スノーホワイト

 グリム童話の「白雪姫」を、原作に忠実に映像化したもの。「ほんとうは恐ろしいグリム童話」てなぐらいで、ドロドロした感情の描写ばかりの非常にダークな話だった。とてもシンプルで、つまらなかった。

 魔女や、七人の小人のビジュアルがスプラッターばりにどぎついのだが、それは違うと思う。ディズニーみたいな可愛らしいルックスの面々が、嫉妬や怨念うずまく世界を構築してた方が面白かっただろう。

 なんつーんだろうか、作品が単色でできてるというか、最初から最後まで同じ場所に閉じこもってる。もっといろいろ詰め込んでいいし、変化してっていい。

グレムリン

 ギズモ可愛い。スポイトの少量の水でああなっちゃうなら、風呂ん中入れたらどうなるか? って考えるとオエッてなるのがいい。想像力刺激される。
 ギズモ・グレムリンのキャラクター性だけに頼った映画だが、まあ楽しかった。フィービー・ケイツの80年代然とした、一昔前のカワイ子ちゃんルックスにしびれた。バカっぽいテーマ曲も素敵。

ハロウィン

 まず第一に恐怖ポイントが少ない。ようやく訪れた惨殺シーンも、まるで迫力がなかった。演出が古い。

 何よりブギーマンのひととなりがおかしい。あるハロウィンの夜、6歳の男の子が姉を殺してしまい精神病院に幽閉されることになる。15年後の同じくハロウィンの夜、その男が病院から脱走した……、となったら、サイコキラー物の流れになるのが普通だが、そうはならない。
 脱走した彼は、なんの説明もなくいつの間にか不死身の体を手に入れていて、悪のモンスター「ブギーマン」と化していたのだからびっくりだ。前フリも何もないし、キャラとしてまったく成立していない。失礼ですけど頭が悪いと思う。

ストーリー・ビギンズ・アット・ジ・エンド

 BSでやってたインド映画。ある日主人公が髭剃り中に鏡を見ると、南野陽子と同じ位置にホクロができていた。それは日を追うごとにどんどん大きくなっていった。薬草を塗って治めようとするが、それでもさらに大きくなっていき、とうとうアゴを覆うほどにまで成長する。そしてついに……、というお話。
 オバカな物語だが、『ムトゥ 踊るマハラジャ』のようなお気楽ミュージカルではなく、いたって地味なテンションで進められて行く。インド人の日常生活や価値観・世界観が作品内に詰め込まれてて、そこは面白かった。いろんな意味合いが含まれているであろうストーリーは、正直よくわからない。

サスペリア

 うるさいほどにガンガン鳴りまくるゴブリンのプログレサウンドに尽きる。マイク・オールドフィールドによる『エクソシスト』と、当作品がホラーサントラの二大金字塔なことは間違いない。

 しかしヘンな映画だった。恐怖ショートショートの数珠つなぎみたいな、脈絡のないストーリー運びと赤を基調とした独特な色彩センス。全篇にわたる恐ろしげなムードが、無秩序なこの作品をなんとか一つに纏めてる。一歩間違えばただの不思議ちゃんだが、なんとかホラー界の人気者の座に居続けてるよくできた子だ。

アイス・エイジ

 妻と子を人間に殺されたマンモスのマニーが、ひょんなことから出会った人間の赤ちゃんを守り抜くのに軽くホロリとさせられた。

 でもこれ、動物の擬人化による「寓話的」という意味に頼ってしまっていて、物語の骨子は大したことない。寓話・童話の持つべきシンプルな力強さがちょっとだけ足りない感じ。

 ディズニー以外の作るCGアニメを見るとたいてい、逆にディズニーの練りこみ方、隙のなさを感じることになるな。

ザ・チャイルド

 こえー。おもしれー。ヨーロッパのホラー映画らしい静謐な怖さがあった。
 不気味さ、恐ろしさの正体がなかなか明かされず、焦らしに焦らされるのが気持ちいい。現代のホラーからすると意味不明としか思えないカメラワークや、最後まで見ても、結局なぜこうなったのかがさっぱりわからないままなのも楽しい。主人公のおっさんが、死体発見等の恐怖に接した時ありえないほど冷静で、それでいて不自然じゃないのが怖い。

 計算の行き届いたきっちり構築された怖さではなくて非常に粗いのだが、それが逆に不条理さに拍車をかけてて見事に不快な作品になってた。すごくいい。