大江健三郎『臈たしアナベル・リイ 総毛立ちつ身まかりつ』

近年、大傑作を連発しているように思う(『さようなら私の本よ!』は、
自分の生涯ベスト小説になるかも!)大江健三郎の最新作を、ようやく
時間をみつけて読むことが出来ました。事前に、小森陽一長嶋有
足して2で割った人物として木森有という人物が出てくるという情報を
聞きつけ、“く、く、く、くるってる”と期待していたのでありました。


でも、読んでみた感想としては、あ、これ、オイラあんまりわからんわ、と。


文学からは縁遠い人間である自分は、「文学は大江さえいれば良い!」と
力強く叫んで、そのあと神様が本当にそのようにしても、そのあと、ちょっと
後悔して開き直れるくらい、大江健三郎という作家が特権的に好きなのですが
そのくせ、ある時期以降の大江の中心的なモチーフである「森の物語」とか
「過去の一揆」とか、そういうもの自体は、ほとんど理解できないという
センスの持ち主なのです。大江が小説の中で、それらを「反復」しようと
したり、「恢復」しようとしたりすること、そして、そこから起きる物語には
いまだに大きく心動かされるのだけど、その際に興味があるのは、“反復される
対象”“恢復される対象”自体、つまり森やら一揆ではなく、反復や恢復、
そしてその結果という外枠だけなのです。そういう意味では、自分は最終的に
大江が伝えようとすることは、わからない人間であると思っているのです。
ただ、大江が書くものが好きなだけ。


そんな次第でありまして、おそらく、文学的なものの反復やらなにやらを
目指しているように感じられるこの小説について、自分は、わからない部分が
あまりに大きいのでありました。正直、良いのか、悪いのかすらわからない。
ごめんなさい。でも、再開の一発目は大江で行きたかったのです。

臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ

臈たしアナベル・リイ総毛立ちつ身まかりつ

読了本
山之内靖・酒井直樹編『総力戦体制からグローバリゼーションへ』
今まで山之内的総力戦体制への着目は具体的な感覚でとらえられてなかった
けれど、これの1章でそれをつかめた気がした。
ただ、身体論へのつなぎはまだちょっととれない部分あり。
・高橋眞司『ホッブズ哲学と近代日本』
ホッブズの日本における受容史とその政治的位置付けをめぐる考察。
いいだもも『21世紀の<いま・ここ>』
梅本克己論とのことながら、どっちかといえばその周辺の社会運動思想史
みたいな側面の方が強いかも。これもそこを生きてきた人間が書いた
からでしょうか。
三津田信三『作者不詳』
ホラーとメタとミステリーの組み合わせみたいな小説。
ちょっとラストがメタ的であり、ホラー的でありで、ちょっとと思ったけど、
それ以外の部分は思いのほか良くできたいたとも。

・読了本
エドガー+セジウィック現代思想芸術辞典』
英題は「文化理論のキーコンセプト」。微妙にニュアンスが違いますな。
というわけで、思ったよりも結構社会学用語が多い
(ただし、細かい部分で気になる解釈も多い)。
ウォーリン『存在の政治』
中島義道『僕は偏食人間』

・購入本
ネグリマルクスを超えるマルクス
小森陽一天皇玉音放送』(玉音放送CD付き)
宇佐美圭司『20世紀美術』
ラスキ『近代国家における自由』
伊坂幸太郎陽気なギャングが地球を回す
雑誌「ルプレザンタシオン005」

出かけてる間に買った本
グラノン=ラフォン『ラカントポロジー
長谷川宏ヘーゲルの歴史意識』
リーチ『レヴィ=ストロース
山口裕美『現代アート入門の入門』
岸部四郎『金融地獄』
荻野目慶子『女優の夜』

数日お休み。といっても誰も見ていないか。

・読了本

『批評空間Ⅱ-21 いま批評の場所はどこにあるのか』
『批評空間Ⅰ-12 中上健次をめぐって』
ミュージックマガジン81年8月』
フューと栗本慎一郎の対談なんてのがあった。
フューはいろんな意味でヤバイ人だと再確認した。
山根一眞『変体少女文字の研究』
これを読み終わったことで本棚の配置がえられるとの判断から、急遽読了。

・購入本

古本で安く買った批評空間、本の中の浅田という文字全部に(広告や表紙、
背とかまでに)ペンで丸印がついていて、ヤバイ人の持ち物だったのを
買ってしまったのかと凹む。
安倍公房『砂漠の思想』
木田元ハイデガー存在と時間』の構築』
中村雄二郎『魔女ミランダ考』
『批評空間Ⅰ-4 湾岸戦争以後』