オイカワ丸の湿地帯中毒

湿地帯中毒患者 オイカワ丸の日記です。

自宅で湿地帯ビオトープ大賞

昨年に「自宅で湿地帯ビオトープ!~生物多様性を守る水辺づくり」という本を出しました。おかげさまで多くの方に読んでいただき、各地に湿地帯ビオト―プが建設されているようです。

oikawamaru.hatenablog.com

ということもあり2024年1~2月にかけて出版社の大和書房さんの協力を得て「自宅で湿地帯ビオトープ大賞」の募集を行いました。

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そして先日、自宅で湿地帯ビオトープ大賞および各賞の発表がありました。出版社ブログにてまとめられていますのでぜひご覧ください!

daiwa-log.com

応募総数は50をこえて、私オイカワ丸、そして表紙を描いていただいた大童澄瞳先生、”俺のビオトープ”提唱者のゆう太さん、編集・中山氏の4名で審査をしたのですが
どの湿地帯もとても素晴らしくて、選ぶのはとても大変でした。各審査員の評価を踏まえて選定しました。しかしながら良さも楽しみ方も千差万別。そこに優劣はありません。ぜひとも引き続き自宅で自分の湿地帯を楽しんで欲しいです。今回選んだ自宅の湿地帯はいずれも色々と勉強になる視点も多く、見ているだけでも楽しいですが今後の自らの自宅の湿地帯の改良、改造にも参考になりそうです。

 

それにしてもこうして各地で湿地帯ビオトープがつくられていて、実際にその地域の在来の湿地帯生物たちの「ゆりかご」になりつつあることは超うれしいです。今後つくりたい!という方はぜひ拙著を読んでいただきたいのですが、最終的には生物多様性を守り再生することにつながって欲しいです。いれる生物に関する決まりについては「自宅で湿地帯ビオトープ!」P38~を熟読して欲しいのですが、ホテイアオイウチワゼニクサなど外来種で開始するのも良いですが、いずれ在来のその辺の湿地帯植物に切り替えて、もともとその地域にあった湿地帯の再現をマニアックに目指して欲しいです!

ところでこの「何も入れない」ですが、赤玉土でエコトーンをつくって何も入れなくてもいずれ何かがやってくるものの非常に気の長い話で常人には難しい、との指摘を常人ではない数名から指摘されました。入門用としては「同一水系のその辺の土」をエコトーンに張り付けて開始すると立ち上がりが早くて良いです。とにかくビオトープは下手につくると環境破壊になってしまうのですが、上手につくると環境保全になります。その境目は割と明確で、そこにさえ気を付ければあとはかなり自由です。ではどこに気を付ければ良いのかということをわかりやすく解説したのが「自宅で湿地帯ビオトープ!」というコトになりますので、興味ある方はぜひに・・

 

日記

今日は調査でした。知り合いの方から、とある街中に良い小川があるとの情報を得て行ってきました。

こんな良い小川がこんなとこに残っていたとは!感動。珍しい湿地帯生物がいるということはなかったけど普通の湿地帯生物がうじゃうじゃといて健全。全年齢向け。このうじゃうじゃ感の積み重ねが重要なのですよ。

 

最高の淡水魚として名高いカマツカです。

いつもどこでも、オイカワです。

今日もっともうじゃうじゃといたのがこちらのカワムツ

カマツカ、オイカワ、カワムツ、いずれも九州北部の在来種であり、どこの川にもだいたいいるいわゆる「普通種」です。しかしそんな普通種も個体数はやはりかつてと比べれば減っているようです。そう、普通種はうじゃうじゃといなくてはいけないのです。

なおそのすぐ下流の様子。上のようなうじゃうじゃ感が数キロに渡ってあったのがこのように数キロに渡ってゼロになり、大きな川に注いで海に注ぐわけです。昨今、海の生物も減っているわけですが、こうした積み重ねが影響を与えているはずです。もちろん治水は重要です。なので今後はこの治水安全度を維持しながら少しでも湿地帯生物を取り戻すデザインに変えていけば良いのではないかと思うのです。湿地帯生物愛好家としては、普通の魚が普通にものすごくたくさんいる川を、もっと増やしていきたいと強く思うわけです。

日記

自宅でできる小さな生物多様性保全活動の一環として、湿地帯ビオトープ普及活動に余念がないオイカワ丸です。こんにちは。春めいて各地の湿地帯ビオトープの生物たちも活動を開始したようです。植木鉢をいれてつくる時は、図のように植木鉢の高さを水面より低くして水際は斜面状に土が水と接するようにするとより良いです。斜面が水に接することで常に陸と水の境界があいまいになり、これがエコトーンになります。

エコトーンがあることで、ヤゴなどの捕食者が浅い場所に行くことができ、これがボウフラ対策にもなると考えています。さらに池の底から植木鉢の上まで自由にいけるように、木とか岩とかを組んでみるのも良いでしょう。バリアフリーです。自らが小さな昆虫になったつもりで、水から陸へ陸から水へと自由に移動できそうな構造をつくる、ということが重要です。ぜひ挑戦してみてください!

日記

ひとつ前の記事でなかなか世の中は変わらないと嘆いていましたが、実は世の中は良い方向に変わりつつもあります。同じ日の日記です。こっちがこの日のメインの用事。

とある場所でカスミサンショウウオがみつかった!ということで案内してもらいました。水が豊富な良い場所です。

県内では時期的に遅いですがまだ卵のうがあるのをみつけました!これはかなり良さそうです。

陸生のアカハライモリ幼体もいました。このほか、ヌマガエル、シュレーゲルアオガエル(声)、アマガエル(声)、アカガエル類(オタマ)を確認。さらにタゴガエル(聞き取り)、ヒキガエル(聞き取り)などもいるようで、今時珍しくなってきた両生類天国の予感です。これは少し改良すればさらに良い湿地帯になること間違いありません。

当地で様々な保全活動・環境教育を行っているKさん&Nさんが前面に出てなんとかしたいと動いてくれていて、土地の持ち主や地域の方々もこの場所の保全に前向きな状況でした。何より皆さんカスミサンショウウオに愛着がありました。管轄行政・地元自治体の対応も良い感触です。21世紀まで残ってくれた貴重な湿地帯。なんとかこの先も守って行ければと思います。私としても、できる協力はすべてしたいと思っています。ひとまず今年できること、すべきことを整理して協議を行いました。

こうしたことを積み重ねて世の中を変えていきたいです。とりあえずカスミサンショウウオがさらに増えて欲しいです。あと、地域の子供たちにもぜひ見て欲しい。

日記

今日はとある調査&協議のため湿地帯へ。ついでに以前に行った休耕田地帯に行ってみたところ、環境は激変していました。

希少種がいるということは伝わっていたはずですけど、何の配慮もなかったようです。残念無念。工場建設のようですがもう少し良いデザインにはならないものかなと思います。

これは2年前の同じあたりの場所。激変し過ぎていて同じ場所かはわかりませんが、たくさんの湿地帯生物がいました。

 

県内では貴重な在来ドジョウもたくさんいました。タカハヤもたくさんいました。

ヌマガエルもたくさんいました(持ってるのはポン氏)。シュレーゲルアオガエルも鳴いていました。

アカハライモリもちらほらといました(持ってるのはポン氏)。

みんなしんでしまいましたね。残念です。ドジョウは標本にしてあります。かつてここにドジョウがいたことはその標本が証明してくれます。なかなか世の中は変わりませんね。

日記

今日は完全にOFFです。休憩です。春めいている今日の自宅の湿地帯ビオトープの様子です。

色々な花が咲いております。ミゾソバの芽もぐんぐん伸びています。

 

午前中に呆然と眺めていたところコセアカアメンボが来ているのに気づきました!

 

そして午後、再び見てみるとコセアカアメンボは居らず、代わりにアメンボがいました。春になりアメンボ類が飛び交っているようです。休憩地になっているのなら幸いです。自宅に湿地帯ビオトープを設置している人はちょっと立ち寄ったアメンボ類今後要チェックです。

カナヘビ君も越冬から目覚めて日光浴をしていました。

 

自宅に湿地帯つくってみたい方はぜひともこちらの本を読んでみてください!

www.daiwashobo.co.jp

論文

link.springer.com 

小さな池に同所的に生息するゼニタナゴ(在来)、タイリクバラタナゴ(外来)、カネヒラ(外来)の食性を詳細に分析して、餌資源の競合が起こっている可能性を指摘した論文。外来タナゴ類が定着すると産卵母貝の競合が起こりますが、特に小さな池では餌資源でも競合が起こり在来タナゴに悪影響を与えるようです。起こっているだろうなということを科学的に明らかにすることは意外と難しかったりしますが、丁寧にその証拠を論文化していて大変勉強になります。

とりあえずタナゴの放流はしないようにしましょう。環境破壊です。