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小林慶行監督「ミドルサードで組むブロックを崩すシーンはあまり作れなかった」

jefunited.co.jp

 長崎戦後の小林監督のコメントです。
 一応ジェフの公式サイトは引用禁止なので、今回も掻い摘んで取り上げていくしかないのですが、まとめると長崎はあまりプレスには来ず、ミドルサードでブロックを組む守備をしてきたと。
 これは事前からわかっていたことだと思いますが、そのブロックを崩して、敵陣深くまで侵入するシーンがあまり作れなかったという話を冒頭でされています。

 試合を通しても、チャンスらしいチャンスは2,3回だったと思います。
 1つは試合序盤、高い位置からボールを奪って岡庭がクロスを上げたところから、混戦状態となりドゥドゥがシュートを放ったシーン。
 もう1つは、46分に小森が岡庭のグラウンダーのクロスをダイレクトで狙うもバー直撃のシーン。


 小林監督が「一番最初のタイミングでのクロスには効果があった」と話しているように、早いタイミングでのクロスからチャンスが生まれていたことになります。
 ただ、逆に言うと、岡庭のクロス以外でのチャンスは、ほぼ作れていないことにもなる。
 やはりクロスからの展開に攻撃が偏りつつあることが、心配な部分でもあるのではないかなと思います。

 小林監督はクロスからの攻撃が難しかった時に、「敵陣深くまで侵入できるかどうか」が重要であると続けています。
 ただ、冒頭の話を直接受け取ると、「敵陣深くまで侵入すること」は、手段ではなく目的となるはず。
 その手段が曖昧なところが、攻撃面でうまくいっていない要素の1つなのかなと思わなくもありません。


 意外なのは、こういった相手の堅守を前に苦戦した試合の後では、小林監督が「崩せなかった」という言葉を良く使うこと。
 メイン攻撃として掲げているハイプレスからのカウンターは、相手の守備を「崩す」のではなく相手が守備を固める前にシュートまでいくスタイルだと思います。
 それ以外の戦い方は必要ないかのような話までしているはずですが、結局は崩しの術も必要と考えているのでしょうか。

 そうなのであれば、その崩しの術をいかに構築していくのかという話にもなってくると思うのですが。
 なお、長崎戦では対戦相手の下平監督も、興味深い話をしています。

www.jleague.jp

下平隆宏監督
今日のゲームの流れ的にはハイプレス。ほぼマンツーマンで捕まえにくることは予想していましたし、これは僕もやったことがあるんですけど、かなりリスクがあるんですよね。
(中略)
相手がリスクを負って来ているものをわれわれがしっかりかいくぐったり、セカンドボールを拾っていけばチャンスにつながるし、なかなかつながらなくてもやり続けていれば相手も疲弊してくるし、どこかでチャンスが来る

 「僕もやったことがあるんですけど」という言葉は、なかなか重いですね。
 実際、失点シーンは直前の久保庭の負傷もあったかもしれませんが、全体的に足が止まってラインも下がってしまっていた。
 プレスによる疲労もあったと思いますし、そこから相手に拾われてエジガルが得意とするミドルシュートを決められてしまった流れだったと思います。

 ハイプレスに行けている状況であっても、ジェフは前掛かりになるので、相手は1つかわせばチャンスになるという展開でした。
 いわば殴り合いを仕掛けているわけで、こちらもチャンスを作れますが、相手もビックチャンスを作れるかもしれない。
 だから、前半はお互いにチャンスを作る流れだったと思います。


 ジェフはエスナイデル監督時代にもより積極的なハイプレスを仕掛けていましたが、あの時もジェフは攻撃機会を多く作れていた。
 けれども、相手も1つかわして裏を取れば、ジェフ以上に大きなビックチャンスを作れていたことが多かったと思います。
 そのため、シュート本数はジェフの方が非常に多くても、1回のシュートで沈んでしまう試合が目立つ状況でしたね。

 だから、現在もハイプレスを仕掛けて攻撃機会を多く作れたといっても、一概には喜べない。
 相手としては、殴られながらも我慢して虎視眈々とカウンターを狙う展開だったと思いますし、長崎はジェフの圧力にも動じずに戦っていた印象でした。
 総じて前半からあまり良い流れではなかったと私は思いますし、そのあたりの駆け引きも含め相手の方が上手だったのではないかなと感じた試合でした。

小森飛絢「後半はシュートらしいシュートがほとんど打てなくて」

 1-0で敗れた長崎戦ですが、小森は前半から惜しいシュートが1,2本ありました。
 それも小森の動きの良さでシュートまでいって、チャンスを作っていった印象でした。

 特に大きなチャンスだったのが46分。
 まず後方左に流れていた佐々木の目の覚めるようなロングキックが、右サイドの岡庭に入ります。
 岡庭の前には小森も走り込んでいたので、そこを狙った可能性もあるのかもしれませんが、結果的に小森の動きが相手DFを中央へ引き付け、岡庭が右サイドでフリーになってボールを受けます。


 岡庭はゴール前を見ると、冷静にグラウンダーでマイナスのクロスを小森へ供給。
 この岡庭の判断も良かったですね。
 そして、ニアに走った小森がダイレクトでシュートに行きますが、バー直撃で終わってしまいます。

 このシーンでは小森はクロスボールを受ける前に、あえてゴール前で一度立ち止まって、相手DFとの空間を作りフリーになっています。
 そのまま縦に走り込んでいったら、DF田中のマークにあってしまうところでしたが、裏ではなく表のスペースを取ることによって、決定機を作り出しています。
 佐々木のロングフィードも岡庭のクロスも良かったですが、単純に外から外への展開だけでは高さ勝負のクロスにもなりかねないところを、小森の動きの変化でチャンスになったと言えるのではないかと思います。


 YoutubeのJリーグアカウントによるダイジェスト動画では、1分27秒あたりからがそのシーンに当たります。

youtu.be

 ダイジェスト動画では、その前の16分にも小森のヘディングシュートが映っています。
 中盤左サイドで田口が、少し中に入ってアーリークロス。
 小森はニアでヘディングシュートを放っていますが、ここは距離もあって角度もなく、ゴールを外れています。


 しかし、この16分のシーンも46分のシーンも、同じように外に流れる動き出しをすることで、相手のマークを外しシュートまでいっています。
 ここまでの小森は相手DFラインの裏を取ってシュートを決めるシーンが目立っていますが、縦への動きだけではなく、外に動いたり、手前で止まることによって、シュートまでいっていることになる。
 完全に相手をかわして前を取っているわけではない分、いずれもコースは限定されていますが、小森の動き出しのセンスを感じるところだと思います。

 ここ最近の小森は寄り、シュートまでいく動きにプレーの幅を感じますね。
 もともとのサッカーセンスの高さもあるのでしょうが、プロ入りして1年半常に活躍し続け、ゴールを量産してきた自信もあって、プレーに余裕が出てきているのかもしれません。
 長崎戦ではバー直撃と惜しいシュートに終わってしまいましたが、あのシュートもダイレクトで決して簡単なものではなく、もっとチームとして余裕を持った状況で、小森がシュートにいけるシーンを作りたいところではないでしょうか。


 チームに関しては試合後に小森が話しているように、「後半はシュートらしいシュートがほとんど打てなかった」状況だと思います。

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 上記のダイジェスト動画でも、後半は小森がGK原田へプレスに行って、相手のキックミスを誘ったシーンくらいしか、取り上げられていません。
 それだけビハインドを負って点を取り返したかった立場にいたはずのジェフの攻撃が、封じられてしまった展開だったと言えるでしょう。

 前半もチャンスは2,3本だったと思いますし、チャンスの数で言えば相手と大差なかったと思います。
 特に後半は気温の影響もあって、プレスに行けなくなった。
 プレスからのカウンターに行けなくなった時に、どう戦うのかが相変わらずの課題ですね。

 小森の動き出しに関してはJ2でも群を抜いていると思いますが、そこに頼り切ってしまうと怖いところもある。
 個人に頼る攻撃は単発にもなりがちですし、チームとして攻撃を作り上げて、そこに小森の良さもプラスできる状況が作れるといいですね。