森里家の日常 21

主とその伴侶は家を留守にしていた。
留守番を預かるのは伴侶の姉妹達だ。


「お正月って何でこんなにヒマなのかしら」
「年中暇人のアンタが言う?」
女神達は炬燵に深々と入りながらボンヤリ
と見るともなくTVモニターをみつつ
ぼやくわけだ。
スクルド、みかん取って」
「そんなの自分でとりなさいよ」
近いんだから、とスクルドはみかんの
はいっているバスケットをマジックハンド
でウルドの眼前に差し出す。
「ほら」
「ありがと、あとお茶も」

「お断りだー!」
「そう、ならお酒でもいいわ」
「もっとお断りじゃー!」


面白くないわね、とウルド。
自身の傍から空間転移させ、自室にある
純米酒を取り出し、手酌を始めた。


「ところでさ、ベルダンディー達は?」
「うん、何でも初詣に行くとか」
「で、行った、と」
「うん…」
「ところでさ、初詣ってなに?」
「ウィキで調べるとね、神様にお参りって」
「あれあれ?自宅に女神が三人もいるのに?」
「うん…でも…」
「でも?」
「お出かけは楽しいかも」


イケナイ、これ以上話を続けたら
折角仙太郎君との初詣にウルド参上とか
訳がわからないよ的状況になっちゃう!


 と、話はまだまだ続きそうですが今回は
これにて。


 森里家の日常 その21。

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*** *** ***

ご無沙汰過ぎて。初めましてみなさん!(T_T)
コメントお返しできずに申訳ありませんでした。
謹賀新年2016、今年もよい年でありますように!

森里家の日常20

曇天の空の下、ソイツはやって来た。



「森里、いつもスマンな」
「ははは…まぁ、いいですケド」


俺の先輩達は実に器用で有能なエンジニアでもあり、
そのストイックな感性は、ある世界で賞賛に値する
ものでもあるのだが。


「まぁ!螢一さんっ、この子は?」
「いや、先輩達に頼まれちゃってね」
「可愛いですねっ、小さくて…でも?」
「ああ、屋根がないんだオープンカーって感じかなぁ」


その実、オープンカーではなくメンテナンス途中、
或いは改修中…いや、魔改造って言うべきか。
色々訳あって少しの間預かる事になった軽自動車は、
家の女神さまっにはとても好評のようだ。


あと、スクルドに妙な事をさせないよう気を付けないと
ダメだな。



その後、なんとなくだけどドライブしようと言う事に
なった。
取り合えず公道を走れるくらいには保安部品も装着して
あるし、ナンバーある。大丈夫だろう。


「う〜む」
「どうしたんですか?」
「いや、とても快適に走れてる」


うん、実に快適に走れる。エンジンも良好だし足回りも
しっかりしている。さすが先輩達だ。
ただ、軽自動車なのにやたら馬力があるような気がする。
うん、気にしないでおこう。


オープンカーなら海岸線ですよね。と言う訳で海沿いを
走ろうとすべく車を走らせた。
途中、運河を渡るための橋にさしかかる。


「螺旋状に道路が…まるで天界への行程のよう…」
「ははは…」
うん、事故って召される…って意味じゃないよね。
左回りに回転するように上昇する道を上がると、
地上にはない風の匂いがした。


ロードノイズと排気音に混じって彼女の鼻歌が響く。
雑音の中でもくっきりと聞こえる声は喜びに溢れて
いるような気がするのは身内贔屓かもな。


空は相変わらず曇天模様。こればかりは女神さまっの
法術でも何とも出来ない。
しかし途中で雨でも降ってきたら大変だ。
改修途中の車には幌も付いてないし。
そう言えば年がら年中雨降りな国イギリスでは雨が
降るとオープンカーでも傘をさすらしい。
あの黒い大きなこうもり傘だ。


とか何とか思っている間に、海岸線少し走って
無事に家に到着した。


「あ、お醤油買うの忘れてました」



そんなある日の森里家の日常でした。


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*** *** ***


ご無沙汰しておりました。
なんとか生きてます。
コメントありがとうございました。

一月のご挨拶

一月終わりそう…


新年のご挨拶もまだなのに…


寒暖の差も激しく、腰痛も激しい今日この頃ですが
なんとか動いてマス。
藤島氏のツイッタが止まっているので悲しいです。


それはそれとして、今年は何か楽しいお話が書けたら
良いな、とつくづく。


もっとがんばりましょう。


>天 空我さん
 コメントありがとうございます。
ステキなお話、楽しみにしてます。

>TSUTOMU-CHANさん
 コメントありがとうございます。
大変なお仕事されているご様子、がんばってほしいと
思います。

>ゆうづるさん
 コメントありがとうございます。
女神さまっコメントいつもありがとうです。
今年も楽しいお話が書けたら…と。


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森里家の日常19

始まりと終わりの物語。


時の守護神は溜息まじりで呟いた。
「ねぇお姉さま、どうして物語には終りがあるの」
「そうね、どうしてなのでしょうね」
「終わらなければ、ずっとずっと楽しいのに」
「でも、スクルドだってあるでしょ?楽しい遊びが
何時の間にか詰まらなくなってしまった事」
「…ある」
「その時はどうしてたの?」
「新しい遊びを探して選んで…あ…」
「悲しかった?」
「うん、悲しい時もあったし、そうでない時もあった」


「楽しいときはあっという間って事よ」
「ウルドは黙ってて!お姉さまとの楽しいお茶会なの!」
「へぇへぇ…」
やれやれ、と言った表情でウルドは続ける。
「その楽しいお茶会も、いつまで出来るかしら?」
「なにその変なフラグは!」


そんなフラグはへし折ってやるんだから!と
スクルドの鼻息は荒い。


「ふたりとも、喧嘩はやめて」
そう言ってそっと腹部を撫でるベルダンディー
「この子に妙な感情を与えないで」
優しさと威厳に満ちた瞳でふたりを見据えるのだった。



もうすでに母ちゃんか…とウルドは思ったそうな。



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*** *** ***


2014もあとわずか…本年もお世話になりました。
みなさま、良いお年を。

森里家の日常18

オレンジ色から茜色に変わる時刻は黄昏時と言う
名前が与えられている。
空気が止まる、と言うより風が凪いだ感じが辺りの
世界観を夜に誘おうとしているようで。


やがて蒼色から灰色を混じらせ漆黒の時が訪れたら
ぽつりぽつりと家屋の灯りが点り始める。
そんな時、街灯には懐かしい水銀灯が相応しい気がする。


「もっとも現在ではLEDだけどね」
「うちもLEDに変えてよーけーいちー」
「そんな予算はアリマセン」
「ふふふ…甲斐性無しの面目躍如って所ねっ」
「否定形を賞賛するって、さらにマイナスじゃ」
「そうですよ姉さん、螢一さんは甲斐性無しでは」
「じゃあアリってこと?」
「そうですっ」
「そんな事よりさー蛍光灯は止めてLEDにさー」
「あっ分かった…螢一だけに蛍光灯に執着するって」
「ウルドの駄洒落はなんだかおじさんくさい…」
「だ、誰がおじさんなのよー!」
「いや…根性が、さ」
「おしいわね」
「なにがおしいの!このバカスクルド!」
「あー!バカって言った!バカって言う方がバカなのに」


「姉さんもスクルドもいい加減にして頂戴」
「あ、ゴメン」
「ごめんなさい、お姉さまっ」



そんな感じの森里家の夕食。



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*** *** ***


さて、研修生を向かい入れるべく空間タブラーの制御に
とりかかるスクルドだったが、仙太郎君とのデートを
優先したために、その着工は大いに遅れる事となった。

森里家の日常17

天上界でも話題の『森里家』ですが、ここに来て
とある筋からのたっての願いで、地上研修ってものが
立案され行われる事と相成りました。


「え〜そんな訳で、わたくしが先生役として赴任した
次第ですのよ」
一級神非限定である女神ペイオースは森里家の面々に
事情を説明する。


「まぁ!」
「へぇ〜」
「うわ〜」

と、それぞれの受け取りはそれぞれとして。


「ふぅむ」
森里家の大黒柱であり、主である森里螢一は
この事案が意味する所がどこにあるかを探る。


「なぁペイオース」
「なんですの、森里さん」
「つまり…なんなんだ?」


やれやれ、と溜息を付いたペイオースは
まるで小学生に説明するかのように螢一に答える。


「ここを拠点に地上研修を行うって事ですの」
「それは聞いた」
「喜ばしい事でしょ?」
「…確かに…だが」
「だが?」
「その、研修ってのは良い事としても、研修生は
どこで暮らすのだろうね」


待ってました、とばかりにペイオース


「もちろん、ここ。森里家に決まってます」


そう来たか、と螢一は思う。
しかし考えてもみろ、母屋は平屋で部屋数にも限界が
ある。
しかも天上界から来ると言う研修生ってのは全て女神
さまっ、或いは候補生なのだろう。



女ばっかりだ。あ、女神さまっばっかりか。


どうやら研修施設と言うより、宿舎って感じがするのは
俺の勘違いだろうか。


「わたくしは今回、先生として赴任します。そして」
「そして?」
「森里さんには重大なお仕事を用意してますの」
「え?」
「え?ではないですわ。それはそれは大切なお仕事です」
「だから…ナニソレ?」


ペイオース曰く。


この敷地に女神研修生の寮を構築し、その管理人を
俺にしてもらいたいと。


「あのさ、それはムリ」
「どうしてですの!?こんな名誉、天上界でも」
有り得ませんのに、とペイオース。
「だからね、俺にはちゃんと仕事があるから」


「そうですよ、ペイオース。螢一さんにはバイクの
お仕事があるのだから、無茶はダメです」
「あら、だったらベルダンディーさんが?」
「私、ですか?」
「ええ」


「螢一さんっ?」
なんだかウキウキした表情で螢一を見詰め
「どうでしょ?」
ベルダンディーは微笑みながら尋ねる。



ふむ、我が愛しの妻が楽しそうなのは何よりだ。
やれば良いと思うよ。



そんなこんなで始まる 新しい森里家の物語。



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*** *** ***


ご無沙汰しております。なんとかやってます。
もちろんこのお話は架空のものです。
あったら良いな的な。