2022.12.27火 @LOG 留美ととりふね 曲目解題
字海/tabula rasa
字海/tabula rasa 詞・曲とりふね
display 渺渺と
文字の海みちる真夜中
blue moon 嫋嫋と
裳裾ひき撫でる波頭
はるかにみえる
あの浮き島は
この海にただひとつ
のこされた
tabula rasa
剥がれる意味のlayers
粉飾と偽装のcoda
騒がしいな外は
決して入れるな中に
満面の笑みでslayers
鈍器で理想の乱打
騒がしいな外は
今はまだだ まだ
うごめくものを
かたちのないものを
溺死に誘う
文字の海をわけて
およぎつきたい
あの浮き島に
この海にただひとつ
のこされた
tabula rasa
Dm Dm6
Gm A
Dm Dm6
Gm F
Gm F
Gm F
A
G Dm G Dm
F F#
F F#
Dm G
Dm G
F F#
F F#
Dm G
C G A A A A
Dm Dm6
Gm A
Dm Dm6
Gm A
Gm F
Gm F
Gm F
A
G Dm G Dm
石井則仁 がらんどうの庭 朽ちてなお 2021.9.28(火)@Agt 留美ととりふね 歌詞 解題
石井則仁 がらんどうの庭 朽ちてなお 2021.9.28(火) 留美ととりふね 歌詞
石井さんの屍に擬せられた身体を斜め後ろから凝視しつつ、留美さんのギターを聴きつつ、メロディーある程度可変に4曲。
留美さんとはシンメトリに座った。
石井さんの身体の形象と蠢きがメインと考えたので
当初、言葉やメロディが過剰なのではないかと危惧した。
言葉やメロディはもともと過剰なものだから。
だが、歌う以上その過剰さは不可避なのである…。
観ている方の感覚のなかで
それなりにあたらしいミクスチャとなっていればよいのだが。
①うつうつつ 空現
この度のオファいただいたのち作った。留美さんのギターで、メロディは決まっていない。梁塵秘抄の蝸牛の部分は歌っていない。
②茂みの浮揚 すでに何度か演奏した曲。
折口信夫の「死者の書」冒頭部分のイメージでだいぶ前に作った曲。
③化野(あだしの)その弐
これは歌詞だけがオファより先にあって、出演決まってから留美さんのギターがついた。実は、「化野その壱」が存在している。30年以上前に、故酒井君の曲とりふねの詞であった。バンド「とりふね」で一度演奏したことがあったように思う。「うるはしの あだしのへ こよや君 花の香(か)に みちびかれ」というような歌詞だった。その壱はロマンティックなメロディだったが「化野その弐」は思いのほかブルースぽくなったかな。
④天界(ヴァルハラ)の花
すでに何度か演奏した曲。舞踏との兼ね合いを考え、歌ったのは2番のみ。薔薇の花の展示のコンセプトにも合うように思ったので、おわりに歌った。
★うつうつつ(空現)詞とりふね
う う う う
うつ うつつ
うつそみ うつらふ
うつらひて
うつぼぶねとや にし ひがし
かぜにまかせて にし ひがし
むばらうばらや にし ひがし
あめにくたされ にし ひがし
ちりとちりぬる ちりぢりに
まなかのにはは うつのには
うつのにはにて
あそびせむ あそびせむ
あそびせむとや むまれけむ
うつのや峠の つたもみぢ
殺めた座頭の されかうべ
うろに籠めたが なんとせう
いつのまにやら うろのそと
かぜにふかれて くわらくわらり
両のまなこは ぐわらんだう
よもぎぐさとや しやらしやらり
たどりついたは うつのには
うつのにはにて
あそびせむ あそびせむ
あそびせむとや むまれけむ
(梁塵秘抄)
舞へ舞へ蝸牛
舞はぬものならば
馬の子や牛の子に
蹴ゑさせてん踏み破らせてむ
まことに美しく舞うたらば
華の園まで遊ばせむ
★茂みの浮揚
曲留美 詞とりふね
をモチーフに)
そのとき 僕は 僕を わすれた
石の柩石の壁
つたういくすじの水
味もなく 舌に まつわる 記憶
伝説の剣は さびついてこぼれた
これで何が 切れるというのか
かのとき かれらは 僕を繫いだ
過剰な 声 たかくひくく重なり
それで何が 切れるというのか
こうこう したしたした
こうこう したしたした
そこに何が読めるというのか
刑場へ ひかれてゆく
僕の あしうら
わずかに 浮揚して
滑るように すすんだ
それで何が 贖えるとというのか
こうこう したしたした
こうこう したしたした
池の対岸 茂みの向こうで
あなたは 本当は泣いていたのか
それであなたは 気が済んだのか
★化野(あだしの)その弐 Croustillant 詞とりふね
そこら中が骨になる
おどろけ今日も朝が来た
ゆすらいろに色づきゆく
めづらか骨のかたち
あてなる骨ののはら
よそごとのようにながめ
わづらふ具体に
サヨウナラ さらば
踏めよサクサクサク
サクサクサクサク
来るべき世に
組みあがる
目にも新しきスキーマ
そこら中が骨になる
おどろけ今日も風が吹く
ゆすらいろにまろびつどふ
あさまし骨のあそび
あだなり骨のほかひ
くろぐろ夜の désir machine
わづらふ器官に
サヨウナラ adieu
踏めよサクサクサク
サクサクサクサク
来るべき世に
組みあがる
目にも新しきスキーマ
★天界(ヴァルハラ)の花
詞・曲とりふね
秋の空は高い
冷えた雨に磨かれた
髑髏(しゃれこうべ)の眼窩から
真直(ます)ぐ伸びる茎よ
彼女のことならば
他の男(ひと)に訊いてよ
僕は忘れた
昨日は遠くだ
機械の時間に
間に合うよう に 走ったよ
君が急に止まるから
僕は 転んだんだ
秋の空は高い
白く冴えて満ち足りる
髑髏(しゃれこうべ)の眼窩から
真直(ます)ぐ伸びる茎よ
秋の空は高い
まるで死のようだ
紺青に咲く
天界の花よ
今生に咲く
ヴァルハラの花よ
彼女のことを
知って咲く花よ
僕は知らない
昨日は遠くだ
うつうつつ
うつうつつ(変成中) 詞とりふね
ⓐ
う う う う
うつ うつつ
うつそみ うつらふ
うつらひて
ⓑ
うつぼぶねとや にし ひがし
かぜにまかせて にし ひがし
むばらうばらや にし ひがし
あめにくたされ にし ひがし
ちりとちりぬる ちりぢりに
まなかのにはは うつのには
うつのにはにて
あそびせむ あそびせむ
あそびせむとや むまれけむ
ⓒ(黙阿弥)
うつのや峠の つたもみぢ
殺めた座頭の されかうべ
うろに籠めたが なんとせう
いつのまにやら うろのそと
かぜにふかれて くわらくわらり
両のまなこは ぐわらんだう
よもぎぐさとや しやらしやらり
たどりついたは うつのには
うつのにはにて
あそびせむ あそびせむ
あそびせむとや むまれけむ
ⓓ(梁塵秘抄)
舞へ舞へ蝸牛
舞はぬものならば
馬の子や牛の子に
蹴ゑさせてん踏み破らせてむ
まことに美しく舞うたらば
華の園まで遊ばせむ