Everybody's Game:映評 イングランドラグビー分断の現状と問題提起

 

エブリバディズ・ゲーム

エブリバディズ・ゲーム

  • 発売日: 2020/11/23
  • メディア: Prime Video
 

 イングランド代表イトジェ選手を従兄弟に持つ、Bath所属プロップのオバーノ選手が製作プロデュースに関わった作品。中流上流階級の学校で主にプレイされる、白人社会の色が残るラグビー🏉の可能性と問題点をトップアスリートの視点から見つめるノンフィクション。イトジェ選手やワトソン選手などの代表選手などのインタビューを交えて、どうラグビーインクルージョンを促し、どう社会に貢献する可能性があるか探る、社会的意義がある作品。字幕翻訳がないことが残念極まりないが、多くのラグビーファン、そしてラグビーに関わる指導者と親御さんと選手に見てもらいたい作品。ラグビーに関わらなくても、教育関係者にも是非!

 

書評:ラグビー日本代表 ONE TEAMの軌跡

日本のラグビーには地熱がある。数は多くはないかもしれないが、ラグビーのことが好きで好きでたまらない熱いファンと現場の人たちが、日本代表の氷河期を支えていた。企業に例えるならば、大西鐡之助や宿沢広朗という稀有な指導者の手腕によって何とか世界に一矢を報いるも、その後のグローバル化とプロ化の波に見事さらわれ、一気に瀕死の状態に陥り、復活の兆しが見えない状態になってしまっていた。それでも、地下での熱は消えなかった。上層部は腐っているが、現場の熱い意志と努力と技がまだかろうじて灯火を消さずに、燃え続けていた会社のように。そこに変化を加えたのが、部長クラスといえばいいだろうか?中間層が改善を重ねたトップリーグだろう。ここにマグマが引き継がれ、改善を重ねることで、海外との繋がり、海外からの知見と経験が流れ込んだ。そしてその刺激によるトップリーグの進化が、その後のエディー・ジョーンズ体制を導いた。世界トップクラスの上層部を迎えたことで、ついに地熱が地上に溢れ出した。その結集が2015年W杯での躍進に繋がり、ブライトンの奇跡を生んだ。
守破離」で例えるならば、エディージャパンの日本代表は、COOに世界レベルの仕込みを施され、それを徹底的に「守」に徹して成長した企業と言えるだろう。最終局面で選手たちは、指揮官を超えて自らトライを取りに行く判断を下して、自立と勝利を勝ち取って終わる物語であった。
今回のジョセフジャパンは、その「守」で成長した選手たちを「破」のステージに導く物語である。自ら考え、自ら行動し、エディージャパンのベースの上で、全く違うラグビーとチーム作りを展開した。
この本は、その過程を間近でみた二人のスタッフの視線で改めてその軌跡を辿る一冊である。カリスマCOOの強烈なリーダーシップとプロデュースのもと成長した選手たちが、今度はダイバーシティー、コミュニケーション、オーナーシップなど、世界トップレベルのコンピテンシーを発揮して、さらなる高みにたどり着いた軌跡を描いている。
コロナ禍の現在、彼らの活躍を見れた時間が、どれだけ幸せでありがたいことだったか、改めて感じさせる。熱い地熱が与えてくれた感動を思い出し、幸せにひたれる時間をくれる一冊だ。
ジョセフジャパンは2023年まで続くが、「破」のあとのステージには、何が待っているのだろうか?果たして「離」の境地にたどり着けるのだろうか?そのためには、上層部だけでなく、中間層もそして現場も一流でないと辿り着けないのだろうか?今後の4年間が楽しみだ。そして、この奇跡の源である、地熱が消えずに、むしろ増加し続けることを期待しよう。 

 

地方クラブとターゲット人口(顧客)


愛媛FC今治FCのインスタアカウントをたまたま見ていて、ふと思った。

https://www.instagram.com/ehimefc12/

https://www.instagram.com/fcimabari_official/

両方のアカウントに、愛媛県の良さが全く出てこない。

今治タオルから、道後温泉から、みかんから、しまなみ海道から松山城はもとより今治城から村上水軍まで。

地方クラブの成功はもちろん地域密着である。それは当たり前の話だが、地方都市の利点を忘れていないだろうか?

それは観光客である。地元の名産、地元の観光スポット、地元自慢の地元ならではの資源がそこにはある。

例えば、FC町田ゼルビア

町田市の人口は約43万人。

確かに今治市の15万人よりは多い。

しかし、町田市になにか観光で訪れる人はいるだろうか?

悪くいうつもりはないが、観光資源は少ない。

 

比較して、愛媛県の平成30年の県外観光客は1000万人を超えるそうだ。

https://www.pref.ehime.jp/h30200/3859/documents/h30syouhigaku.pdf

 

15万人で勝負することも大事だが、せっかくならこの1000万人も取り込めないだろうか?

例えば岡田武史社長のファンと歴史ファンの相性はいいかもしれない。

ターゲットの属性はある程度近いことが予想される。

歴史小説村上海賊の娘」で有名になった村上水軍の本拠は、今治から近い。

 https://www.city.imabari.ehime.jp/museum/suigun/

村上海賊の娘 上巻

村上海賊の娘 上巻

  • 作者:和田 竜
  • 発売日: 2013/10/22
  • メディア: 単行本
 
村上海賊の娘 下巻

村上海賊の娘 下巻

  • 作者:和田 竜
  • 発売日: 2013/10/22
  • メディア: 単行本
 

しまなみ街道サイクリングは、世界の有数のサイクリングコースとして名高く、外国人サイクラーも訪れる名所。

https://www.jb-honshi.co.jp/shimanamicycling/

 

松山から今治までは車で約40分。

海沿いの綺麗な国道を通るルートもあれば、山あいを抜けて少し早く到着するルートもある。観光客ならどちらにも寄ることを考えるか?四万十の方に南下するのだろうが、いずれにせよ松山と今治セットで訪れる観光客は多いだろう。

村上水軍をチェックして、しまなみ街道をサイクリングして汗をかき、お土産に今治タオルを買って、温泉に浸って翌日今治FCを観戦!

なかなかのツアーではないだろうか?

 

地方クラブの生き残りと経済的基盤の拡張は、地方創生にもつながる課題である。

確かに「まずは地元から」ということはわかる。

しかし、より大きな市場の存在も無視しないよう、大きな視点でマーケティングに取り組むのもいいのではないだろうか?

観光客も、スタジアムに呼ぼう!

 

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今治FCスタジアム

 

イデア、パートナー募集

What: スポーツ関連本(洋書、和書)、スポーツ関連雑誌(主にナンバー)を約1000冊所有。これらの財産を多くの人に還元する最もインパクトの大きい方法は何か?

How: スポーツ書籍をテーマにした Book Hotel を展開できないか?昼はBook Cafe として展開。既存のホテルにて展開するか? or 新規に展開

Who: JリーグBリーグラグビープロ野球などのアウェイ観戦向けのサポーター及び近隣エリアに住むスポーツ指導者、競技者、ファンなどがメインターゲット

Where: 競技会場への交通の便がありながら、地方からもアクセスしやすく、なおかつ多くのファンが集える立地

When: 2020年オリンピックの前に

Why: スポーツに関わる多くの人に、スポーツの知識やストーリー、感動を共有し、より多くの人がスポーツに携われるようスポーツビジネスが発展することを願う。

Concept:

スポーツの「知の欲求」を満たす落ち着いた空間。日本の古き部活主義の気合い、根性、汗、涙は否定しませんが、ここは実在している Book Hotel のような落ち着いた空間、読書に耽る空間にするのがベストかと。

IKEBUKURO | BOOK AND BED TOKYO
すでにBook Hotelは存在しており、ソーシャルメディアを通じて海外客なども呼び込んでいる様子。

ジュンク堂に住んでみる」
本屋に泊まれる「ジュンク堂に住んでみる」 蔵書約100万冊で天国の一夜 - KAI-YOU.net
書店に宿泊するツアーも存在し、読書好きには好評の様子。

動画全盛の時代が到来し、スポーツを観るのが手軽になることで、その裏側をより深く楽しむこと、そして昔の知恵をより堪能したいニーズが増えるだろう。スポーツの「知の欲求」を満たす場の創設。こよなく愛するチームを追いかけて応援するサポーターに、勝負前の下調べ、勝負後の余韻を読書でじっくり楽しんでもらうのはどうだろう?部活の高校生や大学生が、スポーツファンがお茶しながら新たなスポーツの知に出会える場所があったらどうだろう?
まずは小さく初めて、そこから講習会やスポーツバーや様々なものに発展していくだろう。やがて遠征してくる部活動の宿泊施設となるかもしれない。近場に本来なら野球殿堂のような施設もあると、グッと楽しみが増える。

Scale
日本全国にも他にも多くのスポーツ関連本を所有している肩がいると思います。まずは1箇所でスタートし、その後他の地方へ展開していけるでしょう。

Idea
実現可能なための助言、よりよくするためのアイディア、その他フィードバック募集中。

 サッカーと保育

サッカー界が待機児童や女性が活躍できるための環境作りに貢献できるのではないか?

少子高齢化社会である。
日本人の4人に一人が65歳以上である。
子供の数が少ない。
女性が活躍できる社会になろうとしている。
しかし待機児童や学童保育の問題が解消されない。

一つ提案である。
サッカーでこの問題を改善できないだろうか?

女性が働きやすくなるためには、平日子供の面倒を見てくれる必要がある。
小学校のグラウンドは授業後空いている。
65歳以上の人口も時間が余っている人が多い。
これらの人に、子供保育用のサッカーライセンスを付与できないだろうか?
イメージとしては、65歳以上のサッカー経験者やサッカー、もしくは子供の成長に興味ある人に、専門のライセンスを付与する。
学校と協力し、学童の一環として空いているグラウンドでサッカーなどを楽しませながら保育をする。
育成や指導が目的ではない。
子供を楽しく平日の1日でもいいので、預かり、ボールに触れ、仲間と触れ合い、親御さんのお迎えを待つ。

学校のスペースの有効活用。
引退した元気なシニア層のやりがいと紹介貢献及び健康体力増進。
待機児童の減少。
女性の社会での活躍の機会の提供。

月曜日はサッカー、水曜日はバスケットボール、金曜日はラグビーでもいいかもしれない。
様々な協会と国が協力すればできることがあるのではないだろうか?

これが何を生み出すかというと、競技への興味関心を生み出し、これにて家族でJリーグ観戦のきっかけが生み出されれば、プラスのサイクルが生み出される。

現在の日本の親御さんや子供たちのバリアは、平日の活動ではないだろうか?
土日にサッカースクールでつぶれてしまうと、家族の時間が減ってしまう。
お金を払ってスクールすると楽しみごとではなく、習い事になってしまう。
でも単純にボールに触れ合って楽しむ場所と時間の提供があってもいいのではないだろうか?
そしてそれが様々な社会問題に対するソリューションになるのであれば、なおさらいいのではないだろうか?

幸せな環境作りはソフト面にある。
これが現在の日本のスポーツ界、サッカー界、及び社会の問題点ではないだろうか?

監督と知性 ー読書と順位の相関関係ー

ふと昔買ったJ2マガジンを読み返してみたら、面白い特集があった。
J2全チーム監督に聞く
「読書の秋、好きな本はこれ」

ちょっと面白いので、最終のJ2順位と並べて記してみた。
数字は勝ち点。


1   ガンバ大阪     87 長谷川監督 特に本は読みません 以前は東野圭吾容疑者Xの献身
2   ヴィッセル神戸     83 安達監督 「Number」東野圭吾
京都サンガFC     70 大木監督「99.9% は仮説」
4  徳島ヴォルティス    67 小林監督「座右の銘
ジェフユナイテッド千葉 66 鈴木監督『これからの「正義」の話をしましょう』
6  V・ファーレン長崎 66  高木監督 「勝負脳の鍛え方」
松本山雅FC     66  反町監督Jリーグサッカー監督 プロフェッショナルの思考法』
コンサドーレ札幌 64  財前監督「ゾーンに入る技術」
栃木SC     63  松本監督「落日燃えゆ」「論語
10 モンテディオ山形  59 奥野監督『「生きる力」の強い子を育てる』「Newton」
11 横浜FC   58 山口監督 野村克也監督の本
12 ファジアーノ岡山  56 影山監督「自由と規律」「深夜特急
13 東京ヴェルディ   56 三浦監督「オシムの言葉
14 アビスパ福岡   56 プシュニク監督レオナルド・ダ・ビンチの伝記
15 水戸ホーリーホック 55 柱谷監督 西村京太郎「十津川警部」シリーズ
16 ギラヴァンツ北九州 49 柱谷監督 「ノルウェイの森
17 愛媛FC   47 石丸監督「モリー先生と火曜日」「奇跡のリンゴ
18 カターレ富山   44 安間監督 クラブハウスにある雑誌
19 ロアッソ熊本 43 池谷監督 「オレたちバブル入行組」
20 ザスパクサツ群馬 40 「Number」
21 FC岐阜 37 辛島監督 「勝つ組織」
22 ガイナーレ鳥取 31 前田監督「きみはなぜ働くか。」


こうみるとツッコミどころ満載である。
まず、東野圭吾を読むと昇格出来そうな気がする。
過去にスイカップアナウンサーと噂になった監督の好きな本はやはり「ノルウェイの森」。
全く読まない監督のチームは弱い(カターレ富山)かと思えば、
優勝した長谷川監督に至っては堂々と読まないことを公言。
ガイナーレの前田監督の悩みはかなり深そうで、
「なぜ働くのか?」すら問うている状況で、浮上のきっかけを掴むのに苦労していることが伺える。
一方業界本、この場合はサッカー本を読んでいる監督の成績は全員イマイチである。
これはリフレッシュしていないことと、指導法にブレを生じさせているのだろうか?


ただ思うのは、やはり指導者たる者言葉の説得力は必要。
言霊というくらいだから、そのベースが知性であって欲しい。
一方で、受け取る側の知性も必要。
ジェフ市原の選手に、サンデル教授の「正義のはなし」を受け入れられるのかどうかはわからない。
ピッチを駆け回っている時に不条理と感じる審判のジャッジにサンデル教授の言葉は響くのだろうか?
アビスパ福岡の選手は、レオナルド・ダ・ビンチが誰だか知っているのだろうか?
ミーティングで大きな齟齬がないことを祈るばかりだ。


そんな中、早稲田大学が体育会の学生に「最低基準単位」を設定したそうだ。
下回れば試合出場禁止になる。
「大学スポーツがどうあるべきかという一石を投じたい」とのこと。
素晴しいことだと思う。
Jリーガーやスポーツ選手のセカンドキャリア問題は深刻。
そして市場の裾野を増やすには、アスリートがその後ビジネスや社会に還元出来るスキルがあったほうが発展する。
さらに国際スポーツ舞台や、各競技団体のレベルも上がる。
そうすれば、強化、普及、ビジネスのサイクルが人材のレベルアップによりまわり始める。
JリーグS級ライセンス制度で、こういった監督の幅や知性を膨らませる授業は含まれているのだろうか?
少なくとも、本は読みませんとはあまり公表して欲しくないものだ。



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前歴にとらわれず、スポーツ、ビジネスの両方のマインドを併せ持つ、優れたトップが求められす時代。
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これは明らかにまずい。
それではスポーツの価値がこの国では低いままになってしまう。


そこで考えてみたいのは、アントニオ猪木でも堀内恒夫でもなく、鈴木寛という人物である。
灘中・校でサッカー部に所属し、東大に進学。
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以降文部科学副大臣などを務めた。




経歴からみてわかるように、この人はサッカー界のチャンピオンでもメダリストでも一番強い人でも何でもない。
ガオーと吠えたところで何もない。
しかし通産省時代に、Jリーグ創設に関わった功労者のようだ。
さらにスポーツ基本法制定の功労者でもある。
超党派の2020年東京オリンピックパラリンピック招致の事務局長も務めている。
ついでにネット選挙解禁の功労者でもあるそうだ。
民主党から立候補したこの人物は、今回の参院選で落選した。
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アントニオ猪木が当選し、堀内恒夫が当選する。
しかしJリーグ創設の功労者は当選されない。
我々スポーツを愛するものは一体何をしていたのだろうか?
このままでは本当に、

スポーツ人にガバナンスなんて無理、という寂しいイメージがどんどん一人歩きを続けることになる。



最新のサッカー批評鈴木寛氏のインタビューが掲載されている。
そこにえらく感銘を受けた氏の言葉があるので紹介したい。



「僕はJリーグの良いとこは何かって言うと、自分の幸せは自分達で作るということを日本人が戦後初めて、あの規模で成功したという事だと思います。Jリーグ以前はね、北海道ならお上に陳情して巨人戦を札幌円山球場に誘致してくるだとか、そういう上下関係だったでしょう。そうじゃなくて、政令都市でなくても、小さな温泉街でも、自分たちで努力をすればスポーツクラブを作れるんだということになった。がんばれば、東京よりも素敵なスポーツコミュニティが地方でできるっていう、これがすごいところです。今47都道府県で40近くのところでそういうチームが出てきました。そこでは、ただ社会に対する不満や愚痴を言ってるだけじゃなくて、自分たちで苦労しながら、自分達の幸せを掴もうとしている。」



今様々な都市でサッカーだけじゃない形でスポーツの幸せな形を作り始めている。
ナベツネなんかに頭を下げてお願いなんかしなくても、自分達の地域で盛り上がれるのだ。
Jリーグの他では、マラソンが最もわかりやすく、普及して成功している例だろう。
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少子化や地方の人口減などが問題視される今の日本において、自らの手でスポーツの力を利用して地域を潤すだけでなく、幸せをもたらしていることはある意味画期的なことではないだろうか?
そのど真ん中にいた人間が落選し、ある意味スポーツ界のライオンキングが当選する。
これが今の日本のスポーツの現状であり、地位であり、一般認識だろう。
まだまだスポーツの地位は低いものとしてみられている。
ではこの現在地から脱するにはどうしたらいいだろうか?
やはり産業としてより成熟していく他ないのだろう。
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そうすると自ずと答えは出てくる。
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