紅茶

何かが終わりを告げて
過去になっても
この身体で生き続けていて
遠い記憶になったことも
ふとした瞬間
時を巻き戻してしまうの


時がたてば忘れていくでしょう
そう誰かが言ってたのに
君が好きだった紅茶の味
なかなかうすまらないみたいだよ



季節と一緒に走り抜けて
今ここにいる
全ては決して無駄にならない
傷つけ合ったことさえちゃんと
記録されていて
ありがとうと思えたときはじめて
笑顔で抱きしめられるの


時がたてば忘れていくでしょう
そう望んで果たされたけれど
よみがえった紅茶の記憶は
いつの間にか愛しい味になってたよ

50

私達は向かい合う時、プロセスの中で協力者だ。
役割は違っても、共同の作業をしている。
目的は発見すること、よりよくすること。


私達は会話のなかで、互いを見つける。
相手を通して自分をみつけ、
自分を通して相手をみつける。
私達は言葉で発見を報告し合う。
そうすることでより良く発展しようとする。


テニスでも一緒だ。
相手を通して自分をみつけ、
自分を通して相手をみつける。
私達は身体で発見を報告し合う。
そうすることでより良く発展しようとする。


私達の間には勝ち負けは存在しない。
私達は一緒に戦っているのだ。
だから、もし勝ち負けがあるとするなら
私達の勝利と私達の敗北だけがある。


その時「私達」という意識こそが、
私達を勝利へ導く鍵となるだろう。

49

世界は泡の集まったものみたいかもしれない。


あわ【泡】①液体が空気などの気体を含んで丸くふくれたもの。(すぐ消えるところから、はかないものの意によく用いられる)


泡が出来ては消えてを繰り返してる、おおきな泡の玉。
ひとり一人がふくらましている泡
の集まったもの。

46

うつくしい声の人に出会った。その声は、すこし高くて透きって春の風のように吹き抜ける。笑うとその声は海中でふわふわと浮かんでゆく光を受けた泡のようだった。ぷくりぷわぷわきらきらしていて、そんな笑い方をぼくは初めて聞いた。


その人は男性だった。歳は40前後であったがまるで少年だった。その人が笑うので、何を笑っているのですか?と聞くと「君の魂が明るくなろうとしているから」といってさも愛おしげに微笑むのだった。


ぼくはこの人と居ればもっと成長できるだろうと思い(いや、単純に話していて居心地がよかったからかもしれない)、これからも沢山お話ししたいと考えていた。するとその人はいった。「これからもいっぱいお話したいね。時間を一緒に過ごしたいね。」ぼくが押し黙ってしまうと、いたずらっぽい表情をしたあと、また笑い出していた。不思議な人だった。