特別な1日  

-Una Giornata Particolare,Parte2-

『AI上司』と『ウサギのサラダ』

 予想と異なり、東京の桜の開花が遅れています。ボクは明日お花見の店を予約しているので咲いてくれないと困るんだよな(笑)。
 街を歩いていても春の宵、麗らかな空気を感じるんですけどね。

 この前 あるコンサルからこんな話を聞きました。『社内の規定や法律などの質問を受けつける生成AIは既に実用化されていて、使っている企業が出てきた。』

 ボクも試しに使わせてもらったら、たいしたものでした。
『この会社は入れ墨で出勤は可能か?(笑)』と聞いたら『規定にありません。』という答とリンク先に服装規定が出てきた。生成AIの問題点は回答の根拠が俄かに判断できないことですが、引用元を検索して表示してくれれば正誤を判断するのも容易です。

 こんな質問をしたのは、ちょうどボクの勤務先に入ってきた、腕に入れ墨がある外国人社員からそういう要望を聞いたからです(笑)。別にヤクザな人ではなく、南米で教師をやっていたインテリです。単に我々と文化が違う、というだけです。彼曰く『冬は長袖で隠すけど、南米より暑い日本の夏に半袖を着ちゃダメなのか』って。そりゃ、ごもっとも(笑)。

 こうなってくると、『もう1,2年したら課長さんくらいの意思決定レベルなら「AIマネージャー」が実用化されるのではないか』とコンサルは言ってました。

www.nikkei.com

 確かにジャンルやテーマが明快なら、データさえ教え込めば、もう生成AIで充分です。部下は先ずAIのマネージャーに質問してから人間の上司に相談したほうが部下も上司も効率が良い。面接や評価だってAIの方が私情がこもらないので上司にも部下にもお互いにとって良い、と思いました。
 そうなったらホワイトカラーのサラリーマンは上司がAIになる日はそんなに遠くない(笑)。あと教師も大多数は失業でしょうね。


 今週 水曜日のBS-TBS報道1930』、今秋公開される核兵器を発明した科学者を描いたアカデミー賞映画、『オッペンハイマー』の話題を枕に、AI兵器の開発について論じていました。

 オッペンハイマーが原爆を開発したことをとやかく言う向きがありますが、ナチス大日本帝国も原爆を開発していたんですから、議論の余地はありません。ナチや大日本帝国に先を越されないように自分たちが開発するのは当たり前です。ボクが彼の立場でもナチや大日本帝国に先を越されるのはゴメンです。

 一方 アメリカが原爆や各地の都市空襲で無辜の市民を殺傷したのは国際法違反ですが、そもそも国際法違反の戦略爆撃を始めたのは日本です。日中戦争日本は世界で初めての戦略爆撃重慶でやっています。原爆の悲惨さは忘れてはいけないですが、当時は侵略戦争を支持した大多数だった日本人が一方的に被害者面をできるのか?、と思ってしまいます。いや、侵略戦争を支持し原爆を開発しようとしていた日本人には被害者面する資格はない

 もっと、難しいのは核兵器開発の問題は現在にも当てはまる、ということです。日進月歩の勢いで進むAIやサイボーグなどの新技術をどうするか

 現実を直視できない一部の左翼が言うように、一概に軍事研究を禁止すればよいという単純な話ではありません。今の時代 そんなことは物理的にできない。
 例えばドローンだって、もとはおもちゃみたいなものです。軍事利用を禁止しようとしても止められません。ソニーイメージセンサー素子は文字通り世界を席巻していますが、一般のデジカメやスマホだけでなく、ロシアのミサイルにだって入っています。正規ルート以外で入手できてしまう。

 政府と対立しているかのように見える(笑)日本学術会議ですら、もはや科学研究を軍民分けることは困難である、と答申しています。特にAIやITなんか絶対に分けられない。

 また、社会的な利益の面もあります。便利なインターネットだって元は核戦争に備えた軍事研究だし、番組では米中で開発が進んでいるサイボーグは負傷した兵士や障害がある人のケアのために開発が始まった、と言っていました。

 世の中 反戦とか反米とか反資本主義とか反政府とか、単純な二元論では分けられません。そんな単純な二元論で物事を判断するのはバカだけです。

 ただ、世の中が複雑になってくると中々難しい。バカウヨがバカなのは充分判ってますが(笑)、

 いわゆる左翼もかなりの割合でバカなだけでなく、何よりもセンスが絶望的に古い。

 だいたい、この国の国民自体がかなり怪しい(笑)。

 と、なると会社のマネージャーだけでなく、政治もAIにやってもらう、あながち冗談ではないかもしれません。この国にはロクな政治家しかいないし、国民もそういう輩を選んでしまう訳ですから。


 この前ポルトガル料理を食べに行ってきました。
 20年くらい前(笑)松濤にあった有名店、マヌエルが昨年 自由が丘に店を開いたのです。コロナのせいなのか、人手不足のせいなのか、開店は予定より1年以上も遅れましたが昨年末に開店、やっと行く機会ができました。

 松濤にあった頃は中々見つからない場所にあって雰囲気はお洒落、しかも安くて美味しいので『判っている人』で連日満員、隣のテーブルで女優さんが普通にご飯を食べているような店でした。

 が、今は経営陣も変わったそうで松濤の店も昨年閉店、自由が丘の店はめっきりカジュアルな雰囲気です。場所が判りにくいのだけは松濤と一緒ですが、まだ そんなに混んでないので穴場です。


【Manuel自由が丘】ポルトガルワインとタパスのお店。


 最初は『ジンジーニャ』(黒サクランボのリキュール)のソーダ割。昔はこんなものはなかった(笑)。甘くてアルコール度数も低くて良かったです。

 前菜は小皿なので好きなものを適当に幾つも頼みます。
 まずは『ウサギのサラダ』。ウサギ肉とコリアンダーがたっぷり。マスタードが軽く効いていて、普通に美味しかった。

 ボクはウサギ肉って好きなんです。こういう家兎は野生の兎とは全然違って鶏肉みたいにマイルドですが、これはこれで美味しい。

 『トリッパのサワークリーム和え』。普段は臓物系はあまり食べませんけど、トリッパも結構 好きなんです。肉の味はするけど、さっぱりしてますからね。

 この店名物の『干し鱈とジャガイモのコロッケ』。熱々で塩味が利いたコロッケは昔、始めて食べたときは衝撃的でした。

 『イワシのロースト』。丸ごと焼いたイワシに、おろしたオニオンにオリーブオイルとパクチーを混ぜたソースで食べます。日本で大根おろしと一緒に食べるのと同じです(笑)。これも美味しい。焼きたての魚が美味しいのは万国共通です。
 パクチーをベランダで育てたくなってきました。昔やってみたんですが、その時は虫に食われて上手く行かなかった。

 前菜も終わって『イベリコ豚のロースト』。和牛の霜降りなんかより、こういうものの方が遥かに美味しいです。赤身にしろ、脂にしろ、ちゃんと肉の味がしますから。

 ソースとしてワインヴィネガー、オリーブオイル、ピリピリ(現地のやや辛いソース)の3つが出されました。現地ではワインヴィネガーをかけることが多い、と店員さんが言ってましたが、確かにそれが一番美味しかった。焼いた肉にシンプルにお酢をかけて食べる。これも発見でした。

 『魚介のリゾット』。あさり、ムール貝イカ、エビをトマトで煮込んだものです。上にはコリアンダー

 ちゃんと生米から、それも国産より大きな粒のコメで炊くリゾットは日本のコメ料理とはまた別のものです。これもまた美味しいです。

 最後はこれもポルトガル名物『エッグタルトのレモンアイスクリーム載せ』。カロリーを考えると恐ろしいですが、こういうものは美味しい。だーい好き(笑)。

 カジュアルに、自分の好きな物を適当に食べてお腹いっぱい。材料の質はそれなりですが、こういうシンプルな料理はやっぱりいいです、飽きない。しかも安い(笑)。
 ポルトガル料理は久し振りに食べましたけど、和食とも共通点を感じます。凝りまくったフレンチもいいですけど、ポルトガルやイタリアンなどシンプルな料理の方が美味しいとボクは思います。また、行こうっと。

映画『デューン 砂の惑星PART2』

 今日の東京は雨。寒い1週間の始まりとなりました。菜種梅雨とはよく言ったものです。こういうものを形容する単語があるなんて、こういうことだけは?(笑) 昔の日本人の感性は鋭いです。

 一方 現代はと言えば、最近 テレビでNHKをつけるとずっと大リーグとオリンピックのことばかりです。不愉快なので、すぐ画面を消してしまいますけど今の日本では、普通はチリや韓国などの軍事政権がお得意の国民をアホにする3S政策(スポーツ、セックス、スクリーン)が日々実行されているのを実感します。それを国民は自ら受け入れる。せめて、これぐらいの顔↓をしてみろって。

 こうやって日本人は日々劣化しているのでしょう(笑)。


 さて、それでも内閣の支持率低下が続いています。今朝発表された読売の世論調査でも上昇の兆しすら見えません。


www.yomiuri.co.jp

 一方 昨年 党中央への異論を唱えた党員への除名騒動以来、日本共産党も凋落の一途のようです。それに耐えかねたのか、一部地域では子供や孫(笑)を入党させろ、という方針が出ているというTwitterを見かけました。お前ら、統一教会(笑)。

 もともと地方議員も赤旗の部数も壊滅的に減少していましたから、状況は本当に厳しいんでしょう。


https://www.npa.go.jp/archive/keibi/syouten/syouten280/pdf/p15.pdf

 日本共産党の連中が言論の自由を認めないファシストなのは知ってましたが、とうとう封建主義にまで落ちぶれたか(笑)。党中央もアホなら、それを盲信する末端党員も救いようがない。北朝鮮へでも行けばいいのに(笑)。

 それが嫌なら、自ら改革するかですよね。他人に強要するのがお得意の自己批判を今度は自分でやればいい(笑)。原発ムラも自民党共産党も自ら改革出来ないのは全く一緒です。
 統一教会にしろ、日本会議にしろ、創価学会にしろ、共産党にしろ、『信者』というものは恐ろしいものです(笑)。言葉が通じないもん(笑)。犬にも劣るというか、犬と比べたら失礼ってなところです。

●リンク先の中央大教授(政治学)の中北氏の論文、礼儀正しく(笑)、論理的で非常に良かった。曰く『(日本共産党の)民主集中制パワハラの温床』。『日本の左翼・リベラルの多くはバカウヨと体質は一緒』というボクのテーゼ?を傍証してくれています(笑)。坊主頭で精神主義の旧日本軍の死霊の盆踊りみたいな甲子園を後援している朝日や毎日がまともなリベラルである筈がない(笑)。


 と、いうことで、日比谷で『デューン 砂の惑星PART2

 遠い未来。『スパイス』と呼ばれる希少な資源を算出する砂の惑星デューン。宇宙帝国を統べる皇帝とハルコンネン公爵家に家族をすべて殺され、自分も命を狙われる公爵の息子、ポール(ティモシー・シャラメ)はデューンの砂漠に暮らす先住民フレメンのなかに身を隠す。そして先住民の戦士、チャニ(ゼンデイヤ)たちと共に、皇帝とハルコンネン家への復讐に立ち上がるが。

wwws.warnerbros.co.jp

 フランク・ハーバードの古典的なSF小説の映画化第2弾。何度も映画化・TV化されていますが、あまりにも話がでかい&長いので失敗作になったり途中放棄したり、映画化は困難を極めるという曰くつきの作品です。

 ところが今回の映画化、3年前に公開されたPART1は作品の質でも、興行面でも大成功を収めました。
spyboy.hatenablog.com

 PART2の監督もPART1に続き、『メッセージ』など哲学的な映画を撮るドゥニ・ヴィルヌーヴ、出演はティモシー・シャラメゼンデイヤレベッカ・ファーガソン、オースティン・バトラー、フローレンス・ピュー、レア・セドゥ、クリストファー・ウォーケンなど。
 すでに公開が始まったアメリカでは前作の倍という興行収入をおさめる大ヒットになっています。日本ではいまいちのようですが。

 お話自体はどうでもいいんです(笑)。ボク自身はPART1のことはほとんど忘れてしまったのですが、殆ど問題なかった(笑)。それより映像が売りですから、大画面の映画館で見なくては意味がない映画です。

 さすがはドゥニ・ヴィルヌーヴ監督だけあって、映像のスケールが圧倒的であるだけでなく、美しい。エキストラの数もインド映画なみにすごい、どれだけお金がかかっているんだろうと思います。ところどころに挿入された白黒画面が特に美しかった。絵画みたいでした。

 俳優陣も良いです。ティモシー・シャラメ君はちゃんと演技ができるスターですが、ゼンデイヤやオースティン・バトラーなど脇を固める俳優も魅力的です。

 膨大なお話ですが端折るべきところは端折る脚色もうまいです。前作は映像の不気味さが強調されていたように思えますが、今作は起承転結がある壮大なドラマになっています。上映時間3時間ですが、全然飽きません。

 強いて言えば砂漠の民が舞台ということで、惑星デューンの先住民の姿はどうしてもアラブ系の人を思い出してしまいます。原作が書かれたのは1965年だし、設定がそうなのだから仕方ないのですが、あちらの人はこういう描写をどう見るか、ちょっと気にはなります。
 現代の価値観に合わせて、女性戦士チャニの姿などは原作よりはるかに強い意志を持った人間として描かれてはいるそうですが。

 紀元1万年という遠い未来、という設定のお話ですが、映画を見ていて、人類は再び専制政治へ向かってしまうのかな、とも思いました。この映画で描かれている未来の世界では、皇帝も貴族もやりたい放題です。一般の人々の命なんか虫けら同然。人々は専制政治を当たり前のように受け入れているように見える

 これが笑い話と片づけられるでしょうか。
 今の世の中はテクノロジーの進化に加えて、複雑に絡み合った様々な利害や立場などで複雑になる一方です。政党はもちろん、業界団体や組合、宗教など何か一つの団体や考え方を支持していればどうにかなる時代ではありません。

 最近はその複雑さに人々は耐えられなくなってきているのではないでしょうか。世界中で起きているポピュリズムの台頭はその典型です。更に頭のぶつけ所が悪いとスピリチュアルへ行く(笑)。
 いずれにしても今の世の中は難しすぎて、多くの人はトランプや山本太郎共産党のようなアホが提示する間違っているけど判りやすい、簡単な答えを求めてしまう

 ポピュリズムはたいていの場合 理屈が間違ってますから、権力維持のために権威主義へ傾いていくのが常です。プーチンがその典型でしょう。
 嫌な話ですが、現実の複雑さに耐え切れず、いずれ人類は自ら専制政治を選んでしまうものなのでしょうか?

 前作もそうでしたが圧倒的なスケールの映像美と豪華スターの演技にひれ伏す映画です(笑)。感動するとか、心に残るとかいう映画ではありませんが、大画面で見ればAクラスの映画体験ができることは間違いありません。これだけ豪華な映像を他の映画と同じ料金で見るのは申し訳ない気さえするほどです。
 今回のPART2で一応は決着がつきますが、話はいくらでも続けていけそうです。お待ちしてます(笑)。


www.youtube.com

東京15区、お墓参りとボラのスープ(万物流転)

 桜の開花も近づいてきました。今年は早すぎるか、と思っていましたが、ちょうど良い塩梅になりそうです。
 こうやって花の開花が気になるのは、3月、4月と仕事の行事ばかりでユーウツだからです(笑)。嫌な事ばかりだから、せめて花に心を慰めてもらう(嘆息)。

●暖かくなってくると空気が翳んできます。通勤途中に富士山を見るのも、今冬はそろそろ終わり。

 さすが 朝日新聞。相変わらずです。
 今週の週刊文春で、自民二階派の元衆院議員で自身も政治資金の不記載が見つかった山梨県知事に『記者会見で裏金に関する質問をしないように』と要請され、朝日は唯々諾々と従ったことが報じられました。自ら声明まで出す恥知らず振りです。地元のTV局は逆らって出入り禁止になったのに。
 普段は正義の味方の振りをしますが、いざとなると朝日は権力に盲従します。相変わらず権威主義が丸出しです(笑)。
 


「県知事に裏金の質問はNG」と要請、地元メディアが反発…山梨県による「異例の忖度」騒動の顛末は? | 文春オンライン

 マスコミもマスコミですが、国民の側も問題がある

 かねがね思っていたことを可視化した記事も見かけました。
 東大の教授がTwitterを分析したら『共産党、れいわ、参政党の支持者にはワクチン懐疑派などの陰謀論に影響を受けている連中が多い』というのです。

president.jp

 所詮はtwitterの投稿者だけの限られた話ではあります。だけど、例えばれいわの荒唐無稽な主張↓を見ていれば、支持者はバカばかり(笑)という結果が出るのも頷けます。

 『民主』集中制と称するファシスト共産党の忠実な支持者や参政党の支持者は言うまでもありません。まともじゃない(笑)。

 だからこういうことが起きる↓。
 これは自民の柿沢未途が選挙違反の実刑判決で辞職した東京15区(江東区)補選の候補者です。ちなみに元自民の秋元司はIR汚職で2審でも有罪、今日 実刑判決を受けています
秋元司元衆院議員、2審も実刑判決 IR汚職 高裁が控訴棄却 | 毎日新聞

 候補者は、カジノ依存(維新)と犯罪者(秋元)とバカウヨの狂人(参政党、保守党)と嘘つきのファシスト共産党)しかいない

 一番マシなのが言論の自由を認めないファシスト、というのはどういう国なんだ(笑)。

 国民のレベルを反映しているとは言え、やっぱり日本なんて独立国が存在するのにはムリがあるかもしれません。アメリカの51番目の州を目指すべきです。中国共産党の省とかは嫌だもん。


  
 これだけ政府が酷いのに代替候補はもっと酷い連中を取り揃えた東京15区の惨状を見ると、日本人には自治能力はない、と認めざるを得ません(笑)。


 毎年3月中旬は、以前ボクが飼っていた犬の命日があるんです。
 亡くなってから30年は経っていますが、雨が降ろうが、槍が降ろうが、北朝鮮のミサイルが飛ぼうが、放射性物質が降ろうが、この時期 犬のお墓参りだけは絶対に欠かしたことがありません。
 自分の親も含めて人間の墓参りなんか興味も関心もないですが、犬の命日はボクには最重要行事です(笑)。

 場所は調布の深大寺奈良時代に出来た、都内で二番目に古い寺です。
 まず、本堂でお参りして、脇にある動物霊園で犬のお墓詣りをします。
 生前 彼がどんなに可愛かったか、何が好きだったか、どんな悪戯をしたか、様々なことを思い出しながら手を合わせる。そして再会を誓います。ボクの心の平安はここにあります。 

 今年はバターたっぷりのビスケットを取り寄せて、墓前にお供えしました。バターの香りがプンプンするので、彼も喜んだと思います。幼犬の時も老犬になっても、卵ボーロとかビスケットとか、赤ちゃんの食べ物が大好きな子でした。


 いったん帰宅して夕方、また近所のイタリアンへ出かけました。お斎です。家のベランダから見る春の夕日は美しかった。

 歩いて行ける範囲で美味しい店があるのはありがたいです。

 最初は泡。



 突き出しはいつも温かい発酵野菜のスープとサルシッチャのフライ。毎回 野菜の味が違います。

 その日の材料が料理法を変えて出てくる『もくじ』。
 時計まわりに鰆のカルパッチョ、ボラのカルパッチョ、太刀魚のカツレツ、トラフグの煮凝り、蝦夷鹿の湯引き。

 イタリア北部、フリウリのシャルドネ

 鰆のカツレツ
 身がレアなのがポイント、と店の人が言ってました(笑)。ソースは鮎の馴れ寿司のお米の部分をクリームにしたもの。この店の得意料理です。

 ボラのズッパ
 普通 ボラなんて、あまり食べません。この、鳴門で捕れたボラは名人の漁師さんが直ぐ血抜きしたので生でも食べられるそうです。『もくじ』でカルパッチョが出てきたけど美味しかった。

 そのボラを軽くスモークして、上にラルドのような生ハムを載せ、フレッシュなオリーブオイルをかけています。素材だけで充分美味しいからスモークや生ハムはやり過ぎとは思うけれど、このシェフ氏はどうしても自分の色を載せたいんです(笑)。

 更にその下のズッパはブイヨン+磨り潰したひよこ豆+雪菜という野菜が混じって、濃厚な味でした。これだけで充分美味しいです。
 実質的にこのお皿がこの日のハイライトです。

 太刀魚と蕗の薹のパスタ
 炭火で焼いた太刀魚は東京湾で獲れたもの。やっぱり中はレアだけど、外側はパリっとしている。蕗の薹はペースト状になっています。春の苦みって良いですよね。仮死状態の冬(笑)から生き返る気がします。

 これも東京湾で上がったトラフグの白子とオレンジのリゾット
 東京でトラフグが上がるのも地球温暖化の影響です。言うまでもなく、トラフグの白子は濃厚で大きくて実に美味しいのですが、残りの身はどうしてるのか気になりました(笑)。煮凝りだけでは使いきれない筈(笑)。たぶん、いつも満員のランチで使っているんでしょうけど(笑)。

 蝦夷鹿のロースト
 柔らかかった~。臭みがないのはまた、猟師さんの血抜きの勝利です。ソースはビーツ。左上の粉は鹿の血と塩を煮詰めたもので、調味料替りだそうです。確かに鹿の香りはありました。右下には芹と摺り下ろした黒トリュフ💛(笑)。

 バルベラのワインというと軽いイメージですが、このワインは最初は味が固い。12年の年月に合わせて?こちらも時間をかけてグラスを回しながら解(ほぐ)していくと味が開いてくる。そういうのも楽しいですよね。ボクはそんなくだらないことはしませんが、ワインの味が開いていくのを女性を口説くことになぞらえる人がいるのも判らないでもない(笑)。

 店の庭で獲れた甘夏のババロア。周りには板状に焼いたメレンゲが飾ってあります。

 今回はちょっとショックなことがありました。帰り際にシェフ氏から『この夏でいったん店を閉める』と言われたのです。
 某ガイドブックでは『東京1のイタリアン』と評されているし、実際 いつも満員なので経営は問題ない筈。理由を聞いたら『少し充電したい』というのです。

 このシェフ氏はトラディショナルな技術はありつつも、どうしても自分のアイデアを加えたい人(笑)なので、充電は必要なのでしょう。15年近く、ずっと休みなくやってきましたから。
 ご家族と一緒に店の上に住んでいるので、いずれまた、此処で料理を作る、とは言ってましたが。
 
 ただ、ボクとしてはどうしたらいいんだ(笑)。
 代わりの店を探すのは中々大変です。ちゃんとした店を探すのって時間とお金と幸運が必要です。
 さらに良い店を見つけても、こちらの顔と好みを覚えて貰って、特別に(笑)美味しいものを出してもらうようになるまで、更に時間がかかる
 それくらいやらないと今の世の中 本当に美味しいものは食べられません

 ボクはオーナーシェフの店の方が絶対美味しい、と思っています。最近は会社形式や多店舗展開でやっている店でも美味しいところはありますけど、自分でやってる店とは気合が違う
 その代わり、個人でやっている店はこういうことがある。この店のシェフ氏はボクより10歳くらい若いから大丈夫、と思っていたんだけどなあ。

 すべてのものは移り変わる。どんなものにも寿命がある。それには誰も抗えません。日々を何とか生きて(笑)、数少ない楽しい時間を味わいつつ、執着せずに忘れていくことこそが人生、なんでしょう、きっと。