雑駁記——藤沢図案制作所——

ざっぱく【雑駁】(名・形動) 雑然としていて、まとまりのないさま。「_な知識」「文明の_なるを知らず、其動くを知らず」〈文明論之概略諭吉〉

河童(習作)

芥川龍之介の描く河童の絵が何点か残されている。
墨絵で屏風に描かれたものもあるようだ。
実物を見たことはないけれど、筆さばきは達者に見える。

 

一般にイメージされている河童とは少し違った印象で、痩せぎすで「童」感もあまりないそれは、僕には餓鬼を、それも諸星大二郎の「暗黒神話」に出てくる餓鬼を連想させる。
その独特のフォルムによる河童は、小説「河童」はもとより、芥川研究などの関連本の装丁に使われることも多い。
「芥川の河童」は、言ってみれば、手塚治虫にとってのヒョウタンツギみたいなものかもしれない(違うか)。

没後五十年に東出版から刊行された「河童」

何年か前のこと。
この「芥川の河童」を立体に、フィギュアにしてる人とかいないかと思って何気なく検索してみた。意外なことにひとつもヒットしなかった。
河童の立体作品はもちろんたくさんある。けれど、「芥川の河童」はなかった。ついでに言うと、小島功氏による「黄桜の河童」の立体作品も見つけられなかった。
誰か作ればいいのに。
誰か作ればいいのだけれど、誰も作らないようだから、そのうちいつか自分で作ってみようかなあ、そんなふうに何年か思っていたのを、ひとつ形にしてみることにしたのだった。

 

「芥川の河童」は、墨絵のほとんどシルエットのようなものだ。解釈を入れる余地はいくらでもある。頭の皿のまわりがギザギザで、目が大きく鋭くて、痩せてれば、あとはやりたい放題だ。図像以外の設定は小説を参照すればいいじゃないか。

 

「芥川の河童」の世界は、水の中で暮らしてるわけでもないし、背中に甲羅も背負ってなければ、人間の尻子玉を抜くこともない。生物としての設定にもさほど重きを置かれていない。

小説「河童」で、河童の外見について描かれているところを青空文庫から抜粋する。

頭に短い毛のあるのは勿論、手足に水掻きのついてゐることも「水虎考略」などに出てゐるのと著しい違ひはありません。身長もざつと一メエトルを越えるか越えぬ位でせう。(中略)それから頭のまん中には楕円形の皿があり、その又皿は年齢により、だんだん固さを加へるやうです。(中略)しかし一番不思議なのは河童の皮膚の色のことでせう。河童は我々人間のやうに一定の皮膚の色を持つてゐません。何でもその周囲の色と同じ色に変つてしまふ、――たとへば草の中にゐる時には草のやうに緑色に変り、岩の上にゐる時には岩のやうに灰色に変るのです。これは勿論河童に限らず、カメレオンにもあることです。或は河童は皮膚組織の上に何かカメレオンに近い所を持つてゐるのかも知れません。僕はこの事実を発見した時、西国の河童は緑色であり、東北の河童は赤いと云ふ民俗学上の記録を思ひ出しました。(中略)河童は皮膚の下に余程厚い脂肪を持つてゐると見え、この地下の国の温度は比較的低いのにも関らず、(平均華氏五十度前後です。)着物と云ふものを知らずにゐるのです。勿論どの河童も目金をかけたり、巻煙草の箱を携へたり、金入れを持つたりはしてゐるのでせう。しかし河童はカンガルウのやうに腹に袋を持つてゐますから、それ等のものをしまふ時にも格別不便はしないのです。


微妙に、墨絵の河童とは違いもある。
それから、気になったのは「腹に袋」を持っているというところだ。腹に袋…かっこ悪くないかあ?どうしたものか考えた末、今回はうっかりすることにした。

 

 

ともかく手を動かすことにして、頭だけの小さな試作品をこしらえてみた。
「頭に短い毛」と書かれているので、皿の周りは安い筆かドール用の髪でも使えばいいやと思ってたが、墨絵のザクザク感が上手く出せないので紙を使った。
自分としてはこれは「短い毛」ではなく、頭部のみに残った鱗が長く延びたもの、と今のところはそう解釈している。

試作1号。手のひらサイズの試作を作っただけで、実制作をはじめた。

当初は水に浸かってるつもりにしたかったので半身のトルソーとして作ることにした。
サイズは40cmくらい?なにせ、こんな大きさの立体物をイチから作ったことなどないので、先の全く見えない作業だった。
芯には主に段ボールを使って、部分的にスタイロフォームも。そこに粘土をくっつけて形を決めていくことにした。

 

いちど頭は作ったので、こんな感じで行けるかな、と思ってたのだが、なんか気になってきて…

眼が、ねえ。

なんかフロントビュー、って感じで、これじゃ「目玉」じゃないよなあ。

ということで、目玉が収まりそうな頭に作りかえることにして、もういちど、小さい試作を作ってみた。
このとき、指を4本にすることにした。
墨絵を見ると、おそらく3本なのだが、それじゃ妖怪人間だしなあとか、逆に表情つけにくいかもなあとか、考えた末の4本。

試作2号。下の木(作業用)が一辺9cmくらい。フィギュアならこれくらいのサイズが適当かも。

 

目玉にボールを使ったら、想定より大きかった。

なんかカマキリみたい。ホントに河童になるのだろうか?

ここからはひたすら粘土をつけたり削ったりの繰り返し。
肋骨は作ってるうちに表現したくなった。前述した「暗黒神話の餓鬼」のイメージからのもので、芥川とは関係ないし、はじめは特に骨格を意識してなかったこともあり、正直なところ辻褄が合っていないと思う。

人体じゃないし、妖怪だし、細かいことはいいじゃないかと自分に言い聞かせて進めていった。

 

爪も当初はもっと長いつもりだったけれど、それじゃ握りにくいしとか考えてるうちに人間のお姉ちゃんのネイルでもありそうなくらいの長さに落ち着いた。
水掻きは不織布をベースに作った。

腕も少し短くした。

おそらく釣竿がわりの麦だか稲穂だかを持ったポーズにした。
握った右手に力が込められすぎてるのが気になるけれど、ここを直すとさすがに間に合わなくなる。作品タイトルに「習作」をつけることに決めたのはこのあたり。

仕上げ塗装もどうしたものかと考えていた。
小説では、カメレオンのように周囲に合わせて色を変えるとあったので、複数作るならグリーン系、赤系とか塗り分けてもいいけれど…とか、このサイズでフィギュア的な塗装をするのもどうだろうとか、もとは墨絵なんだから黒一色はどうかとか、いろいろ考えてるいちに、ブロンズっぽく仕上げてみようと思い至った。

試作1号で塗装のお稽古。試作を作っておいてよかった。

形が出来上がったら、黒ジェッソで下地塗り。

手にしてる稲穂は造花を流用。葉っぱはケント紙。

 

 

ベース色としてグリーンを塗ったら、全体を茶系の黒でウォッシング。
なんだかソ連戦車のプラモデルの塗装をしているみたいだ。
完成品は、5月18日まで、ペーパーボイス大阪でご覧ください。

 



芥川龍之介 「河童」

 

「どうか Kappa と発音してください」

 

 

「かわわらわ」「かわわっぱ」もしくは「河太郎」などなど、Wikipediaによると、芥川龍之介の小説によってKappaという呼び方が広まったとのことで、それまでは各地でさまざまに呼ばれていたらしい。

 

芥川の小説「河童」はその短いキャリアの最晩年にあたる時期に書かれた。

彼にしては比較的長い小説で、河童の世界に紛れこんだ男を通して、人間世界を風刺する内容。

取り上げられたテーマやその切り口は、晩年の芥川作品に共通する厭世的なものもあるとはいえ、河童というキャラクター性にもよるのか、個人的には他の作品とは違う、カラっとした明るさも感じる。

ショートショートにも満たない短いエピソードを重ねた、言ってみれば一話完結の短編集みたいなもので、芥川も「あんなのはいくらでも書ける」と誰やら宛の書簡に書いていたそうな。

だったら自殺なんかせずに、爺さんになるまで書き続ければよかったのに、とちょっと思ってしまう。

谷崎潤一郎 「攝陽随筆」

読んでいない本が何冊も積まれているにもかかわらず、この夏は谷崎潤一郎の「卍」と「春琴抄」を再読していた。特になにか事情があったわけでもなく、何となしに頁をくっているうちにまた読んでいた程度のことだ。
とはいえ「卍」は印象を新たにしたし(正直なところ、登場人物がどいつもこいつも碌なものじゃない)、「春琴抄」はせっかく日本語を解する以上、一度は読んでみても損はしないのではないかとあらためて思わされたし、これはこれで有益な読書体験ではあった。

 

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そんなふうに何となく谷崎を読むのが続いたので、勢いを買って、積んでいた本の一冊「攝陽随筆」の表紙を開くことにした。随分と前に購入して、収録されているもののうち短い数編は読んでいたのだけれど、おそらく目玉と言って良いであろう「陰翳禮讃」はじめ、長いものは全く読んでいなかった。
「攝陽」というのは伊丹の辺りのことを呼ぶようだが、年譜を見ても谷崎が摂陽に住んだ記述は見られないのに、なんでこの題名にしたのかわからない。ざっくりと「関西に住まうようになってから書いた随筆」と解釈している。

 

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この本を僕が読もうとしなかったのは、旧仮名遣い/旧字体を追うのが億劫だったのと、おそらくはその文字組みにあったのではないか、そして、なぜ突然に読み出したかというと、その文字組みにようやく慣れたからではないかと思う。
明朝体(書体まではわからない)で、級数表を当ててみると(まだそんなものを持っているのだ)、15級(5号活字)、字送り22、行送り15(全角)と、特に字間/字送りのとりかたが今日の感覚で見ると独特なゆったり感が感じられないだろうか。
くわえて、句読点やカッコが、その広めにとった字間のアキに収められていることと、改行の全角アキがない。そのため、頁を開くと全面に均等に文字が載っていることになるわけで、こうして組まれた文字の持つ読むテンポみたいなものが、なかなか掴めなかったのだ。

 

ところで、句読点やカッコは一文字あつかい、改行の一文字めはあける、というのは日本語を書く際に昔から決まっていたことではなく、明治以降、活字で印刷するようになってから、紆余曲折を経て現在のルールに落ち着いたもののようだ。
さすがに「攝陽随筆」が刊行された昭和10年頃には、今と同じルールが定着していたはずだけれど、この本のみならず、谷崎は意図的にこれらのルールに倣わないことがある(それこそ「春琴抄」がそうだ。加えて初版本はひらがなの使い方も独特なので実に読みにくい)。
こうしたルール破りによって、刊行当時においても、ひと時代前の感じ/物語の舞台となっている時代の雰囲気を狙っていたのではないかと思うのだけれど、どうなんでしょうね。

 

収録されているのは、順に、陰翳禮讃/春琴抄後語/裝釘漫談/文房具漫談/直木君の歷史小說について/東京をおもふ/私の貧乏物語/大阪の藝人/半袖ものがたり 。
このうち、「陰翳禮讃」「直木君の歷史小說について」「東京をおもふ」の3編が長く、ほかは短い時間で読めるような軽い内容のものだ。
とは言え、前記の長い3編もけっこう楽しく読める。「陰翳禮讃」だって、妙に神格化されている節もあるけれど、いざ読んでみると、さほど「日本文化とは」などと大上段に構えてるわけでもない。

 

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画像は「東京をおもふ」の一部。
なんでこの頁を撮ったかというと、「キネマ旬報」が発足当時は「まだ淋しかつた夙川の土手の松並木の下にあつた」という記述が気になったので。
キネ旬が夙川のどの辺りなのか知りたくて以前に調べたのだけれど、未だわからず。当然ながら、夙川沿いには「キネマ旬報発祥の地」のような碑もない。今となっては、ご存知の方はいらっしゃらないのだろうか。

2019 書き初め・確定申告

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数年前から年初に書き初めをするようにしている。

僕はとにかく字が下手なので、厄年の時分に、四十の手習いではないけれど、習字を習いたいとさえ考えたこともあった。あったけれど、なにしろ出無精なので、けっきょく未だに習いには行ってはいない。

というわけで、ギターやイラスト同様、誰に習うということもなくおうちでひとり、我流でぽつりぽつりとやっている有様だ。

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小学1年生のとき、一年間だけ習字教室に通ったことがあった。

そのときは自分から行きたいと言って通ったのではないため、実に嫌で嫌でたまらなかった。

いやいややってて上達するわけもなく、上達しないから続けても面白くない。一年続けても基本的な筆の使い方すらわからない始末だった。

右払い(例えば「人」の字の右側の足のほうですね)の筆の捌き方なんて、30年以上ずーっとわからなかった。

平筆ならまだしも、断面の丸い書道用の筆でなんであんなエッジがつけられるのか、さっぱりわからないままだった。「こうじゃないかな」と、自分なりに右払いができるようになったのはつい2、3年前のことだ。

下の「健」も「康」も、いずれも右払いがある。まあ、言っても自分の筆使いなどまだこんなもんだ。

 

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書き初めのお題は、その年の干支と、軽〜い年頭所感。今年はさすがに「健康」以外は無いと思う。

はじめは「健康第一」で考えてたのだけれど、最後を「一」で締めるのが上手く行かなくて「健康」にしたのだった。

今更になって書き初めというのも何だけれど(「健康」は1月に、「己亥」は先日あらためて書いた)、まあ桜が咲く前に済ませられて良かった。そう考えるようにしよう。

 

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済ませたと言えば、確定申告も一昨日済ませた。

毎年申告書を税務署に持って行ってたのだけれど、今年は計算が終わったらe-Taxでそのまま送信。

確定申告って年々簡単になってる感じがしてるのだが、それでも今年はあんまり簡単に済んでしまったので(それどころかスマホからも確定申告できるんだと。どうやってやるのかはなんか怖いから確認してないけど)、本当にこれで大丈夫なのかちょっと不安だ。

なにしろこれまでのように支払調書や控除証明書を貼り付けるのも無しなのだ。これはさすがに心配になったので、別途提出する必要はないのか、税務署に問い合わせたら、その必要はないとの回答だった。とりあえず確認はとれたけれど、心の底ではまだちょっと信じてない。

書き初め終えて、確定申告終えて、あとは内視鏡検査が終われば、自分にとってようやく2019年が始まる気がする。

いいかげん完成させよう

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本やら楽器やらなんやかやと、いつの頃からか、自室はすっかり魔窟となっている。

そうした中でもかなりのスペースを占めているのが、ストック&未完成の模型たちだ。

自らへの戒めとして、とりあえず制作途中&未完成のAFV(つまりそれ以外もあるのだが)を列挙してみる。予め断っておくが、長いだけで、読んでも何も得るものはないと思う。

まずは基本塗装までは済ませて、比較的完成に近い、というか、あと一つ何かが足りないまま放置されているものたち。向かって右からタミヤのM51スーパーシャーマン。イスラエル軍の戦車だそうな。シナイグレイという謎の色に惑わされるも、まあいいやと適当に調色して基本塗装を完了。さすがのタミヤ、組みやすくていいキット。長い砲身もかっこいい。

次にモノクロームというメーカーの陸上自衛隊 96式装輪装甲車A型。ガラス窓が何箇所かあるのだが、マスキングテープを貼ったまま何年たっただろう。これなんて本当にあと一息なんだけど、車体正面にあるナンバープレート

(この角度では見えない)を失くしてしまって、なんか手が止まったままである。そんなもんとっとと自作すればいいんだけど。

隣のいちばん奥の戦車はVMというメーカーのバレンタイン。第二次大戦中のイギリス戦車だ。VMというのはロシアだかそのあたりのメーカーで、10数年前はバレンタインのキットはこれくらいしかなかったけれど、タミヤからバレンタインが出た以上、よっぽどのマニアでない限り、このキットの価値は無いだろう。汚し塗装のきっかけが見つからないまま、数年放置している。

この写真最後はタミヤのデザートシボレー。こちらも第二次大戦中のイギリス軍の車両。ボンネットまわりの形状がレトロ感あって戦車に興味なくても興味をそそるのではないかと思う。古いけれどたぶん人気のキット。フィギュアもいい感じなのだが、ハンドルを握らせるのがめんどくさくてこの状態で数年放置している。

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大戦中のドイツの4号戦車が3つ。向かって右からトライスターのD型、グンゼ産業のG型、ドラゴンのH型。

トライスターのD型は発売してすぐに手をつけた筈で、ということは何年たったのか。嫌な気分になりそうなので確認はしないでおこう。このキット、こだわりとやりすぎを履き違えたような細かいパーツ割の部品が多く、それがかえって模型としての精度を落としていて、組みながらなんだか悲しくなったことを思い出した。それと、なにしろ履帯がお話にならないダルさで、ここには写ってないけど、モデルカステンの履帯を履かせることになったのだった。

G型はアフリカものに仕上げたいんだと思う。これはちょこちょことディテールに手を加えているようだ。って書き方がいやに他人事っぽいのだが、なにしろ昔のことなので、作っている当時、何考えていたか覚えていないことが多いのだ。これに限ったことではないのだが、久々にいじくっていると「あれ、こんなこともしてたの?」と過去の自分がやっていたことに驚かされることもしばしばである。

ドラゴンのH型はこの中ではもっとも新しいキットということもあって、細かいところもよくできたキット。車体後部のワイヤーロープをひっかけるL字型のフックが折れたので、そこを真鍮線に替えた以外はストレート組み。細引きの迷彩塗装が施された完成像が僕の脳裏には浮かんでいるのだが、だったらさっさとやれよという話である。

個人的には4号戦車は短砲身の方がかっこいいと思う。

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ドイツ、3号戦車のB型…だったか、ソブリン2000というメーカーのレジンキット。今なら絶対に手を出さないような販売価格だったと思う。これが出た当時は3号B型のインジェクションキット(いわゆる普通のプラモデル)は無かったのだけれど、今はミニアートから出ているようだ。

レジン製のキットはサーフェイサーなどの塗装前の下処理が面倒なので(プラキットの場合、僕はサフ吹きをやらないこともよくある)、塗装までのハードルがどうしても高くなってしまう。

このキット、基本パーツはレジンで、細かい部品はメタルパーツなのだが、車外装備品はタミヤなどのプラパーツを流用しようと思う。そんなふうに組み立て途中でいろんな素材が混じるのはなんだか楽しい。

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またドイツの戦車。向かって右からパンターD型、パンターA型、E-100。いずれもドラゴン製。

パンターのD型とA型、とくにA型は、これをきっかけに模型メーカーとしてのドラゴンのクオリティがぐーんと上がった記念碑的なキット(てことは結構年月が経っているということだが)。先の4号H型もこれらパンターのいいところを引き継いでいる感じである。

その後、ドラゴンを筆頭に、プラモデルは細部の精度が上がり、細かいパーツが増え、エッチングパーツなどの異素材もあらかじめ用意され、そのため価格は高騰した。加えて、発売される車種も、「○年○月のどこやらの戦いの戦場写真に写っている車両のキット化」とか、図面だけの計画車両とか、やたらマニアックなものとなり、休日にちょっとプラモデルでも、といった人にとってはどこから手を出していいのかわからない、甚だ敷居の高いものとなっていく。

閑話休題パンターA型の格子状のツィメリットコーティングはリキテックスモデリングペーストやパステルやとの粉などをぐちゃぐちゃに混ぜて作った謎素材を塗りつけた。僕はもちろん本物のコーティングを見たことなどないけど、コンクリートっぽい質感としては、けっこういい感じじゃないかと思っている。

E-100というのは完成車両は実在しない、計画車両のはず。超重戦車というカテゴリになるそうで、でかい以外に取り柄はない。実際に試作まで進んだ超重戦車にマウスというのがあるが(未組立)、それよりこっちの方がかっこいいと思う。車体と砲塔の開発にズレがあって、それが塗装の工程に出てしまった、という想定でこんな色にしている。

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右はドイツの無線装甲車Sd Kfz 223。「スダコフツ」と読むのは嘘。タミヤ製キット。これ、ものっすごく手をいれた挙句、息切れしてしまった。2010年の冬の時点ですでにこの状態で、そこからほとんど進んでいない。そうこうするうちに他メーカーからもっとディテールの細かいキットが出た始末。ここまではけっこう頑張ったんで、完成させたいのだが。 

左はフランスのソミュア。エレールというメーカーのなかなか難儀なキットで、以前に途中経過をアップしている。それが4年前のこと。当時も書いたけど、こちらもタミヤからずっと出来のいいものが出ているので、ソミュア組むならそっちの方が絶対いい。ガールズパンツァーがらみでエレール製キットのパケ換えが出てるようだが、ちょっとそれは酷い商売だなと思う。

ここまでが1/35スケールキットたち。

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 こちら2つは1/48スケール。

左のタイガー1初期型は台湾のスカイボウ製で日本ではまずオクノというブランドで発売されたものだが、今はAFVクラブから出ているらしい。今でも買えるかどうかは知らない。タミヤが1/48スケールのシリーズを始めて、何社かがそれに続いて同スケールのキットを出したことがあって、これもそのひとつなのだが、シリーズ当初のタミヤはなぜかシャーシをダイキャスト製にしていて、そのためだけに瞬間接着剤を使わなくてはいけないという謎仕様だったところ、シャーシまでプラ製のタイガーということで、それなりに価値はあったと思う。キット自体もすごく良く出来てて、もちろんタミヤのキットも素晴らしいと思うけど、出来の良さも含め、1/48からプラモ始めるならこちらの方が初心者には作りやすいのではないだろうか。

隣は4号戦車H型。バンダイ製。知らない人は知らないだろうが、かつてバンダイは1/48でミリタリーもののシリーズを出していたのだった。かなり昔のことで、キット自体もそれ相応の完成度だけれど(とくにフィギュアはなんとも)、もし子供のころこれに出会ってたら、けっこう感動して作ってたと思う。実はタミヤの4号H型は完成させたものがあって、それと並べてみたい、というだけで手をつけはじめたので、どうにも完成までのモチベーションを保ちづらく、現状放置となっている。

 

ただただ未完成品を並べただけでこんなにクソ長くなってしまった。

こんなの最後まで読む人いるのだろうか?もしいらっしゃったらごめんなさい。

最後に完成品をひとつ。

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タミヤのちびコロレーサー、フェラーリ246P。2002年に梅田のLOFTでタミヤフェアが開催されたときに、タミヤ黎明期のキットを復刻、ということで購入したもの。ちなみに同シリーズのロータス30も同時に購入。

ノンスケールだけどドライバーは1/35っぽい。写真じゃよくわからないけれど、初めてクリア塗装→研ぎ出しをやってみた。と言うか、研ぎ出しの練習のためにこれを作った。そのため、さんざん迷ったあげく無改造。こんなのディテールアップまでやったら絶対完成しないと思う。でも検索するとすごいディテールアップやってる人もいる。塗装技術も含め、カーモデラーの人ってつくづくすごいと思う。で、クリア研ぎ出し初心者の仕事なのだが、一部クリア塗装にヒビが入ってしまった。また、風防も薄くしたときにヒビ割れしてしまった。

これ、復刻版ということだが、プラの質も当時のものに合わせたのだろうか?とくにクリアパーツの質感がなんか違うように感じた。ヒビ割れさせた言い訳ではないけれど。

 

はい、以上です。