『アリバイ工作社会:「ブルシット・ジョブ」論の再検討』(三元社)

www.sangensha.co.jp

 

f:id:MASIKO:20210818140023j:plain

アリバイ工作社会

「ブルシット・ジョブ」論の再検討

[著]ましこ・ひでのり

コロナ禍で浮上した医療関係者などエッセンシャルワーカーの存在は、社会に必要な労働を「シット・ジョブ」とし、社会的に無意味ないし有害な職務が不当に高収入という「職業威信スコア」=逆説をも浮上させた。デヴィッド・クレーバー『ブルシット・ジョブ論』の再検討から「クソどうでもいい仕事」の本質をあぶりだす。

定価=本体 2,000円+税
2021年7月20日/四六判・並製/256頁/ISBN978-4-88303-531-1


イメージを拡大

[目次]

はじめに

1 章 「ブルシット・ジョブ」論の再検討  15

2章 国家エリート周辺の「ブルシット・ジョブ」/「ハイパー独裁」/「ポスト・トゥルース」 31

3章 ムダ・有害性が肥大化しつづけ、エッセンシャルワークがけずられつづける公教育 93

4章 生活者・青年層のためにならない行政 :自衛隊・司法改革・健康行政を中心に 125

5章 日本にはびこる民間のブルシット・ジョブ 159

6章 グレーバー流「ブルシット・ジョブ」モデルが構造的にみおと す領域 185

7章 グレーバーが問題視する「シット・ジョブ」に対する「やっかみ」意識と異質な「やっかみ意識」 :日本的「よこならび意識」がもたらす、あしのひっぱりあい  195

8章 ベーシックインカム論からみた、労働の意義再考 223

おわりに 237
   


HOME

 

関連図書

あそび/労働/余暇の社会学

f:id:MASIKO:20210818140118g:plain

 

東村岳史『近現代北海道とアイヌ民族-和人関係の諸相』(三元社)

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/524.htm

 

近現代北海道とアイヌ民族-和人関係の諸相

[著者]東村岳史

アイヌ民族に関わる和人の当事者性を問う。
アイヌ民族に対する名付け、旅行者・写真家のまなざし、新聞報道、雑誌記事、メディア・イベント、学術研究、政治家による政策的関与などを検証し、日本社会の主流派(マジョリティ)である和人のアイヌ民族に関わる当事者性を問い直す。

定価=本体 4,200円+税
2021年2月20日/A5判並製/264頁/ISBN978-4-88303-524-3


イメージを拡大

[目次]

序章  問題の所在  009
1. 前著出版後のこと  009
2. 問題の所在  010
3. 先行研究  012 
4. 資料と方法  016
5. 本書の構成  016

第1章  呼称から考える 「アイヌ民族」 と 「日本人」 の関係 ― 名付けることと名乗ること 021
1. はじめに  021
2. 民族呼称を考える枠組み ― 名付けと名乗り  022
3. 「アイヌ」「旧土人」「ウタリ」「アイヌ系」「アイヌ民族」  025
  3.1. 「旧土人」という名付けとそれに対する名乗り  025
  3.2. 「アイヌ系(日本人)」 ― 「同化」へと向かうベクトルの途上  029
  3.3. 「ウタリ」から再び「アイヌ(民族)」へ?  031
4. 「日本人」の呼称とその内容 ― 今後の課題  035

第2章  『旅』 は誘う ― 観光雑誌と執筆者・読者の 「北海道」と 「アイヌ」 041
1. はじめに  041
2. 観光雑誌を編集するまなざし  042
3. 『旅』の誌面に現れた「北海道」と「アイヌ」  046
  3.1. 『旅』の概要  046
  3.2. 北海道関係記事の概要 ― イメージと傾向  047
  3.3. 北海道らしさを構成する要素  049
   3.3.1. 戦前期  049
      3.3.1.1. 「自然」と「文化」、「アイヌ」  049
      3.3.1.2. 「理系」記述に混在する「人文」要素  051
      3.3.1.3. 「アイヌ」の表象  052
   3.3.2. 戦前期  055
      3.3.2.1. 特集から  055
      3.3.2.2. 「地の果て」への収斂  056
      3.3.2.3. 「道民」の登場 ― 「生活」・「ふるさと」・「開拓」・「味」  058
      3.3.2.4. 「アイヌ」へのまなざし  061
       3.3.2.4.1. 道内在住“識者”たちの見解  061
       3.3.2.4.2. 混乱と矛盾  063
       3.3.2.4.3. まなざしを引き受ける/引き受けない  066
       3.3.2.4.4. 変化の予感?  069
4. おわりに ― 「深く見る」ことの意味とポエティック路線への退行題  069

第3章  メディア・イベントとしての北海道「探検」  077
1. はじめに ― なぜ探検か、なぜメディア・イベントか  077
2. 戦後期の探検論と開拓・開発  079
  2.1. 松浦武四郎の顕彰  079
  2.2. 同時代の探検論  082
3. 新聞社のメディア・イベント ― 北海タイムスの「北海道探検隊」  085
4. 「探検」の後で  090

第4章  アイヌの写真を撮る/見るまなざし ― 1950 ― 70年代前半の写真雑誌と掛川源一郎  095
1. はじめに  095
2. 戦後期写真雑誌に見るアイヌ関連写真  098
  2.1. 写真雑誌とリアリズム運動  098
  2.2. 写真雑誌におけるアイヌ関連写真の傾向  099
3. 掛川の写したアイヌ関連写真  102
  3.1. 生活者への目線  102
  3.2. 「語り部」になることとマスターナラティブ  106
4. おわりに ― 掛川写真の新たな評価と今後の課題  111

第5章  アイヌの頭蓋骨写真報道が意味するもの ― 過去の「露頭」の発見と発掘 121
1. はじめに ― 問題の所在  121
2. 無意識に読者を飼い慣らす新聞記事  123
  2.1. “偉大な研究者とその一家”を表彰する  123
  2.2. 人骨をネタ化する  127
3. 過去の「露頭」を再発見する  134

第6章  アイヌ政策の分析枠組み ― 強制された「共生」の構造 141
1. はじめに  141
2. 鍵概念の説明  142
  2.1. アイヌ政策複合体  142
  2.2. 主流化と周辺化  143
  2.3. 政策の変容段階と共依存構造  144
  2.4. 制度化されたレイシズム  145
3. 「アイヌ政策複合体」の形成 ― 有識者懇談会から政策推進会議へ  147
  3.1. 形成初期 ― 「アイヌ新法」から「アイヌ文化振興法」へ  147
  3.2. 政策発展期 ― アイヌ政策推進会議の設置と「民族共生の象徴となる空間」  148
4. アイヌ政策複合体の基本構造と特質  150
  4.1. アイヌ政策推進会議の「有識者」性と近代的閉鎖性  150
  4.2. 産学官連携体制としてのアイヌ政策推進会議、共依存構造としての産学官連携  152
  4.3. 主流化と周辺化,および制度化されたレイシズム  155
  4.4. 強制された「共生」  157
5. おわりに  158

第7章  五十嵐広三旭川市長とアイヌ民族 ― 「北海道アイヌ祭り」と北海道旧土人保護法存廃論争を中心に 163
1. はじめに  163
2. 「北海道アイヌ祭り」  166
  2.1. 旭川市長当選と祭りの構想  166
  2.2. 祭りの準備とアイヌの反応  170
  2.3. 祭りの実施とその後  176
3. 北海道旧土人保護法存廃論争  179
  3.1. 五十嵐の関与と問題認識  179
  3.2. 『コタンの痕跡』と「旧土人保護法とウタリ」  184
  3.3. 「風雪の群像」爆破事件、北海道ウタリ福祉対策  189
4. 五十嵐市長の対アイヌ民族施策の評価 ― 「功罪半ば」と当事者性  192

第8章  「アイヌ研究」と社会学のかすかな接点 ― ある社会学者の関与と撤退 205
1. はじめに ― 「アイヌ研究」における社会学  205
2. マジョリティとしての当事者性  207
3. 関清秀の経歴と研究分野の特徴  211
4. 帯広調査  213
  4.1. 帯広におけるアイヌ社会福祉  213
  4.2. 関の「アイヌ研究」への参与  215
5. 日高調査と撤退  218
  5.1. 日高調査  218
  5.2. 撤退の理由  220
6. 撤退後のこと  222
7. おわりに  225

終章  本書の到達点と今後の課題 231
1. 各章のまとめと補足  231
2. 和人の当事者性 ― 「やっかいごと」と「ありがたがられ効果」  234
3. 失敗してきた「国民に対する知識の普及及び啓発」  239
4. マスターナラティブとしての「開発」  241
5. 今後の課題  244

あとがき  248
参考文献  252

 

 

 

 

【関連文献】

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/180.htm

戦後期アイヌ民族-和人関係史序説
1940年代後半から1960年代後半まで

[著者]東村岳史

アイヌ民族と和人の新たな歴史記述に向けて――
アイヌ近現代史においてもっとも記録の蓄積が薄かった戦後1940年代後半から60年代後半までを、アイヌ民族―和人関係史という枠組み設定により多面的に叙述するはじめての試み。 戦後20数年間の歴史が現在へと架橋される。

定価=本体 3,600円+税
2006年5月20日/A5判上製/360頁/ISBN978-4-88303-180-1

柿原武史+仲潔+布尾勝一郎+山下仁 編『対抗する言語 日常生活に潜む言語の危うさを暴く』(三元社)

http://www.sangensha.co.jp/allbooks/index/523.htm

 

対抗する言語

日常生活に潜む言語の危うさを暴く

[編著者]柿原武史仲潔布尾勝一郎山下仁

本書に通底する基本的なテーマは、社会における言語問題および言語政策・言語教育政策である。言語をめぐる昨今の議論や動向をみてみると、世の中の危うさが浮き彫りとなる。「グローバル時代だから」「多文化共生のために」「バリアフリーをめざして」などの美辞麗句が並べられ、誰も反対できないようなスローガンが掲げられる――。そんなときにこそ、日常生活に根付く言語問題・言語(教育)政策の背後にある諸問題を明るみに出し、批判的な眼差しを持ち、思考停止に陥ることなく、本質を見失うことなく議論していかねばならない。

定価=本体 3,500円+税
2021年1月20日/A5判並製/392頁/ISBN978-4-88303-523-6


イメージを拡大

[目次]

まえがき 仲 潔・布尾 勝一郎   001

第 1 章 少数言語は 21 世紀を生き残れるのか:スペインの地域言語をめぐる問題から考える 柿原 武史   009
1.  はじめに  009
2.  教育における少数言語への批判の高まり  012
  2.1. カタルーニャ自治州におけるカタルーニャ語教育政策に対する批判  014
     2.1.1. カタルーニャ自治州の言語教育政策  015 / 2.1.2. イマージョン教育への批判  016
  2.2  ガリシア自治州におけるガリシア語教育政策に対する批判  019
     2.2.1. ガリシア自治州の言語教育政策  019 / 2.2.2. ガリシア語教育の拡大に対する批判と現状  020
  3.  少数言語はなぜ叩かれるのか  021
     3.1.  国家語を学ぶ権利  022
     3.2.  言語的スペイン主義の台頭  024
4.  おわりに  027
参考文献  030
参考:スペイン政府とその周辺およびカタルーニャ自治州ガリシア自治州の言語教育政策に関連するできごと  032
コラム 移民の統合政策と言語政策 柿原 武史  033

第 2 章 多言語社会ルクセンブルクにおける言語イデオロギーの「対抗」 小川 敦
1.  はじめに  037
2.  伝統的言語イデオロギーと言語の「対抗」  041
  2.1.  複数言語体制の成立と維持  043
  2.2. 多言語的意識と単一言語的意識の「対抗」  045
3.  社会の変化とルクセンブルク語使用の増大  050
  3.1. 移民の増加と教育制度  052
  3.2.  ルクセンブルク語の役割の変化と政策  057
  3.3.  言語権と「対抗」の軸  060
4.  おわりに  062
参考文献  064
コラム 欧州言語共通参照枠( CEFR )と複言語主義 小川 敦  067

第 3 章 台湾における「外国にルーツを持つ人々」のための言語支援:外国籍配偶者と外国籍労働者を中心に 松永 稔也   071
1.  はじめに  071
2.  台湾に暮らす外国籍住民  073
3.  外国籍住民への生活支援  077
  3.1.  外籍配偶への生活支援  077
     3.1.1. 外籍配偶に対する人的支援・空間提供  077 /
      3.1.2. 外籍配偶に対するホスト社会の言語習得に関わる支援  080
  3.2.  外籍勞工への言語支援  083
     3.2.1. 台湾渡航前の言語学習  084 / 3.2.2. 言語支援への需要と台湾側の対応  084
4.  ホスト社会の認識の変更へつながる動き  087
  4.1.  外籍配偶の主体性の確立に関わる動き  087
  4.2.  外籍配偶の母語・母国語の継承・活用の視点  089
  4.3.  外籍勞工から学ぶ・外籍勞工と学ぶ  091
5.  結びにかえて  093
参考文献  096
コラム 多言語社会としての台湾 松永 稔也  098

第 4 章 インドネシアの「統一の中の多様性」:言語という枠組みによる集団の諸相 中谷 潤子   101
1.  はじめに  101
2.  国語としてのインドネシア語  104
3.  華語 ― 失われた時代を経て  107
4.  地方語の諸相  113
  4.1.  スンダ語 ― 威信とアイデンティティの象徴として  114
  4.2.  チア・チア語 ― 政治とアイデンティティの道具として  115
5.  集団を形成する線引きとは ― 言語という枠組み  118
6.  おわりに  120
参考文献  121
コラム プラナカンとは誰か 中谷 潤子  124

第 5 章「対抗しない」アフリカ型多言語主義の可能性:タンザニアの言語状況を事例に 沓掛 沙弥香   127
1.  はじめに  127
2.  アフリカの言語状況  130
  2.1.  言語の可算性の問題  130
  2.2.  言語の実体化と「母語」という概念  131
  2.3.  言語の重層性 ― 「公用語」としての旧宗主国言語の居座り  133
  2.4.  アフリカにおける言語問題の所在  135
  2.5.  後退するアフリカ諸語の「対抗」  136
3.  タンザニアにおける「対抗する言語」を考える  138
  3.1.  シナリオ 1 :「対抗する言語」としてのスワヒリ語  139
     3.1.1. スワヒリ語の「国語」化  139 / 3.1.2. 英語に対抗するスワヒリ語という可能性  140 /
     3.1.3. 「対抗しない」スワヒリ語振興政策・「対抗しない」人々  144
  3.2  シナリオ 2 :民族語による抵抗という可能性  146
     3.2.1. 民族語の衰退  146 / 3.2.2. スワヒリ語に「対抗」する民族語?  147
4.  対抗しない言語 ― アフリカ型多言語主義とその可能性  150
  4.1.  言語帝国主義かアフリカ型多言語主義か  152
  4.2.  社会の変化への回答としてのアフリカ型多言語主義  153
5.  おわりに  155
参考文献  157
コラム アフリカにおけるスワヒリ語の特殊な地位 沓掛 沙弥香  164

第 6 章 対抗する言語としてのアイオレオ語:ボリビアパラグアイ国境線からのまなざし 寺尾 智史   167
1.  「コニョーネとの 400 年間」をめぐって  167
2.  「 レドゥクシオン」という装置の中で ― 西洋との「減算的コンタクトゾーン」  172
3. ポスト・イエズス会のレドゥクシオンとアイオレオ ― 「同化の自動装置」の枠外で  177
4.  チャコ戦争とアイオレオ ― 戦線が分断線となる悲哀  180
5.  「 2 つの移動民」の皮肉な出会い ― メノナイトとの不幸な接触  183
6.  「チャコ戦争」戦後とアイオレオ ― 分断の影響  187
7. アイオレオのことばと文化は生き残れるか ― 彼らの、そして我々の問題として  194
参考文献  198
コラム  アルピリの栄光と挫折 ― アイオレオの在パラグアイボリビア大使への期待と結末 寺尾 智史  203

第 7 章 日本における日本語教育政策とその課題 布尾 勝一郎   207
1.  はじめに  207
2.  首尾一貫した日本語教育政策の不在  208
3.  看護・介護労働者の受け入れにおける日本語教育  211
  3.1. 経済連携協定EPA )に基づく看護師・介護福祉士候補者の受け入れ  211
  3.2.  外国人技能実習制度への介護職種追加  214
  3.3.  在留資格「特定技能」の創設  216
4. 「日本語教育の推進に関する法律」  220
  4.1. 議員連盟  221
  4.2.  法案可決までの経緯  224
  4.3.  推進法の構成  225
  4.4.  推進法の特長  228
  4.5.  推進法に欠けている点  230
5.  おわりに  232
参考文献  233
コラム  外国人看護・介護労働者が直面する日本語面の困難 布尾 勝一郎  236

第 8 章 英語教授法をめぐる言説に内在する権力性 仲 潔   239
1.  はじめに  239
2.  教授法に頼らざるを得ない教師たちの事情  241
  2.1. ICT 機器の拡充  242
  2.2. ALT の拡充  243
  2.3.  教員研修の充実  245
  2.4.  窮地に立たされる英語教師  246
3.  教授法の特徴  247
  3.1.  教授法の 3 つの次元  247
 3.2.  教授法の特徴を明らかにするための視座  249
4.  教授法に内在する言語観とその権力性  252
  4.1. 「言語の本質は音声」という言語観  253
  4.2.  想定される「母語」/「第 1 言語」とは何か  256
  4.3.  構造/機能/相互作用への視点と教師主導型に見る言語観・言語教育観の変遷  260
5.  二人称的な「かかわることば」の教育へ  264
  5.1.  かかわることば、かかわらない言葉  265
  5.2.  かかわることば、かかわらない言葉と教授法  267
6.  おわりに ― 教授法への無批判な信仰からの解放  268
参考文献  269
コラム  国際語としての英語と国際英語 仲 潔  273

第 9 章 対抗するための言葉としての「コミュニケーション」:英語教育の現場から 榎本 剛士   275
1.  はじめに  275
2. 「英語教育」と「コミュニケーション」  278
3. 「コミュニケーション」という言葉を「対抗」するための言葉として再生するための知見  283
  3.1.  言語人類学の知見  284
  3.2.  (批判的)応用言語学の知見  286
  3.3.  多文化主義(批判)の知見  287
4. 「対抗」するための言葉としての「コミュニケーション」を通じて教室の可能性を捉え直す  291
  4.1.  「海外の人」よりも「今・ここにいる人」  291
  4.2.  「考える市民」の言葉としての「コミュニケーション」へ  294
5.  おわりに  296
参考文献  297
コラム メタ語用と言語政策 榎本 剛士  300

第 10 章 言語的弱者への見えにくい排外主義と対抗理論:障害者を中心に、外国人・非識字者も視野に入れて 中島 武史   303
1.  はじめに  303
2.  言語による差別  305
3.  日本社会に見られる他言語話者に対する排除  306
  3.1.  ろう者について  307
  3.2.  外国籍・外国にルーツのある人たちについて  308
4.  日本語を使用する人たちの間での排除  309
  4.1.  コミュニケーション形態の不一致による排除について  309
  4.2.  日本語そのものが障壁となり起こる排除について  310
5.  言語的弱者への排外主義に対抗するために  312
  5.1.  言語権、障害学的言語権という考え方  312
  5.2.  言語やことばの問題を社会的責任として捉える考え方  314
  5.3.  ことば・情報のユニバーサルデザイン  315
  5.4.  アンエンパワメントとユニバーサルデザインの関係  317
6.  対抗理論の実践からわかること  318
  6.1. ことば・情報のユニバーサルデザインと「合理的配慮」の親和性  319
  6.2.  日本語・日本語表記の難しさを低減する取り組みの共通点  320
  6.3.  人のネットワーク、視覚的記号の活用による対抗  324
7.  対抗を阻害する要因  327
  7.1.  単一性を指向する言語規範の問題  327
  7.2.  言語現象の個人モデルを自明とする、強者の論理という問題  328
8.  おわりに  329
参考文献  331
コラム  視覚言語・視覚的コミュニケーションの世界 中島 武史  335

第 11 章 怒りの隠蔽:聞き手に怒りをもたらす言語機能について 山下 仁   339
1.  はじめに  339
2.  ヘイトスピーチ  342
3.  構造化された暴力とことばの暴力  346
4.  聞き手に怒りをもたらす言語表現の具体例  351
  4.1.  中間的な領域におけるあからさまな表現  352
  4.2.  中間的な領域における間接的な表現  353
  4.3.  政治的領域におけるあからさまな表現  355
  4.4.  政治的領域における間接的な表現  357
     4.4.1. 「女性活躍加速のための重点方針」について  357 / 4.4.2. 「外国人高度人材」について  361
5.  まとめ  363
参考文献  364
コラム  ウルリヒ・アモンと日本の言語政策 山下 仁  366

あとがき 柿原 武史   370

執筆者紹介  374

言語を仕分けるのは誰か ポーランドの言語政策とマイノリティ (貞包 和寛,明石書店)

www.akashi.co.jp

 

言語を仕分けるのは誰か

 

言語を仕分けるのは誰か  これから出る本

ポーランドの言語政策とマイノリティ

本書ではポーランドの言語状況を、ポーランドにおけるカシューブ語、シロンスク語、レムコ語といったマイノリティ言語を対象として、マジョリティ言語であるポーランド語話者により形成される意見・意図を含めて社会言語学的に分析し相対的に記述する。
 
目次
 はじめに

第1章 序論―言語の不可算性と言語分類―
 1.1 問題提起
 1.2 方法論
  1.2.1 分類を体現する装置としての名称
  1.2.2 言語分類の基準としての言語学、方言学:言語学的分類
  1.2.3 言語分類の基準としての言語政策:政策的分類
  1.2.4 言語学的分類と政策的分類の対照
 1.3 序論の総括:本書の目的と本章のまとめ
  1.3.1 言語学と言語政策の対照研究とその必要性
  1.3.2 目的(1):政策的分類が言語学的分類に与えた影響を明らかにすること
  1.3.3 目的(2):政策的分類の意図を明らかにすること
  1.3.4 本書におけるマイノリティ集団の位置付け

第2章 研究対象の選出
 2.1 本書における「言語」というタームの使用方法
 2.2 研究対象の3言語:カシューブ語、シロンスク語、レムコ語
 2.3 研究対象3言語の基本情報
  2.3.1 カシューブ語
  2.3.2 シロンスク語
  2.3.3 レムコ語
 2.4 研究対象3言語の基本情報のまとめ

第3章 言語学的分類
 3.1 タームの間のヒエラルキー
  3.1.1 「言語」と「方言」
  3.1.2 「エトノレクト」
  3.1.3 言語記述とターム選択の非関連性
 3.2 カシューブ語について
  3.2.1 カシューブ語の研究史
  3.2.2 カシューブ語の言語学的分類
 3.3 シロンスク語について
  3.3.1 シロンスク語の研究史
  3.3.2 シロンスク語の言語学的分類
 3.4 レムコ語について
  3.4.1 レムコ語の研究史
  3.4.2 レムコ語の言語学的分類
 3.5 第3章の総括
  3.5.1 コーパスの記述と言語学的分類の非関連性
  3.5.2 言語ごとに見る言語学的分類の揺れ:多様性と背景

第4章 政策的分類
 4.1 ポーランド共和国のステータス計画と国勢調査の結果
  4.1.1 憲法ポーランド語法
  4.1.2 マイノリティ法
  4.1.3 国勢調査の結果(2002年、2011年)
 4.2 マイノリティ法の背景:欧州評議会の憲章と枠組条約
  4.2.1 憲章と枠組条約の概要
  4.2.2 憲章と枠組条約における「言語」と「マイノリティ」
 4.3 マイノリティ法の分析
  4.3.1 ステータス計画分析の方法論:法令内的問題と法令外的問題
  4.3.2 法令内的問題(1):「マイノリティ」と「マイノリティ言語」
  4.3.3 法令内的問題(2):地域言語/マイノリティ言語の不自然な区分
  4.3.4 法令外的問題(1):使用されていない言語
  4.3.5 法令外的問題(2):カシューブ問題
  4.3.6 法令外的問題(3):シロンスク問題
  4.3.7 マイノリティ法におけるレムコ人(語)の位置付け
 4.4 第4章の総括
  4.4.1 マイノリティ法による分類の意図
  4.4.2 多言語主義を標榜する政策の選択性・疎外性

第5章 結論
 5.1 これまでの議論の振り返り
  5.1.1 結論(1):マイノリティ法が言語学的分類に与えた影響
  5.1.2 結論(2):言語学的知見から見るマイノリティ法の背景と意図
 5.2 本書全体の総括および今後の研究課題

第6章 [補章]マイノリティ法全文訳

 参考資料一覧
 おわりに
 
 
 
貞包 和寛
  サダカネ カズヒロ

プロフィール

1988年佐賀県生まれ。東京外国語大学国語学ポーランド語専攻卒業。ポーランド政府奨学金奨学生、日本学術振興会特別研究員(DC2)を経て、東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程修了。博士(学術)。
【近著】
ウクライナを知るための65章』(明石書店、2018年)第18章「ウクライナ、ルシン、レムコの多層的な関係――国家の隙間に生きる人々と言葉」
【論文】
ポーランドのマイノリティ法の批判的分析――シロンスク地方の言語問題を例として」『言語政策』15号、1-30頁、2019年。
“The International Distinction Between a Regional Language and a Minority Language in Poland’s Minority Act” Contributions to the 22nd Annual Scientific Conference of the Association of Slavists, vol. 22, pp.218-225, 2019.

ことばと社会 22号 特集:〈からだ〉のことを伝える〈ことば〉

ことばと社会 22号
特集:〈からだ〉のことを伝える〈ことば〉

[編]『ことばと社会』編集委員会

 

定価=本体 2,300円+税
2020年10月30日A5判並製/252頁/ISBN978-4-88303-517-5

f:id:MASIKO:20201104215909p:plain

イメージを拡大
(表紙写真は、私の大好き
なかかりつけの病院です。
本誌所収の論文とは、
一切関係ありません。[や])

[目次]

Mokuzi (Contents) PDF
執筆者紹介PDF

巻頭コラム
  接続法の世界で/佐野直子 山下仁 006

特集 〈からだ〉のことを 伝える〈ことば〉
   知的障害者向けの「わかりやすい情報提供」の現状と課題
   ―― 医療に関する情報保障に焦点を当てて/打浪文子 010 →PDFで少し読んでみる
   医療通訳とは何をする職業なのか
   ―― 専門職としての医療通訳の課題/糸魚川美樹 034 →PDFで少し読んでみる
   [研究ノート]医療現場における業界用語の使用状況
   ―― 外国人看護師候補者の学習支援に向けて/ポポヴァ・エカテリーナ 058 →PDFで少し読んでみる
   [研究ノート]医療人類学においてヘルスコミュニケーションをどう論じるか
   ―― フィリピン・メトロマニラの多言語状況における“Abortion”の「誤用」と齟齬の考察を手掛かりに
   /久保裕子 085 →PDFで少し読んでみる
   [研究ノート]介護の日本語に関する研究の動向と課題/定松文 111 →PDFで少し読んでみる
   医療における多言語研究の試みについて/渡邊日日 142 →PDFで少し読んでみる

書評
   嶋田珠巳・斎藤兆史大津由紀雄(編)『言語接触―英語化する日本語から考える「言語とはなにか」』
   /評者:赤桐敦 189
   寺沢拓敬(著)『小学校英語のジレンマ』
   /評者:佐野彩 193
   Christina Yi, Colonizing Language: Cultural Production and Language Politics in Modern Japan and Korea
   /評者:李暁辰 197

連載報告|多言語社会ニッポン
   琉球弧の言語
      沖縄語の複数の島言葉での教育/うちなー口ぬ複数ぬ島言葉習し
      /松田美怜 ハイス・ファン=デル=ルベ 202
   移民の言語
      家族史と社会史をつなぐ中国語/山崎哲 217
   手話
      ろう通訳とコミュニケーション支援/川上恵 225

近刊短評  235
執筆者紹介  245
Mokuzi(Contents) 246

アンチウイルスソフトとしての社会学: アタマとココロの健康のために II(2020/09/30)

f:id:MASIKO:20200918223427p:plain

www.sangensha.co.jp

 

アンチウイルスソフトとしての社会学

アタマとココロの健康のために Ⅱ

[著者]ましこ・ひでのり

差別、ヘイトスピーチ、ハラスメントなど、ヒト=宿主に寄生することで自他に対し暴力性を発症する社会的ウイルス。「男尊系」「アンチ思想的多様性系」「コロニアリズム系」など種々多様なウイルスの理念系を網羅し、その感染対策ワクチンとして、社会学や人類学・障害学、ジェンダー論やクィアスタディーズなどを駆使したファイアウォールを提起する。

定価=本体 1,600円+税
2020年9月30日/四六判並製/160頁/ISBN978-4-88303-514-4


イメージを拡大

[目次]

はじめに 7

1章  なにをきらうか、なんできらうかで、個人・集団の本質がみえる 13
   1-1  「きらいなもの」:ヒトにおける個人差と集団差 14
   1-2  最近の「韓国ぎらい」をかんがえる 17

2章  仮説「攻撃性を誘発するウイルス的存在がどこかに実在する」 25
   2-1  小仮説1「社会的ウイルスは、なにかを標的としてヒトに攻撃させる」 26
   2-2 小仮説2「社会的ウイルスは、その本質を階層化をふくめて類型化できる」 29
   2-3 小仮説3「社会的ウイルスは攻撃を正当化したい宿主に寄生し発症させる」 33
   2-4 小仮説4:「社会的ウイルスは条件次第で宿主に寄生しても発症させることができず、周囲に伝染させることに
   も失敗する」 37
   2-5 小仮説5「社会的ウイルスは宿主の社会的地位のひくさにより寄生しても発症せずにいたのが、加齢による地
   位向上を機に発症することがある」 38

3章  社会的ウイルスの「暗躍」:帰納的に「知的病原体」を推計する 41
   3-1  検証1「性的被害者が、あたかも悪者であるかのようなバッシング現象」 42
   3-2 検証2「少数者が、あたかも悪者であるかのようなバッシング現象」 48
   3-3 検証3「社会的弱者が自業自得で、あたかもあまえているかのようなバッシング現象」 53
   3-4  検証4「公権力をにぎる人物でさえ無罪推定原則によって保護され、100%責任があるとき以外、謝罪・自己
   批判等は不要とされる風潮」 61
   3-5  検証5「弱者がよりどころとする思潮を反社会的ときめつける体制・風潮」 68
   3-6  検証6「政治経済的権力によるプロジェクト等は無謬で批判は非合理との独善」 67
   3-7 検証7 「オトナは未成年者をしつける権限があるという、支配の合理化」 69
   3-8  検証8「みんなおなじ幻想1:おなじ国民」 71
   3-9  検証9「みんなおなじ幻想2:よのなかはオトコとオンナしかいない」 74
   3-10 検証10「周囲の空気をよんであわせることを自然とうたがわない心理」 76
   3-11 検証11「加齢などでの変化を忌避するのは本能的で自然とうたがわない心理」 78
   3-12 検証12「魔法のように希望どおりの展開をのぞんでやまない心理」 81

4章 社会的ウイルスの発症防止のために:あらたな臨床的社会科学の創造 95
   4-1  セクハラ・ヘイトスピーチなど攻撃的言動 99
      4-1-1  攻撃的言動としてのセクハラなど各種ハラスメント 99
      4-1-2  攻撃的言動としてのヘイトスピーチ 115
   4-2  攻撃的言動の感染・発症メカニズムと、その抑止 121
      4-2-1  ヘイトスピーチヘイトクライム再考 121
      4-2-2  逆差別論など相対的剥奪意識からうまれる反動 129
      4-2-3  SNSなどICTの急伸で悪化した承認欲求と知的視野狭窄 132

おわりに 146

     参考文献 152

 

 

【関連本】

アタマとココロの健康のために

社会学的知の実践:レイシズムミソジニー感染防止ワクチンとハラスメント依存症治療(2018/12/15)

 

f:id:MASIKO:20200918224551p:plain