東京V1-4愛媛FC@国立霞ヶ丘

ふと思い立ったんでぶらりと観戦に。ちなみに愛媛の試合を見るのははじめて。広島ユースの選手が何人かレンタルで入ってチームが締まった、という以上のことは知らない。

だが、驚いたのはヴェルディの方だった。開始二分で平本が超J2級のミドルシュートをサイドネットにぶちこんだときにはさすがレベル差あるかな?と思ったがそのあとはやられ放題。
一言で言ってしまえば九十分間全員がボールウォッチャーという感じ。どうも約束事がないので、全員ボールが来てから動き出す。したがってつねに出足が遅れて、カットされまくりの裏をつかれまくり。ひたすら中に絞ってくるんで、愛媛が両サイドにボールを散らすとすぐフリーになってしまう。ジーコ・ジャパンの試合を見ているかのようだった。重傷だなあ。

愛媛の選手では江後と田中俊也の2トップが切れており、ヴェルディDFの淡泊さもあって何度も裏を取ってチャンスを作っていた。ただ、ちょっと素直すぎてGKとの一対一を何度もキーパーにぶつけてたけど。そんなところも含めて、総じて日本人好みのきれいなサッカーだったなあ。なお、鹿島からヴェルディにレンタル中の石川くんは守備方面ではまったく改善されないままでした。

FC東京2-4鹿島@松本

(テレビ観戦)
 せっかくJ1が再開したのに、水曜日はあまりに酷い試合だったんでテレビをぷっつり消してそのままになっていた。

 前半ロスタイムに同点にして、後半開始直後に勝ち越したところまでは実に鹿島らしい見事なゲーム運びだったんだけど、そのあとがどうもいけない。今年の鹿島のダメさというのはまさにあそこで同点にされてしまうところなのであって、もともと鹿島はイタリア的な嫌らしさを持ったチームであり、リードするといきなりペースを落としてグダグダにして点が入らない試合にしてしまうのが得意中の得意なんだけど、今年はどうもダメだ。で、理由はどこにあるのかとつらつら考えるに、やはりボランチだな。どうも青木が押された場面でズルズル引いてDFラインに吸収されてしまうので中盤を使われてしまう。ここに理由があるような気がしてならない。今後はリードしたらボールはすべて小笠原にあずけてキープしてゆっくり…みたいなことを考えるべき。それくらい単純に決めといた方が青木にはいいかもしれない。

 戦術的には柳沢のかわりに野沢または深井を出しておけば前半から楽勝だったような気がするのだが……ファビオ・サントスサイドバックで使う方が生きそうなんですけど。

決勝戦 イタリア1(PK5-3)1フランス

garth2006-07-10

 ジダンの勢いよく、決然たるヘッドバットは何かを振り切ろうとするかのように見えた。いったい何を振り捨てようとしたんだろう? フランス国民の期待?「時代を背負う天才」としての重圧? あれは自殺だった。たぶんジダンは誰かに殺して欲しかったのだ。

 本来ならば、今回のワールドカップジダンの大会になるはずではなかった。すでに盛りを過ぎたジダンフィーゴが記憶されるような大会であってはならなかった。でも、ベッカムと高給取りの仲間たちはあまりに無能だったし、ロナウジーニョと世界一の攻撃陣はサンバを踊っていただけだった。アフリカからのお客さんはヨーロッパ諸国の老獪さの前になすすべを知らなかった。ドイツは可能性を感じさせたけれど、いかんせんチームとして若すぎる。だからジダンフィーゴロナウドと2002年大会の残像たちにとどめを刺せるのはイタリアしかなかったわけである。でも、そのイタリアでさえ、トッティヴィエラマケレレを凌駕できないというのが明らかになってしまっては、ジダンとしてはもはや自殺して次の世代にバトンを渡すしかなかったのではないか。道化のマテラッツィのために舞台をしつらえ、ジダンは鮮やかに(カップに目もくれず)退場していったのである。

 今大会は守備の大会、守備的MFが目立った大会だった。本当はその優れた守備をさらに打ち破る攻撃力が求められていたはずなのだ。そう考えるとイングランドの罪は本当に重いよ。あとチェコの早期敗退がすべてを変えてしまったね。

ヒデ引退

 もったいないなあ…いや、ヒデがそういう考え方をしない人間だってことはわかっている。でも引退する前に一年でも二年でもJリーグでプレイしてほしかった。Jリーグにはヒデと同じグラウンドでプレイしたことのない選手がたくさんいる。同じ場所でプレイできたら、どれほど多くのモノが伝わったろうか。

準決勝 ドイツ0-2イタリア

 ぼくが今大会の技術レポートを書くとすれば、運動量あるCMF(ボランチ)の重要性ということだろう。フランスのヴィエラマケレレ、イタリアのガットゥーゾ、ドイツのフリングス。守備専の選手の重要性があらためて確認された大会だった。例によって戦術的には世界の最先端を行ってるイタリアは、そこをくぐり抜けるべくピルロボランチの位置においてプレッシャーを逃れたわけである。何度もくりかえしてるけど、トッティがマークで何もできなくなったときでも、ピルロがあの位置から球出しをできるんでイタリアは強いのだ。

 この試合の場合、前半、シュヴァインシュタイガーに替わって出たボロウスキが前に突っ込みすぎてピルロにちゃんとプレッシャーをかけていなかったので、ほぼピルロがやりたいようにやっていた。もはやOMF(メイヤ)ですら守備をしないとサッカーにならない時代になったということでもある。後半に入ると修正してきたのはさすがだけど、最後決めたのはやっぱりピルロだった。ドイツはPK戦には絶対の自信を持ってたんだろうけど、それが逆に徒になったような気もする。

 クローゼがよくディフェンダーを引きつけてポドルスキを自由にしてたんだが、最後のところでシュートが正面に飛んでしまった。クリンスマンの選手交代もほぼ理詰めで計画通りだったんだけど、交代で入ったシュヴァインシュタイガーがあまり効かなかった(たぶん入れ込みすぎ)のが計算違いだったかな。まあこのチームの本領発揮は南アフリカ大会のはずなんで、イタリアが勝つのは実力通りだろう。

準々決勝 ブラジル0-1フランス

 ヴィエラマケレレの試合。ロナウジーニョやカカーのプレイスピードを落として、すばやく戻ってDFと挟みこんでプレイさせないというお手本のようなプレイを見せてくれた。下手に攻め勝つ、みたいな意識がなかったのが幸いしたのかもしれない。それにパレイラロビーニョをギリギリまで出してこなかったのもラッキーだったね。

 一方ブラジルの側から敗因を見れば、カフーを引っ張りすぎた。これに尽きる。カフーロベカルもよく走ってはいたけれど、あきらかに全盛期のスピードはなくなっている。最初から思っていたとおりの欠点が最後の最後に出てしまったが、そもそもカフーアンタッチャブルな存在になった時点で命運は尽きていたのかもしれない。セットプレーの守備が酷かったんで、あれでは失点はやむなし。

 イングランドベッカムを下げたのが…ルーニーが退場したのは結果論だけど、もうその後は点を取るチャンスはなくなっちゃったからなあ。選手選考の問題と負傷とが重なったわけだが、それにしてもイングランドは層が薄すぎた。敗退もやむをえまい。

準々決勝 ドイツ1(4PK2)1アルゼンチン

garth2006-06-30

 延長に入って負傷だったのか疲れたのかわからないが、まったく走れなくなったバラックがグラウンドの外で治療を受けて、あと数分だからそのままでも守りきれただろうと思うんだが、もう一度戻ってきた姿を見て、骨折した手を首から吊りながらプレイしていたルンメニゲのことを思い出した。そしてそのバラックがPK戦で出てきて見事に決めたとき、ドイツの勝利も決まったのだろう。レーマンが神になった瞬間だった(ちょっとフライング気味に飛び出す神だったけどね)

 前半は両チームとも中盤の潰しが早く、ほとんどゲームを作れない。ドイツはクローゼのところにボールがおさまらないと攻めの形にならないし、テクニックで上回るアルゼンチンもテヴェスがたちまち囲まれてシュートまで持っていけない。

 後半、コーナーキックからゴールを決めたアルゼンチンだけど、そこでペケルマンリケルメカンビアッソの交代をしたのが最初の疑問手。ここでホームチーム相手に守りきろうというのは敗北への一本道ではないのか? 前がかりになったところで、ドイツのDF陣がいちばん苦手なタイプであるメッシを入れておけばほぼゲームは決まったと思うのだが。一方クリンスマンは理詰めにオドンコル、ボロウスキと入れて最後は空中戦で同点。マシーンのごときクローゼの機能美が光るゴールだった。