音楽を使った磁性流体アートのご紹介

 とてつもなく久しぶりの更新です。

 今日はタイムラインのメタデータを利用した、磁性流体アート作品のご紹介です。
 磁性流体アートは電気通信大学児玉幸子准教授が以前からたくさんの素晴らしい作品をつくられています。以前 Ars Electronica に行ったときに初めて児玉さんの作品を見て衝撃を受け、その直後に児玉さんに直接メールをしたことがきっかけでその後音楽と磁性流体・光を同期させる作品でコラボすることができました。
 作品では音楽に付与したタイムラインメタデータを元に、リアルタイムに磁性流体と光の制御を行っています。

「見えない庭展」

 現在この仕組みを使用した作品がお台場の科学未来館で展示されています。「見えない庭展」という展示会で、2011/3/21 まで公開されています。お時間ある方はぜひご覧ください。この中の「二つの立てる渦」が児玉さんとの協業作品になります。下記に動画もありますが、直接見ていただくとより衝撃が大きいかと思います。

世の中進歩堂

2011/1/7 22:24から BS Japan世の中進歩堂にて磁性流体アートが紹介されます。「二つの立てる渦」も紹介されると思います。

日本経済新聞

2011/1/2 日本経済新聞の web 版にて、磁性流体アートが紹介されています。「二つの立てる渦」が動画で紹介されています。

 ここまでは、今回の「見えない庭」展のお話でしたが、実は「二つの立てる渦」はその前身になる作品「Morpho Tower 〜 Two Standing Spirals 〜」があるのですが、これは日本では未公開でした。今回の「二つの立てる渦」がこの流れを汲む作品の日本初公開となります。

「Morpho Tower 〜 Two Standing Spirals 〜」
YouTube にアップされている「Morpho Tower 〜 Two Standing Spirals 〜」の動画です。このころはまだプロトタイプだったため、ストロボ照明がなかったり制御そのものもおとなし目です。

文化庁メディア芸術祭上海特別展
2007年に開催された文化庁メディア芸術祭上海特別展で初めて照明と同期した「Morpho Tower 〜 Two Standing Spirals 〜」をお披露目しました。たくさんの日本のメディアアーティストの方々とお知り合いになれたのがとても刺激的でした。

Wired Next Fest 2007
同じく2007年 L.A. のコンベンションセンターで開かれた Wired Next Fest にも出展しました。キョドりながら現地のTVのインタビューに答えたのを思い出します(汗)

Sony CSL Open House 2007
さらに前進となるプロトタイプですが、児玉先生にご協力いただき 2007年の Sony CSL Open House にて最初の音楽同期磁性流体を展示しました。この当時は一つのスパイラルしかなかったのですが、はじめて音楽と一緒に動いたときは感激したのを思い出します。

日本バーチャルリアリティ学会論文賞
児玉先生と共著で日本バーチャルリアリティ学会に寄稿した論文で論文賞をいただき大阪の USJ 内で表彰式に参加しました。
児玉幸子、宮島靖:音楽に同期する磁性流体彫刻、日本バーチャルリアリティ学会論文誌, vol.12, no.3, pp.247-258, 2007.

スピッツのCDなどをUSTREAMで配信可能に

 これは画期的なニュース。これまでニコ動などでJASRACとの包括契約がされていたのはあくまでも「人の曲を自分が演奏したり歌ったりしても大丈夫」というものでした。なので CD 音源そのものを流すことはできなかったわけです。
 JASRAC は作曲者や作詞者が持っている権利を代理で管理している団体で、CD 音源は「著作者隣接権」というまた別の人たち(演奏家(実演家といいます)やレコード会社など)が持っている権利になります。著作者隣接権は一括して管理されていないため、これまではネット上などで使うには個別に許諾をとらないとなりませんでした(しかも個人がとろうと思っても門前払いでしょう…)。

 今回のJRCの試みは期間限定のお試しではあるものの、とても画期的なことだと思います。

AV Watch の記事より引用

 さらに、関係権利者の同意が得られている音源(CD音源など)にかかる著作隣接権の許諾についても、JRCが提供するホワイトリストの中で提示していることも特徴。リストの原盤の項目が○になっている音源については、CD音源(原盤)も利用可能となり、CD音源などを適法な形でUSTREAM配信できる。×が付いている曲は、カバー演奏などのみで原盤をそのまま配信することはできない。

 今回公開されたホワイトリストでは、「スピッツ」「ホフディラン」「Sweet Vacation」「ムック」らの作品は音源にかかる許諾も示されている。ホワイトリストは随時更新する予定。

Ustream で配信中の DOMMUNE が凄すぎる件

金・土曜を除く毎日 21:00-24:00 までライブ DJ パフォーマンスを生放送している DOMMUNE に最近ハマっています。ともかく DJ のパフォーマンスが素晴らしくて音もよいのでちゃんとしたヘッドホンで聴いているとテンションあがりまくります。

今日は同時に観ている人が5000人近くいて、twitter コメントもうなぎ上り。

これ、部屋を暗くしてプロジェクタででっかく投影してでっかい音でかけてたら家でもクラブ気分ですな〜。ホームパーティーとかで盛り上がりそう。マンションで夜遅くに大音量は難しいけど。

それにしてもちょっと前なら著作権の観点から物議を醸し出すかもしれない試みですね。今でも物議になるかもしれないですが…。クラブは JASRAC と包括的な契約をしているところが多いと思うけど、あくまでもキャパが決まっている箱ものとしての契約だから、ネットで不特定多数が見れるとなると支払うべき著作権料が変わってくるはずじゃなかったかと思います。

同一性保持権とか細かいことを言い始めたら切りがないけど、もう事実として誰も止められない域まで達した感がありますね。

サーバメンテナンスのお知らせ

3/28(日) 8:00-13:30 まで Music Mashroom サーバーのメンテナンスを行います。
メンテナンス中はすべてのサービスのご利用ができなくなります。
またメンテナンス作業の状況によっては上記時間が前後する可能性がございます。

ご迷惑おかけいたしますが何卒ご了承ください。

3/28 追記 メンテナンス作業は無事に終了いたしました。

簡易ボーカルキャンセルとバンドパスフィルタ

リミックス/マッシュアップの幅を広げる機能として、簡易的ですがボーカルキャンセルとバンドパスフィルタを搭載しました。
 二つの曲を混ぜるときに、ボーカル同士がぶつかったり低音同士が邪魔しあったり、、、ということがよくあります。そんなときには、この機能を使うことでより綺麗にまぜることが可能となります。
ただし、ボーカルキャンセルは簡易的なものなのでどんな曲でも綺麗に消えるわけではないのと、消した後の音はモノラルになってしまいます。モノラルになってももう一方の曲と混ぜて聴くことで全体がモノラルにはならないためやってみるとそれほど違和感がなかったりします。


 ブロックの上で右クリックすると出てくるポップアップメニューに[簡易エフェクト]メニューが追加されています。このメニューはさらにサブメニューになっていて、一番上の項目がボーカルキャンセルの on/off, それより下の項目がバンドパスフィルターの簡単設定になっています。
特によく使うのが「低音カット」じゃないかと思います。
このメニューから選ぶとバンドパスフィルタの設定があらかじめ決められた周波数(カットオフ周波数)に設定されます。
細かく自分で調整したい場合には、[プロパティ...]を選んでプロパティダイアログを表示して設定を変更します。


プロパティダイアログの右上の方にバンドパスフィルタの on/off とカットオフ周波数を設定する項目があります。ここの設定をいじることで、特定の範囲の周波数以外をカットすることができます。例えば Low = 10Hz, High = 220 あたりにすると低音だけが出てそれ以上がカットされます。
※残す周波数区間を設定するため低音と高音を残す(つまり真中だけ抜く)ことはできません

ブロックの表示アイコンについて

今回からブロックの左上にボーカルキャンセル、バンドパス、ミュート、フェード状態を表すアイコンを表示するようにしました。


ボーカルキャンセルがかかっているブロックにはマイクをイメージした小さなアイコンがグレー(disable な感じ)で表示されます。


バンドパスフィルタがかかっているブロックには範囲を区切るイメージの小さなアイコンが表示されます。


ミュートがかかっているブロックにはスピーカーをイメージした小さなアイコンがグレー(disable な感じ)で表示されます。


フェードインがかかっているブロックには、フェードインを表す小さなアイコンが表示されます。


フェードアウトがかかっているブロックには、フェードアウトを表す小さなアイコンが表示されます。

サンプル


ボーカルキャンセル機能と低音カット機能を使って仕上げたリミックス例です。
レシピを Music Mashroom にアップしました。

B'z の「煌めく人」のボーカルを消して、さらに低音をカットしてギターリフだけを取り出して Janet Jackson の「2 Nite」に重ねました。ロック調の 2 Nite です。

レシピ - 煌めく 2 Night

著作権の問題があるため MMG / Music Mashroom ではレシピ方式という新しい方式を使用しています。上記の2曲の原曲を持っているとリミックスを再現することができます。
詳しくはMusic Mashroom のコンセプトをご覧ください。

久々にアプリの更新をしました。新機能ありマス。

とっても久々のアプリ更新です。

新しい機能の説明はまた別途日記に書こうと思います。とりあえずリリースのお知らせと変更点の箇条書きを載せておきます。なんといっても今回はボーカルキャンセル(超簡易版ですが)とバンドパスフィルタの機能追加です。リミックスの幅と質が格段に広がりました。

ダウンロード先
Hash'nMash と DB Builder
MetaPong!

ヘルプファイルも更新しました
http://www.musicmashroom.com/app/hashnmash/help/index.html

Hash'n Mash 0.2.10.03090
【改良点】

  • 簡易エフェクト(ボーカルキャンセル、バンドパスフィルタ)をつけました。
  • リミックスの再生時およびレンダリング時の音量初期値を大きくしました。
  • 特定のブロックをミュートする機能を付けました。
  • ミュート、簡易エフェクト、フェード設定などのステータスが各ブロックにアイコンで表示されるようになりました。

【バグ修正点】

  • トラック末尾のブロックを右クリックメニューあるいは Del キーで削除した場合にアプリが異常終了することがった問題を修正しました。

(ブロックをトラックの外にドラッグ&ドロップして消す場合には起こりません)

  • 下段のトラックのブロック間に空白がある場合に Fade In/Out が設定通りにならないことがあった問題を修正しました。
  • 一部の lame エンコードされた MP3 が正常にデコードできなかった問題を修正しました。
  • キャッシュフォルダ設定を変更すると条件によってはアプリケーションが異常終了することがあった問題を修正しました。
  • 何らかの原因でデータベースが壊れた場合に起動しなくなる問題を修正しました。データベースが壊れた場合や正常に終了しなかった場合には、次回はデータベースを読み込ま

ずに空の状態で起動するようになりました。

DB Builder 0.2.10.03080

【改良点】

  • メタデータに書かれているタイトル情報とオリジナル ID3 に書かれているタイトル情報の両方を出すようにした。両者が異なる場合にはリストの先頭に * が付きます。

この表示が出ている場合には原曲とメタデータが一致していない可能性があります。
【バグ修正点】

  • メタデータが自動的に見つからなかったときにデータベースに書き出すレコード長がおかしくなる場合があったのを修正しました。
  • 対応していないフォーマットをドラッグ&ドロップしたときにエラーメッセージが出るようになりました。
  • 万一データベース保存時にクラッシュしても自動的にデータベースのバックアップが残るようにしました。

MetaPong! 0.2.10.03080
【改良点】

  • 波形の描画を高速化しました。それでも再生時に負荷が 高い場合にはオプションメニューから描画更新間隔を大きくしてください。
  • 音楽データの読み込みを高速化しました

 音楽データによっては開き終わるまでに10秒以上かかることがあったのを高速化しました。

  • 波形表示をより高精度にしました。
  • ホイールの動作を変更しました

* ホイール回転:波形のスクロール
* SHIFT 併用 : スクロール量の減少
* CTRL 併用:1ピクセル単位のスクロール
* SHIFT + CTRL 併用: ズームイン/アウト
【バグ修正点】

  • 連続してファイルを開くと全体 BPM の表示がおかしな値になることがあった問題を修正しました。
  • MIDI のレイテンシ設定を大きくするとビートのクリック音がならなくなる問題を修正しました。
  • MP3 デコード時に奇数バイトの WAV ファイルができてしまうことがあった問題を修正しました。

これは凄い! Kutiman のビデオスクラッチマッシュアップ☆

 最近数か所から同時に教えてもらった動画をご紹介します。
 この記事に紹介されているビデオスクラッチですが、多数の YouTube に投稿されているアマチュアミュージシャンの練習風景を使ってそれらを合成して1曲の完成した曲に仕上げたものです。YouTube にある映像は二次創作のための素材としてもうまく利用できるというよい見本ですね。

 著作権に関してはいろいろ問題が起きそうだと書いてあったりしますが、冷静に何が問題になりそうかを考えてみます。

 著作権といっても複製権やら人格権やらいろいろあります。この例で議論が起きそうなものは次の3つでしょうか。(法律の専門家ではないので間違えていたらご指摘ください)

  1. 複製権
  2. 演奏権
  3. 同一性保持権(著作者人格権の一つ)

1.複製権
 第三者がアップロードした動画を許可なく複製しているのであれば複製権を侵害していることになります。しかし、アップロードした人は YouTube にアップした時点で再利用されることはある程度想定の範囲なのではないかと思います。文句は言わないんじゃないかな。
2.演奏権
 既存の楽曲を許可なく演奏しているのであれば演奏権の侵害になり得ます。オリジナルのフレーズであれば問題ありません。オリジナルが分からないくらい短い一部分だった場合も問題にならない可能性が高いと思われます。ニコニコ動画のように JASRAC と契約をしている場合にも問題になりません。
3.同一性保持権
曲を改変したことで同一性保持権の侵害になり得ます。同一性保持権を持つのはこのビデオの場合、作曲者と実演家のみなので彼らが直接訴えない限り問題となりません。同一性保持権は日本と諸外国で多少異なります。日本では作曲者が「意図しない改変」だと思えば訴えることが可能です。米国などでは「客観的に見て作曲者の名誉を気づ付けている」場合に侵害となります。また、日本の場合でも実演家の場合には「客観的に見て実演家の名誉を気づ付けている」場合に侵害となります。つまり、少なくとも米国ではみんなが cool だと思っている限り同一性保持権の侵害にはならないのではないかと思います。

そんなわけで、限りなく白に近いグレーもしくは実際には問題にならないケースなんじゃないかと個人的には思います。独創性が入っている二次創作物も作品であり、感動したり面白いと思う人がいる限り、やみくもに違法だ!というのは大人げないと思うのは僕だけでしょうか?