人生の答えは

前の鬱気に何の気なしに書いたブログ記事に未だに多くのアクセスがあり、コメントも定期的に頂いて(返せてなくてすいません。だけど軽く返せるものではないと思うのよ)いたり、というか「目標を失った」でググると一番上に来ちゃうんですよ、僕ごときの記事が。

ついでにこないだ書いた記事も「どう生きたい」で検索するとトップではないものの、1ページ目には入っていたり。やっぱり多くの人が悩んでいて、そしてここは驚きなのだけど、ググって何かを求めている、ということが分かった。

僕は、と言えばようやく光が射したところでしょうか。もちろんその道程には大きな決断もあり、深い悩みもあり、そして今まで蓄積してきた縁の切り捨てもございました。笑いもあれば涙もあり、怒りは運良くなかったけど、でも喜怒哀楽のダイナミックな嵐に見舞われながらも歩き続けてみました。

気持ちは分かる。出口が見えない時には何でもいいから糸口を見つけられればとも思うし、自分と似たようなことを考えている人の話を聞いて共感したいとも思うもの。でも、残念ながらそこに答えが存在するはずはないのだ。なぜなら人の悩み程一般化できない個別具体的な事象はないから。

答えはきっと自分の中にしかない。だから歩き続けて考え続けて結論を出すしかない。

そう、Googleでググったって答えなんかどこにもないんだよ。

イントゥ・ダークネスとホワイトハウスダウン

いや、ホワイトハウスダウンの方がいいよ

両作見ました。スタトレはIMAXまでわざわざ行きましたよ。

スタトレが凄いと思うのは前作でもあったとおり、パラレルワールドという設定を持ち出したこととオリジナルの設定を破るところは破り活かす所は活かすという取捨選択がいちいち正しいこと。こういう「一般に受けるにはどうするか」というところは本当にエイブラムスチームが他のあらゆるチームにも勝っている所で(ノーランチームよりも俺は優れていると思う)現代随一の“製作”チームだと思う。

が、だが、監督として彼を認めるかというとそれはまた別のお話だ。またも、またもあいつはやりやがった。どうしてだろう。どうしてラストがあんなに薄味なんだろう。かゆいところに手が届かないというか、いつもそうだ。1作目もそう。転送機能の制限を取っ払う必要があるとはいえ、星を破壊する装置があんなに簡単に壊れていいのかね。その後はただの凡百のアクションになってしまうし。(そうエイブラムスは格闘シーンの演出が恐ろしい程ヘタ。ちなみにノーランはもっとヘタ。)

そういう意味ではあらゆる意味でカンバーバッチがこの映画を救っているのであって、カンバーバッチがいなかったらただのSF映画だったと思う。この映画を一段上に挙げているのは間違いなくカンバーバッチだ。ラスト、あぁあのラスト。カンバーバッチをひたすら追いかけるスポック。まるでアベンジャーズのラストの戦闘シーンかのような戦いのシーンが繰り広げられるラスト。空飛ぶ船から船へとジャンプ・・・するだけ!!追いかけてジャンプしてなぐって銃で打って終わり!!おい!!!!ここまで引っ張ってそんな工夫もくそもないラストあるかよ!カンバーバッチは最強なのになんで正攻法で勝っちゃうんでしょうか。

最強のデススターにはただ一カ所だけ弱点があった。そこは恐ろしく細い道で相当な運転技術が必要な上にその道には多くの迎撃システムが備えられている。とか。カーンの逆襲でどのようにカーンに勝ったのかは知らないんだけど、いずれにせよ力が最強の敵には力の衝突以外の要素が存在しないと勝てる訳がないんだから、そこに頭を使ってほしい。一般人が小錦相手に寄り切りで勝てますか?勝てないから違う方法考えるんでしょ。もちろん知能も優に上回っているという設定なわけだけど、何かしら弱点を持たせることも可能だったんじゃないの。というかそれをオールドスポックから聞いて、立ち向かうという流れにしてほしかった。(そしてあの空飛ぶ交通手段も活かしたクリエイティブなアクションシーンを俺は見たかった。)

他は良かった。他は良かったがやはりラストが全てを駄目にしている。これは一作目と全くおんなじ感想だ。

一方で、ホワイトハウスダウン。こちらはエメリッヒが相変わらず平凡な仕事をしているんだけど、でもこれはエメリッヒの最高傑作だ。なんでかってシナリオが素晴らしかったから。特に展開の工夫と伏線の提示・その回収。そうスタートレックには全くない部分が優れていた。エメリッヒのキレの悪い演出のせいで途中まで入り込めないんだけど、展開があまりに強烈(ぶっ飛んでるとか針が振り切れているとかそういう表現の方がいいかもしれない。)なので途中からグッと入り込み、エアフォースワンがあーなって俺の中では「きちゃーーーーーーーー!!」になり、挙げ句に「実はまだ終わってないの。」でのこれだこれだ感と俺の好きな展開が続いたので久々に展開で満足できた映画でした。

これなんですよ。要はダイハードなんだけど、圧倒的劣勢にある一方がどのように相手を打ち負かしていくか、そしてその劣勢にあった状況が一進一退しつつ、どんどん悪化していくわけですよ。ホワイトハウスダウンはあまりインテリジェンスで解決していくタイプではないんだけど、それにしても状況がどんどん悪化していく様と最後にその失地をひっくり返す様が凄く気持ち良いバランスだから見ていて「やっぱアクションてのはこうあるべきだよなぁ」と。ありがちなのは大きな話だったはずなのに気づいたら悪役と二人で走っていることしか描写しなくなっちゃうとかなんだけど、この映画はちゃんと外の状況と中の状況がしっかり関連性を持っているから安心して見ていられる。

エメリッヒじゃなきゃあ、最高の傑作になっていたと思うけど、残念ながら。でも凄く良い一本だった。デベロップメントヘルに陥っている24の映画版はこの脚本でやっちゃえばよかったんじゃないの?あ、でも24はホワイトハウス占拠ネタ一回やっちゃったから駄目か。(しかも最悪な形で。)

「何をやりたいかとどう生きたいか」

会社を辞めると言ったら後輩に泣かれた。男だったんだけど、泣かれた。いやーそういう関係じゃないはずなんだけど泣かれました。(大事なことなんで3回言いました。)
全く予想外のリアクションについ、口をついてでたのが人生訓。

「人生とは何をやりたいか、どう生きたいか。この2つの変数で決まる。」

パッと思いついたから言ってみたんだけど、その後冷静になって考えてみたらこれは真理かもしれないという気がしてきている。人生におけるあらゆる選択には絶対的な正しさなんかは存在していなくて、常に「今までの選択肢」と「今ある選択肢」との比較感、つまり相対的に選択して人は生きているのだと思う。しかるに、一貫した人生(≒後悔しない人生)にはその優先順位の決定要因が必要であり、その決定要因をそれぞれが保持している、ということだけが絶対的に正しいことなんだろうと思う。

ふと思いつくと、僕は8年前に似たようなことをこのブログで言っている。http://d.hatena.ne.jp/dokodaka/20051212/p1 要はここで言うところのポリシーというものをもう少しブレイクダウンしてみると、「何をやりたいか」「どう生きたいか」。

自分は仕事にいきたくない、アフター5が大事なんだ。これは生き方 →選択→ 給料低いけど17時に帰れる仕事を選びました。
俺は映画を創りたいんだ、みんなをアッと言わせたいんだ。これは何をやりたいか →選択→ 不安定なフリーの映画監督になりました。

それぞれはそれぞれのポリシー(基準)で決定されているだけだ。いずれにせよそのポリシーが存在するのであれば(しかもそれが熟考の末ならば)、その選択肢は正しいのだと思う。人から見れば違和感のある選択肢もその人にはその人なりの要因がある。だからその選択はきっと正しいし、違う物差しを持っている他人が口を挟める領域ではないはずだ。もちろん、考えていないなら批判されてしかるべきだし、僕はそんな人見かけたら(しかもそれが僕の愛する後輩なのならば)重たい重たい説教をくらわしますよ。だってそれは絶対的に間違っているから。

もうひとつ、僕が大学生の時に思いついた方程式があります。これも僕は意外とあたっていると思っています。

y=a(x+b)

y=結果、x=努力、a=運、b=才能

どれだけ努力しても才能があっても運がなければ何にもならない/なれない。どれだけ運があっても努力もしておらず才能もなければ何も起きない。才能はスタートポイントが違うだけであって努力で挽回可能なものもある。しかし努力できる時間は有限であり平等であるから、時にbの値の差が大きいとxが限界値に達してそれ以上bの差を埋められなくなる。が故に努力量が一緒でもパフォーマンスに差が出る。

これらについてエッセイのご依頼があればコメント欄までご連絡ください。(金額応相談)
副業探し、という生き方。そういう生き方も、たしかにあるね。


(ここまでのはなしが台無し。)

東京ディズニーシーにファンタズミック導入

http://www.olc.co.jp/news_parts/20100202_01.pdf

こればっかりは本気で止めたい。

あまりに偉大な作品を、本気で汚す気なんだろうか。30年近いTDRTDL)の歴史の中で最大の愚行だ。

ディズニーランドのファンタズミックの成功要因とは、、、
「1.地の妙:トムソーヤ島に舞台を設置し既存設備を最大限活用したこと」×「2.臨場感:全てのイベントが目の前で起こること」×「3.ステージ構成の妙:舞台とウォータースクリーンと河の絶妙なバランス感覚によるコンビネーションにより瞬時の場面転換を可能にしたこと」×「4.天才クリエイターの集結:演出家のバーネット・リッチーの感動のつぼを押しまくる演出と絶妙な構成、そしてその暴力的とも言える凄まじい演出に音楽的に破綻させることなく完全に合わせたブルース・ヒーリーの一度聞いたら忘れられないスコア」

だろうと僕は考えています。これのどれが欠けてもファンタズミックは傑作に成り得なかった。この方程式を元にディズニーワールド版を考えると、凡作である原因が見えてくるように思います。(ディズニーワールド版には重要な1と2の要素が欠けている。また、2が欠けたことにより小さな演目が出来なくなり、3が崩壊し、演目全体のバランスも崩れました。)
で、ディズニーシーでやったらどうなるか、というと、1〜4まで全てが欠けます。しかも、メディテレーニアンハーバーなんて360°全方角に観客がいるわけですよ。根本の設計思想から変えて製作しないと成立するわけがないじゃない。ということは、ファンタズミックの特性を全く生かすことができないのにファンタズミックであることにこだわった糞みたいな駄作ができあがるか、ファンタズミックという冠を載せた全く別のショーが出来上がるか、どちらかしかありえないでしょうね。前者は論外だし、後者ならそもそもファンタズミックなんて名乗るんじゃねーよ馬鹿野郎。

あまりブログを汚い言葉で埋めたくないのですが、この世紀の誤った判断には声を張り上げてでも、どんだけ汚い言葉を使おうとも間違っていると主張したい。ウォータースクリーンを使えばファンタズミックができると思ってるのなら大間違いだぞオリエンタルランドファンタズミックは上記の成功要因に加えて製作上の奇跡的なコラボレーションがあったからこその世紀を超える大傑作になったわけであって、ファンタズミックの成功要因を本当に分析したのなら、ディズニーシーのメディテレーニアンハーバーファンタズミックをするなんていうとち狂った、いや、頭のこれっぽっちも使ってない鼻くそほじりながら考えたような結論なんか絶対出るはずないんですよ。(やるならTDLのトムソーヤ島周辺か、TDSのケープコッドを改修してファンタズミックエリアにするくらいしかない。)
もうオリエンタルランドにはまともな人はいないんだろうなと思ってましたが、ここまでとは思いませんでした。さすが「総務部」出身*1を社長にするくらい人材難にあえいでいるだけありますなぁ。
いや、分かってます。オリエンタルランドが実際はこのファンタズミックを作るわけではないことを。しかし、WDI(正確にはDCEか。)から受けたであろう提案を受け入れるかどうかの決断権くらいはオリエンタルランドにあるはずだ。それをしゃあしゃあと「はいやりますよー」と受けたのが本当に信じられない。観客が一方向にしかいないことしか想定されていないファンタズミックTDSに導入なんて、どう考えても常軌を逸した判断だよ。
本当に、本当に、エンターテイメント本部長、エンターテイメント開発部長はじめエンターテイメントに関わるオリエンタルランド全てのみなさん、この決断が自信を持って正しいと言い張ることはできますか?正しいと思っているのなら、申し訳ないけど重要なセンスが欠如しているし、そもそも頭脳が足りない気がするので、さっさと会社なんて辞めるか総務部にでも行けばいい。早ければ早いほどいいので、決断は早めにしてください。これ以上、TDRがぐちゃぐちゃにならないためにも。*2

*1:総務にも優秀な人はいるかもしれないが、そもそも儲けを会社にもたらさない総務部に優秀な人を配置している時点で人事(=会社のコアたる部署)が無能であることの現れであり、総務から社長が出たというのは、無能な人を社長にしたか、もしくは人材を適材適所に配置できないダメな人事がいる、すなわちコアがダメな会社であるということです。キツイことを言うようですが。

*2:だからといって海外に優秀な人材がいるかというと、いないんだよなぁこれが、、、

おまえそろそろいいかげんにしろ

日本のジェームズ・ホーナーこと佐藤直紀

遅れ馳せながら、龍馬伝第1話見ました。
脚本が福田靖ってことで軽薄にならないか、かなり心配していたのですが、思ったよりいいデキで、しかも脇役(岩崎弥太郎が凄まじい存在感!)が素晴らしいのと演出が想像以上にスピーディだったため、久々に大河ドラマの第1話として楽しむことができました。この勢いとパワーを今後も持続できればとんでもないドラマになるでしょうな。

で、もう一つの心配が佐藤直紀

大河のオープニングはおそらく日本のドラマ界では間違いなく(邦画界でももしかしたら)最もお金がかかっている音楽なので、僕は毎年どんなテーマが出てくるんだろうと楽しみにしています。昨年は特に触れませんでしたが、大島ミチル天地人は「さすが大島ミチル!」と言いたくなるくらいの素晴らしいデキで、日本人作曲家の意外な実力に感心させられたものです。今年は佐藤直紀とこれまたずいぶん「軽薄」な人選でNHKにしては思い切ったことするねぇと思ってました。いざ聞いてみたらこれがひどいのなんのって。

始まってまずどこかで聞いたことのある打ち込みのリズムトラックで「もしや」という気分になる。「もしや」と思っていた頃に表示されたクレジットが・・・

演奏:N響
うた:リサ・ジェラルド(一般的にはリサ・ジェラードだったような。)

ちょwwwおまwwwうそだろwwww
ただのハンス・ジマーのフォロワーかと思ってましたが、ここまでやりますか、そうですか。まじいいかげんにしろ。

で、さらにテーマの展開でさらに爆笑。このメロディとコード、おまえ昔使ったことあるだろ。

「リサ・ジェラード」を発見した衝撃から始まったオープニングでしたが、何度笑ったか分からない。加えて中盤の「使い回しバレバレ」なシーンではこらえきれずに大爆笑!!本編でもせっかく良いシーンだったところで「あぁ、まただよ・・・」と笑いがこみあげてしまうので集中を保つのに大変でした。

佐藤直紀ってたしかに分かりやすいし、おそらくどの人が聞いても心地の良い曲を書けて、しかも一度聞けば覚えてしまう強烈なメロディを書ける稀にみる才能を持った人だとは思います。ただしかし、ハンス・ジマーのパクリと自作の使い回しが本当にひどい。人からも過去の自分からもパクるなんてまるでジェームズ・ホーナー。ホーナーは初期こそパクリだけだったものの、その後は彼自身のオリジナリティと人からのパクリを融合させて、いやこれはたぶん褒めてはいけない気もするんだけど、それなりにワンアンドオンリーな人となりました。(もちろん彼は音楽演出が非常に巧みだったからでもあるわけですが。)しかしねぇ、佐藤直紀はただの劣化版ハンス・ジマーなんですよ。アレンジが貧弱なハンス・ジマーというか。
また、構成力とアレンジ力が全くないので展開が毎度同じ。盛り上がりどころの弦楽器のアレンジなんか毎回同じなんじゃないでしょうか。昨年の大島ミチルの構成とアレンジが素晴らしかっただけに酷さがさらに際立つ。
別に民放のドラマだったらどれだけハンス・ジマーをパクろうがどうでもいいのですが、お願いだから大河ドラマでそれをやらないでいただきたい。そもそもNHKもそれをやらせちゃだめだし、それ以外できない人を選んじゃダメだろ。だって大河ドラマは良くも悪くも日本最大のドラマであり、あらゆる意味で格調高くあるべき存在であるから。それに大した実績もない人を選んで、そいつはどっかの作曲家の真似事をするしか能がなく、しかもオリジナルの部分は自作の使い回しだなんて、言語道断。

近年だと個人的には篤姫の音楽構成が激しくつまらなくて(ただつなげりゃいいってもんじゃねーよ)最低評価でした。一方、龍馬伝は音楽構成・メロディではたしかに篤姫を上回るものの、しかしそれが全てパクリと自作の使い回しってことで、記憶にある限りの大河ドラマの音楽の中ではブッチギリで最低評価です。というわけで、ドラマ自体は素晴らしいのですが、劇伴だけが残念。これからオープニングテーマ聞くたび、苦笑するでしょうな。

2009年を振り返る。

・・・ってもう2010年じゃねぇか!そう、気づけば2010年もすでに1週間が経過しているのです。早いですね。皆様明けましておめでとうございます。

毎年、年末にはその年を振り返る日記を書いているものなのですが、今年、あ、いや、去年はそれをかけなかったのです。理由の1つはアバターでした。

アバターを年末に見る予定がなかなかつかず、また川崎のIMAXが異様に混雑していたこともあって、結局年内には行けなかった。アバターIMAXで見ようと決めていたので、いい席が取れるようになるまで、とりあえず待とうと。で、ジェームズ・キャメロンの12年ぶりの新作を見ずして2009年を語れない、と思ったわけです。

アバターを全体として見ると、あんなに長くする必要ないんじゃないのってくらい無駄なシーンがたくさんあって、途中は正直いいかげんにしろよと思ってました。話もえらく古典的で何回この話って映画化されたっけ、みたいな。てかポカホンタス!!!てな具合で筋としては特に褒められたもんじゃありませんでした。3D自体は特に革新的な映像というわけでもなく、個人的には「こんなもんだろう」というかんじでした。むかーしに見たディズニーのチキンリトル(映画館での3D初体験)とそこまで大きな技術的な差を感じなかったなぁ。まぁ、チキンリトルはオールCGなので今回の実写混じりと比べちゃあいけないのかもしれないけど。

でも、個人的に、アバターは2009年ナンバーワンでございました。言うなれば80年代〜90年代前半にもてはやさせた人たちの逆襲。やっぱり「わかってる人」が作るとこれだけ違うものが出来上がるんだと感慨深かったです。ジェームズ・キャメロンは年をとってもジェームズ・キャメロンだったよ。トランスフォーマーが期待はずれだった分、その不満はすべてアバターが解消してくれました。

不満だらけなのにナンバーワンなのはなんでかって、僕はそもそも最後に展開されるであろう「大バトルシーン」にしか最初っから興味がなかったからなんですけどね。

現代兵器がミサイルぶっ飛ばすだけなのにあんなに燃えるとは思わなかった。キャメロンは盛り上げ方がやっぱりうまい。ヒッチコックの有名な「爆弾の爆発のさせ方の違い」じゃないけど、ミサイル一発ブチかますにもやっぱりしっかりとした演出(段取り)が必要なんだなぁと思った。最近の映画監督はこういうところがわかってないから困る。爆発させりゃあいいってもんじゃあないんだよ。(特にマイケル・ベイとか)
加えて最高なのが悪役の尋常ないくらいの粘り。なんつーベタな悪役だよっていうくらいなベッタベタな悪役が出てくるんですが、そいつとのバトルシーンに久々に感じる「これだこれだ!!」感があってやばかったです。最後の最後、飛行機墜落→悪役死亡で終わらせるかと思いきや、パワードスーツみたいなのに乗り換えてなんと生き残る。しかも最後主人公とのバトルシーンで意味もなくパワードスーツの前面防護ガラスを吹き飛ばす!!!ここで僕は

「きたーーーーーーーーーーーーーー!!!」

嬉しすぎて興奮のあまり劇場で大爆笑!!なんと無意味な本気見せの演出!でも、主役連中よりもこの悪役はキャラが立っているおかげで「怒りに任せればこんな無駄なこともやりかねんな、こいつは。」と思わせてしまうキャメロンの演出もまたすごいわけで、これを見て「ついにこいつは本気になった。」ってのが伝わるんですよ。
そしてこいつはまた中々死なない。あの手この手で生き長らえようとする。というよりあの手この手で主人公を殺そうとする。もはや当初の目的全部忘れてるよこいつ。なんだけどそれもまた説得力がある(ような気がする)。この粘り。最近の映画に出てくる悪役は粘りがなさすぎる。もしくは危機的状況から抜け出すのが早すぎ。と、いうより最近の映画のクリエイター達が「あれでもかこれでもか」の反撃手段(もしくは連鎖的に発生する危機的状況)を考えられないからなんだろうけどね。最後は粘って粘ってようやくそこから抜け出せるからこそカタルシスがあるわけですよ。スター・トレックなんかはそれ不満過ぎて個人的にはナンバーワンになれませんでした。あとトランスフォーマーもザ・フォールンが早く死にすぎ。(トランスフォーマーの場合は制作陣にインテリジェンスが欠如してるのでおそらく「あれでもかこれでもか」の展開が考えつかなかっただけなんだけど。)

それにハン・ソロばりにいいところで加勢しにくるミシェル・ロドリゲスも最高。(というかあれハン・ソロだろ。)ただ、ミシェル・ロドリゲスはあまりキャラが描かれないのでいまいち主人公に加勢する動機が分からないのでそこまで燃えませんでしたが、キャメロンが大好きな典型的な強い女のミシェル・ロドリゲスがかっこよすぎたのでよしとします。(ハン・ソロは直前に思い悩んでいたからこそあのシーンで燃える。)

で、なにより嬉しかったのはジェームズ・ホーナーの復活。最近は大作に起用されることもなくなり、派手路線は鳴りを潜めていたんですが、この何年ぶりかという活躍の場に今までの鬱憤をすべてぶつけたんじゃねねぇかという会心の出来!
オープニングでいきなり「パラララー」というあの気の抜けたいつものトランペットが聞こえてきたときは「またか・・・」と嫌な予感が一瞬したのですが、アディエマスかよというジェイクとネイティリの交流の曲とか聞いていてシーンの美しさもあって非常に心地がよかった。それにホーナーは基本に忠実な人ということもあり、主題曲を何度も繰り返してくれるのでしっかりと耳に残ります。そして最大のヒットは最後の大バトルにつけられた曲!!これがもう、僕にとっては2009年のベストキュー。激燃え。ジアッチーノとかどっか行けレベル。ジャブロンスキーなんて論外。
僕にとってホーナーは「気の抜けたふにゃっとした高音中心のオーケストレーションをする人」で、正直、苦手な作曲家でした。というのもホーナーを聞いていたのがちょうど90年代末のころだったからです。エイリアン2やクルール、コマンドーなんていうホーナーのド派手路線をあまり知らずにアポロ13やパーフェクトストームなんてのを聞いていました。メロディーは大好きだし、楽器のバランスも好きだけど、どうもなんかなよっとしてえ「パンチ」がないなぁ、、、と。だからこそ、今回のパンチのきいたド派手なオーケストラに心底驚いてしまったのです。それに打ち込みのパーカッションが大活躍するおかげで曲全体が「キュッと締まった」結果、ホーナーの苦手な部分が全て無くなっていて大感激でした。やっとやってくれたね!ホーナー!!みたいなかんじ。このままだとファンになりそう。また、さすがやっぱりホーナーはベテランだなと感心したのですが、派手なアクションスコアが「うるさすぎない」んですよ。最近の作曲家は派手にするとうるさすぎて、うるさすぎないと今度はおとなしい曲になったりと、派手でありながらうるさくない曲を作れる作曲家が減ってきているのですが、さすがベテランとも言うべきデキではないかと思います。(うるさすぎると映画の効果音とバッティングするので望ましくない。)
それだけじゃなく、今回の特筆すべきポイントはアクションスコアにドラマを感じられるところ。ジェイクはじめナヴィ一族の決意や勇気、思いがアクションスコアから伝わってくる。本来的には劇伴はドラマの補助なのでドラマを感じられて当然なのですが、ハラハラを助長するくらいしかできなくて、それぞれの思いが伝わってくるアクションスコアというのは実はあまりないのです。人間側とナヴィ側が交互に描かれる出撃シーンは感情が伝わってきてそれだけで燃えてくる素晴らしいスコアリングでした。(ちなみに、サントラでいうと12曲目にジマーのグラディエーターにそっくりな曲があったのですが、あれはお得意のパクリというやつでしょうか。コーラスの入り方とかパーカッションとかそっくり。)

いろいろ問題点はある映画だとは思いますが、しかし基本がしっかりと出来ているスタッフの力が集まるとかくも凄まじきと感服致しました。マイケル・ベイやJ.Jエイブラムスはいつまでたってもキャメロンには追いつけないだろうし、ジャブロンスキーは絶対にホーナーにはなれないのです。いやーすごかった。今度は2Dで見てこようかなぁ。絶対もういっかい劇場に行こう。

・・・で何時の間にやらアバターのレビューになってますが、本来の目的は2009年の振り返り。

・007/慰めの報酬
2009年の幕開けは007でした。既に遠い記憶になっているのですが、一言で言えば「なんだか急いでいる」映画でした。アクションシーンのねじ込み方がなんだか無理しているような、、、全てが駆け足で多くの要素を詰め込もうと思ってなんだか破綻しちゃったような、そんな記憶があります。まぁカジノ・ロワイヤルのデキが素晴らしかったので、それと比べてしまうとどうも、、、というところで個人的にはイマイチ。

マンマ・ミーア!
ABBAだらけ。ミュージカルはイギリス産よりもアメリカ産派な僕としてはいまいちでした。ABBAの楽曲と相変わらず全てが上手い/巧いメリル・ストリープは素晴らしかったけどね。

ハイスクール・ミュージカル/ザ・ムービー
ザ・頭からっぽムービー。みんながまっすぐ過ぎて見てるこっちが気恥ずかしくなります。が、生まれ変わったらあれだけ頭からっぽな人生も歩んでみたいな、と思いました。曲とダンスシーンに救われてる。というか、曲の良さを抜いてしまうと何も見どころがない。ただいまどきのミュージカルで正統派な群集ダンスを見せてくれるものは少ないのでそういう意味ではは貴重。これだけ言っておいて、実は結構気に入ってたりする。This is itオルテガが監督なんだよね、よく考えたら。映画監督するのはやめた方がいいよ、オルテガ

ワルキューレ
非常に惜しい映画。トム・クルーズも頑張ってるし、いくつかの重要なシーンではサスペンス演出も成功しているのに、しかしあと一歩。なんでかって、この作戦は失敗するのを観客はみんな知っているのに「失敗しました」を映画のオチにしちゃったから。だから有名な史実を映画にするのは難しい。

ウォッチメン
いちいち映像が懲りすぎ&示唆の入れ方が明らさますぎて嫌らしい。300でもそうだったけど、僕にはこの手の映画は合わないみたい。

・ザ・バンク 堕ちた巨像
退屈。シナリオもありがちで工夫がなく、アクションシーンのキレも全くない。じゃあ題材で魅せるかっていうと、社会派になりそうな題材を選んだ割りにはそれほど突っ込まないしで全体的に中途半端。2009年で見に行って最も損をしたと思った映画の一つ。

天使と悪魔
前にも書いた通り最悪。優れた原作があるのにどうしてこうもつまらなくできるのだろうか。とりあえずロン・ハワードは評判を落とす前にサスペンス、アクションモノから引退してドラマに専念した方がいいよ。ハンス・ジマーの音楽もなんだか空虚に響く。

スター・トレック
惜しくも今年2位。優等生な作品であり、これを嫌う人はほとんどいないと思うが、やはり中盤以降の失速はいただけない。地球に打ち込まれる赤色物質の阻止が早すぎるでしょ、いくらなんでも。終盤の見せ場にも関わらずあれだけさらっと終わらせるのが理解できません。だからエイブラムスはまだ一流じゃない。企画は巧いけど、さ。ジアッチーノの音楽はメインテーマとメインテーマの派生はとても素晴らしかった。あと新旧テーマ曲が入り乱れるエンドクレジットは出色のデキ。オーケストレーションもオーケストラの醍醐味を感じることができてよかった。でもメインテーマ以外何か覚えてる?と言われると覚えてない。そして相変わらずのアクションスコアのキレの悪さに閉口。M:I:3も最悪だったし、アクションスコアがもうちょっと巧くなると素晴らしい作曲家になると思うのだが。

ターミネーター4
ただ派手なだけ。それだけ。

トランスフォーマー/リベンジ
ただ派手なだけパート2。期待がはずれてしまった僕の残念な気持ちったら表現できませんわ。ただ、Blu-rayで見返したらバトルシーンは第一印象よりはひどくなかった。ジャブロンスキーのスコアは全く褒められるところがない。ひどい。いい加減にしてほしい。音楽は鳴ってればいいってもんじゃないんだから。頼むから3作目はもうちょっとスピルバーグの意見も聞いて堅実な作品作りを目指してくださいね、マイケル・ベイ

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
もはや評価不能。TV版のエヴァを伏線としても、物語の補完としても活用しきった表現にはもはや脱帽。それでこそ「新劇場版」とした意味がある。作品としても素晴らしいなんていう陳腐な言葉では表現できないほど「凄まじい」デキで、おそらくこの映画後世に語り継がれる永遠の名作だと思う。ちなみに劇場では終わった瞬間に拍手が起こりました。純粋な映画で拍手が起こったのは今まで3回しかない。スター・ウォーズEP1でメインテーマがかかった瞬間(これはお祭りのようなものだったからな)とダークナイトでドーンってエンドタイトルが出た瞬間、とこれ。デキに感動して拍手が起こったのはダークナイトエヴァだけでしょうな。この二つには納得。本来的には1位とすべきなんでしょうけど、1位なんていうのもおこがましいくらいのデキだったので、あえてランク外にしております。

・G.I.ジョー
ただ派手なだけパート3。俺も好きだなこの手の映画。ソマーズはバカな映画作らせると天才ですが、これもまさに。ただパリの大乱闘は正直トランスフォーマーのフォロワーでしかなかったよ、ソマーズ。シルベストリは久々に盛大に鳴らしてくれたのでうれしいことはうれしかったのですが、ただちょっとメインテーマが弱いんだなぁ、、、そこだけが残念。ただアバターでもホーナーはさすがベテランと書きましたが、シルベストリもやはりベテランで、パリの大乱闘のシーンのスコアリングは素晴らしかった。音楽がかかるだけで燃えたもんなぁ。

・96時間
手堅くまとめた一本。このご時世によくもまぁここまでシンプルなもん作る勇気あるねぇあんた、と言いたくなるような映画。でも、逆にこのご時世だからこそシンプルさが新鮮だった。何回も見たい映画ではないけど、暇つぶしとしては十分。

・サブウェイ123 激突
劇場で何度笑ったかわからない。最近のトニー・スコットはお決まりの映像表現しかしないので、ところどころ予想できちゃうのね。カメラがゆれて早送りとスローモーションの混在の中、フラッシュとか色のチラツキを加味。これであなたもトニー・スコット!・・・クリムゾン・タイドとか昔はいい映画撮ってたんだけどねぇ。まぁでもさすがはベテランで、水準並の作品ではありましたよ。

マイケル・ジャクソン THIS IS IT
マイケル・ジャクソンについて書くと物凄い量になるので書きませんが、僕にとってこの映画は複雑でした。BADのツアーが僕にとってのマイケル・ジャクソンなのですが、やはりそれに比べると衰えも感じる上、リハーサルということもあり、本気で演じてないので、んー・・・というかんじでした。ファンにとって貴重な映像であるのは間違いないし、楽しめたし、興奮もしたのですが、でも見ない方がよかったのかなぁとも思う。マイケル・ジャクソンの負の側面も描くべきとどこかの超なんたらの評論家(きどり)が書いてましたが、なんと的外れな指摘で苦笑いでした。だって、この映画のコンセプトはマイケル・ジャクソンの人間を描くことではなく、やるはずだったコンサートを有り物の映像で再現することなんだから、さ。コンサートでマイケル・ジャクソンの人間なんて描きますか?今年は少しマシなレビューを期待します。(期待してないけど。)

・2012
エメリッヒもついにネタ切れかと見てて残念な気持ちになってしまった。危機一髪!なシーンがアイディアとしてほぼインデペンデンスデイと変わらないんだもの。「嵐or地割れが飛行機に迫ってきてギリギリで離陸」ネタを何回やればいいのさ。てか同じネタをインデペンデンスデイでもエアフォースワンの離陸シーンでやってたじぇねーか!!これでパニックは引退するとかエメリッヒは言ってるみたいだけど、確かにもう引退した方がいいよ。でも、あんた、パニック以外撮れないだろ。(パトリオットは非常に平凡な作品でした。)

アバター
上記の通り、今年一番。

順位的には、、、
1位 アバター
2位 スター・トレック
3位 This is it
ほか
と、なります。
2009年はぱっとしなかったなぁ。ただ、アカデミーとったわりに公開劇場が少なかったスラムドッグ・ミリオネアをおかげで見逃してたり、グラン・トリノチェンジリングを相変わらずの「イーストウッドへの苦手意識」から見るのをためらってたりするので、それらをしっかり見てればまたランキングは変動するんでしょうけどね。

というわけで、2010年、素晴らしい映画がたくさんあらわれることを期待して、このエントリを閉めたいと思います。

君は目標を失ったことがあるか。

最近、日々考えていることがあって、結論が出ないまま迷宮入りしてしまっていて、で、迷路を抜け出してから何かを書こうと思っていたものの、しかし抜け出せる気配が全くないのでいろんなことをつらつらと書いてみました。

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