妄想特急 books & music

読んだ本と聴いた音楽のメモ

いい会話

 

前作『本と鍵の季節』がおもしろかったので続編を。

殺人などは出てこない〈日常の謎〉がメイン。とはいっても物騒な話ではある。

図書委員の高校生2人が主役なんだけど、こいつらの会話がまあかっこいい。かっこいいと言ってはおかしいか。こんな高校生の会話は小説の中だけだろう。

事件の真相はなんか曖昧な感じがしたけど、話自体はおもしろかった。

シリーズ化するらしいので次作を楽しみにしている。

すごいな

 

M資金と言えば田宮二郎くらいしか知らないし、大昔の詐欺話としか思わなかったので、どういう経緯でこんな詐欺ができてきたのか、というのを知りたいそれだけで読んでみた。

そしたら現在でもM資金詐欺はずーっと続いていて、さまざまな名だたる企業経営者が騙されていると初めて知った。

よくこんな詐欺に騙されるなと思う。金持ちだとこういう思考回路になってしまうんだろうか。

◯ーソンとかエイ◯アイエスとかみんな騙されてた。突然辞任とか交替とかしたら怪しいということはわかった。

ま、この本が本当かわかんないけど。俺も騙されてるのか?

楽しかったー!

 

発売当時買って積読にしていたものをやっと読み終わった。

ビートルズが来日してコンサートをやったそのことに絞っていろんなことを研究する本。

当時関わったいろんな人にインタビューを行っている。飛行機の添乗員、ホテル従業員、運転手、放送したテレビ局の人、美術商の人、とかもう様々。

これが笑ってしまうほど細かい。50年もたっているのでみんな記憶が薄れてきているのがまたおもしろい。でもこれが最後のチャンスだとは思う。みんな歳を取ってきてるからね。

ビートルズ来日」だけでこれだけの本を作ってしまうのはもう脱帽である。

これまた難しい

 

老いて右傾化した父と息子の分断。これ、あるあるなんだよなー。

と言っても我が父がそうなっているわけではない。そこはまあホッとはしているんだけど、コミュニケーションが円滑なわけじゃないのは同じ。

父親とはあまりうまくしゃべれない。何を話していいかわからない。しばらく前から耳も遠くなってしまって会話が成立しないことが多い。だから話すのが億劫になってしまう。結果、母親とばかり話すことになって、父の仲間はずれ感は相当だろうなと思う。

著者が自分とほぼ同年齢だからこういう部分はよくわかる。

これで右傾化してたらと思うと絶望的になるのもわかる。

でもこの気持ちを解消するためにここまでやらなくてはならないのか。誰もができるわけじゃない。

取っ掛かりがいちばん難しい

 

自分もそろそろ実家のことを考えないといけないなと思い、話題になってたこれを読んでみた。

実家に住んでもないくせに口出しするのが憚れるし、忙しさにかまけて特に何もやってこなかった。

放っておくと大変なことになる、対応は早ければ早いほどいい、など、まあそうだろうなと思うことばかり。

やはり親に話を切り出す取っ掛かりがいちばん難しいんだよ。自分が死んだあとの話だからね。

でも参考になることがいっぱいあった。

これこれ

 

「FINAL」が出たので慌ててこれを読む。

前作と同じく、ほぼエピソード集。特にインタビューの極意なんてものは載っていない。こっちの方がおもしろくていいんだけど。

しかしおもしろいエピソードを持ってるなぁ。

昔の有名人のインタビュー本のとんでもない内容の紹介みたいな回もあるが、体験談が本当におもしろい。

プロレスの話はよくわかんなかった。

相槌の打ち方とかちょっと実践的なところもあった。

分厚い

 

この分厚さに否が応でも期待が膨らむ。

期待以上のものすごい犯罪小説だった。

ミステリだけどトリックとかどんでん返しとかそういうのではなく、緻密な描写で事件にまつわるさまざまな人々を圧倒的に描き出す。

警察のジリジリした焦りとか、犯罪被害者遺族の絶望とか、クスリ常習者のヤクザの恐ろしさとか、嫌んなるほど繰り返し繰り返し描写される。

真相はぼやかされてるので細かいことは犯人の自供を知りたいが(そんなものないけど)、まあここまで読ませてくれたらそれは些細なことだ。

いい読書体験だった。