市場カテゴリー毎のバックテスト(「カテゴリー分け総括」)

 ここまで長く市場カテゴリーについての考察をしてきました。今日はその総括ということで・・・
 今年6月後半から始まったこのカテゴリー分けの検証もようやく終わりかーーという感じですね・・・長らくお付き合いいただきましてありがとうございました!?
 っで、細かいことはこれまでに書いてきましたので、総括となる今日は、単純に「結局カテゴリー分けは効果があるの?」というところに触れたいと思います。

 「結局カテゴリー分けは効果があるのか?」
 結論的には「ある」と思います。シンプルに「ある」と・・・・。
 一番強調したいのは、自身のシステムが有利なフィールドで勝負すべきであるとすれば、このカテゴリーわけはその有利なフィールドを想定できる方法の一つなのではないかと考えられるところです。
 もちろんカテゴリーわけの方法はいろいろな方法があると思いますし、それぞれ違った考え方を持ってしても全く問題はないと思います。端的にカテゴリー分けは、方法論ではなく概念ともいえるかもしれません。有利なフィールドを捉える概念。。。こっちの方が的を得ているような気がします。
 なので、自身のシステムにどういった得意な部分があるのかを察知する必要があると考えるのであれば、一度時間を割いて検討してみてもいいかもしれません。案外時間がかかると思いますが、そこから得られる情報は無駄にはならないと思います。おそらく何か新しい発見があるものと想像できます。
 私個人的には、とても有意義なテーマでした。やってよかったです。


 というわけで・・・・
 半年近いビックプロジェクトは終わったわけですが、これから当ブログの方向性をどうしようかと。。。。
 興味があるテーマとしては・・・・

  • 今まで扱っていない指標のテスト
  • 「売り」を考える
  • サヤ取り
  • 複数のシステムを用いたパフォーマンス検証

 といったところですが・・・・・・どれも難しそう・・・・
 なので、考える時間を作るため、しばらくブログを小休止します。そんなに長く休みませんので・・・・
 再開の目処が立てばまたご連絡します。

 では。

市場カテゴリー毎のバックテスト(「カテゴリー分けの問題点・課題」:その3)

今日は以下のテーマから「カテゴリーの項目・メッシュ」を取り上げます。

  • カテゴリー分けの問題点・課題
    • 過度の最適化とはならないのか
    • 売買回数が少ない場合の対処方
    • カテゴリーの項目・メッシュ


--カテゴリーの項目・メッシュ

 今回は、カテゴリーわけについて、「出来高/単元」「株価」「HV」の3つの分類を、それぞれ「出来高/単元」は4項目「株価」「HV」はおのおの3項目に分けて、合計36通りのメッシュで検証しました。
 しかし、市場を分類するにあたっては、もちろんこの分類方法が適切であるかどうかは、よく検討しなければならないところです。
 注意すべき点は次の部分だと思います。


-銘柄を特徴づける分類・項目であること
 ただ単に分類すればいいというわけではなさそうです。分類については、銘柄の特徴をとらえるものであることが必要条件でしょう。当然今回の3分類以外にも考えられますが、「何をもって特徴とするのか」は、市場哲学によって変わると思います。なので、個人的に「これは特徴を捕らえている」と思える分類を利用することがベストとなるはずです。
 例えばRSIなどは「その時の状態」を表す指標なので、分類には適さないように私は思います。銘柄を特徴ずけるものではないからです。しかし、同じ状態を表現する指標でも、β値は使える可能性があるかもしれません。
 また分類を細分化する項目についても、むやみやたらに細かくする必要はないように思います。このあたりは、売買回数との兼ね合いで調整すればいいと思います。


-適切な売買回数が確保できること 
メッシュを細かくすれば、より特異なカテゴリーを発見する可能性はありますが、その場合売買回数には注意が必要です。当たり前ですが、仮に売買回数が10回以内のような場合は、いくらいい結果が出たとしても、その売買回数では判断できないと考えたほうが無難です。
もし売買回数が少ないカテゴリーでいい結果が出た時は、もうすこしメッシュを広げ、売買回数を多くして確認することが必要だと思います。その上で有力かどうか判断しても遅くはないと思います。


 まだまだ未知な部分が多いカテゴリーわけですが、このカテゴリー項目・メッシュについては、まだまだ検討の余地ありと判断できます。
 正解がないですからねーー。


次回は

    • カテゴリー分け総括

について書く予定です。

市場カテゴリー毎のバックテスト(「カテゴリー分けの問題点・課題」:その2)

今日は以下のテーマから「売買回数が少ない場合の対処方」を取り上げます。

  • カテゴリー分けの問題点・課題
    • 過度の最適化とはならないのか
    • 売買回数が少ない場合の対処方
    • カテゴリーの項目・メッシュ


--売買回数が少ない場合の対処方

 カテゴリーわけのメッシュの細かさにもよるのですが、市場をカテゴリーにわけるとどうしても対象銘柄が少なくなり(あたりまえか・・)、当然売買回数もそれに従い少なくなります。
 売買回数は、多いほうが結果の信憑性をはかるのには都合がいいのですが、この事情から少なくなってしまいます。例えば極端な場合0回もありますし、4回程度の少ないトレードで勝率100%なんていうのも十分にありえます。こういった場合どうしたらいいのでしょうか・・・どうしたらとは・・・

  • 結果をどのようにうけとめるべきか(信頼していいのか)
  • 良い結果であった場合、売買回数を多くすることはできないのか

 といった具合の疑問です。
 いずれにせよ、こういった場合、次のことを試す必要がありそうです。

  • カテゴリーのメッシュを広げる。(より範囲の大きなカテゴリーで試す)
  • 売買検証期間を長くする
  • 例えば東証一部のみであれば、試験的に他市場も加える

 この中で、有力なのは

  • カテゴリーのメッシュを広げる。(より範囲の大きなカテゴリーで試す)
  • 売買検証期間を長くする

 の2つでしょう。こういった工夫をしてもなお売買回数が少ないのであれば、あとは本人が信用できるかどうかの1点にかかってきます。
 ただ、やはりポイントとなるところは、上記の2つの工夫をした結果、売買回数が増加しても、結果が極端に変化しないことが望ましいということだと思います。売買回数が増えたとたんに、急に結果が悪くなる可能性は十分に考えられます。そこがやはり大きな判断基準となるような気がします。

 この売買回数については、次回「カテゴリーの項目・メッシュ」の際に少し触れたいと思いますので、今日はこのへんにしときます。

 良い結果で、売買回数も多ければ申し分ないんですけどねーー。なかなかそういうのはありませんね。

市場カテゴリー毎のバックテスト(「カテゴリー分けの問題点・課題」:その1)

今日から表記の通り、カテゴリー分けにおける問題点などについて考えてみます。このテーマをまとめると以下のようになります。

  • カテゴリー分けの問題点・課題
    • 過度の最適化とはならないのか
    • 売買回数が少ない場合の対処方
    • カテゴリーの項目・メッシュ

 今回は「過度の最適化とはならないのか」について書いてみます。


--過度の最適化とはならないのか

 前々回のブログでのコメントで、ユトプス さん からもご意見いただきましたが、もう一度簡単にまとめて見たいと思います。
 結局のところ、システムトレードを行うことを目的に、バックテストを行い、検証結果を改善し、その改善点をシステムにフィードバックするという過程をたどる限り、「自然と最適化を行っている」ということは、紛れもない事実です。
 なので、本来このテーマは問題にするべきことではないかもしれません。
 しかしながら、ある単一の優れた結果だけを有利に解釈し、不利な結果を排除するという行為は、場合によって「木を見て森を見ず」の状態を作ることになり、どこまでシステムが機能しているのか、どれほど信頼できるのか、または過去のデータに過剰にフィッテイングさせているだけではないのか、という疑問が出るのは当然でしょう。
 前々回のブログでのコメントでも書きましたが、この点について、おそらく正解という考え方はないと思われます。唯一正解があるとすれば、最適化を行った場合の結果であっても、そのシステムを使う人がその結果を信頼した場合「正解」にあたると思われます。要はその人の性格に依存していると考えています。
 結局、バックテストから得た結果を信用できるとする結論が出たのであれば、あとはシステムの奴隷かのごとく、システムに従うしかありません。なので、最適化が問題視されるのは、その信用するかどうかの判断の過程だけとなります。

 最終的には、やっぱりシステムを信頼できるか?という点に集約されてしましますね・・・・・・

 過度の最適化の問題は、システムの信頼性・信憑性の問題の一部であるということを理解できたような気がします。この考え方を是非今後に生かせればいいなーと、個人的に思っているこのごろです。


次回は

    • 売買回数が少ない場合の対処方

について書く予定です。

市場カテゴリー毎のバックテスト(「一般的なシステムに対するカテゴリー分けの効果」:その3)

 今日は以下のテーマの「システムの有効性の判断・確認」について考えてみたいと思います。

  • 一般的なシステムに対するカテゴリー分けの効果
    • スクリーニング
    • リスク管理(ポジションサイズ)
    • エントリー優先順位
    • システム最適化
    • システムの有効性の判断・確認
    • システムの有効性の判断・確認

 要するにシステムがどの程度機能しているのかどうかの判断をするための、一つの情報としてカテゴリーわけを利用できるのではないかと思います。
 というのも、今回使用したKairi-01の結果は、カテゴリー毎に結果のバラツキがあるものの、全体的にまずまず合格の結果が出ています。これはとても重要なことだと考えています。なぜなら、仮にあるカテゴリーで強烈にいい成績が出てきたかと思うと、別のカテゴリーで極端に悪くなるケースを想定して見てください。
 この場合、いい結果を信用したとしても、一方で極端に悪い結果のカテゴリーがあることを踏まえると、良い結果が「偶然」である可能性は否定できません。しかしこの時点では「偶然」かどうかはわかりません。また悪い結果の方が「偶然」なのかもしれません。ではどう判断すればいいのでしょうか・・・・
 結論的には判断することは難しいということになりますが、しかし、突き詰めて考えると、疑問点は「システムは本当に機能しているのか」ということに行き着くものと考えています。
 かいつまんで言えば、システムが機能しているケースが、極めて限定的な状況であると考えられる場合は、そのシステムを株式市場全体に適用した場合、機能しない可能性が出てくるということです。少しわかりにくいですが、なんとなくでもわかっていただけないでしょうか・・・
 いわば、「***カテゴリー限定システム」というシステムがあった場合、本当にシステムが機能しているといえるのかどうかということです。
 もちろん、機能していると考えることもできなくはないでしょう。でも私は、良い成績が出たのは偶然だと考える方が自然だと思います。なので、そういったケースでは、システムはあまり機能していないと判断できると考えています。
 このあたりの結論は人それぞれだと思いますが、少なくとも冒頭で書いたとおり、「システムがどの程度機能しているのかどうかの判断をするための、一つの情報としてカテゴリーわけを利用できる」ことはいえるのではないでしょうか。


 次回は、

  • カテゴリー分けの問題点・課題

のテーマに移りたいと思います。

市場カテゴリー毎のバックテスト(「一般的なシステムに対するカテゴリー分けの効果」:その2)

続いて以下の中の「エントリー優先順位」「システム最適化」について書いてみます。

  • 一般的なシステムに対するカテゴリー分けの効果
    • スクリーニング
    • リスク管理(ポジションサイズ)
    • エントリー優先順位
    • システム最適化
    • システムの有効性の判断・確認


--エントリー優先順位
 カテゴリーわけを行った結果から、どのカテゴリーがシステムと相性がいいのか、結果がいいのか、をみることができますが、先日も述べた通り、各カテゴリーの結果にはバラツキがあり、このバラツキをエントリーの優先順位と見立てることもできます。
 この考え方を取り入れるケースとしては、「そのシステムがサイン多く出す場合」「すでにエントリーしていることが原因で、投資資金に余裕がない状態でサインが出た場合」などに利用できるでしょう。
 要するに、単純にシステムが出したサイン全てにエントリーできない場合に使えるということです。こういった悩み、ご経験はないでしょうか?
 当然、良い結果のカテゴリーから優先的にエントリーするべきでしょうし、すでに良い結果のカテゴリーにエントリーしている状態で、資金に余裕がなければ、それ以下の成績のカテゴリーに積極的にエントリーする必要がなくなるケースも考えられます。
 率直に効率の問題だと思うわけです。この優先順位のおかげで、おそらくリスクリワードは上がるのではないでしょうか。
 個人的にも、この考えは役に立つと思っています。

--システム最適化
 この話題は多くの議論を要しそうなので、簡潔に述べたいと思います。ここで最適化の是非を考えるつもりはありません。
 結論的に、システムが得意とするカテゴリーだけに絞ってトレードするべきだと思います。これをあえて最適化というのかどうかは、皆さんの判断にお任せしたいと思います。しかし、ある種の効果的なフィルターであることは見ての通りです。カテゴリーわけは「最適化」という考え方に、一役買ってくれることでしょう。
 そもそも、最適化という言葉の定義があいまいなような気がしますが・・・要するに最適化という考え方を、最も過去のデータに結果をフィットさせる行為であることとして捕らえるのであれば、この結果のよいカテゴリーのみをトレードすることは、最適化という範囲に入ってくるものと考えています。
 やはり、全ての銘柄を対象にするのは、大変非効率であるだけでなく、結局パフォーマンスを落としている原因だと思い始めました。得意なカテゴリーがわかっているなら、やっぱりそのカテゴリーに集中すべきだと思います。


次回は

    • システムの有効性の判断・確認

について書く予定です。

市場カテゴリー毎のバックテスト(「一般的なシステムに対するカテゴリー分けの効果」:その1)

 久々の更新となりました。
 これまでは、Kairi-01システム固有の問題点を考えてきましたが、今回からは、広く一般的なトレードシステムに対しての市場カテゴリーわけの効果について、私なりに思ったことを書きたいと思います。まとめると次のテーマがあるかと思います。

  • 一般的なシステムに対するカテゴリー分けの効果
    • スクリーニング
    • リスク管理(ポジションサイズ)
    • エントリー優先順位
    • システム最適化
    • システムの有効性の判断・確認

 今日はその中から、「スクリーニング」と「リスク管理(ポジションサイズ)」について考えてみたいと思います。

--スクリーニング 
現在全ての市場の銘柄を合計すると、おおよそその銘柄数は6000以上あり、日々のスクリーニングを効果的に行うことは、システムトレードを目指す場合の大きな課題だと思います。
 単に、一つだけ汎用的な指標(例えば移動平均など)だけでスクリーニングするのであれば、数々のソフトで実現可能です。しかし、指標が複数であったり、指標を使わない独自のロジック(私もよく行いますが)を利用してスクリーニングする場合は、途端にスクリーニングを行えるソフトが少なくなります。ロジックによってはソフトでスクリーニングできない場合もあります。
 こういった場合は、独自のDBを作成し、日々データを更新して、独自にスクリーニングするしかありません。しかし、全ての人がDBの知識があるわけではないので、このあたりが最初の壁となり、実現を断念せざるを得ないケースもあるでしょう。
 しかし、ここで市場カテゴリーわけという方法を利用し、スクリーニング負荷を少しでも減らすという考えはどうでしょうか。
 そもそも、「全市場の全銘柄を対象にする必要は無い」というのが私の考えです。あえて全市場の全銘柄を対象とする必要性が出る場合があるとすれば、トレードチャンスが極端に少ないシステムで、トレード機会を増やす場合などでしょう。もちろんそれ以外の場合もあるでしょうが・・
 なら、最初から自分のシステムに有利なカテゴリーに絞ってトレードすべきだと考えるのが自然だと思います。
 ただやはり、トレード機会とのバランスをとるべきだとは思います。有利なカテゴリーだけではトレード機会が少ないのであれば、結局対象を増やすしかなく、やはりスクリーニング時の問題は解決されないという結果となります。
 このあたりの課題こそあるものの、「市場カテゴリー」という考え方をうまく取り入れれば、ある程度スクリーニング負荷に対して効果はあるような気がします。
 
--リスク管理(ポジションサイズ)
 結果を見てもわかるように、成績が優秀だったカテゴリー同士を比較しても、成績にはばらつきがあります。なので、成績が優秀であるカテゴリーといっても、トレードリスクが異なります。
 この事実がわかっているなら、リスク管理に使わない手はありません。
 例えば・・・仮にAとBという成績が優秀だったカテゴリーがあったとします(このカテゴリーは検証してきたカテゴリーとは違います。あくまでも例ですので・・)。しかしながら、AとBは互いに成績が優秀ではあるものの、AとBのカテゴリーの成績を比べると、Bの方が成績が若干悪いとしましょう。
 この場合、その成績の差にもよりますが、AとBのカテゴリーで、まったく同じリスクをとるのではなく、仮にAのトレードで資産の10%程度のポジションをとるのであれば、Bのトレードは資産の7-8%程度のポジションに減らすなどして、リスクを減らすべきだと思うわけです。
 ただこの考え方は、リスク管理の部分的なカスタマイズといった感じの効果であって、リスク管理を完全にまかなえる考え方(リスク管理の根幹となる考え方)ではないことは強調しておきたいと思います。
 うまく使えば効果がありそうなので、私個人的にはこのリスク管理への応用について、今後もう少し考えてみようかと思っています。


 次回は、

    • エントリー優先順位
    • システム最適化

 について触れたいと思います。