クレイジー・ストーン 疯狂的石头

http://ent.sina.com.cn/f/m/fkdst/

 2006年、大陸で一番評判が良かった映画、だと聞きました。本当かな?随分前に買っておいたのですが、忙しくて積んでいたのですが、ようやく見ました。

 あらすじはこんな感じ。*1

 重慶の今にも倒産しそうな工芸品工場で、古い工房の取り壊し中に、便所から値打ち物の翡翠が発見された。工場長は展覧会を開き金を稼ぐと同時に、翡翠を高値で売り払うことを考えていた。その時、期せずして、国際的大泥棒マイクと現地の道兄貴をボスとするこそ泥三人組の二組の賊が翡翠に目をつけた。互いに激しく牽制しつつも、己の「プロの技」を用いて翡翠を狙う。それに対するのは、工芸品工房の警備課長・包世宏である。
 宝石をめぐるどたばた劇の後に、物語はブラックユーモアに満ちた結末を迎える。。。

 で、評判になったのもわかるぜ、おもしれーじゃないか、というのが感想であります。
 冒頭で象徴的ですが、映画の登場人物のそれぞれのふとした行動がまったく意図せず他の人物に影響を与えるというもの。彼らの運命は密接に関係し合っているのだけど、それに誰も気づいていないという関係性が面白いです。この「運命のいたずら」的な関係は映画の頭からしっぽまで貫通するテーマで、それらを俯瞰してのぞきみる観客として爆笑しつつ、せつなさをたっぷりと味あわせていただきました。

 他にもそんなに洗練されているわけではないけど、早いカット回しもなかなかいいし、俳優も味があるし、四川・河北・山東などのコテコテ方言も楽しかったりします。

 かなりおすすめ。★★★★☆。

*1:上記サイトのあらすじを強引に意訳したもの。いや、最初は普通に訳していたのだけど、翻訳ソフト以下の最悪な訳になったため、ごまかしてしまった。。。

落葉帰根

http://yule.sohu.com/s2006/luoye/

深圳 ちょー久々に映画館で見ました。笑って泣ける中国コメディというふれこみ。ストーリーは、深圳の出稼ぎ農民が「おまえが死んだら遺体は必ず故郷に送ってやる」という約束を果たすため、えんえんと旅をし、いろんな人と出会う、というもの。変な人と出会い、笑いと泣きを巻き起こすわけで、すげーオーソドックスな映画であるといえましょう。
 1時間50分程度の上映時間で長くもないのですが、おいらが気が短いこともあって、ちょっと退屈になったところもありました。しかし、ドリフなみのわかりやすいギャグとわかりやすい泣かせはそれなりにうまく出来ていた印象です。どこかで見たことのあるようなエピソードばかりですが、農民工とか売血とかなんかうっすらと社会背景が浮き出てくるように見えるのは、中国のきっつい現実が背景にあるからでしょうね。それと主演の趙本山が本当にいい顔をしていて、このおっさんが死体を背負って四川の山道を歩いているだけで絵になります。あ、あと、田舎者の貧乏人ばかり出てくるので、いろんな方言が聞けるのもいいかも。

★★★★☆。

大学ではびこるマルチ商法

http://www.moe.edu.cn/edoas/website18/info23435.htm

 非合法な「传销」を取り締まれ、とのこと。「传销」って知らない単語だったのですが、どうやら連鎖商法の訳でいわゆるマルチの模様。上半期に、大学生に関連する案件が8件ということで多いのか少ないのかいまいちよくわからないけど。。。

女子生徒のホステス実習

http://news.sohu.com/20061128/n246673410.shtml

 桂林市舞蹈中等职业学校(日本の職業高校に相当)の女子生徒が入学の半年後に研修名目で杭州に送り出された。舞台に立てて給料ももらえるというふれこみだったが、実際はバーで水着姿でのホステス業だった。速攻マスコミにばれてご用となったみたい。学校の理事長は「貧乏な子のために手助けしただけだよ」とうそぶいたとか(http://news.sohu.com/20061126/n246618886.shtml)。にしても、15,6歳の女子に水着でホステスさせるとはちとやりすぎというか、客もロリコンすぎというか。
 黄守洲のBlog(http://www.blogchina.com/new/display/192426.html)では、他の事例が紹介されています。「職業学校の先生が、学生から仕事の紹介料をふんだくり、そのうえで就職斡旋業者に生徒を売りさばいていた」とか、「女子研修社員に性的関係を強要した」とか。「職歴がないと就職が厳しい」状況下で、学生の研修の希望が多いため、企業が好き放題やっているという印象。中国の最低賃金が上がってきたため、その抜け道として研修が利用されていることも多々あるのだとか。中国の経済発展とはうらはらに若者とその親の悩みは深まるばかりであります。

新卒の増加と就職問題

 人民日報(http://finance.people.com.cn/GB/71364/5101484.html)の記事がちと詳しめであります。今年度の大学卒業生は495万人、前年度比で82万人増とのこと。2006年も「就職難」の話題がわいわい盛り上がっていましたが、2007年は一層厳しくなるみたいですね。政府もいろいろ対策をしているとのことで、西部貧困地区への派遣教師事業、海外への中国語教師派遣など就職機会を創造しているとのお話。しかし「大学定員多すぎ増えすぎ。ちとしぼれ」という昨今中国メディアで見かける主張に関してはだんまり。大学の経営や進学希望者のニーズを考えると対応は難しいところなのでしょうか。ただダメ大学の乱立や定員の大幅超過など、大学教育の質の低下に対して何らかのアクションはあるべきかと思います。謎のサイバー大学なんぞを認可してしまった国の民が言うべきことじゃないかもしれないけど。
 面白かった話題を箇条書き。
・大学の「卒業後進路の統計ごまかし」
・就職したくても職歴がないと難しいし、かといって研修にいくと、給料をもらうどころか、学生側が金払ったり物送ったりとかとえらくシビアなんですけど。
・「就職説明会に行ったら企業のPRだけで全然募集なかったりするんですけど」
・質問「大卒が養豚の仕事など学識を活かせない仕事につく例があるようだが、どのようにお考えか?」返答「養豚の何が悪いのだ。先進的な発想で養豚の現場を改革すればすばらしい」

教育部11月月例記者会見(教育部2006年第11次例行新闻发布会)

http://www.moe.edu.cn/edoas/website18/info23423.htm

 28日に、教育部の月例記者会見がありました。いくつか面白い話題があったので、ピックアップ。

天津大学、株取引で5億円の損失!

http://finance.sina.com.cn/g/20061126/17563110167.shtml

 最近、天津でホットな話題といえば、天津の名門大学・天津大学が株取引で大損こいて5億円ほど赤字を出し、全人代の代表でもあった校長・单平さんの首が飛んだことであります。

 どういう事件かというと、2000年9月から三度に分けて、天津大学が深圳时代创业投资发展有限公司に1億元の資金の株式市場での運用を委託したのだけれども、運用に失敗。委託先の会社は倒産して3750万元(5億円)ほどの赤字をこいたとのこと。そも資金の運用自体が政府からも大学の意志決定機関からも同意を得ていないものであったこともあって、校長の管理責任が問われたというもの。

 上記リンク先では、そも中国では政府による教育投資がGDPの2%ときわめて低い(国連の定めた標準は6%)ので、大学は金がない。国からの資金と授業料などは用途が制限されているので、自由になる資金は学校が経営する企業か募金に頼るしかないと、大学の苦境にふれております。

 でも、運用するもとの1億元はこっそり用意できたというところが面白い。どうやってひねり出したのかはまだ明らかになっていないようなのだけど、これが一番黒いネタなのかも。