『ジャンプ』について思うこと

『D.GRAY MAN』にしてもそうですが、『デス・ノート』『HUNTER×HUNTER』等、こういうものが『ジャンプ』で読めるなんて、という『ジャンプ』の時代は間違いなく終わっていますね、確実に。『ドラゴンボール』の頃の「『ジャンプ』黄金時代」とは半分は同じ形で、もう半分は全く異なる形で「ポスト『ジャンプ』黄金時代」が到来したのだと思います。

簡単に分けると

●『NARUTO』『ONE PIECE』『アイ・シールド』・・・「黄金時代」を引き継ぐ“表”の王道。(『ジャンプ』の縛り?に負けない「強度」を持った作品群)
●『べしゃり暮らし』、読みきりの八割・・「黄金時代」を引き継ぐ“表”の中堅。(一番面白くない部類。手法や空気感がアナクロ。時代意識が希薄)
●『こち亀』・・・漬物?(駄菓子的?)
●『D.GRAY MAN』『デス・ノート』『HUNTER×HUNTER』・・・00年代的“裏”の王道。“裏”が売れる漫画はやっぱりすごい! 漫画以外のベストセラー本でこんなに面白いのって絶対ない!(断言)すごいよすごいよ!(興奮)
●『ジャガー』・・・後ろから読む人にとっては表(当たり前)

ああ、なんだかひどいカテゴライズ・・・。

もう一つ確実に言えるのは、今の『ジャンプ』は編集者よりも、読者の目の方が肥えてしまっているということ。人気の無い作品はどんどん後ろのページに持って行かれるのは、読者からすればもはや周知の事実。その中でもいい例がつい数ヶ月前に、堂々と始まった『大泥棒ポルタ』(北嶋一喜)。期待の連載をうたい巻等カラーで堂々と始まったものの、やはりその使い古されたようなトリック、キャラクター設定で人気が無かったせいか、あまりにも露骨に後ろページへ流されていき、ついにジャガーさんの手前で謎を残したまま連載打ち切り・・・。どういう連載が人気が出るかというのを編集者が判断できず(でもそれも今の漫画界の状況を俯瞰してみると、無理もないことだと思います)、読者がその運命を決定付けてしまった事件?でした。

「不健康な、あまりに不健康な」

ここ1年、温泉に行ったり、休日出勤だったり、その他特別な行事が無い限りは週末は、めったに外出しなくなりました。遠くて家から100メートル程離れたデニーズくらい(そこでも引きこもる)でしょうか・・・・・・。起きて漫画や小説を読んで、金曜日に買い込んだコンビに飯をちょぼちょぼつまんで、気が付くと日曜の0時で、同居人に『ジャンプ』を買ってきてもらって(お!もうそろそろだ!)、週末を終える・・・・・・これが日常になりつつあります。どなたか健康的に遊んでくれる方、お声をかけてください。(自分からお誘い出来無い程に、外に出る気力が薄れているので・・・。お待ちしております)

『D.Gray-man』 星野桂

星野桂
週刊少年ジャンプの漫画「D.Gray-man」の作者。
1980年4月21日生まれ。滋賀県出身。血液型はO型。

最近読んだ漫画の中では、80年代生まれの漫画家さんとしては、全くタイプは違いますが浅野いにおに続いて2人目。10代の頃読んでいた漫画って、連載が進むにつれ、だんだん絵が上手くなっていったのが殆どだったような気がするけど、この2人に関しては言うならば、最初から絵がある程度完成されているような気がします。それとも、今後もっと上手くなっていく・・・?

主人公は、心の成長と共に技を成長させていくことはもちろんだけど、登場時からすでに強く、それと等価に重圧な運命を背負い、カッコいい、「特別な」人。細めの細かい絵のタッチを始め、命の重みと鮮やかに繰り広げられる技とを等価に結びつける設定なんかは『ハガレン』に近いかな、と。(特にギャグ時の顔の書き方なんかそっくり! 絵に関してもう少し言うと、小畑健荒木飛呂彦の影響も感じられるような……)

錬金術を使用するにも「等価交換」によって何でもかんでも生成、補修できるわけではない『ハガレン』は安心して読めるけれど、第一巻から主人公が戦闘シーンにおいて際限なく術をこなす『NARUTO』にはまれなかったという方(私)には、ひとまずお勧めできます。というか、かなり楽しめましたよ。

絲山 秋子 『海の仙人』

ginsberg2006-01-29

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
糸山 秋子
1966年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。メーカーに入社、営業職として福岡、名古屋、高崎などに赴任。2001年、退職。2003年、「イッツ・オンリー・トーク」で第96回文学界新人賞を受賞。同作品は第129回芥川賞候補となる。2004年、「袋小路の男」で第30回川端康成文学賞を受賞。「海の仙人」で第130回芥川賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

 

 登場人物の誰もが、それぞれ一方通行の想いや家族との不仲といった、他者との関わりを通じて日常に差し挟まれる「孤独」を抱えており、更に主人公に至っては、近親相姦のトラウマや、恋人の死といった重圧感のある「孤独」でさえも抱えている。そんな「孤独」の物語を自称「ファンタジー」の神と、柔らかな風景描写は、奇妙なまでに爽やかで、優しさを帯びた空気で包んでしまうのだが、これは決して本来受けるべき孤独からの逃避や孤独の軽視を意味するものではない。胸を締め付けられるような読後感が残ることからも明らかだが、この感情はまるで唐突にどこか知らない場所へと一人放置されてしまったかの様な、まさに「孤独感」そのものですらあるような気がするのだ。
 人々の行き違いは行き違いのままで意地悪く物語はすっと終わりを迎えている。希望の見えかけたラストですら、主人公が生涯3度目の不慮の落雷被害に遭うであろうと予測させるが、これは孤独の連鎖がエンドレスに続いていくことを予感させており、つまりところ、作者は「孤独」を優しさという技法で包み隠すようにしながら、じわじわとより強調し露呈させているのだと思う。

(補足:神でありながら大したことが出来ないと「ファンタジー」は言うが、彼は明らかに死神である。絶滅種の元へと光臨し続ける彼は、存在自体がすべきことそのものであるが、この優しい物語の中では、「死神」とは呼ばれない。)

『ONE PIECE』尾田栄一郎(集英社)について、少し語らせてください

 2005年からの00年代漫画ブーム。なぜこの中で『ONE PIECE』がこれほどまで無視されてしまうのでしょうか? 私がロビン氏やサンジ氏にキャラ萌えしていることはさて置くとしても、やはり納得し難いんです、この状況が。

尾田栄一郎
フリー百科事典『ウィキペディアWikipedia)』より

尾田 栄一郎(おだ えいいちろう、1975年1月1日 - )は、熊本県熊本市出身の漫画家。本名同じ。専攻は少年漫画。集英社専属。

東海大学付属第二高等学校在学中に、短編『WANTED!』が『週刊少年ジャンプ』の新人賞の手塚賞に準入選する。
九州東海大学工学部建築学科を中退後、甲斐谷忍徳弘正也和月伸宏のアシスタントを務める。アシスタント時代に描いた読切の海賊漫画『ROMANCE DAWN』が、後の『ONE PIECE』の原型となる。
1997年から『週刊ジャンプ』にて、善良な海賊達の冒険と活躍を描いた怒涛の大河ロマン『ONE PIECE』の連載を開始。人気となっている。

 なぜ『ONE PIECE』がそんなにすごいのかと言うと、まず第一に尾田さんの初の長編であることにまず驚きを隠せない。現在40巻まで上梓されていて、ようやく終盤に入りつつあるのかというところだけど、そのプロット、構成は微塵も揺るがず、冒険物語としての強度を保ち続けており、最初にどれだけ綿密に物語構成が組まれていたのかと思うとただただ圧倒される。

『少年ジャンプ』の超人気作というと、編集部がやめさせてくれないという逸話がありますが、真偽はさておき、少なくとも『ONE PIECE』には、それが微塵も感じられない。例えば過去20巻程前に残された謎に対する回答が、ようやく場と時を変え驚きの結果をもって登場したりと、そのレベルの高さでもかなり楽しませてくれる。しかもその度に、これまで不可視だったワンピ世界が見えてきて、ぐぐぐっと奥行きが拡張されたりもする。(補足:私もその一人ですが、ワンピの謎解きを楽しみにしている人にとって、今の“ロビンちゃん篇”は一番盛り上がっているときではないですか? 先週あたり、ずっと気になっていた空白の歴史の謎に、少し回答されましたね。楽しみすぎて毎週待ちきれません。) 
 普通漫画の特性として、物語の成り行きや、編集部からの助言次第でクライマックスが変わったりということはよく聞く話だけど、もしかすると連載を開始した時点で、尾田さんはある程度人気を予測してあらかじめ大長編の設定で構想していたんじゃないかな、とすら思う。だから、結末も(最期の島ラフテルでかな?)全く予想が出来ないけれど、絶対に楽しませてくれるものを既に用意していてくれるという確信があるので、安心して毎週楽しみにできる。(保守的?……ではありますが。) 
 もう1つ。一つのタイトルのクライマックスのテクニックが非常に上手い。「アラバスタ篇」「空島篇」でも、正義(=ルフィ)と悪(=クロコダイル、=エネル)が読者からすれば間違いなく認識できるのに、(アラバスタ篇における)海軍、(空島篇における、戦士と天使)等、別の意思を持った者達が、各々の目的のために参戦する。それを決して混沌としたままではなく、綺麗に収集されクライマックスを迎えている。
 週刊誌、しかも『少年ジャンプ』で3本柱の1つという現在の漫画界のど真ん中をひた走りながら、「友情、努力、勝利」という縛りを抱えつつ、これだけの揺ぎ無い物語を生成できるのは、恐らく尾田さん以外にはいないと思う。
(揺るいだ『幽遊白書』はグダグダ感が出てからこそが、面白くなったと思っています。問題なし!『HUNTER×HUNTER』も全く問題なし!)
 誰も死なないし、怪我の回復がやたら早い、愛が芽生えない、=リアリティが無い。だから面白くない。・・・なんて、それがどうした! と思う。
 

コミック・イズ・ノット・デッド!

ginsberg2005-12-27

●島田一志『コミック・イズ・デッド』

古屋兎丸『ショーットカッツ』、西島大介世界の終わりの魔法使い』、『文芸別冊』の編集を担当してきた島田氏の漫画評論+インタビュー本。

漫画を愛してやまない氏の熱きロック調評論はまさに「コミック・イズ・“ノット”・デッド」であることを証明している。

本書は決して「今」の漫画表現、すなわち00年代漫画を語る類のガイド本ではない。単に漫画を愛して止まない一個人が、少年・少女漫画〜売れている作品〜“テヅカ”作品〜近年の音楽もの等など、自由な感覚で自身が感動を覚えた漫画を選出しているだけなのだ。その熱の帯びた解説は「冷めた」「終わった」と批判されることの多くなった漫画界に熱気を注入しているようである。

とはいっても、著者はそもそも漫画が「冷めた」「終わった」等とは思っていないのは、インタビューを読んでも明らかであり、むしろ意識的にロック調の解説を一つの方法論として採択しているのだとも思う。本書は「語ってはいけないこと」に捉われがちな漫画評論の閉塞感をすがすがしく取っ払うべくあえて正面から向かっていった、それ自体が現状の漫画評論に対する批判本でもあるのだ。漫画はただそこにあるだけで、誰かが占有的な眼差しで批評するものではない。今本当に必要な漫画評論本は、こういうものだったのかと考えさせられた。

猫1

晦日の定番、格闘技が白熱の予感ですが我が家では2匹の猫のバトルが1ヶ月程前から既に始まっております。それも毎日。深夜も早朝も。寝れないってば……。

【技一覧】
・取っ組み合い
・猫キック
・追いかけまわし
・甘噛み
・斜め走り
・餌の横取り
・入浴
・添い寝
・お互いをぺろぺろ
・斑がかわいい
・尻尾の先端が曲がってる。これもかわいい。
・猫っていいな
・幸せだにゃん

ああ〜猫〜〜!!!!!!!