

4歳時にBC Turfを含めてG1を3勝したが、去年は不振だった。Sheema Classicで7着から始まるが順調さを欠いてAqueductで開催されたG1 Joe Hirsch Turf ClassicではWar Like Goddessに一蹴されて4着では擁護できない。その後立て直してきており、前走はDohaのG3 H.H. The Amir Trophyを勝った。ペースを握ってレースを作り、後続を封じ込めたのは見事なレースだったが、絶対値の高い相手には通用しない印象である。

O'Brien陣営がPoint Lonsdaleを用意しているので得意なペースでレースを進めることがまず難しい。

Stars On Earth: Duramente - Southern Stars by Smart Strike

日本産馬5歳、スターズオンアース。

2022年の桜花賞オークスの二冠牝馬でその後は勝ちから遠ざかっているが、レースを絞っているとはいえG1で上位に安定している。しかしながら同父のリバティアイランドが鮮烈なレースで牝馬三冠を達成し、ジャパンカップでも彼女に先着を許したのは不本意だろう。その後の有馬記念の2着にはこの馬の意地を見る思いである。

先行でも追い込みでも勝負できるので展開が分からないが、先行するならRebel's Romanceとの兼ね合いが重要になってくるか。

Spirit Dancer: Frankel - Queen's Dream by Oasis Dream

イギリス産馬7歳。

去年の夏にハンディキャップ戦を連勝し、そこからYorkのG3 Strensall Sを勝った。欧州の平地シーズンが終わるとBahrainのG2 Bahrain International Trophyを勝ち、MeydanのG1 Jebel Hattaは4着で、前走がRiyadhのG2 Neom Turf CupでKiller Abilityを下して勝利。

相手関係が一気に強化されるので厳しいが、中東の芝中距離では重要なランナーである。

Junko: Intello - Lady Zuzu by Dynaformer

イギリス産馬5歳。

WertheimerのオーナーブリードでA. Fabre厩舎。去年はDubai Turfに出走して6着に終わり、フランスに戻っても大した実績を残していないが、最後にドイツに遠征してG1 Preis Von Bayernを勝ち、さらにはHong Kong VaseではZeffiroやWarm Heartを下した。Zeffiroとの着差などから考えるとRebel's Romanceとは良い勝負かと思われる。

前走はChantillyのオールウェザーコースで行われるPrix Darshaanを2着。これは完全に調整目的なので結果は気にしなくてよい。

Point Lonsdale: Australia - Sweepstake by Acclamation

アイルランド産馬5歳。

カタールから転戦してきたBroome全弟。

中東のシーズンではG2 Bahrain International Trophyで3着、G3 H.H. The Amir Trophyが最下位の11着ではどうにもならず、Auguste Rodinのペースセッターとなるしかない。

Simca Mille: Tamayuz - Swertia by Pivotal

アイルランド産馬5歳。

前走はDohaのH.H. The Amir Trophyに出走したが、6着。Rebel's Romanceにレースを作られ、自身は内に包まれたまま終わってしまった。

ドイツのG1 Grosser Preis Von Berlin勝ちで、フランスのG1でも2着にくる実力を有している。Rebel's RomanceやJunkoとは大して変わらないとも言える。

並みのG1なら十分通用するのだが、チャンピオンクラスが集まるトップティアのG1で勝負するレベルではないといったところ。そしてSheema Classicは明らかに後者のレースである。

Sisfahan: Isfahan - Kendalee by Kendargent

フランス産馬6歳。

2021年のドイツダービー馬。去年は長距離のDubai Gold Cupに出走したが、やはり向かない距離で2400mがこの馬には合っている。G1 Grosser Preis Von BerrlinでSimca Milleの2着。ドイツ的な馬は2400mは走るが、3000m級のステイヤーはあまり出ない印象。

前走はMeydanのG2 Dubai City Of Goldで3着。条件的にはSheema Classicの前哨戦となるべきレースだがSisfahan以外は出てこない。遠征馬が強すぎて勝負できないというところはあるだろう。

Dubai Turf: G1 Meydan Turf 1800m

北半球産馬4歳以上、南半球産馬3歳以上、総賞金500万ドル。

去年出走することすら叶わなかったDo Deuceが今年こそとなるか。

それにしても5歳馬の陣容が充実しきり。日本のDo Deuce、O'BrienのLuxembourg、GosdenのNashwa、香港のVoyage Bubbleに加えてアメリカのCatnipも無視できない。

Do Deuce: Heart's Cry - Dust And Diamonds by Vindication

日本産馬5歳、ドウデュース。

去年もこのレースにエントリーしていたが、直前に跛行により出走を取り消した。帰国後の復帰戦は秋になった天皇賞そしてジャパンカップとイクイノックスの暴力的な強さを目の当たりにすることになるが、イクイノックスが去った有馬記念を勝利。日本の競馬は武豊ということを知らしめた。

有馬記念の内容から充実期であるように思われ、今年はドウデュースが世界を席巻するのだくらいの勢いが欲しい。

Luxembourg: Camelot - Attire by Danehill Dancer

アイルランド産馬5歳。

O'Brien厩舎の中距離エースで去年はG1 Tattersalls Gold Cup勝ちのみであったが、10F級のG1では三度2着に入るなど安定感を示した。キングジョージは4着だったことを考えると12Fは向いていないのだろう。といったところもあり、Auguste Rodinの存在もありで1800mである。

前走のNeom Turf Cupがさっぱりだったことは気になるがちゃんと走れば勝負の軸になってくるはずである。

Lord North: Dubawi - Najoum by Giant's Causeway

アイルランド産馬8歳。

お馴染みDubai Turfの主Lord North。Panthalassaとのデッドヒートを含めて三連覇中で、1回目がVin De Gardeを、3回目がDanon Belugaを下した勝利と日本調教馬にとって大きな壁ともなっていた。

もともとはG1 Prince Of Wales's Sを勝つなどイギリスでの実績があるのだが、現在はドバイで思い出したように勝ちに来る状態である。去年はLingfieldのWinter Derby勝ちからの参戦で、今年はWinter Derbyを2着からの参戦である。

今年はLuxembourgやNashwaが来ていることもあり、流石に厳しいのではないかと思う。

Nashwa: Frankel - Princess Loulou by Pivotal

イギリス産馬5歳。

4歳の去年はG1 Falmouth Sを勝った他、G1 International Sを2着、G1 Irish Champion Sを3着と牡馬混合戦にも出走して通用するところを示している。良績は10Fに集中しており、8Fでも勝っているとあってこのレースはベスト。

Danon Beluga: Heart's Cry - Coasted by Tizway

日本産馬5歳、ダノンベルーガ

去年の2着馬である。帰国後は札幌記念から天皇賞ジャパンカップと出走したが特に目立つことはなかった。G1の2戦はイクイノックスがド派手なことをしたせいであるが、全くレースのファクターになっていなかった。とはいえ、ドウデュースとは天皇賞で先着し、ジャパンカップで先着を許すという関係。

だいたいこの世代はイクイノックスに蹂躙されているので、今年こそという感じはある。

Voyage Bubble: Deep Field - Raheights by Rahy

オーストラリア産馬5歳。

香港調教で香港三冠路線の二冠馬。その後マイルのG1戦線に乗り込んだもののGolden Sixtyの牙城を崩すことはできなかった。それでも路線の上位馬で去年のG1 Hong Kong Mileで2着となると、今年のStewards' CupでとうとうG1タイトルを手に入れた。前走は2000mのG1 Hong Kong Gold Cupで直線200mに及ぶRomantic Warriorとの叩き合いの末2着に敗れたものの、その実力は侮れない。

Straight Arron: Fast - Imperial Lass by Tavistock

オーストラリア産馬5歳。

オーストラリアから香港に移籍した5歳馬。母系は中距離志向の強いニュージーランド牝系で母Imperial LassはG1 Queensland Oaksの勝ち馬。

1月のStewards' Cupは6着、前走のHong Kong Gold Cupは4着でVoyage Bubbleと比較すると一枚落ちる。

Facteur Cheval: Ribchester - Jawlaat by Shamardal

アイルランド産馬5歳。

去年のG1 Sussex SやG1 Queen Elizabeth II Sで2着に入っているイギリスのマイラー。徹底してマイルで使われており、マイル以外ではG1 Prix d'Ispahanで3着があるだけである。

Allez Les Troisが5代前まで遡る更新の早いファミリーで、Allegrettaの一門である。父RibchesterはG1を4勝したマイラー

Measured Time: Frankel - Minidress by Street Cry

イギリス産馬4歳。

Rebel's Romanceの半弟で、6戦5勝。MeydanのG2 Al RashidiyaからG1 Jebel Hattaを連勝して挑む。これでも完全に挑戦者の立場でしかないあたり、5歳馬の充実度がやばい。

Namur: Harbinger - Sambre Et Meuse by Daiwa Major

日本産馬5歳、ナミュール

G1マイルチャンピオンシップを勝っており、Hong Kong Mileでは3着とVoyage Bubbleの後塵を拝した。古馬になってからはマイル戦にしか出走していないが、オークス秋華賞でも崩れておらず距離が持たないということはないだろう。

Matenro Sky: Maurice - Red La Vita by Special Week

日本産馬5歳、マテンロウスカイ。

前走のG2中山記念勝ちなど1800mで3勝を挙げて得意としている。このレースでG1初挑戦は敷居が高いのだが、とにかく1800mで勝負したいというのならそれはそれでと思う。

Cairo: Quality Road - Cuff by Galileo

アイルランド産馬4歳。

O'Brien厩舎の4歳馬。

Invincible Spiritを筆頭に活躍馬が続出するEljazziのファミリーであるが、GalileoにQuality Roadというのはかなり趣の違う血統となっている。父がQuality Roadのためか2歳からオールウェザーでも出走してListedのPatton S勝ちがある。Kentucky Derbyに行く目もあったかもしれないが、UAE Derbyで10着に終わりその選択肢は消えた。欧州に戻ってG1 Irish 2000 Guineasで2着に入って自身の進路を決定づけたが、Hong Kong Mileは10着でやや力不足か。

前走はDohaのローカルG2 Irish Thoroughbred Marketing Cupで2着。芝ならサウジカップ開催にない1600m戦があるカタールの開催からドバイというルートである。

Catnip: Kitten's Joy - Masquerade by Silent Name

アメリカ産馬5歳。

アメリカの芝馬でG1 United Nations Sで2着の実績があり、前走はG1 Pegasus World Cup Turfを3着と9Fあたりを得意とする。前走では最低人気ながらWarm Heartを追走して大きく離されることなくゴールしており、地味に強く油断できない。

Nearcoの祖母じゃないんだからという感じになるお名前だが、まあ父Kitten's Joyなので仕方ないネ。

Real World: Dark Angel - Nafura by Dubawi

アイルランド産馬7歳。

Godolphinオーナーブリードで、かつてはG1 Lockinge SやG1 Queen Anne Sで2着に入る実力を見せていたが、去年はG1 Jebel Hatta10着からDubai Turfに出走して9着。中距離志向が裏目に出ていてPrix Ganayは最下位と惨敗した。

ちょっと迷走している感じのローテーションで、今シーズンはBahrainで2000mのG2 Bahrain International Trophyで4着から始まり、Meydanでは1800mのG2 Al Rashidiyaで5着、1600mのG2 Zabeel Mileで6着、1400mのG2 Al Fahidi Fortで6着とどうにもならない。カタールに行ってDohaの1600mローカルG2 Irish Thoroughbred Marketing Cupで3着からさらにBahrainの1600m Listed Al Methaqでようやく勝った。やはりマイルで走るべきという気はする。

San Donato: Lope De Vega - Boston Rocker by Acclamation

アイルランド産馬8歳。

G2 Zabeel Mileの勝ち馬で、そこからG1 Jebel Hattaを3着、G2 Singspiel Sを2着という臨戦で挑む。

3歳ではフランスでG1 Poule D'Essai Des Poulainsを3着の実績もあるが、ブランクの期間が長く、8歳ではあるもののキャリアは若いと言える。