ベンチャー役員三界に家なしは引っ越しします。

長らくお世話になったはてなダイアリーですが、この度サービス終了とのこと。

引っ越し先についてはNoteにしようかと思っています。

元々思い返すと、僕がはてなダイアリーでブログを書き始めたのは2013年早いもので気づくと最初のエントリを書いてから5年以上が過ぎました。
当時は会社を立ち上げて10年を過ぎたあたりで、仕事は相変わらず忙しかったもののいろいろと自分なりに見てきた世界の捉え方について記してみようかなと思ったこと。

また、そのころはすでに第一線からは離れていましたが、影響力を増すソーシャルコンテンツの世界の肌感覚をつかむ勉強のつもりでもありました。
おかげ様でか、沢山の方に読んでいただいたコラムもあり反応をいただきながら沢山勉強をさせてもらいましたし、いくつかの素敵な出会いもありました。

お気づきの方も多いと思いますがこのブログは僕が尊敬していたカワンゴさんのブログ「はてなポイント3万を使い切るまで死なない日記」のオマージュです。
ネットでの発信はカワンゴさんのスタイルを真似ていたので、特に正体を隠すわけではなく書く、とはいえあくまで別人格という設定でリアルなしがらみを意識せずに自由に書いてきました。
近しい業界の一部には僕の正体はバレバレだったみたいですが。。。
同時に運用していたツイッターは最終的にフォロワーが2万人近くまで行きました。名前の後ろのバージョンはなんですか?という質問がよく来たのですが、あれは僕が書いたブログにカワンゴさんがリツイしたりいいねしてくれたらマイナーバージョンが上がり、コメントしてくれたらメジャーバージョンが上がるというものでした。
こちらは一通り運用知見は得られたと思ったので閉じてしまいました。

今後ブログは自分の思考を整理しておくことはそれなりに便利ではあるのでまだ少しは同じスタイルで続けようと思います。

定期的に飛んでくる背景が見難いというコメントはご愛敬と思っていたのですが、今後は多少読みやすい形を心がけてNoteに表現の場を移したいと思います。

はてなさんには、以前営業部長をされていた高野さんにはすごくよくしていただいて定期的に食事をご一緒させていただく仲になり今でも関係は続いています。
はてなさんには青山オフィスで昼ご飯を食べさせていただいた恩はあるものの、たぶん昼ご飯代くらいのアクセス数には貢献したと思いますので今回は引っ越しさせていただくことになりました。
これまでありがとうございました。

まだ使い方よくわかってませんが新しいブログはこちらです。
https://note.mu/grand_bishop

では、皆さん。引き続き持ち場でがんばりましょう。

山口義宏著「マーケティングと年収のリアル」から〜

ごきげんよう
皆さんお久しぶりです。
さて、出張から戻り久しぶりに朝、会社のデスクに行くと物騒なタイトルの本が置いてありました。
マーケティングの仕事と年収のリアル」と書いてあります。
大切な友人であり、ブランディング戦略の師匠でもある山口義宏さんの新刊です。
クリアーで中の本の表紙が丸見えの封筒で献本いただき、不在がちな私のデスクにしばらく鎮座していたようで社員の人たちも私のデスクの前を通って目にしたことでしょう。
もうこの時点で山口さんの戦略勝ちです。

僕はキャリアをプログラマーからスタートさせたエンジニア出身なので、必要にかられてマーケティングを学んだクチです。
自分の会社自体は多彩な事業は抱えているものの、マーケティング支援領域でのお仕事も多く自分自身も長くマーケティングに関連した仕事をしてきましたし、スタッフにも多くのマーケターを抱えています。
今日は普段お世話になっている御礼を兼ねて山口さんの新著を読んで思ったことを少し書こうと思います。

キャリア関連の話は不変の人気コンテンツですが、最近は空前の売り手市場ということもあり、かなりアグレッシブな話もよく目にするようになりました。
とにかく転職を勧めるもの、独立・起業を促すもの、MBAは無駄だという説や、大学へ行くのは無駄だと言うものまであります。

山口さんの本は「年収」を一つの分かりやすい切り口にマーケティングという比較的職業としてフワっとしていたり、玉石混交の領域で自分の職業人生の中のキャリアをどう戦略的に構築するかをわかりやすく解説してくれています。
とてもリアリティがあり、私も業界の「中の人」として納得できる話や、頷く話、それ言われちゃうと困っちゃうな・・・というような話が沢山ありました。

 人生を旅に例える人は多いですが、個人の人生は本来自由なものですから、自家用車で移動するようなもんだとすれば、目的地がイメージできれば後は正しい地図とリアルでタイムリーな情報があると迷わず目的地にたどり着くことができます。
 キャリア系のコンテンツはこれまでも豊富だったので「正しい地図」は結構あったと思うのですが、ナビで言えば渋滞情報や工事情報、道の舗装状況みたいなものは手に入りずらく限定された視野の中で意思決定をして思わぬ渋滞に巻き込まれたり、不意に行き止まってしまうものでしたが山口さんの今回の本は、どの道を通るかの意思決定を行う上でのリアルでタイムリー、かつ正確な情報であると思いました。

詳しい内容は本を読んでいただき、特にマーケティングに携わる皆さんには個人個人みずからの目的地に応じた判断をしていたく上でとても役に立つ本だと思います。ただし、一つ注意点は先に述べた通り山口さんの本はリアルタイムな情報です。ですから「今」読まないとダメですよ(笑)。昨日の渋滞情報が意味ないように。

さて、僕からは、山口さんの今回の著書を読んで自分のキャリアを振り返ってどう思ったかを記します。
この本の最終章には山口さんご自身の経歴について真摯にオープンにされている章があります。
僕はもう家族ぐるみの長らくの付き合いですし、全て知っていた話ですが、山口さんは決して緻密に戦略的に学歴やキャリア形成をされたわけではなく、本人曰く「ピカピカの経歴」ではないそうです。
著書の中でも「ストリートファイト」と表現されているあらゆるレンジの現場と経営と体当たりでぶつかり、また熱心に学び、チャレンジされてくる中で体得してきたリアルな学びと景色の一部をこの本にまとめられたわけです。
僕もピカピカの学歴、キャリアとは程遠いところから20年以上必死に走り続けてきましたが、では問いです。なぜ人はキャリアアップをしないといけないのでしょうか?
もちろん本著でも年収というのを一つの切り口にはしていますしとても大事なことではあります。
でもキャリアとして上へ上へという旅にそれこそ全知全能を投入しなくてはいけない理由は何か?そこには何があるのか?
僕のたどり着いた今のところの答えは、山口さんのこの本の最終章に何気なく書いてある一言に集約されています。

「私の学歴については、特に隠すつもりもありませんし、これまでもクライアントやメディアの方から質問されればっすべて率直にお伝えしてきました。友人や関係の近い仕事関係者には周知の事実です。クライアントの方も、学歴を答えると最初は皆さん驚かれますが、変わりなく接し続けてくださいます。周囲のみなさんの、その度量の深さには心から深く感謝しており、大変幸運だと思っています。」

マーケティングの領域に限らず、ビジネスの世界は自らが求められることに応え、自らの腕を磨き、視野を広げて、社内社外を問わずキャリアをアップさせていくことで得られる最大の果実は、僕はこの「自らを人間として信頼しきちんと分け隔てなく接してくれる度量の大きい人たちの世界」に、この厳しい時代を生きる戦友として迎えてもらえることだと思います。
山口さんが言う「ストリートファイト」で僕もずっと生きてきましたが、僕もこういうユニークで度量の大きい人たちに本当に助けてもらったし、友人としてフラットに接してもらえるようになったのが、自らの実力や境遇を直視してキャリアと真剣に向き合ったその先にあったことです。

自分は今は経営者ですので、自分の会社はもちろんですが、社外で縁のあった方、そして身近なところでは息子たちを一人でも多くこの世界に入れてあげられる場と育成を提供したいと心の底から思います。

山口さんはとてもできるマーケターですので、お客さんである読者に興味を持ってもらえるように精いっぱい下世話に書いたこの本はやはり、最後で化けの皮がはがれて山口さんの真摯で実直なところがモロに出てしまっています(笑)
ですので、書店に山と積み上げられる軽薄なキャリア本とは違うぞということをお伝えさせていただいたところで今日は終わり。

是非手に取ってみてください。

マーケティングの仕事と年収のリアル

さて、個人のキャリアを自動車の運転に先ほど喩えましたが、経営ボードとしてのキャリアはどちらかというと列車だと思ってます。
事業はそんなにクルクルと方向転換していてはカタチになりませんから、ここぞというところで「ガシャン」とポイントを切り替え、レールを敷設しながら、あとは粘り強く力強く貨車や客車を引っ張り続ける必要があると思います。
でも列車のいいところは自動車(個人)より自由度は落ちるかもしれませんが沢山の人やモノを目的地の近くの駅まで運ぶことができるところですし、個人としては分不相応に幸せなビジネスマン人生を歩ませてもらっている周りへの恩返しを残りの人生でしないといけません。

僕の汽車に一緒に乗ってくれている人はどこへ連れて行ってほしいと思っているのかを考える上でも勉強になりました。

さて、山口さんの本を拝読し大きく学びを得たところで僕のやるべきことは決まりました。

ご存知ですよね?(笑)今日も持ち場でがんばりましょう。

靴を大事に〜レザースニーカーは修理できる

ごきげんよう
久しぶりに靴の話をしようと思います。
このような記事を目にしました。

靴のスタートアップたちの足取りは軽い | TechCrunch Japan https://jp.techcrunch.com/2018/07/10/2018-07-07-shoe-startups-arent-dragging-their-feet/ @jptechcrunchさんから

ここ最近靴関連のスタートアップがどんどん出てきており、その成長のカギは「デザイン性が高く快適な高級スニーカーのような靴」。市場も成長しなによりも男性がフットウェアにお金をかけるようになってきている。ということでした。

確かにこの数年の高級レザースニーカーというアイテムはすごく売れているようで多くのメーカーが参入していました。
その勢いを示すのがこれまでメンズの高級ドレスシューズを手掛けてきたメーカーが積極的にラインナップに加えたことです。
ジョンロブ、ベルルッティ、サントーニといったラバーソール(ゴム底)の靴すらあるのか?という本格靴ブランドからなんとスニーカーが発売されて驚いたものです。

僕も実は一足このレザースニーカーライクな靴を気に入って履いていました。
僕は靴好きですが、その短くない歴史の中で好みがかなり変遷し(笑)、最初は武骨なグッドイヤーウェルト製法のアメリカ靴から入り、どこかで何かネジが外れたのか製法とかスペックへの拘りはどっかに行ってしまい、どちらかというとシルエットの美しさの方に目が行くようになり、この10年ほどはマッケイ製法だろうがセメントだろうがテケトーです。
で、もうかれこれ10年前に手に入れて気に入って履いていたのがラバーソールなのに底がゴツくないこの靴でした。
コバの張り出しのないスラっとしたシルエットにラバーソールという、天候のぐずつく日の多い日本では大活躍の頼れる奴です。

しかし、終わりはあっさりと訪れます。
韓国への出張中、ソウルの街中でパカッとヒールが取れてしまいました。
驚いて取り急ぎ路上にある靴修理屋に持ち込んだところ10分ほどで接着剤でくっつけてくれました。
「あーよかった」
と思ったのもつかの間。翌週には東京でまたパカッw


(パカッ)

え?!となり、慌てて駅構内の某靴修理屋さんに持ち込んだところ、職人さんから言われたのは「コリゃあ、カカトだけ接着してもダメですね。元々ソールと一体化しているから。。すぐには治りませんよ。」とのこと。
え?!なにそれ?となり、ならば仕方ない。。。と、本格紳士靴のリペアに定評のある銀座の某靴修理店に持ち込むことに。
さらにそこでは驚愕の事実が。
「これ、要はスニーカーなんですよ。セメント(接着剤による圧着)だから革靴みたいな修理の仕方はできないんじゃないですかね。アッパー(上部の革)だけ生かして、新しく底を付けるとしてもコバを張り出さないといけないから前の靴とは違うゴツい靴になってしまいますし、それも本当にできるかどうか。。。」
「え?てことは平たく言うと使い捨てってことですか?」
「ま、、まぁ。。そういう履き方なんだと思います。。」
「まじか。。。。わ、、わかりました。。」
と、別れは突然に訪れることになりました。
「そうか、君レザースニーカーだったんか。。。」

じゃぁ仕方ないね。。と思いかけたその時、ふと冒頭の記事を思い出したのです。
今これだけレザースニーカーやラグジュアリースニーカー市場が拡大しているなら、リペアしたいという僕みたいな人間も沢山出てきているはず!
そういう課題解決に挑戦する変態、いやチャレンジャーがきっといるはずだ!と調査したところ、、、いたー!
シューデザイナーの勝川永一さんとバッグ職人だった高見雅治さんのお二人が立ち上げられた大橋のリペア工房 The Shoe of Lifeがスニーカーの複雑な修理をやっているとのこと。
高級紳士靴の造詣も深い彼らならこいつを修理してもらえるかもしれない!
と藁にもすがる思いで持ち込むと、「こ、、これは。燃えますね。やらせてください。」と頼もしい回答が!
で待つこと1か月半。
ロールアウトされた愛用の靴は、ぴかぴかの新品に。セメントと手縫いマッケイによる補強ステッチで薄いラバーソールが張られシルエットもオリジナルを再現してくれている。すごい!


(薄いラバーソールでオールソール。コバの処理も美しい)


(マッケイで補強の縫いをしてくれている。多少の防水性よりこちらの方がうれしい。ステッチもきれい)


(すっかり元通り、というか前以上の仕上がり)

「大変だったんじゃないですか?無理を言って申し訳ありませんでした。」と言うと、「難しかったですけど、いい靴ですね。本当に。」とのこと。
「ありがとうございます。本当にうれしいです。」

本当に修理できるとは思わなかったので感無量でした。

おそらく「レザースニーカー 修理」というキーワードでこのブログに至る人もいるかもしれません。
今後はほかの修理屋さんでもすこしづつ対応はしてくれるようになるとは思いますが、お気に入りのスニーカー。あきらめる前に相談してみるとよいかもしれません。

やはり靴に足を入れるのが楽しみだと本当によいですよ。
なぜってまた持ち場でがんばろうと思えるからです。

では

※今回僕がお世話になった目黒区大橋のThe Shoe of Life さんはこちら
http://shoeoflife.blogspot.com/

米朝首脳会談予定通り実施へ トランプ大統領のコメント関西弁訳 全文

先日会談中止の書簡を発表したトランプ大統領は、北朝鮮側の書簡を携えた金英哲・党副委員長と会談。
一時は危ぶまれた首脳会談が、予定通りシンガポールで実施されることになったと発表した。

トランプ米大統領米朝首脳会談に関する発言の全文について取り急ぎ関西弁訳を作成した。

—————ここから

「話合いやろ?うまいこといったよ。(金正恩委員長と)6月12日にシンガポールで会うわ。まぁ今はお互いがどういうもんなんかよう知った方がええんちゃうか。マイク(・ポンペオ米国務長官)が2日もよう段取ってくれたわ。ワシもあっちもお互いのことよう知ることができた思うわ。これであんたら(報道関係者)も出張や。6月12日にはシンガポールに居らんといかんようにしたったで。」

「話合いには順序っちゅうもんがある。そんなもんいっぺんで全部決めるもんとちゃんわな。そやけどだいぶ腹割って話しできるようになって来てるのとちゃうか。これが大事なんや。」

——北朝鮮は一気に非核化を進めようとしているのか。

「ワシは北朝鮮は核は棄ててもええ思てると思うよ。ただ、それをする途中であっちは他にもやりたいことあるんやろな。あっちは自分とこの国がうまいこといくようにと思とる。こういう話なら前に進むんちゃうか。そら疑う必要あらへん。これは日本の話しでもあるし、韓国にとってもごっつい話でもある。ワシらアメリカはそういう話を全部うまいこといくように首ツッコんでるんや。みんなが『トランプさんなんとかしてや!』思っとる。そやから手伝うたってんねん。ワシ抜きでこんなうまいこといくわけあらへんやろ。」

「いろいろうまいこといった思うわ。中国もそうやな。中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席な。あの人はこの件にはいろいろワシの事助けてくれたわ。諸々うまいこといった思うわ。この後もうまいこといく。そう思うてもろうてええんちゃうか。」

「ワシらは6月12日にシンガポールに行く。それはただの始まりや。1回会うて話したらなんかがカッチり決まるとは言うてないで。」

「これまでがこれまでやさかい、ようけの国があの国は一回イテもうたろとか、名前聞いただけで嫌や思うてまうけどな。そやけど最終的にはまぁうまいこといくと思うよ。1回の会うたらええいうもんやない。(何回も会うてるうちに)だんだんとええ話しが出てくる思うわ。」

——先週、金委員長への手紙で彼の誠実さに疑問を持っていた。疑問はなくなったのか。

「ワシが書いた手紙な。あれはあっち(北朝鮮)から手紙が来たから返事しただけや。キミらメディアはそれ忘れとるんちゃうか。キミらは『会う約束あったのにトランプがそれをちゃぶ台返しした』言うやろ。ワシがキャンセルしたんちゃうで。あっち(北朝鮮)がワーワー言うから『ほなワシは降りますわ』言うただけや。乗るも反るも話自体がおじゃんになった思とったけどなワシは。そやから今から『乗る』わけや」

「12日に金委員長に会うわ。うまいこといくと思うとるよ。最期にはいろいろ考えとる絵ぇの全部がうまいこと行くと思うわ。まぁ『これからに期待』っちゅうやつやな」

「キミらワシの言うたことを覚えときや。この後どうなるかは安心は出来へんけどな。ワシと彼(金委員長)の話し合いはやるべきか?やらん方がええか?そらやった方がええに決まっとるわな。そら大事なんは間違いない。『やらん方がええ』なんちゅう考えはありえへんわな。話の通じる仲にはなれるんちゃうか思うわ。まぁとにかく全部6月12日からや」

——12日の会談で何を達成できるのか。なぜ北朝鮮が非核化に前向きだと考えるのか。

「あっちの番頭はんとの(金英哲・党副委員長)との話し合いはよかったわ。この話合いで金委員長からの手紙を受け取ったことを思い出してくれや(ワシからのこないだの手紙に書いたわわな。誰かに紙持たせるんでもええよ。それや)。しかもええ手紙やったで。何が書いてたかキミらも見たい?」

——教えてほしい。

「なんぼ出すの?。なぁ!なんぼ出す?。なんぼや?」

——部分的にでも教えてほしい。

「ごっつおもろい手紙やったで。まぁ(教えるのは)また今度や、たぶん、またええ時が来たら渡せる思うわ。多分皆んなに見せたるわ。そんな先ちゃうと思うで。まぁ紙渡しに来た言うから『ほな、受け取るだけや』いうたのに、結果的には2時間話し込んでもうたがな。」

——なぜそんなに会合が延びたのか。

「そらあっちの話しがおもろいな思うたからやわな。あっちもホンマになんとかせな思てるのは伝わってきたからでもある。そらワシらかてそっちの方がええからな。」

——北朝鮮側は何を要望したのか。

「ワシらがやろう思てる絵の全部は6月12日に蓋をあけてのお楽しみやけどな。ちょっとだけ言うとしたら。あっちの番頭はんとうちのマイクはうまいことやってくれたわ。こんなことあるんやな。紙もってきたから受け取ってくれいうだけの話しやったんやけどな。それが蓋を開けたらあっちの大番頭との2時間のガチンコ話や。」

——在韓米軍の規模に関して議論したのか。

「ワシらは結局ほぼほぼ全部のことを話してもうたわな。ようけ話したわ。経済制裁の話しも出たで。」

——金委員長とは直接話していないのか。

「そんなことワシに言わすなや。」

——北朝鮮は完全で検証可能かつ不可逆的な非核化に合意したのか。

「いろんなことをようけ話し合うたわな。その中で一番大事なことはなんや?そら6月12日に会談するのが『決まり』いうことや。そやけどこれは話合いの『途中』あるいうことや。6月12日に聞いたこともない話が出てきてワシがいきなりサインするようなことはないで。そういう話合いを始めるでいうだけや。ワシは金英哲君らに(非核化)はゆっくりでもええ言うた。早うもできるし、ゆっくりもできるわな。それ決めるのあんたらちゃうか?て。ただ、今回の件で北朝鮮は今までと違う何かが動き出した思いたいんとちがうか?それがええ方に転んだらええわな。なんにしても始まるんや。6月12日にシンガポールからな。」

——金委員長は非核化に本気だと考えているのか。

「そう思うで。金委員長も核ナシでどうなるんかみてみたいと思とるんちゃうか。彼は用心深い男や。彼が自分からホイホイ動くいうことはないわ。そやけど、ワシは金英哲君に言うた。『はっきりさせとくわ。経済制裁を科しているのワシや。しかもきっついやつや。君らがじぶんでその重たいケツ上げて動かん限りそれ(経済制裁)は解除するつもりはないで。経済制裁がどれくらいエゲツナイかはキミらが一番よう知っとるやろ』てな。ワシは楽しみやわ。どっかで解除できるやろからそれがいつになるかないうのが、や。」

——(拉致問題などを含めた)人権問題に関して議論したのか。

「それは無かったな。」

——首脳会談では協議するのか。

「ありうるわな。たぶん取り上げて細かいとこまで話す思うわ。今日は人権問題の話しはしてない。」

——北朝鮮は制裁緩和を求めたのか。

「その話はしたわ。彼らはあれ(制裁)はなんとか(緩和)ならへんか?言うてきた。」

——最大の圧力を加える制裁は終わったのか。

「終わってないで。今まで道りや。ただ『ワシをホンマに怒らせたら後ないで ("maximum pressure")』なんちゅう言葉はワシももう言いたないわな。そんなもんうまいことやっとる相手に使う言葉やないからな。お互い話しが通じる付き合いが見えてきたんちゃうかな。」

「まぁ今のとこは『ワシをホンマに怒らせたら後ないで ("maximum pressure")』言うのは変わらんわ。今は変わらんね。そやけどワシもどっちにしてもどっかで勝負出る思うわ。」

——今日の会談を踏まえて現在の米朝関係をどうとらえているのか。

「よかったんちゃうか。そら相手が相手やさかい他の国の人らとやってるようにはいかんわな。そやけどよう考えてみ?北朝鮮とうちがこんなええ感じやったこと長いことなかったやろ。オバマさんのときなんか何かあった?なんにもなかったで。なんにも出来てなかったちゅうことや。」

「正直、この話はワシが今頃わざわざ出張ってなんとかする話ちゃうわな。もっと前に片づけとかなあかん話ちゃうの。こんなことなってしもて。。。前のオバマさんのせいだけやないで、その前の大統領の連中もこの話をなんとかせなあかんかったんちゃうの。今頃する話ちゃうでホンマやったら。」

——12日の首脳会談で北朝鮮に経済支援を約束するのか。

アメリカがゼニ出すのは筋ちゃうやろ。韓国が出すんちゃうか。正直言うたら中国も支援するんちゃうか思うよ。日本もするわな。ワシらがようけゼニ出すいうのはないわな。北朝鮮は3人うちの若いもんさらっとったけどな。ワシがあいつら連れ戻すのに1人にいくら使た思てねん。」

アメリカは(北朝鮮から)えらい離れとる。日中韓は近所や。『おとなりさん』や。ワシらは6000マイルも離れとるんやで。日韓にはおまえら分かってるな?(支援を準備するように)と言うといたで。」

日中韓は何かええこと起きるんちゃうかと楽しみにしてるわ。日本はそう。韓国もそうや。中国も、、たぶんそうちゃうか。彼らはおとなりさん同士や。アメリカは違うからな。」

――ロシアのラブロフ外相と金委員長の会談に懸念を昨日は示していた。

「そやな。気に入らんな。」

――その考えはきょうも変わらないのか。

「気に入らんな。ただこれはええように考えることもできる。ロシアが昨日、会談したことをワシが『そらよろしおまんなぁ』とは言わんわな。『何しとんねん』と思たわ。しかしええこと話しおうてたかもしれん。もしええ話ししてたんやったら結構。そやなかったら気分悪いではすまんわな。」

――12日の首脳会談で朝鮮戦争終結する考えはあるのか。

「いけるかもしれん。それについて(金英哲氏と)話し合うたわ。」

――詳細を教えてほしい。

「ワシらが戦争を終わりにすることについて話し合うたわ。この戦争はずっとやっとる。70年間もや。終わらせるんやったら紙にサインするような大げさな話しや。歴史的にもほんまに大仕事になるけどな。。どないなるやろな。もういっぺん言うで。朝鮮戦争の終わらせることについて話し合うたんや。朝鮮戦争を終わらせることについて話しが出るなんて信じられるか?自分ら?70年間も続いたんやで。」

――朝鮮戦争終結に関する文書は準備済みなのか。

「そら委員長との話し合い(シンガポールでの首脳会談)の前にいろいろこっちで考えんとな。委員長との話し合いしたら、そういうもんが出てくるかもしれんわな。」

――朝鮮戦争終結に関して中国の位置づけをどう考えているのか。

「中国かてうまいこと収まる方がええおもてるやろ。ワシは習主席とそれなりに話せる仲や。ええ人や。『中国を愛する男』や。ただ。そやさかい彼が動くのは中国にとって最善のことをするためや。中国と習主席は米朝会談で何かが起きてほしいと思うとるはずやで。」

――金委員長の体制保証をどう実現するのか。

「そらきっちり保証できるようにせなあかんやろな。わざわざ『戦争は終わりました。』いうんやから、終わりは終わり。またすぐ始まるいうんはないわな。」

北朝鮮はちゃんとした国になる可能性はある。韓国もそれを助けるやろうし、日本もはりきって助けたるやろ。中国もぎょうさん手助けするんとちゃうか。」

――昨年11月のソウルでの講演で北朝鮮が望むなら近代国家に加われるという非常に明るい約束をしていた。

「そやそや。うまいこと行くと思うよ。どないなるかまぁ見てみようや。」

――2回目や3回目の首脳会談の日程についても議論したのか。

「12日の他にも(首脳会談を)やってもええよとは言うといた。そもそも何時間かサシで話したら全部ハイ決まりました。て、そっちの方がええことないんちゃうの?しらんけど。
時間をかけてどうなるか見てみなあかんのちゃうか。」


「ワシは『(非核化は)ゆっくりでええで』と言うた。『ゆっくりでええよ。”制裁はやめへんけど。”』と言うたわ。」

「まだまだしばいたろ(経済制裁のこと)思うたら手はなんぼでもあんねん。ただ金英哲さんに聞かれたわけやないけど、ワシは話し合いが割れてまうまではこれ以上は手出さんとは言うたわ。右手を相手に差し出しとるのに左手のゲンコツでしばくいうのもおかしいわな。」

――12日はお互いを知り合うだけの会談になるのか。

ガキの使いやあるまいし『仲ようしましょ』で終わらせるわけにもいかんやろ。どんなオマケが出てくるかや。出てくるとしたらええもんや思うよ。」

――金委員長の書簡に対して返信したのか。

「してへん。まだ手紙の中を見てへんから。ワザとあの手紙は開けへんかった。金英哲さんの前では開けへんかった。『これ、いま開けたほうがええの?』て聞いたら『後でどうぞ』と言われたんや。ビックリするような中身かも知れへんで。封筒と同んなじくらいドデカいビックリやったりするかもな。」

参考
Trump says Singapore summit with Kim is back on @CNNPolitics https://cnn.it/2szQXu5

朝鮮戦争終結も協議した」 トランプ氏の発言全文: 日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31303490S8A600C1NNE000/

トランプ大統領 北朝鮮への書簡 関西弁訳 全文

6月12日に予定されていた米朝首脳会談について、24日午前(日本時間同日夜)、トランプ米大統領が中止を告げる金正恩( キムジョンウン)朝鮮労働党委員長宛ての書簡を公表した。

その内容の関西弁訳を取り急ぎ作成した。

ーーーーここから

ワシとアンタらが長いことなんとかうまいこといくように言うてやってきた、6月12日のシンガポールでの首脳会談な。
あれに書記長。あんたも時間さいてようやってくれとることには礼言うで。おおきに。
首脳会談はあんたからやってくれ言うてきたもんや。そやけどな。ワシにはそんなもん関係あらへん。
大事なのは「ワシが」あんたと会ういうのを楽しみにしとったいうことや。
残念やな。ホンマに残念やわ。
委員長。あんたの最近の物言いな。あれなんや?えらい腹立てて、なんやワシが敵かなんかやいうようなことえらい大声で言うとるわな。
あんなもん聞いたらどんなけ準備した言うてもな。気持ちよう話するタイミングやワシは思わんわな。
その方がワシら両方にとってええ事や思うわ。まぁ世界中の皆さんにはえらい迷惑かけると思うけどな。こればっかりはワシもしゃーない。シンガポールの話し合いは無し。ナシや。
委員長。あんたまた自分の核の話しえらい吹いとるらしいけどな。
ワシのとこのと比べたらそんなもんオモチャと大砲くらいの差あるの分かるやろ。ワシかて神さんにしょっちゅう頼んどるよ。「こんなもんワシに使わせんといてや。」てな。
ワシはあんたとはちゃんと話通じとる思うとったけどな。そら今でも変わってへんわ。そや。アホやなかったら話せばわかるわな。
まぁそれはさておき、うちの若いもん帰したんはおおきにやで。あいつらもな。かみさんや子供のところに戻れてよろこんどったわ。ワシもそれがあんたの気持ちの一部や言うのはアホやないからわかっとるつもりやし、おおきに思うとるで。

もし、もしもや。委員長。あんたが自分の胸に手ぇ当ててな。思い直して、ワシんところに顔出したいと思うんやったら、すぐに電話してきたらええわ。紙誰かに持たせるんでもええ。
今度のことはな。なにより世界中の人らにえらい損させたで。その世界中のなかで一番損したの誰や?そら北朝鮮。あんたんとこや。
ほんまに。ほんまに今回のことは悲しいな。残念やで。

ドナルド・トランプ


※全文はこちら https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30947620V20C18A5EA1000/

醜い「無用な誤解」という権力

ごきげんよう。とても深い内容の記事を朝見ました。

「権力者の横暴」についてどう思いますか――DMM亀山会長に聞いてみた #亀山敬司 #DMM http://bunshun.jp/articles/-/6711

業界の重鎮が開催するパーティーを欠席してしまい、仕事に影響がないかと気になってしょうがないという相談者に対し

「今の日本には、君が心配するような絶対的な権力者なんていないし、気に病む必要なんてないよ。」
と。
さすが亀山さん。という相談に対する回答ですね。
まさにその通りだとおもいます。

ちっぽけながら僕も、サラリーマン時代はあちこち立てついて怒られたり、会社を立上げてからは異業種の新規事業や規制業種への参入などでいろいろ空気を読まずに動いてみたものの僕が鈍感なのかたまに呼び出されてチクチク言われたりはするけれど、そんなに「絶対的権力」を感じたことはありません。もちろんそれは僕が小物だからということもあるけど、かといってこの質問の相談者さんのように、この世の中が自由で伸び伸びしているとも思わないですよね。むしろ年々息苦しくなっている感じはしませんか?
「権力者は居ない」のにこの「正体不明の息苦しさ」はどこから来るのかなと逆に思ってしまいます。
おそらくこれは「今の日本には絶対的な権力者がいない」ことが原因なんだろうなとも思います。

とんちのようになりましたが、どういうことか。

この四半世紀はガバナンスやコンプライアンスという言葉を聞かない日はないです。これらが重要なのは言わずもがなですが、ガバナンスやコンプライアンス自体が目的となった時、我々に必要なのは「結果」より、「手続きの正当性」ということになります。

しかし、実は「手続きの正当性」というのは性善説で監査するか、性悪説で監査するかで「正当かどうか?」は結構変わります。
物事の推進には時間とコスト的制約があるので、ある人物が「真っ当である」と評価するのはプロセスの正当性が如何に担保されているかが重要なのですが、これが実際の運用上は「まともな人がやってるのだから真っ当だろう」という前提で監査でやれば「手続きは正当性がある」という結論になるし、「こいつは何か悪いことをやってる奴だ」ということを前提で監査すれば「手続きの不正」を見つけ出し、場合によっては前者からみると「悪を作り出す」のはさほど難しいことではありません。

つまり結論ありきで英雄も犯罪者も創り出すことが「手続き重視型」になることでむしろ可能になってしまったということではないかと思ったりします。
しかも、その結論を好き嫌いで決める「絶対的な権力者」が不在になっている中では、誰がどこでいつ誰に足を掬われるか分からないし、今持ち上げられてもいつ誰のやっかみや嫉妬で陥れられるか分かりません。
そういう状況を皆が知ってしまうと、ベストプラクティスとしてこういうことを言う人が増えます。

「無用な誤解を避けるために振る舞いについてよく考えた方が良いよ。」

これこそが絶対的な権力者が居なくなった現代における「最大の権力」なんじゃないでしょうか。

権力者のご機嫌取りなんてクソみたいなものですが、白黒がはっきりしている分楽な部分もあり、権力者が居る組織の中では権力者の機嫌がよいうちは支配下にある人間は皆「結果」によって平等に自由を担保できます。

しかし、権力者不在の組織は正体不明の「無用な誤解」に怯え、結果よりも手続きに終始して、自分を守る為の「結果」を生み出す機会を得られないまま不安を抱えることになります。

我が国でもそうですが、ガバナンスを強化しコンプライアンスを重視してきたこの四半世紀で、結果を出す成長企業は皆強力な権力を1人に集約したオーナー企業となってしまいました。

最近では、国家ですら独善的ともいえるような元首が台頭しているようです。
小は会社から大は国家まで、「絶対的な権力者から解放された自由」を社会的枠組みとして推進した結果、
我々は皮肉なことに自由どころか正体不明な不安を抱え、そこから逃走する為に結果的に「強力な権力者」を望んでいるのかもしれません。

散々新しいことのように書きましたが、この辺の話しはご存じの通りマックスウェーバーやエーリッヒフロムの受け売りです。

さて、冒頭の亀山さんのアドバイスは「あるのかないのかわからない権力者に怯えるより、いい仕事をするように頑張ろう」というものでした。
まさに王道。僕もまったくもってその通りだと思います。

しかし、「権力者が居る方がマシ」な状況の方が多くの人を苦しめています。
その中で権力者以上にやっかいな「正体不明の権力モドキ」に悩まされない為に「いい仕事をし結果を出すこと」と並行して大切なことが3つあると思います。

1.公私を問わず振る舞いに表裏や隠し事を作らないこと。
2.すべての行動についてログやエビデンスを精確に残すこと。
3.他人の信頼に甘えないこと。

先にも述べましたが、結果よりも手続きの正当性が重視されるということは、即ち「結果の如何に関わらず、気分や空気で人を陥れることが可能である」ということです。大阪で消防士が勤務中に自販機で飲み物を買って飲んでいるのに対して、如何なものか!というクレームがあったそうですが、まさにこれです。「あいつらは仕事もろくろくせずに給料をもらっている!」という前提で監査すれば、自販機で飲み物を買っているところを見つけ手続き上の問題を指摘するのは容易です。絶対王政であれば皇帝が「余の消防士達が飲み物を飲むのが何が悪いのか!」と一喝すれば終わりですが、手続きの正当性が重視される社会では、この消防士がどれだけ火を消したのか?といった結果に関わらず処分することが可能になります。権力者が居ないとこの状況をもって上位者は皆に「無用の誤解を生まないように気をつけるように」と言うことになります。

1.公私を問わず振る舞いに表裏や隠し事を作らないこと。

権力者の寵愛に頼らず、自由に生きる為には常にこういった悪意を前提とした結論ありきの監査を受ける覚悟が必要であり、その際に振る舞いに表裏や隠し事があると確実に命取りになります。
炎上野郎こと田端信太郎さんが先日20歳の自分に手紙を書いていましたが(https://www.ism.life/contents/503)、彼がサラリーマンでありながら自由に振る舞う為の保身術として「実名と顔出しをインターネットに晒し続けることは自分にとって自分が作れる最大のセーフティネットとも言えるんだ。美学だけじゃ人は生きていけないが、これは自制と保身に繋がるから、肝に銘じておけよ。」と述べているのは流石だと思いました。彼は正体不明の「空気」から身を護る最大の術として自らを晒し24時間アカウンタビリティーの塊のようになることを決意しているのです。
僕もそうですが彼と個人的にやり取りをしたことがある人達は、彼がネットと他の場で違うことを言うことはないことを皆保証するのではないでしょうか。
彼はそうやって第三者の監査を常に受け続けることで、ある局面では結果を出す出さないよりも危険に晒される原因となる自らの「手続き上の不備」を常に避けるようにしているのです。
これはとても有用なノウハウの一つではあると思います。

2.すべての行動についてログやエビデンスを精確に残すこと。

これも重要性が高まってきていると思います。
多くの人は善良な人間として自分の持ち場で頑張っていることと思いますが、「俺は何も恥じ入ることはない!」と声を大にして叫んでも、それが簡単に肯定されるのはあなたがこれまでの振る舞いを鑑みて概ね善良であるという上位者や組織が認めている事によって成立している事がままあります。これを誰にも担保されず自分の力で0から証明するのは実は並大抵のことではありません。24時間あなたが間違いなく如何なる法律や倫理や規範に照らしても問題ないことを自分ひとりで証明する必要がないというのは、実は組織や誰かの権力の庇護によるものであるという認識が必要で、権力不在でも自らの安全と自由を担保するためには自らの振る舞いや行動が正当であるというエビデンスやログ(記録)を出来る限り沢山用意しておくことです。
今記録の改ざんなどで世の中すったもんだしてますが、後から用意も変更もできないものですから、普段から電子的でも紙でも何でもよいのでいつどこで誰と何をしていたのか記録しておくことが重要です。

3.他人の信頼に甘えないこと。

「権力に媚びず、頼らず」という美学を持つかどうかは個人の自由ですが、権力者にどう立ち向かうか?という時代遅れの美学より、権力不在の状況下で如何に自らの安全性を担保するか?ということの方が重要であると思います。これは取りも直さずそんな中であなたを信頼してくれる人というのは、本来膨大にかかる「自らの正当性を担保する為の努力」が、「まかせるよ」の一言でショートカットできる本当に貴重な存在であるということです。
信頼されて事に取り組むというのは実はコスト構造上大きくゲタを履かせてもらっているということであり、
これを当たり前のものと勘違いして甘えていると必ず脇が甘くなり、信頼を失い、そして膨大なツケを払うことになります。
「他人に信頼してもらうことは本来払うべきコストを払っていない」という認識を強く持ち、決して甘えず常に信頼してもらえている相手にもアカウンタビリティー(説明責任)を果たすことが重要だと思います。

思うがままに散々書き散らかしましたが、僕なりのベストプラクティスは結局のところいつもの通りです。

今日も持ち場でがんばりましょう。

カネでは動かない人の賤しさについて

ごきげんよう
ネットを見ているとなにやら物騒な話を最近目にしました。

僕が目にしたのはこの二つの記事です。

スタートアップにおいて創業メンバーや幹部を、事業を行う過程で粛清することが避けて通れないという話のようです。
とてもリアルな内容で僕も何度も見てきましたし、なんなら手を下して来た方です。特にこれらの話にどうこう言うつもりもないのですが、なんかすっきりしないところがあるので少し蛇足とは知りつつエントリを書いてみようと思います。

僕は起業する。事業を起す。とはある種、法の範囲の中で「神」として振る舞う行為だと思っています。
よく例えに出すのですが「ある山で野生動物保護の見地から鹿を保護したところ増えすぎてしまい麓の田畑を荒らすようになった。なので地元の猟友会に協力してもらい農作物の味を覚えてしまった鹿を撃ち、駆除する。」といった話は聞いたことありますよね。

僕はこれほど酷い話はないと思うのですが、この山において人間は「神」として振る舞っているわけです。
自分が思う「最適状態」の為に鹿の生殺与奪を欲しいままにしているわけで、こんな酷いことがもし許される者が居るとしたら「神」だけだと思います。
起業も同じ局面はよく出てきます。
起業家が思い描いたビジョンの為に他人を誘い入れ、そして自分が思うようにならなければ去ってもらう。そういう状況のことです。

もちろん神と見間違える、いやもはや鬼神ともいえる強さを持った起業家達も居ます。
しかし、多くの起業家は哀しいかな人間である為、「神」の振る舞いをする中で覇気を削がれ、苦しみ、そして最悪気が狂ってしまいます。
自らが可愛いと思って増やした鹿の目を見ながら鉄砲の引き金を引き、恨みと失望の涙を流しながら倒れてゆく鹿を見て「もうこんなことはしたくない。」と思う。
それが当たり前の人の心というものです。
しかし、判断を先送りにし、問題から逃げれば被害が拡大し、そしていずれ自らが倒れ周りにもより大きな迷惑をかけることになります。

これは有能ではあるが組織に反したものを規律に沿って裁くという、所謂「泣いて馬謖を斬る」といった話とは違います。
「人に合せて事業を作るのではなく、事業に沿った人を貪欲に配置していく必要がある」という原則を人事において実行するというのは、斬られ、撃たれる方から見たらどう理屈をこねたって出鱈目な話だし、幾ら「仕方なかった」と涙を流されたところで自己憐憫にしか見えないという話です。
そこで「経営者というのは孤独なんだ。それでもやらねばならない」という結末だと、事業を成功させる確率は上がらないと思うし思考停止だと思うのですよね。
僕が思うのは、もともと神の所業なのだから、それを一人で抱え込んでトップが事業に集中できなくなるのはもったいないなと。だからこういう罪深い事こそボードメンバーやNo2と分担できればより事業は立ち上がりやすく、成長するのではないか?と。つまり事業の成長の為に人の心を持った平凡な人間が分担して「神」の所業をなすというやり方もあるのではないかということです。

よく目を凝らして見てみると、もはや神をも恐れぬ経営者という人も一人で事を成しているわけでなく、人間が神たる振る舞いをするうえでトップの影として常に傍にいる人間を従えていることに気づきます。
孫正義に宮内謙、永守重信に小部博志といった具合です。
そして彼らは番頭として、能力として事業を成長させるための外部からの幹部起用があった場合は、場合によっては一旦後ろへ下がり、招き入れた彼らが去ればまたその留守を代打として預かります。
逆説的ですが、トップが自分の戦略実行の為、積極的に幹部を容赦なくスゲ替えることが出来るようになるには、何をやっても必ず傍にそれについてくる子分を従えるのが一番の近道です。そして、体制を維持するというのは自分が最後孤立しないことが重要です。日和見がちな構成員は必ず結束が固い方に転び、理屈がいくら正しくとも反体制派は最終的には敗走します。
同時に事業を成長させるためのNo2と、トップと運命を共にするNo2は同一である必要はないし、後者はトップの意向に沿わない者、能力の不足する者、環境やトレンドの変化に応じて必要のなくなった者に引導を渡し、トップのビジョンの遂行の為の犠牲となる人々の目をまっすぐに見すえ粛清を実行し、恨みを引き受ける必要があります。

欧米では「共同経営」というやり方もあるようですが、僕はこれは感覚的に日本では難しいのではないかなと思っています。
それは、僕ら日本人的な感覚の中には「カネでは動かないぞ」という気持ちがよく出てくるからだと思います。
「カネでは動かない」というと美しい話と思う人が居ますが(まぁそういう美しい話になることもありますが、、)これは酷い裏返しの面があり、「自分が1万円もらえるボタンと、気に入らない奴が1,000万円損するボタンどちらか押すならどちらを選ぶか?」という場合、「気に入らない奴が1,000万円損するボタン」を押す人がかなりの数いるということです。

「カネでは動かない」ということは僕は必ずしもキレイなことではなく、ある意味賤しい気持ちの裏返しでもあると思います。
こういった気持ちが心の奥に棲むことは仕方ないとしたら。。そういう人を構成員の中に抱える限り「共同経営」というのは成り立ちません。
「共同経営」というのは個々人がカネという利害を共有し1円でも得する限りお互いにカネを最大化できるよう協力するという関係だからです。
先の大戦で敗れたのは日本人に西欧的な「合理性」が無かったからだとする話もあるそうです。難しいことは解りませんが、僕は少なくとも単純な損得勘定で合理的に協力できず、事業の成長で足元がもつれるが如き様子を沢山見て思います。
強固な組織をベンチャーで日本人中心に作るには「親分と子分」というヤクザ映画のような振る舞いが一定以上の合理性があるのではないかと。

かつてのベンチャーの雄、もはや伝説となっている故大川功氏のCSKの一号社員は、湯川英一という方だったそうです。我々アラフォーの人達の間では有名な方。そうドリームキャストの時にCMに出てみんなを笑わせていたセガの湯川専務です。
アスキー西和彦さんが書かれた「ベンチャーの父 大川功」という書籍の中で、常に大川功さんの心の側近であり続けた湯川さんが「自分の役目はオヤジ(大川功会長)が煩わしい諸々から一時でも解放されてリラックスして意思決定できるように笑わせるのが仕事だと思っていた」と言った旨の発言をされていました。
ベンチャーが組織成長を成す上で、苛烈なトップの心の支えたるそういう古参人材の生き方、また能力に応じたポジションだけでなく、組織の精神的支柱としてのそういった人物を序列は前後してもきちんと処遇する組織、そして自分の役回りを弁えトップを支えるポジションを引き受ける古参側近、そういった構図は「シリコンバレー発のスタートアップ組織論」だけでなく今尚、現実的且つ有用ではないかと思います。

やはりカネを絡めながら血の通った人間が集まって組織を作る以上、キレイごとでは周らないのは事実ですが、同時に人と人の感情を超越した諸々をトップが一人で背負い込むことが成功の近道であるとも思えないな。という話です。
まして「カネでは動かないぞ!」という人達が多いなら尚更です。

例によってまとまりのない話になりましたが、やはり僕が思う我々のベストプラクティスはこれですね。

今日も持ち場でがんばりましょう。