オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

日記

ひとつ前の記事でなかなか世の中は変わらないと嘆いていましたが、実は世の中は良い方向に変わりつつもあります。同じ日の日記です。こっちがこの日のメインの用事。

とある場所でカスミサンショウウオがみつかった!ということで案内してもらいました。水が豊富な良い場所です。

県内では時期的に遅いですがまだ卵のうがあるのをみつけました!これはかなり良さそうです。

陸生のアカハライモリ幼体もいました。このほか、ヌマガエル、シュレーゲルアオガエル(声)、アマガエル(声)、アカガエル類(オタマ)を確認。さらにタゴガエル(聞き取り)、ヒキガエル(聞き取り)などもいるようで、今時珍しくなってきた両生類天国の予感です。これは少し改良すればさらに良い湿地帯になること間違いありません。

当地で様々な保全活動・環境教育を行っているKさん&Nさんが前面に出てなんとかしたいと動いてくれていて、土地の持ち主や地域の方々もこの場所の保全に前向きな状況でした。何より皆さんカスミサンショウウオに愛着がありました。管轄行政・地元自治体の対応も良い感触です。21世紀まで残ってくれた貴重な湿地帯。なんとかこの先も守って行ければと思います。私としても、できる協力はすべてしたいと思っています。ひとまず今年できること、すべきことを整理して協議を行いました。

こうしたことを積み重ねて世の中を変えていきたいです。とりあえずカスミサンショウウオがさらに増えて欲しいです。あと、地域の子供たちにもぜひ見て欲しい。

日記

今日はとある調査&協議のため湿地帯へ。ついでに以前に行った休耕田地帯に行ってみたところ、環境は激変していました。

希少種がいるということは伝わっていたはずですけど、何の配慮もなかったようです。残念無念。工場建設のようですがもう少し良いデザインにはならないものかなと思います。

これは2年前の同じあたりの場所。激変し過ぎていて同じ場所かはわかりませんが、たくさんの湿地帯生物がいました。

 

県内では貴重な在来ドジョウもたくさんいました。タカハヤもたくさんいました。

ヌマガエルもたくさんいました(持ってるのはポン氏)。シュレーゲルアオガエルも鳴いていました。

アカハライモリもちらほらといました(持ってるのはポン氏)。

みんなしんでしまいましたね。残念です。ドジョウは標本にしてあります。かつてここにドジョウがいたことはその標本が証明してくれます。なかなか世の中は変わりませんね。

日記

今日は完全にOFFです。休憩です。春めいている今日の自宅の湿地帯ビオトープの様子です。

色々な花が咲いております。ミゾソバの芽もぐんぐん伸びています。

 

午前中に呆然と眺めていたところコセアカアメンボが来ているのに気づきました!

 

そして午後、再び見てみるとコセアカアメンボは居らず、代わりにアメンボがいました。春になりアメンボ類が飛び交っているようです。休憩地になっているのなら幸いです。自宅に湿地帯ビオトープを設置している人はちょっと立ち寄ったアメンボ類今後要チェックです。

カナヘビ君も越冬から目覚めて日光浴をしていました。

 

自宅に湿地帯つくってみたい方はぜひともこちらの本を読んでみてください!

www.daiwashobo.co.jp

論文

link.springer.com 

小さな池に同所的に生息するゼニタナゴ(在来)、タイリクバラタナゴ(外来)、カネヒラ(外来)の食性を詳細に分析して、餌資源の競合が起こっている可能性を指摘した論文。外来タナゴ類が定着すると産卵母貝の競合が起こりますが、特に小さな池では餌資源でも競合が起こり在来タナゴに悪影響を与えるようです。起こっているだろうなということを科学的に明らかにすることは意外と難しかったりしますが、丁寧にその証拠を論文化していて大変勉強になります。

とりあえずタナゴの放流はしないようにしましょう。環境破壊です。

日記

とある魚の観察のためにFUKUI県に行ってきました。翌日はせっかく来たので観光など。

九頭竜川です。ネットで調べたところ、川魚料理を食べることができるお店があるとのことで行ってみました。

 

こちら、さぎり屋、さんです!

 

サクラマスのフライ定食です。美味!

アラレガコ(標準和名カマキリ)のから揚げです。当地の名物として知られていますが、今では個体数が減って漁業も成り立たず、しかし養殖に成功しておりそれを食べることができるとのことでした。美味。

天然アユの塩焼きです。雄と雌が選べるとのことだったので、雌にしました。タデ酢をつけていただきます。美味。

 

アラレガコ(標準和名カマキリ)は別名アユカケとも呼ばれ、これは鰓蓋の曲がった棘でアユをひっかけて食べるという伝説(実際に見たという人はいますが動画などでは確認されていない)があり、写真はその棘です!しかし上手に揚げてあるので、私はバリバリと、美味しくいただきました。

 

ということで生物多様性の恵みでした。いつか天然アラレガコも食べてみたいものです。九頭竜川は見るからに良さそうな清流でしたが、かつてと比べてサクラマスも減っているとのことで、昔はもっともっと良かったのだろうと思います。もっともっと川を湿地帯を良くしていきたいです。

日記

3月になってしまいました。年度末は相変わらずなんか忙しいです。働き方改革をしたいところです。今日は毎月の湿地帯調査。2年間行いましたが、これでいったん終わりです。色々と知見を得ることができました。

ニホンアカガエルのオタマジャクシもかなり成長していました。

 

チャイロマメゲンゴロウ(左)とルイスツブゲンゴロウ(右)。1月、2月とまったく採れなかったので、いよいよ越冬からお目覚めのようです。

 

すでに卵を背負っているコオイムシがいて驚愕しました。繁殖期早すぎでは・・・。人為的な気候変動の影響でしょうか。気になるところです。

 

日記

年度末に向けて調査などを進めています。

本日のとある川にて、シロウオが遡上して来ていました。これでハゼの仲間。すごすぎる透明な体は何度見ても感動します。

 

こちらは別のとある川にて、カゼトゲタナゴ。産卵期まではまだ間があります。今年も増えて欲しいものです。すごすぎる青いラインは何度見ても感動します。

 

ところで上記のカゼトゲタナゴは水田地帯の水路で採集したものです。水田や農業水路は色々な湿地帯生物が暮らす生物多様性豊かな場所ですが、一方で、「水田や農業水路は人工環境なのだから守るべき自然ではない」と思っている人は少なくないようですね。実は水田や農業水路は二次的自然環境として、生物多様性保全上重要な守るべき”人工的な自然”の一つです。「自然を守る」というのは色々な見方があってわかりにくく、環境問題として考えた場合には「生物多様性を守る」と捉えるとわかりやすいと私は思っています。守るべきは生物多様性であって、生物多様性が豊かな守るべき場所には人工のもの(二次的自然)と人工でないもの(原生的自然)があります。

二次的自然については、農林水産省関東農政局のこの解説がわかりやすいです↓

www.maff.go.jp

水田や農業水路に生息している生物は、本来は河川の氾濫原湿地に生息していた生物です。日本では氾濫原湿地の多くは水田地帯に改変され、破壊されてきたわけですが、水田の農業システムは自然の氾濫原湿地のシステムと似ていたので、その多くが水田地帯に移住して人間と共存してきました。近代までは。

しかし、農地の近代化が進み、水田地帯で人間と共存してきた生物の多くが絶滅に瀕することとなりました。水田地帯の生物多様性の劣化は、河川や海域の生物多様性の劣化にも波及します。そこで、農地の近代化と生物多様性の両立を目指し始めているのが現段階ということになります。もちろん、だから具体的にどうすればよいのかという点についてはケースバイケースで、現在のところ課題は多くあります。しかし生物多様性が失われれば我々の社会基盤が壊れ、農業どころではありません。なんとかその点だけは共有して、その上で、社会的課題として社会全体として、その解決策を考えて実行していきたいものです。