富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

甲辰年三月初五

気温摂氏9.5/16.3度。晴。昨年、東京国立科学博物館が冷房の電気料金すら工面難しいとクラウドファンディングに訴へ日本の貧困さに唖然としつゝ気持ち程度に寄付。想定超える寄付集まつたが返礼品の対応も難しいほどで約束のそれがやつと届いた。

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礼品は長谷川和範「貝のスケッチ」のキャンバストートバッグ(34×26×10cm) 。松戸の小学5年生(この春6年か)IR君に差し上げると約束してゐたので早速お送りする。

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大谷通訳疑惑で日本のメディアは「紐育タイムズの報道によれば」と盛んに報じているが同紙で電子版にはその報道あるものゝ手許にあつた紙面(NYT Int’l Edition)にはOJシンプソンと曙の訃報はあっても大谷通訳疑惑の報道は今日に限らず全くない。「大谷通訳疑惑に社会性が全くない」という判断か。日本人にとつては日本人の大リーグスター選手が「被害者」でも何せ野球じたがい世界的にはメジャースポーツではない。ならば電子版で良いのかもしれない。通訳さんが刑事訴追されると記事になるかしら。

フランス語と私⑤内田樹「日本人」を一度手放して:朝日新聞

オーラル(会話)中心の語学教育というのが植民地支配の道具だからなんでしょうね。植民地の住民は宗主国民の命令が聴き取れれば十分であってマニュアル以上の複雑な文章を読む能力は要らない。(略)外国語を学ぶとは本来、世界は広いと思い知ること。だから、どこかで一度日本人のものの見方を手放さないといけない。フランス語ならフランス人の宇宙観、時間意識まで入り込まないと意味はわからない。

旧制高校の語学学習といふのは樹先生の仰る、かういふものだつたのだらう。アタシにとつての中国語も「読める」が先行してしまつて聴解、尚更に会話が一向に上手にならなかつた。英語はなにせ語彙力が乏しいまゝなので会話がある程度上達したが。毎年「4月ある/\」でNHKラヂオでフランス語講座を聞き始めた。フランス語、スペイン語はできれば旅行で不自由しない程度の基礎会話くらゐはできるやうになりたいのだが。

キシダ米議会の歓迎に「日本の国会ではこんなすてきな拍手ない」:時事通信 

バカである。同じコメントするにしても苦虫を噛み潰したやうな表情なら一流だし多少の共感も得られる。ジョークが受けて満面の笑み、がバカである。

米議会で演説する岸田文雄首相=11日、華府(AFP時事)

昭和天皇ゆかりの台湾の桜を水府に

辰年三月初四。気温摂氏9.5/16.3度。曇。

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鉢植ゑのハイビスカスは昨年晩秋の剪定が良かつたのか陽当たりよく暖かい室内でかなり蕾もついてこんなに咲き始めた。

昭和天皇ゆかりの桜植樹祭及び記念碑除幕式 | 高橋靖「水戸市長の安心水戸ふるさと日記」

本日、水府でこの桜植樹祭あり。水戸市少年の森。台湾に行くと昭和天皇が大正帝摂政の大正12年にあつた台湾行啓に纏はる史跡(記憶)が少なからず御宿泊所の建物など貴重に遺されてゐたり。昭和天皇訪台に縁りの寒緋桜からの株分けの苗木が靖国神社を最初に日本各地で植樹されてゐるのださう(台北市民が植樹したもので摂政お手植ゑではないのださうだが)。これを推進してゐるのが(財)日台友好桜里帰り文化交流会で現在の代表が原田義昭(元環境相)。統一教会との関係も深く日韓トンネルの事実上の代表もこの方なんだとか。この財団の創設者が加瀬英明(故人)であるから財団の性格も自ずと知れたところ。自民党でいへば岸信介からの流れ。水戸の桜山にある茨城縣護國神社にこそ、といふ植樹だが今回は「水戸市の公的な場所に」といふ発意なのでせう。それなら千波湖畔も桜の植樹には適してゐるが、こちらには水戸と友好交流都市で人口100倍余!の重慶市に纏はる「重慶広場」があつて、そこには「日中不再戦之碑」もあり。これは日中国交回復で自民党田中派から社会党あたりまでをカバーしてゐる。

日中不再戦之碑建立20周年記念式典及び祝賀会 | 高橋靖「水戸市長の安心水戸ふるさと日記」

市長はじめ自民党の先生方がその日中友好と日台友好のいずれをもカバーしてゐることがわかる。間口が広いといふか了見が何とか……といふか。中国側にしたらこれは面白くないのだらうが。

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キッチンにツリガネソウ。

甲辰年三月初三

気温摂氏3.6/17.9度。晴。水戸は東京より温度が数度低い。

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水戸市の厳格なゴミのルールでは硬質のプラスチック製品(リサイクルマークのないもの)は燃えるゴミで出すのだが市の指定の燃えるゴミの袋に入らない場合とか更に細かいルールあり。

燃えるゴミの分け方、出し方の基本ルール - 水戸市HP

この今朝見かけたケースではルール違反ではあつたがゴミ収集してくれたやうだ。

 池澤夏樹(「沖縄」を考える)「代執行」辺野古工事、誰に利が:朝日新聞

どんな迷惑施設を押しつけてもかまわない。基地に慣れているから。沖縄だから。沖縄に対しては普通の人たちが平気でムチャクチャな考え方をする。日本本土の人たちには「沖縄=2級の国土」という意識があると言わざるをえません。

甲辰年三月初二

気温摂氏3.8/14.1度。朝の寒さは二週間前の三月末以来。晴。武田砂鉄『なんかいやな感じ』(講談社)を家人も読んでみると著者と同じ東大和市で育つたので地元の「たなべ文具店」だとか、それでもそちらは四小学区なので一小に在籍の家人にとつては少し遠い芝中団地は七小学区だつたが越境でよく遊んだのださう。それにしてもやはり「なんかいやな感じ」。これが雑誌の連載でればさらっと一読で済むのだらうが単行本なので短編が続くと「なんかいやな感じ」なのかもしれない。

白水社の本棚』2023年冬号だつたかな?外で読み捨てゝしまつたのだけど、そこから「プーチンの戦争、プーチンの身体」池田嘉郎より(以下、要旨)。プーチンを支へるものは何か。「よりよき生活が享受できるようにあった、丸々一つの時代」「プーチンが統べるロシアこそが「ノーマル」なのである」。2000年に総統になつたプーチンにとつて地方領袖跋扈の準無政府状態を何う克服するか。原油価格上昇に転じ中央政府財源増加が有利に作用。ロシアが今だに「人的統合に基づく地方政府支配、合法と非合法の境界線の曖昧」は解消されてゐない現実。プーチンの統治はKGB時代からのノウハウで今でも「優れて人治的、パーソナル」である。統治がパーソナルといふことは「任期がないといふこと」。ロシアの政治が「個人の統合によって成り立っていーる」こと。プーチンは「個人」なのか?もはやプーチンプーチンといふ国家機関、国家装置なのではないか?と思へた。習近平はその域には達してゐない。

今日の朝日新聞朝刊の特集「「日本人」を決めるのは」が面白かつた。

日本の多くの人が抱く日本人像は、なお「純粋な日本人」にほぼとどまっています。(略)明らかに重視しているのが血統です。(略)ここでいう「血統」は生物学的概念というより「血統意識」に過ぎません。日本列島には有史後も様々な人が渡来し混合したので純粋な日本民族なるものは存在しない。本質的な「日本文化」を定義することも不可能です。でも、多くの日本人はこの国にいる人々の多様な背景を見ないことにしているかのようです。福岡安則(社会学埼玉大学名誉教授)

所詮、無いもの強請り。何でも良いのだけど何か自分が落ち着ける胎内のやうなものがあれば良くて、それが「日本」といふ、吉本隆明的にいへば「共同幻想」そのもの。自立できない奴らが「良らば大樹のかげ」結果的には「死なば諸共」的な、結果的には自民党に鳩まるしかない思考力ゼロで「日本」に縋る。烏合なので何か象徴がほしい。そこに打つて付けなのが「天皇」なるもの。「何だかよくわからない」が象徴には最適で昭和、平成に今上までご人格でも宜からう。なので、それを肖る。あまりの節操なし。王の首を刎ねるやうな市民革命が生じたことがない思慮浅き国民国家。我が国はあまりにさま/\な意味で「畏れ」に欠ける。

甲辰年三月初一

気温摂氏6.8/20.5度。雨(29.5mm)で南風強し(最大16.3mm)。本日は陋宅近くの水戸二高でも入学式。新入生が保護者と入学式に登校も折からの強雨と強風で傘は煽られ難儀。

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市役所からマイナンバーカードの電子証明書有効期限がもうすぐとお知らせ郵便で届く。それなら運転免許証更新のお知らせのやうにハガキ一枚で良い気もするが有効期限更新を誰か第三者に代理で行かせることも可で、その代理人による申請では自分のマイナカード関連の暗証番号を所定の用紙に記入して所定の封筒に入れ封することだつた。暗証番号を何かに書かせることがアウトで、それを封筒に入れたところで誰かに開封されたらアウト。なんでこんなにローテクな国なのかしら、日本は。どこでこんな思考停止のローテクなつたのか。誰かしら「この方式はおかしい」と声を上げなかつたのか。どれほど低レベルなのか。

榴槤の狭い玄関の下駄箱。昨日銀座ヨシノヤで購入の靴がまた一足増えてそろ/\入らなくなる事態。そこで下駄箱に靴は一足の前後を逆にして、できるだけ無駄なスペースがないやうにしてみる。二足も余計に収納ができた。

赤羽から巣鴨、で銀座

辰年二月晦日。気温摂氏15.3/20.9度。曇時々晴。昨晩家人に「明日こゝ行けるかしらね?」といはれたのがこちら。

月曜日は美術館とか休みが多いだがこちらは日曜休館で月曜も開いてゐる。無料だが完全予約制。ネットで見ると明朝10時の回にまだ空きあり……といふわけで上野に09:32着で宇都宮線の小金井行きで赤羽。赤羽台団地にあるこのミュージアムに09:54着。ミュージアムは説明のスタッフがついて定員20名かな?のツアー。本日参加の好事家は14名ほど。アタシは集合住宅に住んだのは香港に暮らし始めてから。水戸では一軒家の自宅で仙台も東京恵比寿もアパート。家人は団地ではないが某銀行の「社宅」住まひで集合住宅だから団地育ちなので懐かしい世界。


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ミュージアムでの最初の展示は建物の4階に上がり大震災のあとの同潤会アパートから。今の「ミミマム」に通じる100年前の発想。代官山のアパートは昭和の終はり恵比寿に住んでゐたときに歩いて行ける距離で家人(当時、Z嬢)と代官山まで歩き近い将来に解体される代官山アパートの銭湯まで出かけたこともあつた。


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単身用の住宅も狭いのだけど何だか窮屈感がない。このくらゐの広さがあつたら本当に幸せだらう。


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戦後になつて日本住宅公団(のちのUR)が設立される。蓮根団地のまぁ傑作さ。狭いのだけど狭さを感じさせない奥行きと生活の上での建築の合理性。


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前川國男の晴海にできた高層住宅は人口と需要に対する大規模集合住宅建設といふ題目が優先して生活レベルとしてはけして上出来ではなかつたかもしれない。


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晴海の高層住宅で、それでも玄関を入つてすぐのダイニングだとか、奥までのパースペクティブな「広く感じるやうな設計」(前川國男)はさま/\な設計上の検討がされてゐるとはいへ戦前のモダンな住宅に比べるとどこか余裕の感じられない中途半端感あり。


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多摩平団地に出来た「テラスハウス」は長屋建てとはいへ専用の庭もあり団地全体のコミュニティ感の創設が意図されてゐる。しかし戦前の同潤会のやうな機能専念の設計の集合中楽の方がクールかも。下手に家族の団欒だとか地域社会なんてのが意図させると窮屈さが増すのかもしれない。f:id:fookpaktsuen:20240409175403j:image

赤羽から王子に出て久々に都電荒川線(これが今では「東京さくらトラム」なるヘンな名称に)に乗り桜満開の飛鳥山を巻いて新庚申塚まで。2週間前に納骨の済んだ家人の母の墓地に詣でる。染井霊園はさすがにソメイヨシノが満開。墓地だといふのに墓地内の桜の木の下にはベンチもあり、そこで読書などする人あり。さすがに墓地なので花見の酒盛りもないし静かで良いかも。こんなところで折口信夫なんて読んだら愉しいかも。


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東京の最高気温摂氏23.2度。平日で「4のつく日」でもないので巣鴨の地蔵通り商店街も少し閑か。「ときわ食堂」で少し遅めの昼食。隣席の老夫婦が静かに今更会話もないのだが幸はせさうに鯖の味噌煮の定食を食べてゐたのが印象的。

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銀座に出て靴のヨシノヤへ。信州だとか(欧州でもよいのだけれど)リゾートのホテルとかで、ちゃんとしたディナーでも失礼がなく、それに少しの山間の散策もできるスニーカーなんだけど遠目にはフォーマルな靴がほしかつた。ちゃんとそんな靴がヨシノヤだと見つかるから。一足購入。

小雨。家人と別れ銀座サンボア開店の時間で口開けの客となりハイボールを飲む。銀座松屋のメンズフロアでエスカレータ上がつたところで以前から気になつてゐた“RE Made in Tokyo Japan”といふショップあり。

知っておきたい、日本全国のものづくり “日本再発見” | 松屋銀座

こちらの夏物で紺の開襟シャツ一枚購入。歌舞伎座へ。夜の部の最初( 於染久松色読販 おそめひさまつうきなのよみうり )で「土手のお六」「鬼門の喜兵衛」を幕見。松嶋屋と大和屋で、もう余裕のこの芝居。傘寿の松嶋屋だが莨やが舞台で喜兵衛は好きな莨を蒸してゐれば良いところ。大和屋もお六のやうな「毒婦」はある面、ニンであるかも。そんなワケで松嶋屋と大和屋の二人はこの喜兵衛とお六は実によく似合ふ。幕見なので四階の天井桟敷から眺めたが歌舞伎座吉野川だとか渡海屋で碇知盛とかだと遠見でも面白いが鶴屋南北のこんな地味に悪事の魂胆に満ちた芝居は遠目では役者の表情など窺ひ知れないから面白みに欠けるか。そこは徠卡の双眼鏡持参で補つたが後列の小学生の芝居好きの少年は、この南北物の筋も半ばわかるのだらう、その上で要領得ぬ点を小声で母に尋ねて大したものだつた(小学生の頃から歌舞伎芝居なんかに連れて来てもらつてゐるとロクな大人にならないですよ)。本日は赤羽台のミュージアム団地の2DKでもせい/\10坪ほどの小さな住宅の移築再現模型の中にゐて畳も「団地サイズ」なんて見てゐたので歌舞伎座の間口の広い舞台で、油屋のやうな商家ならまだしもお六の莨屋の粗末な家屋があの広さだとほんと非現実的すぎ。せいぜい狭い一間の苫屋であるはずなのだから。

続く番組も松嶋屋と大和屋で〈神田祭〉はほんの20分程度、この二人の踊りどころかお練りを眺めてゐれば飽きないのだから付き合つてもよいのだが見なくても艶やかさは想像できるところで歌舞伎座を後にする。いつものことだが三原橋からする/\と斜め/\に歩いて銀座ライオン。幸はひ外に行列もなく家人に先に入つて啤酒注文しておいてもらふ間に銀座通りで斜め向かひのヨシノヤで預けておいた靴を受け取りライオンへ。


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毎年この時期はあのビアホールの店内に桜の枝葉(見事な造花)が飾られ花見気分。この時間に焼き上がるローストビーフだが今晩は何だか注文する客が多いと思つたら創業90周年が本日!でローストビーフが特価でお振舞ひなのださう。それなら、といたゞく。

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それにしても今晩は支配人も客の間を注文とつたりビールジョッキや料理を運んだり、何だか卓を越えて客同士がジョッキ片手に歓談、旧交温めてゐるし何だかドイツの田舎装束の男女などゐて不思議な雰囲気。すると午後6時半になつたらドイツ装束の男女がアコーディオンや管楽器などかゝへて立ち上がるとドイツ民謡など奏で始めて Oktoberfest のやう。創業90周年の祝賀とは。銀座ライオンは外国人客にも評判だが彼らも日本人がドイツ語で獨逸民謡など歌ひビアホールはさながらミュンヘンのやうで最初は驚いたところ。この銀座ライオンの創業は昭和9年(1934年)で日本人の獨逸祝賀は日独同盟か?と驚いたところだらう。だが彼らも東洋のこの不思議な情景に和み一緒にジョッキ片手に腕を組んで謡ひ飲み始める。アタシはかういふ集団での騒ぎが挙国一致的で苦手。静かにして眺めてゐたが家人が洗面所に行つた際に隣席の明るいお客に肩を叩かれ振り向いたところ有無を言はせず腕を取られ立ち上がってジョッキ片手に左右に揺れ動き始めた。かういふときに素直に楽しめれば良いのだがやはり苦手。こんな姿を洗面所から戻つた家人に見られなくもなく隣客に「ごめんなさい、腰痛持ちで、それに電車の時間もあつて」と言ひ訳。

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家人も酒に酔つて騒ぐのはけして好きぢゃないので盛り上がり続ける銀座ライオンを辞す。周りを白けさせてはいけない。それにしても啤酒を大ジョッキで3杯半も飲んでローストビールに豚串カツ、ベイクドポテトなど食べて満腹。腹ごなしに東京駅まで歩く。

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銀座の映画館シネスヰツチがまだ存続してゐるとは知らなかつた。坂本龍一追悼で〈ラストエンペラー〉と〈戦場のメリークリスマス〉を上映中。東京駅地下のはせがわ酒店で山形は酒田の上㐂元と天童の山形正宗の純米酒を購めて帰りの車中で飲む。1時間余なので寝てゐる暇もない。それにしても酒がなんでこんなに美味いのか。それでも水戸に着くと歩いて帰宅して本日のあれこれ記録を残して身の回りもきちんと片付けてから寝るのだから我ながら大したもの。

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▼昨日の観世能楽堂(銀座)は観世流春の別会。関根祥丸君のシテで〈道成寺〉あり拝見したかつたがテケツ入手できず。ご覧になつた方から、まだ若手の祥丸君がまことにご立派な舞台の上にさらに余白すらきちんと残してゐたとのこと。

桜が満開の土曜日

辰年二月廿九日。気温摂氏12.2/21.2度。曇のち晴。隣の那珂市の市立図書館へ。先日読んだ表章先生の『梅原猛の挑発に応へて』とか数か月前の甘耀明『真の人間になる』とか近隣の公立図書館(県立図書館も含む)にない書籍が那珂市にはあるから。図書館に行く前に中学時代のK先生に上野池之端十三やの耳かきを届ける。K先生は「こだわり」があり小物も好きなので柘植の耳かきは好きなのではないか?と思つたのだが大変喜ばれた。そのアシで那珂市飯田のスーパーヒロセヤへ。昔からある地元スーパーで大型チェーンの進出にも負けず盛況。家人はこちらが豚や牛の各種部位など充実で牛のハチノスなどあつて好物のトリッパが作れるとか最近とてもお気に入り。図書館から戻り、お昼はヒロセヤの調理パンとアップルパイ。とても美味しい。パイナップルは台湾産。

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水府も桜が満開。水府といふと偕楽園の梅の印象があるが光圀公の頃から桜の景観は大切にされてきた。

水戸桜川千本桜プロジェクト

時代を遡れば世阿弥謡曲〈桜川〉も常陸国の岩瀬が舞台。午後、競馬のテレビ中継え桜花賞は馬券を外したのを見届けて千波湖から桜川に桜を愛でに家人と出かける。

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千波湖畔は梅、桜そして湖畔の土手道(Causeway)は光圀公の時代に築かれたもので杭州の西湖の柳堤に見立てられた由来通り柳も美しい。だがやはり桜は壮観。

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千波湖はかつては水戸城下(市街)の南に位置して「郊外」のはずだつたが今では市街地が南に発展したことで千波湖がまるで水戸の中心になつてしまつてセントラルパーク。さう思ふと市の中心に風光明媚な湖(厳密には千波沼なのだが)があるのはそりゃ景観ではある。


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今年は桜の開花は遅れたが桜も毎年タイミングがさう易々とは合わないのか蕾がある一方で開花を待たずかなり葉桜になつてゐる部分もあつたり。千波湖で今いちばんの盛りは里桜が賑やか。遅咲きだと聞くがソメイヨシノがまだ満開になつてはゐない。千波湖の湖畔には花見の人々が散歩を楽しんでゐるが、まぁベトナムやタイ、フィリピンなど多国籍。彼らは日本人以上に春の桜を楽しんでゐる。まさに日本にゐることを実感する桜なのだらう。桜の花の芳香?と思つたら、そこはかとなくガラムで少し遠くにインドネシアのグループ。


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桜川沿ひでアイリッシュパブ(ケルズ)が丁度午後5時の開店で口開けの客となる。店内からも桜川岸の土手の桜を眺める。桜の花見に来たのだが今晩は外食のつもりでゐたが何だかベトナム料理でよくね?と思つたのは花見でたくさんのベトナム人を見たからかもしれない。旧県庁近くの市街のベトナム料理屋(アオバヾ)に飰す。


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県立図書館入り口の三の丸の土塁の桜も見事。

帰宅してこのNHKスペシャルを見た。

Last Days 坂本龍一 最期の日々 - NHKスペシャル - NHK

癌でもはや末期、余命短いこと識つた坂本龍一の映像。日記。まるで荷風散人の末期の日剩のやう。番組の映像はある程度は内容を予感してはゐたが何とも感銘だつたのは亡くなる昨年三月の亡くなる数日前の東北ユースオーケストラ(TYO)のコンサート当日。

吉永小百合の詩の朗読があり病室でその中継を見ながら酸素マスクをして意識も少し朦朧とするなか映像の音楽に合はせ無意識なのか指揮をする坂本龍一坂本龍一の次男坊による録画なのださう。その数日後、他界の直前も昏迷のなか手はピアノを弾いてゐた。