前作『本と鍵の季節』がおもしろかったので続編を。
殺人などは出てこない〈日常の謎〉がメイン。とはいっても物騒な話ではある。
図書委員の高校生2人が主役なんだけど、こいつらの会話がまあかっこいい。かっこいいと言ってはおかしいか。こんな高校生の会話は小説の中だけだろう。
事件の真相はなんか曖昧な感じがしたけど、話自体はおもしろかった。
シリーズ化するらしいので次作を楽しみにしている。
老いて右傾化した父と息子の分断。これ、あるあるなんだよなー。
と言っても我が父がそうなっているわけではない。そこはまあホッとはしているんだけど、コミュニケーションが円滑なわけじゃないのは同じ。
父親とはあまりうまくしゃべれない。何を話していいかわからない。しばらく前から耳も遠くなってしまって会話が成立しないことが多い。だから話すのが億劫になってしまう。結果、母親とばかり話すことになって、父の仲間はずれ感は相当だろうなと思う。
著者が自分とほぼ同年齢だからこういう部分はよくわかる。
これで右傾化してたらと思うと絶望的になるのもわかる。
でもこの気持ちを解消するためにここまでやらなくてはならないのか。誰もができるわけじゃない。
自分もそろそろ実家のことを考えないといけないなと思い、話題になってたこれを読んでみた。
実家に住んでもないくせに口出しするのが憚れるし、忙しさにかまけて特に何もやってこなかった。
放っておくと大変なことになる、対応は早ければ早いほどいい、など、まあそうだろうなと思うことばかり。
やはり親に話を切り出す取っ掛かりがいちばん難しいんだよ。自分が死んだあとの話だからね。
でも参考になることがいっぱいあった。
「FINAL」が出たので慌ててこれを読む。
前作と同じく、ほぼエピソード集。特にインタビューの極意なんてものは載っていない。こっちの方がおもしろくていいんだけど。
しかしおもしろいエピソードを持ってるなぁ。
昔の有名人のインタビュー本のとんでもない内容の紹介みたいな回もあるが、体験談が本当におもしろい。
プロレスの話はよくわかんなかった。
相槌の打ち方とかちょっと実践的なところもあった。
この分厚さに否が応でも期待が膨らむ。
期待以上のものすごい犯罪小説だった。
ミステリだけどトリックとかどんでん返しとかそういうのではなく、緻密な描写で事件にまつわるさまざまな人々を圧倒的に描き出す。
警察のジリジリした焦りとか、犯罪被害者遺族の絶望とか、クスリ常習者のヤクザの恐ろしさとか、嫌んなるほど繰り返し繰り返し描写される。
真相はぼやかされてるので細かいことは犯人の自供を知りたいが(そんなものないけど)、まあここまで読ませてくれたらそれは些細なことだ。
いい読書体験だった。