Illustrator CC 2019で、環境設定の「選択された文字の異体字を表示」をJavaScriptで切り替える
はいこんにちは。
Illustrator CC 2019の環境設定には[選択された文字の異体字を表示]なる設定があるのですが、どうもこれがクリックで切り替えられない呪いがかかっているらしい。Windowsでは試してないのでわかりませんが。
Illustrator CC 2019の[異体字を表示]オプションをオフにできないことがあるときの対処方法 | DTP Transit
上の記事ではタブキーでフォーカスして……と書いてあるのだけど、それすら私の環境ではできなかったのです。
というわけで、この呪いを解く呪文を考えました。
結論
先に呪文だけ書いておきます。
var bool = app.preferences.getBooleanPreference("text/enableAlternateGlyph"); app.preferences.setBooleanPreference("text/enableAlternateGlyph", !bool);
実行するたびに設定が切り替えられます。
オフにするだけなら
app.preferences.setBooleanPreference("text/enableAlternateGlyph", false);
でOK。
過程
せっかくなので、作る過程を書いておきます。
呪いだけ解きたい人はこの先は読まなくてもいいです。あと、Mac前提で話をしますがたぶんWindowsでも同様に見つけられると思います。
前提として、Illustratorの環境設定をJavaScript(ExtendScript)で制御することは可能。
ただし、そのためのプロパティ(各設定に対応するキー名)はスクリプティングの資料には載っていない。なんでだよ。
Illustrator preferences 1 - 手抜きLab@DTPの現場
preferences keeper (AI preferences 2) - 手抜きLab@DTPの現場
抜き書きしたものをGitHubに共有してくれているのだけど、
この中にそれらしい名前のものは見つからなかった。
しかたがないので自力で探すことにする。
Preference Key for Illustrator | Adobe Community
このスレッドによると、Illustrator SDKをダウンロードすればドキュメントの中に手がかりがあるらしい。
というわけでダウンロード。
https://console.adobe.io/downloads
Illustrator CC 2019 SDKを選んでダウンロード。
dmgファイルなので、マウントしてdocs/references/sdkdocs.tar.gzを展開。sdkdocs/index.htmlを開くとリファレンスが見られます。
(このへんはWindowsだと違うかもしれません)
Suite > AIPreferenceSuite を開くと解説が載っている。
For predefined prefixes and suffixes of application and Adobe plug-in preferences, see AIPreferenceKeys.h.
とのことなので、AIPreferenceKeys.h File Reference(_a_i_preference_keys_8h.html)を開く。
適当に「alternate」とか「glyph」とかで検索し、それっぽい物を発見。
#define kAIPrefTextEnableAltGlyph ((const char*)"text/enableAlternateGlyph")
Making Alternate Glyph Widget on screen visible.
よくわかんないけどこのtext/enableAlternateGlyphあたりがキーだと思う。なんとなくだよ!
環境設定の値を取得するときは(Boolean値の場合)
app.preferences.getBooleanPreference("キー");
でできるようなので、まずはキーがあってるか確かめる。
$.write(app.preferences.getBooleanPreference("text/enableAlternateGlyph"));
trueが出力されたのでたぶんあってる。
設定をオフにしてみる。こちらはsetBooleanPreference()を使う。
app.preferences.setBooleanPreference("text/enableAlternateGlyph", false);
IllustratorのGUIで確かめてみたところ、ちゃんとオフになってる!
解呪成功!!
せっかくならオン/オフを切り替えられるようにしたい、ということでちょっと修正。
冒頭に書いたものとおなじです。
var bool = app.preferences.getBooleanPreference("text/enableAlternateGlyph"); app.preferences.setBooleanPreference("text/enableAlternateGlyph", !bool);
これで実行するたびに切り替わるようになりました。
以上です。あ、そういえばどうもお久しぶりです。
InDesignのパネルメニューをJavaScriptから実行するときはパネルがvisibleな必要がある
タイトルで用は済んでるのですが、忘れないようにもう少しメモしておきます。
以下、OSX10.9 + CS6を前提に書いたものです。
直接DOMをいじるよりInDesignのメニューコマンドを叩いてしまうほうが処理が楽なことって結構ありますが、パネルメニューの場合はそのパネルが表示状態になってないと動きません。
表示状態というのはパネルのメニューボタンが押せる状態のことで、他のパネルとくっつけてタブ表示された状態であっても、それが背面になっていたら動かないってことです。
なので、MenuActionオブジェクトをたどるだけじゃなくて、パネルの表示状態も変更する必要があります。
// サンプル // 各スタイルで未使用の項目をすべて削除する // 空のドキュメントだと[基本○○]とかを消そうとしてエラーになるので注意 (function(){ // パネル名を処理したい順に並べておく var arr = ["オブジェクトスタイル", "表スタイル", "セルスタイル", "段落スタイル", "文字スタイル"]; for(var i = 0, len = arr.length; i < len; i++){ app.panels.itemByName(arr[i]).visible = true; // ★ここで表示状態にしてる var menu = app.menus.itemByName(arr[i] + "パネルメニュー"); menu.menuItems.itemByName("未使用をすべて選択").associatedMenuAction.invoke(); // 未使用のものがなかったらエラーになるのではじいておく try{ menu.menuItems.itemByName("スタイルを削除...").associatedMenuAction.invoke(); } catch(e){} } }());
リハビリ的エントリでした。
InDesignのDOMをprototypeで拡張するメモ2
昨日かいたやつがeveryItem()やitemByRange()で取得したオブジェクトに対応できてなかったことに気付きまして。
twitterで騒いだところ、判別しないで対応すればいいじゃないと教えていただきました。
https://twitter.com/peprintenpa/status/570915349459136512
というわけで、書き直し。
(function(){ // Paragraph拡張 // 引数に指定した数値ずつサイズを下げる。単位は無視して数値しか見ない // 成功するとtrueを返す Paragraph.prototype.downSize = function(num){ var arr = this.getElements(); for( var i=0, len = arr.length; i<len; i++ ){ var tmp = arr[i]; var origin = tmp.pointSize; var size; if( num.constructor.name != "Number" ){ throw "downSize Error: 引数が数値ではありません"; } size = origin - num; if( size <= 0 ) { throw "downSize Error: これ以上サイズを下げられません"; } tmp.pointSize = size; } // ループ終わり return true; } // 例:全ページの「target」って名前のテキストフレーム内の全段落のサイズを1下げる try { app.activeDocument.pages.everyItem().textFrames.item("target").paragraphs.everyItem().downSize(1); } catch(e) { } }());
最近everyItem()の便利さにちょっと目覚めました。
InDesignのDOMをprototypeで拡張するメモ
自分で書かないと忘れるのでメモしておきます。
たとえばParagraphに「指定した数値だけポイントサイズを下げる」ってメソッドを生やすとか。
(function(){ // Paragraph拡張 // 引数に指定した数値ずつサイズを下げる。単位は無視して数値しか見ない // 成功するとtrueを返す Paragraph.prototype.downSize = function(num){ var origin = this.pointSize; var size; if( num.constructor.name != "Number" ){ throw "downSize Error: 引数が数値ではありません"; } size = origin - num; if( size <= 0 ) { throw "downSize Error: これ以上サイズを下げられません"; } this.pointSize = size; return true; } // 例:段落が一行におさまるまで0.5ずつ文字を小さくする // エラー投げられたら止まるようにしておく var p = app.selection[0].paragraphs[0]; while(p.lines.length > 1){ try { p.downSize(0.5); } catch(e) { alert(e); break; } } }());
エラー処理はてきとーです。
Paragraph(インスタンス)のpointSizeの値しか見てないので、段落内で文字サイズが違う場合対応できない。実験だとpointSizeは最初の文字のサイズが返ってきてるみたい。
Adobe ExtendScriptのプリプロセッサディレクティブ
ExtendScriptって名前、検索しづらいにもほどがあると思います。どうもこんばんは。
スクリプトをいくつかのファイルに分割したり、単機能のライブラリとして読み込んだりしたいとき、#includeディレクティブ(指示文)を記述するとインクルードすることができます。
他にも#targetとか#targetengineだとかあって、使うたびに調べてて面倒になったのでまとめておこうと思いました。
元ネタは「JavaScriptToolsGuideCC.pdf」。Mac 10.9 + ExtendScript Toolkit CCでの実験結果を含みます。
書き方
#include "file1.jsxinc;folder/file2.jsxinc"
Cとかに似てるそうですね、知らんけど。
ポイントは以下の通り。
各ディレクティブ説明
指定できるディレクティブは以下の6つ。
- #include
- #includepath
- #script
- #strict
- #target
- #targetengine
順番にいきましょう。
#include
#include "../folder/file1.jsxinc"
他のスクリプトファイルをインクルード(読み込んで実行)します。相対パス、絶対パスどちらも使えるっぽいです。
ちなみに.jsxincというのは普通の.jsxファイルの拡張子を変えただけのファイルです。インクルード専用のファイルだということを明示するために付ける拡張子。InDesignのスクリプトパネルなどから直接実行できなくなります。
ディレクティブは複数書いても大丈夫みたいですね。その場合は上から順に読み込まれます。
#includepath
#includepath "folder1;../folder2"
インクルードするファイル(#includeで記述)のパスを指定します。相対パス、絶対パスどちらも使えます。引数は複数指定可能。
これがなかなかややこしいというか、下手に使うと失敗しそうです。例を挙げると、
#includepath "../lib/folder1;../lib/folder2" #includepath "../lib" #include "multi.jsxinc"
こんなふうに記述した場合、インクルードされるファイルは以下の4つ。(数字)は読み込み順です。
- ../lib/folder1/multi.jsxinc (3)
- ../lib/folder2/multi.jsxinc (2)
- ../lib/multi.jsxinc (1)
- ./multi.jsxinc (4)
最後のは、実行中のスクリプトと同じ階層にあるファイルです。
確かに#include自体相対パスとみなせるので理解はできるんだけど……ちょっと怖いのは私だけですか。主に順番とか。
面倒なので実験はしてないけど、これで#includeが複数あるともっとややこしくなりそうです。
ファイル名をユニークにすること、グローバル変数を最低限にすることが大事っぽい。
#script
#script "Script Name"
スクリプトの名前を指定します。
「The name value is displayed in the Toolkit Editor tab.」って書いてあるんだけど、どこで使われるんだかよくわからない。知ってる人いたら教えてください。
#strict
#strict on
エラーチェックをstrict(厳密)モードにします。
オブジェクトのプロパティがreadonly(読み込み専用)に設定されているとき、通常はスクリプトで上書きしようとしても無視されてそのまま進むだけなんだけど、strictモードがonだとエラーで止まるようになるみたいです。
#target
#target "indesign"
スクリプトが動作するアプリケーションを指定します。
ここで指定しておくと、.jsxファイルをダブルクリックしたとき、アプリケーションを起動して実行するかどうかのダイアログが出ます。指定しない場合はESTKで開くだけで、実行はされません。
おしまい
正直#includepathのとこが書きたかっただけです。
InDesignの段落相互参照をJavaScriptで作る
はいこんばんは。
相互参照の作り方がけっこうめんどくさかったので自分用にメモ。ついでに実験。
10.9 + CS6でしか動かしてません。あと、テキストアンカーへの参照は別の作り方するはずです。調べてない。
必要なものは
- 参照先ドキュメント (A)
- 参照先マーカー挿入箇所(InsertionPoint) (A-1)
- 段落参照先オブジェクト(ParagraphDestination) (A-2)
- 参照元(ソース)ドキュメント (B)
- 相互参照形式(CrossReferenceFormat) (B-1)
- 相互参照挿入箇所(Text系オブジェクト) (B-2)
- 相互参照ソースオブジェクト(CrossReferenceSource) (B-3)
var destinationDoc = app.documents.item("destination.indd"); // A var sourceDoc = app.documents.item("source.indd"); // B var destinationPoint = destinationDoc.(DOMツリー).insertionPoints[0]; // A-1 var destination = destinationDoc.paragraphDestinations.add(destinationPoint); // A-2 var format = sourceDoc.crossReferenceFormats.item("formatName"); // B-1 var sourseText = sourceDoc.(DOMツリー).texts[0]; // B-2 var source = sourceDoc.crossReferenceSources.add(sourseText, format); // B-3 // 相互参照挿入 sourceDoc.hyperlinks.add(source, destination);
で、たとえばこんなのを作れるねっていう思いつき。変数名は上のと一緒にしてます。
// 選択中のテキストと同じ文言をドキュメント内から検索し、まとめて段落相互参照を設定します。 // 辞書系ドキュメントの見出し語を選択して実行→本文中の同じ文言が全部相互参照になるとか。 // 単なるテキスト検索なので精度を上げるには工夫が必要。あくまで例です。 var destinationDoc = app.activeDocument; var sourceDoc = app.documents.item("source.indd"); // 相互参照を挿入したいほうのドキュメント var destinationPoint = app.selection[0].insertionPoints[0]; var destination = destinationDoc.paragraphDestinations.add(destinationPoint); var format = sourceDoc.crossReferenceFormats.item("見出し参照"); // 相互参照形式は事前に作っておく // テキスト検索 app.findTextPreferences = NothingEnum.nothing; app.changeTextPreferences = NothingEnum.nothing; app.findTextPreferences.findWhat = app.selection[0].contents; app.findTextPreferences.appliedParagraphStyle = "本文"; // 念のため段落スタイル指定 var foundTexts = sourceDoc.findText(); // 検索実行 for (var i = 0, len = foundTexts.length; i < len; i++) { var sourseText = foundTexts[i]; var source = sourceDoc.crossReferenceSources.add(sourseText, format); sourceDoc.hyperlinks.add(source, destination); // destinationは使い回せる }
使いどころは限定されると思う。
実際のところ、私が使ったのは逆パターン(選択したテキストから参照先の見出しを探す)のほうだったりします。
そもそも相互参照じたい使ってる人少なそうだけどねー。
PhotoshopドキュメントをJavaScriptで別名保存する
たまにはアプリケーションに特化したことを書こうのコーナーです(今考えた)。
いわゆる「別名保存」はDocment.saveAs()メソッドを使うんだけど、オプション類をいちいち調べるのが嫌になったのでまとめます。
なお、以下はPhotoshop CS6 Javascript Scripting Reference(リンク先PDF)を信用して書いたものです。ESTK付属のオブジェクトモデルビューアよりずっと使いやすいのでおすすめ。
Document.saveAs() 書式
Document.saveAs(saveIn[, options][, asCopy][, extensionType]);
引数 | 型 | 説明 |
---|---|---|
saveIn | File | 必須。保存先になるFileオブジェクト。ここで拡張子つけても無視してpsd形式にされる。他の形式にしたい場合はオプションで指定する必要がある。 |
options | varies (いろいろ) |
保存オプション。ファイル形式、および保存時のオプションを指定する。ファイル形式ごとにオブジェクト(クラス)が異なる。詳しくはあとで。 |
asCopy | boolean | 複製として保存するかどうか。オプション。 |
extensionType | Extension | 拡張子の書式。オプション。 Extension.LOWERCASE 小文字 Extension.NONE 拡張子なし Extension.UPPERCASE 大文字 |
保存先Fileオブジェクト
var fileobj = new File("ファイルパス");
とかして作ればいいんじゃないですかね(投げやり)。
保存オプション
オプションは保存形式ごとに別々のクラスが用意されている。ふつうにGUIで保存するときもそうだけど、形式によってオプションがまるで違うからだと思う。
例えばjpg形式なら、
var saveOptions = new JPEGSaveOptions; saveOptions.embedColorProfile = true; saveOptions.formatOptions = FormatOptions.STANDARDBASELINE; saveOptions.quality = 12; // 他、各プロパティを設定 app.activeDocument.saveAs(fileobj, saveOptions, false, Extension.LOWERCASE)
って感じでオブジェクトを作ってから、saveAs()実行時に引数として渡す。
- BMPSaveOptions
- DCS1_SaveOptions
- DCS2_SaveOptions
- EPSSaveOptions
- GIFSaveOptions
- JPEGSaveOptions
- PDFSaveOptions
- PhotoshopSaveOptions
- PICTFileSaveOptions
- PICTResourceSaveOptions
- PixarSaveOptions
- PNGSaveOptions
- RawSaveOptions
- SGIRGBSaveOptions
- TargaSaveOptions
- TiffSaveOptions
とりあえず順番にいきましょう。これ使うの?ってのもあるけど。