「LLとBlog」セッションまとめ

Lightweight Language Weekend


Lightweight Language Weekend(LLW 2004)の2日目の最初のトラックは、はてなの近藤さんもパネリストとして参加した(id:jkondo:20040809)『LLとBlog』でした。近藤さんも

会の趣旨自体は「Lightweight Languageについて語ろう」みたいなことだと思っていたので、もう少し技術寄りの話になるのかなと思っていましたが、ビジネス戦略的な話もあったりで、「Blogについて語ろう」みたいなセッションになりました。

と書かれていますが、LLW 2004のサイトには、TrackBackも用意されていて(http://ll.jus.or.jp/llw2004/tb.html)、そこに寄せられた感想では「LLの催しなんだから、もっとLLについて型って欲しかった」というようなものもありますね。
とりあえず、特に発表したりするつもりもなく、会場でメモをとっていたので(なので、かなりヌケとか聞き間違いとかもあると思いますが)、とりあえず、ここに残しておきます。ま、ここは日記なので、こういうまとめもアリでしょう(かな?)。
とりとめなく、書いていたので、聞き間違いや、意図とは違うまとめになっているところもあるかもしれませんが、ご勘弁を。
個人的には、言葉こそ違えど、「ビジネスで使うコミュニケーションツールとしての可能性」ということを、それぞれの人が言っていたのが印象的でした。


参加者(座席順):宮川達彦BulkfeedsBulknewslivedoor Blog)、ひらただいじ(Movable Type)、ただただし(tDiary)、柴田淳COREblog)、樋口理(Nucleus)、近藤淳也はてなダイアリー)、小山哲志(司会)


−−「Blogやその周辺ツール」「技術動向」「Blogの将来」などについて、ディスカッションしていきます。まずは、自己紹介を兼ねたプレゼンを。
宮川:『Blog Hacks』(ISBN:4873111749)は、1項目1エントリーとして、Blogで書いた。個人的には、「Bulknews」(http://bulknews.net/)や「Bulkfeeds」(http://bulkfeeds.net/)を運営しており、実はMovable Typeプラグインなんかも書いている。
ひらた:Movable Typeの日本語化をしていたら、いつのまにか、日本法人に勤めることになった。MT 3.1の紹介。新機能としては、PHPを使った「ダイナミックプレビュー」、要望の多かった「フューチャーポスト」などを実装している。
ただ:Rubyキラーアプリ」として、『ウェブログ』という言葉がなかったころからtDiaryの開発を始めた。開発が始まったのは、2001年4月20日なので、MTとちょうど同時期くらいだろう。tDiaryの歴史。特長としては、「『コメント』ではなく『ツッコミ』であり、主従関係を明確にするため、トップページでは省略表示になっていること」「Trackbackではなくreferer」「同一URLでケータイに完全対応」「テーマが独立していること」など。
柴田:COREBlogとは、Zope上で動くブログツール。Blogツールとしての機能は、ほぼ網羅しているが、知名度がイマイチ。当初、オープンソースソフトウェアは全世界的に使われなければ意味がないというポリシーの元、ドキュメントを英語でしか用意していなかったので、日本人から「ニホンゴ、デキマスカ?」的なメールを何度かもらった。そのおかげで、海外でも使われている。「日本のZope情報」をCOREBlogで提供している。
樋口:Nucleusは、いくつかのツールを比較してみて「(友人の伊藤穰一が使っていた)MT以外のブログツールを使いたかったこと」「PHPで書かれているので、非プログラマーでも見通しがよいこと」「継続性(メモがない)」「ローカライズの容易さ」で選んだ。PHP/MySQLで動く。ベルギーの大学院生の2人で開発しており、最近では、本家とほぼ同じタイミングで日本語化されている。特長としては、「道程なページ生成」「モジュール構造」など。
近藤:(メモがないので省略。ごめんなさい)


以下、ディスカッション。


−−新しい機能実装のリクエストは多いのか?
近藤:リクエスト自体は多いが、作り手側が「なるほど、やってみたい」と感心するようなリクエストは、ほとんどない。
樋口:プラグインで対応するので、どんどんできている。日ごとの日記形式に対応するスキン、ケータイ対応というリクエストが多いが、これは日本で特徴的なこと。
柴田:Plone対応。
ただ:tDiaryをblog風に運営するためのキットである「Blogkit」の拡張。「Blogkit」は、自分が作った中で、最高のジョークソフトだと思っているのですが。あと、こうさぎ*1を飼いたいとか。
ひらた:テーマの拡張(見た目を簡単に変える)、モバイル対応、ライセンスについての要望など。ライセンスは、「わかりやすくした」つもりなんだけど。OEMするなどのビジネスとして展開したときに、固有の要望もある。
宮川:livedoor Blogについて言うと、コアなユーザーと超ライトなユーザーの両方がいる。日記的に使いたい人とブログ的に使いたい人がいる。MTと同様のビジネス的な要望もある。


−−(会場から)ビジネスモデルは、どうなっているのか? また、開発のモチベーションは?
宮川:ユーザーを増やしてポータルに導く。高機能な部分は有料オプションOEMとして、サイトごと販売する。
ひらた:まず、MTとTypePadでビジネスモデルは違う。ブログを運営する上で発生する、さまざまな需要があると考えている(デザインとか、カスタマイズとか、メンテナンスとか、コンサル)。
ただ:tDiary.netは、amazongoogleアフィリエイトがあるが、「お小遣い」程度。開発のモチベーションは、「好きで作っている」ということ。
柴田:プライドを維持するために。最近は、事務仕事なんかが増えてしまったが、コードを書かないと「プログラマーとしてのプライド」が維持できない。「ブログとビジネス」という意味では、「情報を発信するためのツール」「社内情報の交換のためのツール」という切り口が存在するのではと考えている。
樋口:個人の「情報共有」のツールを紹介しているということがモチベーション。
近藤:現在は、6万人のユーザーがいる。はてなダイアリーからは、「有料オプション」「アフィシエイトなどの広告」「エンジンをOEM」などで収入を得ている。ビジネスモデルとしては、はてなでも「はてなグループ」として提供しているグループウェア的に使う需要があるのではないかと考えている。あと、日本のブログツールの進化は世界的にも早いので、海外に輸出できるのではないか?
小山(司会):1日目のセッションで、「LLを仕事に使うためには、サクセスストーリーが必要」という話があったが、ブログ関連というのは、それになり得る候補では。


−−(会場から)「ブログは(社内の)コミュニケーションツールとして有効」というのは、Wikiではダメか? ブログもWebと同じでサーバが必要なので、同じではないか? 宮川さんと近藤さんには、「ブログそのもので利益を出すのではなく、集客ツールの1つとして」という意味でよいのか?
宮川:livedoor Blogは、集客ツールの1つである。BulkFeedsは、趣味と実益を兼ねている。
樋口:自分で書いた記事に直接、反応できるということが大事。「このキーワードに、人が集まった!」というイメージで、これは、やってみなければわからないだが、サーバがどこがあるのかとは重要ではない。これまでのWebページとの違いは、「敷居の低さ」だろう。Wikiとの違いは、Wikiは1つの場に人が集まり、ブログは個人に人が集まるということ。
近藤:自分の日記は、何でも書ける。そして、それがキーワードでリンクして、それに興味を持つ人にピンポイントにつながれる。「有料オプション」があるが、現在は、ユーザーから、それ以上の直接対価をもらうことは考えていない。
ひらた:コミュニケーションツールとして使うことで、データの透過性が高まる。気軽に更新できれば、それぞれが自分だけで完結してしまう情報が出てくるのではないか。こういったことに関しては、これからの推移に期待。また、お客さんは、エクスポート機能を欲しがるので、エクスポート機能が必須である。したがって、MTに囲い込むようなことはできないので、継続的に使ってもらうためには、サービスや機能での差別化が必要だと考えている。


−−(会場から)tDiaryのテーマの共有ということについて。
ただ:本人が一番すごいなぁと思っている。いつまでも「tDairyのテーマ」と呼んでいていていいのだろうか? MTと違ってテンプレートを固定しているがゆえに、テーマを共有可能になった(どっちが先かは忘れた)。当時は見た目に凝ったサイトが少なかったので、有志が進めた。CSSを独立させるのは最初から考えていた。
近藤:テンプレートが固定されているので、ゲーム性の要素があるのではないかと思っている。機能を実装するときに、インターフェイスが独立しているというのは、よいなと思っている。
ただ:まつもとさんは、テーマの作成に挫折したらしい。技術者は、デザインするのは苦手な人が多いのかも。プログラマーではない人に、フリーソフトウェア作成に参加する機会を作れたと思う。
宮川:livedoor Blogは、ほぼMT互換になっている。現在、映画のテーマがあり、マーケティングとしても使えるので、これはビジネス的に使う1つの側面かもしれない。
ひらた:CSSを書ける人の参加も重要。


−−(会場から)RSSがアクセスを増やしているというのは、どうだろう? 開発の愚痴ってある?
宮川:BulkNewsBulkFeedsについては、人よりマシンのほうのアクセスが多い。
ひらた:ping情報を整理する
ただ:昔から「アンテナ」があったので、そんなに気にならない。RSSリーダー用に1つの情報を集めるといった方法が考えられるのではないか。
柴田:「アンテナ」全盛期と変わらないのではないか。RSSはサイズが小さいので、それほどのトラフィックになっていないのではないか
樋口:RSS経由でアクセスが増えているが、RSSはサイズが小さいので、歓迎している。すべてのデータをクロールされるよりも、トラフィックは小さいので。
近藤:PVの3割程度と、ロボットが急増していた。新しいビジネスモデルのチャンス?


−−(会場から)RSSのデザインについて。
近藤:はてなアンテナを始めたときにも同じ声があったが、さらにデザインに踏み込んだブログの使い方をされたときに変わってくるかもしれない。
ただ:RSSCSSが追加されるかもしれないというツッコミがあった。要するに、どっちでもいいのではないか。これは、読む側で選択する問題だろう。


−−(会場から)ブログツール作成時の言語選択理由と、その結果について。
近藤:Perlしか書けない人が多いので。元々、CGIなどを作っていて、フレームワークを作ったりして、今では完全にフレームワーク上で開発している。後悔はしてないし、楽しい。


−−(会場から)言語比較について。
近藤:Perlオープンソースで開発されているソフトウェアだが、はてなダイアリーを支えるために、十分なパフォーマンスだと思っている。
樋口:@ITPHPに切り替えたけど、見通しがいいのがよい。パフォーマンスには満足している。
柴田:遅くなる要因となる地雷を踏まないように開発することが重要。Zopeについては、酸いも甘いも、よくわかっているので、遅くなりそうなところは避けている。これは、ほかの言語でもそうだろう。
ただ:重要なのは、性能よりインストールのしやすさ、敷居を低くすること。tDiaryは、Rubyさえ入っていれば動く。速度については、チューニングでどうにでもなるだろう。
ひらた:ベン*2Perlが好きだから。パフォーマンスは、チューニングによるが、これは投入する時間と質によるだろう。
宮川:大手は、ほとんど、PerlPHP。エキサイトがASP(あと、ServletStrutsというところが紹介されていたけど、メモを忘れました)。


−−(会場)ブログツールは、どんな要素を求めるか。自分の開発しているもの以外では、どのブログツールを使ってみたいか。
宮川:自分でいぢれるのが楽しいので、そういったものを使いたい。はてなダイアリーグループウェア的な使い方には注目している。
ひらた:他社のツールは研究している。大資本が、どのように参入してくるのかには注意している。
ただ:ほかのツールは使ったことがないのだが、どのツールもできることには違いはないので、満足できるでしょう。強いていうと、はてなダイアリーかな。
柴田:実装しなければならない機能が残っている。たぶん、tDiaryを使うかな。
樋口:注目しているのは「MSN Space」*3。あの規模を、どうやってWindows Serverで動かすのか? いや、たぶん、彼らはやるでしょう、いろんなところを切り捨てたりして。その中で、ビジネスとして、どうやって成り立たせていくのか? いろいろと興味を持っている。
近藤:どのツールもよく似てきているので、独自色を出すのが難しくなってきている。最近は、「かわいい」とかがキーワードになっている気がするので、そのあたりが切り口になるかも。使うとしたら、tDiaryココログかな。

LLWに行ってきました

超早朝の10時の開幕という(ぉぃ)「Lightweight Language Weekend」に参加してきました。いや、しかし、間に合ったのは奇跡だな(自爆)。会場の入り口で、ぴあからの封筒を出して中身を見ると空……で、すげー汗ったけど、チケットは無事に(?)かばんの中にありました。ふぅ。
内容は、どうせ、いろんな人が日記に書くだろうからいいとして(いいのか?)、個人的には「Language Update」に「Curl」があったのが印象的でした。注目度が高い割には、書籍が売れないのはナンでだろー(しくしく)。

CurlプログラミングエッセンシャルズCurlプログラミングバイブル リッチクライアントWeb言語完全解説
(と、画像リンクを貼ってみたり)
まー、でも、あれだけの言語が並ぶと「JavaScriptはないんですか」とかって思ってしまうヲレは、ヘンなんだろうか?

「LLを仕事に」は、プログラマーではない人間としては、現場の方の様子や考え方なんかがうかがい知れて、なかなか興味深かったです。要するにアレだ「上は、わかってねーんだよー」っつーのは、どこの世界でも同じだっつーコトですな(w

あと、個人的には、ようやく、まつもとゆきひろさんに直接お会いできたのがうれしかったです。
#明日も早起き(大丈夫かなぁ)

共存本

はてなの本」の発売日が延びてしまったのね(g:htnbk:id:mohri:20040805#1091698452)。某書店には、すでに並んでいけど……、もう売り切れてしまったかな?
LLWには行くので、そのトキに……というのはムシがよすぎるかな? あ、ポストカード(g:htnbk:id:mohri:20040805#1091726112)、ください(笑)。

共存本

3冊めのはてなに関する本となる『はてなの本』が出ましたね。某書店には、すでに並んでいるので、「なるほど、まさに『共存書』だなぁ」と思って見ていました。しかし、あの値段で4Cとは、参りましたね。カバーも、片方の表紙は全面UVシルク(UVニスかな?)貼りだし(折り返しにも一部、使われていますね)、お金かかってるんですよね。うーん、すごいなぁ。
#でも、送ってもらえないのかしら?>id:mohriさん

京都リサーチパーク

そういえば、「京都リサーチパーク」のオフィスの話(id:jkondo:20040715)は、はてなオフ会vol.1の近藤さんの挨拶でも出てきましたが、私は『はてなダイアリーガイドブック』の打ち合わせのために、3月16日に、京都リサーチパークにうかがいました。
そのときには、実際のオフィスではなく(なので、ほんとに4平米だったのか(もっと広いように思いましたが)、当時も近藤さんがはみ出して仕事をしていたのか(謎)わかりませんが)、打ち合わせスペースのようなところで、お話ししたんですが、移転直前の残り少ない「京都リサーチパーク」時代だったわけです。
前に、今のオフィスにうかがったときにも(id:reikon:20040524)、「京都のオフィスと同じような、ちょうどよい物件を見つけましたねー」と近藤さんにも話していたんですよね(という話を、オフのときに壇上さんにも話したっけ)。
京都リサーチパークは、「JR山陰線丹波口駅下車 西へ徒歩5分」と事前に調べておいたんですが、駅を降りたとたん、どっちに向かえばいいのかわからなくって、逆に向かってしまって、約束の時間に遅れてしまいました。
丹波口駅は、京都駅から1つ目なんですが、高い建物とかがなくって(京都の条例とかで決まってるんでしたっけ?)、のぉんびりした感じの街並みでした。このあたりも、渋谷からの徒歩圏にありながら、ひっそりとしている今のオフィスと、よく似ている気がします。
(続く……かもしれない)

今日も今日とて

はてなオフ会vol.1オフレポや、後日談を読んだりコメントしていたり。
仕事してないんぢゃないかというと、確かにしていない(自爆)。もー、ダメ人間爆発。
そういえば、

MacFan』関係が載ってない…あれ? 記憶間違い?? でも当時の掲載された雑誌を考えて見ても、私が読みそうな雑誌なんてないんだよね…。う〜〜ん、もうかなり前のことなので記憶が…。時期的に『Yahoo! Internet Guide』かな?

とありますが、ココをみると『Mac Fan』関連の雑誌だとすれば、『Mac Fan Internet』あらため、『インターネットファン』だったんぢゃないかなぁという気がしています。>id:satomiさま

今さらながら

本日は、仕事をそっちのけで*1はてなオフ会vol.1の参加者(以外の方のも)レポートを読んでいました。
ま、とにかく楽しい催しでした。
今回は、いろいろとプレゼントを提供しましたが、たまたま最近担当した書籍が何冊かあったので、「物量作戦」(id:mohriさん)に出られましたが、次回(「定期的に開催したい」とのことだったので)からも、同じようにできるかどうかわかりませんが。
そうそう、しなもんは、ちょっと口元が緩いかも(笑)。

*1:いあ、そもそも、あんまし仕事をしていないんぢゃないかってハナシもあるんですが(汗)