気づいていませんでしたが、Secret Machines が新作を出していました

Secret Machines

Secret Machines は、USのオルタナ系プログレ風味なミクスチャーバンドですが、
2000年代前半に活動をしていたバンド。
特に、Ten Silver Drops は、なかなか良いアルバムで、
不思議なポップ風味とねじれたプログレ風味が混じり合っていて、
1,000 Seconds なんかは、名曲です。

実は

とはいえ、数枚のアルバムを出したあとに、メンバーチェンジなどが発生し、
しばらくアルバムをリリースしない時期があったので、私の中でも、
すでに、解散して全く活動をしていないバンドかと思っておりました。
しかし、ネットを久々に調べてみると、2020年にアルバムをリリース、
さらに、今年、2023年にもアルバムをリリースしておりました。

The Moth, the Lizard, and the Secret Machines

ということで、その最新アルバム The Moth, the Lizard, and the Secret Machines を聞いてみました。
元々、様々なサウンドスタイルを取り入れたミクスチャーなバンドでしたが、その要素がさらに加速。
デジタルなサウンドの様相を持ちながら、しかし、一方で、ダルでシンプルなサウンドも挟んできたり。
一方で、彼ららしいポップなボーカルパートも挟むなどして、よりカラフルでパワフルになった印象。
Ten Silver Drops に比べると、キラーなサウンド要素は減っているが、
一方で、音響的に工夫を凝らした楽曲が増えているので、聞き込み要素は強い。

なかなか良い

結構、どういう事になっているのだろうと、期待半分怖さ半分で聞き始めましたが、
ただの焼き増しではなくしっかり進化しながらも、良さを継承しているので、
とても、良い出来だと感じております。
サブスクやBandcampなどでも入手できるのでぜひ聞いてきださい。



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久々に、Moon Safari 新作 Himlabacken Vol.2

Moon Safari

Sweden のメロディアスなプログレを展開するバンド Moon Safari
その甘いメロディーと抜群なコーラス、そして、それを支える演奏力で
プログレという枠を超えて、ファンの心を掴んでいるバンド。
しばらくアルバムのリリースがなかったのだが、ここに来て久々の新作
Himlabacken Vol.2 がリリースされたので聞いてみた。

Himlabacken

そのタイトル通りで、6年前にリリースされたアルバムの続編。
まずは、この作品でも彼ららしい甘いメロディーとコーラスワークは抜群。
そこに加えて、10分超えの大作も含めれるなど、その手のファンにもしっかり訴える内容。
ある意味、彼らの良さが、さらに凝縮された状態で帰ってきたという感じ。
また、大作では、エンディングでのギターソロも交えて、壮大さが広がっている。

多彩

そして、何よりも多彩なところが、やはりいいですね。
誰もが歌えるの、リードボーカルが随所で変わるので、
声色だけでも、世界観は変化してくるし、曲調もそれに合わせて変化させてくる。
こういった多彩なところが、普通のポップなアーティストとは異なる彼ららしさ。
抜群のメロディーでここ強くさせてくれる一方で、
変化を見せながら、ある種の緊張感も生み出して、アルバムをずっと聞いていたいと思わせてくれる。

やはり

やはり、いいですねと、そういうしかない。
来日公演もあるようですので、楽しみです。

ヒムラバッケン Vol.2 [SHM-CD]

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いまさらだけど「ホモサピエンスの涙」を観ました

ロイ・アンダーソン

「散布する惑星」などで、一部のファンからは話題をさらったロイ・アンダーソン監督。
その後、「愛おしき隣人」「さよなら、人類」と同じテイストの作品をリリースしていたが、
現時点では最新作となる「ホモサピエンスの涙」が2019年に公開された。
そんなだいぶ前の作品なのだけれども、なんだかんだで見る機会を失い、ようやく観ることができました。

淡い世界

この作品でも、ほぼ固定された画面で、単発的な映像が、つなぎ合わせられる構成はかわらず。
まずは、その淡い世界の美しさと儚さに感情を煽られないではいられない。
そして、その中で描かれる各々の世界は、常にどこか寂しさというのか、残念さというのか、
悲哀を感じないではいられない世界。
特に、この作品は、タイトル通りなのかもしれないが、他の作品に見られたクスリとくるような笑いは抑えられ、
ひたすらに、どうにもうまく行かない人々が描かれていく。

片隅

世の中は、CG隆盛でかつ時間を重要視したエンターテイメント性が最も重要視される世界になってきている。
この作品は、その完全に真逆を行く世界。もちろん、エンターテイメント性の高い作品の面白さはそれはそれであるが、
感情の奥底にある、自意識と自己の中にある寂しさや苦しみというのは、多くの人の中にあり、
キラキラ系な価値観がアピールされる現代においては、むしろそれらは押し隠され、さらに否定されているようにも思う。
この作品では、しかし、そんな世界だけをあえて描いていて、こういった世界のほうが、
心地よく感じる層も一定レベル存在するのだと思うし、そういう人にはどうにもたまらない世界と感じられるだろう。

世界は

ますます慌ただしく、変化がすごいスピード進んでいるとも感じられる世界。
しかし、人の感情は必ずしもその様子に対応しきれるわけではないし、それを臨んでいるのではないかもしれない。
そんな世界には、やはり、こういったアンチテーゼのような世界が必要なのだと思うし、
私個人的には、日常の慌ただしさの中で、このような作品をじっくりと観る感情を失ってしまっていたのだと思う。
ようやく見つけた時間で鑑賞できたこの作品が描く世界は、ある意味では必要とされる世界なのだと思う。

時代

あまりにも時代に逆行している作品ではありますが、この時代に違和感を時々感じるようであれば、
ぜひともこの作品をはじめ、ロイ・アンダーソン監督の世界を味わってみてほしいと思う。
世界は、このようにも、あるのだと思います。

ノルウェーのへんてこテクニカルバンド Det Skandaløse Orkester

Det Skandaløse Orkester

ノルウェーには、最近テクニカルだけど色々な意味で屈折したバンドが多くあって、
メジャーどころからマイナーどころまで結構面白い音楽シーンになっている。
そんな中、Det Skandaløse Orkester もまら、独自なバンドの一つ。
今回聞いてみたのは、2014年作 No har de laget skandale igjen!。

へんてこ

Samla とかそのあたりを想像させる、コミカルなサウンドをテクニカルに演奏するスタイル。
様々な音楽要素を盛り込みながらも、全体的には常にふざけている感じ。
これがなんとも面白くて心地よいですね。
しかも、へんてこパートから抜けるとおしゃれなジャズ風な展開なったり。

テクニカル

こんな事ができるのも、ベースは非常に高いスキルを持った演奏だからですね。
変幻自在に展開されるサウンドではあるけれども、無理やり繋いだ感はなく、
いつの間にか、違う世界に連れて行ってくれているという感覚。

歌モノ

しかも、結構歌モノでもあり、ノルウェー語(多分)で歌われているところもまた、
良い味わいで、ボーカルも、雄叫びのような声を使ったりしながらも、
ベースはうまいっていうところで、演奏だけではなくボーカルも、この変則さが抜群。

面白系

というところなので、Samla Mammas Mannaサウンドが好きな人にとっては、
これは絶品だと思います。


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動物がテーマになっているというアルバム HAKEN による FAUNA

HAKEN

UKを代表するプログレメタルバンドに成長中のバンドHAKEN。
テクニカルすぎて、拍子がどうなっているのか、追いかけるのが不可能な複雑メタルチューンに
クリアボイスなボーカルと、さらには、Gentle Giant 的なコーラスワークを入れたりと、
ストレートではないテクニカルプログレメタルが味わいなバンド。

FAUNA

そんな彼らによるアルバム FAUNA。
曲ごとに動物のテーマが割り当てられているという作品。
音的には、彼ららしさが存分に出た内容で、10分を超える長尺曲含む、
複雑怪奇ながらも、ボーカルチューンのメロディーの良さというギャップを演出する。

Elephant Never Forget

そんな中でも、やはり彼ららしいと言うのは、この曲。
11分に至る曲の中で、デビュー作より取り入れてきている、
細やかなフレーズチェンジを行う変速的な曲構成。
そこに、複雑なコーラスワークも含めながらも、曲全体を迷宮にしていくスタイル。
しかし、その合間にギターソロ入れたり、ボーカルパート入れたりで、少しホッとさせてくれるのだが、
またしても、迷宮な展開に戻っていく。
この迷宮感のある複雑なパートに入ってくると、あぁ、やっぱりHAKENはこれだねって思ってしまう。
その他の、メタルチューンも良いのだけれども。

名作

ちゅうことで、近年は確実に良い作品をリリースしている彼らですが、
ここでも、また、とてもおもしろい作品を提示してくれております。
HAKENによるFAUNAおすすめです。




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そしてまた、虜になる Coheed and Cambria VAXIS II

Coheed and Cambria

どういうジャンルに分けたらいいのかよくわからないが、エモいサウンドと壮大なSFコンセプトで、
独自のメタル世界を作り上げ続ける Coheed and Cambria
その新作 VAXIS II A Window of the Waking Mind がリリースされたので聞いてみた。

VAXIS

このバンドの甘いサウンドと激しいリフ、そして、複雑な世界観にずっと虜になっているが、
しかし、正直なところ、彼らが描いているSF世界にはついていけていない。
この作品もVAXISシリーズの第2作目に当たる位置づけだが、それがどうなっているのかよくわかっていない。
とは言うものの、ここでも、また力強く新しい音世界が繰り広げられている。

引き出しの多さ

それにしても、彼らの引き出しの多さには恐れ入る。
ベースのサウンドの味わいは維持したままであるが、世界の描き方は変化に富む。
この作品では、全体を取りまとめる音は実にシンフォニック。
壮大で、大きな期待を抱かせるオープニングと同じテーマによるエンディングに覆われているが、
その間に挟まれるサウンドは、甘いバラッドなロックチューンから、ダンサブルなサウンド使いもはさみ、
アルバム全体が起伏に飛んで、上記のように実物語は理解できないものの、物語は音から感じ取れてくる。

キラー

そして、やはり彼らの最大の武器は、キラーチューン。
風貌とは似つかわしくない Claudio Sanchez の甘いトーンによる、歌い上げられるエモいサウンドは、
はまらないでいられない。
懐かしさも感じさせつつも、古臭くない、レイテストなサウンド
理屈が吹っ飛ぶほどのサビメロディーには、虜になるしかない。

完成度

すでに書いたところもあるが、アルバム全体も見事にまとめられているので、
曲曲の良さを持ちながらも、アルバム全体としても、素晴らしく完成度が高い。
これは、今年のベストアルバムの一つに必ず上がるだろう傑作。
全メタルファンにおすすめです。


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爽やかコーラスプログレ D’Virgilio, Morse & Jennings

D’Virgilio, Morse & Jennings

Spock's Beard の創設者であり、現代プログレ会の顔とも言える Neal Morse。
Mike Portnoy とのプロジェクトなど、ソロ以外でも多くのプロジェクトを勧めているが、
この度、新たに、Spock’s Beard 時代の朋友であり、今は BigBig Trainで活躍する Nick D’Virgilio と、
Haken のメンバーである Ross Jennings の3人で新たなトリオバンドを開始。
バンド名は、そのまま D’Virgilio, Morse & Jennings でデビューアルバムは Troika

コーラス

このバンドの最大の特徴は、3人共歌えるということに尽きる。
なので、バンドのサウンドも、テクニカルなインストではなく、歌もの。
もちろん、このメンツらしく、曲自体は多様で、テクニカルでもあるが、
テクニカルな要素や変則的な要素は表には出さず、ボーカル曲として、
コーラスワークも含めた爽やかな展開が強調される。

アコースティックベース

サウンド自体も、アコースティックな風合いがベースにあり、
音数を叩き込んでいないために、なおさら、ボーカルが際立つ曲作りになっている。
非常に軽快で、心地よいサウンド
このメンバーのバックグラウンドを知らなければ、プログレ関連作品とも思わないだろうというほど。

爽やかに

プログレな世界で、音が詰まっていて、複雑怪奇で、ねじれていてな、そんな世界も好きでたまらないが、
たまには、ストレートなサウンドを聞いてみたいなって時があって、
そんなときには、こんな楽曲はぴったりですね。

Troika

Troika

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