文化に触れねば死す

めっきり漫画の単行本を買うことが減ってしまった。今となっては同人イベントが大変に貴重な機会だったと思う。表紙買い。背表紙だけしか見えない新刊コーナーでは大変難儀なことだ。いま世界とつながってるのは定期購読してるアフタヌーンだけ、ってのも過言じゃない。

ただ感性はめっきりと鈍っているのもわかる。四季賞の作品を読んでぐっとくる瞬間ってのがびっくりするほどぜんぜんないのだ。もともと世間一般との親和性をもたずにきて、それでもこっちの文化があるもんね、って生きてきた中で気づいたら隔絶。吸える酸素ももはや残り少なく。しかしこのままでは老害一直線。という危機感は徐々に。

終末へのカウントダウン 吉田基已「夏の前日」(4)

いよいよ夏が来てしまった。

夏の前日(4) (アフタヌーンKC)

夏の前日(4) (アフタヌーンKC)

連載開始から4年が経って、いよいよこの二人の関係も決まっている結末が訪れようとしている。

年上の晶の健気さと可愛さがますますもって切ない。半年ぶりに書くほどのショックじゃないけれども、とりあえず。

前を向くバリエーションの豊富さ GOING UNDER GROUND「Roots & Routes」

前作「稲川くん」は決意表明のメッセージを含んだ傑作だったけれど、今作はそこで示した場所へ進んでいく、さまざまな行き方を示しているように受け止めた。


Roots & Routes

Roots & Routes


インスト「1978」に続く「シナリオライター」は前作からまっすぐみえる延長線上にある曲だ。見せたくない傷もココにちゃんとあるって一節はもしかしたらここまでの活動の総括としてあるのかもしれない。

それが衝動としてあらわれたのが「BreakThrough」だ。ソウル持ってぶつかっていくストレートなアプローチ。

「ナカザのディスコ★」はアルバム全体の中の照れ隠し成分に思える。

方向性の統括として後半部分のスタートに「稲川くん」を配置したのかもしれない。その後、ジョーさんの曲によってちょっと落ち着いた方向性が示されていく。

「9th route」「Shining」は確かな歩き方で。
ゆっくりとしたロックンロールはたくさんある中のまたひとつのルートで、これまでにあまり示されることがなかった。とても新鮮だ。


すごく断片的になってしまった。
シンプルに伝えたいのはこのアルバムがとてもいいってことだけなんだけれども。音だってバリエーション豊かだし、その点では前作よりも入り込みやすいはず。
歌詞なんてあとでいいからさ。じゃあこの記事なんなんだよって思うけど。聴けよまあ。

みえるわ

というCHARAの曲があったね。


一切関係はないのだけれど。


社畜一年半、たくさんの問題を起こしつつ抱えつつ日々を安穏と過ごせずにきたのだよ。わからないこともわかったりしながらさ。


無限の可能性があるという。だんだんなくなりつつも、まだどうにでもなれることもわかる。


死なないのはもっと楽しいことやおもしろいことが これから生産されて、消費することができるからかもしれない。


メレンゲばかりきいていていろいろと矯正されたのかもしれない。すべては固まっていない。ガラスだってそういえば液体なんだってね。

神様は想いに宿る、こともあるのかもしれない しおやてるこ「たまりば」(1)(2)(完)

たまりば 1巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)

たまりば 1巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)

たまりば 2巻 (ビームコミックス)

たまりば 2巻 (ビームコミックス)


1巻からは想像しえないようなシリアスかついい落ちだった。傑作!


河原にいる変な兄ちゃんとそいつに恋する女子高生の物語。のはずなのだが、変な兄ちゃん、川崎ハルオのパーソナルが明かされるにつれてそれは変質する。


女子高生、中原美和が恋を成就させるのではなく、その思いによって日々削られていくハルオが癒され、救われていく物語と。


好き、嫌いだけじゃなく、愛しさにこそ救われ神様は宿るんだきっと。

愛せそうな気がする

いや、愛するよ。というかすでに愛してしまっている気がする。


俺にはそもそも高嶺の花だったのさ。


こんどはとてもおとなしくて、派手さはないけど意外としっかりしてる。大体用が足りるし。


すごく魅力的にみえても、大したことなかったさ。前のも今でも好きだけど。


というわけで川崎市に引っ越しました。さよなら東京、こんにちは神奈川。そんなことなら川崎市へ行こう。つうか移行。

どんな音でも関係ない  たむらぱん「mitaina」

書くことはあっても気力はなくブログといいつつ月一更新もせずにいたわけだが、大傑作を聴いたらなんらかの反応をせざるをえないわけですよ。


mitaina【初回限定盤】(DVD付)

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これまでたむらぱんは気持ち悪いメロディを神がかったポップセンスで成型することで(一部の人間の間で)天才の名を欲しいままにしてきた。
今作はそれにノイジーなバンドの音をも盛り込んだが、どんな楽器を操ってもたむらぱんはその色を隠すことができないのだと解った。


ハードコアパンクバンドSNUFF*1とのコラボレーション曲「フォーカス」は混ぜてはいけない感じの音だ……と思いきや意外や意外。明らかに日本語が不得意な男性コーラスが混ざっていようとも才能の煌めきはダイレクトに伝わってくるから不思議だ。


「ファイト」は転調とメロディのいびつな組み合わせで異常なキャッチーさを併せ持つ。全盛期の川本真琴*2にも勝るとも劣らない危うさ。


そんなやばいタイトルが並ぶ前半部と、シングル「しんぱい」*3を挟んで比較的おとなしい後半部は少しトーンダウンした印象だがアルバムのラストを飾る「歩いてる動いてる」では平穏なようで平穏ではないエンディングを見事に飾る。


異様な曲が並んでいるのにアルバムの流れとしてはひとつにも思える。まだ彼女には行くところがあるのか。才能の陰りはまだまだみえない。

*1:wikipediaさんはそう言っている。洋楽は知らないのよね

*2:ゴブルディグーグ期

*3:佳作だが彼女の中では中の下くらいの出来だ