窓の向こうに

月に数回映画館に通う程度の映画ファンです。自分が見た映画やドラマの感想を書いています。

「虎に翼」(018)

第04週「屈み女に反り男?」(水)

放送日

  • 2024年4月24日

概要

親睦を深めるためハイキングに行くことになったが、花岡たちの態度に溝を感じ、浮かない気持ちの寅子。梅子は三男・光三郎を連れてきて、皆で楽しくおにぎりを食べる。だが小橋らが光三郎の前で梅子の夫にめかけがいることを誇らしげに話す。信じられない思いの寅子たち。梅子の家庭の事情が明らかになる一方、花岡は山道で足を滑らせてしまい……。(NHKオンデマンドの解説より)

小橋、稲垣が光三郎の前で大庭徹男のことを褒める。どうも最近、徹男に酒を奢ってもらったことがあるようだ。バリバリの弁護士で、生徒に奢ってくれる気風の良さもあって、家庭では良き夫、良き父親であり、その上妾もいて……と羨ましがるのを耳にした寅子は激怒。子どもの前でなんという話をするのかと。止めに入った花岡と妾論争になり、妾を正当化する花岡をカッとなった寅子は突き飛ばす。足を滑らせた花岡は……

病院で花岡を気遣う寅子たち。梅子が「家のことがバレちゃった」と告白。長男を生んだ時はよき嫁だと言われたが、結局「腹」だけのこと、子の教育は姑が完全に支配していて梅子は口を挟めず、結果、長男は夫同様、梅子のことを小ばかにするようになった。近い将来、有利な条件で離婚するために法律を勉強していると……

感想

初日にあれほど好印象だった花岡だが、あっという間にメッキが剥げてしまった。要は寅子らとうまく付き合うために、最大限気を遣い、敬意を払って接してきたが、本気で尊敬しているわけではなく、女性全体を下に見ている点は世間の男子と変わらない。一方轟は、男女には差があることを認めつつも、必ずしも女性を下に見ているというわけでもないようだ。

ピクニックに際して、光三郎や玉の荷物を持ってあげるのは、子どもや女は体力に劣るから、力の強い男が助けてやるべきだとの考えからだし、よねが突っかかっていっても「今日は君とは議論をしない」と言って取り合わないのは、ハイキングを楽しく過ごしたいからではあるが、よねとは議論ができると思っているからでもあるか。病院で花岡の様子を気遣う寅子に「あいつは自分で足を滑らせたんだ、気にするな」と声をかけたり、なかなか筋が通ったいい奴だ。

それにしても寅子、法律を学ぶ者であれば、意見が違う相手には議論をして説き伏せてほしい。気に入らないからといって手を出してはいけないと、小橋事件の時に反省したのではなかったか。花岡にもがっかりしたが、寅子にもがっかりした。

花岡の考えのよしあしに決着がつく前に突然梅子の話になってしまったが、梅子が離婚を考えていたのは驚いた。梅子が皆に気前よく甘味をおごったり、お弁当を分けてあげたりしているが、そのお金は旦那の稼ぎであろう。家のことをしている分、梅子にも取り分はあるのではあろうが、ちょっと印象が変わった。

次男はよくわからないが、今のところ三男は梅子に懐いているようだ。跡取りは長男がいるから、次男・三男は嫁の好きに、ということだろうか。



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「ララピポ」(Amazon Prime)

題名ララピポ
原作奥田英朗
脚本中島哲也
監督宮野雅之
出演皆川猿時(杉山博、ライター)、村上知子(玉木小百合)、成宮寛貴(栗野健治、スカウトマン)、中村ゆり(トモコ、デパートガール)、他
制作日本(2009年2月7日公開)
時間94分

雑感

原作を読んで映画化されていることを知り、かつ、アマプラにあることがわかったため、見てみた。30分見たところで離脱。半分も見ないでやめたものを記録しておくことはないのかも知れないが、一応。

下品で下卑たセックスは実写化するとますます救いのない話になる。原作は、ひとつひとつが短編で、かつ、それがつながっていた。つまり、それぞれの事象を二人の人物がそれぞれの側面から語っていたこと、そして一見まるで無関係に見えることが実はつながっていたとわかる点に意味があると思うが、本作はそれを繋ぎ合わせ、単にひとつの長編のようにしていたので、面白みを感じなかった。


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「虎に翼」(017)

第04週「屈み女に反り男?」(火)

放送日

  • 2024年4月23日

概要

特別講師として梅子の夫・徹男がやってくる。梅子の様子がおかしいことに気付く寅子。授業の内容は未婚の女性が犬にかまれて顔に大けがを負ったことを両親が訴えた事件について。梅子をおとしめるような言動の徹男と、それを聞いて喜んでいる様子の男子学生たちに憤りを隠せない寅子やよね。しかし当の梅子はすっかり諦めている様子で――。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

  • 腰を痛めたから授業を代わってくれと穂高教授が徹男に頼んだはずだが、教室から去る穂高教授の足取りは軽やか。嘘をついてまで代役を依頼した意図は?
  • 徹男が取り上げた事件は、被害に遭った女性が未婚の美人だったことから高額の慰謝料(1500円)を取ることができたが、「うちの梅子だったら300円も取れない」などという寒いギャグを披露。これに教室中は笑い声に包まれるが、花岡と轟は笑わない。
  • 授業後、「いつも梅子さんにはお世話になっています」と話しかける寅子らに、「こんなおばさんの相手をするのは大変だろう」などと言い捨てる徹男。恐らく梅子をことさらに貶める意図はなく、謙遜のつもりでナチュラルに言っているのだろう。徹男が発言している間は「すん」としていた梅子だが、徹男が去った後は「授業が終わったら甘いものでも食べに行かない?」と皆を(男子も)誘う。
  • いつもの甘味処に大挙して押しかけるが、偶然そこへ梅子の息子・徹太もやってきた。彼は帝国大学の学生だ(ということが制服・制帽でわかったということか?)それを見て一斉に「すん」となる男子学生。男女だけでなく、学歴その他で、あちこちに壁があるのだ。
  • 休日出勤する直言。はると一緒に映画に行く予定だったが、ドタキャンすることになった。何が忙しいのだろうか? 家族の前では愚痴を漏らさないが、彼も何か抱えているのか?
  • ピクニックの待ち合わせ場所に向かうと、既に男子が数名集まっていた。その中で花岡は、女子をこき下ろすような発言をする。どうやら彼は「男女は平等」だと思っているわけではなく、同じクラスの女子5人は特別なので持ち上げているが、一般の女性は(他の男子同様)下に見ているようだった。その発言を聞いて轟が怒る……
  • 轟は女性を下に見ているのではなく、単に差異があることを指摘しただけだったのかも知れない。花岡は女性の前で恰好をつけているだけで、本心では女性を見下しているのかも知れない。しかし、男同士の社会の中で、単にイキっているだけなのかも知れない。
  • わからないこと、納得がいかないことなどがあると、階段下の優三の部屋を訪ね、話をする寅子はなかなかカワイイ。それに対して、いつも誠実に、そして的確に回答する優三はかなり頭のいい、立派な人物とお見受けする。試験を落第し続けているのは、昼間働いているから勉強時間が決定的に足りないということなのではないかなあ……。



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「虎に翼」(016)

第04週「屈み女に反り男?」(月)

放送日

  • 2024年4月22日

登場人物

  • 戸塚純貴(轟太一、学生)
  • 松川尚瑠輝(稲垣雄二、学生)
  • 正垣湊都(猪爪直明)

概要

本科と呼ばれる明律大学法学部に進学した寅子たち。法改正が行われ、女子も正式に弁護士になるための試験を受けられるようになったことで、いよいよ男子学生には負けていられないと一段と気合いが入っていた。本科では男子学生の花岡悟が待ち受けていたが、花岡は意外にも「これからは男女平等だ」と寅子たちに好意的。自分の偏見を恥じる寅子。対してよねは疑いの目を持っており――。(NHKオンデマンドの解説より)

男子学生からの風当たりが強いのかと覚悟をして教室に入ったら、花岡以下男子学生らが彼女らを「尊敬している」「同じクラスになれて光栄」などと迎えてくれて戸惑う。轟のように女をあからさまに卑下する人もいたが、花岡は「卑弥呼北条政子エリザベス女王……」と名を挙げて反論。「そんなのは一部の、特別な人間だ」と言い返す轟に「彼女らは、その特別な人たちじゃないか」。そして仲が深まる頃、ピクニックに誘われる。それを楽しみにする寅子らだが……

穂高教授はまた腰を悪くし、代理で教えに来たのは大庭徹男、梅子の夫だった……

感想

  • 寅子の飲み方はおやじそのもの。いつの間にこんな豪快に飲むようになった?
  • 優三はいまだに試験に受かっていない。
  • 玉は英語を少し話せる。涼子が直々に教えているそう。
  • 花江は別居した途端に子を授かる。偶然かも知れないが偶然でもないような。
  • 直明が大きくなっていた。
  • 小橋は当時学部生で寅子らより年上かと思っていたが、同級生だった。男子にも予科がありそこへ通っていたということか? だとしたら劣等意識の裏返しだな。
  • あの時は済まなかった、と謝る小橋。反省したというより、あの事件のあとでかなり絞られたのではないだろうか。
  • 男子の分のおにぎりも作って来る梅子。轟はそれをおいしいと、すっかり懐柔された様子(いや、「だから女は飯の支度をしていればいい」と思うか?)
  • 直言はここのところ帰宅が遅く、また飲んで帰る日が多い。何かあった?
  • いきなり「いつも家内がご迷惑をおかけして……」と挨拶する大庭徹男。梅子の家族としてここにいるわけではないのに。



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「虎に翼」(015)

第03週「女は三界に家なし?」(金)

放送日

  • 2024年4月19日

登場人物

  • 岩田剛典(花岡悟)

概要

実際の事件を調べるため、まんじゅうを作ってみることにした寅子たち。すると涼子が急に謝罪したいと言いだす。涼子が調べたところ、学長が元の事件を脚色し、かわいそうな女性を女性たちが弁護しているように見えるよう改変していたらしい。事実を知り、憤慨する寅子やよねたち。一方、花江も抱えていた思いを吐き出す。(NHKオンデマンドの解説より)

寅子たちがまんじゅうを作りながら事件について検討をしていると、まんじゅう作りに協力していた花江が泣き出す、私はみんなの中に入れないと言って。よねが泣き言を言うな、ここにいる人は誰も弱音なんか吐かないと文句を言うが、寅子は弱音を吐いたっていい、何も解決しないけど、受け入れることはできると言う。それを機に皆が弱音を次々に言い出し、花江は「おかあさまが一度も褒めてくださらないのがイヤ」と告白。

そこへ、いつの間にか帰宅していた直道が「わかるよ~」と言いつつ割って入り、「僕にとっては花江が一番」と言いつつ、みんな、思っていることは言った方がいいよ! と勝手にまとめに入るのだった。

翌日、よねは「店のおねえさんに聞いて来た」と言って寅子に生理痛に効くツボ「三陰交」を教える。寅子がクラス中に「お月のものに効くツボですって!」と声をかけると、皆がよねに教えてくれと言って取り囲む……

昭和10年(1935年)、寅子、涼子、梅子、崔香淑、よねの5人は女子部を卒業し、晴れて明律大学法学部へ進学することとなった。それ以外の人は皆辞めてしまったのだ。しかし新人も入学してきて、かろうじて女子部は存続している。今後は男子と一緒に学ぶことになる……

今日のよね

「この人は家事や育児をしながら学んでいる。この人は、国を離れて言葉の壁もある。この人は、常に周囲に行動を見張られて自由もなく、いろんなものに縛られて生きている。そいつは誰よりも熱心に授業を聞いているのに、月のものが重くて授業を休まないといけない。愛想振りまいているからなんでも押し付けられる。……あたしから見れば、どいつもこいつも恵まれて生ぬるい。けどな、これだけは言える。つらくない人間なんて、いない」

今日の寅子

「よねさんはそのまま、嫌な感じでいいから」

感想

昨日は涼子さまの独壇場だったが、今日はもちろんよねの「でれ」がハイライト。わざわざ店のおねえさんに生理痛を押さえる方法を聞き、それを寅子に教えるシーンはSNSでも話題になったが、自分はその前の花江を責めるシーン(上記に引用)を挙げたい。いやいやよねさん、他の人には関心がないふりをしていたけど、よく見てますよね? その頑張りを認めていますよね?

法廷劇は、学長の肝いりで、無知で可哀相な女性を女性法律家が救うという筋書きだったのが台無しになってしまったが、男子学生の妨害に黙っておらず言い返したり股間を蹴ったりした「魔女」たちの活躍(?)が、一部の変わり者の女子には受けた模様で、結果的に新入生増につながったらしい。

あの事件でよねら女子部の人達にどのような処分が下されたのか、男子学生はどうなったのかは触れられなかった。

笠松まつはついに初めてセリフ(「どのあたり?」)が! と歓喜したのも束の間、彼女もやめてしまったとか。残念。



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「虎に翼」(014)

第03週「女は三界に家なし?」(木)

放送日

  • 2024年4月18日

概要

よねは貧しい生い立ちを明かし、涼子や寅子など、同級生らが恵まれていることに憤りを感じることを告白する。かける言葉が見つからない寅子は「毒まんじゅう事件」の実際の判例を再検証しようと提案する。はると花江の力も借り、実際にまんじゅうを作ってみることにする寅子たち。すると、意外な事実が判明する。(NHKオンデマンドの解説より)

法廷劇として取り上げた毒饅頭殺人事件の実際の判例を調べた涼子は、内容が学長によって巧妙に書き換えられていたことを知った。犯人は女給ではなく医師、事件の前に婚約不履行で民事裁判を起こし、慰謝料を得ていたと。恐らく、裁判も知らない無知な女給の方が観客の同情を引きやすいという構図なのだろう。「これで気持ち悪かった理由がわかった」とよねは吐き捨てる……

今日の涼子

「私、今まであなたとなるべくご一緒したくないと思っておりましたの。その、お気立てに、難がおありでしょ?」

感想

よねの壮絶な過去を聞いた寅子らは、何といって声をかけたらいいのか迷いつつ、何も言えずにいたが、よねが「学校を一日も休まず」と言うに及び、「月のものの時はどうしているの?」と突然訊ねる。「あんなもの、血が漏れなきゃいいだろう」というよねに、頭痛くならない? 気持ち悪くならない? と重ねて訊ね、「別に」と言われて「いいわね~」と漏らすのがオカシかった。

こういう時は変に何かを言おうとせず、「お大事に、また明日学校でね」とだけ言ってさっさと帰るのが吉だと自分は思った。が、生理の話に話題転換するのもひとつのアイスブレイクだ。それに、あらゆる点で寅子はよねよりめぐまれているかに見えるが、生理の時に頭痛も腹痛も悪心も起きないよねは、四日は寝込む寅子より、その点では恵まれているのだ。

しかしなんといっても、涼子の報告した実際の判例は衝撃的だった。

シナリオを担当したからだといえばそれまでだが、学長から提供された資料を鵜呑みにせず、この面子の中でただ一人、実際の判例を当たってみたのだ。結婚が厭で大学に逃げている「だけ」の人にそれはできない。勉強熱心を謳うよねだって、調べなかったわけだから。

そして実際の判例と学長の出してきた資料との相違。私は先日来、小橋のしていることは大学がやろうとしていることの妨害・敵対行為であり、それだけで厳罰に値するのではないか、そもそも日頃から大学の「精神」を説いていたら、こんなことはしなかったのでは、と書いた。が、要は発露の方法が違っただけで、学長も小橋もその精神性にあまり違いはなかったということだ。逆に言えば、だからこそこんな学生が生まれたのだろう。

さて、この件はどう決着がつくか。

寅子が母や花江らといっしょに饅頭を作っていて、花江がはるに味見を依頼し、「もっと砂糖を」というお馴染みのシーンも描かれた。もはや、猪爪家の一種の様式美だ。花江はわざとやっているのではないか。ただしこのやりとりに寅子は初めて気づいた様子。花江のもやもやの原因(のひとつ)に思い当たったか。



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「虎に翼」(013)

第03週「女は三界に家なし?」(水)

放送日

  • 2024年4月17日

登場人物

  • 戸田昌宏(緒方、弁護士)
  • 早瀬憩(よね:幼少期)
  • 原愛音(夏、よねの姉)
  • 佐藤誠(よねの父)

概要

寅子たちの法廷劇の幕が上がるが、男子学生・小橋らの妨害によって中止に追い込まれる。騒動は新聞にまで取り上げられてしまい、今後は女性らしいふるまいを、と学長からも注意を受ける。足をけがしたよねを住み込みで働くカフェーに送った寅子たちは、よねが働きながら弁護士を目指していること、貧しい生い立ちと男装の理由、そして世の中を変えようしていることを知る。(NHKオンデマンドの解説より)

今日の寅子

「よねさんの話を、よねさんがいないところで、よねさんじゃない人から聞くのは違うと思うんです」

よねは貧しい農家の家の子だった。姉は15になると女郎屋へ売られた。自分も15になる前に売られそうになった。髪を切り、男として働くから売らないでくれと頼んだがダメだった。だから逃げた。そして「燈台」で住み込みで働かせてもらうことになった。

ある時よねの姉が正当な報酬をもらっておらずネコババされていることを知った。なんとか取り返そうと思ったがどうにもならない。そんな矢先に弁護士と名乗る男が力を貸そうと言ってきた。よねの身体を報酬に……。金は戻ってきたが、姉は置屋を追い出され、次の仕事も決まらず、金を置いて男と逃げた。そして明律大学が女子部を創設するということを知り、必死で勉強して合格した。……

感想

寅子が小橋にスパッと正論を咬ましてくれるのかと期待したが、猫パンチを出しただけだった。その上それは小橋には当たらず、ヤバイと気づいて咄嗟に止めに入った優三をノックアウトしてしまった。怒ったよねは小橋に金蹴りをかますが、そのあと反撃を受けたようで、歩いて帰るのが困難なほど足を傷つけられていた。

よねは計算ずくで小橋を挑発したわけではなかったようだ。あそこで金蹴りを出さなければ、とにかく一方的に暴力を振るわれたとしていくらか断罪できたかも知れないのに。

山下は母親に連れられて帰ってしまった。女子部の宣伝のために企画された法廷劇は、逆効果になってしまったようだ。暴力をふるったよねに処分が下されるのはまあわかるとして、劇を妨害し、中止に追い込んだ小橋にはどんな処分がくだされたのか? 学校経営に深刻な打撃を与えた張本人なのだから、厳罰に処されてしかるべき、少なくとも無罪放免はあり得ないと思うが、少なくとも今日は、その点には何も触れられなかった。

実際問題としては、小橋が最初の野次を飛ばした時点で、総務部長か穂高先生は、なんなら学長が小橋のところまで行って注意をすべきだった。そうすれば騒ぎは回避されたはずだ。自分たちがすべきことをしないで問題を大きくさせておいて、女子に「今後は女性らしい振る舞いを」と注意するのは、教育機関としても問題だと思うが。女性蔑視だけではない、多くの問題がありそうだ。

それはそれとして、よねの語る過去は壮絶だった。

ところで、よねが「私はあんたらとは違う」と事あるごとに言っていたのは、自分の方が上なのだと周囲にマウントを取っていた、と思い込んでいたが、今日の話を聞いて、もしかして「自分は穢れている」との思いからの言葉だったのかも知れないと思い至った。

カフェ「燈台」の増野は、いい人ではあるのだろう。こうしてよねを雇い、学校にも行かせているわけだから。だからといって信用できる人かといえば、それもまた違うように感じる。頼みもしないのによねの過去を寅子らにペラペラ話そうとしたわけで。恐らく店の常連客にも同じように話しているのではないか。もしかしたら裏はなく、「だから応援してあげてね」というだけのつもりかも知れないが、却ってそれで「生意気」と思われる悪循環も起きている。

これから大庭梅子や崔香淑についてもこうしたエピソードが盛り込まれるのだろうか。ちょっとつらい。

それと、もしかして優三さんって徴兵されたりしないよね?



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「虎に翼」(012)

第03週「女は三界に家なし?」(火)

放送日

  • 2024年4月16日

登場人物

  • 中村育二(桜川侑次郎、涼子の父)
  • 平山祐介(増野、カフェ「燈台」店長)
  • 奥田洋平(岸田、桜川家の執事)
  • おぎのさな(山下、明律へ入学を希望する生徒)

概要

悪気なく花江を女中と間違えてしまった留学生の香淑。花江は笑って流すも、寅子には「嫁に来た人の気持ちはわからない」と言う〔引用者注:ここまでは11話〕。そんな折、よねは涼子が書いた法廷劇の脚本を「甘い」と批判。寅子はよねに「人の本気に上も下もない」と反論し、言い合いになる。一方、はるもひそかに花江との関わり方を悩んでいた。(NHKオンデマンドの解説より)

「嫁に来た人の気持ちはわからない」という花江のつぶやきを聞いてしまったはるは、日記に「花江さんが何を考えているのかわからない。彼女を尊重し、優しくしている。女中のような扱いとは?」と書くが、その直後に花江の味付けにごく自然にダメ出しをしていた。

桜川家は三代続いて男子が生まれず、涼子の父・侑次郎も婿で寿子には頭が上がらない。そして寿子にとっては受け継いだ桜川家を存続させることが何より大事。そのためには涼子が早く結婚して子を生すことが最重要なのだ。涼子に向かい「桜川家に生まれた女の務めを果たしなさい」と詰め寄る。おまけに始終ワインを飲んでいる。

よねはカフェ「燈台」でバーテンとして働いている。が、酔客に侮蔑されると言い返し、増野が止めに入る。恐らくこれは年中行事なのかも知れない。「勉強なんかしなくても女は楽に稼げるのに」と言われるのが今のところ最も腹が立つ。こうした世界から抜け出るために誰よりも真剣に勉強をしているのだ。が、級友に食ってかかってばかりいて、寅子に「たとえあなたの本気が勝っているからって、誰かをけなしていいわけじゃない」と言われてしまう。

さて、明律際。寅子らは法廷劇を披露するが、客席からはいつもの男子学生・小橋から心無い野次が飛ぶ。あまりの暴言に怒ったよねが舞台を降りて客席まで文句を言いに行くと、小橋はよねを突き飛ばす……

感想

あの小橋という男子学生は酷い。女子が気に入らないなら見に来なければいいのに、なんでわざわざ文句を言うために劇を見に来たのかがわからないし、気に入ろうが気に入るまいが、公演を妨害するような行為は、主宰者だけでなく他の観客に対しても失礼極まりないことであり、許されることではないと、子どもだってわかる。

明律大学が学長以下、命運を賭けて女性の弁護士の実現に取り組んでおり、この法廷劇も女子部の存続・発展のための一環であるのに、それを邪魔立てするとは、大学に対する重大な反逆である。この一件を以て退学になってもおかしくない。そもそも日常的に女子部の存在意義を教職員が男子生徒らに説いていれば、こんな事態は引き起こされなかったと思うが、事ここに至っても、穂高教授は咳ばらいをするのみで注意に行ったりはしない。

思うに、小橋はいち男子学生ではなく、彼の言うことは世間の集約であり、これと同じことを彼女らはことあるごとにあちらこちらから言われ続けてきたのだろう。彼はその象徴なのだ。恐らく。

小橋がよねを突き飛ばしたのは、先週の話を振り返ると、よねが小橋を挑発してわざと突き飛ばさせたのか、とも思う。観衆の中で女性に暴力をふるったとあれば、たとえたいしたけがはしていないとしても、何らかの処罰は免れないだろうという判断か。が、怒りに火のついた寅子は、明日、彼に何と言うのか……?


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「虎に翼」(011)

第03週「女は三界に家なし?」(月)

放送日

  • 2024年4月15日

登場人物

  • 福室莉音(小泉由紀子)

概要

生徒数が減り、存続の危機に陥る明律大学女子部。宣伝のため二年生の寅子たちは先輩の久保田、中山と法廷劇を上演することになる。演目は実際の判例を元にした「毒まんじゅう事件」。脚本は涼子が担当。よねでさえ、居場所を守るために参加すると言い、喜ぶ寅子。準備のため寅子の家に集まって衣装制作を行うことに。しかし花江は浮かない顔で――。(NHKオンデマンドの解説より)

寅子が入学して一年半が経った。三年生は久保田、中山の二名に、同級生は60人が20人に減り、一年生も42名入学して既に10名が退学。このままでは女子部存続の危機に……

今日の語り

「ちなみに優三さんはまた試験に落ちました」(棒読み)

感想

寅子は生理痛が重く、4日も学校を休む羽目に。朝ドラは女性が主人公であることが多いが、「生理痛」、いや「生理が毎月くるもの」ということを描いたのは初めてではあるまいか。いや110作を数える朝ドラの中でまだ6作しか見ていない自分が言うのもアレだが。女性にはそういう煩わしさがある、辛い人は辛い、ということをきちんと描くことは大切だと思う。どんな作品でも必ず描くべき、とまでは思わないが、これまではなかったことにされ過ぎていたんじゃないか。

前週で花江が、味付けに一度ダメ出しをされたことに一瞬不満げな顔を見せた、それに続きがあるのかと思ったが、それ自体は何事もなく一年半が過ぎた。が、そういう些細なことが織のように花江の中に溜まっているのだろう。

寅子の家にやってきた涼子、玉、梅子、崔香淑らに花江が茶を出すと、友人に女中だと勘違いされる。「寅ちゃんには嫁に来た人間の気持ちなんかわからないのよ」と言われ「はて」という顔をする寅子だが、食事の時に自分は父や兄と一緒に普通に食べているのに花江はおさんどんをしていて席に就けない。そのことに寅子は何も感じていないわけで。壁があるのは世間だけではなく、寅子の心の中にもいろいろあるのだ。

明律大学の幹部連が女子部存続の危機に、どうしたら入学者を増やせるかと頭を抱えていたが、まず男子生徒に女子を虐めるのをやめさせること、トイレの数を増やすことが焦眉の急ではないか。


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「虎に翼」(010)

第02週「女三人寄ればかしましい?」(金)

放送日

  • 2024年4月12日

概要

判決の日。寅子たちの予想は外れ、妻が着物を取り戻すことが認められる。大喜びする女子部の面々だったが、よねだけは「甘い」と怒りを隠さない。裁判には確かに勝ったが、あの女性の受ける扱いは変わらない、と言うよね。寅子は、着物を返還された妻・峰子の「離婚裁判は続くが、最後まで戦う」という言葉に、「法律は盾のように人を守るためのもの」だと考えるようになる。(NHKオンデマンドの解説より)

今日の田中裁判長

民法が夫をして妻の財産を管理させるのは、夫婦共同生活の平和を維持するとともに、妻の財産の保護を目的とするものであること、疑い入れぬことである。だが、本件のように夫婦生活が破綻を生じた事情において、妻が形見の品、かつ、日常生活に必要な品々の返却などを請求することに対し、夫がそれを拒絶することは、法に規定されている権利の濫用といわねばならず、夫としての管理ばかり主張するのは、明らかに妻を苦しめる目的をもってのことにほかならない」

今日の山田よね

「あの男は彼女への非道の仕打ちの償いをすることもない。何も反省しない。きっと彼女にしてきたこと、またほかの女に繰り返す。本来法律は、力を持たないあたしたちが、ああいうクズをぶんなぐることができる唯一の武器。そうであるはずなのに」

今日の寅子とよね

「嫌いな奴のことを知る時間なんて無駄だろう」
「え? 私よねさんのこと割と好きよ。勉強熱心だし、はっきり物事を言うところは私に似ているし、男装姿は似合っているし、何より、知らない誰かのために涙して憤慨するあなたは、とってもすてき」

感想

昨日あれほど気を持たせた判決だが、アバンで決着がついてしまった。あれだったら昨日のうちにそこまでやってもよかった。翌日につなぐためにわざといいところで「引く」のは古今東西当然のように使われる手だが、限度があろう。被告側が「なんだそりゃ、納得いかねえ」といきりたつところで終わらせてもよかったのでは。

それはそれとして、さすがは金曜日、メモしておきたい印象的なセリフが玉ほど登場した。

原告勝訴の理由は、おおむね昨日自分が予想した通りであったのは少々嬉しかった。夫が資産管理をする権利があるのは結婚生活がうまくいっている限りにおいてであり、破綻した後もそれを主張するのは権利の濫用である。よい理論だ。

東田甚太が峰子を殴ろうとした時に「ちょっと待った!」と叫び間に入った寅子は見事だった。一方よねの、「殴らせればよかった、そうしたら私たちが証人になって暴行罪で現行犯逮捕だ」というのも面白い考え方だ。

そのよねは、現代のセクキャバのような喫茶店バーテンダーとして働いていた。あの男装姿はその制服でもあったのだ。あれは実家? 単なるアルバイト? 涼子は母親から「少し日に焼けたんじゃない? 自分の価値というものをもっと考えなさい」と叱られるが、その母は酒を飲んでいる。涼子のことを考えてか、それとも……。寅子の家は裕福で、家族中もよく、寅子は両親や兄に愛されて育った。恵まれた家庭なのだ。しかし、花江とはるの間には何やら不穏な空気が……?



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「虎に翼」(009)

第02週「女三人寄ればかしましい?」(木)

放送日

  • 2024年4月11日

登場人物

  • 飯田基祐(大庭徹男、梅子の夫)
  • 見津賢(大庭徹太、梅子の息子)
  • 筒井真理子(桜川寿子、ユキの母)

概要

傍聴した裁判について尋ねた寅子に対し、穂高は皆で議論してみるよう促す。暴力を振るう夫からなんとかして着物を取り返す方法を懸命に考える寅子、涼子、梅子、香淑。寅子と同じように憤りを感じていたよねも今回ばかりは一緒に頭を悩ませていた。裁判の結果が気になる寅子たち女子部の面々は判決を見届けるため、課外授業として裁判所に向かう。(NHKオンデマンドの解説より)

感想

離婚が成立していない以上、財産の管理権は夫にあり、従って着物を取り返すことは不可能。これが寅子らの出した結論だ。が、諦めきれない寅子は、裁判の傍聴を提案する。これはいいアイデアだった。裁判所は異様な雰囲気に包まれた。裁判官や弁護士はもちろんだが、傍聴人にも普段は女性などほとんどいないであろうところへ、しかも傍聴マニアですら「つまらない」という小さな裁判に、女性が大勢押しかけたのだ。桂場等一郎はお団子を持ったまま覗き窓から様子を伺う。

さあ、裁判官はどのような判決を出すのか、というところで「つづく」。そんな殺生な!

弁護士の主張は前回の繰り返し。どのような判決を下すかは既に決めて来てあるはずで、傍聴者の雰囲気で判決が覆ったらそれはそれで問題だ。また短い休憩時間で判決文を書き直している余裕があるとも思えない。しかし、この裁判の行方をこれだけ大勢の女性が見守っていますよ、と行動に示したことで、何かが変わるかも知れないのだ。また、そうやって少しずつでも何かを変えて行こうとするのが彼女らのなすべきことでもあろう。

多くは語られないが、桜川涼子、大庭梅子、崔香淑らも、ここまで決して幸せ一杯の人生を歩んできたわけではなく、厳しい現実に直面して来たことが示唆されるのもよかった。

ところで、結婚するの財産が夫のものになるとはいうが、だからどう使おうと夫の勝手、ということにはならないのではないか。家庭をうまく運営していかれている上においては細かい判断は夫がする、でもいいかも知れないが、本件においては、家庭は破綻し、妻の生活は成り立たなくなっている。夫は家庭の「経営」に失敗しているわけで、資産の運用方法については外部からの指導があってしかるべき、とは言えるのではないか。旧民法だって、妻に生活費を渡さずに遊び歩いている夫を擁護するものではないと思うのだ。



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「虎に翼」(008)

第02週「女三人寄ればかしましい?」(水)

放送日

  • 2024年4月10日

登場人物

  • 栗原英雄(田中裁判長)
  • 長谷川忍(東田川の弁護士)
  • じろう(峰子側の弁護士)
  • 遠藤雄弥(東田甚太)
  • 安川まり(峰子)

概要

よねを尾行し、初めて法廷で傍聴することになった寅子。行なわれていた裁判は、離婚の決着がつかない夫婦の間で、せめて形見の着物を返してほしいと妻が夫を訴えたものだった。妻には所有権がないことを知って憤る寅子は、帰宅後に優三を質問攻めにする。なぜ結婚した女の財産は夫の管理下に置かれるのか。女性が置かれる理不尽な立場を認識した寅子は、「結婚」にますます懐疑的になる。(NHKオンデマンドの解説より)

女性も弁護士になれるような法改正が延期になったことについて事情説明に訪れた穂高重親に、寅子は傍聴した裁判の話を伝え、妻が財産を取り戻せないのは本当か尋ねる。穂高は、法律に正解はない、君たちだったらどう弁護し、どういう判決をくだすか考えてごらんと投げ返される。

感想

妻に財産の所有権が法的にないことを知って憤る寅子をなだめる優三の手綱が見事。「深呼吸してー、ハイ吸ってー、吐いてー」

最近寅子と優三の仲がいいね、と話す花江と直道。直道は「駆け落ちまでしようとしたくらいだから」と言い、はるが「あれは間違いだって言っているでしょ!」と叱るが、え、そんな事件ありましたっけ? 

先週登場した名村辰が演じる小橋浩之、今日もクレジットがあった。新聞記者かと思ったけど、そうではなく、どうやら明律大学の(女子をからかう)男子学生みたいだ。



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「虎に翼」(007)

第02週「女三人寄ればかしましい?」(火)

放送日

  • 2024年4月9日

登場人物

概要

華族の令嬢・涼子、最年長の梅子、留学生の香淑とお昼を食べるようになった寅子だったが、誰とも群れない山田よねとは距離が縮まらないでいた。世間の風は冷たく、新聞は寅子たち女子部の新入生をおもしろおかしく取り上げる。そんな中、法改正が延期になるとの知らせが届く。動揺する中山を慰めようとする一同に、よねは冷たい言葉を浴びせる。(NHKオンデマンドの解説より)

よねは午後まだ授業があるのに、勝手に早退してしまう。気になった寅子が追いかけると、彼女は裁判所へ吸い込まれていった。

感想

中山千春は泣き虫と言うには度が過ぎる。何もあんなに大きな声で、注目を集めるように泣かなくても……とは思う。山田よねが、こんなことで泣く人も、綺麗事を言って慰める人たちも嫌うのはわからなくはないが、だったら見に来ないで(誰もいない)教室でお勉強していればよさそうなものなのに、わざわざ取り巻きに近寄って悪態を吐く。この攻撃性はどうしたことか。

今日も伊藤一二三と山根初代のクレジットあり。伊藤は寅子を見て「よく堂々としていられる」と非難したじーさんで山根はそんな寅子を励ました近所のおばちゃんか?



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「虎に翼」(006)

第02週「女三人寄ればかしましい?」(月)

放送日

  • 2024年4月8日

登場人物

  • 土居志央梨(山田よね、男装)
  • 桜井ユキ(桜川涼子、新入生代表) ←第一話で写真だけ登場したけど
  • 平岩紙(大庭梅子)
  • ハ・ヨンス(崔香淑)
  • 小林涼子(久保田聡子、先輩)
  • 安藤輪子(中山千春、先輩)
  • 高橋努(竹中次郎、新聞記者)
  • 名村辰(小橋浩之)
  • 羽瀬川なぎ(玉、桜川家のお付)
  • 久保酎吉(明律大学学長)
  • 津村知与支(総務部長)
  • 五頭岳夫(おじいさん講師)
  • うらじぬの(笠松まつ)

概要

昭和7年(1932年)。晴れて「明律大学女子部法科」に入学した寅子のクラスには女子の憧れの的の華族令嬢・桜川涼子や留学生の崔香淑らがいる。「女性に弁護士資格が認められる法改正はまもなく」という学長の言葉や、穂高教授との再会もあり、やる気に胸を膨らませる寅子。新入生案内が終わり、張り切る寅子に、山田よねは「ヘラヘラしてうっとうしい」と言い放つ。(NHKオンデマンドの解説より)

語り

「お察しと思いますが、優三はまた試験に落ちました」

感想

いよいよ明律大学入学。新しいキャラがどっと登場し消化が大変だが、女子部の方々はみなキャラが立っておりわかりやすかった。新入生代表で挨拶をした桜川涼子は英語で(きれいな発音!)話し出すし、付き人を帯同している。山田よねは男装し、ピリピリして寅子らに突っかかって来る。一期生たる先輩は7人、それ以外の人はどこにいるのかと思ったら、入学した80人に対し、現在は全員で7人なのだという。中山千春は、これ以上法律の勉強を続けるなら別れると言われ、先日婚約者と別れたばかり。同じ大学の男子は、そんなことやってると嫁の貰い手がなくなるぞ~と低レベルにからかってくる。

いろいろ言いたいことはないでもないが、まずはこれから始まるキャンパスライフを眺めよう。



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(10)「月夜の陰謀」

題名

  • 「光る君へ」第10話「月夜の陰謀」

放送日

  • 2024年3月10日

登場人物

概要

兼家は道長たち一族を巻き込んで、秘密裏に花山天皇を退位させ、孫の懐仁親王を擁立する計画を進め始める。その頃まひろは、家に帰ってこない為時を案じ、妾の家を訪ねてみる。そこには身寄りもなく最期を迎えようとしている妾の看病をする為時の姿があった。帰宅したまひろのもとに道長からの恋文が届く。まひろは道長への文をしたため始めるが……。(公式サイトより)

道長はまひろに、一緒に都を出ようと誘う。藤原を捨てると。だからここまま一緒に行こう、まひろも父と弟を捨ててくれ、と。まひろは、それは嬉しいけど、道長様はこれから偉くなって、よりよき政を行なってほしい。一緒には行かないと断わる。断わるけど、そのまま二人は結ばれる……

道兼に言いくるめられた花山天皇は、ついに出家を決意し頭を剃る。が、一緒に出家するはずの道兼は態度を翻す。花山天皇が内裏を出たあと門をすべて締め、神器を懐仁親王の許へ運び出す。クーデターは成ったのだ。

今日のまひろ

「私は、都であたなのことを見るめ続けます。片時も目を離さず、誰よりも愛おしい道長さまが政によってこの国を変えていく様を、死ぬまで見つめ続けます」

今日のまひろ(2)

「人はしあわせでも泣くし、悲しくても泣くのよ」
「これはどっちなんだ」
「どっちも」

雑感

ついにまひろと道長が結ばれた。だがそれは、将来を約束されたものではなかった。毎回琴線を揺さぶる内容だが、第5回に続いてドカンときた。

まあ、甘ちゃんだなあとは思う。都を出て、いったいどうやって暮らしていくつもりなのか。どこに住むのか。仕事はどうやって見つける。都の外の民の暮らしがどんなものなのか、道長は全くわかっていない。わかっていないのに、「まひろと一緒ならなんでもできる」と言う。それでも、大臣や関白や摂政になる道をまひろのために捨てるというのは、一大決心には違いない。

タイトルの「陰謀」とは「寛和の変」を指す。寛和2年6月23日に発生した、花山天皇の退位・出家及びそれに伴う政変のことだ。これが昨年、あるいは一昨年の大河であれば、数百人の武士が取り囲んで……ということになろうが、誰一人死ぬことなく政変は終わった。しかし、それと同等の、いやそれ以上の激しさがあった。

「よしこの霊を鎮めるためには花山天皇が出家するしかない」という前提の上とは言え、道兼はよく誘導したものである。ドラマで見る限りは、今回の政変は、ほとんど道兼一人で行なったようなものだ。それに見合う褒美が与えられるといいが。

道綱が謀りごとに加えられるが、ことの恐ろしさを理解していない。寧子は道綱も出世させてくれと兼家に要求するが、兼家の許で出世するとは、こういうことなのだ。

為時は高倉の女のところに入り浸りで家に帰って来ない。いとは不安に思っている。いとは単なる乳母というだけでなく、為時と関係があったのだろうか。気になってまひろが覗きに行ったら、乳繰り合っていたのではなく、病気になり余命わずかな妾のことを必死で看病していた。妾が必ずしもみじめだというわけではないのだ。父のことを見直すまひろであった。

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