アフリカで新たにビジネスを考える第一歩としてすべきこと

アフリカに関する情報を集めること、ではないです。
今の自社の製品を振り返ること、でもないです。

以前書いたビジョンの作り方と近いですが、以下の3つのステップを踏むことだと思います。
1.アフリカが長期的にどういう状態になっていたらいいかを想像する
2.2.の状態で自社が何をしていたいかを想像する
3.今の自社と比較してクリアすべき課題を考える

現地の実際のニーズは把握し、分析しなければいけませんし、できることには当然限りがあります。それらを踏まえる必要はありますが、出発点としては、可能な限り現実から離れたところで考えるのがいいでしょう。

現実から出発して現実の制約に縛られたうえで解決策を考えるのと、理想の状態から逆算で解決策を考えるのとでは、おそらく後者の方がブレークスルーが起きやすいのではないでしょうか。

アフリカは大きな市場ですし先進国と比べると競争も少ない。でも決して簡単な市場ではなく、いろいろな場面でブレークスルーが必要になります。また現地の人を巻き込むことも必要です。最終的なゴールを共有し、それに共感できていれば、協力を得られる可能性、コミットを得られる可能性が高くなる。

アフリカでのビジネスニーズ、取り巻く環境、利用できるリソースは先進国のそれとは大きく異なります。したがって、最終的なアクションを考えるうえではこうした現実をきっちりと踏まえた上で手を打ち、かつ打った手を素早く評価して、次の手に生かすという作業が必要です。

しかしながら、現地を含めた関係者を共感させられるような理想像をこれでもかというくらいにギリギリと考え、それに向けて自社がどうありたいのかを考える、というのがすべての出発点になるでしょう。情報を集めるのも、それを基に分析するのも、その後の話です。

ビジョンの作り方、使い方

を考える機会に恵まれたので、以下に自分の考えを書いておきます。
良いビジョンを作ることが経営のすべてでは無い(全然無い)けれども、良いビジョンが無ければ長期的にサステナブルな成長は出来ないと思っています。

【ビジョンの作り方】
1.(事業領域にとらわれず)会社が理想とする世界はどんな世界か?どういう世界を実現したいのか?
(具体的なイメージ。動画をつくってYouTubeにアップできるくらい具体的に)
2.その世界の中で、会社の事業領域のユーザーはどういう生活、行動をしているか
3.その世界が実現しているとして、どういう会社であるべきか?
 3−1.その会社の存在を誰が喜ぶのか、求めるのか
 3−2.なぜ喜ぶのか、求められるのか
 3−3.どうやって喜ばせるのか(提供サービス、機能)
 3−4.どんな会社になっているのか(会社の規模、形態、文化、雰囲気など)

【ビジョンの使い方、チェック方法】
1.目指す世界とそこから導かれるビジョンを思い浮かべるとワクワクして実現したくなる
2.目指す世界とそこから導かれるビジョンを語ると、聞いた人がワクワクして協力したくなる
3.ビジョンを軸に経営の意思決定が出来る
 3−1.事業領域が決められる(事業領域は一つでなくてもよいが、決められることが大事)
 3−1.作るモノやサービスを決められる
 3−2.社員の採用や評価が出来る
4.ビジョンが外部環境(政治、経済、社会情勢、技術)の変化に耐えられること。外部環境が変化してもビジョンは変わらない。むしろ外部環境の一要因をその会社が作り上げていく

ちなみに、アフリカビジネスパートナーズが目指すのは「紛争の無い平和な世界。その世界では、あらゆる人に対して自己研鑽・自己成長の機会が与えられ、それが成功に結びつく」というものです。

そのためのビジョンは「アフリカにおけるビジネスの生産性向上について他に追随を許さない価値創造をそのコアな存在理由として、あらゆるステークホルダーから、その永続が要請される存在」です。

個人的にはワクワクするんですが、聞いた人がワクワクするかというとどうなんだろうか。

「開国アンバサダー」に自身のキャリアについて寄稿した記事が掲載されました

若干面はゆいのですが、友人が携わっているグローバル人材育成プロジェクト「開国ジャパン」の一環で、自身のキャリアについての寄稿をお願いされて作成した記事が、先日公開されました。

以下で見る事が出来ます。アフリカを含めた海外でのキャリアについて興味のある方には、若干なりとも参考になれば幸いです。
http://kaikoku-japan.net/archives/4374

ケニア財務省webサイトの統計情報は結構使えます

ケニア財務省の以下のウェブサイトの「Statistical Annex to the Budget Speech 2011/2012」には、ケニアの統計が比較的よくまとまっています。
http://www.treasury.go.ke/index.php?option=com_docman&task=cat_view&gid=110&Itemid=86

歳入、歳出の推移とざっくりの内訳、マネーサプライの推移、インフレ率の推移、国債の利回り推移、ナイロビ株式取引所のIndex推移、外準の推移などなど。

個人的に一番びっくりしたのは、ケニア向けの二国間公的融資残高。第三位はドイツで182億シリング(1シリング=0.8円)、第二位がフランスで358億シリング、第一位は、旧宗主国のイギリスでもなく、中国でもなく、、、






我が国、日本。650億シリングでダントツの一位です。

コートジボワールのカカオ豆。国内加工比率を上昇へ

世界一のカカオ豆輸出国のコートジボワール
現在は全体の35%が国内で加工されていますが、これを50%に引き上げようとしています。今後、カカオ豆を含めた一次産品の国内加工を法律で義務付ける動きも出てくるでしょう。その結果、コートジボワール国内の加工事業への外資系企業の参入や、加工に必要な機器提供など、新たなビジネスも生まれることになると思われます。
http://af.reuters.com/article/investingNews/idAFJOE78B09B20110912?sp=true

ルワンダでのOne Laptop Per Childプログラム

http://www.balancingact-africa.com/news/en/issue-no-570/computing/rwanda-progress-repo/en

ルワンダでは、米国のNPOが実施しているOne Laptop Per Childプロジェクト(http://one.laptop.org/)が、始まっています。これは小学校にラップトップを導入するもので、これまでに11万台が導入され、2017年までに50万台の導入が予定され、最終的には100万台の導入を目指しています。
これまでの進捗
・2008年〜2009年:10,000台
・2010年:65,000台
・2011年6月以降これまで:35,000台

ラップトップの導入は、単にパソコンを学校に持っていくだけで済む話ではありません。インタビュー記事によれば、教室に電気を通すところからスタート。ラップトップの電源を確保するとともに、ライトも取り付けます。送電網から離れた学校については、太陽光を利用して電源を確保。(OLPCのプレゼンによれば、電力を備えている学校は全体の4%に過ぎない。)

その次に、導入したパソコンを、無線LAN経由でOLPCプロジェクトのサーバーに接続。サーバーからは、カリキュラム、教科書、その他教材がダウンロード可能。記事の書きぶり*1をみると、サーバーは各学校に設置されているようです。

教師の教育も必要。導入校の教師は、首都のキガリで2日間のラップトップ使用法研修と3日間のコンピュータを利用した教育方法の研修を受講。その後、教師が学校に帰って、他の教師に使い方を教える。またOLPCのプロジェクト担当者も学校を訪問し、フォローアップします。

ラップトップは学校の所有物になりますが、生徒はラップトップを家に持って帰ることが可能。OLPCでは3週間に一度、ラップトップが学校にあるかをチェックし、なければPCをdisableする仕組みを有しています。なおラップトップは無償での寄付ではなく、ルワンダ政府に1台200ドルで販売。お金を払わせるというのは、大事に使ってもらう上で重要なことなんだろうと思います。

ラップトップの導入で、教師は、暗記するコンテンツを提供するというよりも、概念を理解し、発展させてイノベーションやクリエイティビティにより注力することに取り組んでいるといいます。

ルワンダは、アフリカのシンガポールを目指し、ITパークなどの設立などIT産業の活性化にも熱心に取り組んでいます。このようにNPOの力を活用しつつ、幼少期からの教育にもITを導入し長期的な視野での能力育成を図るという政策を立案し実施するというのは、極めてスマートだと感じます。

*1:connecting them to our servers and local area networks, which they can connect to through a wireless local area network

Bon Ramadan!


写真は、サムスンセネガルでの代理店CCBMが展開している、ラマダンキャンペーン。
42インチTVがざっくり7万円くらいですね。テレビを買うとケータイもついてくると。CCBMは現地のコングロマリットで、数少ない全国流通網を持っている企業体。サムスンは早い段階でセネガルに進出して、CCBMの全国流通網を確保。アフリカビジネスにおける先行者利益の典型例といえます。
CCBM家電部門のウェブサイトはこちら → http://www.ccbme.sn/index.php