故郷に涙

Ynk2010-09-23

歩く不健康!って感じの自分なので、それなりに口内炎とかには気をつけてるんですが、昨日久しぶりに風邪をひいてることに気づきました…。風邪という概念がスッポリ頭から抜けてた。一晩よく寝たら元気に!

朝、起きたら東京の友人から小包が!なんと岩手の小岩井農場のチーズケーキでした。岩手は父の出身地なのでなんだかしみました…。甘いものならもぐもぐ食べられそう!全部ほんとに偶然なのに、たくさんありがたい。

最近嬉しいこと

帰国してから、自分が人の役に立っていることが初めて実感できてとても嬉しい。
今日は同居人のお母さんと電話でお話しして、ものすごく感謝された。私と住んでいるので安心していられる、と言われた。泣きそうになった。
恋人の役にも立っているみたい、少し。嬉しい。
楽器ができなければ生きている価値がないと思っていた。だから自分を責めたしあれ以上生きていたくなかった。しばらく技術が人間の価値とイコールになる期間が続いていた。
今は、いろいろな人に音楽以外のいいところを見出すことができる、ような気がする。
他人をそう見るということは、結局自分をも同じ目で見るということかもしれない。日常の小さなしごとをひとつひとつやっていくのはしあわせで、それが人のためになっているならこれ以上嬉しいことはない。
音楽を続けながら、毎日をだいじに暮らしてゆきたいと思う。

光景

腐りかけたりんごがしゅわしゅわ鳴きながら溶けていく。氷の上に映る姿を見ていた。赤いフリルのスカートや丁寧に編まれた靴下のぬくもり。地下に現れた教会からは光が見えなかったのにどうして人は世界を信じることができたのだろう。凍りついた石段を注意深く降りてゆく足どり。よく冷やされた葡萄酒が胃袋で騒ぎはじめるので恐ろしくなる。青ざめた恐怖は美しさに通じていて、人は血と肉と骨でできている。いつになったら戻れるのだろう。何もかもが度の強すぎる眼鏡をかけたようにぼやけて歪んで、世界に触れるとき私はいつも頭が痛くなる。

鮮やかさ

色とりどりのお菓子や果物
市場を彩る肉の赤さ
血の塊や死のにおい
吐き出された流動体の醜さ
女であるということや
生き物であるということを
一枚の布地をめくるように意識する夜に
漆黒の美しい恐怖が訪れて
ぼんやりと明るい曇り空の下
雪を踏んでそっと煙草に火を点ける
昨日の夢は汚くて、とても美しかった。

かなしみ

もしも うたいつくしたら
磁石のように すうっと 離れてゆくでしょうか
遠ざかってゆく
斜面
いただき
雪の青白さ


鮮血の色を私は ずうっと 忘れているし
いつになったら すべては戻るのだろう
崩れ落ちたレンガ
赤い壁
足跡
それから


ふわんと 宙に浮いて
色とりどりの毛糸を垂らして
要るものと 要らないもの
白と黒に分けて


私はわかっていた
たしかに わかっていた
いつのまにか


あたまのなかみはこわれてしまった
あの駅で顔のない車掌がすべてを持ち去ってしまった
またたくまに


足音さえ聞こえない
しずかな しずかな雪の中で