イギリスのブライアン・イイダ氏から「姪のスーが息子と彼のガールフレンドの3人で日本に行くので会ってみたらどうか」と連絡がありました。
ブライアンと知り合ったのは30年以上前。会社を辞めてフリーランスになるのを機に出かけた3か月のアイルランド旅行です。
届いたメールにこんな一節が。
It seemed strange that we are at this great age but fortunately very fit!
お互いこんな年になっても交流が続いているなんて不思議だ、といったところでしょうか。
日本人の父とイギリス人の母を持つブライアンですが、日本に住む日本人の知り合いは私だけのようです。
たまたま訪れたアイルランドの日本庭園で週刊誌に掲載できるネタをつかんだのをきっかけにフリーランスのライターになったので、快く取材に応じてくれたブライアン夫妻に感謝しています。
事前に届いたメールによると、スーは私とほぼ同世代で、グラフィックデザイナーを引退したばかり。東京から福岡、長崎、愛媛を回り、大阪、京都から金沢、岐阜、河口湖を経て東京に戻り、北海道に向かうというかなりハードな旅程。ツアーに参加するのではなくJRのジャパンレールパスを駆使した個人ツアーです。さすが明治時代に海を渡ってイギリスに向かった日本人の子孫です。
旅の途中、北海道に行く前夜に新宿のホテルに滞在するというので夕飯を一緒に食べることにしました。疲れているかもしれないから、ホテルの近くの居酒屋にしました。ゴールデン街とか思い出横丁も考えたのですが、写真付き英語メニューのあるチェーン系居酒屋なら食べたいものが好きに選べるし、どちらが支払うにしてもそう高額にはなりません。
スーの息子のサムはもちろんのこと、ガールフレンドのシャーロットも日本好き。ロンドンで日本料理店によく行っているらしく、まず枝豆と刺身を注文。珍しいからと、いわし明太もオーダーし「いわしのお腹を裂いて他の魚の卵を詰め込むという、最も邪悪な日本料理」という私の解説に大笑いしていました。スーとシャーロット、私は生ビールですが、サムはレモンスカッシュ。イギリスに若者のアルコール離れは着実に進んでいるようです。
三人とも日本を満喫しているようで「こんなすばらしい国はない」と大絶賛です。「超高齢化して通過は弱いし、没落していく国なのに」と反論しましたが、没落といえばイギリスは大先輩です。
「どの地方に行っても日本人は親切で、いつも私たちを助けようとしてくれた」とサム。それは彼らが日本文化を尊重し、挨拶やお礼をなるべく日本語で言おうとしているからかも。そして各地の旅行業関係者もインバウンドに慣れてきているのでしょう。
結局、居酒屋ではスーにおごってもらいました。彼らにとってはロンドンの日本料理店に比べて破格の安さでしょうし。今治製のタオルハンカチをブライアン夫妻、クリストファー夫妻の分も含めて人数分プレゼントし、河口湖で富士山を見て感動したと聞いていたので浮世絵のポストカードも渡しました。
ブライアンに報告すると、次はお嬢さんのフランシス(と言っても、もう40代か50代)夫妻が日本旅行を計画しているそうです。イイダ一族の東京アテンドがライフワークの一つとなりそうです。