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- 作者: 西林克彦
- 出版社/メーカー: 光文社
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「懐かしドラマ」が教えてくれるシナリオの書き方 (オフサイド・ブックス)
- 作者: 浅田直亮,仲村みなみ
- 出版社/メーカー: 彩流社
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- 作者: 西村雄一郎
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- 作者: G・バタイユ,酒井健
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- 作者: 赤坂憲雄
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- 作者: 池上良太
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銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎(上下巻)読了
おもしろい。このおもしろさは”風が吹けば桶屋が儲かる”的な因果関係を推理・実証しゆくミステリーもののおもしろさと言える。人間はなぜ食料生産を行うようになったのか?食糧生産によって何が変わったのか?食糧生産をきっかけに連鎖的に引き起こされる様々な事象。ひとつのことを知ると、もっと先が知りたくなる。知りたいが止まらなくなる。しかし、このおもしろさの根底を成すものは、数十年かけて地道にデータを収集・分析した結果であり、それは学者の特権というべきものなのだなと、羨ましく思い、またその苦労を成し遂げた偉大さに感服せずにはいられない。
特に興味深かったのは、動植物が家畜化・栽培化されてゆく過程。野生の穀類はもともと厳しい自然のなかで生き残るために熟した種子を遠くへばら撒く性質がある。より広範囲にばら撒くことができる種が生き残る可能性が高いことは自明の理であろう。しかしそれでは人間にとって不都合極まりない。栽培化された穀類とは、ばら撒く機能が欠如した奇形種を人間が選別栽培することによって生き残ってきているにすぎないのだ。人間に都合の良い性質をもった穀類が突然変異によって発生する確率が年に0.1%だとしても、1000年という長い期間で見れば十分起こり得るのである。そのようにして現在わたしたちが食べているものは出来上がってきた。過去から受け継いだこれほど確かな遺産が他にあるだろうか。田園風景をみて「自然っていいね」なんて大間違いなのである。それらは人間の手がなければ生き残れる見込みがほとんど無い。1万年というながきに渡って人の手によって選別改良された超人工的な代物なのである。
さて、本書の内容は創作にどのように応用できるだろうか。世界設定に大いに役立つかとおもう。大国には主要穀類と栽培可能な気候、家畜化可能な大型動物、東西に伸びた大陸といったガイドラインが使えるだろう。大国に呑み込まれずに残った地域には気候が異なるという条件が必要になるだろう。小国による割拠された世界ならば、海岸線が複雑で地形変化に富んだ大陸が必要になる。これらの因果関係に基づき設定をすることによってより説得力のある世界ができる、かどうかはわからないが、設定に厚みが欲しいときには何がしかの引き出しにはなるだろう。
購入 澁澤龍彦づくし
- 作者: 澁澤龍彦
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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- 作者: 澁澤龍彦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
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- 作者: ポーリーヌ・レアージュ,澁澤龍彦
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- 作者: 澁澤龍彦
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- 作者: ジャレドダイアモンド,倉骨彰
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『戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)』読了
たいへんすばらしい。「人殺し」に関わるコンテンツを手掛けるなら必読の書かとおもわれます。
内容に関してはすばらしいレビューが多数あるので割愛。
読んでいて妄想したことを少し。
歴史上、驚異的な強さを発揮した戦闘集団というのが数多く存在する。本書を読むまでは、強さの理由はよほど身体的に優れていたのだろう、ということぐらいしか感じなかったが、殺人に対する抵抗感がなんらかの理由で抑えられていたのでは?というアプローチもできるなと。
例えば、新撰組。鉄の掟にみられるように非常に強い権威者からの要求があった。また壱番隊、弐番隊(だったかな?)のように集団の近接度を高める組織編成。尊皇攘夷という正義の御旗。倒幕派を国賊と罵り社会的、倫理的距離をおくことによって非人間化する。と、見事に本書の殺人素因モデルにはまるわけだが、逆にいえば、これだけの条件がそろってはじめて驚異的な強さが発揮されるのかなと。
本物のサムライというのも、本書の中で述べられてる”2%の先天的に殺人に対する抵抗を感じない人”に相当したのではないかなと。強い=平気で人を殺せる人。身分制度で武士が頂点であったことも殺人抵抗を軽減するのに役立っていたとおもわれる。ついでに、背後から斬りつけることが戦術的に卑怯ということよりも、殺しのスペクトルがまったく異なることに本書を読んで気付かされた。相対峙し、相手の表情を見、心の動きを感じとったうえで斬りつけることの重み。AとCぐらいステージが異なる。
宗教によって束ねられた軍隊が強いのも納得できる。なにせ異教徒は悪魔なのだから、これ以上の非人間化はないでしょう。
近代になってようやく人権が広く認められるようになってきたが、過去には人を非人間化する社会構造が日常的に存在し、それらも殺人を容易たらしめる一因になっていたのではないかと。
このような構造をノンフィクションの中に見つけるのはとても興味深いことなのだけど、フィクションに取り入れるとなるとドラマチックな味付けが相当必要になりそうだ。
それと気になったのは章末のメディアの暴力表現と殺人の関連性のところ。この手の議論にはバカバカしさしか感じていなかったが、今回は唸らされている自分がいる。人は人を殺せないのに、なぜ殺せるようになったのか?ベトナム戦争の発砲率95%はいかにして達成されたのか?それは驚くほど単純で、リアルな訓練をすることだった。リアルな暴力表現を見たり、リアルな殺人ゲームをすることによって殺人への抵抗が少なくなっていくことはどうやら間違いないのだ。ゲームの表現はますますリアルになっている。軍隊の訓練では上官による命令がなければ絶対に発砲してはいけないということも合わせて条件付けされるわけだが、ゲームでは好きな時に好きなだけ発砲できる。こうした状況を野放しにして果たしていいものだろうか?などという野暮なことを考えずにはいられなくなった。規制というのは即効性はあるが根本的な解決にならないようにおもう。大事なのは、なぜそれが危険であるかを理解することではないかと。ただ、全ての人が理解するための時間を持てるわけではない。こういうことこそ学校教育で教えるべきだが、時代の早さに教育が追いつけない。この辺が難しいところ。
最近の読書
『中世都市と暴力』読み終わり。中世というと粗野で野蛮な一面があるが、今まであやふやなイメージでしかなかったものがハッキリとした輪郭をもってきた、ような気がする。
暴力が引き起こされる構造的な要因は次のようなもの。
都市の人口密集によって、人間関係が多層化する。都市での生活は過酷だ。なにせ土地という生産基盤を持たずして日々の糧を稼がなければならないのだから。そこで人々はグループを作る。お互いに助け合いましょうというわけだ。権力集団、同業者集団、同郷集団、親族集団、宗教集団、近所集団、学生集団、若者集団など、一人の人間が複数の集団にまたがって所属し、その集団が利権を巡ってお互いに争っているのだから極めて複雑な関係が構築されている。
中世では”名誉”を傷つけられることにひどく敏感だが、それというのも悪評がたてば集団から追放されるからであり、それほど集団は生活基盤として重要なものだったらしい。言葉は剣と同様に人の命を奪うことができたのだ。
強姦がある程度許容されていたというのも、特に都市では富裕層が年頃の女性を独占してしまい相対的に適齢期の男女のバランスが崩れていたという構造的要因があったためらしい。日本の吉原のように売春宿を特定地域のみ許可する施政が歴史上よく見られるが、それも強姦に至る危険性があるような若者のストレスを行政がコントロールしようとする意図があるらしい。無秩序に売春宿を建てられて混乱を招くぐらいなら行政で管理してしまえというわけ。
お祭り、カーニバルなんかも都市内に淀んだストレスを発散させる目的があったらしい。統治者の視線で見ると、お祭りもこうなちゃうんだなと感心。
とまぁ読んでいると、とにかく中世の都市というのは非常に居心地が悪くストレスの溜まる場所なのが本質のようで、いたるところにネガティブな思念が渦巻いているといった印象をもった。
『戦争における「人殺し」の心理学 (ちくま学芸文庫)』こちらも第2部まで読み進めたが、ひっじょーに興味深い内容。南北戦争での非発砲率が80〜85% なぜか?それほど人間は同族殺しに対する強い抵抗感を持っている、という書き出し。この発砲率の話は知っていたけど、詳細をじっくり読んでみると改めてうれしさが込み上げて来る。人間、捨てたものじゃないよ。でも、条件付けでバリバリ発砲できるようにできちゃうんだよな… まぁ続きがたのしみ。章立て文章もわかりやすい。名著の予感。