GISHIKI-愛してもらいます、否、愛します。

正直最初はあきらめてたんだ。
その日は職場のシフトが限界ギリギリ。
チケットは持っていたけど、誰かに譲ろうと思ってた。
でも、そこに行けたのは、職場のスタッフの皆が行ってこいと気持ち良く送り出してくれたからだ。
都合を合わせて出社してくれたスタッフもいる。

仕事は何よりも優先させるべきこと。プロとしてお金をもらってすることだから。
応援してるプロ野球チームの選手が「今日彼女と温泉行くんで試合(クライマックスシリーズ第2戦)出れません」って言ったら腹立つと思うのよ。

・・・でも、でもさ、やっぱりどうしてもって事はあるよね。
他の日に2倍頑張るから!いや、一週間毎日1.2倍ずつ頑張るから!
ママお願い!お願いデーモン!って事がね。
それがその日だったのです。俺にとっては。
感謝しながら、その日、普段では考えられない時間に職場を出る。

Perfume「1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11」@東京ドーム

所謂「非ヲタ」の友人達と待ち合わせ、水道橋から東京ドームへ向かう。
予想通りの人だかり。ここで食事しようと思わなくて正解だ。
さっき立川駅のホームで、ウィダーと鳥五目おにぎりを食べておいて良かった。

戦国時代の猛者達は、干飯(ほしいい)という蒸した米を乾燥させたものを常備し戦の合間に食した。
アイドル戦国時代の猛者(←不肖私め)は戦(仕事)と戦(アイドル現場)の間にコンビニを駆使して食事をするのだ。
つまり、コンビニは現代の干飯なのだ。(←意味不明の帰結)

ぼやぼやしてはいられない、様々な甲冑に身を固めた兵を蹴散らしながら城の本丸へと足を進める。
(ファンクラブTシャツや自作コスプレ等を着たファン達にぶつからない様に東京ドームシティをドーム入場ゲートへ向かう)

本丸とは別の場所に兵力を集中させられている!惑わされてはいけない!それはおとりだ!おとりの戦場だ!
(グッズ売り場に行列が!今から並んだら開演間に合いそうにないから回避!ふんだふんだ!通販で買うもん!)

おお。これが新戦法。武田の騎馬隊を蹴散らす織田の3段撃ちか!
(入場口大変混雑しておりま〜す。3列に並んで、お詰めになって前へお進みくださ〜い。←バイト)

城内に潜入したは良いが・・・。敵将の居場所までが遠い!城の作りに惑わされるな!
(なんだよ、さっきの案内係・・・こっちの方が早いっつたじゃねーかよ。なんで1塁側の席なのに3塁側のゲート案内すんだよ。)

ここが敵陣の中枢・・・ごくり。
いや、まだだ。
いいですかー。敵将の首を取るまでが戦です。そこっ!無駄話やめろ!
(取りあえず座席は見つけられた。さぁ、ドリンク、トイレ、下に着込んだpinksunさん作のドームTシャツを開放しよう。)

と、一塁側2階中段の指定席に辿り着いたのは開演20分程前だったろうか。
携帯電話はつながりが悪く、ここにどれだけの人が集中しているかを物語っている。
いや、目を挙げればアリーナ、1階、2階と大変な数の人達が目に飛び込んでくる。
今までのPerfumeのどのライブよりも沢山のオーディエンスがここにはいるのだ。

ステージはグラウンド部分の中央にセンターステージ。
そこから放射状に3本の花道が出ており、その先は小さなステージ状になっている。
バックスクリーン前にもステージがあり、ライブタイトルを表現したオブジェ。
モニター画面は守備位置で言うとセンター頭上とバックスクリーン、そして、外野席ライト&レフトにも各1台設置されている。
ああ、母さんあれが野球中継でよく見た「フコク生命」ですね。

思っていたよりもでかくない。
確かに面積は広いけど、代々木あたりの感覚に近いな。
これならこの席でも十分に観られる。

・・・と、そう思えたのは、開演まででした。ええ。

暗転。客席もほぼ総立ち。
花道の先の小さなステージから3人がせり上がり、中央のセンターステージへむかってカウントダウンをしながらゆっくりと歩いていく。
3人はウエディングドレスの様な衣装をまとい、薄いベールを頭上に掲げて歩いていく。
結婚式のバージンロードの様な演出と言えば良いのだろうか。
3人共とても綺麗。

8 ←3人共このくらいの大きさだけど ※実寸大(ご使用のPCによって若干の誤差がございます)

あとで聞いたら(正確には公式サイトでセットリストみたら)この演出「GISHIKI」という名前が付いていたのだそう。
そんな書き方されて中山美穂しか思い浮かばない俺は何なのか・・・。

そして、3人はセンターステージのテント状の仕切りに吸い込まれ、一瞬の静寂。

仕切りが開く!
「シークレットシークレット」!!

本当の君を知りたいのキラキラで目がくらむけど


あれ?

あ?

すいませーん。
ちょっとどいて頂けますかー?
あのちょっ、真っすぐ真ん前に立つのやめて頂けますかー?
ちょっと横にずれて頂けるだけで大丈夫なんですけどー?
あの、もう1曲目終わっちゃうんですけどー?・・・。

3人がセンターステージに立つまでは全く気にならなかったが、
私の席からセンターステージの間には、完全に完璧でパーフェクトな位置関係で照明用のトラス(照明釣る"やぐら"です)の支柱が立っていたのだ。
これはもう本当に見事にな角度で、シベリア鉄道も真っ青なくらいに迷うことなくばっちり真っすぐ私とセンターステージの間にあり、
3人がそこで踊れば踊るほど、全く見えないのである。
これぞパーフェクトスターパーフェクトトラス。←言いたいだけ。
ただそこにあるだけなら何でもない物でも、3人の手前に立つならそれは邪魔者!障害物!消えてなくなれっ!!ペッ!ペッ!
人間とはなんと勝手な生き物なのでしょうか。私の事ですけど。

そして音響。
ここは日光東照宮の鳴き竜か、ごるぁぁあ!と。
とにかくえらいリバーブかかりまくりスティーネ剛田なのです。涙。
腹に響いてくる低音もなく、届いてくるのはラインアレイスピーカーが精一杯届けてくるヴォーカルのみ。
そして、訪れ、春の訪れではなく音ズレ。
耳に届く曲と3人のダンスが半端なくズレるのである。

光と音はそのスピードに大きな違いがある。
光は1秒間に地球を7周半回るが、音は340mしか進めない。(15℃の環境下において)
Perfumeの魅力の一つは、やはり楽曲とダンスの見事なシンクロ。
それを自然の摂理とは言え、切り離されてしまっては魅力半減である。
筋金入りのヲタ気どりですが、魅力の少ないものに熱狂出来るほど盲目じゃない。
ヲタって言っても宗教に入信しているわけではないの。

ただ、この時ばかりは、神様、あ〜ちゃん様、かしゆか様、のっち様!
今から3時間だけドームの中は「音速=光速」って仕組みにして下さい!!
って祈りました。一心不乱に。
人間とは何て勝手な生き物なのでしょうか。私の事ですけど。

そんなわけで、ライブのスタートは余り乗り切れなかった自分。
そんな時に限ってやり残した仕事の事とか頭に浮かんできてしまって負のスパイラル。
闇は心の隙間に躊躇なくすべりこんでくる。←大げさ。


そんなどん底にいる自分を救ってくれたのは、他でもない途中のMCパートだった。
客席を「にんじん」「たまねぎ」「じゃがいも」の3パートに分けコール&レスポンスを行うコーナー。

その導入部でひとしきり説明を終えたあ〜ちゃんが、唐突に歌いだす。のっち、かしゆかが続く。

にんじん たまねぎ じゃがいも〜 嫌いな野菜でも〜♪
カレーに入れちゃえば食べられる 皆が大好きさ〜♪

!!!

これは!!!

リトル☆レンズの「スパイスィ→カレー」じゃねぇかぁぁあっ!!!!

↑という反応をしたのは東京ドーム50000人の観衆のうち132人(当社調査による)だそうです。

リトル☆レンズといえば東京最強地下アイドルと言われながら、ヒットに恵まれず2008年に解散したアイドルユニット。
地下アイドル時代のPerfumeとの共演経験も多く、メンバー同士の交友もあったよう。

Perfumeにとっては下積み時代の戦友のような存在ともいえる。
厳しい芸能界の荒波のなかに消えていった戦友の代表曲をドームのど真ん中、俺からは見えない(←しつこい)ど真ん中で歌ってのける3人。

そして、さらにあ〜ちゃん、「にんじん」チームも「たまねぎ」チームも「じゃがいも」チーム全員、「お肉」と言ったら反応しろや!と説明。

あ〜ちゃん「おっにくー!」
客全員「うぉーぃ!」

!!!

これは!!!

石川梨華じゃねーかぁおおおぉい!!!

↑という反応をしたのは東京ドーム50000人の観衆のうち2078人(当社調査による)だそうです。

石川梨華と言えば、言わずと知れたモーニング娘。の元メンバーだが、(財)日本食肉消費総合センターのCMに出ていた事を皆様覚えていらっしゃいますか?
CMを知らずとも、スーパーマーケットの食肉売り場でこの歌を耳にされた方も多いのではないのでしょうか?
あ〜ちゃんの「おっにくー!」は完全に梨華ちゃんのそれ。

と、ここまで来て私は気付いた。

3人は、自分達にとって最大の舞台であるこの東京ドームにおいて、
芸能界という枠組みの中でとりわけ急スピードで消費されていく「アイドル」という存在を、
そして過去に消費され、もしくは消費さえされる事なく消えていったアイドル達の、鎮魂歌を歌おうとしている、と。

今となってはよく知られた話だが、Perfumeの3人は広島の芸能スクールからローカルアイドルして活動をスタートし、
上京。鳴かず飛ばずのインディーズ時代、売上の伸び悩んだメジャー初期を経て今に至る。
このドームは、結成10周年、メジャーデビュー5周年の節目のライブでもある。
芸能の沢山の無常を、そして無情を目の当たりにしながら、それでも自分達の最高のパフォーマンスを常に求めて活動をしてきた。
消えていった事務所の先輩、友人、同世代のグループ、そんな人達の上に自分達は立っている。
そして、明日は逆に自分達が淘汰される存在へ変わるかもしれない。

だが、それでもPerfumeであり続け、アイドルであり続ける覚悟を、10周年から11周年に踏み出す一歩をこのライブに託しているんだ。
消えゆくものの魂を沈め、そして自らは力強く踏み出していくのだ。
※あとから考えたら最初の「GISHIKI」は「Perfumeに身を捧げます」という儀式だったのかも知れませんね。

過去のライブや活動が走馬灯のように心を巡る。

Perfumeのライブを素晴らしいと思えたのはなぜだ?

「3人が可愛いから!」「そうだな」
「曲が良いから!」「かかせない要素だな」
「ダンスが凄いから!」「振付ふくめてな」
「ヒップダンスがセクシーだKARA!」「それは違うグループだな」

そういう要素は全て当たっているけど当たっていない。
一言で言うなら、やはりライブに関わる全ての要素が一体となって心に響くからだろう。
3人のパフォーマンス、MIKIKO先生の振付、中田ヤスタカの楽曲、照明、音響、演出スタッフの意匠。
それが有機的に混ざりあい、ライブという一つの空間を圧倒的な魅力で溢れさせるからだ。

俺はPerfumeのライブを「観る」のでも、「聴く」のでも、「踊る」のでもなく、
ただ「感じて」、素晴らしいと思った。思ってきたのだ。

そう気付いた時、「さっきのワタシに蹴り入れたい」(PAMELAH "BLIND LOVE")と自分を恥じた。

トラスがなんだ!反響がなんだ!音ズレがなんだ!
観るな!聴くな!落ち込むな!
感じろ!

心を繋げ!ステージ上に!

・・・・接続中です

・・・・ネットワークに接続しました 100Mbps

キタ━━━(゚∀゚)━( ゚∀)━(  ゚)━(  )━(  )━(゚  )━(∀゚ )━(゚∀゚)━━━!!


もう、そこからの自分は大丈夫。
いつも通りの私。
どこ見ていいか分かんない時は、そっと目を閉じる。
音がよく分かんない時は、3人のダンスを見つめる。
感極まった時は「あ〜〜ぢゃ〜〜〜〜ん!!!」と呼ぶ。周り振り向く。
でも、俺が叫ぶと周りも叫びだす。フォローミー!!


アンコールのMCでのっちが言った「これが『夢みたい』って光景なんだ」。
俺はのっちの夢の一部になれたよ母さん。正月には親父のホームページ作りに帰るから。

かしゆかが言う。
「もうアンコール。これからライブが始まるみたい」
もう一回やってもいいんだよ、かしゆか。俺、腕がもげても、もう一回「Perfume」のグルグルユー全力でやるよ。

あ〜ちゃんは涙にくれる。

最後の曲は「自分達にチャンスをくれた曲」と紹介して歌った「ポリリズム
あの瞬間は今思い出しても、鼻の奥がツンとして目頭に熱いものがこみ上げてくる。
そして演奏されたポリリズムは史上最高のポリリズムだった。

ライブ後、隣にいた友人が「今日のライブどうだった?」という話になった時こんな風に言っていた。
彼は、ポリリズム以前、名古屋E.L.Lで行われた、ハレンチ☆パンチ、MIとの対バンライブで一度だけ生Perfumeを体験していたのだけど、

「(その時と)3人は何にも変わってなかったよ。パッケージは豪華になってたけど。」

名古屋の500人キャパのライブハウスでも、東京ドームでも同じ姿勢で臨む3人。
石丸電気のインストアだって、代々木第一体育館だって、そこで3人がパフォーマンスをすれば、そこが、そここそがPerfumeの世界なのだと思う。

ポリリズム以前に新宿LOFTで対バンライブを観にいったこと。
1stアルバムがみつからなくて、チャリでいろんな店を回ったこと。
ポリリズム発売前に、ヲタで集まってプロモーション盤を回し聴きして、
「これが勝負曲になるのか・・・」と皆が何とも言えない複雑な表情をしていた時のこと。
GAMEツアーで1人名古屋へ遠征したこと。
代々木で奇跡的にチケットをゲットできたこと。
直角二等辺三角形ツアーで金沢×1、横浜×3参戦したこと。

ここ4年程の自分には、Perfumeによって沢山の新しい世界がもたらされた。
これからも、ずっと新しい世界を見せ続けて欲しい。新しい刺激を与えて欲しい。
そして、自分はファンとして3人のパフォーマンスに全力で応えていきたい。

・・・と、全力で応えた結果。
次の日は取引先様に「風邪つらいですね」と言われる声になり、
数日後には超絶腹下しを伴う、過労死寸前の状態までに至りましたとさ。おしまい。

追記:かしゆかあんたすげぇよ

僕がヲタ芸を嫌いなわけ

ライブに行くと必ずといって良いほど目の当たりにしなければならないのが、
アイドル系のライブならヲタ芸
バンドもののライブならモッシュクラウドサーフだ。

僕はこのどちらも好きではない。
好きではないというより、大嫌いだ。

何故嫌いなのか、というと、
観客がアーティストのパフォーマンスを決まりきった型にハメ込むから。
簡単に言えば、観客側からの非常に一方的な行為だからだ。

例えばヲタ芸で言えば、PPPHというものがある。
曲のBメロで「パン・パパン・ひゅー!」と合いの手を入れる。

 パン ・    ・ パ  ・ パン ・ ひゅー
4部音符・八部休符・八部音符・四分音符・四分音符(←違ってたらすいません。理論苦手)
↑というリズム。

知り合いのコンポーザーさん曰く「フィル・スペクターリズム」らしいのだけど。
ヲタ達は、どのアイドルのどの曲でもPPPHをBメロにねじ込んでくる。

なんでそうなってしまうのか。
曲が違えば、歌メロも違うし、ドラムパターンも、ベースラインも、ギターのリフも、シンセのシーケンスも全て違う。
でも奴等は、Aというアイドルの○○という曲でも、Bというアイドルの●●という曲でも同じように合いの手をいれる。

ダイブやクラウドサーフにも似たものを感じる。
RIJFに今年初めて行って、Perfumeの時は必死だったから客観視できていなかったけど他のアーティストの出演時に遠巻きに眺めていると、上記のような行為がすぐに見受けられた。ノリの良い曲になると、一斉にそうだ。
初めて見た、(サークルモッシュというらしい)何人かで手を繋いで輪を作って(UFO呼ぶときみたいに)ステージの状況関係なしにグルグル凄い勢いで回っている輩達も沢山いた。

もちろん、それが盛り上がりの手段として存在しているのは知っている。
体を動かせば人間のテンションは上がるし、体温も上がる。アドレナリンが出て楽しい気分になる。
だが、僕にはそれは盛り上がりのレベルとして、あまりに拙く程度の低いものに思えてならない。

僕みたいな若輩の主観でしかないけれど、
ライブにおけるアーティストとオーディエンスの関係は、アーティストが人なら、オーディエンスはその掛け布団であるべきだと思う。

寝る時、人は布団が無ければその体から熱が奪われて、温かさを感じることはできない。
布団もただそこに置いてあるだけでは、それ自身では決して温度を上げることはない。

人にとって、「布団が温かい」のは、自分の熱が布団を温め、温められた布団が熱をキープし、それによって人はまた熱を発散し、また布団が温まり・・・という巡り巡る熱のリサイクルが行われるからだ。

ライブもそうだ。観客のいない所でライブをするアイドルは、アーティストはいない。
また、アクトのいないライブハウスで熱狂できる観客はいない。

ライブというのは、アクトのパフォーマンスという熱源があって始めて存在し、そしてそれを受けて、そのパフォーマンスに対してレスポンスする観客があって始めて成立する。その、いわば「コール&レスポンス」の相乗効果によってその場の空気がうねりをあげ、盛り上がり、熱狂を生むのだ。

誰かと誰かが対峙した時、お互いの関係が良いものになるとすれば、それは、お互いの意思がキャッチボールできる事が、大前提としてあるだろう。

友人関係も、スポーツのチームメイト同士も、恋人関係も、まずお互いの意思が伝わりあわなければ関係性は発展しない。
一方的な思いや行為の果てにあるのは、妬みや、恨みや、ストーカーや戦争くらいだろう。

かつてPerfumeのプロデューサーである中田ヤスタカ氏が、雑誌のインタビューか何かで、
「今の若者が、上の世代に対して『あいつら全然分かってねぇ』と言う時がありますけど、それは話をしていないだけなんだ」「伝える努力をしていないんだ」と語っていたのを覚えている。
彼はPerfumeの「ポリリズム」を仕上げた際に、本曲のポリリズム部分(所謂「ポリループ部」)がamuse(Perfumeが所属する芸能事務所です)のお偉方に「キャッチーじゃない」と問題にされたとき、単身amuseに乗り込んで、その意図を説明したそうだ。
その話合いの末に、CDの1曲目はオリジナルのバージョン。同時にポリループ部をカットしたバージョンをCDに収録することで折り合いをつけた、と。
結果、(もちろんその事だけが重要な要素だったわけではないけど)「ポリリズム」はPerfumeを代表するヒット曲となった。  

ちょっと本筋からは逸れてしまったかもだけど、
「思い」がキャッチボールできることが良い関係の大前提だということ。
一方的な「思い」は時に関係が上手くいかないだけではなく、関係そのもを破綻させる可能性も含んでいるということ。


もう一点、最近よく自分にも銘じていることなのだけれど、やっぱり
「技術や方法、手段、というのは、意思や想いを表現する為だけのものであるべき」ということ。
これが逆転してしまうことが非常によくある。

例えば、アマチュアからインディーズに上がっていきたいバンドによくありがちな事。
元々は「自分達の音楽を多くの人に聞いてもらいたい」と始めたライブ活動が、次第に
「動員を増やすこと」「物販を売ること」に追われてしまい、ライブをこなすこと、チケットを売ることが目的になってしまうこと。

例えば、僕自身の事で言えば、元々は「自分が楽器によって感じた喜びを、たくさんの人に感じて欲しい」(←青臭いけどね・・)と就職した楽器屋の仕事が、次第に「目標を達成すること」(←会社員としては一番大事だけどね)や、さらには「上司に怒られないで上手くやること」が目的になってしまうこと。

一言で言えば本末転倒ということだろう。

そうじゃないんだ。
自分達の音楽を沢山の人に聞いてもらって→動員が増える んだ。
楽器の感動をお客さんに伝えることで→目標が達成される んだ。

ライブにおいてもそうだろう。
元々はアーティストのパフォーマンスに対して感動したその心を歓声や拍手に代えていた筈なのに、次第に声援を送ること自体が目的になる。
パフォーマンスに対してのレスポンスとしてではなく、自分の快楽の為に奇声を上げる。ヲタ芸をする。モッシュをする。

もちろんアーティスト本人を目前にしてテンションが上がり過ぎて、変な声上げちゃったり、変な動きしちゃったりする人もると思う。
それはいい。一つのレスポンスの形だと思う。

だが、開演前によく周りで聞かれる会話を聞いていると、「今日はどんな感じで暴れようかな」とか「前の客全部剥がしますよ」とか得意げに仲間に話している様子を見ると、皆さん、本末転倒になっている方々が多すぎるんじゃないかと思う。


ここに僕がこんなことを書いて、そういう行為をしている人が見てくれるのかは分からない。
でも、やはり言わずにはいられなかった。

自分の表現や満足の為にライブの客席から一方的な行為をするのは、やはりアーティストとの関係としては程度が低いとしか思えないのだ。
それでも、そういう行為自体が好きという方は、自分で体育館でもライブハウスでも借り切って好きな仲間を集めて思う存分やれば良いと思う。これは皮肉でもなく本気で。
ただ自分自身の騒ぎたい気持ちを、アーティストやアイドルをダシに使って発散させるのだけは心底やめて頂きたい。切に願う。


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9/9は「9nineの日」
という事で、渋谷BOXXの9nineワンマンライブに行ってきました。

MCを削ぎ落として持ち曲のほぼ全てを演るという、タフなライブスタイルに本気を感じます。
夏休みはずっとこのライブのリハだったとメンバーが語っているように、
素人目に見ても個々のダンスの切れ、観客への眼差しが素晴らしかったです。
むずかしい振りも、フォーメーションも、メンバー全員が意識を高く持ってこなしているのが伝わってきました。

やっぱり、ちゃあぽんは歌巧かったですし、目が合って笑いかけると本当に嬉しそうな顔をしてくれるので、おじさんドキドキしました。
自分のポジションに山岡みどりちゃんがよく来てくれたので、必然的に観ていたんですが、予想以上にダンスの切れが良くて驚きました。そして、超がつくほどの美人。
腐女子」「マンガヲタ」というイメージがあったので(失礼)・・・そのギャップにひたすら感動していました。

こまかく挙げれば切りがないけど、メンバー全員本当に魅力的で、もっと長い時間観ていたかったですね。

曲もどれも良かったですが、個人的には
「awake」「メリーゴーランド」「MONSTER」「Cherry」「sky」「絆」「Sweet Snow」「show TIME」が良かったです。←多いか。

近くにバックステージパスを持った、明らかにメンバーのご家族風の一団がいたのですが、圧縮や、ヲタ臭さに負けず、3列目辺りをキープしている姿に家族愛を感じました。

また箱ライブを是非に観たいです。

超スーパーウルトラ逆境

7/19麻亜奈@新宿Pink Big Pig

マイミクさんを誘って新宿BE-WAVEのPerfumeイベント「chocolate disco! vol.2」に行く前に新宿入りし、行ってきました初の麻亜奈ちゃん。
http://ameblo.jp/maana-time/

広島から上京したPerfumeがいきなり参加した(させられた?)amuseのアイドルプロジェクト「BEE-HIVE」の一員だったのが、当時は本名で活動していた、(と言っても苗字がついてただけですけど・・)麻亜奈ちゃんです。

BEE-HIVEに参加していたメンバーの中で今第一線で活躍しているのは、Perfumeと、女優としての活動でブレイクした村川絵梨さんくらい。
構造構想としてはハロープロジェクト、音楽的方向性としてはポストSPEEDを狙っていたBEE-HIVEで、当時と変わらない活動をしているのが、音楽的にはプロジェクト内に異端児扱い、悪く言えば浮いてたPerfumeだけというのも、甘くない現実を思い知らせてくれます。

さて、麻亜奈ちゃんですがBEE-HIVE解散後はamuseを離れ、一時的に別事務所に所属したようですがこれも離れ、現在はフリーで活動中。
厳しい言い方をすれば、街のライブハウスにチケットノルマ払って出演している高校生バンドと同じ境遇です。

20:00からのステージということで、10分程前に会場に到着。
このPink Big Pigという箱は初めてだったのですが、お店の前には学生さんと思しき男女の集団、んー、食事メインのライブハウスという雰囲気とも違うのかな・・。
お店のシステムとしてはビュッフェ形式の食べ放題が基本で、後は飲み放題がついたりつかなかったりという感じ。
しばらく待つと、スタッフの方がホールに案内してくれる。

個室やダーツのスペースを通ってメインホールにつく。
・・・いきなり心が折れそうになった。
かなりデカイスペース(スタンディングで1000人くらいはいるかな・・?)にテーブルがズラー。で、コンパ風情、打ち上げ風情のお客さんが、そこかしこで既に大盛り上がりしている。でかいビアガーデンみたいな感じかな・・・。
こちとら、さして腹も減らない男27歳、一名様。独身です。
しかも、案内されたのがビュッフェスペース(バイキング取り放題コーナー)のすぐ脇で、カンゼンにオレ、ウイトル!フシンなメでミラレトル!
ふわふわと体内から抜けてしまいそうな自分の心を何とかビールで体内に流し戻して、落ち着きを取り戻す。

程なく、SEがなり始め、ステージに照明が灯る。
Destiny's childの曲か?
男性ダンサー二人と共に麻亜奈ちゃん登場。思っていたよりも小柄な女の子。
歌い出し始めると日本語詞、サビで伊藤由奈の「I'm Here」だと分かる。
初めて聴く麻亜奈ちゃんの歌声は、重心低めの大人っぽい感じ。
踊りながら歌っても音程、音量共にブレない、流石です。
ダンスはちょっと硬いかな、と思ったのですが、麻亜奈ちゃん以上にバックダンサーの二人がかなりガチガチでした。

もう一曲ダンサーとやって、ダンサー陣一端退場。
MC、先日ご両親からのプレゼントで知り合いの方に何曲かレコーディングさせてもらえた。(これはブログにも書いてありましたね。)
CDを作ったんだけど今日は持ってこれなかった。
これから、そのRECした曲から一曲歌います。と。


いやー、実は客席のアウェイ感がすご過ぎて、この辺りで既に僕の胃が痛くなりそうでした。
よく、お笑い芸人の人達が下積み時代の辛かったエピソードとして、ストリップ劇場でネタをやらされたとか、流れるプールの真ん中で漫才したとか(←これは爆笑問題でしたっけ?)話す事がありますけど、今目の前の状況ってそれに近いのかな、と。

だって、ホールのほぼすべてのお客さんが、目の前の食事か酒か、もしくは同じテーブルの異性に夢中で、まともにステージなんか観ていないし、曲も聴いてない。
曲が終わると拍手したりするけど、それもほとんどがパフォーマンスに対しての拍手じゃなくて、いいぞーやれやれー、的な拍手で。

その新曲の後、今度は女性ダンサー二人とともに2曲ほど、で最後にダンサー全員と一曲。
最後の曲が良かったです。男性ダンサーも尻上がりに調子をあげて。。
一番全員が慣れてる曲だったのかな?確か「Love to Revive」(違うかも)という曲名。
オリエンタルテイストのポップという感じで、ダンスも歌もはまっていました。

で、終了。
今まで生で見たライブの中で一番切ないライブだったかもしれません。
演者にとっては、自分の表現を集中して聞いてもらえる事は、ただそれだけで幸せな事なんだな、と。たとえどんなに客入りが悪くても、そうだと。
そこにあるのに無いもののように扱われ、表現を受け止めてもらえないという事が一番切ないです。

と、ちょっと、暗くなりすぎか。。
やっている事の質は決して低くないし、麻亜奈ちゃん自身のポテンシャルも高いので、
いい出会いやチャンスを掴んで、JUMP UPして欲しいと思います。
MCや、ステージ上での振舞いも良い人柄がにじみ出ていたし。思った以上に可愛らしい感じの人でした。

いや、でもPerfumeも本人たちの実力はもちろん、いろんな奇跡が重なって今に至るけど、上昇のきっかけを掴めなかったら、今同じような境遇だったのかもな・・・
と、適当に取ってきたローストポーク食べてたら、ホール内に見慣れた人影が・・。


id:l3lさんに宗像さん、さらにDHSさん、でもってid:pinksunさん、さらには、はにわさん、id:matekoiさん。
聞けば「PerfumeNight 2」の打ち上げだそうで、ガラスでホールと仕切られた個室には界隈で有名な皆様が。
皆さん声かけて下さってありがとうございました〜。
matekoiさんvol.3も期待してます。次はUNITとかでしょうか。。

ライブ後、麻亜奈ちゃんもダンサーズとホールで食事したり、ダーツしたりしていたのですが、一般のお客さんからの視線を一人掛けのハイチェアで耐え続けるのに、心パワーを使いすぎてしまい、ガッツキませんでした。

まだまだ、ヲタガッツが足りねぇなぁ・・。 

夢、努力、言霊

Perfume「GAME」オリコンウィークリー1位

11/6-7日本武道館公演決定


今の3人にこの歌を贈ります。


the pillows「Funny Bunny」

世界は今日も簡単そうに回る
そのスピードで涙も乾くけど
君の夢が叶うのは 誰かのお陰じゃないぜ
風の強い日を選んで走ってきた



おめでとう!


GAME(DVD付) 【初回限定盤】

GAME(DVD付) 【初回限定盤】

HAPPY BIVOUAC

HAPPY BIVOUAC

川島の週末

4/26代々木公園9nineのストリートライブに行ってきました。

10分程遅れて着くと統一感のない格好の八人組に人だかり。
けやき通りの一番渋谷側。


・白い華〜White Garden〜(聴けませんでした)
・cotton candy
・悲しみはいつか羽になる
・ハート型の涙
・sky
・sky(アンコール)


セットリストは前回のスタジオパークの時と同じ。
衣装も同じだったかもしれない。

とにかくマイクのハウリングが酷くてなんとも(>_<)
女性スタッフが卓の前に座っていたけど、走ってって手伝いたい衝動に駆られる。
inputのゲインを取り過ぎたのかもしれないですね。
ちゃあぽんの使ってたマイクがArch Enemyかってくらいdeathボイスだったから。

観客の92.8%が男性。(当社調べ)
わりと大人しい人が多かった。

自分の立ち位置は上手側だったので、海荷ちゃんが近いポジション。
事務所イチオシだけあって、生で見ると本当に魅力的。
放出されているエネルギーが何か凄い。
正直ダンスも歌もあまり上手ではない(本人も苦手と公言してたっけ・・)けど、
曲中にお客さんの顔を見て微笑みかけたり、MC中に、色々アクションしてヲタを煽ってみたりする姿が素敵です。
子役としてのキャリアが長いからかもしれないけど、重心が低いというか、どっしり感があります。お客さんとのコミュニケーションを大事にしたい気持ちが強いのかもしれない。

で、お客さんの中に前回のスタパの時、自分の隣に座ってた中学生くらいの男子グループが今回もおりました。
おそらく、海荷ちゃんの学校の同級生なんだろうと。

やっぱり「川島って可愛いな」とか密かに思ったりしてるのか!
週明けの全校朝会の後に「川島。昨日良かったよ。」とか本人にハニカミながら伝えたりしてるのか!
「私服の川島って雰囲気違うよな」とか男友達同士で盛り上がったりしてるのか!

く!甘酸っぱい!甘酸っぱ過ぎるぜ!
甘酸っぱいから、おじさん君らにロッテの「小梅」買ったげる!

いや、でも何か、同じクラスにアイドルがいるってのは男の夢ですね。。

もちろん海荷ちゃん以外のメンバーもキラキラしてた。
メンバー皆、中高生だから少なくとも8例は、↑みたいなドキドキ感味わってる男子達がいるのかよっ!!

甘酸っぱいっ!!!


9nine終了後は宇野薫、基、id:ooltさんと合流して、人生初のサンストリート亀戸へ。
男二人でドーナツ食いながら、Perfumeairasaori、candy話。

んー。
甘酸っぱくないっ!!


18:00〜は06年年末(Perfumeアストロワンマン)ぶりのBUZZ。
ステージングにスパンコーリーな輝きがありますね。
歌も踊りもクオリティが高い。

CDも買って帰ったけど、曲そのものを楽しむというより、曲が展開されるステージを楽しむ感じだなぁと思いました。
4人の中ではNACIさんに目を惹かれます。


BUZZ後は某氏お二人と亀戸スタバでお茶。

Candyちゃんブログのメニューを完全再現する姿など、残念すぎて目も当てられませんでしたw

で、男4人でamuseが〜、ジュエルリーグが〜、平田薫が〜、中林芽衣が〜・・・・で2時間弱。

甘酸っぱくない!
むしろほろ苦い!

でも、久しぶりに痛快な休日でした。
貴重なヲタ話も聞けたし。
絡んで下さった皆様ありがとうございました。

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first 9

first 9

Aira Mitsukiの眼差し

3月4日、秋葉原
仕事用の電子部品を購入する為、ラジオデパート、会館、センターと世界三大ラジオを総なめにして一先ずの目的を果たす。

しばしのAcL(Akihabara cruising Love=アキバ巡りが好き)を楽しんでいると、ふと気が付いた。

Aira Mitsukiのデビューイベントがあったんだ。
http://www.airamitsuki.com/

3月5日「チャイナ・ディスコティカ」でメジャーデビューするAira Mitsukiのイベントが石丸ソフト1で開催される。
足を運んでみることにした。

開演時間まで別のフロアで過ごしていると、2人組みのギャルがAiraのポスターの前で何やら話をしている。
イベント告知の内容を確認しているようだった。
いくらデートピアがメディア何たら戦略を駆使しようとも、メジャー以前にイベントに足を運ぶようなギャル風情ちゃん達のファンが付くとは考え辛い。

Airaの友達だろうか?
丁度自分もイベントスペースに移動していたところだったので、
結果的に(偶然ね)彼女達が僕のすぐ後ろを歩くような形になった。

やはりこういう場所は慣れないようで、アニメDVDのポスターなど気圧される様子が後方から伝わってくる。
イベントスペースの入り口でCDを購入していると、彼女達は購入の気配など全く見せず会場に入っていった。

CDを買い、握手会の参加券をもらって席に着く。
ギャル2はこれまた偶然(飽くまで偶然、な)僕の斜め前の席に並んで座っていた。
会場にはPerfumesaori@destinyのイベント、ライブ会場で見かけた人達多数。
二人はもの珍しそうに周囲をキョロキョロと見回している。
そうだ、それが普通の反応なんだよ。すっかり場慣れしてきた俺泪目。

定時の19時を少し過ぎて客電が落ちる。
赤のカンフー着にポリシックスバイザーをつけた2人組みがステージに現れる。
ん?airaって二人組みなのか?
高校の時、後輩に「B'zのメンバー言ってみて」と言ったら、
「えー、ベースとドラムとぉ・・・」
と言った事を思い出した。いや、脈絡は無いけど。

少したってAiraが登場。
モノトーンの衣装は「逆モノクロームエフェクト」とも言える可愛いワンピース?な感じ。

  • チャイナ・ディスコティカ
  • Romantic Rope
  • カラフル・トーキョー・サウンズNo.9
  • Star Fruits Surf Rider

最後の曲はコーネリアスのカバー。
自分のイベントをカバーで終えるというセンスに驚愕した。
クラプトンのライブに行って、エンディングが「哀しみの恋人達」だったらビビるでしょうが、あーた。
焼肉屋行って「おまかせコース」頼んで「メインでございます」ってラーメン出てきたらビビるでしょうが、あーた。

曲、パフォーマンスともにやはりPerfumeの影は隠せない。
MCは非常にたとたどしい。
なんだかちょっとデビュー記念のイベントなのに、嬉しい感じとか喜ばしい感じが薄くて淡々と時間の過ぎていくイベントだった。

斜め前のギャル2達はと言えば、曲中何かを耳元で話したり、様子を伺うようにairaに手を振ってみたりしていた。やはり友達なのだろう。

一体の今日のAiraは彼女達の目にどんな風に映ったのだろうか?

Airaのデビュー前は彼女達と同じようなギャルだったと聞くし、
元々はトランスのコンピアルバムのボーカルオーディションに合格して芸能界入りしている。(デビューに伴い、大学進学を蹴ったと本人談。)
だが事務所の方針か、流行に合わせたのか何なのか、デビュー後は「テクノポップ・アイコン」というキャッチフレーズを背負って活動するも、やれ「Perfumeのパクリだ」「劣化コピーだ」と揶揄される。
今回メジャーデビューにあたっても、事務所の方針か、北京オリンピックに合わせたのか何なのか、中華風味満載の楽曲が用意され、中国でRECをし、ライブをし、さぁ!いざデビュー!という所で、ギョーザ騒動である。

逆境ナインか!
お前は不屈闘志か!

と言いたくなるほどの逆境なのだ。
僕の斜め前には、Airaがデビューも何もなくそのまま時間を過ごした一つの形として、ギャル2がいる。
そしてステージ上には今現在のAiraが、笑顔でヲタおっさん達に対応している。
「人生の分かれ道」を目の当たりにして僕は何だかすっかり切なくなってしまった。

ギャル2は演奏が終わるとすぐに帰っていったが、
果たしてその帰途、何を思い、何を話したのだろう?
Airaすごいね、頑張ってるんだね」なのか
「アイドルってマジ大変だね、あんな客に囲まれて」なのか、
知る術も、由もない。

握手会が始まり僕の順番になる。

「メジャーデビューおめでとうございます。」
「ありがとうございます。」

間近で見るAiraは写真や映像の印象とは違い、とてもシャープな美人という印象。
だが、その瞳は深いけれど底の見えないモノトーンカラーという印象だった。

「楽しいことばかりじゃないと思いますけど、頑張って下さい。」
「・・・ホントそうですね・・・。」

「でも良いパフォーマンスを続ければ良い結果につながりますよ!」
と続けるつもりだったのだが、このAiraの反応に体が固まってしまって何も言えなかった。
その時の彼女の眼差しが忘れられない。
それが本当かは分からないけれど、その眼差しにそれまでの辛いことや、今の状況についての複雑な心境が全て表れているような気がした。
切ないモノトーンアイズ。そんなキャッチコピーの方がいんじゃねぇか?と思える程の切ない瞳。

いつか、ギャル2達が満場一致で(っても2人だけど)Airaの事を羨ましいと思えるように、
そして、いつかその瞳が彼女の1stシングルと同じにカラフルな音を奏でる様に祈るばかりだ。


後日談
この日のイベントで脱臼の様な痛みを感じ、病院に言ったところ、
脱臼ではなく肺気胸だと診断されたらしい。


こ、これが、逆境だーーーーーーーーーーーー!!!

チャイナ・ディスコティカ

チャイナ・ディスコティカ