いま落ちし氷柱が海に透けてをり 鷄二
橋本鷄二 句集『鷹の胸』より
写生です。でも、結局、言葉なのです。
言語表現なのです。
先づ雪を掻き悪友を物色す 信夫
金谷信夫 句集『悪友』より
長い付き合いは、多くを望まないこと。
そして、ほんの少ししか与えないこと。
絵屏風の平家滅びる方に寝る 信夫
金谷信夫 句集『アイネクライネ』より
滅びの美学を語る人に限って、
まるで、傍観者のように見えてしまう。
みづうみを抱へて雪の大津かな 柑児
浜中柑児 ホトトギス雑詠選集より
大津に泊まった夜、日本酒を飲んだ。
あの夜のように、日本酒は静かに飲みたい。