『ゲゲゲの女房』1−3,4,5,6   

ゲゲゲの女房』第1週3〜6回の感想です。
今週は、プロローグ的な話で、水木しげるは所々で顔見世するものの、残念ながら話の本筋には出てきませんでした。第2週以降が本編という感じでしょうか。次からが非常に楽しみです。


今週の見所は、なんと言っても次女ユキエの見合い相手の横山さんでしょう。
第6回の医者を背負って駆けていく所が最高に格好良いです。
一方、帰宅したユキエ達の罵倒に黙って去っていくところは、なんともいえない悔しさがこちらにも伝わってくるようでした。
その直後の、布美枝が横山さんをかばうシーンが今週最大の見せ場でしょう。

我侭を言うだけのユキエには勿体無い相手だと思います。
視聴中は、布美枝とくっつけば良いのにと思っていたくらいです。


あと良かった登場人物は、父源兵衛です。
現在の価値観からすると、酷い人物像に見えるでしょうが、昭和十四年という時代背景を考えれば、決してそうではないと思います。
頑固親父という言葉をそのまま形にしたかのような性格が、結構好きです。
第5回で見せた、家族を思いやるところから分かるように、ただ頑固なだけでない一面を見せたのもポイントが高いですね。
ふと思ったのですが、星一徹海原雄山と同じ系統の人物ですね。
すると昭和の頃は、こういった父親がスタンダードだったとか?

『ゲゲゲの女房』1−1,2    

NHK朝の連続テレビ小説史上、最低の視聴率ではじまった『ゲゲゲの女房』の感想です。
この作品は、もしも面白かったら、毎週土曜か日曜に一週間分纏めて感想を書こうと思っていたのですが、低視聴率とは裏腹に、あまりの面白さに一週間待てず、二日目にして観想を書くことにしました。
漫画やエッセイなどで水木先生ご本人の生い立ちは幾度と無く見てきましたが、そのパートナーである水木婦人のキャラクタは、そこではあまりかかれていませんでした。また、水木先生本人の視点でかかれていますから、ご本人を客観的に見た描写もありません。
この作品では、そのあたりが見ることが出来るのを期待してます。


さて、今日は第1週「ふるさとは安来」(第1、2回)の感想です。
まず、オープニングの映像が素晴らしかったのに驚きました。
まさかNHKの朝ドラのオープニングに鬼太郎たち水木作品のキャラクタ達が出てくるとは思いませんでした。
それもテレビアニメ版の『墓場鬼太郎』を髣髴させる美しいビジュアルでオープニングを飾っているのは感動ものです。

第1回

水木婦人の半生を、幼少期より時系列順に追っていくようで、我等が水木しげるは第1回の頭にほんの少し顔見世していましたが、暫くは出番が無い模様です。
この水木しげるを演じる向井理は、一寸格好良過ぎではないかと思います。もう一寸抜けた表情や仕草をしたほうが水木らしいと思うのですが、その辺りはドラマと言う事で、見栄えのある形にしているのでしょうね。

第2回

水木先生の出番は無いだろうと思っていましたが、第二回目もそれらしき人が出ていました。
べとべとさんやヒダル神の回避方法を教えてくれたり、小豆はかりのイラストを書いていましたね。

また、夜に祖母が話している蛇婿入りもなかなかいい味が出ていました。全国各地に伝わる異類婚姻譚の典型例の一つで、かなり有名な話ですね。
水木先生登場(結婚)前には、あまり妖怪の話題は出ないかと思っていたのですが、意外と妖怪指数が高くて面白かったです。
この作品を見るであろう視聴者は、恐らく水木ファンだからといった配慮からくる視聴者サービスなのでしょうか?つまり、私のための作品であると。


さて、ここからが私の本当に書きたいことです。
そう、半年振りの妖怪解説です。
今回解説する妖怪は「べとべとさん」です。
奈良県宇陀郡や静岡県に伝承のある妖怪です。
夜道を歩いていると、後ろから誰かがつけてくるような音が聞こえることがあり、その現象を起しているのがべとべとさんだといいます。
奈良県では「べとべとさん先へ起し」、静岡県では「お先にどうぞ」と唱えると怪異が離れていくといいます。
同類の妖怪として、福井県坂井郡に、冬の霙の夜道に現れるビシャガツクという妖怪もいます。
この妖怪は、音声のみの怪異で、姿形が目撃される類のものではありません。作中で姿が見えるたものは、水木先生のオリジナルデザインです。
少なくとも、現在水木しげる登場以前のべとべとさんの絵画や立体物は発見されていません。


野暮を承知で一言付け加えると、本作中では、日中に登場している上、土地も島根なので、今ほど妖怪の情報が多く流通していない当時に布美枝がべとべとさんに遭遇したのはかなり疑問に感じます。
なんか、あとから付け足したエピソードに感じる点もありましたが、雰囲気はそれっぽかったから、まあ良しとします。


ヒダル神との解説は以前『ゲゲゲの鬼太郎』の解説でやっていますので、気になる方はそちらを見てください。
ヒダル神
http://d.hatena.ne.jp/dodomeki/20081012
小豆はかり
http://d.hatena.ne.jp/dodomeki/20081116


妖怪解説がしたくなったら、毎日でも更新しますが、あまり目ぼしい妖怪ネタが無ければ、週一回程度の更新をしていこうかと思っています。

『鬼太郎 幸せ探しの旅に出る〜100年後の「遠野物語」〜』

今年は柳田國男の『遠野物語』の発刊百周年目にあたります。
だからでしょうか、NHKBSHiで『鬼太郎 幸せ探しの旅に出る〜100年後の「遠野物語」〜』の放送がありました。
昨年の三月でアニメ第五期『ゲゲゲの鬼太郎』が終了して以来、約一年ぶりにテレビで鬼太郎に出会えました。
第五期が打ち切りになって、とても脱力感があり、落ち込んでいましたが、久しぶりにテンションがあがってきたので、ここも久しぶりに更新しようかと思います。
今後『ゲゲゲの女房』のドラマも始まりますから、水木ファンにとってはテレビから目が放せない毎日が続きそうです。


さて、今回の放送内容で一番気になるところは、当然目玉親父の声を誰が演じるのかというところでしょう。
多分ここを見ている方ならご存知かと思いますが、今年の一月に目玉親父を長年演じていた田の中勇さんが亡くなられました。
実写、アニメを含めるほほぼ全ての『鬼太郎』関連作品*1目玉親父を演じていた方で、鬼太郎ファンにとっては目玉親父そのものといえる方の訃報に落胆したものです。

そうすれば当然、この度の番組では声優交代になるわけですが、さて誰に代わるのかと思ってみていたら、水木ファンにとっては馴染みのある青野武さんでした。アニメの第三、五期でぬらりひょんを演じた方です。
目玉親父はあまり画面上に出てこないこともあって、善人になったぬらりひょん、或いは井戸仙人が話しているかのように感じてしまいます。『国盗り物語』が映像化されたら、ぬらりひょんはこんな感じになるなるのかなと考えながら見ていました。


長年田の中さんの目玉親父に慣れ親しんだだけあって、違和感がぬぐえないのは事実です。
しかし、キャスティングが変更することについては絶対文句は言いません。
鬼太郎は野沢雅子戸田恵子松岡洋子高山みなみ松本梨香、六浦誠、和田求由、ウエンツ瑛士と過去八人の方が演じています。
ねずみ男も同様に、大塚周夫富山敬千葉繁高木渉竹中直人うえだ峻野沢那智大泉洋と八人の方が演じています。
それぞれの方が、それぞれの作品で好演されて、それぞれが別の魅力のある素晴らしい作品にしていました。
ですから、目玉親父が別の人であっても、良い作品ができるならかまわないと思っています。
もし、今後目玉親父を演じる方がいても、その方の演技が不出来な為に文句を言うことはあっても、田之中さん以外に目玉親父を演じたこと自体に文句は言わないつもりです。

今回の青野さんは、長年水木作品に多数出演していただけあって、いい味を出していたと思います。


本編のほうは、民俗に興味のある方は楽しめるのではないかと思います。
遠野物語』を読んだ方なら馴染みがある場面が、映像として楽しめます。
さすがに、『遠野物語』の内容全てを網羅していませんので、見たかった場面が必ず出てくるとは限りません。
個人的には、もっと妖怪色の強い内容を期待していたのですが、祖霊や信仰を中心とした番組構成になっていたのにはややがっかりしました。


個人的に一番気に入ったのは「コンセイサマ」を取り上げたところでしょうか。
まさかあれをテレビで放送するとは思いませんでした。
コンセイサマ」といえば、男性器まんまの御神体で有名な子宝を授けてくれる神様です。
セクシャルな方面は見ない振りをする風潮が強い昨今で、こういったものを堂々と放送するとは、本当に恐れ入りました。
ねずみ男の、「これぞ男の憧れと」いった感じの台詞といい、NHKも意外とやらかしてくれます。


水木先生ご自身も前編に渡って幾度となく登場しており、水木ファンにはとても楽しめる内容でした。
『鬼太郎が見た玉砕』同様、DVD化して欲しいです。

*1:アニメ第二作の第四話『雨ふり天狗』と、PS2用ゲームソフト『ゲゲゲの鬼太郎 異聞妖怪奇譚』以外の映像作品全てで、田の中さんは目玉親父を演じていました。

ニャニャニャの特典(DISC:2)

DISC:2の特典は、「中国妖怪パオズの暗号 消えた目玉親父を探せ!」と題した、声優主演の実写映像作品です。これは『劇場版 ゲゲゲの鬼太郎 日本爆裂』の映像特典の続き物になっています。
しかし、劇場版の特典を見ていなくても問題ありません。大した筋などないどうでもいい話ですから。


出演声優の人が担当キャラクタのコスプレで登場するのですが、これがなんとも言えない出来栄えです。
特にかさばけのやっつけ感が酷過ぎる。何しろ、ただの私服着たおっさんが背中に傘を仕込んでいるだけですから。
コスプレというより、最早小学生のごっこ遊びレベル。いくら低予算のやっつけ企画とはいえ、これはないだろうといったできです。
同じくやっつけコスプレでも、呼子は案外ありなのではと思えました。和服を着て防災頭巾を被っただけなのですが、意外と防災頭巾がそれっぽく見えて笑えました。

そして、一番のショックは、なんと言ってもイケメンの鷲尾さんがただのおっさんになったことでしょう。
中の人とアニメのキャラクタが似ていないと分かっています。まさか、美形キャラを演じているのは、キャラクタのイメージ通りなどといった幻想を持ってはいません。
しかし、実際に目の当たりにすると、こういろいろとイメージが崩れてしまいます。
やはり、声優さんは裏方に徹するべきだと思いますよ。


前回は境港がロケ地でしたが、今回は横浜中華街と箱根芦ノ湖が舞台となっています。
ここで目玉親父を探すと称して中華饅の食べ比べをしたり観光をしたりします。中途半端な寸劇はいらないように思えます。


芦ノ湖では、封印された芦ノ湖入道を鬼太郎たちが救出する展開が描かれます。
芦ノ湖入道なんて妖怪は聞いたことがありません。どうやら以前鬼太郎と戦ったらしく、そのときはバックベアードに操られていたとか。
webで検索したところ、箱根園で「ゲゲゲの鬼太郎 妖怪パニックアドベンチャー 〜激闘!!芦ノ湖入道〜 」というアトラクションがあったのを見つけました。そんな事やっていたとはまったく知りませんでした。
芦ノ湖入道に関しては妖怪解説は必要ないでしょう。


そして、目玉親父が見つからないまま終了。次回に続くそうです。
って、これまだやるの?
『鬼太郎』のDVDがまた出るというのは嬉しく思うのですが、この路線の企画はもう必要ないでしょう。
普通にスタッフインタビューとかの方がまだ楽しめます。