『うさぎ幻化行』

うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)

うさぎ幻化行 (創元クライム・クラブ)

北森鴻さんの遺作になってしまった作品です。
音響技術者だった義兄が死に、彼に「うさぎ」と呼ばれた義妹が、彼の残した「遺書」である「日本の音100選」の謎を巡る旅に出る、というお話です。
何というか、読んでいるうちに、どんどん不思議な世界に迷い込んでいくような印象を受ける作品でした。
ただ亡くなった人を悼むだけのお話かと思ったら、最後には意外な真相が見えてきて、きちんとミステリになっているのは、さすがという所。

北森鴻さんについては、たぶん、初めてリアルタイムで好きな作家さんが亡くなるニュースを見たと思います。
もっともっと「冬狐堂シリーズ」と「蓮丈那智フィールドファイルシリーズ」を読みたかったです。
彼の死が、悔やまれてなりません。

 『謎解きはディナーのあとで』

謎解きはディナーのあとで

謎解きはディナーのあとで

雑誌の広告を読んで、超毒舌執事が出てくるらしいという点に反応し、ついつい読んでしまいました。


結論から言うと、期待が大きかっただけに、あまり萌えられず少し残念でした。
まず、執事が30代なんて若すぎる!
これについては、私の中の理想の執事像=諏訪野*1なので、まあ仕方がないといえば仕方がないのですが。
あと、お嬢様の口調が軽すぎ!お嬢様たるもの、悪態をつくなんてもってのほか。常にどっしりと優雅に構えていなければ。
更に更に、執事の毒舌ぶりが、何というか、中途半端……。
どうせ毒舌を吐くのであれば、もっともっと、常に毒舌でいてほしかったです。
決め台詞だけ毒舌で、後はそれ程でもないし、たま〜にわざとらしくお嬢様を持ち上げるような台詞を言うし。
あと、事件の謎も、それほど意外性がなく、詰めが甘くて軽い印象を受けました。
まあ、連作短編集なので、重厚な本格ミステリを期待する方が間違っているので、これについては仕方がないのでしょう。

色々と書いてしまいましたが、これは私の期待が大きかったので少し酷評気味になっているだけであって、疲れている時の軽い読書には丁度良いと思います。

*1:森博嗣著「S&Mシリーズ」を参照のこと。

 『脳天気にもホドがある。 燃えドラ夫婦のリハビリ日記』

脳天気にもホドがある。 ―燃えドラ夫婦のリハビリ日記

脳天気にもホドがある。 ―燃えドラ夫婦のリハビリ日記

近所の書店を数軒巡り、目を皿のようにして探すも全然見あたらないので、しびれを切らしてネットで買ってしまいました。
終始「なまもの!日記」と同じ調子で書かれており、大変読みやすく、あっという間に読了。
最近プロ野球には全然興味がないので、その点ではあまり共感できなくて少しだけ残念でした。

今の仕事の関係で、大矢さんの旦那さんと同じように若くして脳出血脳梗塞で倒れて後遺症が残り、介護サービスを利用している人を何人か見ているので、(主に制度面で)何ヵ所もあるある!と思いました。
障害者関係の制度って、自治体ごとの違いが意外と大きいのかも知れないですね。

 『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』

今期のアニメについては、iPod touchを導入したこともあり、何作品かリアルタイムで見ているのですが、その中でもやはり「俺の妹がこんなに可愛いわけがない」はいいですね。
最初は主人公が非オタの設定なのに、妙にオタクワードに詳しくないか?等と邪推していたのですが、もう、それもどうでもいい感じです。
黒猫かわいいよ黒猫。
桐乃はそろそろデレてもいいと思います。
沙織・バジーナ、予想通りw

あまりにも気になりすぎて、ついに今出ている原作7巻を大人買いして読んでしまいました。
原作では、1,2巻くらいまでちゃんと兄が非オタ設定で何だかほっとしました。
amazonのレビューでも書かれていましたが、確かに、1,2巻はたいしたことがなくて、3巻くらいから一気に面白くなる感じでしたね。5巻くらいからは、展開が早過ぎて付いていけないくらいでしたが、それはそれでアリかと。
最近、麻奈実が空気過ぎて少し可哀相ですが。
もう、麻奈実ルート復活はないのでしょうか?地味子、地味に可愛いのに。


今は、原作のどの部分でアニメが終わるのか気になります。
……5巻くらいですかね?

 『サクリファイス』『エデン』

サクリファイス

サクリファイス

エデン

エデン

サクリファイス』と『エデン』は、白石誓という1人の自転車レーサーを主人公とした作品です。
このシリーズ、何が凄いって、事件もさることながら、読むと自転車ロードレースがとっても分かりやすく理解でき、素人でも楽しめるという点なんですね。
私、自転車ロードレースなんて全然分かりませんでしたが、2作品とも、かなり楽しめました。
第1作の『サクリファイス』は、日本のあるプロ自転車チームを舞台としたミステリでして、読み終わった後にタイトルの意味がズッシリと来る感じでした。
第2作の『エデン』は、自転車レーサー達の憧れツール・ド・フランスを舞台にしていまして、事件も重要ですが、それ以上にレースの展開が気になる作品でした。
どちらも、事件のきっかけはスポーツマンならば必ず付きまとう「ある問題」でして……。
プロスポーツって、本当に大変です。
そして、人間の業は深い。


どちらの作品も大変面白く読めますし、読み終わった後は自転車ロードレースに興味が湧くこと請け合いです。
私も、地上波でツール・ド・フランスの放映があったら見たいかも……くらいは思いましたから。

 『ベベ・ベネット、死体を発見』

ベベ・ベネット、死体を発見 (創元推理文庫)

ベベ・ベネット、死体を発見 (創元推理文庫)

1964年のニューヨークを舞台にした、キュートなミステリ。
主人公のファッションも楽しく、当時のニューヨークの様子が生き生きと描かれています。
個人的には、主人公が恋している上司はいけ好かない奴に見えました……。
そのうち、白馬の王子様が現れて主人公をかっさらって行くことに期待ですね。

『夢見る黄金地球儀』

夢見る黄金地球儀 (創元推理文庫)

夢見る黄金地球儀 (創元推理文庫)

1つだけいい訳させていただきたい。
公務員はそんなに悪い奴ばかりじゃないぞ!
ていうか、そんなに悪いこと出来ないぞ……。