7月26日

・7月26日。木曜日。午後から神奈川芸術劇場にて三谷幸喜桜の園」(チェーホフ作)を見る。出演は浅丘ルリ子ほか。「チェーホフの笑ひ」が「小劇場的な笑ひ」にすり替はつてしまつていたのは仕方ないのだとしても(まァ、両者はそこまで本質を異にするものでもない)、明るくわかりやすく上演したのは三谷の功績かと思ふ。直帰の予定だつたが、あまりに暑いので神保町に立寄つて軽く飲むことに。ビール3杯ほどに茄子漬、厚揚、塩豚スライスなど。さういへば、山手線のホームで知人に会ひ、8月に南相馬の映画館でイベントを催すといふ話を聞く。シネフィルのあひだでは有名らしいのだが、南相馬には大正期につくられた「朝日座」といふ映画館があるのださうだ。福島のことなのに知らないことばかりだ。詳細については下記サイトをご覧いただきたい。

http://www.pref.fukushima.jp/bunka/kindai/page_01.html

http://privatedub.com/p/52117

☆正の字で数へられゆく麦酒かな

7月25日

・7月25日。水曜日。部屋の本を整理しやうと思つてはゐるのだが、あまりに暑くて今日もまた動き出せず。貧弱。まづは市役所に電話をして、大型廃棄物(プリンター、スキャナ、CDコンポなど)の廃棄予約をしなければならない。廃棄するには事前申込みでチケットを購入し、それを廃棄物に貼付けて指定された日に出さなければならないのだ。三鷹市はゴミ袋も有料だし、何とかならないものかと思ふ。とにかく、来週の頭に〆切の原稿をとりあへず脱稿したので、よかつたよかつた。昨日貰つたオバケ胡瓜を炒めてトマトソースをからめてみたが、お世辞にも旨いとは言へなかつた。深夜にテレビで女子サッカー(対カナダ戦)を観戦したが、澤のパスが早すぎて驚く。別にプラティニの肩を持つわけではないが、女子は中盤でのパスミスが多いのが気にかかる。スコアは2−1で勝利。しかし1点目は見事だつた。

☆部屋じゆうのゴミが乾いてゐる炎暑

7月24日

・7月24日。火曜日。19時から歌舞伎町にて句会。会場までに道のりに「ロボットレストラン」なるものがオープンしてゐて度肝を抜かれる。あれを「品がない」といふ一言で片付けては批評眼の欠落を指摘されるだけであらう。確実に、何かのタガが外れてゐる。バブル期の憧憬といふわけでもなく。あのセンスは一体何なのだらう。さて句会のはうは「晩夏」含め4句出し。2句は推敲不足で開かなかつたが、開いた1句は塾長とゲストのHさんのお二人に特選にとつていただく。そのせいか、懇親会はビール3杯にとどめたものの、明らかに食べ過ぎて腹が膨れた。地道なダイエットも吹き飛んでしまひさうだ。節制、節制。ロボットレストランに就いては下記リンクを参照されたし。

http://www.cyzo.com/2012/07/post_11050.html

☆不可解なこと多し晩夏の歌舞伎町

6月30日

六月三〇日。土曜日。晴れ。八時三〇分起床。朝食後、バスで劇場へと移動。最終チェックをして一時から公演本番。昼食の余裕なし。稽古の甲斐あつて、初めての仕事にしてはまづまづの出来だつたと思ふ。公演後は自由時間だつたため、駅前に出て市美術館で「七夕の美術」展を見る。小さいがよくまとまつてゐて、面白かつた。さう言へば、昼飯抜きだつたので駅前の寿司屋に入つて夕食。麒麟の瓶ビールを1本。鰯と白子が実に旨かつた。まだ明るいので折角だからと温泉施設に立寄つて一日の汗を流す。露天風呂は「茶の湯」。味見をしさうになつたが、そのやうな誘惑には屈せず。タクシーで宿舎に戻り、別の芝居を見てゐた人たちと会つてしばし歓談。松葉杖のYさんを紹介される。恐ろしくいい人さうな人だつた。

☆夏空を仰ぎ茶の湯に浸かりけり

3月8・9・10日

・3月8日。木曜日。早朝、タリースに乗つて巴里に戻る。いやはや、まつたくの誤算であつた。10時すぎにホテルに到着。今日は友人Kの彼(仏蘭西人)が仏蘭西語の確認をしてくれるといふので、夕方までホテルで原稿の手直しをば。そして夕方から、ベルヴィル界隈の彼の自宅へ。初対面なのに、丁寧に自然な言い方に直してくれて感謝に堪へぬ。しかも夕飯までご馳走に。晩酌にはパスティスといふ南仏の白酒。アルコール度数45度だが、甘いからつい飲んでしまつた。ほろ酔ひでホテルまで帰宅。

・3月9日。金曜日。友人Kの誘ひのままに、大学の授業に出席。3時間、ほとんどぶつ通しで先生(←ただし博論執筆中の若い人)が講義しつづけるといふもの。そのあと、別の大学に移動してとある「アトリエ」に参加させていただく。こちらは2時間、ほとんど休みなく、からだを動かしつづけるといふもの。途中で足の指がつつたことをひた隠しにして(仏蘭西語がよくわかつてないといふことは、隠し通せなかつた)耐へ抜く。さらにその後、Kの寮で明日の打ち合はせ。赤ワイン。結局、3時まで飲んでタクシーで帰宅。

・3月10日。土曜日。夕方より、大学都市で1時間ほどのレクチャー。聴衆は身内を含めて20名程度。全編仏蘭西語であつたが、準備してきた原稿を読むことで、何とか仕事をこなすことができた(ことにしやう)。大学の同級生のY子ちゃんなどが来てくれたので、初めてお会ひしたE子さんなどと、四方山話。しかし、本当に疲れたね。最初は気休めにワインを飲んでいたけど、日本酒が置いてあつたものだから、それをぐびぐびと頂いて、ちよつと飲み過ぎた模様である。呼んでいただいた皆さんには感謝。

3月5・6・7日

・3月5日。月曜日。朝7時半に原稿を書き上げ、慌てて仕度をして成田へ向かふ。飛行場といふのは、大試験並みにポンクチュエルであるから、いつまで経つても慣れることはない(もちろん大試験も苦手である)。徹夜なので周りが寝てゐる頃(←日本時間でいふところの夜)に起き出して、映画を2本見る。三谷幸喜の『ステキな金縛り』と『ベジャール、そしてバレエはつづく』。空港から都心までの間に列車が2時間も動かず、天秤座の運勢がよろしくないといふ噂を思ひ出す。10時頃、ホテル着。

・3月6日。火曜日。午前中は原稿の手直し。それと本当は先週のうちに片付けるはずだつた書類作成をこなして、何とか期限内(?)にメール送信。夜は、シャイヨー劇場にてジョゼ・モンタルヴォの「オルフェ」を観にいく。これは一寸期待外れだつたね。まづ、何よりもCG映像がイケてない。アフリカ系のダンサーがエリマキトカゲになつたりする。そして夢オチ。何だかなあといふ感じだつたね。これはダメもとでもド・ラ・ヴィルに「ヴィクトール」を観にいくべきだつたか。

・3月7日。水曜日。朝8時台のタリースでブリュッセルへ向かふ。欧州会議にて福島原発関連の会議。午前中のパネルは、司会のおばさんが司会といふ権限(?)を如何なく発揮して、ディスカッションの時間がゼロに。昼ごはんは欧州会議の食堂。豪華で量も多くてしかも安い。5ユーロほど。夜はテアトル・ナショナルでミシェル・アンヌ・ド・メイの「キス&クライ」。指のダンスを舞台で撮影したものを同時にプロジェクションするといふもので、よくできた作品だつた。気分よく巴里へ帰ろうとしたら、「終電?もうないよ」と云はれ愕然とする。

1月26・27・28日

・1月26日。木曜日。代休を利用して調髪。今更ながら今度はじめてIKEAに行くという話をしたら、ミートボールは絶対に食べるべきだとか、サラダバーは皿が小さいから食べては行けないとか、延々と食べ物の話で盛り上がる。夜は三軒茶屋のシアタートラムでてがみ座の「乱歩の恋文」。初演は見てゐないのだが、役者の演技はともかくとして、本当によく書けてゐると思ふ。日本近代文学を築いた先人たちをユーモアたつぷりに蘇らせる手腕は見事である。この劇作家が、井上ひさし‐永井愛の正統なる継承者となりうると思はせる一方、先般の金子みすゞを素材とした芝居と「おんなじ思考」が透けて見えてしまつて、なんだかなあといふ気もした。会場で会つた友人Nさんと近くの立ち飲みへ。ハイボールを3杯ほど。

☆乱歩てふだめな男や燗熱く

・1月27日。金曜日。午前中から打ち合はせ。週末のよしなしごとをあしらひつつ、夕方より、神保町の店Gへ。句会の前に酒を飲んでは先生に怒られるのではないか、と恐れつつも麦酒を1杯。しかし、しばらくして先生が陽気な雰囲気でやつて来た。はああ。もう1杯ほど飲んでも大丈夫だつたか。さういふわけで、7時より句会。兼題は「若水」と「乾鮭」。終了後、瓶ビール1本と赤ワインをハーフボトル程度。閉店間際、若者が沢山ゐるのを見たSさんが「焼肉を予約してきたぞ」といふ一言。いざ7人で向かひの焼肉屋へ。11時をすぎてから食べるにはあまりにも贅沢な肉だつた。そして横でひたすら肉を食つてゐたOくん(就職活動中)を見て、若いわねえと思つた。12時すぎに健全に電車で帰宅。

☆寒月や焼肉店を後にして

・1月28日。土曜日。午後より国立へ。一昨年の12月に54歳の若さで亡くなつた大学時代の恩師を偲ぶ会。立食をしながら、ご友人のスピーチを聴く。K先生のことを知つたのは、予備校の時だつた。本郷の哲学科出身だつた英語講師のO島先生に、大学で哲学を勉強したいと相談したら、永井均中島義道らと並んで(どういふ並びだつたかは忘れたが)K先生の名前が出たのだつたと思ふ。そのO島先生が今日のスピーチで、K先生が亡くなつてから、いろいろな「もの」を通じて、エピソード記憶的にK先生の顔が浮かぶのだ、といふ話をしてゐた。さすがいいことを言ふなあ、と思ひながら、隙を見て詰め寄り、「私はK先生の顔を思ひ浮かべると、O先生のことを思ひ出しますよ」と笑ひながら、予備校時代の話をした。向かふは勿論驚いてゐたけれど、さうやつて10年ぶりに感謝を伝えることができて、本当に良い日であつた。

☆先生の眼差しやさし春隣