Q学習からDQNまで

強化学習苦手の会 Advent Calendar 2020 - Adventar の11日目の記事です。

 

ただ、表題でブログ記事に真面目に書くつもりだったのですが、今週来週と忙しさが極まってしまったので書く時間が取れそうにありません…すみません…

 

その代わりに、今日のコンテンツの元にするつもりだった

夏にやった強化学習の授業スライド を置いておくので許して下さい…

 

強化学習初心者でも、 Q学習の書き方から、それを pytorch で DQN に拡張する時のお気持ちがわかると思います(あくまでお気持ちだけです)。

 

動くコードが見たい人は

qiita.comとかを見た方がいいと思います。

 

それでは。

HHU研究滞在

こんにちは。

研究留学 Advent Calendar 2019 - Adventar

9日目の記事です。実は2017でも書いているのですが、今回はその時とは別の研究留学になります。今現在ドイツのデュッセルドルフに来ており、来年の1月までなのでまさに留学真っ最中です。テンプレに従って以下を埋めます。

 

いつ行ったか: 2019年7月--2020年1月
どこに行ったか (組織など): Computer Science at the Faculty of Mathematics and Natural Sciences, Heinrich Heine University

何をやったか: 対話システムと埋め込み表現に関する研究
どうやって行ったか: さきがけ

 

 留学の経緯

まず、現在私は国立大学法人の情報系の助教です。先輩の助教の多くは 頭脳循環を加速する若手研究者戦略的海外派遣プログラム などを活用して留学をされており、在職中に留学に行く人がそれなりに多いという環境でした。なお余談ですが、この頭脳循環プログラムは私が着任した平成27年度で終わってしまいました…悲しい…

 

頭脳循環もないので、留学に行くためには何らかの方法でお金を工面しないといけません。そんなことを考えていた時に、折よく自身に近い分野でさきがけの領域が立ち上がりました。当時私は助教2年目のぺーぺーでとてもさきがけに応募するような感じではなかったのですが、 タモリの「必ず実力よりも高めの仕事が来る」という格言を思い出して応募をしました。*1

 

このさきがけの計画に、さきがけの費用で留学をさせて欲しいという記載をしました。研究統括と相談したところ、ちゃんと領域会議*2に帰ってくるならということでOKして貰いました。なので、留学の期間も領域会議の間と間で設定しました。

 

行き先をどのようにして決めたかについては、紆余曲折がありました。というのも、当初受け入れをお願いしようと思っていた先生が企業に転職してしまった*3ためです。その後もその研究室に残って運営をしていた Assistant Professor の先生と連絡をしていたのですが、結局元の研究室は閉じてデュッセルドルフに移って新しい研究室を立ち上げるという話になりました。その後平行して他の候補を検討したりしましたが、結局その先生のお世話になることになり、異動先のデュッセルドルフまでついていったという経緯です。

 

滞在先での研究グループと研究の進め方

 先生が異動されたのが4月だったので、7月からの研究滞在というのは完全に研究室立ち上げタイミングとかち合ってしまったのですが、とてもよくして頂いています。この研究室の立ち上げメンバーに、日本の研究室の卒業生が2人(ドイツ人とインドネシア人)がポスドクとして参加しており、なじむのの助けになってくれました。今は研究室が立ち上がっていますが、PhDの学生が3人、ポスドクが3人、先生と私という感じなので、今私が日本で見ている研究グループよりも小所帯です*4

 

研究室は機械学習と対話システムに関する研究室であり、研究内容で目新しいことがあるわけではないのですが、研究の進め方は日本の研究室と大きく異なると感じました。

 

まず、私の日本での研究室運営では、おおまかな研究の方向性を決めて、それに合わせたタスクやデータをデザインし評価用のワンオフのシステムを作るということをしています。これに対して滞在先の研究室では、タスク対話*5を取り扱うということは決まっており、研究室全体がこの大きな目標に向かって動きます。過去に構築したタスク対話システムのデータは全て蓄積されており、新しい手法を構築した場合はまずそれらで試します。研究室として対話システム・評価フレームワークを統一しており、滞在期間の最初は研究室メンバーが総出でこの移植・メンテナンスをしていました。これによって、最初のある期間研究が止まったとしても、その後フレームワークの恩恵を受けやすいというのはよく考えられていると思います。ただ、PIは日本と同じで忙しく、主としてシステム構築に関わる時間はなさそうでしたので、手を動かしてくれるポスドク、学生、テクニシャンを雇う予算があるプロジェクトに限る方法ではありますが…

 

金銭的には、ポスドクも学生もフルタイムで雇用されているので、 フルタイム分勤務してPI主導のもと研究を進めることになります。フルタイムで学生が雇われる*6仕組みは良いと思いました*7。雇用されているので正しい生活リズムで全員がラボに出てくる、健全なラボ運営になります。また、自分の研究成果や研究時間に金銭的対価が生じるので、よりこれらに対しての責任感が求められる環境であるとも思いました。

 

昼食も大体全員で取りに行きますが、この昼食時の会話も結構色々思いつくきっかけになったり、論文の情報交換ができたりするので有益だと思います。休憩でコーヒーを飲む時間も大体決まっていますが、これは私は行ったり行かなかったりしています。

 

 というように、研究面以外でもラボ運営で色々参考になることが多いので、今後PIになったときに参考にしようと思いました。

 

私の研究に関しては、滞在先の先生と定期的に個人面談をやりつつ、お互いの興味の被るところでうまく研究の形にしていくという形をとって頂いています。滞在中に共著論文を1本書けるめどをつけるところまで行くという約束をしたので、自分の進捗管理もそこから逆算してやるようにできています。今後大学間で学生をやり取りするような協定も結んで頂けたので、留学が終わった後もなんらかの形で研究のコラボレーションを続けていきたいと思っています。あとは、帰国するまでに論文を書けるだけの成果を挙げなければ…

 

また、滞在期間中も日本に置いてきた学生たちの面倒を見なければいけないので、毎週グループの学生とSkypeをしています。勿論、物理的にいないのでどうしても手が回らないことも多く迷惑をかけていますが、研究室の他の先生方、博士課程の学生の皆さんの助けでなんとか回っています。快く送り出して頂いたボスには感謝しかありません。余談ですが、うちのラボは基本的に教員部屋は(いる間は)ドアを開けっぱなしで学生は好きに相談に来てよいということになっているのですが、毎週決まった時間にミーティングがある方が相談しやすいという学生もいたので、今後はこの方式も取り入れていきたいと思っています。

 

期間中の出張など

今年は私の分野の国際会議が沢山ヨーロッパで開催され、滞在期間中に以下の国際会議に行くことができました。

ACL 2019

INTERSPEECH 2019

SIGDIAL 2019

全部論文を持っていればかっこよかったのですが、残念ながらSIGDIALは不採録だったので聴講だけでした。今年はSIGDIALのオーガナイザをしていましたが、日本から17-18件投稿があったにも関わらず採録0件という状態だったので*8、来年なんとか巻き返したいところです。また、色々な大学(ウルム大-ドイツ、トレント大-イタリア)や研究機関(LIMSI-パリ)を訪問できたのも、とても良い経験になりました。ただ、あっちこっち行き過ぎて前半は全く自分の研究が進まなかったので、もう少し短期の滞在ならもっと研究に時間を振った方がよいのかな?と思います。

 

 ビザ等

一般に留学時は住んでいる国の大使館・領事館等でビザを発行して貰いますが、日本人がドイツへ行く場合、普通のシェンゲンビザで入った後に現地でビザを取得することができます。当初は日本で手続きをしていく予定だったのですが、領事館に問い合わせたところ「研究者本人の分はこちらでやるが家族の分は取り扱わないので現地でやってくれ」という返事だったので、二度手間も嫌なので全部現地でやることになりました(これが間違いの始まり)。

 

長期滞在ビザ - ドイツ外務省 および 日本人長期滞在者向け案内 によると、研究滞在ビザ申請には以下の書類が必要とされています。

  • 申請書
  • 誓約書
  • 写真
  • パスポート
  • 受け入れ研究機関からの招聘状
  • 派遣元研究機関が出す滞在費の保証書
  • 大学の卒業証明書
  • ドイツで有効な健康保険の加入証明(日本からWebで入れるやつでOK)

また、家族については

  • 申請書
  • 誓約書
  • 写真
  • パスポート
  • 日本の戸籍謄本に日本国外務省のアポスティーユ(アポスティル)が付された後、認証翻訳されたもの
  • 配偶者の所得(給与)を証明するもの
  • ドイツで有効な健康保険の加入証明

が必要です。ただ、現地で滞在許可を貰うために大学の担当部署と話をしていると、どうも話が違うらしいということがわかってきます。これらに加えて、以下の書類の提出を求められました。

  • 所有する銀行口座の直近3か月の明細
  • 日本の大学との雇用契約

曰く、前者は滞在費が実際に振り込まれていることを、後者は滞在中の身分を保証するものとして必要だそうです。また、大学の卒業証明(学位の証明)は求められませんでした。担当する外国人局によって提出書類が変わるのはドイツあるあるらしく、留学の受け入れ先部署によくよく聞いて書類を揃えていくべきだなぁと思いました。

ドイツ外人局でのビザ申請を成功させるコツ 

ドイツの滞在許可証(Aufenthaltserlaubnis)ゲット!申請からカード入手までとその後: はねうさぎドットコム

 

ここで問題が生じたのですが、私は今回の留学にあたってドイツで口座を開かず、基本的にクレジットカードで生活、現金が必要な場合はクレジットカードの海外キャッシングでまかなうということをしています。これはつまり、口座は日本で使っているままで、この口座の(英語での)直近3か月の明細が必要という状況になったわけです。

 

まず、日本の銀行に国際電話で問い合わせをしました。ちなみに国際電話はSkypeで掛けたんですが、従量制でもバカみたいに格安で、30分掛けてもクレジットが100円減ったかどうかくらいの安さでした。

格安の国際通話が可能な "Skype で電話と通話" プラン | Skype

 ここでは、本人が来店しないと明細は出せないということで、この方法を諦めました。

 

次に、幸いにして私が使っていた銀行はデュッセルドルフに支店があったので、そこに問い合わせをしてみました。しかし、「法人営業のみ」ということでけんもほろろに断られました。まあ、よく考えてみるとそりゃそうかという感じなんですが…

 

ここで、大学の担当部署を通じて外国人局に「Webで日本語明細が出せるので、それをドイツ語に認証翻訳したもの」で許して貰えないか交渉をして貰いました。その結果、それでよしということになったので、少し高くつきましたがデュッセルドルフで日独認証翻訳をやっている事務所を探し、翻訳を作成して貰いました。

 

雇用契約書については、着いてから言われたので勿論持ってきていませんでした*9。そこでこれも大学の担当部署と持ってきた書類を見ながら相談したところ、滞在費用の証明に「Full-time Assistant Professor of XXX」という文言が入っていたので、これでごり押せるんじゃないかという話になりました。当日まで若干不安ではありましたが、大学の担当者がついてきてくれて通訳をしてくれたこともあり、9月10日(滞在開始から2か月強)に無事ビザを貰うことができました。

 

今後行く人への教訓としては、「書類はWeb等の情報を鵜呑みにせず、必ずビザ発行を行ってくれる機関の担当者に聞いて言質を取ること」「齟齬が起きないよう、間にドイツ語が出来る大学担当者に入ってもらうこと」が挙げられると思います。

 

あとは、人にもよると思いますが、私はこの手の手続きで物凄くメンタルが削られて進捗にも悪影響が出るので、研究に集中したい人は出来る限り日本でビザを取ってきた方がよいと思いました。全ての書類仕事を消し去りたい…

 

ドイツ(デュッセルドルフ)の生活環境

前回のボストンの経験から、Airbnbで一か月分くらい探して現地で探すかくらいのことを思っていましたが、思いのほかあっさりと決まりました。というのも、大学の国際化担当部署が英語でやりとり可能な不動産屋を紹介してくれ、そこで行く前にそこそこの値段の家具付きの部屋が見つかったのです。

 

大家さんも英語は片言ですが喋れるので便利ですが(ドイツは割に英語が通じるが年配の人は話せない人も多い)、ドイツ語を学ぶモチベーションは完全に消失しました…食べ物の語彙しか増えていない…

 

ドイツにおける生活は、日本よりもおおらかな人が多いという感じです。後ろに行列があってもそれで急ぐみたいなこともなく、また並んでいる人たちもそれを当たり前に受け入れています。公共スペースの子供にも寛容で、心に余裕があっていいなぁと思います。

 

一方で、街は思っていたほど綺麗ではないです。ガムやタバコの吸い殻などが無限に落ちていますし、落書きも多く、歩きタバコもそこら中にいて副流煙を吸います。ただ、そうした街の感じほど(普通に暮らしていれば)危険な感じはしないので、やっぱり豊かな国なんだなと思います。

 

また、デュッセルドルフにはヨーロッパで最大級の日本人コミュニティがあり(5000人くらいいるらしい?)、日本食材や日本料理屋にアクセスすることが容易です。家族も英会話教室などで知り合いを作ることができたようなので、家族連れで留学するには楽な場所でした。

 

ドイツ料理は、僕はシュニッツェルが大好きなので外食時にはちょくちょく食べるのですが、最近食べた翌日に胃もたれがあることがあって歳を感じます…揚げ物は若いうちに食べたいだけ食べるべき。

 

前回(ボストンへの企業インターンシップ)とのdiff

私は2013年にも企業インターンシップで3か月海外に行っていて(ボストンの飯事情 - あしたからがんばる ―椀屋本舗)、そのあたりの詳細は前回の研究留学ACで書いたのですが、その時との主なdiffは

  1. 前回より期間が長い(3ヶ月->6ヶ月半)
  2. 今回は家族連れ(前回は一人)
  3. 日本の学生の研究指導をリモートでやる必要がある

あたりかと思います。特に教員が留学をするという場合、3を避けるのはなかなか難しいですし、また学生の頃とは違って自分の研究だけに没頭できる感じではない(留学中も会議・イベントのオーガナイザや査読、エディタの仕事は普通にある)という点が難しさだとは思いましたが、このあたりはもう期間をしっかり設定するしかないのだと思います。前回は3ヶ月で論文を1本書いたので、今回は6ヶ月で2本書けるのでは?とか思っていましたが、普通に1本が限界な感じがします…ただ、やはり時差分自分だけの時間が取りやすいというのも事実だと思いますので(お昼以降はほとんど日本からのメールは来ない)、なかなか自分の時間が取れない教員は思い切って留学に行くという選択肢もあるのではないかと思いました。特に助教の間は学生の面倒を見つつ主著も書くというバランスを要求されるので、主著が書けてないという先生方には留学はお勧めです。

 

まとめ

研究留学は、普段と違った環境に身を置いて、普段と異なる方法を試すためには絶好の機会だと思います。私は教員として留学しているので、他の学生留学をしている人たちと毛色が違うかもしれませんが、学生の頃の留学は研究にしっかりと向き合う機会になると思います。また、教員として行くのも再度自分の研究テーマと向き合う良い機会になると思いますので、この記事がどなたかの後押しやきっかけになってくれればと思います。あとは、留学中の進捗管理はきっちりと。

 

*1:あとで師匠に聞いた話では、さきがけにせよCRESTにせよ、自分の近い分野で公募があるというのはそうあることではないので、チャンスだと思ったら絶対に応募すべきということだそうです。

*2:さきがけでは半年に一回、研究統括やアドバイザーの前で研究進捗を報告する領域会議というものがあります。

*3:最近のCSでは稀によくある

*4:日本のグループは現在学生10人

*5:レストラン案内、バス乗り換え案内など明確なタスクゴール達成を目指す対話

*6:そもそもドイツの博士課程はPIの助手として雇われながら長い期間掛けて取るのが割と普通のよう

*7:日本だと博士在学中の金銭負担が本人持ちなので、経済面が大きな壁になることも多い

*8:採択率は30%くらいなので4,5件は通って欲しい…

*9:そもそも雇用契約書は日本語では…

2019年投稿シーズンの反省

EMNLPの採否通知も終わり、今年開催の主要な会議の通知が大体終わったので(まだASRU, INLGが残っているが)、パフォーマンスがどうであったか、来年に向けての反省を書いていきたい。特に今年は戦績がひどかったので、何が原因かということも含めて考えたい。

 

  • AAAI: 2件投稿, 0件採録 -> 2件ともAAAI-DeepDial workshopへ再投稿
  • ICASSP: 1件投稿, 0件採録 -> INTERSPEECHへ再投稿
  • IWSDS: 1件投稿, 1件採録(主著)
  • NAACL: 不戦敗
  • IJCAI: 不戦敗
  • AAAI-DeepDial workshop: 2件投稿, 2件採録
  • ACL: 3件投稿, 0件採録 -> 1件はACL-ConvAI workshopへ, 1件はSIGDIALへ再投稿, 1件は未成仏
  • ACII: 2件投稿, 0件採録 -> 1件はICMI-workshopへ, 1件はASRUへ
  • INTERSPEECH: 2件投稿, 1件採録 -> 1件はASRUへ
  • ACL-ConvAI workshop: 1件投稿, 1件採録, Best paper award
  • SIGDIAL: 2件投稿, 0件採録 -> 1件はINLGへ再投稿, 1件は未成仏
  • EMNLP-IJCNLP: 不戦敗
  • ASRU: 2件投稿, 結果待ち
  • INLG: 1件投稿, 結果待ち
  • ICMI-workshop: 1件投稿, 結果待ち

 

こうして見ると、採択率の低い難関会議(AAAI, NAACL, IJCAI, ACL, SIGDIAL, EMNLP-IJCNLP)に限って言えば7戦0勝とほんとに戦績がひどい*1。40-50%の会議やワークショップはそこそこ通っているが、それでもチャンスレートくらいでなかなか勝ちパターンに乗ることができない。

 

原因はいくつか考えられるが、直前に投稿を決めて十分な準備ができていないこと、締切の近い手近なところに毎回投稿してしまっていて、十分に時間をかけて研究を練ることができていないというのが一番の問題な気がする。勿論私自信の添削能力の限界もあるが。

 

あと、共著者が「まあこれは通るでしょう」と言ったものも結構落ちたりしているので、あまり無難なテーマ選択ができていないということもある気がしている。会議のフォーカスを絞り、そこに向けて計画的にリソースを投入するということが出来ていない。

 

リソースという意味では、査読や会議運営に結構時間を取られており、そちらでどの程度リソースを使っているのかも考える必要があると思う。2019年開催の会議で査読、PC等を引き受けたものは以下の通り。

 

  • AAAI
  • AAAI-workshop DSTC7 (PC)
  • IWSDS
  • HRI
  • ICASSP
  • IJCAI
  • ACL
  • ACL best paper award
  • INTERSPEECH
  • SIGDIAL
  • CoRL
  • ICMI-CATSLU
  • ASRU

 

投稿会議の幅が広いのもそうだが、様々な分野に顔を出し過ぎていて明らかにコスパがよくない。特に出していないのに査読をやっている会議やワークショップは、引き受けている場合ではない気がする。

 

また、投稿数を見ると20件だが、再投稿が多く件数の総数としては11件しかない。関わっている学生の人数を考えると、出すべき会議にはもう少し出す人が増やせるようなループをチームとしてうまく考えていかないといけない。

 

このあたりを踏まえて、来年は活動領域を少し絞ろうと思う。具体的には、

 

  • NAACL/ACL
  • SIGDIAL
  • SLT (ASRUと隔年開催)

 

あたりへもうフォーカスして、少し質・量を上げた投稿ができるように頑張りたい。まあAAAIはもうじき締切が来てしまうのだが、今から立て直そうにも、今実験結果のないネタは間に合わないと思うので。あと、投稿しない会議はもう査読を断ろうと思う。

 

 

*1:SIGDIALは例年40%前後の採択率だが、今年は10%以上採択率が下がってかなり厳しかったので入れた。

推薦状の書き方

最近推薦状を頼まれることがボチボチあるので、メモ書き程度に残しておく。

まず、基本的な書き方は以下を参照した。
推薦状について

推薦状は3〜4パラグラフで構成する。第1パラグラフで被推薦者との客観的な関係について述べる。学生であればいつからいつまでどういう立場で指導しているのか、同僚や一緒に仕事をした人であれば、どういう立場関係でどのような仕事をしたのか。
第2パラグラフではその関係性において被推薦者がどのようなパフォーマンスであったのかについて、客観的な指標を添えて述べる。指導学生であれば研究テーマは何だったか、どのようなモチベーションで行ったのか、研究を主体的に進めていたか、取り組んだ研究テーマを学会等で発表した場合はどのような学会で発表したか、査読ありかなしか。ない場合は査読あり会議に投稿する水準まで達したか。業績が国際競争力のある水準かどうか。RAなどをしているかどうか。自身の授業を取った場合、その成績についても言及する。同僚や一緒に仕事をした人の場合、互いの役割分担がどのようなものであったか、相手の仕事がどの程度重要であったかについて客観的に述べる。
第3パラグラフでは、被推薦者がこれから応募しようとしている仕事先、アワードなどで仕事を行うのに必要な能力を有するか、日常接している状況からの判断を記載する。語学能力や留学生と積極的にコミュニケーションを取っているかについてもここで記載する。また、締め切りを守っているか、自己管理能力があるか、研究ミーティングで過不足なく情報を伝えて議論することができるかなどについて。
第4パラグラフは、相手に被推薦者を強く推薦したい場合に記載する。被推薦者が学生の場合、これまで見た学生の中で上位5%、10%などと言える場合は積極的に推薦をする。

ボストンの飯事情

研究留学 Advent Calendar 20172日目の記事です。
実際に海外インターンでボストンに行ったのは2012年12月なのでもう5年(!)も前のことなのですが、今回は少し目線を変えて、研究留学中の飯事情についてお話ししたいと思います。5年前のことですので多少事情が変わっているところがあると思いますので、そのわたり割り引いて読んで頂ければと思います。ちなみに、詳しくは
J1 VISA 取得への道 - あしたからがんばる ―椀屋本舗
アメリカインターン生活 - あしたからがんばる ―椀屋本舗

あたりをご参照頂ければと思いますが、テンプレートに従って書いておくと、

といったところです。実はこれまでにも海外インターンは何度かアプライしておりようやく行けた感じですが、運が結構あると思います。私の研究分野は2011年にSiriが出てから、急速にバズって研究人口と比較してインターンポジションなどが増えました。通常アメリカのPhD学生と比較すると日本の学生はビザや航空券の費用等から敬遠されるのですが、他に競合する人がいなくて行けた感じです。


さて、タイトルにある本題ですが、海外生活では飯が合う、合わないは結構大きな問題となります。アメリカの中でもボストンは大学が多いだけあって飯事情は良い方ですが、それでも飯が合わなくてつらいと言っている人はいたりしました。

まず、一番大きいのは値段です。海外出張でアメリカで外食となると1食20$くらい覚悟するのですが、ボストンは学生が多いだけあって1食10$くらいで収まることが多かったです。それでも日本と比較すると倍ですが、インターンで貰える費用も日本よりだいぶ多い(現職の初任給よりもアメリカで貰っていた給料の方が多かった)ので、10$だとかなり安いやんけ!という感じです。


その10$で何が食えるかという話ですが、まず一番多いのは定番のサンドイッチです。こういう飯やタコスであれば、10$もあれば御釣りがくるくらいで無限に腹いっぱい食べることができます。正直日本でこのクオリティを食べようと思えば同じくらいかもう少し高くなるのでは?と思うので、これはこれでよいです。




とはいえ、毎日サンドイッチじゃ飽きるんじゃ!というのももっともな話です。向こうで知りあった人でも、とにかくサンドイッチ以外のものを食べたい、と言っている人がたくさんいました。そんな時に頼りになるのが中華・イタリアンです。会社の周囲に中国人、イタリア人(?)がやっている中華、イタリアンが存在し、そこで無限にうまい飯を食うことができました。このあたりも予算は10$です。また、近所に学生街があり、そのあたりまで足をのばすとタイ、インド、ケバブなどのうまい店があります。ちなみに、ピザはアメリカ料理では?という話がありますが、アメリカンなピザ屋というのは店構えでわかるという感じです。


大体ちゃんとその国の人がやっている店というのは大体うまいのですが、日本食はその他のアジア人がやっているというケースが多く、そうした店の味は正直うーん…という感じです。ちなみにこの画像は北京東京というお店で出てきたSushi Pizzaというメニューなのですが、生地はチヂミ、載っているのはきゅうりとマグロ、かかっているのはサウザンアイランドドレッシングで、どの辺が日本食やねんという感じになりました。だいたいこういう店では、Teriyakiがマクドナルドのテリヤキソースみたいな味で食べられて安パイという感じがしました。

ちなみにダウンタウンまで行けば日本人が作るこうした寿司を食べることができますが、あんまり行くことはなかったです。

とにかく出汁を使った料理というのが向こうではなかなか食べられないので、そういうのが好きな人には少しつらいのかもしれません。昆布やかつお節などは近所に日本食スーパーがあるので買うことができますが、正直高いです。私が日本食スーパーで一番買っていたものは柿の種でした。

また、とにかく焼けばうまいものはうまいですが、凝った調理法の食べ物を外で食べることは期待しない方がいいのかもしれません。自炊をしようにも、大体の場合高すぎてルームシェアに住むことになりめいめいが料理をするという感じなので、調理場を長時間占有するのは難しく凝ったことはしづらいかな?と思います。

これらの多くはお昼で、インターンに行ったチームがお昼はみんなで外食をするという習慣があったので、それに連れられて行ったお店がほとんどでした。夜は飲む時以外は自炊をすることが多く、毎日のようにパスタを茹でていました。ちなみにルームシェアをしていたベトナム人は毎日辛ラーメンで鳥を茹でて食っていたのですが、昼を外でたくさん食べるので夜そんないらんよねー、という話をしていました。


ボストンはシーフードが有名ですが、クラムチャウダー、牡蠣、カラマリなどは確かに美味しかったです。ただ、こういう名物系は普段食べるという感じではなく(カラマリは飲みにいったら頼みますが)、値段も結構しました。あと、ボストンがあるマサチューセッツはアルコールに結構厳しいらしく、スーパーでもアルコールが売っていない店が結構あり、店で飲むときも確実にIDを求められるのでパスポートを持ち歩いていました。


最後に、アメリカは近年ラーメンブームらしく、結構いろんなところにおいしいラーメン屋があるのですが、ボストンには当時から夢を語れが進出していました。夢を語れというのは二郎インスパイアで京都・一乗寺に本店があるラーメン店です。ボストン店は、本店を開いた店主が直接開きに行った店で、「にんにく入れますか!」というコールと一緒に、普通に美味しい二郎が食べられます。地下鉄のRed LineのHarvard Squareから歩いてすぐの場所にありますので、並んでいますが、是非ボストンに行かれた際は夢を語れに寄ってラーメンを食べて頂きたいと思います。


アメリカは飯がうまくないという話をあちこちで聞きますが、そんなことを感じることもなく帰国時に3kgくらい太って帰ってきました。街にいろんなところから人が集まってくるから、ということもあるのかもしれませんが、様々な国の本場の味を感じることができたように思います。また、うまい飯屋を探す時は、その国の人間がやっていそうな飯屋を探せ、というのが鉄則ではないかと思いました。

皆さんも是非、その土地で食えるうまい料理を見つけて楽しい留学ライフを送りましょう!

博士課程一問一答

9月にDを取って、今PDです。


Q1. 博士課程ってなんですか

A1. 気になる人は進学してみるといいと思う。

Q2. なんで博士課程に進学するんですか

A2. 研究者として独り立ちしたかったから。

Q3. 普段どんな生活してんのさ

A3. 大学の近所に住んでた時は10時とか11時に起きて、12時前にラボに行ってごはんを食べて、19時くらいに晩ご飯を食べに出て、24時過ぎたくらいにラボを出て27時くらいに寝る。今は遠くに住んでいるので、8時とかに起きて10時過ぎくらいにラボに行き、12時にごはんを食べて20時過ぎくらいに帰って帰ってからごはん食べることが多い。寝るのは25時くらい。

Q4. 在学時の金銭問題に関して一言

A4. 1,2年時はRA+JASSO奨学金(半額免除)、3年時は学振DC2で年240万(税・保険等引前)くらいはあったのでまあ何とか生きていけた。

Q5. 学振について

A5. 三度目の正直。通った人に読んでもらうのが一番だと思う。

Q6. インターンについて

A6. 国内研究所2つ、海外研究所1つ。海外は行きたい行きたいわめき続けていたらなんか行けるようになった。みんな若いものには寛容なので、若いうちはやりたいことやってみるといいと思う。

Q7. 楽しいこと3つ

A7.

  • 研究楽しい。
  • 頭いい人たちに囲まれるので楽しい。
  • 時間が自由。

Q8. つらいこと3つ

A8.

  • 研究がうまくいかないとつらい。
  • 周りが頭良すぎてつらい。
  • 締め切り前はつらい。

Q9. 現時点で後悔していること

A9. 探せばあるかもしれないけどその分いいこともあったので特にありません。

Q10. 博士課程に向いている人

A10. へこたれない人。へこんだら一晩寝て次いきましょう。博士に限らないけど、人の悪口とかは言わない方がよさげ。

ゼロ照応解析について

昨日先輩の公聴会に行って、ゼロ照応解析の話を聞いたのでいくつか思ったことを。
まずゼロ照応解析とは、述語項構造における省略された必須の格を復元したもの。例えば、

彼はクラシックが好きです。
昨日も聞きました。

の例だと、後者の”聞きました”のガ格(主格のようなもの)は一文前の”彼”になる。この場合、後者の”聞きました”のガ格にゼロ代名詞(つまり必須格の省略)があると見なし、そのゼロ代名詞が一文前の”彼”を照応しているという解釈をする。つまり、

彼は クラシックが 好きです(ガ格:クラシック)。
昨日も 聞きました(ガ格:φ1, ヲ格:φ2, 時間:昨日)。
φ1=彼, φ2=クラシック

というような解釈になる。昨日の話はこのゼロ照応に、外界照応(文書内に照応先がなく、外界の何かを照応しているような場合)で著者、読者を指す場合を導入するという話だった。詳しく知りたい場合は以下を参照されると良い。

"Japanese Zero Reference Resolution Considering Exophora and Author/Reader Mentions"
Masatsugu Hangyo, Daisuke Kawahara, Sadao Kurohashi.
In Proc. of EMNLP 2013, pp. 924--934, 2013.


述語項構造解析をしたい場合、まず述語となる用言及び事態性名詞を探し、次にその述語の必須格の推定をした上で、最後に格要素が何かを当てる必要がある。述語の必須格の推定は、人によってゼロ代名詞検出と言ったり、述語語義の推定と言ったりする(=述語語義が定まれば必須格はわかる)。ちなみにこの必須格の推定をサボると、推定精度が10%以上ガタ落ちする(以下の論文Table2のw.o. feat. (3))。

"Predicate argument structure analysis using partially annotated corpora"
Koichiro Yoshino, Shinsuke Mori, Tatsuya Kawahara.
In Proc. of IJCNLP 2013, pp. 957 -- 961, 2013.


ただ、1、2段階目の述語となる用言及び事態性名詞探し、述語の必須格の推定は人間にも難しいようだ。コーパスを作る際のアノテータのアノテーション一致率の話があったが、これらがGivenでないと人間のアノテータもかなりの割合で間違うようだ。特に、事態性名詞を述語と認定せずアノテーションが全くなかったり、存在する格でも存在する場合・しない場合があるものがかなり難しいらしい。この問題は格フレームでだいぶ解けるということらしいが、どれくらいの適合率・再現率で解けるのかということは少し気になる。あと、基本的に格に入るものは1つになるというのがアノテーションの常道で、2つ以上ある場合は照応として認定することになるのだが、これらは同時に解いても良いんじゃないかと思う(並列と照応をどう扱うかという問題があるのだが)。


あとゼロ照応に限らず述語項構造解析一般の問題になってくるのだが、述語項構造解析は一般には係り受け解析の後にやることになっている。もちろん述語に対する項の関係というのは係り受けの辺上に付くというのは大原則だし、その前提からゼロ代名詞という考え方が出てくるのもわかっている。しかしその上で、述語項構造解析における係り受け情報の寄与がどの程度あるのか、ということが前から気になっている(調べる時間がない。つらい)(松本先生にも突っ込まれた)。