就活こうなればいいんじゃないか?

最終的には就職希望者の9割は就職できる日本の就活システムは、諸外国に比べれば断然パフォーマンスが高く上手く行っているシステムだと思います。
そんな国、日本以外にないでしょ?

本当は仕事を選ばなければ職はあるんです。だから、どこにも就職できないっていう心配は実はしなくていいんです。まあ多くは外食と介護なんですけど。

上手く行ってない点は
・就活が時間的にも、期間的にも、ストレス的にも大変で、勉強や研究に支障がある。
という点でしょうか?

企業は時間管理が上手く、体力や対ストレス力の高い社員が欲しいので、スクリーニングとしてそれをこなせる学生が採用されるというのは微妙に正しい面もあります。

しかし、実は企業も大変なんです。エントリーシートを読んだり、面接をしたりするのが大変なんです。何しろ年に1回だけの新卒採用ですから、その選考作業のピークに合わせた人数が採用チームに居ることはないので、相当ムリしてやってます。但し、多くの人数をまとめて採用活動するのは一人当たりの手間としては効率的にはなるんですけどね。

中途採用は通年やることが多いですが、都度都度面接セットして行ったり、就活サイトなども使えないので一人当たりの手間は全然多くなっちゃいますね。


本当は、学生さんが揃ってエントリー数を減らすことができればいいと思うんですよ。
インターネットになる前の就活は、50社も受けるなんて無理でした。だから、企業もエントリーが少なくて楽でしたし、落ち続けてメンタルを病むことも少なかったような。
後は当時「指定校制」というのがあり、もともと応募できる大学を絞っていたのでこれもエントリー数抑制に効いてきました。

みんながエントリーを減らせば、結果は多分変わらないと思いますが、学生も企業も手間が減るのでずいぶん楽になります。


エントリーを減らすためには、昔の指定校制のようにエントリー資格を絞ることが有効と考えます。人物本位とか言ってだれでもエントリーできちゃうから、つい沢山エントリーして説明会行ったりES書いたり面接行ったり無駄手間使っちゃうんですよ。そして落ちまくってストレス貯めるですよ。

武田がTOEICの点をエントリーの条件にするみたいですが例えばああいうことです。

指定校制でもいいと思います。実質指定校制の戦略コンサルなんかは、無駄なエントリーを集めないので、応募する側も採用する側も効率よく入念な選考をやれてます。

下記のような要素のポイント制で合計何点以上を募集なんてのもいいんじゃないですか。
・大学ランク
・専攻
・体育会
・語学力
・資格
・その他履歴(数オリとか)

就活の長期化もこれで少し改善します。就活強者は今でも12月には外資に決まってしまいますし、3流大学だったら連休明けまで受けられる会社があまり無いのでそこから始めれば十分という感じになるでしょうし。4流大学だったら外食・介護決め打ちで就活すれば、2社受ければ内定するでしょう。

これで、勉強も研究もできますね。


通年採用はムリですよ。手間がかかりすぎるし、もちろん例外はありますがいい人は新卒で取った会社が離してくれません。
それに通年採用になれば諸外国のように新卒で職がないのは当たり前になると思いますが、奨学金の返済それで大丈夫ですか?国民年金ちゃんと払えますか?

大学に行くのは得なの?

大学が増えたというのもありますが、なんでそんなに大学に行きたい人も増えたのかというのも不思議です。
大学に行くことは元が取れることなのかを考えてみます。


最初に、大学に行くためのコストを試算してみます。

まず学費です。もっとかかる学校も沢山ありますが、とりあえず学費を600万とします。
そして、学校に行かずに4年間働いた場合と比べての機会費用をカウントします。高校卒20−24歳の平均年収が280万円ですが、大学に行きながらでもバイトくらいは出来るので、その差は年250万ほどということにしましょう。
そうすると4年間分で1000万。
学費+機会費用で1600万ほどのコストでしょうか。他に予備校代とかもありますが。とりあえずこうしておきましょう。


次に大学に行くことでどれくらいのリターンが見込めるかです。

H21賃金構造基本統計調査によると、高卒の平均年収が409万ほど(平均年齢41歳)で、大卒・大学院卒の平均年収が609万円ほど(平均年齢39歳) なので、その差は平均で見ると3割以上の差で年200万円。40年働くとすれば単純合計で8000万円の差があります。
この200万×40年のキャッシュフローは、金利1%で割り引いても6500万ほどの現在価値があります。手取りベースで考えても現在価値5500万は固い。

そうすると、1600万の投資で、平均的には5500万の現在価値があるものを手に入れるわけで、大学に行くことはとても元が取れる投資であると言えます。

これだけリターンがあるのなら、奨学金を借りてでも行きたいですね。


しかし、実はこの試算には若干問題があります。

まず、あくまでもこれは平均と平均の比較であって、同じ人が大学に行った場合と行かなかった場合の比較ではないことです。

平均的にもともと大学卒の人の方が高校卒より能力が高いとすれば、大学に行ったから+200万ということにはなりません。

そして、現時点では高校卒勤労者が942万人、大学・大学院卒勤労者が638万人と大学・大学院卒の方が少ないので多少の希少性がありますが、

これを25〜29歳に限ると、高校卒が86万人、大学・大学院卒が111万人と希少性は全くなくなっています。そして大学進学率はこの年齢層が大学に行っていた頃よりも更に上がっているので、これからはもっともっと希少性はなくなり、年200万の差は縮小していくと考えた方が良さそうです。実際、この年齢層では高校卒327万円、大学・大学院卒408万円とその差は2割以下です。

そして、月給の分布を見ると、月給20万未満の大卒は少なく、月給45万以上の高卒が少ないため平均に差は出ているものの、大卒も高卒も月給20万〜44万が6割以上であり、両端以外はそんなに極端な差があるわけではないようです。


以前は、大学には望めば全員入れるわけではなかったため、大学に行くことは1600万が5500万になるおいしい投資で、フリーランチが転がっていた状況だったのですが、望めばだれでも大学に入れるようになった現在、そして将来、そのフリーランチは裁定によって消えつつあるのかもしれません。


電力やガスなどのインフラ業が大学生の就職人気がとても高いようですが、これらの会社は、大卒で入ろうとすると枠が少なく大変ですが、高卒なら採用枠も大きくもっと簡単に入ることが出来ます。そして入ってしまえば、並みの大卒サラリーマンより待遇もいいですよ。

公務員の3種なんてのもいいですね。特に地方の現業職なんて夢のような職場も残っているみたいですしね。

3割が就職できないなんてどの国の話ですか?

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/ikeda_nobuo/51510157

厚労省の資料を見ると、日本の2010年3月卒の学生の就職率は最終的にこんなものらしい。

大学:91.8%
短大:88.4%
高専:99.5%
専修学校:87.4%
高校:93.9%

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006hma.html
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000006hau.html

短大と専修学校は9割を切ったが、大学、高校は最終的に9割以上の就職率だった。
ま、内定取り消しが頻発し、確かにここ数年と比較すれば悪かったけど、それでも9割以上はちゃんと就職できたわけだ。

91.8%と言う数字をどう見るかだけど、絶対的にはまあまあなんじゃないのかな?

更に、GDPも今年はプラスで推移しているので、2010年卒よりは状況も好転してくるのではないか。
この調子でいけば今年の3年生の大部分はきっと大丈夫だと思う。

ちなみに、ブログに良く書かれている「大学生の内定率6割」ってのは7月時点の数字であって、民間も公務員もまだまだ終わってない途中経過の数字なのでこのウソにだまされないように。就職率9割超じゃニュースとして面白くないのでメディアはあまり書かないんでしょう。

2010年卒業者も2009年7月には6割強だったが、そこから卒業までに3割内定が増えている。
2011卒業予定者は2009年7月には57%だったから、そこからの伸びが同じなら卒業時に9割を切ってしまうけど。それでもほぼ9割は内定取れているということ。

だから今の就活生だって9割は大丈夫だと思いますよ。売り手市場と言われた2007年でも96%位だから、その差は1割もないのです。
就職率で見る限り天国と地獄というほどの違いはないんですよ。

だから、内定が取れないのを社会のせいにするのはやめて、がんばりましょう。

大学生が入社してくれない会社

最近は大学生の新卒採用でも、転職のように人材紹介ビジネスがあるようです。
新卒大学生が欲しい企業に対して、登録した学生の中から向いていそうな人を紹介し、選考の後めでたく入社することになったら企業から御代をいただくという商売ですね。

先日、その人材紹介をやっている人と話したのですが、そこで聞いたことを書きます。

・たしかに就職決まらない大学4年生、修士2年はとても多い。恐らく3割以上決まっていないと思う。

・しかし、実は求人はないわけでは決してない、人が欲しくて欲しくて仕方ないのにだれも来てくれない会社、業界もある。

・外食、介護などは、全然志望者が来ないし、内定を出したとしても他にどこにも内定もらってない学生からも次々と辞退される。

・本人もそうだが、親も外食業界は反対することが多いらしい。就職浪人を親が進めることも多いらしい。


通常人が来なければ給料上げるんでしょうが、介護は国からのポイント以上には払えないし、外食は安売りチキンレース中で上げる余裕は無いしそれはできないと。

選り好みしてる場合か?と言いたくなりますが、なぜ内定を辞退して就職浪人するかというと、4年間大学行って、500万位授業料払うという投資をした以上、投資回収が難しい外食と介護には行けないというのが多いらしいです。

もうその投資はサンクコストなので本当は忘れてしまう他ないんですけどね。

で、留年して授業料もう一年払うというナンピン買いして傷を広げて、多分結局はフリーターと。

なんか悲しすぎます。


外食と介護が大卒を欲しがるというのが良く分かりませんが、シグナリングとして使っているだけでしょう。

学生が大学生活に使った時間や費用で得たものが欲しいわけではなさそうな気がします。大学をシグナルを得るためだけに行くならコストが高すぎます。


そう考えると、やはり大学が多すぎるということになるのでしょうか。

並の人間が大学に行くので、並の人間が欲しいだけなのに、大卒を採用する企業。

大学卒になるために、時間と費用を投資してしまい、その回収をしなければいけないので、外食と介護では働けない学生。


もし、並の人間が、大学に行かないようになれば、企業も高卒でOKとなっていくでしょうし、大学への投資がなければ、介護や外食で働いてもOKという人も増えるでしょう。

財政も苦しいようですし、大学への補助金を絞って、質の高くない大学を潰したり、2年制のコミュニティカレッジ(短大)への転換を促したりしていくべきのような気がします。

日本で一番お金持ちな職業は「無職」

消費税増税=意地汚い豚の鳴き声
http://d.hatena.ne.jp/tikani_nemuru_M/20100610/1276115022


を読みました。論旨は同意できるのですが、消費税逆進性の部分だけ少し違う意見があります。


総務省の家計調査を拾ってみました(H21)
世帯主の職業別に「貯蓄−負債」でネット金融資産額の数字を出してみたところ以下のようになりました(単位万円)。

  • 平均:560
  • 労務作業者:382
  • 民間職員:632
  • 官公職員:762
  • 個人営業:1337
  • 法人経営者:1900
  • 自由業者:1470
  • 無職:2174

実は今、日本で一番お金持ちな職業は「無職」なのです!


世帯主が無職の世帯は平均2174万円のネット金融資産を持ってるんですよ。
うらやましいですね。


また、「無職」は持ち家率も90%超と高く、この金融資産以外にも不動産などの資産を持っています。


うらやましいからといって、明日から仕事辞めて無職になれば貯金が増えるかというと多分そんなことはありません。
無職にネオニートが多くて、相場でみんなお金持ちというわけでもありません。そういう人もいるでしょうが無職のうちの極めてわずかな比率でしょう。



この現象は、退職金や貯金を抱えたリタイヤ老人世帯の存在により起きています。
これら老人は無職だって、年金がありますから大丈夫。
税金を負担する力は十分あるはずです。
リストラ若年無職なめんな!という感じがしますね。


しかし、これらの無職お金持ち世帯はストックは沢山あるのですが、所得は少ないため、所得税を上げても全然痛くも痒くもないのです。金融資産額に注目すれば所得税自体がある意味逆進性を持つという状況ともいえます。


給付付き所得税額控除とかやったら、これらの金持ち世帯に更に給付しなければならないということになり一層ある意味での逆進性が強くなりかねません。


で、これら世帯に相応の負担をお願いするとすれば、消費税という手があります。
所得は少ないですが、消費はしますからね。旅行だの、健康食品だの。


資産課税という手もなくはないです。ま、今も無職は持ち家率が高いので固定資産税も払っているでしょうし、貯金が沢山ありますから利子の税金も払っているでしょう。
但し、資産課税強化は資産価格のダウンにつながりますからバブル崩壊時の逆資産効果を思い出すとちょっと怖い気はします。
また、資産は隠したり、ケイマンに送ったりが比較的簡単なので実効性は限られるかもしれません。



そう考えると、税金を払える人から取るための方法として消費税増税はありなような気がします。


また、ストック有り、所得なしの世帯に負担をお願いするにはインフレが手っ取り早いと思います。


これら無職老人世帯は人口が多く、更に投票率が高いため政治的パワーが圧倒的であり、資産課税強化や消費税増税はおそらく簡単ではないでしょう。


しかし、インフレなら、政府、日銀がやろうとおもえば、無利子国債を引き受けてもらうなど増税よりもひそかに老人に気づかれないようにやることができると思います。


インフレで円安にもっていければ、日本の輸出企業もサムソンのようにぼろ儲けできるでしょうから、法人税収もあがるんじゃないですかね。

解雇規制撤廃の唯一の問題

日本は解雇規制が非常に厳しく、一度期限の定めのないの採用をすると基本的に65歳まで雇用し続けなくてはいけない。
更に、採用した人がサボリーマンになってしまったとしても給料の引き下げはちょっと困難だったりもする。


これだと、そんなに気軽に正社員は採れるわけがない。リスクが高すぎる。
普通に30年給料を払うと、なんだかんだで3〜4億円の費用がかかるわけだし。


そのせいで、「うざい就活」「求人は派遣と有期の契約社員ばかり」になっている。
さらに、当然派遣と契約社員は能力や貢献に関わらず雇用の調整弁として気軽にクビを切られる一方で、
無能、無貢献であっても正社員の雇用は守られる。まさに既得権そのものだ。


無能な正社員を解雇して、その分有能な派遣社員を雇用できれば、会社にとってはもちろんプラスだし、それによって日本の労働者全体の能力と仕事のマッチングが高まれば生産性も高まると思う。


簡単に解雇できるのならば、3億のリスクじゃなくなるからもっと気軽に雇用できるわけで求人は増えると思う。工場の海外移転も多少抑制され雇用が増える効果もあるだろう。


どの仕事でも能力がない人は、セフティネットで救う。解雇した人件費の分会社の利益は増えるわけで、プラスになる分の法人税収増で4割の財源はカバー可能。他、雇用自体の増加による税収増と失業者減でセフティネットの財源は作れるのではないか。


しかし、ひとつ問題がある。


解雇が簡単にできるようになれば、みんな解雇されることに備えるだろう。


で、するのは貯金だ。これが問題だと思う。


そうすると、タダでさえ少ない消費がより抑制されてしまい、デフレを加速することになりそうだ。
また、いつ職を失うかわからない状況だと、子供も作りにくくなるだろう。少子化も加速する。


ま、そのためにセフティネットを整備するわけだけど、働かなくても、普通に消費して子供を育てられるレベルのセフティネットを作る社会的合意は得られなさそうだ(個人的にはその線まで行くのもなくはないと思うけど)し、そうすれば勤労意欲が低下して生産性にネガティブになりそうだし。


正社員と非正規社員の既得権格差を是認して既得権者の消費と子作りに期待するか、既得権を破壊して生産性を高め、企業の利益を多くして増えた税収をセフティネットに回すか。


どっちがいいんだろう?僕は既得権破壊の方が言いように感じますが。

日本の雇用状況は本当にヤバイよ

会社に、存続自体が検討課題となっている課というか超ミニ事業部があるんですが、既存顧客の関係上、止めるにしてもすぐには止められないという課があります。
で、そこの課に退職する人が出まして、とりあえず補充が必要だけどいつまであるか分からない課なので人も回してもらえず、とりあえず1年契約の契約社員を採用して当座をしのごうということになったようです。

フルタイムで働いてもらえないと困りますが、特にスキルが要る仕事でもないので、若い未経験者や子育て一段落主婦あたりを想定して、高卒OKで年収MAX300万、通勤交通費以外の手当類一切なしという条件で募集してみたそうな。こんな安くて応募来るかね〜なんて半信半疑で。
ちなみに、勤務地は報酬の相場が高いといわれる東京です。

で、ハローワークで募集をかけたのですが、これが予想に反して応募が結構来たようです。
想定通りの未経験若者や主婦の応募もありますが、30〜40代の大卒の人からも結構来たようです。
旧帝や早慶卒はいませんでしたが、MARCH卒の人もけっこう応募してくれたようです。その上TOEIC900点の人とかもいたとか。

で、面接してみると、何か問題があるというようなことも全くなく、ちゃんとした人ばかりとか。
話を聞くと、みなさん言うのは、35歳過ぎるともう全然求人もなく、面接までできることすら少ないとか。
で、結局は日東駒専卒の30才前後の男性を採用したようですが。

しかし、それなりに名の知れた大学を出てキャリアを積んできた40代男性が、1年契約で年収300万の仕事に沢山応募してくるってどういうこと?世の中間違ってないか?世の中終わってないか?
これじゃ子供育てたりなんて持てるわけがないし。話を聞いて世の中間違っていることを確信した。

その反面、今なら年収300万でそれなりの人を集めることができるので、何かビジネスを起こすにはおいしい時期だということも言えそうだ。

ちなみに多いパターンは

①「新卒でそれなりの会社に入社」

②「なんか事情があって退社」

③「イマイチな会社に転職」

④「前の会社と比べるとやっぱり不満で退社」or「業績が厳しくなり倒産、リストラ」

らしいです。やはり新卒カードは最強なのか。そして日本は雇用の流動性が低いというのも本当なんだな。
次の当てもないのに会社辞めるのは少し考えてからにしたほうがいいかもよ。