T&Tと飛び道具

T&Tのテンションを上げて行く為に、アレコレ書く。


元々、T&T世界の飛び道具はスペシャリストの物だ。


例えば、9m先(30フィート)の人間に射撃をすると、旧版では射撃SRの目標値は4LVで35になる。
3d6の能力値に2d6の判定値を足して35を超えるのは5d6で35を超えなきゃいけない訳で、
その大変さが分かって頂けると思う。
(ちなみに完全版では射撃SRは2LVで目標値25。かなり無理、くらいになる)


その結果、射撃手は不意打ちをしたり、数を撃ったり、器用度が極端に高いPCを作成した。
(だいたい、フェアリーになって遥か上空から当たるまで射撃したりする)


一般のPCの射撃といえば1ラウンド目の頭にだけ、至近距離に来た敵相手にぶっ放す
(そして、その後、銃を捨て剣を抜く海賊っぽいスタイル)事になる。


射撃SRに失敗すればHITは0で、まるっきりの無駄行動になるのでリスクは大きい。
それでも、射撃は命中さえすればダメージが分散しない為、狙撃の様に効率的に敵の数を
減らす事が出来たので、多くの(ガチ)プレイヤーに愛されたいた。


所が、T&T完全版でルールは大きく変更された。
完全版ルールでは射撃SRに失敗したら狙撃にはならないがパーティの総合HITには
加算出来る事になった。


この変更は射撃が誰でも出来るようになった、と言えるだろう。
2LV魔法に<死の刃>がある関係で近接武器の方がダメージを増加させやすいのもある。
それに元々近接武器の方が遠隔武器より少しだけダメージがデカい傾向がある。
ついでに、戦士は近接武器に戦士ボーナスが載るようになった。


これらの変更は射撃武器が極端に強化あるいは弱体化したとは言い難い。
外れた際のリスクが軽くなり狙撃のメリットはそのまま。
ダメージ的には近接武器に及ばず最大ダメージでは劣る。


これを理解した上で遊べば射撃は良い選択肢になるだろう。
特に戦士ボーナスの無い盗賊は様々な手段を使って戦う職業なので、特に有効だ。
武器選択の参考に。

T&T完全版シナリオ集 アドヴェンチャーコンペンディウム 

その内の一つ、「アクストン王の墳墓」を遊んできたので、その結果詳細。


●地上部分
ケルトン君達の襲撃でPC側の何人がSRに成功するか、および合計ヒットの数字を確認。
MRは2倍から3倍、SRは+1から2で運用する事に決定。


●3の20m落下即死罠
フェアリーや盗賊が下りて「なんか嫌な予感」を受ける。<そこにあり>でニセ床を発見して即死罠である事を看破。
即死罠を用意しつつ「なんか嫌な予感」を感知するように設計されているシナリオ構成に感心する。
質の良いダンジョンと言うのはこういう物です。


●4の部屋。四方に扉とルームプレート有り。
文字に対して『博識』タレントでの成功やDAROが何度も発生したのもあってアクストン王の伝説を語る。
知識関係のタレントは目安を用意すると使いやすくなりそうだ。


●7の部屋。冷気蜘蛛。MR2
部屋の入口から蜘蛛の巣を除去ると蜘蛛と目があう。 蜘蛛が部屋から出る気が無いのをみて射撃でしとめる方針。
蜘蛛が巣にひっこむのと射撃するののどちらが早いのかを決める為に速度SR3LV。 普通に射殺された。やるな。
部屋に入らないと中が分からないので入ると3匹の蜘蛛の襲撃。一匹減ってるので楽勝。各個撃破が勝利要因。


●6の女王部屋。
警戒して入らず。後程入ってクマの彫像を先にロープで縛ろうと近づいたので戦闘開始。MR3倍
扉が開くまで全く反応しないと遠隔攻撃やこの手の攻撃で一方的に除去される。
時の場合によっては通すけど、このダンジョンは殺意高いので「敵対行動に反応する」運用に。


●5の子供部屋
普通に制圧された。石棺を開けた状態で<そこにあり>や捜索が無かったので二重底には気づかず。


●8の納骨堂。
入口から7.5m範囲の<そこにあり>でゾンビは発見されるが8m先の壁は範囲で見つからず。
その後の捜索の幸運度SR3LVで発見。


●9の20m下の床の即死罠
入口と同じ様な展開なので床を事前に調べて罠回避。致死性の罠を複数置き、最初の一つだけはヒントを用意するというダンジョン作成のお手本のような展開。実に宜しい。


●10の石像と中のコウモリたち。
石像のルビーに隠された穴が実にフェアリーが入りたくなるサイズ。しかし、入ると死ぬ。
ここまで飛んでるフェアリーは有利に進めているので、ふらっと入りたくなっても不思議はない。
賢いPCが警戒するとコウモリ達が飛び出してくる。
パーティがエルフ、レプラコーン、フェアリーと耐久に自信が無いPCが多く、結構ピンチ。3LVSR.
コウモリを引きはがしたいという要望が噛みつかれてるPCから来たので、行動制限があるので3LVと伝えたらDAROが発生しまくって華麗に除去。ボーナスとして別のコウモリの引きはがしもOKとした所、それも除去。
結局1人意識不明、1名瀕死(耐久度を伸ばしてギリギリ生還)


●13のネズミ部屋。
敵の数を50%増やして30匹に。MR20なので単純に辛い。事前にコウモリの死骸を餌として配置していたので8匹減って22匹だった事もあって無事クリア。 援軍として戦力の逐次投入をする気だったのだが長引くので中止した。


●11のグール部屋
MRを2倍にして3匹。うちの卓では魔法で無い治療法として「戦闘後に治療判定に成功すると1点治る」を導入しているので、悪意ダメージをパーティ全員で分配している。
そのせいで全員に疫病感染判定発生。一週間後に死亡するPCがでる。無制限休憩での魔力度回復が封じられる。


●12の致死性廊下
フェアリーの偵察で奥の王の間についてアレコレ情報を出す。
このダンジョンは足元の罠が多いので、ベテランPL達も廊下の罠の可能性を忘れてた訳では無いのだがついつい王の間に入る事を了承してしまう。
結果、戦闘のドワーフとフェアリー以外は数トンの土に潰されそうになる。
SR失敗者1名。その時点でHp-3の意識不明.毎ターン幸運度SRに不足分だけダメージを受ける事に。
慌てて土を掘るので、崩れるかどうかの器用度SRと掘れるかどうかの体力度SRを要求し、体格の小さいPCはペナルティ1Lv。 合計5lv成功すると掘り出せる判定に。 能力値が平たい人間が活躍して何とか救出成功。


●14の王様部屋
MR700+魔法の斧で勿論このダンジョンで一番強い。斧にロープをひっかける&斧に飛びつく段階で目が覚めて戦闘開始。
ローブは幸運度3LVに成功すると初ターンは斧使用不可。斧の取り合いは体力度40の王様とSR対抗判定。
両方成功され、<姿隠し>と<いだてん>コンボに押し切られて王様敗退。
斧が使えれば<姿隠し>が破れた&毎ターン一人殺せたのでワンチャンあったのだがPLの機転の勝利。


◎総評
小さいダンジョンで1日で回るには丁度良い長さ。
ダンジョンの傾向「古い墳墓だから出てくるのは長期待機できるアンデットと昆虫など」が明確で、「即死罠多数だが最初はヒント有りで理不尽死に防止」という、とても良くできたダンジョンだった。


戦闘バランスとしては<姿隠し>と<いだてん>コンボが強く、これに、高LV<これでもくらえ>とレンジャーの射撃攻撃があるので大抵の敵は押し切れてしまう。
戦士の高い防御点を生かした地獄の撤退戦が無かったのは申し訳無いが、毎回このバランスも何なので今回はOK.
ボス戦だけは工夫しないと確実に死者がでる展開だったが、巧みに突破されて、PLを褒めるしかない感じ。



細かく述べる事でGMの参考になれば。T&TはGM任せの部分が多いのでGMの力量が問われる事が多めです。
GMへのアドバイスとしては下記の通り。
・敵は強めにする。 撤退せずに全滅したらPLのせいと自分に言い聞かせる。
・敵が強すぎたと思ったらワンダリングを無しにするなどでバランス調整。
・SRも高めにしておいて『タレント』や機転によるSRの低下でバランス調整。

T&T完全版 T&T三国志の動画をアップしました。

 
T&T三国志  反董卓連合 (前編)【トンネルズ&トロールズ】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30439602
 
T&T三国志  反董卓連合 (後編)【トンネルズ&トロールズ】
http://www.nicovideo.jp/watch/sm30674650
 
〇T&Tの発展性について
T&Tはシンプルで骨子がしっかりしたシステムなので、改造や追加が簡単です。
D&D三国志を遊ぼうと思うとデータの整合性に四苦八苦するでしょうが、T&Tなら動画に書いた程度の追加ルールで、それっぽく遊べてしまいます。
 
これは勿論、三国志に限った話では無く、例えば平安時代物なのも遊べます。
陰陽師遣唐使が妖怪と手を組んで、エイリアンを撲滅する話とかを遊ぶ訳です。
(…「三国志平安時代」はどうか、と内輪で話したら、VSエイリアン希望者が多くて(ぉ)
 
〇T&T三国志のゲームバランス
普通のダンジョン物を遊ぶ時より、スケールを大きく、おおざっぱにする様に心がけています。その対応の一つが「挟撃できると相手のヒットは半分」です。
PC達の合計ヒット2倍までは、PC達が工夫して挟撃取れれば何とかなる計算です。
 
他にも士気のルールを追加してあり、相手の士気を落とせば単純なヒットに負けていても戦況を覆す事が可能です。
三国志ですから、武将同士の一騎打ちとかで快勝すれば、その後の戦闘が有利になってもOKでしょう。
 
〇T&T三国志の「これでもくらえ」対策
ずばり数です。敵が2万人の兵隊であれば一人くらい「これでもくらえの計」で倒しても影響ありません。
指揮官などを狙撃できれば別ですが、それにはSRが必要になるでしょう。
逆に言えば、適切なSRに成功すれば「これでもくらえの計」が活躍するのは正当な事です。
 
〇T&Tのゲームバランス
敵の強さについて「PC側の合計ヒットを事前に確認して置いて、それに合わせた敵を出す」事が有用なのは事実で、私もまったくそれを考慮してない訳ではありません。
 
ただ、まぁ、それに固執しなくても良いのではないか、とは思っています。
凄い弱い敵をあっさり薙ぎ払っても良いし、明らかに勝てない敵から逃亡しても良いと思います。
GMが逃げられない敵を設定しておいて、それが絶対勝てない強さだったら不満が出ると思いますが、逃走できる余地があるなら別に問題なのではないでしょうか。
今回の動画でも、半分くらいの確率で敗走して、地獄の撤退戦になるのではないかと思ってました。
 
〇動画作成について
初めてなので結構手間取りました。一本目が10日くらい、2本目が4日くらいでしょう。
しかし、様々なツールや解説が揃っている事に感心もしました。素晴らしい事だね。
 
〇動画をあげる意味
・T&T完全版を楽しむ人が増えると嬉しいので、T&Tリプレイ動画をアップする事にした。
・版権物のリプレイの方が作ってて楽しいけど、最初くらいは版権に反しない動画にしよう。
・普通の人のリプレイとの差別化を考えたら、三国志になった。
こんな感じ。

T&T完全版 ダメージ分配の話


T&T完全版のミステリーの双璧っていうか、二大欠陥と言うかなんというか。
攻撃で負けた側のダメージ分配方法について、私の意見をまとめておきます。


まず問題提起。


T&Tの乱戦(近接戦闘)は合計HITを比較し、負けた側が差分のダメージを受けます。
(魔法と飛び道具については、今度)


で、そのダメージを負けた側がどのように分配するのが正解なのか?
そこが問題なのです。



まず、日本語版の表記から。


日本語版P75
敗者陣営に複数のキャラクターがいるならば、ダメージ・ヒットの配分を行います
(かつての版では、純粋に均等割をしていました。しかしいまではいろいろな要素 を考慮して、別の分け方をします。 合理的にとでも言いましょうか……詳しくは後ほど説明します)。


日本語版P87
10)ダメージ分配を最終確定する
合計ヒットに魔法や飛び道具の命中によるものが含まれている場合、それらは戦闘ターンの勝ち負けにかかわらず、そ の魔法ないし飛び道具が目標とした相手に与えられます。
多くの場合、目標は単一のキャラクターやモンスターであり、 そのダメージは他者には分配できません。
それを踏まえた上で、魔法や飛び道具の命中を含むダメー ジ・ヒットを戦闘ターンの勝者が敗者陣営のそれぞれに分配 しなくてはなりません。



この文章を普通に読むとおそらくこう読む筈。


・ダメージ配分は純粋に均等割りでは無い。
・ダメージ配分は勝者側が決める。


本当はこれで終わりで良いのです。
残る問題として勝者はどんな割合でも設定可能なのか、と言う問題は残りますが。


しかし、これに英語版が関わってくると面倒になります。



英語版
日本語版P75に相当する所
The losing side takes that many points of damage as actual wounds if they lack enough armor to absorb it.
The losers get to allocate how the damage is distributed if there are multiple characters
(within reason... this is where visualizing the situation counts a lot).
負けた側は鎧抜けた分ダメージ受けるよ。負けた側が複数いるならダメージは分配されるよ。


日本語版P87に相当する所
You should have already considered how to distribute damage if missiles or magic are in use.
Figure out who was hit with how much melee damage, or punishment in excess of magic or missile damage.
The winners need not worry about this.
The losers may soak off some of the hits of damage on their armor if they can.
What goes through armor is physical hurt—the losers are leaking blood or other vital fluids.
魔法や飛び道具は直接ダメージになるよ。それ以上のダメージは分配されるよ。 勝者はダメージ受けないよ。
負けた側は防御力引いた残りを受けるよ。



一所懸命英語を読んでもらうまでもなく、winner(勝者)の記述は「勝った側は心配いらない(=ダメージ無し)」という記載しか無い事が分かると思う。
「勝者が敗者に分配する」という表現は無い…と思う。 (ネイティブの微妙なニュアンスはあるかも?)



という訳で、ここまでの結論としては「日本語版準拠なら勝者が決める」「原書準拠なら不明」って事になる。
だから、結論としては「卓ごとにGMに聞いてね」って話になるやね。


〇〇〇
それはそれとして、私の解釈を述べておきます。


ルールの解釈で困ったら、とりあえずデザイナーの意図を考えてみます。
ケン・アンドレさんがが何を考え、何を望んでいるのか。
その辺はルールブックにも書いてあるので明白ですが、私としては「想像力を働かせよ」に尽きると思います。


この場合の想像力というのは、ダメージの大小だけでは無く、相手と自分の立ち位置、周囲の環境、PCや敵の狙いを考えてみる事です。


合計HITが「70 vs 48」の展開があったとして。


それが「4人パーティの冒険者が周囲をオオカミの群れに囲まれている」状態なのか、「ダンジョン内の小部屋で迫りくるオークの群れに抵抗しているのか」では、同じ数字の比較でも、現象は異なるでしょう。
それを上手に反映する方が、セッションは楽しくなり、TRPGは面白くなります。
これをダメージ配分で表現する事が可能です。


具体的に言えば「君たちはオオカミの群れに囲まれているので、後衛の魔術師をオオカミから守るのは難しい。ダメージは均等割りにします」とか「ダンジョンの小部屋の入口は狭く、ダメージは戸口前に立った戦士と盗賊にのみ入ります」とか。


これに対して「戦士の俺がオオカミから魔術師を守ります。盾もあるし余分にダメージを受けたい」とか提案してきたら、すんなり認めるか、適度なSRの判定を行います。


ダメージを均等に与えたいなら均等に与える戦術を、集中させたいなら、拡散させたいなら、その為の提案を望みます。
プレイヤーとGMがお互い想像力と頭を使って、いろんな提案をするのが楽しい遊び方だと私は思っています。
と言う訳で、私は「GMがダメージ配分を決めるが、プレイヤーの意見は聞く」という方式を採用しています。


別に、私の方法が正解って訳じゃありません。
私だって昔は均等割りにして、無意味に戦士だけ生き残り、次の瞬間ミンチになってました(ぉぃ
それがダメだったか?って聞かれれば、最高に面白かったとしか言えません。
ややこしい事を考えずに、サクサク戦闘して死亡して、次々にPCを作って再挑戦するのも楽しいです。


卓のみんなと相談して、楽しく遊べる方法を選ぶしか無いよね。
結局、T&Tはそんなゲームで、作者もそれを望んでるんだと思うよ。

※参考:T&Tスレ

T&T完全版 「これでもくらえ」の紳士協定問題

T&Tには魔法以外に「これでもくらえ(TTYF)」を妨害する技術は無い。
魔法にしても、ちょっと高度な呪文になる。
姿を隠すなど運用的に回避する事は可能だけど、毎回ソレってのも難しい。

逆にTTYFは1LVの魔術師でも使えるし、1Lvの威力でも1Lvの魔術師程度は倒せる。
2Lv以降も威力は簡単にあげられるし、勿論、TTYFは必中だから運にも期待できない。

その結果、魔術師同士が戦う場合、互いに初手にTTYFを撃つと同時に死亡する。
TTYF以外の魔法を使うと、だいたいの場合TTYF以外の呪文を使った魔術師だけ死亡する。

…この大変不毛な戦いを、私は中学生の時に数回繰り返し(おバカだったなぁ)、
「お互いにいきなりTTYFは止めよう」という紳士協定が結ばれた。

勿論、その後、飛び道具(後に銃器)の集中攻撃で同じ展開になって台無しだったが。


この話は別にT&T固有の問題でもなく、SW1.0ではヴァルキリーズジャベリン問題として、
エルフとダークエルフは良く互いに即死していた。

D&D3.5eだって所持金が3825gp以上の敵NPC魔法使いが、全員「ディスジャックション」の
巻物を買ってきて連打してきたら、大変不毛で悲しい事(主にリアルファイト)になるので、
理性あるDMは紳士的にその戦術を割けていた筈だ。
(逆に、ダブルクロスとかシノビガミなんかでは、セッションは壊しにくくなってるよね)

ルール的な最適解が強力過ぎてルールで解決しにくい、ってのは良くある話なのです。


と、いう訳で紳士協定と言うのは古くからある有効な手段で、別に恥じるべき事では無いのだけど
でも、まぁ、ルール外の協定で禁止するより、ルール内部で正常化を図りたい。


まず一番有効なのはマジックアイテムによる対応だ。
ルールブックには「マジックアイテムはスーパーマーケットで売ってるようなもんじゃない」と
書かれていて、マジックアイテムが溢れている世界は確かにどーかと思う。

それでも、最低限ボスクラスにはマジックアイテムの一つや二つは有っても良いと思う。
T&T完全版のマジックアイテムは価格は安い(初期冒険者所持金の2倍くらい?)なので、
価格的にはOKでしょう。

180gpの護符がだいたい半々の可能性で2LvのTTYFを妨害すると考えた場合、これがそれなりに
普及していれば「初手TTYF」を抑止する可能性はある。
(特に、魔術師は護符を持ってても不思議じゃないし)



次に「これでもくらえ」の修得に制限を入れる方法。
拡張ルールによれば「これでもくらえ」は人間の種族魔法なので、基本的に人間以外には
公開されてない、と言う方法も無くは無い。
盗賊にだって、基本的に公開されてない、と言う事はできる。
冒険の報酬で「これでもくらえ」修得をOKにするシナリオフックにも使える。


…なんだけど、使える呪文が少ないって、少し寂しいよね。
マジックプアーな世界で遊ぶ時は制限があっても良いかな。 
例えば、海賊船で大海原で大冒険なら、主役はサーベルとフリントロック銃で、魔法は限定的、とか。


運用回避をするのであれば、射程の話になる。
「これでもくらえ」は60mの射程なので、長距離飛び道具なら射程を超える(SRあるけど)
遮蔽が少ない野外戦闘がベースの世界(砂漠での冒険とか?)なら、初期遭遇距離を長くとって
対応するのも面白いかも知れないな。
パーティを二つに分けて耐久が少ない方は65m後ろにいる…てのは現実的じゃないか。

逆に、ダンジョンなどで初期遭遇距離をとても近くすると…短剣とTTYFとの相打ちが増えるだけか。


他の運用回避だと「見られなければ目標にならない」かな。
ドワーフ戦士などが大盾持ってファランクスばりに後衛を隠すのはどうか。
固いドワーフ戦士が耐えながら射程を踏み越えて蹂躙する。
・・・と言うか、本当に単なるファランクス戦術だな。 使用できる状況が限定されるのがキツイ。

遮蔽から遮蔽に移動して、気づかれる前に撃つ、みたいな展開をする手もあるけど、それって
サイバーパンクTRPGなんかの銃火器があるTRPGの様だ。 反応速度勝負とか。

○○○
T&TはGM毎に色んな卓が発生するだろうし、それが個性として面白いんだけど、その分、暗黙の
紳士協定ってのが存在しにくい。
「この世界の魔術師は敵魔術師とTTYF撃ち合って相打ちしやすい?」ってのは尋ねておいても良いかも。

その結果「俺も早く稼いで護符買わなきゃ」になるのか「紳士協定万歳」になるのかは卓しだいだね。

T&T完全版 SRをする時の目安について


T&Tのルールブックは不親切だなーと思う。


いや、文章構成とか図表の見た目は悪くないんだけど、セービングロール(SR)の
判断方法について、もうちょっとページを割くべきだと思うのだ。


T&Tはプレイヤーの思いついたアイディアのかなりの割合をSRで処理する事で成立している。


ハイパーT&Tでは敵の攻撃を避けて攻撃する「かいくぐり攻撃」なんかはルールで定義されて
いたけれども、T&TではGMがSRで処理する事になっている。
それはT&T完全版でも同じことだ。


それが悪いと言ってる訳では無い。
ルールブックにも書いてあるんだけど、細かい事はGM任せにする事で、ルールが膨大になる事を防止し、シンプルで遊びやすくするのがT&Tのコンセプトなのだろう。


それは良い。
良いんだけど、だったらSRをする時の目安について、もっとフォローするべきでは無かろうか。



T&T完全版で、格闘家を名乗るPC(タレントで格闘家を持ってるetc)の処理方法について
ルールで例示がある。


同レベルのオークの攻撃をすり抜け飛び越えて背後にまわり、首筋を撃って一撃で勝利する判定だ。
この時のSRは「器用度と幸運度でそれぞれ3LvのSR」だった。


この数字について、もうちょっと説明してみよう。


3LVのSRの目標値は30になる。 1LVのPCの能力値は最大でも18(ぞろ目は考慮しない)。
タレントを使用すると達成値に+3されるので、判定値は21だ。


30-21=9
2d6を振って9以上を二回だせねばならない。


2d6で9以上が出る可能性は約28%。 2回連続成功だと8%だ。


種族が人間の場合、失敗したSRを振り直す事が出来るのを考慮すると。
2d6を2回振って9以上が出る可能性は約48%。
それが2回連続する可能性は約23%だ。


同格の敵に無傷&一撃で勝負を決めようってのは、ずいぶんと調子の良い話だ。
これが簡単に出来るなら、その後のPCは皆「かいくぐり攻撃」をするだろう。
それを考慮すると、約1/4の成功率というのは、まぁまぁな数字だろう。


この時、「かいくぐり攻撃」をしたPCの分のHITはパーティのHITに加算されないとする
というデメリットと、背後に回れたら(器用度SRに成功したら)、首狙いの攻撃を外しても
(幸運度SRに失敗しても)反撃は無いと言うメリットを追加しても、程よいバランスだ。



これなら、PCが安易に挑戦しても、失敗確率も高いしパーティに与えるデメリットも大きく、
とはいえ、成功した時のメリットの大きさを考えると、一考の余地がある、程度にはなる。


○○○
次に、この判定の背景を考えてみよう。


「格闘家」というタレントは「狭義」か「広義」かという点を考える。


「狭義」のタレントは、使える幅は狭いが、SRを1,2Lv下げる効果がある。
「広義」のタレントは、使える幅は広いが、SRを下げない、または下げても1Lvだけ。


今回は「格闘家」は「広義」のタレントと考えておく。
回避専門の「無想転生」とかだったら「狭義」のタレントでも良いかな(笑)


「格闘家」のタレントでそれぞれ1LvのSR低下が発生していたと今回は考えよう。


また、SRにはシチュエーションによる修正を入れておいた方が良いので、
(その方が、PLが状況にあったアイディアを出しやすくなる)
「オークは格闘家と戦った事が無い」、「背後からの攻撃」でそれぞれ1LVの
SR低下が発生したとして、最終的な元のSRは5Lvだったと考えられる。



何も考えずに「俺様は敵の攻撃を華麗に躱して、背後から一撃で敵を倒すぜ!」と
のたまうPCには「器用度と幸運度でそれぞれ5LvのSR」を要求する訳だね。
5LvのSRの目標値は40だから、器用度幸運度18のPCでもゾロ目が出ないと全然届かない。


その後「格闘家だから」とか「俺様の無想転生が火を噴くぜ」「いや、背後だから」とか
何とかアイディアを出し合って、最終的なSRを算出する訳だ。
まぁ、こんなもんじゃないかね。


○○○
更に、発展を考えてみよう。


この格闘家のPCが、頑張って幸運度を3点伸ばし「回避」のタレントを取ったとする。
(いや「夢想転生」でもなんでも良いけどさ)


すると。


・攻撃をかわして背後に回り込むSR
5LV(基準)-2(回避タレント)-1(状況:格闘技初見)で2LvSRで目標値25。
器用度18でタレント+3なので、判定値は21なので2d6で4以上。成功率92%。


・背後から一撃で倒すSR
5LV(基準)-1格闘家タレント)-1(状況:格闘技初見)で3LvSRで目標値30。
幸運度21でタレント+3なので、判定値は24なので2d6で6以上。成功率72.2%。


こんな感じで、途端に楽勝になる。約67%。
リソースをそれなりに振り込んで、一対一の戦いのエキスパートになったと考えれば許容範囲かな。


「急所が分からない」「背後も見える」「相手も格闘家だった」「狭くて後ろに回れない」など
色んな不確定的要素もある訳だしね。


○○○
これを踏まえた上で、修正点を考えてみる。


個人的見解としては、「首筋を撃って一撃で勝利する」の処理を、自動成功じゃなくて
「防御点無効でダメージ2倍」と言う形で処理したい。
低レベルな頃は十分な意義がある数字だけど、MRが上昇した高レベルでは更に一工夫必要になる筈だ。


盗賊も巨人もショゴスも一撃でKOってのは、ちと後に問題を残すと思うので。


○○○
更に派生の話もあるのだけど、それについては、また今度。

トンネルズ&トロールズ完全版

T&T完全版を購入した。

以下、ざっくりな感想。


戦士:白兵戦攻撃に自分のレベルが足せるようになった。
その辺の小さなダガーでも戦士が持てば立派な凶器に。
防具損傷のルールを入れると、マメに防具を修理する人になる。
逆に相手の戦士の防具を壊して殴りかつ事もできるんで、良し悪しか。
選択ルールだと得意武器を選択するので専門性が増す。


盗賊:タレントが7版より使いやすくなったので、専門性が強くなった。
1ラウンド中に<死の刃>などをかけてすぐ白兵戦可能と明記されたのでこれもプラス。
7lvで、戦士方向にいくか魔術師方向に行くか選択する事になる。
選択ルールだと汎用タレント<悪事>が追加されてSRがかなり有利になる。
機転で勝負するクラスという特徴が強調されてる。


魔術師:魔法抵抗ルールが無くなったので<これでもくらえ>が最強の座に返り咲き。
低レベルでも買えそうな特別な魔法の杖が白兵戦で4d6なのが地味に気になる。
マジックアイテムによる安定した魔法使用が出来なくなったので、相対的に強化かな。
選択ルールだと、種族毎に独占する呪文が出るので、種族毎の差がでて面白い。


専門家:選択ルールで導入。 レンジャーなどの「問答無用でなんでも1lvSR」というご無体なルールはマイルドに変更された。当たり前だ。
他のクラスとの差が少なくなったので、普通に導入可能かな。


達人:5版での魔法戦士は健在。


種族は、昔と同じ感じ。人間がSR一回振り直し権利を得て、とても有利に。
強すぎて選択ルールで何か高品質なアイテムでもあげる事にしたら、との話が出るほど。


ルールは5版や7版と大きな変更は無い。
5版から7版で大きく変わったクレムがどーしたとかいう話が全廃。評判悪かったのかね。
でもその結果「1ラウンド目に<これでもくらえ>全力射撃を敵魔術師に撃つのは禁止」と
言う紳士協定が復帰する見込み。これが無いと敵と味方の魔術師が開始直後に肉塊になる。


飛び道具のSRに失敗しても武器ダメージをヒットに足して防御に使えるようになった。
(この時HIT合計で勝ってもダメージを与えるのは無理)
これが無いと射撃が失敗すると戦線が崩壊してたので、嬉しい変更だ。


ダメージを受けた時の分配方法が5版の「GM任せ」から7版の「PC側自由」を経てGM任せに戻った。
「戦士なので前に出て仲間を守るのでダメージ多めで」とか宣言しないと、肩を並べて戦ってた盗賊がミンチになるので気をつけよう。何、。立ち位置が重要なのはD&Dと一緒だ。


格闘家の指針に、それなりにスペースを割いておきながら確定話を書かないのは、こんな感じでハウスルールを作って導入しろと言う事らしい。
膨大なルールを公式で用意せず、ハウスルールを推奨するのはT&Tの伝統だろう。


モンスターPC:詳細はまだチェックしてない。能力へのご無体な倍率修正は減った印象。
そこそこのスペースを各モンスターに割り振っているのは、この背景を利用して
タレントやSRを運用しろ、との事だろう。

モンスターマニュアル的な項目が無いのだが、これも5版回帰だろうか。
7.5版はそこそこな分量のモンスターマニュアルがあったんだけどな。
MR形式で良いなら、どうとでもなるが、これはモンスターモンスター待ちらしい。


世界設定とソロシナリオ、GMシナリオはこれから確認。
世界設定の分量はグレイホークワールドガイドくらいかな。


同梱されてた電卓やダイスはどーでも良いので、その経費を他に回して欲しかった気はするけど、全体的に中々良い出来なのは認める。


p145の表の起動の項目は誤植だと思う。本文で常に有効って書いてあるじゃん。