富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

柯宗明『陳澄波を探して - 消された台湾画家の謎』(岩波書店)

辰年三月初初八。気温摂氏10.8/24.6度。晴。水戸の最高気温と同じなのが八戸、そして小樽とは。また春を通り越して夏に向かはうとしてゐる。キッチンのツリガネソウも数日でツボミがすつかり開花。


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柯宗明著『陳澄波を探して - 消された台湾画家の謎読む。栖来すみきひかり訳。 一言でいへば「岩波書店刊なのだが徳間書店?」のテイストであつた。時は1984年。駆け出しの画家(阿政)は台湾の昔の西洋画の修復の依頼を受ける。陳澄浪といふ画家の作品だが阿政はその画家のことを全く知らず新聞記者(方燕)と一緒に陳澄浪について調査を始める。1984年当時の台湾はまだ蔣経国の時代で戒厳令下。

日本時代の台湾美術史は、光復(台湾の中華民国への編入)後にはなかったことになって美術学科の学生でさえよく知らない。

陳澄浪(1895~1947)は台湾嘉儀出身の西洋画家。大正時代に東京美術学校(のちの東京芸大)に学び台湾に戻り上海でも西洋画を教へ戦時中は台湾にあり日本の敗戦で「光復」を嘉儀で迎へる。その陳澄浪について何も資料がない上に当時の関係者はなぜ全てを語らうとしないのか。二人はいくつかの証言や陳澄浪の作品からさまざまな謎を解かうと挑む。この本の原題は『陳澄浪密碼』で直訳すれば「陳澄浪のコード」。これが「ダヴィンチのコード」「のやうなもの」なのは察すも容易。

陳澄波を探して 消された台湾画家の謎 

だが「謎解き」どころかある程度、台湾現代史を知る者なら陳澄浪が1947年に亡くなり陳澄浪といふ画家の存在ぢたいがタブーのやうに扱はれるのなら、それが1984年の国民党政府による戒厳令下だとすれば澄浪が二二八事件の年に粛清されたのだらう、と思ふ。それ以上の「驚き」は用意されてゐない。1984年なら、その当時にこれを読んだら「コードの解き明かし」も面白いものだらうが当時ならこれは出版すら危ぶまれただらう。思ひ返せば1984年はアタシが初めて台湾を訪れた年。香港から高雄に入つたのだが中共帰りでリュックには鄧小平文撰や劉少奇選集、新聞などあつて空港で念入りに荷物検査され持込み禁止品扱ひで台北蒋介石空港)で出境の際に渡すといふ措置がとられた時代。台湾ではまだ名目として「光復大陸」が掲げられてゐた。閑話休題 陳澄波の生涯はまさに壮絶なもので(それを書いてしまふとこの本のネタバレになるのでそれは避けるが)それは後世、きちんと残されることには意義あり。だが阿政と方燕によるコード解読(謎解き)があまりにトクマノベルズっぽいのだ。それが悪いとはいはない。それはそれで愛読者がゐて娯楽小説として楽しめれば良い。だが陳澄浪といふ画家につき史実にはないフィクションをかなり盛り込み、こんな読物にするのが何とも気になるところ。ほんとかフィクションかわからないが主人公が自らを「日本国台湾の福建人」と名乗る場面があつた。台湾の漢人系をじつによい言ひ回しだとは思ふが当時なら「大日本帝国台湾の福建人」なのだらう。

あの時代の人たちは、左派か右派かで罪に問われたんじゃない。正義に燃えることこそが罪とされたんだ。正義を追い求めるのは、どの政党を支持しようと結局は独裁者によって亡き者にされたんです。

この言葉は印象に残る。まさに「正義に燃えること」は日本でなど時代とともに消去されてゐる。

【台湾直送】台湾小説/ 陳澄波密碼 台湾版 柯宗明 陳澄波を探して 消された台湾画家の謎 台湾書籍

【皐月賞】ジャスティンミラノ3戦無敗でレコードV「康太が後押ししてくれた」戸崎騎手 |  日刊スポーツ

昨日の皐月賞、先日騎乗中の事故で他界した藤岡康太騎手が調教で鞍上にあつたジャスティンミラノ(2番人気)がコースレコード更新で優勝。76年ぶりの牝馬優勝期待されたレガレイラが1番人気だつたが6着。騎手がドバイで負傷のルメールから北村宏に替はりレガレイラ外してジャスティンミラノを軸にしたまでは予想良かつたがアシに皐月賞好調の横山武騎乗のアーバンシック(4着)とメイショウタバルしんがりで振るはず。この春の競馬は今日まで勝ちなしである。

七会村

辰年三月初七。気温摂氏10.0/26.5度。晴。各地で4月の観測史上最高気温更新。水府など涼しい方で北陸から東北は猛暑。新潟の三条で32.5度を記録し横手や鶴岡など30度超。札幌の気温が水戸と同じ。二ヶ月に一度の通院で定期検診。主治医K先生昨日から発熱で本日休診。非常勤の若い医師がよく対応してくれる。家人と駅ビルで待ち合はせ買ひ物。ビックカメラで選んだ炊飯器在庫なしで注文済ます。通院で朝食抜きだつたので早めの昼食のところ家人が旧七会村(現城里町)の物産センター(山桜)にある蕎麦やに行つてみませうかといふので山の桜を愛でながらのドライブに。七会村ななかいむらは不思議な地名だが明治22年に七つの村合併でこの名前になつたさう(Wiki)。平成17年の合併の前は茨城で最も人口の少ない市町村だつたさう(合併時の人口2,384人)。県境の山越えすると栃木県の茂木町。城里物産センター山桜に到着は11時半前だつたが食堂(蕎麦や)はぎり/\卓につけたがアタシらのあとは行列。

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蕎麦は機械での製麺で天ぷらもサラダ油天ぷらだが蕎麦粉は地元産の良質なもので天ぷらのタネも舞茸やキノコ、ナスや青菜なども新鮮でじつに美味い。売店で野菜や好物のたがね餅など購入。

たがね餅(たがねもち) | にっぽん伝統食図鑑 | 農林水産省

往路で家人に国の登録有形文化財に指定されてゐる「島家住宅」があると教へられ復路でこちらに寄る。

島家住宅主屋 – 茨城県教育委員会

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江戸時代にこの地の庄屋だつた島家の住宅で今でも定期的に「燻蒸くんじょう」と呼ばれる作業が行はれてゐるのだといふ。

城里町 地域おこし協力隊

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こちらの屋敷にあつた便所は数年前に取り壊されたさうで庭に作業者や見学者のためなのだらう簡易トイレがあつたが簡易の極みで、しかも小便器が母屋の前庭の方を向いてゐて、これには何とも……あばらかべっそん。

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テレビ番組「月曜から夜更かし」(録画)で中国広州取材の内容を放送してゐた。「月曜から」の知名度と人気も大したものだが彼らにとつて、この番組の気楽さがどれだけ気休めになるかの証左。取材に応じる広州市民の言語は普通話と広東語が半々。当然だが庶民のそのへんのおっちゃんやおばちゃんほど広州話がにぎやか。

天狗党筑波山挙兵から160年

辰年三月初六。気温摂氏9.1/22.8度。晴。服装はすぐに夏物になりさうだが兎に角、厚手の冬物は仕舞はないといけない。薄手→厚手と出してゆくのは容易だが逆は衣類の整理が面倒。家人が先妣のもつてゐたお守りをまとめてあり神社に返納しようとなる。八幡宮はもう烈公(徳川斉昭)お手植ゑの左近の桜ももう見ごろ過ぎたかも知れないが午後に八幡宮へ。途中、母校の小学校の桜が美しい。母校は今の水戸芸術館のところで移転した場所はかつての水戸の警察学校で当時からの桜のはず。


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すると普段は人通りも少ない金町通りが何だか賑やか。近づくと祭り提灯が並び法被姿の威勢の良い兄さん姉さんたち。八幡宮の春の例大祭が本日。小中と同窓のA君が神輿の社中で取り纏め役で行列は八幡宮に戻る手前、金町通りで休憩中だつたのでA君と暫し歓談。


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神職がご神体の神輿を引き祭り神輿の続く行列が八幡宮に戻ると賑やかになるので先に八幡宮でお守り返納済ませ八幡宮を辞す。八幡宮境内の烈公お手植ゑの桜はもうやはり葉桜。社務所は行列が戻る前で例大祭が済んだあとの酒肴の準備に忙しい。暫くすると遠くまで境内で神輿を担いでゐるのだらう、賑やかな音が聞こえてきた。


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八幡宮から崖下におりて湧き水の豊富な道を歩けば野良猫ミカが出迎へてくれたものだつたが冬前に近くの自動車修理工場にミカは住処を得たやうで最近見かけない。保和苑の谷の紫陽花もずいぶんと芽吹いて葉が青々としてきてもゐる。保和苑の遊園地も桜の花びらが一面に。八幡宮の喧騒がウソのやうにこちらはひっそり。

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保和苑に隣接の(といふかもと/\は保和苑も寺社地)桂岸寺の枝垂れ桜もよろしい。

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桂岸寺の隣はかつての水戸藩常磐共同墓地が広がる。その入口の大きな桜の木の下に整然と並ぶ墓石は水戸殉難志士之墓。元治元年の筑波山挙兵(天狗党の乱)に関はり処刑された尊王攘夷志士の遺体を集め明治3年に埋葬されたのがこちら。元治元年(1964)この挙兵は三月なので旧暦ならちょうど160年前の今頃。今の時代はもう当時の若者たちのやうな政治的な熱意もなにもない。

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この殉難志士之墓で墓守なのかいつも佇んでゐる猫が近くの飼ひ猫の「ふう」ちゃん。いつも殉難志士の墓石に凭つて微睡んでゐる。桂岸寺の境内までが彼の縄張り。とても人懐こく今日も常磐共同墓地に墓参りに来られた長野ナンバーの車の家族にも愛想をうつてみせてゐた。


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八幡宮の春の例大祭の賑やかな騒ぎがこちらまで聞こえてくる。あれはあれで宜からうがアタシは神輿を担いだり騒いだりできないので、こちらのやうな安静とした場所が好き。桂岸寺は「廿三夜尊」と呼ばれるのは旧暦の毎月廿三日が縁日だつたから。子どもの頃は廿三夜尊を略して「三夜尊さんやさん」と愛称で呼んでゐた。三夜尊の参道も今では営業してゐるのは木蘭酒家の一軒だけ。こちらの小菜の小皿料理を肴に青島啤酒をぐい/\煽る。

甲辰年三月初五

気温摂氏9.5/16.3度。晴。昨年、東京国立科学博物館が冷房の電気料金すら工面難しいとクラウドファンディングに訴へ日本の貧困さに唖然としつゝ気持ち程度に寄付。想定超える寄付集まつたが返礼品の対応も難しいほどで約束のそれがやつと届いた。

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礼品は長谷川和範「貝のスケッチ」のキャンバストートバッグ(34×26×10cm) 。松戸の小学5年生(この春6年か)IR君に差し上げると約束してゐたので早速お送りする。

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大谷通訳疑惑で日本のメディアは「紐育タイムズの報道によれば」と盛んに報じているが同紙で電子版にはその報道あるものゝ手許にあつた紙面(NYT Int’l Edition)にはOJシンプソンと曙の訃報はあっても大谷通訳疑惑の報道は今日に限らず全くない。「大谷通訳疑惑に社会性が全くない」という判断か。日本人にとつては日本人の大リーグスター選手が「被害者」でも何せ野球じたがい世界的にはメジャースポーツではない。ならば電子版で良いのかもしれない。通訳さんが刑事訴追されると記事になるかしら。

フランス語と私⑤内田樹「日本人」を一度手放して:朝日新聞

オーラル(会話)中心の語学教育というのが植民地支配の道具だからなんでしょうね。植民地の住民は宗主国民の命令が聴き取れれば十分であってマニュアル以上の複雑な文章を読む能力は要らない。(略)外国語を学ぶとは本来、世界は広いと思い知ること。だから、どこかで一度日本人のものの見方を手放さないといけない。フランス語ならフランス人の宇宙観、時間意識まで入り込まないと意味はわからない。

旧制高校の語学学習といふのは樹先生の仰る、かういふものだつたのだらう。アタシにとつての中国語も「読める」が先行してしまつて聴解、尚更に会話が一向に上手にならなかつた。英語はなにせ語彙力が乏しいまゝなので会話がある程度上達したが。毎年「4月ある/\」でNHKラヂオでフランス語講座を聞き始めた。フランス語、スペイン語はできれば旅行で不自由しない程度の基礎会話くらゐはできるやうになりたいのだが。

キシダ米議会の歓迎に「日本の国会ではこんなすてきな拍手ない」:時事通信 

バカである。同じコメントするにしても苦虫を噛み潰したやうな表情なら一流だし多少の共感も得られる。ジョークが受けて満面の笑み、がバカである。

米議会で演説する岸田文雄首相=11日、華府(AFP時事)

昭和天皇ゆかりの台湾の桜を水府に

辰年三月初四。気温摂氏9.5/16.3度。曇。

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鉢植ゑのハイビスカスは昨年晩秋の剪定が良かつたのか陽当たりよく暖かい室内でかなり蕾もついてこんなに咲き始めた。

昭和天皇ゆかりの桜植樹祭及び記念碑除幕式 | 高橋靖「水戸市長の安心水戸ふるさと日記」

本日、水府でこの桜植樹祭あり。水戸市少年の森。台湾に行くと昭和天皇が大正帝摂政の大正12年にあつた台湾行啓に纏はる史跡(記憶)が少なからず御宿泊所の建物など貴重に遺されてゐたり。昭和天皇訪台に縁りの寒緋桜からの株分けの苗木が靖国神社を最初に日本各地で植樹されてゐるのださう(台北市民が植樹したもので摂政お手植ゑではないのださうだが)。これを推進してゐるのが(財)日台友好桜里帰り文化交流会で現在の代表が原田義昭(元環境相)。統一教会との関係も深く日韓トンネルの事実上の代表もこの方なんだとか。この財団の創設者が加瀬英明(故人)であるから財団の性格も自ずと知れたところ。自民党でいへば岸信介からの流れ。水戸の桜山にある茨城縣護國神社にこそ、といふ植樹だが今回は「水戸市の公的な場所に」といふ発意なのでせう。それなら千波湖畔も桜の植樹には適してゐるが、こちらには水戸と友好交流都市で人口100倍余!の重慶市に纏はる「重慶広場」があつて、そこには「日中不再戦之碑」もあり。これは日中国交回復で自民党田中派から社会党あたりまでをカバーしてゐる。

日中不再戦之碑建立20周年記念式典及び祝賀会 | 高橋靖「水戸市長の安心水戸ふるさと日記」

市長はじめ自民党の先生方がその日中友好と日台友好のいずれをもカバーしてゐることがわかる。間口が広いといふか了見が何とか……といふか。中国側にしたらこれは面白くないのだらうが。

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キッチンにツリガネソウ。

甲辰年三月初三

気温摂氏3.6/17.9度。晴。水戸は東京より温度が数度低い。

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水戸市の厳格なゴミのルールでは硬質のプラスチック製品(リサイクルマークのないもの)は燃えるゴミで出すのだが市の指定の燃えるゴミの袋に入らない場合とか更に細かいルールあり。

燃えるゴミの分け方、出し方の基本ルール - 水戸市HP

この今朝見かけたケースではルール違反ではあつたがゴミ収集してくれたやうだ。

 池澤夏樹(「沖縄」を考える)「代執行」辺野古工事、誰に利が:朝日新聞

どんな迷惑施設を押しつけてもかまわない。基地に慣れているから。沖縄だから。沖縄に対しては普通の人たちが平気でムチャクチャな考え方をする。日本本土の人たちには「沖縄=2級の国土」という意識があると言わざるをえません。

甲辰年三月初二

気温摂氏3.8/14.1度。朝の寒さは二週間前の三月末以来。晴。武田砂鉄『なんかいやな感じ』(講談社)を家人も読んでみると著者と同じ東大和市で育つたので地元の「たなべ文具店」だとか、それでもそちらは四小学区なので一小に在籍の家人にとつては少し遠い芝中団地は七小学区だつたが越境でよく遊んだのださう。それにしてもやはり「なんかいやな感じ」。これが雑誌の連載でればさらっと一読で済むのだらうが単行本なので短編が続くと「なんかいやな感じ」なのかもしれない。

白水社の本棚』2023年冬号だつたかな?外で読み捨てゝしまつたのだけど、そこから「プーチンの戦争、プーチンの身体」池田嘉郎より(以下、要旨)。プーチンを支へるものは何か。「よりよき生活が享受できるようにあった、丸々一つの時代」「プーチンが統べるロシアこそが「ノーマル」なのである」。2000年に総統になつたプーチンにとつて地方領袖跋扈の準無政府状態を何う克服するか。原油価格上昇に転じ中央政府財源増加が有利に作用。ロシアが今だに「人的統合に基づく地方政府支配、合法と非合法の境界線の曖昧」は解消されてゐない現実。プーチンの統治はKGB時代からのノウハウで今でも「優れて人治的、パーソナル」である。統治がパーソナルといふことは「任期がないといふこと」。ロシアの政治が「個人の統合によって成り立っていーる」こと。プーチンは「個人」なのか?もはやプーチンプーチンといふ国家機関、国家装置なのではないか?と思へた。習近平はその域には達してゐない。

今日の朝日新聞朝刊の特集「「日本人」を決めるのは」が面白かつた。

日本の多くの人が抱く日本人像は、なお「純粋な日本人」にほぼとどまっています。(略)明らかに重視しているのが血統です。(略)ここでいう「血統」は生物学的概念というより「血統意識」に過ぎません。日本列島には有史後も様々な人が渡来し混合したので純粋な日本民族なるものは存在しない。本質的な「日本文化」を定義することも不可能です。でも、多くの日本人はこの国にいる人々の多様な背景を見ないことにしているかのようです。福岡安則(社会学埼玉大学名誉教授)

所詮、無いもの強請り。何でも良いのだけど何か自分が落ち着ける胎内のやうなものがあれば良くて、それが「日本」といふ、吉本隆明的にいへば「共同幻想」そのもの。自立できない奴らが「良らば大樹のかげ」結果的には「死なば諸共」的な、結果的には自民党に鳩まるしかない思考力ゼロで「日本」に縋る。烏合なので何か象徴がほしい。そこに打つて付けなのが「天皇」なるもの。「何だかよくわからない」が象徴には最適で昭和、平成に今上までご人格でも宜からう。なので、それを肖る。あまりの節操なし。王の首を刎ねるやうな市民革命が生じたことがない思慮浅き国民国家。我が国はあまりにさま/\な意味で「畏れ」に欠ける。