『アリバイ工作社会:「ブルシット・ジョブ」論の再検討』(三元社)
[著]ましこ・ひでのり コロナ禍で浮上した医療関係者などエッセンシャルワーカーの存在は、社会に必要な労働を「シット・ジョブ」とし、社会的に無意味ないし有害な職務が不当に高収入という「職業威信スコア」=逆説をも浮上させた。デヴィッド・クレーバー『ブルシット・ジョブ論』の再検討から「クソどうでもいい仕事」の本質をあぶりだす。 定価=本体 2,000円+税 |
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[目次] はじめに 1 章 「ブルシット・ジョブ」論の再検討 15 2章 国家エリート周辺の「ブルシット・ジョブ」/「ハイパー独裁」/「ポスト・トゥルース」 31 3章 ムダ・有害性が肥大化しつづけ、エッセンシャルワークがけずられつづける公教育 93 4章 生活者・青年層のためにならない行政 :自衛隊・司法改革・健康行政を中心に 125 5章 日本にはびこる民間のブルシット・ジョブ 159 6章 グレーバー流「ブルシット・ジョブ」モデルが構造的にみおと す領域 185 7章 グレーバーが問題視する「シット・ジョブ」に対する「やっかみ」意識と異質な「やっかみ意識」 :日本的「よこならび意識」がもたらす、あしのひっぱりあい 195 8章 ベーシックインカム論からみた、労働の意義再考 223 おわりに 237 |
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関連図書
東村岳史『近現代北海道とアイヌ民族-和人関係の諸相』(三元社)
http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/524.htm
[著者]東村岳史 アイヌ民族に関わる和人の当事者性を問う。 定価=本体 4,200円+税 |
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[目次] 序章 問題の所在 009 第1章 呼称から考える 「アイヌ民族」 と 「日本人」 の関係 ― 名付けることと名乗ること 021 第2章 『旅』 は誘う ― 観光雑誌と執筆者・読者の 「北海道」と 「アイヌ」 041 第3章 メディア・イベントとしての北海道「探検」 077 第4章 アイヌの写真を撮る/見るまなざし ― 1950 ― 70年代前半の写真雑誌と掛川源一郎 095 第5章 アイヌの頭蓋骨写真報道が意味するもの ― 過去の「露頭」の発見と発掘 121 第6章 アイヌ政策の分析枠組み ― 強制された「共生」の構造 141 第7章 五十嵐広三旭川市長とアイヌ民族 ― 「北海道アイヌ祭り」と北海道旧土人保護法存廃論争を中心に 163 第8章 「アイヌ研究」と社会学のかすかな接点 ― ある社会学者の関与と撤退 205 終章 本書の到達点と今後の課題 231 あとがき 248
【関連文献】 http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/180.htm
[著者]東村岳史 アイヌ民族と和人の新たな歴史記述に向けて―― 定価=本体 3,600円+税 |
柿原武史+仲潔+布尾勝一郎+山下仁 編『対抗する言語 日常生活に潜む言語の危うさを暴く』(三元社)
http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/523.htm
本書に通底する基本的なテーマは、社会における言語問題および言語政策・言語教育政策である。言語をめぐる昨今の議論や動向をみてみると、世の中の危うさが浮き彫りとなる。「グローバル時代だから」「多文化共生のために」「バリアフリーをめざして」などの美辞麗句が並べられ、誰も反対できないようなスローガンが掲げられる――。そんなときにこそ、日常生活に根付く言語問題・言語(教育)政策の背後にある諸問題を明るみに出し、批判的な眼差しを持ち、思考停止に陥ることなく、本質を見失うことなく議論していかねばならない。 定価=本体 3,500円+税 |
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[目次] まえがき 仲 潔・布尾 勝一郎 001 第 1 章 少数言語は 21 世紀を生き残れるのか:スペインの地域言語をめぐる問題から考える 柿原 武史 009 第 2 章 多言語社会ルクセンブルクにおける言語イデオロギーの「対抗」 小川 敦 第 3 章 台湾における「外国にルーツを持つ人々」のための言語支援:外国籍配偶者と外国籍労働者を中心に 松永 稔也 071 第 4 章 インドネシアの「統一の中の多様性」:言語という枠組みによる集団の諸相 中谷 潤子 101 第 5 章「対抗しない」アフリカ型多言語主義の可能性:タンザニアの言語状況を事例に 沓掛 沙弥香 127 第 6 章 対抗する言語としてのアイオレオ語:ボリビア・パラグアイ国境線からのまなざし 寺尾 智史 167 第 7 章 日本における日本語教育政策とその課題 布尾 勝一郎 207 第 8 章 英語教授法をめぐる言説に内在する権力性 仲 潔 239 第 9 章 対抗するための言葉としての「コミュニケーション」:英語教育の現場から 榎本 剛士 275 第 10 章 言語的弱者への見えにくい排外主義と対抗理論:障害者を中心に、外国人・非識字者も視野に入れて 中島 武史 303 第 11 章 怒りの隠蔽:聞き手に怒りをもたらす言語機能について 山下 仁 339 あとがき 柿原 武史 370 執筆者紹介 374 |
言語を仕分けるのは誰か ポーランドの言語政策とマイノリティ (貞包 和寛,明石書店)
ポーランドの言語政策とマイノリティ
第1章 序論―言語の不可算性と言語分類―
1.1 問題提起
1.2 方法論
1.2.1 分類を体現する装置としての名称
1.2.2 言語分類の基準としての言語学、方言学:言語学的分類
1.2.3 言語分類の基準としての言語政策:政策的分類
1.2.4 言語学的分類と政策的分類の対照
1.3 序論の総括:本書の目的と本章のまとめ
1.3.1 言語学と言語政策の対照研究とその必要性
1.3.2 目的(1):政策的分類が言語学的分類に与えた影響を明らかにすること
1.3.3 目的(2):政策的分類の意図を明らかにすること
1.3.4 本書におけるマイノリティ集団の位置付け
第2章 研究対象の選出
2.1 本書における「言語」というタームの使用方法
2.2 研究対象の3言語:カシューブ語、シロンスク語、レムコ語
2.3 研究対象3言語の基本情報
2.3.1 カシューブ語
2.3.2 シロンスク語
2.3.3 レムコ語
2.4 研究対象3言語の基本情報のまとめ
第3章 言語学的分類
3.1 タームの間のヒエラルキー
3.1.1 「言語」と「方言」
3.1.2 「エトノレクト」
3.1.3 言語記述とターム選択の非関連性
3.2 カシューブ語について
3.2.1 カシューブ語の研究史
3.2.2 カシューブ語の言語学的分類
3.3 シロンスク語について
3.3.1 シロンスク語の研究史
3.3.2 シロンスク語の言語学的分類
3.4 レムコ語について
3.4.1 レムコ語の研究史
3.4.2 レムコ語の言語学的分類
3.5 第3章の総括
3.5.1 コーパスの記述と言語学的分類の非関連性
3.5.2 言語ごとに見る言語学的分類の揺れ:多様性と背景
第4章 政策的分類
4.1 ポーランド共和国のステータス計画と国勢調査の結果
4.1.1 憲法とポーランド語法
4.1.2 マイノリティ法
4.1.3 国勢調査の結果(2002年、2011年)
4.2 マイノリティ法の背景:欧州評議会の憲章と枠組条約
4.2.1 憲章と枠組条約の概要
4.2.2 憲章と枠組条約における「言語」と「マイノリティ」
4.3 マイノリティ法の分析
4.3.1 ステータス計画分析の方法論:法令内的問題と法令外的問題
4.3.2 法令内的問題(1):「マイノリティ」と「マイノリティ言語」
4.3.3 法令内的問題(2):地域言語/マイノリティ言語の不自然な区分
4.3.4 法令外的問題(1):使用されていない言語
4.3.5 法令外的問題(2):カシューブ問題
4.3.6 法令外的問題(3):シロンスク問題
4.3.7 マイノリティ法におけるレムコ人(語)の位置付け
4.4 第4章の総括
4.4.1 マイノリティ法による分類の意図
4.4.2 多言語主義を標榜する政策の選択性・疎外性
第5章 結論
5.1 これまでの議論の振り返り
5.1.1 結論(1):マイノリティ法が言語学的分類に与えた影響
5.1.2 結論(2):言語学的知見から見るマイノリティ法の背景と意図
5.2 本書全体の総括および今後の研究課題
第6章 [補章]マイノリティ法全文訳
参考資料一覧
おわりに
貞包 和寛 | |
サダカネ カズヒロ |
プロフィール
【近著】
『ウクライナを知るための65章』(明石書店、2018年)第18章「ウクライナ、ルシン、レムコの多層的な関係――国家の隙間に生きる人々と言葉」
【論文】
「ポーランドのマイノリティ法の批判的分析――シロンスク地方の言語問題を例として」『言語政策』15号、1-30頁、2019年。
“The International Distinction Between a Regional Language and a Minority Language in Poland’s Minority Act” Contributions to the 22nd Annual Scientific Conference of the Association of Slavists, vol. 22, pp.218-225, 2019.
ことばと社会 22号 特集:〈からだ〉のことを伝える〈ことば〉
[編]『ことばと社会』編集委員会
定価=本体 2,300円+税 |
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[目次] →Mokuzi (Contents) PDF 巻頭コラム 特集 〈からだ〉のことを 伝える〈ことば〉 書評 連載報告|多言語社会ニッポン 近刊短評 235 |
アンチウイルスソフトとしての社会学: アタマとココロの健康のために II(2020/09/30)
[著者]ましこ・ひでのり 差別、ヘイトスピーチ、ハラスメントなど、ヒト=宿主に寄生することで自他に対し暴力性を発症する社会的ウイルス。「男尊系」「アンチ思想的多様性系」「コロニアリズム系」など種々多様なウイルスの理念系を網羅し、その感染対策ワクチンとして、社会学や人類学・障害学、ジェンダー論やクィアスタディーズなどを駆使したファイアウォールを提起する。 定価=本体 1,600円+税 |
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[目次] はじめに 7 1章 なにをきらうか、なんできらうかで、個人・集団の本質がみえる 13 2章 仮説「攻撃性を誘発するウイルス的存在がどこかに実在する」 25 3章 社会的ウイルスの「暗躍」:帰納的に「知的病原体」を推計する 41 4章 社会的ウイルスの発症防止のために:あらたな臨床的社会科学の創造 95 おわりに 146 参考文献 152 |
【関連本】
社会学的知の実践:レイシズム・ミソジニー感染防止ワクチンとハラスメント依存症治療(2018/12/15)