いがらしみきお「Sink」


山下君



この世界で我々が幸せになれると思うかね



国家だの社会だの家族だのありもしないレールを敷いて

そのレールの上を行くしか幸せなどないようなウソをつき合って



そうさ我々はみんなお互いだまし合ってるんだ

みんながみんなそのレールの上を行くように仕向けるためにね



君は幸せを実行することがあったかい



幸せだと思うそばからその幸福感は消えて行ってしまうんじゃないのかね



山下君



君はこう思ったことはないか?



誰かにだまされてる

誰かにだまされてるって



山下君 教えてあげよう



この世界のほんとうの姿を

Sink 1 (バンブー・コミックス)

Sink 1 (バンブー・コミックス)

Sink 2 (バンブー・コミックス)

Sink 2 (バンブー・コミックス)

あだち充 「H2」 9巻

H2 (9) (少年サンデーコミックス)

H2 (9) (少年サンデーコミックス)

小山内美歩はかませ犬感がにじみ出てる。
ていうかなんなのこの巻、今まででダントツにエロいよ!w

美内すずえ 「ガラスの仮面」 22巻

7歳のあのときから…
わたしの手は今もあなたとつながったままです…!
今もあなたと…!

ガラスの仮面 (第22巻) (白泉社文庫)

ガラスの仮面 (第22巻) (白泉社文庫)

マヤも亜弓も自己嫌悪がすぎるんじゃないかと思うんですがw
しかし、お互いに嫉妬しているといっても亜弓の感じる嫉妬心の方が数段上だろう。橋での葛藤と後悔を見るとそう感じる。どっちが主人公とか、もうどうでもよく思えてきた。

手塚治虫 「ブラック・ジャック」 1巻

…な なあ ど どんな医学だって せ 生命のふしぎさには…かなわん…
に 人間が い 生きものの 生き死にを じ 自由に し しようなんて おこがましいとは お お 思わんかね……

ブラック・ジャック(1) (手塚治虫漫画全集)

ブラック・ジャック(1) (手塚治虫漫画全集)

★★★★★★★★★☆

1巻からこのクオリティである。もう読むのは何度目になるだろう。
ブラック・ジャックのエピソードというのは人間性に強く焦点が当てられているように思う。良いものも悪いものも様々だが、他人が不幸になるような行動を起こしたものが巡り巡ってそのまま自信に返ってくる、という教訓めいたものが多い。
そして毎回すごいと思うのが話の終わり方。話の始まりから終わりまでを全て描かないということにより、この漫画がもっと大きな流れのほんの一部を描いているものだという拡がりを感じることができる。

吾妻ひでお 「地を這う魚 ひでおの青春日記」

地を這う魚 ひでおの青春日記 (角川文庫 あ 9-3)

地を這う魚 ひでおの青春日記 (角川文庫 あ 9-3)

★★★★★★★☆☆☆

以前から読みたいなー、どうしようかなー、と思っていたのだけど、書店でたまたま文庫化したのを見つけてすぐ買ってきた。
吾妻ひでおの日記シリーズは「失踪日記」「うつうつひでお日記」に続き3冊目。前2作に比べると幻想色がとても強い。ストーリー自体は全くもって現実の話なのだけど、主人公(著者本人)と女の子以外は知り合いも通行人も動物だったりロボットだったりよくわからないものだったりと異形物として描かれ、さらにそれとは別に変な物(主に魚)がコマを埋め尽くす。
ストーリーは作者の若い頃の話で、とにかく金がなく、漫画家のプロを目指す仲間たちと一緒に安アパートに暮らし、アシスタントをしている漫画の先生には給料を前借りし、風呂には数ヶ月入らないという極貧生活。将来に対する不安が満ち満ちているだろうから、描く人によってはひどく陰鬱な雰囲気になってもよさそうなものだけれど、前述の異形物たちが無数に入り乱れるコマはなんとも奇妙で暗さを感じさせない。
とにかく読みやすくて、1時間ちょっとで読み終わった。読んでいる最中は楽しくてふんふんと読んでいたのだけど、読み終わったらかなりの寂寥感に襲われた。将来に対する不安が乗り移ったのか、今「お金が無い」と嘆いている自分が情けなくなるぐらいの生活を目の当たりにしてしまったせいかはわからないが、コマを埋め尽くす吾妻ひでおの描くコミカルな異形物の魔法が解けてしまってそのように感じたのかもしれない。

ひぐちアサ 「ヤサシイワタシ」

ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ(1) (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ(2)<完> (アフタヌーンKC)

ヤサシイワタシ(2)<完> (アフタヌーンKC)

★★★★★★★★☆☆

いつもこのブログでは巻ごとにわけて感想を書いているのですが、2巻一気に読んでしまったこと、そして1巻を読み終わったときの気持ちで1巻の感想を書けないと思ったので、まとめて書きます。

ひぐちアサと言えば何と言っても「おおきく振りかぶって」が出世作なわけだけど、今は青春な漫画を書いている人がこんなのも書いているとは思わなかった。
舞台は都内の私立大学。どこか信用できない集団の中にいて、普段の会話にも何かしらトゲが飛び交っている感じ、初めは好き合っていたはずなのに、何がきっかけかはっきりとはわからないうちにどんどんとずれていき、修復が想像できない感じ、人の意見に納得できず、何か言い返したいのに、自分の言いたいこともまとまっていなくて、でも何か言いたくて言葉を重ねてみる感じ・・・身に覚えがあるやりとりをこの漫画の中に見た。
1巻の時点では冬目景イエスタデイをうたって」をもう少し直接的で攻撃的にしたようなものかなと思っていたのだけど、2巻に入ると趣きが変わる。
全てが嫌になってしまった時、だるくなってしまった時、人に嫉妬してしまった時、やる気がない人をみてがっかりしてしまった時、どうすればいい?人と話したくて、でも自分から言い出すのは嫌でかまって欲しくて、アピールのためにいつもと違う顔をしてみるとか、やったことないですか?みんなそんな健康に生きてるのか?聖人か?
自分が悲観的なことに対して落ち込み、周りの人はなぜそんなに元気に動けるのかと疑問に思い、そしてまた自分と対比させてますます落ち込んでいく・・・そんな思い悩む人へおすすめする作品。みんなぐるぐるしてて、みんなよくわかんないまま生きてるから大丈夫だっ。

藤子・F・不二雄 「ミノタウロスの皿」

★★★★★★★★★☆

オヤジ・ロック
じじぬき
自分会議
間引き
3万3千平米
劇画・オバQ
ドジ田ドジ郎の幸運
T・Mは絶対に
ミノタウロスの皿
一千年後の再会
ヒョンヒョロ
わが子・スーパーマン
コロリころげた木の根っ子

まぎれもない大傑作群!「自分会議」「間引き」「ミノタウロスの皿」の3つが僕的ベスト3だが、他も素晴らしいオチを見せる。
特に表題作の「ミノタウロスの皿」は、これ以降藤子がSFマガジンビッグコミックで大人向けで短編を発表する契機となった作品で、それを牽引するにあまりあるパワー・迫力を持っている。
藤子・F・不二雄が児童向けの人だと思っている人はいますぐこれを買い、読んで欲しい。この人がいろんなことを考えながら子供のために漫画を描いていたのかが少しわかると思う。