カムカムエブリバディ:安子と英語

カムカムエブリバディを25回まで通してみて、安子の人生の浮き沈みと彼女の英語への取り組みがリンクしている印象がある。

まず、安子が稔の紹介で実用英語講座を聞きはじめてから、本屋での再会、自転車練習、喫茶店、縁日でのデートと交際が進んでいく。その縁日で勇に言葉にショックをうけて一度別れるが、泣きながらも英語講座を聞き続けたことで、岡山駅での再会、文通の交際に発展していく。しかし、戦争による英語講座の中断で交際に影が差し、第12回の時は「英語を忘れたように稔さんも忘れられる」と別れをつげる。

 その後の勇の活躍により、逆転で2人は結婚し子供をもうけるが、英語は敵性語で日常から消えたことで安子に不幸が連続し、戦争で家族を次々と失う。戦争終了後、英語講座の再開で稔との再会に希望をもったが、戦死の知らせが入り、安子は英語を聞かなくなる。

 雉真家に居づらくなった安子は、勇のサポートもあり、大阪でるいと生活をはじめる。最初は苦労の連続であったが、道端で「カムカム英語」に出会ったことで好転、この番組を家族で聞いてる主婦に助けられ、生活は上向きになり、親子でゆっくり英語を楽しめるほどになる。

 ところが第25回で仙吉に言われたことがプレッシャーとなったのか、「カムカム英語」を聞けないほどの状態になって事故にあってしまう。

 岡山では、また安子の気持ちを上向かせる英語との出会いが期待できる。

おかえりモネとあまちゃん(その2)

この連休、気になって「あまちゃん」をNHKオンデマンドで時間の許す限り見てみた。

確かにプロットは「あまちゃん」と「おかえりモネ」はよく似ているし、ドラマ内の最初の地方編、東京編、再度の地方編(その直前に災害が絡む)の時間配分も近い。

そして、共通しているのが、最初の地方編でヒロインが働く場所でのベテラン役を「でんでん」が演じていることである。またヒロインが物語新工場必要な資格を取得するのも同様である。

ただ、あまちゃんは地方編は同じ場所に戻るのに対し、おかえりモネは地方編が違う場所になるのが興味深い。また、あまちゃんが「海女さん」と「アイドル」の2つの側面を持つのに対し、おかえりモネは「気象予報士」1色である。

そして、主要な登場人物が、もう一つのドラマの2つの特色を併せ持っているようにみえる。例えば、

1.あまちゃんの「夏ばっぱ」は、おかえりモネの「サヤカ」さんと「朝岡」さんの役割を併せ持っている。(最初の居場所の提供、次のステップ(あまちゃんではアイドル、おかえりモネでは気象予報士)を示す)

2.おかえりモネ「朝岡」さんは、あまちゃんの「夏ばっぱ」と「水口」の役割を併せ持つ(朝岡、水口ともに東京から地方に来て、ヒロインに東京へ出るきっかけをつくる)

3.あまちゃん「水口」は、おかえりモネの「朝岡」と「菅波」の役割を併せ持っている。(「朝岡」さんは職場でヒロインの指導的立場であることは「水口」と同じであるが、ヒロインと抱き合う描写は「水口」と「菅波」に共通している)

4.おかえりモネ「菅波」は、あまちゃんの「水口」と「種市」の役割を併せ持っている。(ヒロインに恋愛感情を持つ点もそうだが、菅波と種市の共通点は、ヒロインを資格取得に導いていることである)

5.あまちゃん「種市」は、おかえりモネの「菅波」と「りょーちん」の役割をあわせ持っている可能性がある(もし、モネの初恋の相手がりょーちんだとしたら)

6.おかえりモネ「りょーちん」は、あまちゃんの「種市」と「ユイ」の役割をあわせ持っているかもしれない(りょーちんがモネの友人なのか、初恋の人なのか)

7.あまちゃん「ユイ」の役割(アキの一番の友人で同級生だが、地元に残ることになり、津波被害も経験する)をおかえりモネでは「みーちゃん」と「りょーちん」に振り分けたのではないかな。

 

あまちゃんではアキの相手として水口、種市のほか足立ヒロシもいましたが、結局誰ともゴールせず、ラストシーンは友人のユイとトンネルを走るシーンでした。

 

気仙沼編でこのバランスがどう変わるか見どころです。

おかえりモネとあまちゃん

現在のNHK朝ドラ「おかえりモネ」、ご存じのように宮城と東京を舞台とした作品である。時代設定は少し違うが、やはり同様に東日本大震災を描いた「あまちゃん」(北三陸地域)の影響を結構受けているように思う。

いろいろな共通点はあるが、菅波先生とモネの関係は、いまのところあまちゃんでいうと水口とアキに近いような気がする。そして、アキとユイの関係をおかえりモネでは、百音と未知に投影している。ただ、友人関係より姉妹のほうがよりこじらせているように感じる。

「おかえりモネ」のモネがかかえているトラウマあるいは確執の解消への物語を、「あまちゃん」では春子が引き受けていたように思える。春子の確執は、最初の3か月で母親である夏ばっぱ、次の2ケ月で荒巻と鈴鹿ひろ美に対して、アキが動くことによって解消されていった。

そして、主人公の動きとしては、出身地から離れた場所から物語がスタート、最初の場所であった夏ばっぱやさやかさん、そしてそこであった人々の影響をうけてヒロインが進む道をきめて、東京に舞台を移すが、最後の1か月は災害をきっかけに北三陸気仙沼に舞台を移動する。ただ、あまちゃんは最後の1か月の目標が明確で物語に勢いを感じたが、おかえりモネはどうなるかな?

 

2001年宇宙の旅とさよなら人類(1)

 最近、Youtubeで1990年頃の「たま」の映像をみかけ、懐かしくなった。このバンド、89年に放送されていた「イカ天」に出演したのがきっかけでブレークしたのだが、当時、仙台にいたので、番組を生では見ていない。しかし、茨城在住の友人から送られた放送のテープを聴いたところ、これはとんでもないバンドが出現したと、特に衝撃的だったのは「らんちう」であり、これを聞いたあとでは「さよなら人類」もポップなものである(事実、三宅裕司がこの曲のあと「おまえら急に明るくなったな」といっていた)。
 さて、歌詞の内容にもかかわらず、いやあの内容だから「さよなら人類」は大ヒットしたわけだが、おかげで仙台で「たま」のライブを聴くチャンスは増えた。最初は、この曲発売前の1990年4月、仙台駅前の今のさくら銀行のあるビルの8階のライブハウス、150人の満員の中で聞き、シングル発売後の同年7月には、イズミティ21の大ホールで1000人くらいはいただろうか。その後も何度か聞きに行った。
 このイズミティの時は、当時所属していた映画サークルの仲間9人くらいで見に行った。前述の「イカ天」のテープを、そのサークルの友人に聴かせたところあという間にはまりこんでしまい、私のテープをダビングしたばかりか、数限りなく繰り返して聞いて、映画サークルの機関誌に「うちのたまを知りませんか」という紹介記事を執筆、それでサークルにもファン層が広がった。もっとも、自主上映サークルで、演劇や舞踏や大好きなメンバーの集まり、「たま」との相性は良かったのだろう。
 さて、その友人、「さよなら人類」を聞いて、「これは、逆2001年宇宙の旅だね」と評した(彼は、少し前に「2001年宇宙の旅」の原稿を書いていた)。当時、「2001年宇宙の旅」をみてなかったので、すぐにはわからなかったが、後日、「2001年宇宙の旅」をみてなるほどとおもった。「2001年宇宙の旅」では、木星に到着することで、新人類に進化するのだが、「さよなら人類」では、「ピテカントロプスになる・・」としているわけだ。
 しかし、今あらためて聞いてみて、「さよなら人類」は「2001年宇宙の旅」そのものではないかと思う。
(続く)

愛宕山

 このドラマに出てきた最初の落語が愛宕山。すでに正典(喜代美の父)と正太郎の確執の場面、そして喜代美が最初に接する落語として出てくるが、この作品が、今度は草若と確執のあった小草若がやることになるとは、第1週のテーマが、この第7週で繰り返されるとは、かなり練られた脚本で、すごいと思う。
 愛宕山の一八が、小判を取りに飛び降りるエピソードが、第1週の終わりの子供時代の喜代美と糸子のかわらけなげ、そして祖父の死に沈んでいた喜代美が笑いを取り戻すきっかけになったのは結構印象的な場面であったことを思い出す。
明日はどうなるか。

蛙の子は帰る

 あの19,800円のハンドミキサーは今後どう使われるのだろうか。スーパーの展示販売にはどう見ても向かない草原のキャラが落語でどう変わるか。先週の小浜の焼き鯖の中継をしていた小草若とはあまりにも対照的。
 途中で、手をドアに挟んでそれでも勢いでセリフを行った喜代美の演技は、のだめの首はさみを思い出した。

兄弟もと暗し

 今週のちりとてちんのサブタイトル。予想通り、小浜の和田家の正典と小次郎の兄弟げんかとなっている。また、小草若と草々の兄弟弟子の今後も見逃せない。
 ただサブタイトルがしゃれているとはいえ、元々は灯台もと暗し。草々が身近の喜代美(B子)の良さを、そして和田家のメンバーが足下を見つめる大切さに気づく展開になりそうな気がする。
 それにしても、初っぱなの家族のけんかの原因が88円の卵の特売とは。先週の喜代美が緊張のあまり、ふるさとを(しかも完奏)弾く展開といい、また、草々が小草若につかみかかるのが「夜中に、口笛吹くな」といい、この作品、見る側の意表をつくことが多く、結構楽しめる。