ザスパ草津2009、第4節〜第7節。求められるのは「プランB」。

開幕3連勝の後が1分3敗、「少し褒めると、すぐコレだ!」という磯野カツオ状態の我らがザスパ草津。戦績がまったくの五分になってしまったわけですが、この4試合(岐阜・富山・水戸・甲府)を観ても勝っているときと大きく戦術が違うようにも思えません。じゃあ何が出来て何が出来ていないのか。佐野監督の目指す「トータルフットボール」戦術と絡めて記していきたいと思います。では、さっそく出来てないことと違うことを列挙。相互に関連しあう項目もありますが、明確にするため6つに大別しました。6つもあるのかよ。

●第4節〜第7節、ザスパ草津が思うように出来ていないこと。違うこと。
1.中2〜3日連戦の疲労による運動量の低下、特に中盤。(岐阜・富山戦)
2.FW都倉のハイボールポストからの展開が機能せず。(4試合全て)
3.高めに位置する最終ラインのコントロール。(岐阜・富山・水戸戦)
4.堅守速攻、カウンター志向チームへの対応。(岐阜・富山戦)
5.リードされた展開や終盤の攻勢など、局面が変わった場合の意思不統一(富山・水戸戦)
6.選手交代の時間帯と、交代選手のチームフィットの希薄さ(4試合全て)

本当は「7.セットプレーの脆さ」(横浜・甲府戦)があるんですけど、これは「練習してね」としか自分のようなド素人には云いようがないので、含みませんでした。特に第3節横浜戦での2失点は、草津が3得点していたからいいようなものの、90分の頑張りを無にするような失点の仕方(ロングボールFKにマークを外してDFにヘディングで決められる×2)でしたからね。昨日の水戸×岐阜戦で解説をされていた三浦元札幌監督が、「セットプレーが弱いチームは安定して勝ち星をとれない」という主旨の発言をされていましたが、まったくそのとおりだと思います。横浜戦での3得点の挙げ方と、2失点の仕方を思い出せば、どちらが再現の可能性が大きいか、自ずと判りますからね。
●2009 J2:第3節 ザスパ草津 vs 横浜FC ハイライト前半

●2009 J2:第3節 ザスパ草津 vs 横浜FC ハイライト後半

なんか岩丸ゴメン、てな動画でもありますね。5勝しか出来なかった05年の草津に所属して、未だJ現役である数少ない選手*1なので、出来るだけ勝ち星の多い現役生活を送ってもらいたいんですけど。岩丸ガンバレ。
少し話が逸れましたが、では1番から順番に記していきます。

1.中2〜3日連戦の疲労による運動量の低下、特に中盤。(岐阜・富山戦)
→運動量を求められる戦術のため、疲労が抜けていないとチーム力が大幅にダウン。特に中盤のパスワークや、サイドを使ったビルドアップでミスが続出した。

開幕の熊本戦や第2節の福岡戦に比べると、岐阜戦や富山戦での全体的なスピード感のなさ、特に縦横に走り回るMF熊林や櫻田の反応の遅さやパスミスの続出など、疲労が抜けていないことを感じさせるプレーが目立ち、明らかにチームとしての展開力、攻撃力が落ちているのが判りましたね。岐阜・富山でのアウェイ連敗の一番大きな要因だと思います。またこういう時期に、攻め続ける時間が多い割りに報われない、カウンター志向の2チームと当たったのも運がないとも云えますが、この辺りは後述します。
この前のエントリーで「連戦中のターンオーバーや選手交代が注目」と記しましたが、サブメンバーの起用時間・方法を考えると、まだまだ「誰が出ても一緒」まではチームが出来上がっていないことが窺えます。サブを含めた成熟度を上げるには、これまで以上に時間が必要なのは仕方ないし、当たり前なんですけど。
今季は過去最高のシーズン51節で休みなしのリーグ戦。中2日、中3日の連戦も当たり前のようにあり、今週末の愛媛戦も中3日アウェイですし、大型連休中は4試合を中2〜3日でこなすことになります。11人の先発メンバーに疲労でパフォーマンスが落ちている選手が入るのも止むを得ない状況も普通にあるでしょうし、その選手を周囲の選手や監督がどうフォローするか、特に中盤全体を走り回る熊林と櫻田の二人が動けない時には、どう試合を組み立てるのかは、絶対に避けられない課題と思われます。
これはサブメンバーの奮起はもちろんとして、中6〜7日と中2〜3日の試合の運び方を多少なりとも変える必要があると考えます。先制点が獲れるまで、真っ白な灰になるまで攻撃一辺倒ではなく、全面的な攻勢に出る時間帯と、やや受け身で相手を前に釣りだしつつ、広くなるDFライン裏をシンプルに狙う時間帯があってもいいと思われますね。ただ試合の駆け引きをチーム全体で連動させていくまでの習熟はまだ難しいかもしれませんが。

2.FW都倉のハイボールポストからの展開が機能せず。(4試合全て)
→第3節以降、五分以上に持ち込めていない。また都倉の高さに拘りすぎて、戦い方の幅を狭くしている場面も。

熊本戦、福岡戦では予想以上に機能した都倉のハイボールポストプレーですが、第3節の横浜戦から簡単に競り勝てなくなり、素早いビルドアップの手段が一つ消えてしまいました。特に昨日の甲府戦や水戸戦で顕著でしたね。甲府はダニエルというJ2規格外のCBに再三阻まれましたし、水戸戦では水戸の「ゲージ」に囲まれて(これは後述)、ポストとして機能しませんでした。都倉がダメ、と云うことではなくより強いCBが都倉に充てられていることが考えられます。また昨季はファールばかりもらっていましたが、ここ数試合でもそうファールが増えていないので、都倉がハイボールポストとしてプレーが成長していると思えます。今後はフィールド中央より、ややサイドに流れてフィードを受ける形とか、まだまだ工夫はあると思います。
また「戦い方の幅を狭くしている」という点ですが、これは富山戦で先制された後(後半58分)、まだまだ時間はあったのですが、なぜか戦術を忘れたかのようにハイボール一辺倒になってしまい、都倉が交代出場すると(67分)、ますます都倉への放り込みに拘って、相手守備を容易にさせてしまいました。試合最終盤に通常のサイド攻撃に戻したほうがチャンスが多かったことからも、あまり有効でなかったことが判ります。繰り返しになりますがフィールド中央で、相手の複数マークを受けながらハイボールをポストするのは、都倉に限らずとても難しく(あのチカですら有効とはいえなかった)、サイドに流れるなり、都倉をオトリにして別の選手の前のスペースにボールを送るなり、工夫の仕方はあると思えます。

3.高めに位置する最終ラインのコントロール。(岐阜・富山・水戸戦)
→失点の印象はとても悪いが、トータルフットボールでのラインコントロールを含み攻性守備自体は機能している。主因は自陣でのボールロスト、不確実なパス回し。

岐阜戦・富山戦・水戸戦では、高い位置取りのDFライン裏を突かれて失点するという、応援するほうは脱力感満点な失点シーンが繰り返されています。この失点の仕方がまだ戦績が五分なのに、草津サポ全体をなんとなく意気消沈させている主因だと思っています。ブラジルではこのようなシーンを「マヌケな失点」とか云うそうですが、そのとおりですね。とても疲れます。
そんな中、昨日の甲府戦ではCB藤井が復帰し、FWマラニョンなどを実に9回もオフサイドに引っ掛けているのは朗報です。ただ「マヌケな失点」をした試合でも、ラインコントロール自体は悪くないんですよね。相手GKからのロングキック、DFのフィードで簡単に抜かれているわけではありません。これから判るように藤井にしろ、喜多にしろまずますラインの統率は出来ていると云っていいと思います。
またトータルフットボールの守備セオリーとして、アタッキング・ディフェンスがあります。これは自陣に引きつつ守備隊形をとるのではなく、MF陣・DF陣ともにボールホルダーにつめる前進守備の形です。この辺を踏まえていただいて、ちょっと詳しく動画つきで説明します。第6節の水戸戦、草津は守備の選手が前進してボールにつめるアタッキング・ディフェンス、水戸は4メン2ラインで守備ブロックをコンパクトに形成し、ボールホルダーを周囲からプレスする形です。
●ヤス 幻のGOAL

「ヤス、惜しいなあ」とも思いますが、草津・水戸それぞれの守備アプローチが窺える動画だと思います。草津のボール奪取が即攻撃へのパスとなり、また水戸がボールを失うと素早く陣形を修復して構える様はとても見ごたえあります。草津の守備のスタイルと、中盤とサイドから構築する攻撃のスタイルが表れている動画でもありますね。
またポゼッションの基本として「自陣では確実にボールをパスしながら前進。敵陣に入ってからはチャレンジのパスで攻撃」というのがあると思います。佐野監督も「自陣でボールを奪われてはいけない」と再三コメントしていますが(確か今年のイヤーブックとか)、これをミスすると途端に大ピンチになってしまいます。例として富山戦の動画、27秒からのプレーをご覧ください。
【2009 J2:第5節 カターレ富山 vs ザスパ草津

「田中テメェ!」、てなプレーですが、自陣でリスクがある長いボールを蹴る怖さですね。この時はまだゴール前に人数が揃っているのでペナエリア外でシュートを打たせて終わりに出来ましたが、高いラインを敷いている状態ではさらに危険度が増し、岐阜戦と富山戦で失点につながってしまいました。

FC岐阜 染矢一樹 J初ゴール 090326

ゴールキックの処理を無理に浮きダマで繋ごうとし、カウンターを警戒してサイドに流す展開もなし。*2逆に相手は足下にボールを収めて前進してきます。ここでボール処理にCB田中がラインブレイクしてボールに寄せていますが、これはアタッキング・ディフェンスのセオリーどおり。問題は相手にバウンドボールの処理で競り負けたこと、残っているDF陣がラインコントロールを迷ったスキを突かれていることです。ラインを上げるべきか下げるべきか。ボールを味方が持っているならアップ、相手が持っているならダウンですが、とても迷う局面です。ゴール自体は相手の染矢くんを褒めるしかなんですけど。

【2009 J2:第5節 カターレ富山 vs ザスパ草津

1分41秒からのプレーです。これもほぼ同様の失点シーンですね。CB喜多のラインブレイクによるボール寄せで、一度は跳ね返したのですが、このセカンドボールが相手の足下に行き、そこからDF裏を突かれてしまいます。このシーンもラインコントロールの判断をする時間が極めて少ない、難しい状況でした。
加えて岐阜戦でもそうですが、田中や喜多が前進する前に、いづれも松下が競り合いで負けてボールを相手にとられちゃっているんですよね。アンカーが抜かれ、ブレイクしたCBも抜かれているので、相当危険な状況です。ラインが高いからとかいうだけの失点ではないと判ります。
また繰り返しですが、相手のロングボール1本だけで失点してしまういう場面は今のところありません。ゴールを決められた岐阜の染矢と富山の朝日よりも、オフサイドトラップで封じた熊本の宇留野と木山、甲府のマラニュンのほうが、選手実績からすればより危険な相手でした。それでも彼らを封じられたのは彼らめがけて送られるロングフィードにはキチンと草津DF陣が対応したからに他ありません。*3自陣での相手の早いパス回しをラインコントロールだけで乗り切るのはとても困難で、どこでマンマークに移行するかの判断が、今後の守備力向上のカギと思われます。
繰り返しですが、自陣でのリスクあるパス回しを避けつつ前進を図ること、ポゼッションによるボールキープは攻撃はもちろん、守備も大きく助けます。昨季、守備がまずまずで失点が減ったことのはチームが長くボールを保持していたのが大きな要因だと思います。
今季はパス回しをより早く進めることを課題として取り組んでいるので、まだまだ速攻が拙攻になってしまい、ショートカウンターをくらう場面は多くでてしまうでしょうし、ロングボール1本のカウンターから失点してしまう場面も出てきてしまうと思います。しかも複数回。そういう場面に出くわしても、こういう失点の形は承知の上と割り切って応援していくのが精神衛生上よろしいと思います。そう腹を括っていないと心が折れちゃうと思います。
高いライン取りはチーム全体をコンパクトに保ち、アタッキング・ディフェンスによるプレスに効果をもたせ、中盤のプレー範囲を狭めて負担を軽減し、またゴール前に詰める人数を増やすメリットをとるために行われています。このメリットを生かすために今のプレースタイルを熟成していければ、高いライン取りのデメリットも軽減していくことになります。こういう考え方が、佐野監督の試合後のコメントで度々登場する「攻撃力の強化」という主旨の発言の真意だと思います。攻撃がうまくいけばいくほど、守備の負担が減る。佐野監督が攻撃だけに執着している訳ではないと考えます。いやもしかしたら、本当に佐野さんは攻めダルマな勝負師なのかもしれませんけど。

4.堅守速攻、カウンター志向チームへの対応。(岐阜・富山戦)
→昨季よりもゴール前で使える武器は増えている。攻撃もカウンター封じの守備も櫻田がキーマン。

過去3戦と違い、岐阜・富山はカウンター志向で臨んできました。特に岐阜は昨季途中からカウンター重視のチームではなく、今季もそう試合をしていただけに、うまく出し抜かれた形になってしまいました。こういう相手に対策をとる時間もない中2日、続いて中3日で連戦したのは痛かったですね。チームとして経験を積んでいくほかありません。
岐阜・富山戦、甲府戦もそうですが、ゴール前を固める相手を崩すのは容易ではありません。それでも今季の草津は1.5列目としてドリブルからシュートを放てるMF廣山、両サイドから中に切れ込んでシュートが打てる小池と佐田、都倉の高さと使える武器は増えています。島田のFKは失ってしまいましたが。ライン裏を突く高田と後藤もいますので、持っている武器を用いるパターンを増やしていければ、より効果的に攻撃が可能と思います。今までにない形といえば、廣山からのスルーパスペナルティエリアで受けて佐田、小池がシュートとか。06年に島田のスルーパスを受けた佐田がペナエリアに突入しゴールしたシーンが思い出されます。
相手の逆襲カウンター対策ですが、これはまあ草津が攻撃的なサッカーをしていく以上、戦術的に相性の良くない相手との永遠の課題です。振り返って昨季は、あまりカウンターをくらわなかった理由として、相手を押し込んだ展開でも秋葉・松下のドイスボランチが中央に位置して、カウンター発動の起点をつぶし、後方が数的不利にならないよう備えていたことが挙げられます。そのためにバイタルエリアにつめる中盤の選手が少なく、攻撃人数が足らないというデメリットも抱えていました。
今季は秋葉の代わりに櫻田がレギュラーを務めています。彼は秋葉よりも運動量を誇る選手ですので、攻撃参加するのか、カウンターに備えて中盤に留まるかの双方をこなせます。カウンター志向のチームとの勝敗は、櫻田の判断とプレーが決めるといっても過言ではないと思います。だから甲府戦でペナエリア、ゴール前まで突入した時は、ボールを外にはたかず、シュートして欲しかった。廣山はチームの求めどおり、1.5列目としてシュートを放つプレーを見せてくれていますが、全体的に見るとどの試合もシュート本数が少なく、まだ昨季からの課題は継続していると考えます。どうしてもボールを大事にまわしてしまうんでしょうね。
またカウンター志向のチームのプレスをかわし、相手をつり出して間延びさせるパスワークも必要になると思います。もちろん今でもDFラインの横パス、ボランチとDF陣でのポストプレーなどを行っていますが、これを行う時間が長く、多くなると考えられますので、サクちゃんがバックパスしてもその意図を感じて応援していきたいと思います。味方の攻撃のための下準備のバックパスですから。「そろそろ前に出せよ!」という時もあるんですけどね。

5.リードされた展開や終盤の攻勢など、局面が変わった場合の意思不統一(富山・水戸戦)
→失点後には大雑把な放り込みになりがち。相手の対策に嵌まるとなかなか修正できず、同じミスを繰り返してしまう。
6.選手交代の時間帯と、交代選手のチームフィットの希薄さ(4試合全て)
疲労著しく機能していない中盤の選手交代の遅さが結果として敗因になってしまった。また交代選手は主に攻撃要員として投入されているが、「ゴール前に飛び込む係の人」以上の働きを見せていない。それぞれの特徴を活かした攻撃になっておらず、まだまだレギュラーもサブも互いを活かしていない。

5と6は関係が深いので並べました。繰り返しになりますが富山戦の失点後は、まだ20分以上もあるのに、今までのサッカーを諦めるような放り込みばかりになってしまい、貴重な時間を費やしてしまいました。ボールをつながずに放り込むため、相手の逆撃の回数ばかり増えて、後半は相手ばかりにシュートを打たせてしまう、攻撃的なサッカーの一番ダメな部分が出てしまいましたね。
また連戦の疲労から回復していない熊林のパフォーマンスは、前半だけで交代したほうがいいくらいの出来でしたが、交代が遅れたため、相手の突破をらしからぬプレーで許してしまい、櫻田の尻拭いのようなファールをよんでしまいました。2つ上の動画、富山戦のハイライト2分8秒からです。熊林を中々交代させられなかったのは、彼の代わりをほぼ務められる選手がいないことを示しており、止むを得ない部分もあります。繰り返しですが、今シーズン、同じようなことを何度も繰り返さないためには、熊林の代役の確立が必須だと思われます。
続く水戸戦では、相手の4−4−2のコンパクトプレス隊形の注文どおりに嵌まり、4メン2ラインの8人が形成した「囲い」の真ん中で都倉にハイボールポストプレーを要求したり、最初から囲まれているような状態の熊林や松下にボールを預けて簡単に奪わせてしまうなど、まだまだ当初のプランが崩れた時の対応、「プランB」が足らず、臨機応変な戦い方が出来ていません。ただこれはチームとして様々な相手と対戦して、経験値を得ていくことで鍛えられるでしょうから、まだまだ時間が必要と思われます。
既に紹介しています「ヤス 幻のGOAL」の動画でも、水戸の守備隊形と戦い方が窺えますが、個々の距離の正確な維持と崩れた隊形の修復スピード、担当ブロックでのボール奪取へ移行するタイミングなど、とても素晴らしく鍛え練られていると思いました。
目新しい戦術ではありませんが、FW2人が後方8人の作る「囲い」に相手のパスを誘導するようにチェック&プレスを仕掛け、2ライン8人のブロックの中でボールを奪う。「囲い」はとてもコンパクトに形成され、フィールドの横幅約3分の2くらいに圧縮し、縦もラインが高く保たれ、草津を自陣に押し込んだ時など最終ラインはハーフウェーラインすら越えて位置していました。
逆にいえば「囲い」の外(DFライン裏と逆サイド)には広大なスペースがあるわけで、ここを活かせればよかったのですが、前述のとおり、都倉のハイボールと熊林のパスワークに拘り、「囲い」の中で悪戦苦闘してしまいました。都倉のハイボールを後ろに逸らせてFWがDFライン裏を突くとか、大きいサイドチェンジを繰りかえし、「囲い」を形成する8人を左右に走らせ続けつづけて、綻びを作らせるとか色々考えられます。今の草津はあれこれ求めても実行できる力はると思っています。現にこの試合、草津は2得点を挙げるわけですが、どちらも「囲い」を破る2つの方法、それぞれを実践しているんですよね。1つには「1対1で勝負に勝ち、囲いを破る」、もう1つは「囲いの外のスペースを突く」です。
♪奪え?GOAL?! とっくら?GOAL???!!

1点目は、小池が前進したエリアでボールを受けて、水戸の第2列・MFラインで勝負せずに1人かわして突破。SBと1対1に持ち込み、これを抜きます。そしてSBとCBに詰められますが、この2人のマークを受けながらもゴール前にクロス。これで小池は1人で3人引き付けたことになり、草津の数的優位をサポートします。ゴール前では水戸のDF陣がスライドして高田・都倉をマークしますが、SBの寄せがやや遅く、都倉がゴールを決めました。草津はさらにもう1枚、廣山がフリーで待ち構えているわけですから、囲いを個人技で突破すると数的優位がつくれる典型的な得点シーンになりました。
2点目は、もちろん都倉の頑張りが大きいのですが、高めに位置するDFライン裏、DFが処理しにくい微妙な位置を突いた形になっています。結果的にですけどね。試合後に水戸のCB大和田が処理ミスを反省するコメントをしていますが、水戸の本間GKは「簡単に跳ね返されるようなゴールキックを蹴ってしまった自分の責任」という主旨のコメントをしています。やはり突かれてはいけないところを突かせてしまった、ということだと思います。
特に2点目は偶然性が高い得点機でしたが、1点目は草津のやり方で相手を崩し、得点している素晴らしいシーンです。サイドからのクロスにペナエリアでニア・センター・ファーに分かれて3人も飛び込むなんてのは間違いなく練習の成果ですよ。今まで中々見られなかったし。引き分けの試合でしたが、そう気落ちするものでもないと思っています。
ただ同点に追いついた後に、山崎・玉乃と投入され、追加点を狙いますがタイムアップ。交代要員が投入されると、攻撃がゴール前への放り込みに偏ってしまっていました。期待の新戦力である玉乃らしさはこの試合でも第7節甲府戦の途中交代でも、ほとんど発揮されず、また周囲も活かせませんでしたね。サブメンバーが今季のレギュラーとまだまだフィットしていない表れであると思います。また終盤に投入される攻撃要員が、玉乃・山崎・後藤が現在の形ですが、これは大きく分けると似たようなタイプ(高さではなくスピードを活かす、くらいの大雑把な区分だけですが)になってしまい、放り込みに強いわけでもないんですよね。FW氏原の復帰が待たれます。

また前述で「熊林の代役の確立が必須」と記しましたが、これは玉乃なのか? というと、違うと思います。やはり優先順位は山崎渡でしょうね。これは水戸戦で左SHの位置に後藤が入った試合を見て、強く感じました。左SBをFWコンバートの小池が務める限り、相手の狙い目でありますし、サイド攻撃はどのチームも多かれ少なかれ組み立ててきます。小池の前に位置するSHは守備も大事な仕事です。だから熊林は走り回るのですけど。
水戸戦で代役に入った後藤はその攻撃力を意図して配置されましたが、どうしても守備に戻る時間が多く、また小池とのコンビネーションが希薄で、パスミスや守備の受け渡しで齟齬が目立ちました。それでも頑張って守備をしていましたが、それは後藤に求められているものではないんですよね。攻撃力のアップといえば聞こえはいいですが、裏をかえせば守備に弱い配置でもあるわけで、その攻撃力を発揮しないまま守備に追われてしまいました。ですので左SHに玉乃を入れても、後藤と同じことになる可能性が高いと考えられます。玉乃の良さを出す前に、守備ばかりでも勿体無い戦力ですね。試合終盤の限定時間ならともかく、先発で玉乃なり後藤なりをSHで起用する場合は、ボランチ櫻田の攻め上がりを減らして小池のエリアのカバーを優先させるなり、必ず対処法が必要といえるでしょう。
ただ山崎なら、そのままでいいんですよね。彼は攻撃でも守備でも強力な武器(売り)がある要員ではありませんが、全体のバランスを考えて万能接着剤のようにチームバランスをとれる、ちょっと得がたい選手です。流れを変えるようなインパクトプレーヤーではないので、物足りなさを感じるときはどうしてもありますが、中盤全体のサブということでは、やはりベンチに座っておいてもらいたい存在であると考えます。甲府戦であのシュートを決めといてくれれば、なお良かったのですが。

1分3敗で終えた4試合を振り返りましたが、セットプレーの脆さはともかく、3連勝中が強くて、その後に急に弱くなったわけではないことが分かります。3連勝中は、幸い自分達の戦い方で勝てましたが、今の戦い方までは厄介なカウンター志向の相手と連戦して、疲労も抜けず修正もままならないまま連敗。そして水戸・甲府という調子の良いチームと連戦。勝ち点1では物足りないのは確かですが、若いチームの序盤らしい状況であるとも思えます。

なかなか勝てない中、佐野監督が「攻撃を追求して守備をおろそかにしている、現実より理想を追っている」というような論調がありますが、ここ4試合の失点シーンを振り返ると、守備云々より攻撃の機能不全が、失点に繋がっていることがわかります。これも繰り返しですが、佐野監督はチームの習熟、攻撃を整備することが同時に守備を助けることを意図して、攻撃の強化をコメントされていると思えます。決して理想だけをおっているのではなく、現実を見据えたチームつくりを進めていると考えます。レギュラーにサブを含めたチームの習熟はまだまだこれからです。従来の戦い方に、状況による「プランB」が増えることを期待したいです。
それまでは、本汗かき役の熊林・櫻田・松下と高田に、そしてGK本田に「相手と1対1なんだけど止めてください!」ってところですかね。本田ガンバレ。

*1:寺田・山崎・佐田・後藤・櫻田・岩丸、そして御給で全員かな?

*2:ド真ん中でボールを持たれるよりマシ、という意味

*3:カターレ富山朝日大輔には、JFL時代のYKK APとの2試合それぞれでゴールを決められているので、これで3試合連続失点になりました。そういう部分では徳島のFW石田と同様に、草津にとってモストデンジャラスな選手です。

ザスパ草津2009。開幕3試合から見えるもの。

相変わらず公私多忙で、久方ぶりの更新となってしまい、申し訳ありません。久しぶりの更新は、もちろん開幕三連勝という過去最高のスタートを切っている我らがザスパ草津について。監督交代、主力選手の入れ替えなどの懸案事項はどうなったかを中心にして対熊本・福岡・横浜の3試合を記していきたいと思います。まずはオフシーズンに発生したチームの懸案事項からくる注目点についてです。

ザスパ草津2009年チームの注目点
1.監督交代。内部昇格とはいえ、新人佐野監督は開幕にどんなチームを仕上げてくるか。
2.島田、鳥居塚、秋葉忠という中盤の主力選手の移籍や引退。新加入選手と底上げで穴は埋まるのか。
3.昨季終盤の大量失点。ペ・スンジンの移籍の影響は。
4.ボールポゼッションは出来てもフィニッシュに繋がらなかった昨季。得点への工夫は。

それぞれが独立しているわけではなく、サッカーの攻守は表裏一体と云うとおり、相互に絡み合うテーマなんですが、明確にするため大きく4つに分けました。では1番から。2番にも関わります。

1.監督交代。内部昇格とはいえ、新人佐野監督は開幕にどんなチームを仕上げてくるか。
→昨季までの戦術を継承しながら、より攻撃的にシフトした。完成には到っていないものの、公式戦で勝敗を争うには充分な仕上がり。さらに伸びしろも期待できる。

専門誌のキャンプ仕上がり度チェック記事で他クラブ(大体70〜80%)に劣る55%と書かれていたり、先日のJ's GoalのJ2日記、水戸担当の佐藤記者によると、*1

【J2日記】水戸:草津の憎いあんちくしょう(09.03.23)
(前略)西都キャンプに取材に行った際、上向かないチームの仕上がり具合を目の当たりにした伊藤氏が「今年はダメだー」と愚痴っていたのを聞いたときも気持ちよかった。
ところがどっこい草津は最高のスタートを切っている。はっきり言って悔しいのだ!(後略)

などと綴られたりされているので、中盤のボールポゼッションを司っていた島田・鳥居塚・秋葉の穴はやはり大きく、GK本田とSBチェ・ソンヨンの負傷なども加わって、順風満帆のキャンプではなかったようです。内部昇格とはいえ監督になれば練習の仕方を変えた部分もあるでしょうし、サッカーの限らず初めて取組むことは、慣れたやり方より時間がかかってしまうのは止むを得ないこと。福岡戦からSBで先発している小池にしても、福岡戦の一週間前からSBの練習を始めたそうなので、未だ佐野監督の中でも試行錯誤が続いている事も窺えます。
それでも開幕三連勝という最高の成績を収めているのは、開幕に必要充分のチーム力を形成してきた証です。その中でMF櫻田、SB佐田、CB藤井、FW都倉といった、昨季なかなか結果の出せなかった選手たちが勝利に大きく貢献しているのも単なる戦術の継承、植木さんの貯金だけの結果ではない、佐野監督の手腕であると思えます。
新人監督ゆえ長いシーズンの戦い方や、サブ含めたチームのターンオーバーやブラッシュアップなど佐野監督自身も初めての仕事を経験していくことになると思いますが、大きな期待を込めて応援を続けたいと思います。
後付け加えるならば、開幕3試合中2試合を1人の交代もなく、佐野監督は試合を終えています。これは3試合全てでチームが先制点を挙げ、1度も追いつかれることがなかったこともあり、サブメンバーとしてベンチ入りしているFW後藤、MF玉乃といった攻撃的なメンバーを投入する機会が薄かったとも考えられます。今後はリードされた展開でどう交代選手を用いるか、そのあたりも注目となるのではないでしょうか。

2.島田、鳥居塚、秋葉忠という中盤の主力選手の移籍や引退。新加入選手と底上げで穴は埋まるのか。
→廣山、熊林、松下、櫻田の構成でほぼ補え、攻撃的な姿勢が強まった。ただ層は薄くなってしまっているのでサブメンバーの奮起が重要に。

06〜08年の植木監督時代、島田・鳥居塚・秋葉忠の3選手それぞれが中盤を指揮する存在でした。その3人が一度にいなくなる事態は、ザスパ草津の財産であるボールポゼッションの継続を危うくするもののとも思われました。
しかし開幕してみると、廣山・熊林・松下・櫻田の4人で構成された中盤は試合をコントロールするのに充分な支配力と新たな魅力を発揮します。昨季もレギュラーの松下は従来の縦へのフィードに、秋葉忠のように左右への配球と大きなサイドチェンジを多く織り交ぜるようになり、櫻田と共にこの秋葉忠の役割を引き継でいます。
熊林は昨季、左SH島田と組む右SHでした。島田共々2列目の役割であるパスの意識が高く、直接得点に絡むことは少ないダブル司令塔としてプレーしました。*2しかし今季は縦横に走り回る運動量とプレーエリアの広さはそのままに、よりゴールに近い位置での積極的な攻撃参加が目立っています。ただ今季右SHに入る廣山が1.5列目的なプレーを行うので、左SHに移った熊林がペナルティエリアまで繰り返し進んで攻撃する必要はなく、過度の攻撃参加が求められていないことも熊林のプレースタイルに合って、プラスに働いていると思われます。今季のSHコンビのほうが、攻守全体のバランスとしては昨季に勝るのではないでしょうか。
櫻田も鳥居塚から背番号と共に、そのスタイルまで引き継いだかのようなプレーで、07年の活躍以上の期待を持たせてくれています。昨季は島田・鳥居塚・熊林などを押しのけるまでのプレーを見せられず、不本意なシーズンだったと思われますが、今季は持ち前の豊富な運動量で攻撃参加が増し、さらに秋葉忠ばりのサイドチェンジを度々披露し、両SBの攻撃参加をより加速させています。これは視野の広さと落ち着きがないと出来ないプレーなので、確かな成長が窺えると思えます。
そして廣山。この選手が、今季の中盤の脅威度をはね上げています。そのドリブルはボールキープにも1.5列目としての攻撃参加にも用いられ、シュートはもちろんFWへのスルーパスも披露。加えて左右両足ともに精度の高いキックを蹴れ、1対1でも負けない守備力を発揮しています。もちろんキープ力もあります。廣山は島田の穴をほぼ埋めつつ、加えてチームの得点力を上げ、中盤の守備力も上げています。さすが元日本代表というところでしょうか。よく草津に来てくれたなあ、と感謝するほかありません。また廣山が、島田の担っていた仕事をこなしてくれているため、監督も周囲の選手も昨季の戦術を踏襲しつつ、新たな戦術に取り組めている部分もあると考えます。ただただスゴイ人ですね。ただ「ほぼ埋まった」と書いたのは、島田最大の魅力であるキックスペシャリストの部分は埋まっていないためです。仕方ないんですけど。このところは、既に試合で得点に結びついていますがセットプレーの工夫と、MF陣の奮起に頼ることになりそうです。
昨季と今季の中盤を比較すると、昨季は島田をはじめ、それぞれの役割が明確な中盤だったと考えられます。今季は廣山の加入と、MF陣の奮起・成長により、それぞれが色々な役割を果たす構成になっているので、相手チームにとっては厄介になったと思えます。今までは明確に島田という司令塔がいたのですが、今季は特定の1人に人数をかけて封じても草津の攻撃が止まるわけではない。今季もここまで廣山頼みで勝ってきたわけではないですからね。佐野監督の「全員攻撃・全員守備」が体現している部分だと云えると思います。
ここまで記すと問題が完全に解消したかのように見えますが、レギュラーの穴は埋まったものの、サブはどうなのか、というところが出てきます。廣山・熊林・松下・櫻田がカード累積で出場停止になったときなど、誰がその穴を埋めるのか。玉乃、山崎、佐藤大基、佐藤穣、秋葉信らの頑張りがシーズンラストの順位を上げるか下げるかを決めることになると思っています。短期的には中盤の底を支えるアンカー松下を一番欠きたくないですよね。CB尾本、藤井を負傷で欠いている現在では、喜多を前に上げられないですし。少なくとも藤井の復帰までは、松下のカード収集が進まないことを祈るばかりです。

3.昨季終盤の大量失点。ペ・スンジンの移籍の影響は。
→セットプレーで簡単な失点など不安はあるものの、相手サイド攻撃をはね返し続け、ラインも高く保って中盤を助けている。尾本・藤井の負傷の影響が心配。

三連勝のいづれも一点差、横浜戦で見せたセットプレーのモロさなど不安はありますが、熊本戦では再三のオフサイドトラップで攻撃を封じていますし、福岡の高橋・大久保の強力2トップをよく抑えました。横浜戦では藤井の負傷を受けて初出場した喜多がハイボール処理とバイタルエリアの守備に素早く対応し、前半の支配された流れの中でも決定機を与えなかったことが、前半最後の2得点に繋がったと思います。昨季ペ・スンジンバイタルエリアの相手ポストプレーの早めの潰しで草津の好調期を支えてくれましたが、喜多も田中も今の調子で頑張って欲しいところです。昨季終盤にはラインごとズルズル下がる守備でチームが間延びしていましたが、ここ3戦はラインアップで中盤を助け、ほぼ未経験のSB小池のサイドエリアの守備フォローもスムーズに。テラもよく抜かれるから慣れてるんだよねえ。宇留野は怖かったねえ。ずっとHonda FCにいて欲しかったのにねえ。尾本と藤井の負傷復帰まで、もう誰もケガしないように。また今後、セレッソ大阪のような昇格有力候補との対戦でどのくらい通用するか、でしょうね。

4.ボールポゼッションは出来てもフィニッシュに繋がらなかった昨季。得点への工夫は。
→攻撃人数の増加と、守備を整わせないうちにゴール前に詰めるスピードある攻撃が実現できている。MFの攻撃参加は押し込んだ状態での切り札にも。

昨季まではカウンターのチャンスでも一度中盤にボールを収めて攻撃を展開していたため、植木さんからも「もう少し攻撃に緩急をつけないと」というコメントもあったと記憶しています。ポゼッションはただ攻撃のためではなく、ボールを保持している限り相手の攻撃にはならないという守備的要素もあるので、一概に点がとれないからダメ、ということではありませんが、相手を自陣に押し込めてから左右にボールを振っても相手守備も人数が揃っているため、そうそう点はとれませんでした。昨季でこういう状態から点がとれたのはFC岐阜戦の1ゴールくらいしか記憶にありません。
●2008 J2:第14節 【 FC岐阜 vsザスパ草津

10本以上のパスを相手に一度も奪われることなく繋いでシュート&ゴール。ここまでキレイに決めるのは難しいですね。昨季の草津は、エース高田に加えて後藤の成長でFWの得点は申し分なかったものの、前述のとおり中盤の得点に乏しく、相手からすると守りやすかったのではないかと思います。左右にボールを何度振っても、最後はFWに合わせてくる。最悪そこだけキチンとケアすれば、簡単に失点しないわけですから。中盤もゴール前に飛び出す回数は少なく、ミドルシュートもまず入らない。昨季はMFのミドルシュートでのゴールは島田が1点、松下が1点だったと思います。
●【2008 J2:第15節 ザスパ草津 vs 水戸ホーリーホック

●【J2:第32節 草津 vs 岐阜】

シマはやっぱり最高だ(涙)こういうシュートもそうそう入らないですよね。やっぱりゴールに近いところからシュートしたい。今季の入団記者会見で植木GMから「中盤から得点がとれる選手を補強した」という主旨のコメントがあったと思いますが、これが廣山と玉乃です。廣山は早速望まれた形で1ゴール決めてくれています。
●J2 2009 第2節 ザスパ草津GOAL3

右からきたボールスピードを殺しつつ殺しすぎずにそのまま流す。スピードをつければ枠に入らない角度ですし、スピードを落としすぎれば相手に対応されてしまいます。素晴らしい技術です。既に触れていますが、櫻田のサイドチェンジに佐田のクロスと、昨季の不満をぶつけるかのような活躍も確認できます。
また動画はないのですが、熊本戦後半に、相手を自陣に押し込んだ状態で新たな攻撃のヒントがありました。熊林が左サイドでボールキープするものの、バックパス。攻めあがっていなかった寺田までボールが戻ってしまうのですが、その間に櫻田がペナルティエリアに飛び込み、そこへパス。得点に繋がらなかったのですが、MFの積極的な攻撃参加が、ボールは下げて相手をつり出しつつ、攻め駒が1人上がるという縦への揺さぶりが使えたシーンでした。
開幕戦でSBの攻撃参加が乏しかったことは、佐野監督の不満としてコメントがありましたが、中盤が頻繁に攻撃参加する今季、SBまで闇雲に攻撃参加してしまうと守備の枚数がとても危険でもあります。こういう形で押し込めた相手にプレッシャーを与えても面白いのではないかと思います。守備からすれば誰がゴール前にすっ飛んでくるか判らないのが一番怖いわけですから。開幕から3連勝の草津ですが、まだまだ攻撃への工夫も伸びしろも見えています。ずっと勝ち続けられるほど甘くはないので、試合をこなしつつ、さらに強くなって欲しいですね。
後、特筆すべきはFW都倉の好パフォーマンスです。2ゴールももちろんですが、昨季途中から加入したころは、空中戦ではファールばかりとられてしまっていました。ところが今季はハイボールの競り合いで逆に相手にファールさせる場面が多く、格段の進歩を遂げています。熊本・福岡戦で草津が試合の流れをつかむ大きなキッカケとなりました。ボールポゼッションに並ぶくらい有効な都倉のポストプレーですが、横浜戦ではCB戸川・早川とのマッチアップは過去2戦のようにいきませんでした。都倉のポストと空中戦の優位がどの相手くらいまで通用するのか。これもこれからの注目だと思います。
全体の結論とすれば、今まで以上に楽しみなシーズンになる、だと思います。まずは今夜のアウェイFC岐阜戦、どんな攻守が見られるか、中2日の連戦ゆえのパフォーマンスの低下、起用されるサブメンバーのパフォーマンスが新たな注目だと思います。

*1:http://www.jsgoal.jp/news/jsgoal/00079625.html

*2:島田裕介は08年5ゴール。FK直接が2点、PK1点、ミドルシュート1点、ペナルティアーク付近からシュート1点。熊林は08年2ゴール。FK直接1点、ペナルティアーク付近からシュート1点。

ザスパ草津、2008年第1クール総括。

SH772008-05-30

これまた長らくのご無沙汰で申し訳ありません。今季初勝利の第4節愛媛戦の次、第5節の仙台戦から、初の連勝を成し遂げた第15節までの流れを追いながらの第1クールの総括を書いてみたいと思います。

●などと云いつつ、いきなり結論。
一言で云ってしまえば草津の第1クールは、新戦力との慣熟と融合に費やした」と振り返ることが出来ると思います。今季の草津は、昨季の戦い方を継続していくはずでしたが、島田・熊林・チェなどチーム戦術の根幹に係わる部分に入った新加入選手によって「昨季とまったく同じ」とはいかなくなってしまいました。まあ当然なんですけど。
具体的には、昨季の中盤のパスワークの舵取りは秋葉・松下・櫻田のボランチ陣が務め、彼らにボールが集めて左右に展開していくことがチームの「お約束」でした。今季は一列前のSHに06年の司令塔・島田が入ったことによって、昨季になかった「とりあえず島田に預ける」形も多くなり、左右へ揺さぶるパスワークに加えて島田からの早い縦への展開も期待されたものの「今は左右に振りつつ進むのか、島田を軸に早く進むのか」というチーム全体の意思統一が進まず、どっちつかずの組み立てになってしまいました。さらに島田と並ぶ司令塔として期待された熊林でしたが、宮崎キャンプのほとんどをリハビリに費やし、復帰はキャンプの最終盤。チームにフィットするために、かなりの回数の実戦をこなしていかねばならなかったのも誤算でしたね。
また、草津のパスワークのもう一つの「お約束」に、「一方のサイドに相手を引きつけるパスワークから逆サイドのSBへ大きく展開、一気に前進してゴール前へ」がありますが、シーズン序盤の守備の苦戦による守備陣の慣熟と、新加入右SBのチェ・ソンヨンと中盤のパスワークの齟齬と連携不足があり、この「お約束」もなかなか実現できませんでした。こういった「お約束」を再整備するために、第1クールの多くの試合を費やしたと見えます。
攻撃を再整備しつつも勝ち点を積み上げなければなりませんから、前線にロングパスを送るだけのような不本意な戦い方で勝ち点を1づつ積み上げていくような試合も続きました。そんな中で徐々に新戦力がチームにフィット。第1クール終盤には連勝を含む3勝を挙げて、4勝5分5敗で終えることが出来ました。まだまだ課題は多いものの、ようやく07年のチームに+α出来た「08年草津」が形になってきたと思います。大きな課題はまだ3つありますが、それは第5節から第15節までを振り返りつつ、記していきたいと思います。

●2008J2第5節ベガルタ仙台戦 4−5−1ドイスボランチ 
−−−−氏原−−−−:後藤
高田−−島田−鳥居塚:
−−熊林−−松下−−:秋葉・櫻田
寺田−−−−−−佐田:
−−田中−−藤井−−:尾本
−−−−-北-−−−−:本田

第4節の愛媛戦の今季初勝利後の仙台戦。結果は0−1での敗北でした。
ただ内容は横浜FC戦と愛媛FC戦の流れを受けた、かなりの好パフォーマンスで、ボールを大きく左右に振って前進しつつ仙台ゴール前に迫ります。今季の仙台がここ数年と違い、やや守勢から入るチームになっていることもあり、草津の攻撃と仙台のカウンターという形で打ち合いの様相に。今までの仙台戦で最も渡り合った時間帯だと思います。またこの試合、左SHに入ったFW高田が攻めあがる寺田とのコンビネーションでこのサイドの数的優位から攻撃を組みたてましたが、しかし高田がサイドに張りつく代償としてゴール前に詰める人数が減り、試合を優位に進めながらサイド攻撃を活かせないまま前半が終了します。昨季から続く大きな課題セカンドストライカーの不足」が響きました。後半に入ってもまだ草津の攻勢で、CKからの絶好機をCB藤井が逃すとその直後に先制され、その後は足が止まった草津が仙台に押し込まれる形になってしまいました。

●2008J2第6節湘南ベルマーレ戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−後藤−−:
島田−−−−−−熊林:鳥居塚
−−松下−−秋葉−−:櫻田
寺田−−−−−−チェ:石亀
−−尾本−−田中−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

4月最初のホームゲーム、湘南戦は1−2の逆転負け。この試合は過去3試合と大きく異なり、かなり守備的な組み立てで臨みました。特に前半はチェと寺田の両SBがセンターラインを超えずに、DF陣から前線へのロングパスを多用。このボールを受けるのは後藤でしたが、マッチアップの相手は名CBのジャーン。ほとんど勝負させてもらえませんでした。また田中と尾本のフィード自体が精度を欠いており、ラインを割るか、相手GKに捕らせるか、相手選手に渡すかがほとんどで、攻撃というよりマイボールの返却の様相でした。中盤のパスワークもSBが攻めあがって参加しないため、狭いエリアで繋ぐことを余儀なくされ、まるで機能しませんでしたね。そんな中でも島田を起点としたカウンターから、後半に攻め上がりが増えてきた寺田のフィニッシュで先制するも、その後は攻守ともにどっちつかずのちぐはぐさが見え、終盤にサイドを崩されて、後半途中から出場した相手FWリンコンに2点目をとられて逆転負け。最終盤の猛攻で幸運なPKをロスタイムに得るものの、高田がクロスバーに当ててしまい、引き分けにも持ち込めない残念な結果に。06年の東京ヴェルディ戦@国立で、高田の同点PKの失敗を生で見ていた身からすると、島田か松下が蹴ったほうがと思ってしまいましたねえ。消極的かつ精度を欠く攻撃、先制後の意思統一のなさ、2失点目の形のマズさ、オマケにPKでのぬか喜びと、後味の悪さばかり目立つ試合でした。  

●2008J2第7節サガン鳥栖戦 4−5−1ドイスボランチ 
−−−−氏原−−−−:後藤
高田−−島田−−山崎:鳥居塚
−−松下−−秋葉−−:
寺田−−−−−−チェ:石亀
−−田中−−藤井−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

この試合の攻撃も湘南戦の継続で、ロングパスによるマイボールの返却が目立ち、結果20本以上のシュートを浴びることに。一方の草津のシュートは前半に1本だけで後半は2本。当社比で2倍ですけどね。やかましいわ。しかし最終スコアは1−1なんだからサッカーは分からないもので、負け当然の試合を引き分けに出来ました。前の湘南戦が引き分けを負けにしてしまったのですから、帳尻はあっているのかも。後藤の今季初&2年ぶりのゴールが、今季の大きな課題である「FWの員数不足」には朗報だったくらいが慰め、というくらい内容のない試合でした。ふう。
【2008 J2:第7節 サガン鳥栖 vs ザスパ草津

改めて見ても、ホントによく引き分けましたねえ。こういう試合はもう一度は再現出来ないので、次回の対戦で同じことをしたら大敗必至。まあ同じようには守らないでしょうし、もうちょっと良い試合をして欲しいところです。このエントリーの動画はYOUTUBEザスパ草津関連の動画をアップしてくださる、kurokisi932さんのところから。いつもいつもありがたいです。kurokisi932さんの優しさは五大陸に響き渡るでぇ(元ネタは藤原マネージャー)。

●2008J2第8節モンテディオ山形戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−後藤−−氏原−−:岩田
島田−−−−−−熊林:鳥居塚
−−櫻田−−松下−−:秋葉
寺田−−−−−−チェ:
−−田中−−−ペ−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

過去2戦と同じくの様相でしたが、島田と後藤のコンビネーションでカウンターが成功し、先制することが出来ました。山形の攻撃が不調だったこともあり、なんとか逃げ切りでホーム初勝利となるかと思いきや、後半ロスタイムに敵陣深くの時間稼ぎの失敗からカウンターを受けて失点。湘南戦より後味が悪い試合があるとは。
それでもこの試合で大きな収穫が2つありました。1つ目は今季に横浜FCからレンタル移籍のペ・スンジンが好パフォーマンスを見せ、これ以降の守備の安定に大きく貢献することになりました。今までの草津DFにはなかった、ポストプレーヤーへのプレッシャーの早さとその状況判断は特筆もので、これが松下のバイタルエリアの守備負担の軽減にも繋がりました。2つ目は非常に後味の悪いこの試合の結末が、チーム全体に「勝負へのこだわり、一つ一つのプレーの必死さ」を浸透させたように今は思えます。頭では分かっていることと心に深く刻まれることとの差だと思いますね。この試合以降に生まれた各選手の泥臭いプレーぶりは、やはりこの敗戦同様の引き分けの試合から得た教訓だと思います。この試合で失った勝ち点2は、良い授業料に転化できたのではないでしょうか。そう思わんとやっとられんわ。

●2008J2第10節アビスパ福岡戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−島田−−:後藤
鳥居塚−−−−−熊林:山崎
−−櫻田−−松下−−:秋葉信
寺田−−−−−−チェ:
−−田中−−−ペ−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

結果は追いついての1−1。過去8戦全敗の対アビスパ福岡戦の初勝ち点獲得です。昨季も相性は最悪の相手だっただけに、うれしい一歩前進です。相性が最悪なのにはもちろん理由があります。福岡と草津の攻撃コンセプトは大きく分類するとかなり似ており、両サイドからの攻撃で全体を押し上げ、中盤の攻撃参加で攻撃に厚みを増していくことを意図しています。コンセプトが似ていて、各ポジションのタレントが草津より優位ですから、苦戦は必然。久永と田中佑昌の左右SHにサイド攻撃で押し込まれ、MF布部や久藤にバイタルエリアに詰められて決定的なシュートを打たれる印象ばかり残っています。しかもFWには個人技でも勝負できるアレックスとリンコンの強力ブラジル勢。昨季は前半だけで5失点の試合もありましたねえ。ふう。
今季初対戦は、島田をFWに位置させて相手マークをずらすなど工夫もありましたが、毎度おなじみの両サイド攻撃から押し込まれる展開になりました。ただ昨季と違いなんとか凌げたのは、グリフィスと黒部の2トップがサイドからのクロスにあわせる攻撃に偏りすぎたこと、SHの攻撃にSBが追い越す動きが少なかったため厚みが出なかったこと、布部と久藤が先発せず、その代わりを務めてきた城後の攻め上がりの回数が少なかったこと、が挙げられますす。ゴール前の2トップへのクロスの連続は怖いものですが、それだけならばなんとかDF陣がふんばれたのだと思います。松下と櫻田もバイタルエリアの守備を徹底してセカンドボールからの波状攻撃を阻止していたのも大きいと考えます。
前半をなんとか凌ぐと、中2日の福岡と前節休みの草津の差が最後に出てきます。徐々に草津のポゼッションが高まっていく中で、チェが久永にセンターライン付近でボールを奪われると、久永に一気に攻め上がられます。そしてシュートブロックに飛び込んだチェが交わされると、CBペとGK本田に触れることを許さない芸術的なシュートをゴール上隅に送られ先制されてしまいます。敵ながらアッパレ。またもや久永ですよ。コンチクショー。中2日ながら前半で攻勢だった福岡が足が止まりかけていた時間帯での待望の得点で、福岡イレブンは目に見えてペースダウン。この判断自体は間違っていないと思います。しかし完全にカウンターモードに入るでもなく下がってくれたので、草津はポゼッションで敵陣でのハーフコートサッカーを展開出来ました。ゴール前に詰める選手が少ない中でも島田にバイタルエリアから久永ばりに芸術的なシュートを決めて同点に追いつき、草津の攻勢のままで試合終了。ここで追加点をとれないのが歯がゆいですが、過去3戦よりは復調、前半の粘り強い守備が勝ち点を呼び込んだ試合だと思いました。
2008 島田裕介 1stGOAL!

我らがファンタジスタ島田裕介大先生様の今季初ゴール。これだけでご飯3杯はいけます。スカパー「Jリーグ・アフタゲームショー」の解説者、野々村さんは「全部左足一本でやっている。インサイド、アウトサイド、インフロント(シュート)!」みたいなことおっしゃっていましたね。とても島田らしいゴールだと思います。後藤がマーカーを引っ張って、島田の進めるスペースを空けているところも巧です。

●2008J2第11節ヴァンフォーレ甲府戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−島田−−:後藤
熊林−−−−−−山崎:
−−櫻田−−松下−−:秋葉
寺田−−−−−−佐田:石亀
−−田中−−−ペ−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

福岡戦と同じく、島田がFWの位置で先発。試合前には「ポゼッション対決」と銘打たれていましたが、どちらかというとロングボールの応酬になってしまい、消化不良のままスコアレスドローで終了しました。05年の対甲府戦は4戦全敗でしたから、初の勝ち点奪取となりました。05年には約440年ぶりの「甲州勢による上州侵攻」でしたが、今回はたったの3年ぶり。出来ればJ1の舞台で合い間見えたかった相手ですが、3年前とは違い大宮城からの客将、島田越生守裕介をはじめ、松下高崎守、熊林出羽守が居並び、敷島箕輪城は守将・本田阿波守が守りきって、痛み分けに終わったとも云えますね。*1
最悪の状態は脱したものの中盤の組み立て、特に「プレスの掛け合い、中盤の守備で負けてしまうと途端に手詰まり」そしてロングパス一辺倒へという課題は以前のままです。開幕からこの甲府戦まで、草津がポゼッションでハッキリと相手を押し込んだのは、自ら引き気味で試合に臨む横浜FCと仙台、順位的には同じくらいに位置する相手、愛媛と福岡がリードして引いている場面が目立っています。つまり上位や中位相手には、今の習熟していないパスワークではポゼッションを出来ていないと云う事になります。第1クールの残り対戦相手は徳島、C大阪、岐阜、水戸。上位・中位・下位の混在ですが、少なくともここから2勝は挙げておかないと、中位争いにも加われない状況でした。今振り返ると、ポゼッションを駆使しつつ3つ勝てたことはチーム力の上昇と云えると思います。

●2008J2第12節徳島ヴォルティス戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−後藤−−:
島田−−−−−鳥居塚:石亀・山崎
−−熊林−−松下−−:秋葉
佐田−−−−−−チェ:
−−喜多−−田中−−:尾本
−−−−本田−−−−:北

先制し、ひっくり返され、さらにひっくり返して3−2の勝利。対徳島・アウェイ鳴門での初勝利(対JFL大塚製薬戦を含む)であり、決勝点はSB佐田の狙いすましたクロスを、エース高田が今季初得点で決めて勝ったことも大きかったですね。この試合くらいからSBチェとMF熊林がかなりフィットしてきているシーンが増え、つまらないパスミスがかなり減りました。チェは積極的な攻撃参加を見せるようになり、熊林も中盤を縦横に駆け回りました。この試合ではこの2人のパスワークでサイドを突破するシーンからチャンスを生む場面もありましたね。先制は島田からのスルーパスで後藤が決めており、後半の2得点は左右へボールを振りながら前進するポゼッションから生まれたもの。緩急の攻撃それぞれから生まれた3得点は、チームとして07年のチーム力にプラスアルファが加わりつつあることが窺えました。
【2008 J2:第12節 徳島ヴォルティス vs ザスパ草津

今季初ゴール&決勝点のエース高田のインタビュー。良かった良かった。キックオフには左SB、途中から右SBに入って決勝点をアシストしたのは佐田聡太郎のクロス。クロス精度はこんな感じが続くと良いのですが。

●2008J2第13節セレッソ大阪戦 4−5−1トレスボランチ 
−−−−高田−−−−:
鳥居塚−−−−−後藤:山崎
−熊林−松下−島田−:秋葉
寺田−−−−−−佐田:石亀
−−田中−−ペ−−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

結果は1−3の完敗。徳島戦の流れで序盤から真っ向勝負を挑むものの、早々の失点で強豪チームに余裕を与えてしまい、そのまま力負けの試合でした。年何回かは、こういう立ち上がりの失点からプランが狂い、為すすべなく押し切られるゲームがあります。この日のセレッソ大阪は状態がとても良く、草津にとっては相手が悪かったという部分が大きかったですね。
FW不足は深刻化し、この試合は高田に後藤と鳥居塚の2シャドーで並んで補う形。後半には後藤の代わりに山崎がFWに入ったものの、本来MFの彼をFWとして用いて中盤から飛び出す意図はあっても、チームとして練習も約束事もないようで、それは彼の前のスペースに誰もボールを送らず、また中盤の組み立てにも参加できていないことからも窺えました。それでも最後にボールをゴールに押し込んだのは山崎。サッカーは難しいです。

●2008J2第14節FC岐阜戦 4−5−1トレスボランチ 
−−−−高田−−−−:後藤
島田−−−−−−山崎:鳥居塚
−秋葉−松下−熊林−:
寺田−−−−−−チェ:石亀
−−田中−−ペ−−−:喜多
−−−−本田−−−−:北

「三名泉ダービー」の緒戦は1−0で勝利。第1クールで一番のパフォーマンスでした。中盤の構成力で相手を圧倒、前節は中途半端な起用で活かされなかった山崎ですが、この日は3トップの一角で前線から効果的なプレスで陰のMVP級の活躍でした。0−0のままの後半途中に不運な形でPKをとられるものの、GK本田がこれを阻止、その後も相手を押し込んで攻撃を続けました。決勝点は、実に16本のパスを相手に触らせないまま左右に動かして決めました。またセカンドストライカー不足に関しても、熊林がこの試合は積極的にペナルティエリアにまで進入し、決定的なシュートチャンスを2回作りました。どちらかが決まっていればなお良かったのですが、SHがパス回しのフィニッシュでシュートが打てる形になってきたのはとても良い兆しです。また山形戦の教訓を忘れぬ徹底的な時間稼ぎを実行し、とにかく勝ち点3をどんな形でも奪いとる、泥臭い姿勢が見られました。格好良くはないですが、この岐阜戦の必死さがあってこその連勝達成だったと思います。連勝という結果が素晴らしいのではなく、連勝に到るまでの180分間のプレーの積み重ねこそが、今の草津の財産であり血肉になると考えます。
2008 J2:第14節 【 FC岐阜 vsザスパ草津

本田PK神は今季も健在なり。さすが「守りのプロ」です。最終スコアは1−0だったのですから、このPK阻止はとても大きいものとなりました。決勝点のパス回しは06年や07年のバージョンアップになっていることが分かります。島田以外からもラストパスが出る、というのは相手にとって脅威ですからねえ。

●2008J2第15節水戸ホーリーホック戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−鳥居塚−−:後藤
島田−−−−−−熊林:山崎
−−松下−−秋葉−−:櫻田
寺田−−−−−−チェ:
−−田中−−喜多−−:藤井
−−−−本田−−−−:北

第1クールの最終戦北関東ダービーに2−1で勝利し連勝達成しました。水戸イレブンの草津DF陣にまで迫る猛プレスの前にグダグタになりながらもキャプテン松下のミドルシュートで先制。しかし流れは変わらず1点を失って後半へ。後半70分過ぎから足が止まった相手を押し込むものの、なかなか得点できず、なんとロスタイムのラストプレーで逆転という、劇的な勝利を挙げました。内容は前述したとおり、相手の猛プレスにポゼッションが出来ない課題はそのままで内容の乏しい試合になってしまいましたが、相手の流れの中でもイレブン個々の我慢と奮闘が最後に実を結んだ草津クラブ史上に残る熱戦になったと思います。
【2008 J2:第15節 ザスパ草津 vs 水戸ホーリーホック

松下裕樹 歓喜の決勝GOAL【2008 J2:第15節 vs 水戸 】

ロスタイム2分のゲームで、松下のシュートが92分59秒、ゴールが93分00秒ってのが、本当にギリギリセーフの勝利だと思わせてくれます。
ヒーローインタビュー松下裕樹【2008 J2:第15節 vs 水戸 】

この試合はもちろんバクスタ立ち見席にいたのですが、決勝ゴールの瞬間、ちょうど前でフラッグを振っているサポさんがいたので「ロングスローの競り合いがこぼれる→誰か後方から走ってくる→(フラッグ)→ボールがゴールネットに当たってる」のように見えました。最初に頭によぎったのは「なんか知らないけど、ゴールっぽい」でした。めでたいからなんでもいいんですけど。松下裕樹は男闘呼の中の男闘呼。J1。
●第2クールからは。
とりあえず劇的な連勝で一区切りがついた訳ですが、この14試合の中で中盤と守備陣の習熟と整備は進んだものの、「FWの員数不足」と、それに伴う高田と後藤の連戦の疲労も懸案事項ですね。また得点力の部分で共通する「セカンドストライカー不足」は現在の状況では、松下と熊林に一層の奮起が求められそうです。個人的には佐田聡太郎をSHとして途中投入し、ペナルティエリアでシュートにチャレンジさせるのが一番だと思っているのですが。06年の得点はいづれもそういう形でしたし。なんにせよ、内部昇格でも補強でもかまいませんが、少なくとももう1名FWがいないと第2クールも大変そうです。
また最大の注目点として、島田・熊林・チェがフィットした中盤のポゼッションを更に深め、上位・中位に通用するポゼッションサッカーが出来るかどうか。これが草津の勝ち点を大きく左右することになると思っています。多くの困難からスタートした第1クールですが、とにかくほぼ五分の成績で折り返せました。下位相手に取りこぼさず、中位以上に勝ち点を奪えるサッカーを期待したいですね。出来ればロスタイムのラストプレーまでに得点して、失点しない試合を。サポーターの心臓と寿命のためにも。

ザスパ草津、開幕4戦で1勝1分2敗。08草津は07草津+αなのか。

SH772008-03-29

長らくすぎるくらいのご無沙汰となってしまいました。仕事がようやく落ちついたので、ダイアリーの更新を再開します。また夏ぐらいから忙しくなってくるのですが、過去を省みて今季は観戦記の簡素化などを図ってでも更新ペースを落とさないでシーズン終了まで書いていきたいと思います。再開最初のエントリーはもちろん我らがザスパ草津についてです。
今季はすでに3月9日から始まり、第4節終了時点で草津は1勝1分2敗です。オフシーズンに期待の即戦力を補強したり、宮崎キャンプの練習試合を無敗で終えたりと大きな期待を抱かせたザスパ草津。しかし開幕戦でサンフレッチェ広島に敗北し、第2節のロアッソ熊本戦では「お前ら、つくづくだよ」(出典:出川師匠)な戦い方で連敗。しかしその後は横浜FCに引き分け、愛媛FC相手に逆転勝利と成績は上向いています。一体なにが悪くてなにが良いのか。これからどうなっていくのか。その辺りを07年のチームと現在を比べながら考えていきます。

●1.まずは07年ザスパ草津の戦い方。
昨季のザスパ草津の大きなテーマは「脱・島田裕介」。06年のJ2アシストキングにもなった司令塔が抜けた穴をいかに埋めるか、でした。そしてチームは奪って早く前線に送るカウンターサッカーから中盤のポゼッションを高める戦い方へと転換します。具体的には、秋葉忠宏櫻田和樹松下裕樹ボランチ勢がポゼッションを高めて全体をビルドアップ、相手を一方のサイドに偏らせてから、逆サイドのサイドハーフや駆け上がったサイドバック(SB)に大きく展開して一気に前進、数的優位なサイド攻撃を主に意図していました。そして得点力アップのため両サイドハーフ(SH)とボランチにもセカンドストライカーの役割が求められていました。基本布陣は4−4−2ドイスボランチ、シーズン後半には4−5−1ドイスボランチでした。

ザスパ草津2007 基本フォーメーション
4−4−2           4−5−1
−−高田−−氏原−−      −−−-カレカ-−−−
桑原−−−−−鳥居塚      櫻田−−高田−鳥居塚
−−櫻田−−秋葉−−      −−松下−−秋葉−−
寺田−−−−−−佐田      寺田−−−−−−佐田
−−尾本−−チカ−−      −−尾本−−藤井−−
−−−−本田−−−−      −−−−本田−−−−

成功した点は、中盤のポゼッションがかなり高まったこと(そうでなきゃ困るけど)、誰が出場してもほぼ中盤の組み立てとサイド攻撃を主体とした攻め方がチームに浸透し、戦えるようになったことでしょうか。
ただ課題も多く見つかりました。大きな点としては3つあり、まずポゼッションが高まったもののボール回しに緩急を欠き、素早い攻撃を自ら封じてしまったこと、サイド攻撃以外ではどうフィニッシュさせるか、ラストパス&シュートまでの組み立てが希薄だったことが挙げられます。*1
またサイド攻撃を主体としながらも両SBから精度の高いクロスが送られることが少なかったこと、セカンドストライカーとして期待されたSH勢がほとんど得点できなかったこと(鳥居塚伸人48試合4得点、山崎渉24試合0得点、桑原剛21試合0得点)で得点力が06年よりも低下したことも挙げられます。
そして右SB佐田聡太郎が負傷離脱した際には本来センターバック(CB)の田中淳が入り、また尾本敬が左SBに入ることもありましたが、どうしても守備の意識が働くのか効果的な攻め上がりが減少し、結局は佐田の穴を鳥居塚が1列下がって埋めたこと、SH勢の得点力不足を補うためとサイド攻撃強化のためFW高田保則が左SHに起用されたことから分かるとおり、戦い方はチームに浸透したもののスタメンとしての層は苦しかったことも挙げられます。スタメンが離脱したりするとサブメンバーが入るんじゃなくて他ポジションのスタメンが移動して代役を務めるんですからね。もっともっと勝ち点を積み上げていくには鳥居塚・高田クラスの選手がもう1人づつくらいは必要だったということかもしれません。
そして08年は上記の長所を伸ばしつつ短所を減らさねばなりませんが、植木監督兼任GMの回答は島田裕介熊林親吾チェ・ソンヨン石亀晃らの補強でした。フィニッシュへのパスが出せる選手と攻撃的なサイドバックの加入であり、昨季の弱点をかなりカバーできる大成功の補強だと思います。そして植木監督は08年の戦い方を、06年への回帰ではなく07年の継続発展を選択します。07年のポゼッションとサイド攻撃に加えて、高い位置で攻撃が組み立てられる島田と熊林。チーム強化として進んでいる方向は間違っていないと思います。熊本戦がアレでナニであってもですよ。

●2.サンフレッチェ広島戦とロアッソ熊本戦。昨季を継続していないサッカー。
開幕戦の相手は昇格最有力候補、サンフレッチェ広島でした。開幕戦の布陣は以下の通りです。

●2008J2第1節サンフレッチェ広島戦 4−4−2トレスボランチ 
−−高田−−氏原−−:後藤
−−−−島田−−−−
−熊林−秋葉−櫻田−:鳥居塚
チェ−−−−−−田中:ペ・佐田
−−喜多−−藤井−−:
−−−−-北-−−−−:常澤

結果は0−2で敗北。蓋を開ければ06年終盤の「司令塔島田を最大限活かす4−4−2トレスボランチ」で布陣しました。SBは右が田中で左がチェ。左から攻撃を仕掛け、田中はスライドして3バック風味の守備強化も意図されていたと考えます。相手が強いからこその対策なんでしょうね。
前半は広島の慎重な立ち上がりもあって押し込められながらもそれはそれで想定の内としてまずまず戦えたのですが、前半終了間際に「前半このまま折り返す」という意識が出たのかDF陣とボランチ3人ともに下がりすぎて防戦一方となった挙句に先制を許してしまいました。後半は攻勢に出ようにも、昨季と同様にSBに入った田中は左SBチェと連動した攻め上がりが出来ず、ノープレッシャーであげた絶好機でのクロスもゴールラインを大きく超えてしまうなど、やはり攻撃的SBとしては物足りず、また2失点目も右サイドから崩されるなどSBとしての守備も軽いものでした。やはりCBでこそ輝く選手なんだと思います。安易に手をつかわなければ更にいいんですけど。
司令塔の島田も3−5−2で布陣した広島のボランチ2枚にマークされ、また前線の3人が上がり目、DF陣は佐藤寿人を警戒して下がり目と全体が間延びしてしまっていましたね。植木さんは鳥居塚を熊林と入れ替え、4−4−2ボックスに変更。島田以外の起点を前線に作り秋葉・櫻田のドイスボランにして中盤4人に縦のバランスをとらせてボールを前に運ぼうと意図したと思いますが、前述のとおり追加点をあげられゲームを終わらせに入った広島相手に無得点で抑えられました。草津の攻撃のキーは昨季同様「両サイドバックの連動」ですが、この試合は守備重視だったと思われ昨季同様に効果的なサイド攻撃は実現できませんでした。しかし2点差になったところで田中→佐田の交代となりましたが、後半頭から佐田に代えなかったのは植木さんは1−1の引き分けでも良いと思っていたのかもしれませんね。広島の強さと上手さを見せ付けられた試合でしたが、天皇杯ゼロックス杯のパフォーマンスとチーム力を見るとおり、広島はリーグ戦の結果とはいえ現時点で既にJ2にいるべきチームではないので、実力差をそう悲観しなくてもいいと思います。それでも後2戦は両方アウェイですが、どうにかして勝ち点3が欲しいですねえ。J2にいるべきチームじゃないだけに、逆に一番勝ちたい相手でもあり。今季のテーマの一つでもいいくらいだと思いますね。

●参考リンク J's GOAL:【J2:第1節 草津 vs 広島】レポート:草津は不安と期待のスタート。広島はJ1復帰へ白星発進!
http://www.jsgoal.jp/news/00061000/00061853.html


続いてロアッソ熊本戦。ロアッソのホーム開幕戦の相手という歴史的にも貴重な舞台に立ち会ったわけですが、もう十分すぎるくらい引き立て役を演じきっちゃいましてねえ。ふぅ。

●2008J2第2節ロアッソ熊本戦 4−4−2ドイスボランチ 
−−高田−−氏原−−:後藤
島田−−−−−−熊林:
−−櫻田−−秋葉−−:松下
石亀−−−−−−チェ:佐田
−−喜多−−藤井−−:田中
−−−−-北-−−−−:常澤

結果は1−2の逆転負け。メディアは「1年目のチームには負けられない」と煽りますが、個人的には既に同一カテゴリーにいる相手ですから勝ちも負けもあると思いますので(その理屈だと草津はずっと先輩クラブに勝てないことになるし)、結果自体はいいとしても(良くないけど)、内容がダメすぎましたね。本当に「お前ら、つくづくだよ」でした。
では具体的に。SBは右にチェ、左に石亀と攻撃的な布陣に変更。開幕戦よりは積極的な攻撃を期待しましたが、熊本の中盤へのプレスが厳しく苦戦。とはいえこちらがプレスをかける暇もないうちに相手は大きく蹴りこんでくる上に、これがことごとく両SBの裏をとられる最悪のかみ合わせでした。3月16日付の上毛新聞によると「前半はロアッソ熊本の激しいプレッシャーとパスミスからのカウンターを警戒し、「つなぐよりもクリア重視」(植木監督)の意識で臨んだ」とあり、それを実行したところ中盤をとばしたロングフィードか、島田のスルーパス頼みの淡白な攻撃を続けてしまうことに。
結論としては相手に合わせすぎた攻守の組み立てが草津本来のサッカーを失わせ、淡白な攻撃とペナルティエリアで相手の長短のクロスをはじき続けるだけの守備練習のような劣勢を強いられることになりました。セットプレーから先制できましたが、リードを奪うと今度は攻守の姿勢がはっきりしないパス回しの終始し、主導権を前半同様に奪われると立て続けに左サイドから崩されて逆転されてしまいました。選手コメントをJ's GOALより。
http://www.jsgoal.jp/news/00062000/00062095.html

熊林親吾選手(草津
「今日の試合は勝たなくてはいけなかった。前半、熊本が前から来るので、いなして後半で、というプランだったけど、ある程度はできていた。シュートチャンスもあったし、あとは決めるという部分。ただ、崩すのか、繋ぐのかというところをはっきりさせて、チーム皆でタイミングを分かり合えたらいいと思う」
島田裕介選手(草津
「時間の使い方を考えた方がいいと思う。1点取ったあとはリズムが良かったけれど、2点目を取れなかったのと、全体通して回せるところがあったけれど、熊本に合わせてしまった。選手間の距離が遠い気がする。連敗はメンタル的にきついが、このあとが大事だと思う」

開幕2試合目にして昨季の戦い方を放棄し間延びしたグダグダサッカーと逆転負けには多くの失望の声が集まりました。後日の「DASH!ザスパ」の冒頭で吉田アナが「どうなっているんですか?」となぜか隣の武藤アナに抗議し、冗談めかしてテーブルを叩いていましたが、目が笑っていないように見えましたね。気持ちは想像するに難くない(笑)。
それはそれとして、両SBに攻撃的な選手を配置しながらサイド攻撃が不発のうえに再三ピンチを招いたのは、いくつか昨季との差異があるからです。もちろん熊本の攻め方に嵌ってしまったこともありますが、チェと石亀の攻撃時の連動が不足していることと、両SH島田と熊林との縦のバランスに問題があります。これは押し込まれる展開が続いた広島戦では目立ちませんでしたが、昨季のサッカーを継続する以上、両SHには攻撃力と同時にオーバーラップしたSBがいたスペースのケアと、必要ならば自陣深くまで駆け戻る献身的な守備が求められます。島田の攻撃力と展開力は今季の希望ですが、左SHに位置するときは相応の守備も求められますし必要だと思われます。前述のとおり鳥居塚・山崎・桑原といった昨季のSH勢は得点力では物足りなさがありましたが、SB佐田や寺田との縦のスイッチングと献身的な守備はきっちりとこなしていました。SHに位置した時の高田も同様でしたね。
中盤が激しいプレスに晒されて攻撃が組み立てられず、DF陣もズルズル下がって間延びし、ロングボールが主体の淡白な攻撃を余儀なくされるような試合はこれからもあると思います。そのときチーム全体としてどう対処するのか、これもこれからの課題ですね。
開幕2戦で強豪の広島、中途半端なポゼッションが大好物のハーフカウンターサッカーでJ1年目に臨んできた熊本という、やり難い相手と当たっている不運はありますが、負傷復帰間もないFW氏原とMF熊林、新加入SBチェと石亀などまだチームに成熟していない部分も見えた連敗でしたね。

●参考リンク J's GOAL:【J2:第2節 熊本 vs 草津】レポート:ホームの熊本がエース高橋の2ゴールで逆転勝ち。草津を下してJ初勝利を挙げる。
http://www.jsgoal.jp/news/00062000/00062119.html


●3.横浜FC戦と愛媛FC戦。成績は上向きだけど状況は如何。
熊本での敗戦の余波は大きいようで、横浜FC戦は中4日で行われたものの(横浜は中3日)、選手たちのコメントにもメディアにも「疲労の影響」を指摘する声は皆無といっても良い状態でした。「疲れたとか云っている場合じゃないだろ」という気合と切迫感が支配していたと思います。緩んでいるよりは遥かにマシですが、熊本戦についての記事にこんな部分がありました。朝日新聞3月16日付より。
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000110803160001

●先制生かせず連敗 熊本に1ー2
(前略)
まさかの逆転負けに、植木監督は怒りを我慢するようにこう言った。「ディフェンスラインが統制できていない。これを修正していかないと」
この日のセンターバックは、DF喜多と藤井。両サイドバックにともに新加入の崔と石亀を入れた。石亀は今季初出場だ。この4人とGK北とのバランスが取れていなかった。
その喜多がこう振り返った。球が回っているだけで、人が回っていない。相手は少ない人数で球も人も回っていた、と。「もっと僕が全体のバランスを見て、声をかけなくてはならなかった」。今季チーム初ゴールの喜びはなかった。
相手ゴール前に飛び出してシュートを狙ったが相手のプレスにつぶされたFW氏原はこう言い切った。「間延びしたプレーになってしまった。チーム全体がまだ未熟。開幕から5試合ぐらいは、試行錯誤でプレーしなくてはならない。もっと練習をして悔しい思いを次にぶつけないと」

新加入選手が多く配置されると昨季のサッカーではない中途半端なサッカーになってしまっている、ということだと思われます。そのチーム状態と連敗脱出のための布陣は以下のとおりでした。

●2008J2第3節横浜FC戦 4−5−1ドイスボランチ 
−−−−高田−−−−:氏原
島田−−熊林−−後藤:
−−松下−−秋葉−−:
寺田−−−−−−チェ:佐田・ペ
−−田中−−藤井−−:尾本
−−−−-北-−−−−:常澤

CBコンビを昨季からのコンビに変更し左SBに寺田。宮崎キャンプから好調のFW後藤涼を右SHにセット。布陣も4−5−1と昨季からの仕様に戻しました。トップ下には熊林が入ります。試合はCB田中が横浜FWアンデルソンをマークして攻撃の起点をつぶせたことと、横浜FCの全体的な不調もあって草津がかなり押す展開に。また後半開始から負傷退場のチェに代わって佐田が右SBに。佐田・寺田コンビの連動が目下一番であるというパフォーマンスを見せました。結果が試合を通じで得点チャンスを多くつくりましたが0−0のスコアレスドローで終了しました。相手が不調なときにはキッチリ勝っておきたいところでしたが連敗をストップ出来ましたし、ある意味実戦で昨季どおりの戦い方を確認・練習も出来た試合でもあったと思います。愛媛戦の逆転勝利の下地でもあったと思いますね。

●参考リンク J's GOAL:【J2:第3節 草津 vs 横浜FC】レポート:「動」の草津と、「静」の横浜FC。ホーム草津は最後までゴールを割れずに無念のスコアレスドロー
http://www.jsgoal.jp/news/00062000/00062378.html
●参考リンク 朝日新聞群馬県版3月21日付:今季初の勝ち点 横浜FCと0−0
http://mytown.asahi.com/gunma/news.php?k_id=10000110803210001


熊本から帰ってきて試合、そして中2日で今度は愛媛へ。ここでも「過酷な日程」「疲労」といったコメントはほとんどなかったと思います。勝つしかない。その空気はそのままだったのではないでしょうか。愛媛戦の布陣は以下のとおりです。

●2008J2第4節愛媛FC戦 4−5−1ドイスボランチ 
−−−−氏原−−−−:氏原
島田−-鳥居塚-−高田:山崎
−−松下−−熊林−−:秋葉
寺田−−−−−−佐田:
−−田中−−藤井−−:尾本
−−−−-北-−−−−:常澤

選手は「疲れている」とは云わないものの、植木さんは中盤をローテーションで起用しているのが分かります。出場停止明けの鳥居塚をトップ下に。熊林は1列下がって秋葉忠がベンチに。中盤の人員と位置変更は相手チームのかく乱を狙った植木さんの嫌がらせの意味もありそうです(笑)。試合は開始15秒で失点するつくづくなまさかの立ち上がりでしたが、佐田と寺田の果敢なオーバーラップで主導権をとり2−1で見事逆転勝利。今季初勝利と対愛媛戦で3連勝を挙げました。特筆は2得点目でしたね。島田が左サイドでボールを持ち、寺田は島田を追い抜きオーバーラップ。愛媛の選手を引っ張って島田をノープレッシャーにします。寺田はそのままゴール前に切り込みます。島田はゴール前を落ち着いて確認。氏原と高田がゴール前に詰め、ファーには佐田も駆け上がっています。島田は中央の氏原へクロス。氏原が競り勝つと高田がボールを受けて守備陣をかわしてシュート、GKがはじくも氏原が流し込みました。高田のシュートに対応して氏原はもちろん佐田と寺田の両SBが揃って詰めていたんですよね。このゴールこそが07年草津+αの体現であると考えます。前半開始にイキナリ失点、さらにカウンターで追加点をとられる可能性も高かった、紙一重の試合でしたが、島田も自陣コーナー付近まで駆け戻って守備を行うなど、全体を通じて攻守ともに内容ある勝利だったと思います。とにかく勝って良かった。
問題点としては、この試合のサブメンバーまで見ても分かりますが、新加入選手が島田と熊林のみ。相手の実力や戦い方の相性もありますが、新加入選手が多く出場するとパフォーマンスが上がらず、基本的に昨季のメンバーで勝ち点を拾っています。まだまだ全体として未熟ですが、まだ伸びしろがあるとも思えますね。また伸びてもらわないと困ります。前述していますが、昨季は佐田と寺田のSBコンビが一番良かったものの、肝心のクロス精度に難があり、また欠場してしまうと代わりがいないという反省点がありました。今季も引き続きこのままだと早晩同じ壁に突き当たりそうです。チェの復帰と石亀やペ・スンジンなどの奮起が絶対に必要ですね。

●参考リンク J's GOAL:【J2:第4節 愛媛 vs 草津】レポート:またしてもライバルに煮え湯を飲まされた愛媛は屈辱の草津戦3連敗。チーム一丸となった草津は貴重な今季初勝利をつかむ!
http://www.jsgoal.jp/news/00062000/00062552.html

*1:それでも第1クール4勝4分4敗と好調だったのはFW松浦宏治の活躍が大きかったんですよね。松浦、今季はどうするんでしょうかね。どこかでサッカー続けて欲しいです。

「岡山から目指せJ」ファジアーノ岡山が5クラブ目のJリーグ準加盟認定。地域リーグ所属クラブでは初。

SH772007-08-23

関連エントリーはこちら。http://d.hatena.ne.jp/SH77/20070704#1183533916に。
8月21日に開かれたJリーグ理事会にて、中国リーグ所属のファジアーノ岡山のJリーグ準加盟クラブ入りが承認されました。J準加盟に必要な諸条件とこれに対するファジアーノ岡山の対応に関しては、上記の関連エントリーにまとめてあります。
まだまだ全国地域リーグ決勝大会突破、JFL4位以上と成績条件はあるものの大きな前進監督ですよね。草津と縁深い手塚聡監督と梁圭史コーチ、選手と関係者、なによりサポーターの皆さん、おめでとうございます。詳しくはJリーグ公式のニュースリリース8月21日付より。
http://www.j-league.or.jp/release/000/00001950.html

●Jリーグ準加盟審査結果について
リーグは本日(8月21日)の理事会で、ファジアーノ岡山のJリーグ準加盟申請について審議した結果、同クラブのJリーグ準加盟を承認いたしました。ファジアーノ岡山は、ロッソ熊本栃木SCガイナーレ鳥取FC岐阜に続く5番目の準加盟クラブですが、地域リーグ加盟クラブとしては、初の準加盟認定となります。

リリースでは上記に続いてクラブ概要が示されましたが、ここでは法人データは割愛して、ホームタウンとホームスタジアムについて。以下のように発表されました。

ホームタウン(予定) 岡山市倉敷市津山市を中心とする岡山県全県
ホームスタジアム 岡山県総合グラウンド陸上競技場(愛称「桃太郎スタジアム」)

ホームタウンについては(予定)と記されていますが、これはおそらくまだ岡山県下の全市町村から承認の書類を受け取っていないためだと思われます。ザスパ草津のホームタウンはご存知のとおり「群馬県草津町前橋市を中心とする全県」ですが、これには草津町前橋市はもちろん、群馬県下の全市町村から承認を得たそうですからね。*1そしてホームスタジアムはJ1規格を満たす桃太郎スタジアムに。桃太郎スタジアムは理事会の先立って行われた、準加盟審査の現地視察でも高評価を得たそうです。山陽新聞8月10日付より。
http://www.sanyo.oni.co.jp/kikaku/soccer/fagi/news/2007/20070810.html

ファジアーノ岡山 準加盟申請 21日、理事会で結論
ファジアーノ岡山中国サッカーリーグ)のJリーグ準加盟申請(7月)を受け、Jリーグの視察団が9日、岡山を訪れ現地調査を行った。競技場などの施設や地元自治体の支援状況を把握、21日のJリーグ理事会で審議し結論を出す。
(中略)
Jリーグの佐々木一樹常務理事、傍士銑太理事ら3人が来岡、ファジアーノの木村正明社長、岡山県サッカー協会の藤原啓会長、尾崎健治専務理事らが同行した。練習場として岡山市から借りている神崎山公園陸上競技場や桃太郎スタジアム(同市)を視察した佐々木常務理事は「練習場は使い勝手が良さそうで、(ホームとなる)スタジアムも素晴らしい。今後、活動拠点となるチーム独自の練習場ができれば申し分ない」と指摘した。
その後、県庁で石井正弘知事と面談。「スポーツへの関心は高まっており、県としてもできる限り支援する」と石井知事は述べた。一行は岡山、倉敷両市役所も訪れた。
(後略)

スタジアム施設の素晴らしさに加えて、山陽新幹線や在来線のターミナルステーションである岡山駅から徒歩で通えるアクセスの良さも桃太郎スタジアムの強み。中国地方はもちろん関西、四国、九州といったアウェイサポから見ても「行きやすいアウェイ」になるので遠征サポの集客も見込めるのないでしょうか。
話を戻して。J準加盟承認の報道で諸条件について詳しく触れたのはさすが地元紙の山陽新聞岡山日日新聞の8月22日付。両記事の注目部分を抜粋します。
http://www.sanyo.oni.co.jp/kikaku/soccer/fagi/news/2007/20070822.html

ファジアーノ岡山 Jリーグ準加盟 10年までの参入目指す
(前略)理事会は現地調査結果などを審議し、施設や財務などが準加盟の基準を満たす、と判断。その上でファジアーノの健闘だけでなく、作陽高の全国高校選手権準優勝や岡山湯郷ベルの全日本女子選手権2位など、岡山県サッカー界全体の盛り上がりを評価。チーム運営会社の木村正明社長の熱意も前向きに受け止められた。
理事会後、会見した鬼武健二Jリーグチェアマンは「J2を目指すには観客数をはじめ有形無形の課題があるが、チームとJリーグ双方が前を向いて頑張っていきたい」と述べた。

http://www.okanichi.co.jp/20070822124248.html

●「ファジアーノ岡山FC」がJリーグ準加盟 
(前略)承認の決め手は、桃太郎スタジアム(同市いずみ町)のハード面の充実、チームへの良好な行政支援、無料試合(7月8日の対佐川急便中国戦・同スタジアム)での9252人動員など地域の盛り上がり。一方、財務・収入面、固定練習場の確保が、課題として指摘されたという。 会見で、木村社長は「無事承認されたのは、皆さんのおかげ。地域に愛されるチームになれるように地域貢献活動を一番大事にして、Jリーグを目指す。準加盟の承認は、入り口に立っただけで、これからの努力が大切」と抱負を述べた。 

桃太郎スタジアムに9252人もの大観客を集めた佐川急便中国戦ですが、その模様がYOUTUBEにアップされていましたので、リンクさせていただきます。
YOUTUBE ファジアーノ岡山−佐川急便中国(その8)

地域リーグの試合ですが、もうJリーグのそれですよね。敷島のメインスタンドもこのくらい埋まればなあ。この観客動員に加えて、行政の支援体制や県下のサッカー熱の高まりが大きく評価されたようですが、やはり運営資金の問題はまだあるようです。ただこれはファジアーノ岡山に限らず「目指せJ」のクラブ全体が抱える問題です。俗な表現ですが「Jリーグに加われなければ、サッカー(の試合)で儲けが出せない」のが現状です。地域やJFLを勝ち抜くにはどうしても複数のプロ契約選手の力が必要になるにもかかわらずです。しかもサッカーは相手のあるスポーツですから、多くのプロ選手を抱えても、必ず希望が達成させるわけではありません。悩ましいところですね。Jに上がるまでは(Jに上がってもですが)どうしてもスポンサーの力が頼りになります。運営資金やスポンサーに関しては、J準加盟後のインタビューで木村社長がコメントされています。山陽新聞8月22日付より。
http://www.sanyo.oni.co.jp/kikaku/soccer/fagi/news/2007/20070822_2.html

ファジアーノ岡山 Jリーグ準加盟 「まずはJFL昇格を」 木村社長に聞く
(前略)
―昨年7月にチームの運営組織を株式会社化し、初代社長に就任。社長の熱意も前向きに受け止められたようだが。
「スポンサー開拓はとにかく会って、こちらの思いを聞いてもらおうとひたすら足を運んだ。その過程で、選手が無料で散髪できるなど支援の輪がどんどん広がった。無理強いは長続きしない。これからも出来る支援をしていただけるよう、汗をかくつもり」
―夢のJリーグ入りに向け、一つハードルを越えた。今後、特に力を注ぐ点は。
「チームの実力を上げること。JFL昇格争いはし烈を極めると思うが、フロントと現場が一丸となって目標をクリアしたい。そして来年JFLに上がれば、平均2・5〜4億円という強化費が必要になる。そのために今まで以上にスポンサー開拓に励む」

関連エントリーのほうで記していますが、ファジアーノのホーム戦で樽募金が行われている記事で「ファジアーノは今季9000万円の運営資金のうち5000万円しかめどがたっておらず、スポンサー集めに苦労している」とありました。今季に地域リーグ決勝大会を突破してJFLに昇格すれば、来季は2.5億から4億円の運営資金が必要とのことですから、多くの困難が予想されます。さらなるスポンサー開拓は大変だと思いますが、今回の準加盟クラブ承認が大きな助けになって欲しいですね。
ファジアーノ岡山とは少し話が逸れますが、Jリーグは将来構想で「2010年にJ2を18クラブに拡大」を目標としています。現在はご存知のとおり13クラブで構成されており、今回のファジアーノ岡山を加えて準加盟クラブは5つになりました。まだ成績条件次第ですが、合計18クラブで当座の席は埋まった形です。2010年以降はさらに22クラブまで拡大すると構想では語っていますが、当座の「残り5席」を賭けて、準加盟5クラブや各地の「目指せJ」クラブの競争が、より熾烈になることが予想されます。またあるクラブの大補強にライバルクラブが対抗せざるを得ず、赤字覚悟の補強合戦、チキンレースに否応なく引きずり込まれる形も考えられます。今季は予防策が張られましたが(大会直前のレンタル移籍では大会に出られない)全国地域リーグ決勝大会の補強合戦は記憶に新しいところです。
ライバルクラブとの競争のために身の丈以上の無理な運営を行ない、その影響でクラブ活動が後退したり、最悪活動停止になったりして、その地域で盛り上がったサッカー機運が下がることが無い様に、Jリーグとサッカー協会が連携して、各クラブへの助言や指導を行うことを期待したいです。
日本のあちこちに急速に拡がる「目指せJ」は、Jリーグの受け入れ態勢、都道府県サッカー協会の対応とサポート態勢などが整わず、追いつかないまでに進んでいると云えると思います。全国の「目指せJ」全てをサポートすることは現実的に難しいでしょうから、まずサポートは準加盟クラブからになってしまうでしょう。しかし出来る範囲から手をうっていかないと。Jリーグの将来構想の発表とJ準加盟制度の構築からこちら、Jと協会は積極的なサポートを行う方向に進んでいます。これからも頑張って欲しいですね。

●参考リンク:ファジアーノ岡山FC公式 クールなデザインのサイトでJ1の公式みたいです。
http://www.fagiano-okayama.com/
●参考リンク:「Jリーグの将来像」PDF形式ですので、開く際にはご注意を。
http://www.j-league.or.jp/pdf/futureofj2_060321.pdf
●参考書籍:Jリーグクラブをつくろう ファジアーノ岡山ほか多数のJリーグを目指すクラブが取材・紹介されています。たびたび紹介させていただいたいていますが、このダイアリーはアファリエイトとかやっていませんし、出版社の回し者でもありませんよ(笑) 「目指せJ」を知る上での基本図書といえるくらいの良書です。

Jリーグクラブをつくろう!

Jリーグクラブをつくろう!

大宮アルディージャMF島田裕介選手がJ1第20節に今季初出場&嬬恋キャンプインタビュー。

少し前になりますが、アジアカップ中断明けから再開したJ1リーグ戦の2試合目、8月15日の第20節ヴィッセル神戸戦にて、大宮に復帰した島田裕介が74分に交代出場、今季リーグ戦初出場を果たしました。惜しくも試合は1−3の敗戦となってしまいましたが、佐久間新監督の試合後コメントを読むとちゃんと構想に入っている(4−2−3−1のトップ下)ようで、これからは出場機会も増えていきそうです。というか増える。島田はチームを勝利に導く、素晴らしい選手だから。昨季の活躍を目の当たりにした草津サポの自分はずっとそう思っているんですけどね。
大宮アルディージャはJ1中断期間中の7月16〜20日群馬県嬬恋村で夏季キャンプを行いました。もちろん島田も参加したわけで、そのインタビューが朝日新聞別刷「朝日ぐんま」7月27日付に、「ザスパステーション2007・番外編」として掲載されました。インタビュアーはJ's GOALの草津担当でもある伊藤寿学さん。相変わらずGJな仕事ぶりです。インタビュー部分を抜粋します。インタビューは大きく分けて近況についてと草津関連でした。ちょっと順不同になりますが、それぞれをまとめて。

●昨年は最高のシーズンだった
(前略)
−コンディションは?
 リーグ戦が中断した後、約2週間の休暇を取って嬬恋に来た。走り込み中心なので、かなりキツイ。
−大宮での位置は?
 4−4−2の左MFですけどサイドに張っていたら持ち味が出せないので、真ん中に入ってボールに絡むようにしている。FWにボールを出すのが自分の仕事。
−前半戦は出場機会に恵まれなかったが?
 チャンスがもらえないので、心理的にはかなり苦しい。でも、モチベーションを下げないように気持ちだけは維持している。後半戦に向けて切り替えていくしかない。
−後半に向けて
 前半は何一つ満足できなかった。試合に出ることで自分の状態を上げていって、チームの勝利に貢献したい。

続いて草津についてあれこれ。

−昨季は充実していた?
 試合に出て活躍することが一番成長できる。選手は試合に出てナンボだということを改めて実感した。
ザスパは勝てていないが?
 ザスパの試合はいつもテレビで見ている。横パスが多く、ゴールへのパスが少ないと思う。ザスパが勝つとうれしい。正美(佐藤)も子供が生まれたようだし、頑張ってほしい。
−GK高木選手(札幌=昨季ザスパ在籍)とは連絡している?
 頻繁にかかってきます。ザスパ戦でヤスさん(高田)に決められて同点に追いつかれた後も電話してきたので、「お前が悪い」って言ってやった(笑)。
ザスパのサポーターに一言
 大宮の試合や練習場にも来てくれて本当にうれしい。昨年、ザスパでプレーして良かった。応援してくれるサポーターのためにも大宮で結果を残したい。

約1ヶ月前のインタビューなのでリーグ戦初出場の事などはもちろん触れらていませんが、今でもザスパを気にかけてくれているのうれしいですね。また高木とは変わらず仲良しなんですねえ。ただ「お前が悪い」と云われた後の高木のリアクションが気になりますが。そして草津サポに向けて「ザスパでプレーして良かった」と云ってくれていますが、これは話が逆。こちらこそ「ザスパでプレーしてくれて良かった、ありがとう」です。
大宮の中盤には代表クラスの選手がひしめき、なかなか出場機会が得られないのは止むを得ない部分もあるでしょうが、大宮が今季思うような成績を残せず残留争いをしているのが現状です。監督交代が影響したのかリーグ戦出場も果たしましたし、シーズンもまだ4割くらい残っています。大宮アルディージャのJ1残留はもちろん、一つでも上の順位に上げてくれる活躍して欲しいですね。島田の活躍をリアルタイムで応援するためにJリーグDXセット契約したし。昨季を振り返って「昨年は最高のシーズンだった」と記事見出しになっていますが、これからの活躍で、今季を昨季に勝る「島田裕介の最高のシーズン」にして下さい。草津サポの自分も昨季と変わらず島田を応援しています。

元ザスパ草津FW太田恵介選手、アメリカ独立リーグで1試合2ゴールの活躍。

SH772007-08-21

関連エントリーはこちら。http://d.hatena.ne.jp/SH77/20070315#1173944787に。
少し前のニュースになるのですが、目下アメリ独立リーグミネソタ・サンダーでプレーしている太田恵介選手が、8月11日のシアトル・サウンダーズ戦にて1試合2ゴールの活躍で今季初得点を記しました。よかったよかった。YOUTUBEに動画がアップされていましたのでリンクさせていただきました。
●太田恵介 Keisuke Ota 2 GOAL(Minnesota Thunder) soccer

左右からのクロスにあわせて2ゴール、マークしているCBをものともしないヘディングゴールですよ。さすがFLY-HIGH Ota Keisuke。スタンドにもよじ登っちゃうし。
8月には太田選手の個人ブログも開設され、アメリカでの日々が綴られています。負傷があったり、サッカー環境で苦労もあったりと色々大変みたいですが、*1レギュラーシーズンはあと残り5試合だそうで、これからも頑張ってもらいたいです。チームの勝利はもちろん、なによりミネソタで頑張る自身のためにも、目下のところ5得点の選手がチーム得点王ですから、なんとかチーム得点王の座を奪うようなゴール荒稼ぎといって欲しいです。

●参考リンク:USL公式
http://www.uslsoccer.com/index.html
●参考リンク:ミネソタ・サンダー公式
http://www.mnthunder.com/
●参考リンク:「大池だより」頑張れ!太田
http://d.hatena.ne.jp/orion1014/20070820
アビスパ福岡サポーターのid:orion1014さんのダイアリーです。太田選手のブログについて記されています。「いつも、ホント熱くてどこへ行ってもサポからも一番愛されてた太田。アメリカでも愛されてるとは思うけど」と書かれていますが、上の動画を見ると異国アメリカでも愛されていますねえ。頑張れ!太田。また上記の動画をアップされている方が、草津時代の太田全ゴールもアップして下さっていたので、まとめてご紹介。
YOUTUBE:太田恵介 Keisuke Ota 2 Goal(2006.04.15. Thespa Kusatsu vs Verdy)

2006年J2第9節、東京ヴェルディ戦でのシーズン初ゴールを含む2ゴール。どちらも鮮やかの一言。ザスパ草津が初めて聖地国立競技場で戦った、記念すべき試合の得点でした。太田のゴールで同点、逆転となったのですが、平本一樹ハットトリックで2−3で敗戦。太田の2ゴールと試合展開は、現地で観ていてもなにか負けた気がしなかった試合でもありました。国立競技場、日本のナショナルスタジアムでの2ゴールはザスパ草津の歴史に残りますし、太田選手のプロキャリアにも残るゴールになるんじゃないでしょうか。
YOUTUBE:太田恵介 Keisuke Ota GOAL(2006.09.02.Thespa Kusatsu vs Mito)

2006年J2第37節、水戸ホーリーホック戦、1−1の場面でのダイビングヘッド逆転ゴール。太田とキッカー島田裕介が互いに駆け寄るものの、抱きつく瞬間に島田が正面衝突を避けるためか、咄嗟にやや肩から当たって防御している様が、いとをかし。また試合後のヒーローインタビューでの、太田がインタビュアーからマイクをとって「サポーター、ありがとぉぉぉ」の声は忘れられません。
YOUTUBE:太田恵介 Keisuke Ota Goal(2006.11.23. Thespa Kusatsu vs Kobe)

2006年第50節、ヴィッセル神戸戦、1点ビハインドでの同点ゴール。ちょっとヘディングシュートとは思えないスピード&パワーですね。このゴールで草津は、対神戸戦の成績を2勝1分1敗とし、クラブ史上初の対Jクラブのシーズン勝ち越しを決めました(対水戸のシーズン勝ち越しは翌51節で決める)。どのゴールも印象深く、シーズンの中でも重要な場面で決めてくれています。アメリカでもどんどん決めてもらいたいです。

*1:2ゴールを決めた試合の感想の中には、実際にプレーするプロサッカー選手でないと分からない日米のサッカーの差異が記されています。また草津時代のトレーナー、香城さんについても少しだけですが触れられています。草津サポ必読。